JP3293534B2 - 光触媒含有塗膜の形成方法 - Google Patents

光触媒含有塗膜の形成方法

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JP3293534B2
JP3293534B2 JP30355597A JP30355597A JP3293534B2 JP 3293534 B2 JP3293534 B2 JP 3293534B2 JP 30355597 A JP30355597 A JP 30355597A JP 30355597 A JP30355597 A JP 30355597A JP 3293534 B2 JP3293534 B2 JP 3293534B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光触媒含有塗膜の
形成方法に関し、特に基材にシリコーン樹脂下塗り層を
介して光触媒含有塗膜層を密着よく形成した光触媒含有
塗膜の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、
有機樹脂基材、例えばポリカーボネート樹脂、アクリル
樹脂、PET樹脂などは軽量で安価、透明性に優れるな
どの利点を生かして、建築材料や構造材料に使用される
ようになってきた。しかしながら、これら樹脂の平板や
フィルムは、表面硬度が低く、容易に傷が付きやすいと
いう大きな欠点を有する。これら材料の傷付き防止を目
的としたものとしては、一般にハードコーティングと呼
ばれる技術が知られている。この代表的なものが、3官
能以上の加水分解性シランを原料としたシリコーン樹脂
を含有したシリコーンコーティングである。このコーテ
ィングは大部分の塗膜成分が無機的なシロキサン結合構
成されているため、高硬度、耐擦傷性に優れるだけでな
く、太陽光中の紫外線による劣化が殆どなく、耐候性に
極めて優れるものである。
【0003】一方、最近、光触媒を利用して塗膜表面に
抗菌、防汚性を付与する技術が報告されている。これは
光触媒を最表層に固定化した膜に、紫外線を含む太陽光
を照射すると、光触媒によって生成する活性ラジカル種
が細菌類や油汚れを分解するというものである。光触媒
に接している有機物は分解されるため、光触媒を固定化
する樹脂、及び下塗り層にはシリコーン樹脂あるいはフ
ッ素樹脂を使用することが好ましいことも公知である。
また、これとは別に、光触媒を含有した塗膜に光を照射
すると、表面の水に対する接触角が10度以下に低下す
る現象も報告されている。この親水性塗膜は雨水により
汚染物質が洗い流されるため、長期間にわたり極めて高
い防汚性を発現することが知られている。
【0004】光触媒を直接、有機樹脂基材表面に固着さ
せた場合、密着性が十分得られないのに加え、光触媒に
接した部分の有機樹脂が分解し、すぐに劣化してしまう
ため、下塗りにシリコーン塗膜を形成する方法が効果的
である。この下塗り層としては、劣化しにくいシリコー
ン塗膜が適する。特開平8−67835号、同8−14
1503号公報では、無機塗料として2〜4官能シラン
の加水分解縮合物の使用が提案されている。このシリコ
ーン樹脂の数平均分子量は900以上とあるが、実際、
有機樹脂基材の傷付き防止を目的とした場合、900以
上では硬度不足である。これは分子量が小さいシリコー
ン樹脂の方が硬化膜の架橋密度が高く、膜が緻密になる
ので、高硬度となるためである。分子量が900以上で
は架橋密度が低く、耐擦傷性が低下する。従って分子量
900以上の樹脂を使用した塗膜は、長期の屋外暴露試
験では容易に傷が付き、透明性等の外観が低下するほ
か、そこから塗膜が剥離するなどの劣化が著しい。
【0005】このように、シリコーン塗膜を下塗りと
し、その上に光触媒を塗布、固定化した塗膜は、耐擦傷
性、耐候性に優れ、抗菌性を有すると同時に、表面が親
水化するため雨水により汚染物質が流れ去り、極めて高
い防汚性を有する塗膜となる。更に、透明基材に対して
は防曇性をも有する。このようなシリコーン樹脂下塗り
層は、高硬度、耐擦傷性を有し、また上層の光触媒層と
十分密着する必要がある。
【0006】本発明はかかる要求に応えるためになされ
たものであり、高硬度、耐擦傷性を有するシリコーン樹
脂下塗り層を介して光触媒含有塗膜層を形成した光触媒
含有塗膜の形成方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明は、上記目的を達成するため、下記光触媒含有塗膜
の形成方法を提供する。請求項1 基材上に、下記平均組成式(1) R1 pSi(OR2q(4-p-q)/2 …(1) (式中、R1は非置換又は置換一価炭化水素基、R2は水
素原子、炭素数1〜6の非置換一価炭化水素基及び炭素
数1〜6のアルコキシ置換一価炭化水素基から選ばれ、
p,qは、0≦p≦1.6、0≦q≦3.3、0.1≦
p+q<4を満足する数である。)で表され、かつ重量
平均分子量400〜800のシリコーン樹脂を含む塗料
の硬化層を形成し、その上に光触媒を含有する塗膜層を
形成することを特徴とする光触媒含有塗膜の形成方法。請求項2 シリコーン樹脂が、 (1)一般式SiX4(Xは炭素数1〜6のアルコキシ
基、炭素数2〜6のアルケノキシ基及びフェノキシ基か
ら選ばれる基を示す)で表される加水分解性4官能シラ
ン化合物0〜100重量部、 (2)一般式R3SiX3(R3は炭素数1〜18の非置
換又は置換一価炭化水素基、Xは上記と同様の意味を示
す)で表される加水分解性3官能シラン化合物100重
量部、 (3)一般式R3 2SiX2(R3及びXは上記と同様の意
味を示す)で表される加水分解性2官能シラン化合物0
〜120重量部の加水分解縮合物よりなり、かつ重量平
均分子量が400〜800である請求項1記載の光触媒
含有塗膜の形成方法。請求項3 シリコーン樹脂がエポキシ基を含有するものである請求
