JP3295517B2 - 画像表示装置 - Google Patents

画像表示装置

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JP3295517B2 JP03257694A JP3257694A JP3295517B2 JP 3295517 B2 JP3295517 B2 JP 3295517B2 JP 03257694 A JP03257694 A JP 03257694A JP 3257694 A JP3257694 A JP 3257694A JP 3295517 B2 JP3295517 B2 JP 3295517B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はメタルハライドランプの
点灯に関するもので、特にメタルハライドランプを光源
とするプロジェクタ装置等のような画像表示装置に係る
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、少なくともヨウ化ディスプロシウ
ム、ヨウ化ネオジム、ヨウ化セシウムなどの金属ハロゲ
ン化物と、始動補助ガスとしてアルゴン等の希ガスと、
水銀とを封入したメタルハライドランプは優れた発光特
性、発光効率、寿命を有することから屋内、屋外の一般
照明から液晶投写型ディスプレイ、OHP、映写機等の
各種画像表示装置の光源として使用されている。
【0003】メタルハライドランプはアーク放電中での
封入物の発光を利用しているため、メタルハライドラン
プを点灯するためには放電を開始し、その放電を安定に
維持するための点灯回路が必要である。例えば150W
のメタルハライドランプならば定常点灯時にランプ電圧
85V、ランプ電流1.78A程度となるように点灯回
路が構成されている。
【0004】ところで、メタルハライドランプの放電を
開始させるには定格ランプ電圧よりも高い電圧が必要で
ある。それは「J.F.Waymouth,"Electric Discharge Lam
ps",MIT Press 1971,pp254」に記載されているように、
メタルハライドランプ発光管内に存在する金属ハロゲン
化物、ハロゲン化水銀、遊離ハロゲン等が放電空間内の
電子を捕獲するためである。したがってメタルハライド
ランプの放電を開始するために始動用高電圧を発生する
機構が設けられているのが一般的である。たとえばラン
プ始動時に10kV程度の高電圧を周波数100Hzで
約2秒間ランプに印加するなどの方法がとられている。
【0005】また、上述のメタルハライドランプを利用
した画像表示装置は、基本構成として、メタルハライド
ランプを用いた光源と、この光源を点灯するための点灯
回路と、光源から放射された光を集光する反射鏡または
コンデンサレンズ等の集光光学系と、集光された光を投
写面などに投写するレンズ系等の投写装置とで構成され
ており、例えば液晶プロジェクションの場合は液晶パネ
ルに表示された画像が投写面に拡大投写される。
【0006】図3に示すプログラム図は、前述の構成の
画像表示装置における点灯回路による電力供給と画像表
示装置の電源オンオフとの関係を示すものである。すな
わち、ランプへの電力供給の有無と画像表示装置電源の
オンオフとのタイミングは同期している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
ように始動時のみとはいえ、約10kVもの高電圧をラ
ンプに印加する場合、安全性が課題となる。つまりラン
プへの電力供給線と周辺部品との距離が十分でなけれ
ば、高電圧を印加したとき部品の損傷や感電等の問題が
生じる。湿度等を考慮し、周辺部品と十分な絶縁距離を
置くことが必要となる。
【0008】ところがメタルハライドランプ点灯装置は
器具の中に設置されたり、高所に設置されたりすること
も多く、可能な限り小型であることが必要とされる。し
たがって従来、メタルハライドランプ点灯装置の小型化
と安全性が相矛盾するという課題があった。またこのよ
うな安全面だけでなくコストの観点からもランプ始動時
に必要な高電圧はできるだけ低いことが望ましい。
【0009】また、小型で持ち運びも可能であることが
要求されるOHPや液晶プロジェクターのような画像表
示装置においては、小型化と安全性の面から特にランプ
の始動電圧が低いことが要求される。
【0010】本発明は、このような従来のメタルハライ
ドランプの課題に鑑み、メタルハライドランプの始動開
始電圧を低下させたメタルハライドランプ点灯方法を提
供し、また、安全性を改善した小型化の可能な画像表示
装置を実現することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の画像表示装置