項1又は2記載の光触媒含有塗膜の形成方法。請求項4 シリコーン樹脂が、下記平均組成式(2) R4 r5 sSi(OR2q(4-r-s-q)/2 …(2) (式中、R4は炭素数1〜8の非置換一価炭化水素基、
5はエポキシ官能基を有する炭素数1〜18の一価炭
化水素基、R2は水素原子、炭素数1〜6の非置換一価
炭化水素基及び炭素数1〜6のアルコキシ置換一価炭化
水素基から選ばれ、r,s,qは、0≦r≦1.4、0
<s≦1.0、0<q≦3.3、0<r+s≦1.6、
0.1≦r+s+q<4を満足する数である。)で表さ
れるものであり、かつ重量平均分子量が400〜800
である請求項3記載の光触媒含有塗膜の形成方法。請求項5 シリコーン樹脂が、 (1)一般式SiX4(Xは炭素数1〜6のアルコキシ
基、炭素数2〜6のアルケノキシ基及びフェノキシ基か
ら選ばれる基を示す)で表される加水分解性4官能シラ
ン化合物0〜100重量部、 (2)一般式R6SiX3(R6は炭素数1〜8の非置換
一価炭化水素基、Xは上記と同様の意味を示す)で表さ
れる加水分解性3官能シラン化合物5〜95重量部、 (3)一般式R7SiX3(R7はエポキシ官能基を有す
る炭素数1〜18の一価炭化水素基、Xは上記と同様の
意味を示す)で表される加水分解性3官能シラン化合物
5〜95重量部(但し、(2)及び(3)成分の合計量
は100重量部である)、 (4)一般式R8 2SiX2(R8は炭素数1〜18の非置
換又は置換一価炭化水素基、Xは上記と同様の意味を示
す)で表される加水分解性2官能シラン化合物0〜12
0重量部の加水分解縮合物よりなり、かつ重量平均分子
量が400〜800である請求項3記載の光触媒含有塗
膜の形成方法。請求項6 請求項1乃至5のいずれか1項記載の光触媒含有塗膜の
形成方法であって、光触媒を含有する塗膜層が、 (1)光触媒、 (2)請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシリコー
ン樹脂、 (3)水及び/又は有機溶媒を含有する塗布液を塗布
し、硬化させることによって形成されたものである光触
媒含有塗膜の形成方法。請求項7 光触媒を含有する塗膜層が、光を照射することにより、
塗膜層表面の水に対する接触角が40度以下の表面親水
性を有するものとなる請求項1乃至6のいずれか1項記
載の光触媒含有塗膜の形成方法。
【0008】本発明は、シリコーン樹脂下塗り層として
の硬度を維持し、かつ上層の光触媒層と密着するのに十
分なシリコーン樹脂が、その平均組成式が上記式(1)
で表され、かつその重量平均分子量が900未満である
ことを見出したことにある。この場合、このように比較
的分子量の小さいシリコーン樹脂は、硬化性が高いた
め、短時間での硬化が可能であり、種々のコーティング
方法において工程時間を短縮することができ、コスト削
減が可能である。また、光触媒含有塗膜層に上記シリコ
ーン樹脂を含有させることにより、光触媒の膜強度が向
上し、耐久性も優れる。更に、下塗り及び光触媒含有塗
膜層に使用するシリコーン樹脂にグリシドキシ基等のエ
ポキシ基含有有機基を含有させることにより、塗膜に可
撓性を付与することができ、特に光触媒含有塗膜層にて
光触媒のバインダーに使用する場合、塗膜の透明性が維
持できる。
【0009】以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明の光触媒含有塗膜の形成方法は、基材上にシリコ
ーン樹脂を含む塗料の硬化層を形成し、その上に光触媒
を含有する塗膜層を形成するものである。
【0010】基材 ここで用いる基材の材質は、プラスチック、セラミック
ス、ガラス、金属、あるいはそれらの複合物等、特に限
定されるものではないが、本発明は特にポリカーボネー
ト、アクリル樹脂等の平板、PET樹脂等のフィルムの
使用に適する。
【0011】シリコーン樹脂 本発明においては、シリコーン樹脂として、下記平均組
成式(1) R1 pSi(OR2q(4-p-q)/2 …(1) (式中、R1は非置換又は置換一価炭化水素基、R2は水
素原子、炭素数1〜6の非置換一価炭化水素基又は炭素
数1〜6のアルコキシ置換一価炭化水素基から選ばれ、
p,qは、0≦p≦1.6、0≦q≦3.3、0.1≦
p+q<4を満足する数である。)で表され、かつ重量
平均分子量400〜800のシリコーン樹脂を使用する
ことを特徴とする。
【0012】ここで、R1の非置換又は置換一価炭化水
素基としては炭素数1〜18のものが好ましく、非置換
一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピ
ル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ヘキ
シル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基等の
アルキル基、ビニル基、アリル基、5−ヘキセニル基、
9−デセニル基等のアルケニル基、フェニル基等のアリ
ール基、ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル
基などを具体例として示すことができる。また、置換一
価炭化水素基としては、非置換一価炭化水素基の水素原
子の一部又は全部を置換基で置換したもので、置換基と
しては、1)フッ素、塩素などのハロゲン原子、2)グ
リシジロキシ基、エポキシシクロヘキシル基などのエポ
キシ官能基、3)メタクリル基、アクリル基などの(メ
タ)アクリル官能基、4)アミノ基、アミノエチルアミ
ノ基、フェニルアミノ基、ジブチルアミノ基などのアミ
ノ官能基、5)メルカプト基、テトラスルフィド基など
の含硫黄官能基、6)(ポリオキシアルキレン)アルキ
ルエーテル基などのアルキルエーテル基、7)カルボキ
シル基、スルフォニル基などのアニオン性基、8)第四
級アンモニウム塩構造含有基などが適用可能であるが、
特に反応基としては2),3)のものが好ましく、特に
エポキシ官能基を有するものが好ましい。この置換され
た一価炭化水素基の具体例としては、トリフルオロプロ
ピル基、パーフルオロブチルエチル基、パーフルオロオ
クチルエチル基、3−クロロプロピル基、2−(クロロ
メチルフェニル)エチル基、3−グリシドキシプロピル
基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル
基、3−(メタ)アクリロキシプロピル基、(メタ)ア
クリロキシメチル基、3−アミノプロピル基、N−(2
−アミノエチル)アミノプロピル基、3−(N−フェニ
ルアミノ)プロピル基、3−ジブチルアミノプロピル
基、3−メルカプトプロピル基、ポリオキシエチレンオ
キシプロピル基、3−ヒドロキシカルボニルプロピル
基、3−トリブチルアンモニウムプロピル基などを挙げ
ることができる。この中でもメチル基、プロピル基、ヘ
キシル基、フェニル基が好ましい。特に耐候性を要求さ
れる場合にはメチル基が好ましい。
【0013】R2の炭素数1〜6の非置換又は置換一価
炭化水素基の例としては、メチル基、エチル基、プロピ
ル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、
t−ブチル基等のアルキル基、イソプロペニル基等のア
ルケニル基、フェニル基等のアリール基を含む非置換一
価炭化水素基や、メトキシメチル基、エトキシエチル
基、エトキシメチル基、メトキシエチル基等のアルコキ
シアルキル基などのアルコキシ置換一価炭化水素基が挙
げられる。
【0014】p,qは、上述した通り、0≦p≦1.
6、0<q≦3.3、0.1≦p+q<4を満足する数
である。
【0015】シリコーン樹脂は上記組成式(1)で表さ
れるものすべてを含むが、これらは1〜4官能の加水分
解性シラン化合物を加水分解、縮合して合成したものが
当てはまる。更に高硬度を有する塗膜を形成するために
は、主に2〜4官能シラン化合物を用いることが好まし
く、3官能シランを必須成分として含有することが好ま
しいが、上記p,qの値において、p>1.6では2官
能以下のシラン化合物の含有量が多くなり、架橋度が下
がり塗膜の硬度が低くなるため好ましくなく、q>3.
3では4官能シラン化合物の含有量が多すぎて塗膜にク
ラックが生じ易くなるため、やはり適さない。
【0016】この場合、2〜4官能シラン化合物を加水
分解、縮合して合成したシリコーン樹脂としては、特
に、(1)一般式SiX4(Xは炭素数1〜6のアルコ
キシ基、炭素数2〜6のアルケノキシ基又はフェノキシ
基から選ばれる基を示す)で表される加水分解性4官能
シラン化合物0〜100重量部、(2)一般式R3Si
3(R3は炭素数1〜18の非置換又は置換一価炭化水
素基、Xは上記と同様の意味を示す)で表される加水分
解性3官能シラン化合物100重量部、(3)一般式R
3 2SiX2(R3及びXは上記と同様の意味を示す)で表
される加水分解性2官能シラン化合物0〜120重量部
の加水分解縮合物Aが好ましい。
【0017】このシリコーン樹脂において、4官能シラ
ンを100重量部を超えて用いると、高硬度であるがク
ラックが発生し易い。2官能シランを120重量部を超
えて用いると塗膜の架橋密度が不足し、耐擦傷性が不十
分となる場合が生じる。
【0018】上記式において、Xは炭素数1〜6のアル
コキシ基、炭素数2〜6のアルケノキシ基、フェノキシ
基から選ばれる基であって、具体例としては、メトキシ
基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブ
トキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基等のア
ルコキシ基、イソプロペノキシ基等のアルケノキシ基、
フェノキシ基等が挙げられる。R3としては、R1で説明
したものと同様のものを例示することができる。
【0019】本発明において、シリコーン樹脂として
は、エポキシ基を含有しているものが、経時安定性に優
れる上、硬化時には一部エポキシ基の開環が起こり架橋
するため、塗膜は高硬度となり、かつ可撓性を有する塗
膜が形成するため好ましい。特に、グリシドキシプロピ
ル基が硬化性、可撓性の点から好ましい。しかしなが
ら、エポキシ基を含有した有機基量が多くなりすぎる
と、光触媒による有機基の分解の影響が現れるため、劣
化が著しく、好ましくない。
【0020】このようなシリコーン樹脂として、下記平
均組成式(2) R4 r5 sSi(OR2q(4-r-s-q)/2 …(2) (式中、R4は炭素数1〜8の非置換一価炭化水素基、
5はエポキシ官能基を有する炭素数1〜18の一価炭
化水素基、R2は水素原子、炭素数1〜6の非置換一価
炭化水素基又は炭素数1〜6のアルコキシ置換一価炭化
水素基から選ばれ、r,s,qは、0≦r≦1.4、0
<s≦1.0、0<q≦3.3、0<r+s≦1.6、
0.1≦r+s+q<4を満足する数である。)で示さ
れるものが挙げられる。
【0021】ここで、R4の炭素数1〜8の非置換一価
炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、プ
ロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、
ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基等のアルキ
ル基、ビニル基、アリル基、5−ヘキセニル基等のアル
ケニル基、フェニル基等のアリール基などが挙げられる
が、中でもメチル基、エチル基、プロピル基が好まし
い。R5の炭素数1〜18であり、かつ1個以上のエポ
キシ基を含有する一価炭化水素基の具体例としては、3
−グリシドキシプロピル基、2−(3,4−エポキシシ
クロヘキシル)エチル基が挙げられる。R2は上記した
ものと同様である。
【0022】また、r,s,qは上記した通りであり、
sの値は0<s≦1.0であることが必要で、s>1.