は、一対の電極を有し、少なくとも水銀、希ガス、金属
ハロゲン化物が封入されたメタルハライドランプの光源
と、前記メタルハライドランプ始動時に定常時よりも高
電圧を印加して、点灯させる点灯回路と、前記光源から
放射された光を集光する集光光学系と、その集光光学系
で集光された光を投写面に投写する投写装置とを備え、
前記点灯回路は、アーク放電している前記メタルハライ
ドランプを消灯する際、前記点灯回路からのランプへの
電力の供給を一旦中止した後、所定時間t1経過してラ
ンプが所定温度まで冷却されたとき、再びランプ両端に
所定時間t2だけ始動用高電圧を印加し、ランプに再放
電を起こさせ、その後ランプへの電力の供給を中止し
て、ランプを消灯させることを特徴とする。
【0012】また、光源のメタルハライドランプ内に封
入される希ガスとして、少なくともアルゴンガスを含
み、そのアルゴンガスの分圧が0.1Torr以上1000
Torr以下であるとする。
【0013】また、所定時間t1と所定時間t2は、ラ
ンプが冷却されて再放電し、再放電時間が10秒を越え
ないように設定されている。
【0014】
【作用】本発明によると、メタルハライドランプ光源の
放電開始電圧を従来よりも低くすることができ、安全性
を確保し且つ装置全体の小型化が可能となる。以下に本
発明によってメタルハライドランプの放電開始電圧が低
下する理由を述べる。
【0015】メタルハライドランプがアーク放電し、定
常状態にあるとする。いまランプへの電力の供給を停止
すると、ランプは消灯しランプ温度は低下する。ランプ
を構成している材料のうち、発光管材料である石英ガラ
ス等のガラスと電極材料であるタングステンを主成分と
する金属を比べると金属の方が熱伝導が大きい。そのた
めランプを消灯した時、発光管よりも電極の方が急速に
温度が低下する。したがってランプ点灯時に気体または
液体であった水銀や封入金属ハロゲン化物が常温で液体
または固体に戻るとき発光管だけでなく電極にも付着す
る。つぎにランプを始動するときには電極には水銀、ハ
ロゲン化水銀、金属ヨウ化物などが付着している。実
際、目視でこれらが電極に付着していることは容易に観
察できる。
【0016】他方、本発明のように、ランプを消灯する
際に点灯回路からランプへの電力の供給を一旦中止し、
ランプが所定温度まで冷却されたとき再びランプ電極両
端に始動用高電圧を印加しランプに短時間再放電を起こ
させ、その後ランプへの電力の供給を中止した場合は、
ランプ冷却途中に付着した電極上の付着物は短時間再放
電によって電極が熱せられたとき蒸発し、発光管壁に付
着する。その後電圧印加を停止し、ランプを冷却しても
ほとんど電極には水銀、ハロゲン化水銀、金属ハロゲン
化物等は付着しない。したがってつぎにランプを始動す
るときには電極にはほとんど付着物がない状態である。
なお、電極に付着物がある場合よりもない場合のほうが
メタルハライドランプの始動特性は改善されることが知
られている。これはたとえばW.W.Byszewskiらによって
「Journal of the IlluminatingEngineering Society 1
990, pp70」などに述べられている。
【0017】電極先端に付着物が存在すると電極の仕事
関数が変化することが要因と考えられる。ある一定条件
のもとで電極に付着物がある場合の放電開始電圧よりも
付着物がない方が放電開始電圧は低くなる。
【0018】また、ランプ冷却途中でメタルハライドラ
ンプを短時間再放電させ、電極上の付着物を蒸発させる
ときの放電開始電圧は、完全に常温まで冷却されたラン
プを放電開始させる電圧よりも低くなる。なぜならばい
わゆるアルゴンガスと水銀蒸気のペニング効果は、アル
ゴンガスの分圧と水銀蒸気圧の関係が一定の範囲にある
場合に効果的に作用し放電開始電圧を低下させる。アル
ゴンガスの分圧が一定の範囲内のとき常温よりも高温の
方が水銀蒸気圧が上昇し、ペニング効果がより効果的に
作用し放電開始電圧が低下するのである。
【0019】
【実施例】以下に、本発明をその実施例を示す図面に基
づいて説明する。 (実施例1) 図1は、本発明の画像表示装置に使用されるメタルハラ
イドランプ点灯装置の構成図であり、図2は、そのメタ
ルハライドランプ点灯装置の電源オン・オフ時のランプ
点灯回路からランプへの電力供給の有無の様子を示すプ
ログラム図である。図1において、1はメタルハライド
ランプ光源、2はメタルハライドランプ光源1を点灯す
るための点灯回路、3はタイマー回路である。ここで、
メタルハライドランプ光源1の定格ランプ電力は250
Wで管内には始動用希ガスとしてのアルゴンが10Tor
r、水銀が20mg、ヨウ化ディスプロシウムが0.6
mg、ヨウ化ネオジムが0.5mg、ヨウ化セシウムが