0では耐候性、耐久性に劣る場合が生じることがある。
【0023】上記エポキシ基を含有するシリコーン樹脂
としては、更に、(1)一般式SiX4(Xは炭素数1
〜6のアルコキシ基、炭素数2〜6のアルケノキシ基又
はフェノキシ基から選ばれる基を示す)で表される加水
分解性4官能シラン化合物0〜100重量部、(2)一
般式R6SiX3(R6は炭素数1〜8の非置換一価炭化
水素基、Xは上記と同様の意味を示す)で表される加水
分解性3官能シラン化合物5〜95重量部、(3)一般
式R7SiX3(R7はエポキシ官能基を有する炭素数1
〜18の一価炭化水素基、Xは上記と同様の意味を示
す)で表される加水分解性3官能シラン化合物5〜95
重量部(但し、(2)及び(3)成分の合計量は100
重量部である)、(4)一般式R8 2SiX2(R8は炭素
数1〜18の非置換又は置換一価炭化水素基、Xは上記
と同様の意味を示す)で表される加水分解性2官能シラ
ン化合物0〜120重量部の加水分解縮合物Bが好適な
ものとして用いられる。
【0024】ここで、Xは上記した通りであり、R6
4と、R7はR5と、R8はR1とそれぞれ同様のものを
例示することができる。
【0025】本発明のシリコーン樹脂は、重量平均分子
量が400〜800、より好ましくは500〜800で
ある。分子量900以上のシリコーン樹脂を下塗りとし
て使用した場合、硬度をテーパー摩耗試験にて測定する
と、膜に傷が付き、透明性が低下する。なお、重量平均
分子量は、ゲル濾過クロマトグラフィー(以下、GPC
と略す)にて測定し、ポリスチレンを標準物質として作
成した検量線より算出した値である。
【0026】上記加水分解縮合物A又はBを含む本発明
のシリコーン樹脂は、上記条件を満たしていればいかな
る方法で製造してもよい。具体的製造方法を述べると、
製造するための原料としては、加水分解性基の種類がク
ロルあるいはアルコキシであり、加水分解性基を1個,
2個,3個,4個含有し、上記条件を満たす有機置換基
を有するシラン化合物であればいかなるものも使用可能
である。具体的には、原料として、ビニルトリクロルシ
ラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシ
シラン、ビニルメチルジクロルシラン、ビニルメチルジ
メトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、5−
ヘキセニルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロ
ピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルト
リエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジ
メトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエ
トキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリ
メトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルト
リエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピル
メチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプ
ロピルメチルジエトキシシラン、4−ビニルフェニルト
リメトキシシラン、3−(4−ビニルフェニル)プロピ
ルトリメトキシシラン、4−ビニルフェニルメチルトリ
メトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミ
ノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピ
ルメチルジエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)
アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプ
ロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルト
リエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメ
トキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジエトキ
シシランなどのいわゆるシランカップリング剤以外に、
テトラクロルシラン、テトラメトキシシラン、テトラエ
トキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリクロ
ルシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエト
キシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチル
トリブトキシシラン、メチルトリイソプロペノキシシラ
ン、ジメチルジクロルシラン、ジメチルジメトキシシラ
ン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジイソプロポ
キシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ジメチルジイ
ソプロペノキシシラン、トリメチルクロルシラン、トリ
メチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ト
リメチルイソプロペノキシシラン、エチルトリクロルシ
ラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリクロル
シラン、ブチルトリクロルシラン、ブチルトリメトキシ
シラン、ヘキシルトリクロルシラン、ヘキシルトリメト
キシシラン、デシルトリクロルシラン、デシルトリメト
キシシラン、フェニルトリクロルシラン、フェニルトリ
メトキシシラン、シクロヘキシルトリクロルシラン、シ
クロヘキシルトリメトキシシラン、プロピルメチルジク
ロルシラン、プロピルメチルジメトキシシラン、ヘキシ
ルメチルジクロルシラン、ヘキシルメチルジメトキシシ
ラン、フェニルメチルジクロルシラン、フェニルメチル
ジメトキシシラン、ジフェニルジクロルシラン、ジフェ
ニルジメトキシシラン、ジメチルフェニルクロルシラ
ン、及びこれらの部分加水分解物などが使用可能なシラ
ン化合物として挙げられる。操作性、副生物の溜去のし
易さから、メトキシシランあるいはエトキシシランを使
用するのがより好ましい。使用可能な有機ケイ素化合物
はこれに限定されるものではない。これらのシラン化合
物の1種類又は2種類以上の混合物を使用してもよい。
【0027】上記加水分解性シラン化合物を加水分解し
て、本発明に使用可能なシリコーン樹脂を得る方法とし
ては、一般に水あるいは水溶性の有機溶剤中、加水分解
性シラン化合物を加水分解する方法が一般的である。加
水分解を実施するに際し、加水分解触媒を使用してもよ
い。加水分解触媒としては、従来公知の触媒を使用する
ことができ、その水溶液がpH2〜7の酸性から中性を
示すものを使用するのがよい。特に酸性のハロゲン化水
素、カルボン酸、スルホン酸、酸性あるいは弱酸性の無
機塩、イオン交換樹脂などの固体酸等が好ましい。例と
してはフッ化水素、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸、マレイン
酸に代表される有機酸、メチルスルホン酸、表面にスル
ホン酸基又はカルボン酸基を有するカチオン交換樹脂な
どが挙げられる。加水分解触媒の量はケイ素原子上の加
水分解性基1モルに対して0.001〜10モル%の範
囲内であることが好ましい。
【0028】基材上に下塗り層を形成するシリコーン樹
脂塗料は、上記シリコーン樹脂のほか、コロイダルシリ
カを配合することが好ましい。なお、コロイド状シリカ
としては、従来公知のものすべてが使用可能であり、水
やメタノール、エタノール、イソプロパノール等の有機
溶媒にシリカを分散した、固形分濃度20〜50重量%
の分散液が好ましい。配合量はシリコーン樹脂100重
量部に対してシリカ固形分換算で0〜300重量部、特
に50〜150重量部であることが好ましい。また、硬
化触媒、希釈剤等を含有することができる。硬化触媒と
しては、従来公知であるものを使用してもよい。例えば
水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、
ナトリウムメチラート、酢酸ナトリウム、蟻酸ナトリウ
ム、n−ヘキシルアミン、トリブチルアミン、ジアザビ
シクロウンデセンのごとき塩基性化合物類;テトライソ
プロピルチタネート、テトラブチルチタネート、アルミ
ニウムトリイソブトキシド、アルミニウムトリイソプロ
ポキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、過塩素
酸アルミニウム、塩化アルミニウム、コバルトオクチレ
ート、コバルトアセチルアセトナート、鉄アセチルアセ
トナート、スズアセチルアセトナート、ジブチルスズオ
クチレート、ジブチルスズラウレートのごとき含金属化
合物類;p−トルエンスルホン酸、トリクロル酢酸のご
とき酸性化合物類などが挙げられる。希釈剤としては、
水及び有機溶剤すべてを使用することができる。有機溶
剤としてはアルコール類、ケトン類、エステル類、エー
テル類が適する。また、pHを調節するための緩衝剤と
なる酸・塩基性化合物の組合せ、例えば酢酸と酢酸ナト
リウム、リン酸水素二ナトリウムとクエン酸などを添加
してもよい。その他、優れた塗膜性能を付与する目的で
顔料、染料、レベリング剤、保存安定剤なども使用でき
る。但し、この下塗り層は基本的には光触媒を含有しな
い。
【0029】光触媒含有塗膜層 上記シリコーン樹脂の下塗り層上に形成される光触媒含
有塗膜層において、光触媒は、塗膜の表面に存在し、表
面を疎水性にしている有機基を分解することのできる程
度の高い光触媒活性を有する粒子が使用される。光触媒
として高い活性を有するものとしては、光触媒酸化チタ
ンのほか、酸化スズ、酸化第二鉄、三酸化タングステ
ン、三酸化二ビスマス、チタン酸ストロンチウム等が特
定波長以下の光が照射されると価電子帯の電子が伝導帯
に励起され、伝導電子と正孔を生成し得る光触媒として
挙げられる。この場合、特に化学的に安定であり、安価
であることを考慮すると酸化チタンが好ましい。酸化チ
タンの粒子型は問わない。また酸化チタンの光触媒活性
は、粒子の平均粒径が小さい程高く、このような点から
粒径0.1μm以下のものを使用するのがよい。ここで
いう平均粒径とは、粒子の粉末X線回折したときの結晶
の最大ピークの積分幅からScherrer式により求
められる値である。酸化チタン粒子は分散媒に分散した
ゾルのほか、水、溶剤を含有したペーストあるいは粉体
を使用することができる。ゾルの分散媒としては水、メ
タノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノ
ール、イソブタノール等のアルコール類、メチルエチル
ケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類が好まし
い。
【0030】これらの光触媒活性を有する粒子は分散媒
等の影響により凝集を起こし、分散安定性に乏しくなる
場合がある。この場合、部分的に表面処理し安定化させ
ることができる。表面処理は加水分解性を有するケイ
素、アルミニウム、ジルコニウム等を添加し、粒子の表
面を変性することによって達成される。ただし、粒子の
表面すべてを被覆してしまうと光触媒活性は抑制される
ので、表面処理は部分的に行われねばならず、膜の防汚
性を十分発現する程度にとどまる。
【0031】第二層の光触媒含有塗膜層を形成する塗布
液としては、光触媒の微粒子を水及び/又は有機溶剤に
分散した液が使用できる。有機溶剤の例としては、メタ
ノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアル
コール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン
類、その他エステル類、エーテル類、ジメチルホルムア
ミド等が使用できる。下塗り層と強固に結合し、塗膜と
しての耐久性を高めるため、上述したシリコーン樹脂を
含有することも可能である。この場合、光触媒とシリコ
ーン樹脂の含有比率は任意に決定することができるが、
好ましくはシリコーン樹脂100重量部に対し、光触媒
を固形分で10〜400重量部使用するのがよい。シリ
コーン樹脂は、下塗り層と同様に上記組成式(1)又は
(2)で表され、重量平均分子量900未満のものが好
ましい。
【0032】光触媒粒子は、本来、光照射により生ずる
強力な酸化力により脱臭力、抗菌力を発現するが、これ
らの機能性を更に高めるために銀、銅、白金、金、パラ
ジウム、鉄、ニッケル、亜鉛より選ばれた1種又は2種
以上の金属元素を含む物質を含有させることができる。
これらの金属元素を含む物質の含有量は、硬度、可撓性
等の膜物性に影響を与えない程度である必要があり、酸
化チタン100重量部に対し20重量部以下であること
が好ましい。
【0033】光触媒含有塗膜の形成 塗膜の形成方法は、以下の工程からなるものである。即
ち、シリコーン樹脂を含有したコーティング液を第一層
として基材に塗布する工程、塗布した膜を風乾あるいは
加熱硬化することにより硬化させる工程、シリコーン樹
脂層の上に光触媒含有塗布液を塗布する工程、室温乾燥
あるいは加熱して光触媒を第一層に固着させる、あるい
はシリコーン樹脂を架橋させて光触媒含有塗膜を形成さ
せることによって第二層とする工程を順次行うことによ
り達成される。基材と第一層のシリコーン樹脂層との密
着性を向上させるため、プライマー層を形成してもよい
し、基材表面にコロナ放電等の処理を行ってもよい。
【0034】基材への塗布方法としては、スプレーコー
ティング法、ロールコーティング法、ディップコーティ
ング法、スピンコーティング法等があるが、そのいずれ
を用いてもよいし、それ以外の方法でもよい。
【0035】塗膜の硬化方法は、空気中に放置して風乾
させてもよいし、加熱してもよい。加熱温度、時間など
も限定されるものではないが、通常は室温〜250℃,
10分〜2時間加熱することにより硬化塗膜が形成され
る。第一層の硬化条件を調整し、部分的に未架橋膜とす
ることにより、第二層との密着性を向上させることも可
能である。この場合、具体的には第一層の硬化を80〜
130℃,1〜10分程度で行うことにより、タック感
のない程度に硬化しながら一部未硬化状態としておき、
第二層を塗布後、硬化させることによって光触媒を一部
埋め込んだ状態とすることにより、硬度及び密着性に優
れた塗膜を得ることができる。
【0036】なお、第一層のシリコーン樹脂の硬化層の
膜厚は限定されないが、通常0.01〜50μm、特に
0.1〜30μmとすることがよく、また光触媒含有塗
膜層の厚さは0.01〜5μmとすることが好ましい。
【0037】本発明において、上記光触媒含有塗膜に太
陽光等の紫外線を含む光を照射すると、数日で表面の水
に対する接触角が40度以下、場合によっては10度以
下に低下し、親水性となる。接触角が40度を超える
と、雨水による汚染物質の除去効果が十分機能せず、期
待される防汚性が発現しない。紫外線を含む光として
は、波長が400nm以下の光を含んだものであれば光
源、強度等は問わず使用することができ、例えば、太陽
光等の大気中の紫外線や蛍光灯の紫外線、紫外線ランプ
等の紫外線発生装置を使用することができる。従って太
陽光が当たる場所であれば、数日〜数週間で塗膜表面は
親水化される。室内での使用の場合、最低1μW/cm
2の紫外線を含む光が照射されることが好ましい。1μ
W/cm2より低いと、表面親水化が達成されないか、
あるいは極めて長時間を要する場合が生じる。
【0038】
【発明の効果】本発明による光触媒含有塗膜は、高硬
度、耐擦傷性を有し、密着性に優れたものである。
【0039】
【実施例】以下、調製例及び実施例,比較例により本発
明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限
されない。なお、各例中の「部」及び「%」は重量基準
である。
【0040】〔調製例1〕メチルトリエトキシシラン3
56g(2.0mol)、イソプロパノール206gを
1Lフラスコに仕込み、撹拌しながら0.05N塩酸水
108gを20分かけて滴下し、加水分解を行った。室
温で6時間撹拌することにより、固形分濃度21.4%
のシリコーン樹脂溶液を得た。このシリコーン樹脂溶液
について、29Si NMR(核磁気共鳴,59.6MH