0.6mg封入されている。又、電極間距離は6.8m
mである。
【0020】このように構成されたメタルハライドラン
プ点灯装置においてメタルハライドランプ光源1は周波
数約250Hzの矩形波で点灯される。
【0021】まず、本実施例におけるメタルハライドラ
ンプ点灯装置の電源オン・オフ時のランプへの電力供給
について、図2のプログラム図によって説明する。メタ
ルハライドランプ点灯装置の電源がオンすると同時に点
灯回路2からランプに電力が供給され、ランプは点灯す
る。その後メタルハライドランプ点灯装置の電源がオフ
されるまでランプは点灯し、電源オフと同時にランプへ
の電力供給が一旦停止するとランプは消灯する。その後
時間t1が経過すると電源がオフであっても点灯回路2
からランプへはタイマー回路3からの信号に基づき自動
的に電力が供給され、時間t2の間電力は供給される。
その時間t2の間ランプは再放電することになる。t2
時間経過後はランプへの電力供給が停止するからランプ
は完全には定常アーク放電に移行せず、消灯する。以上
が本実施例によるメタルハライドランプ点灯装置の電源
オン・オフの1サイクルにおける点灯回路2からランプ
への電力供給のプログラムである。
【0022】以上のように構成された本実施例のメタル
ハライドランプ点灯装置の効果を確認するために行った
実験について説明する。
【0023】図3のグラフに示す従来例によるメタルハ
ライドランプ点灯法と本実施例によるメタルハライドラ
ンプ点灯方法とでランプ始動電圧を測定した。全く同等
の250本のランプを用意し、2種の点灯方式でそれぞ
れ始動用高電圧の値を変化させながらランプ点灯確率を
求めた。始動用高電圧は周波数100Hzで約2秒間ラ
ンプに印加した。結果を(表1)にまとめた。
【0024】
【表1】
【0025】図3のようなグラフのようなプログラムに
基づく従来法では、ランプを100%点灯するには10
kV以上の電圧が必要である。一方本実施例による方法
では、従来法の半分の5kVでランプを100%点灯す
ることができた。本実施例によればメタルハライドラン
プの放電開始電圧を低下させ、メタルハライドランプ点
灯装置の安全性を改善することができ、低コスト化を実
現することができることがわかる。 (実施例2) 図4は、本発明にかかる第2の実施例の画像表示装置
構成図であり、その画像表示装置の電源オン・オフ時の
ランプ点灯回路からランプへの電力供給の有無は図2の
グラフによって示されている。図4において、本実施例
の画像表示装置は、メタルハライドランプ光源1と、そ
のメタルハライドランプ光源1を点灯するための点灯回
路2と、タイマー回路3と、メタルハライドランプ光源
1から放射された光を集光する反射鏡またはコンデンサ
レンズ等の集光光学系4と、集光された光を受光面5な
どに投写するレンズ系6等の投写装置とで構成されてお
り、例えば液晶プロジェクションの場合は液晶パネル7
に表示された画像が上記受光面5に拡大投写される。
【0026】メタルハライドランプ光源1は外管を用い
ない一重管タイプのメタルハライドランプで発光管最大
外径は14.2mm、肉圧1.5mm、内容積0.95c
cである。定格ランプ電力は250Wで管内には始動用
希ガスとしてのアルゴンが150Torr、水銀が25m
g、ヨウ化ディスプロシウムが1.0mg、ヨウ化ネオ
ジムが0.8mg、ヨウ化セシウムが0.9mg封入さ
れている。又、電極間距離は5.8mmである。
【0027】このように構成された画像表示装置におい
てメタルハライドランプ光源1は周波数約120Hzの
矩形波で点灯される。
【0028】本実施例の画像表示装置の効果を確認する
ため実施例1と同様な実験を行った。つまり、従来例に
よる図3のメタルハライドランプ点灯法に基づく画像表
示装置と、本実施例による図2の点灯法に基づく画像表
示装置とでランプ始動電圧を測定した。ランプの本数は
実施例1と同じく250本とし、始動用高電圧印加モー
ドは周波数20Hzで30秒間とした。
【0029】結果は実施例1と同様に図3のプログラム
に基づく従来法では、ランプを100%点灯するには1
0kV以上の電圧が必要であったのに対し、本実施例に
よる方法では、従来法の半分の5kVでランプを100
%点灯することができた。本実施例によればメタルハラ
イドランプの放電開始電圧を低下させ、画像表示装置の
安全性を改善することができることが分かる。
【0030】上述の各実施例では図2のグラフ中のt1
を100秒、t2を2秒とした。これはt1の100秒
の間にランプを冷却し、その後ランプに始動用高電圧と
ともに電力を2秒間供給し、ランプを再放電させてい
る。t2の2秒経過後は電力供給が止まるのでランプは
完全な定常アーク放電には移行しない。このようなt
1、t2の選び方の他に、たとえばt1を1秒とするこ