z)を測定し、ケイ素原子に結合した原子団を解析した
ところ、表1に示した式で表される構造単位を示す4本
のシグナルが観測された。シグナル面積比から計算した
各構造単位の存在比も併記する。Xは水素原子及び/又
はアルキル基である。
【0041】
【表1】
【0042】上記測定結果のシグナル強度から残存アル
コキシ基及び水酸基を見積り、シリコーン樹脂の平均組
成式を求めたところ、 (CH31.0Si(OX)0.631.19 であった。このシリコーン樹脂溶液をポリスチレン換算
GPC(ゲル濾過クロマトグラフィー)で測定したとこ
ろ、Mw=4.3×102であった。
【0043】このシリコーン樹脂溶液に水分散コロイド
状シリカ(固形分濃度20%)168gを添加し、室温
で1時間撹拌することにより、固形分濃度21.2%の
シリコーン樹脂コーティング液A−1を得た。
【0044】〔調製例2〕メチルトリエトキシシラン3
56g(2.0mol)、3−グリシドキシプロピルト
リメトキシシラン203g(0.86mol)、イソプ
ロパノール200g、水200gを2Lフラスコに仕込
み、撹拌しながら室温で0.05N塩酸水100gを2
0分で滴下し、加水分解を行った。室温で6時間撹拌す
ることにより、固形分濃度26.8%のシリコーン樹脂
溶液を得た。この樹脂溶液について、調製例1と同様、
29Si NMRにて測定した構造単位より平均組成式を
求めたところ、 (CH30.700.30Si(OX)0.421.29 (R=3−グリシドキシプロピル基)であった。このシ
リコーン樹脂溶液をポリスチレン換算GPC(ゲル濾過
クロマトグラフィー)で測定したところ、Mw=6.7
×102であった。
【0045】このシリコーン樹脂溶液にメタノール分散
コロイド状シリカ(固形分濃度30%)70g、イソブ
タノール213gを添加し、室温で1時間撹拌すること
により、固形分濃度23.2%のシリコーン樹脂コーテ
ィング液A−2を得た。
【0046】〔調製例3〕メチルトリメトキシシラン2
72g(2.0mol)、ジメチルジメトキシシラン6
0g(0.5mol)、3−グリシドキシプロピルトリ
メトキシシラン71g(0.3mol)、イソプロパノ
ール100gを2Lフラスコに仕込み、撹拌しながら室
温で0.05N塩酸水156gを20分で滴下し、加水
分解を行った。室温で6時間撹拌後、イソブタノール3
02gを添加し、室温で1時間撹拌することにより、固
形分濃度23.5%のシリコーン樹脂コーティング液A
−3を得た。これについて、調製例1と同様、29Si
NMRにて測定した構造単位より平均組成式を求めたと
ころ、 (CH31.070.11Si(OX)0.341.24 (R=3−グリシドキシプロピル基)であった。このシ
リコーン樹脂溶液をポリスチレン換算GPC(ゲル濾過
クロマトグラフィー)で測定したところ、Mw=6.2
×102であった。
【0047】〔調製例4〕メチルトリメトキシシラン2
72g(2.0mol)、ジメチルジメトキシシラン2
4g(0.2mol)、テトラメトキシシラン46g
(0.3mol)、イソプロパノール200gを1Lフ
ラスコに仕込み、撹拌しながら室温で0.05N塩酸水
150gを20分で滴下し、加水分解を行った。室温で
6時間撹拌後、イソブタノール102gを添加し、室温
で1時間撹拌することにより、固形分濃度22.1%の
シリコーン樹脂コーティング液A−4を得た。これにつ
いて、調製例1と同様、29Si NMRにて測定した構
造単位より平均組成式を求めたところ、 (CH30.96Si(OX)0.481.28 であった。このシリコーン樹脂溶液をポリスチレン換算
GPC(ゲル濾過クロマトグラフィー)で測定したとこ
ろ、Mw=6.5×102であった。
【0048】〔調製例5〕メチルトリエトキシシラン2
49g(1.4mol)、3−グリシドキシプロピルメ
チルジエトキシシラン149g(0.6mol)、イソ
プロパノール630gを2Lフラスコに仕込み、撹拌し
ながら室温で0.05N塩酸水146gを20分で滴下
し、加水分解を行った。室温で6時間撹拌することによ
り、固形分濃度17.8%のシリコーン樹脂溶液を得
た。この樹脂溶液について、調製例1と同様、29Si
NMRにて測定した構造単位より平均組成式を求めたと
ころ、 (CH31.00.30Si(OX)0.361.17 (R=3−グリシドキシプロピル基)であった。このシ
リコーン樹脂溶液をポリスチレン換算GPC(ゲル濾過
クロマトグラフィー)で測定したところ、Mw=5.6
×102であった。
【0049】このシリコーン樹脂溶液にメタノール分散
コロイド状シリカ(固形分濃度30%)660gを添加
し、室温で1時間撹拌することにより、固形分濃度2
2.5%のシリコーン樹脂コーティング液A−5を得
た。
【0050】〔調製例6〕メチルトリエトキシシラン3
56g(2.0mol)、3−グリシドキシプロピルト
リメトキシシラン118g(0.5mol)、イソプロ
パノール227g、水50gを2Lフラスコに仕込み、
撹拌しながら室温で0.05N塩酸水149gを20分
で滴下し、加水分解を行った。室温で6時間撹拌後、6
5℃に加熱し、5時間熟成することにより、固形分濃度
25.0%のシリコーン樹脂溶液を得た。この樹脂溶液
について、調製例1と同様、29Si NMRにて測定し
た構造単位より平均組成式を求めたところ、 (CH30.800.20Si(OX)0.281.36 (R=3−グリシドキシプロピル基)であった。このシ
リコーン樹脂溶液をポリスチレン換算GPC(ゲル濾過
クロマトグラフィー)で測定したところ、Mw=1.1
×103であった。
【0051】このシリコーン樹脂溶液にメタノール分散