ともできる。この場合は電源オフ1秒(t1)後にはラ
ンプは冷却されていないが、その時点からランプに始動
用高電圧を印加し続ける。ランプが次第に冷却されてあ
る時間経過したとき再放電が開始する。再放電が開始し
たらそれを検知し、所定時間経過後電力供給を停止すれ
ばよい。再放電時間を長くすると電極だけでなく、発光
管の温度も上昇してしまうから本発明の効果が小さくな
る。電極上の付着物を蒸発させ、発光管管壁に移動させ
ることが目的であるから再放電時間は発光管温度がさほ
ど上昇しない程度でなければならない。通常は10秒以
内であれば本発明の効果は失われない。
【0031】要するにt1とt2はランプが冷却されて
再放電し、再放電時間が10秒を越えないように設定す
ればよい。
【0032】本実施例のように希ガスとしてアルゴンガ
スを用いる場合や封入ガス中にアルゴンガスを含む場合
にはアルゴンガスの分圧は所定の範囲内にある必要があ
る。これは水銀蒸気とアルゴンガスのペニング効果が効
果的に作用する条件で、実用上はアルゴンガスの分圧は
0.1Torr以上1000Torr以下とすると本発明の効果
が顕著となることが分かった。
【0033】また本実施例では始動用高電圧を始動時に
2秒間、100Hz、あるいは30秒間20Hzでラン
プに印加したが、本発明の効果はこの条件に限らず、他
の高電圧印加モードでも有効であることが確認されてい
る。
【0034】
【発明の効果】以上述べたところから明らかなように、
本発明は、アーク放電しているメタルハライドランプ光
源を消灯する際、ランプへの電力の供給を一旦中止した
後、ランプが所定温度まで冷却されたとき再びランプ両
端に始動用高電圧を印加し、ランプに短時間再放電を起
こさせその後ランプへの電力の供給を中止してランプを
消灯させるので、放電開始電圧を従来よりも低くするこ
とができる。その結果、安全性と小型化を両立した低コ
ストの画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像表示装置に使用されるメタルハラ
イドランプ点灯装置の構成を示す図である。
【図2】同実施例のメタルハライドランプ点灯装置にお
ける、電源オン・オフ時のランプ点灯回路からのランプ
への電力供給の有無を示すプログラム図である。
【図3】従来のメタルハライドランプ点灯方法の電源オ
ン・オフ時のランプへの電力供給の有無を示すプログラ
ム図である。
【図4】本発明にかかる第2の実施例の画像表示装置
構成を示す図である。
【符号の説明】
1 メタルハライド光源 2 点灯回路 3 タイマー回路 4 集光光学系 5 受光面 6 レンズ系 7 液晶パネル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹内 延吉 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−182775(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03B 21/14 G02F 1/13357 H05B 41/231

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の電極を有し、少なくとも水銀、希
    ガス、金属ハロゲン化物が封入されたメタルハライドラ
    ンプの光源と、前記メタルハライドランプ始動時に定常
    時よりも高電圧を印加して、点灯させる点灯回路と、前
    記光源から放射された光を集光する集光光学系と、その
    集光光学系で集光された光を投写面に投写する投写装置
    とを備え、前記点灯回路は、アーク放電している前記メ
    タルハライドランプを消灯する際、前記点灯回路からの
    ランプへの電力の供給を一旦中止した後、所定時間t1
    経過してランプが所定温度まで冷却されたとき、再びラ
    ンプ両端に所定時間t2だけ始動用高電圧を印加し、ラ
    ンプに再放電を起こさせ、その後ランプへの電力の供給
    を中止して、ランプを消灯させることを特徴とする画像
    表示装置。
  2. 【請求項2】 光源のメタルハライドランプ内に封入さ
    れる希ガスとして、少なくともアルゴンガスを含み、そ
    のアルゴンガスの分圧が0.1Torr以上1000Torr以
    下であることを特徴とする請求項記載の画像表示装
    置。
  3. 【請求項3】 所定時間t1と所定時間t2は、ランプ
    が冷却されて再放電し、再放電時間が10秒を越えない
    ように設定されていることを特徴とする請求項記載の
    画像表示装置。
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