コロイド状シリカ(固形分濃度30%)272g、イソ
ブタノール120gを添加し、室温で1時間撹拌するこ
とにより、固形分濃度23.9%のシリコーン樹脂コー
ティング液A−6を得た。
【0052】〔調製例7〜12〕上記シリコーン樹脂溶
液のコーティング液A−1〜5を表2に示した割合で光
触媒、希釈剤と混合し、光触媒塗布液B−1〜6を得
た。光触媒は水分散のコロイド状チタニアゾル(固形分
濃度15%)を使用した。
【0053】
【表2】
【0054】〔実施例1〜7,比較例1〕密着性を向上
するために表面処理されたポリカーボネート樹脂基材
に、表3に示すコーティング液をバーコートにて塗布、
加熱硬化させた後、光触媒塗布液をフローコートにて塗
布、10分風乾後、加熱硬化して光触媒含有塗膜を得
た。塗膜の物性、及び屋外暴露試験による防汚性試験結
果も表3に併記した。
【0055】塗膜の水に対する表面接触角は、接触角測
定器(協和界面科学社製,形式CA−X150)にて測
定し、屋外暴露試験の前後での接触角の変化について測
定した。屋外暴露試験は、塗膜試料を45度に傾斜させ
て固定し、1カ月暴露することによって実施した。塗膜
硬度はテーパー摩耗試験による傷付き程度を目視によっ
て評価した。密着性はセロハンテープによる剥離試験に
よって評価した。防汚性は屋外暴露後の汚れの程度を目
視で評価した。防曇性は塗膜面を湯気にさらしたときの
曇り具合を目視で評価した。
【0056】
【表3】
【0057】第一層に重量平均分子量が900未満のシ
リコーン樹脂を含有したコーティング液A−1〜5を用
いた実施例1〜7は、塗膜外観、硬度、及び表面親水性
ともに良好であり、屋外暴露試験後の防汚性、防曇性に
優れていた。
【0058】第一層に重量平均分子量が900以上のシ
リコーン樹脂を含有したコーティング液A−6を使用し
た比較例1は、第二層塗布後の外観等は良好であるが、
硬度が低い結果となった。また第二層との密着性も不十
分であり、暴露後の外観、防汚性は不良であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山谷 正明 群馬県碓氷郡松井田町大字人見1番地10 信越化学工業株式会社 シリコーン電 子材料技術研究所内 (72)発明者 山本 昭 群馬県碓氷郡松井田町大字人見1番地10 信越化学工業株式会社 シリコーン電 子材料技術研究所内 (56)参考文献 特開 平8−141503(JP,A) 特開 平9−227829(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B05D 1/00 - 7/26 C09D 5/14 C09D 7/12 C09D 183/04

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材上に、下記平均組成式(1) R1 pSi(OR2q(4-p-q)/2 …(1) (式中、R1は非置換又は置換一価炭化水素基、R2は水
    素原子、炭素数1〜6の非置換一価炭化水素基及び炭素
    数1〜6のアルコキシ置換一価炭化水素基から選ばれ、
    p,qは、0≦p≦1.6、0≦q≦3.3、0.1≦
    p+q<4を満足する数である。)で表され、かつ重量
    平均分子量400〜800のシリコーン樹脂を含む塗料
    の硬化層を形成し、その上に光触媒を含有する塗膜層を
    形成することを特徴とする光触媒含有塗膜の形成方法。
  2. 【請求項2】 シリコーン樹脂が、 (1)一般式SiX4(Xは炭素数1〜6のアルコキシ
    基、炭素数2〜6のアルケノキシ基及びフェノキシ基か
    ら選ばれる基を示す)で表される加水分解性4官能シラ
    ン化合物0〜100重量部、 (2)一般式R3SiX3(R3は炭素数1〜18の非置
    換又は置換一価炭化水素基、Xは上記と同様の意味を示
    す)で表される加水分解性3官能シラン化合物100重
    量部、 (3)一般式R3 2SiX2(R3及びXは上記と同様の意
    味を示す)で表される加水分解性2官能シラン化合物0
    〜120重量部の加水分解縮合物よりなり、かつ重量平
    均分子量が400〜800である請求項1記載の光触媒
    含有塗膜の形成方法。
  3. 【請求項3】 シリコーン樹脂がエポキシ基を含有する
    ものである請求項1又は2記載の光触媒含有塗膜の形成
    方法。
  4. 【請求項4】 シリコーン樹脂が、下記平均組成式
    (2) R4 r5 sSi(OR2q(4-r-s-q)/2 …(2) (式中、R4は炭素数1〜8の非置換一価炭化水素基、
    5はエポキシ官能基を有する炭素数1〜18の一価炭
    化水素基、R2は水素原子、炭素数1〜6の非置換一価
    炭化水素基及び炭素数1〜6のアルコキシ置換一価炭化
    水素基から選ばれ、r,s,qは、0≦r≦1.4、0
    <s≦1.0、0<q≦3.3、0<r+s≦1.6、
    0.1≦r+s+q<4を満足する数である。)で表さ
    れるものであり、かつ重量平均分子量が400〜800
    である請求項3記載の光触媒含有塗膜の形成方法。
  5. 【請求項5】 シリコーン樹脂が、 (1)一般式SiX4(Xは炭素数1〜6のアルコキシ
    基、炭素数2〜6のアルケノキシ基及びフェノキシ基か
    ら選ばれる基を示す)で表される加水分解性4官能シラ
    ン化合物0〜100重量部、 (2)一般式R6SiX3(R6は炭素数1〜8の非置換
    一価炭化水素基、Xは上記と同様の意味を示す)で表さ
    れる加水分解性3官能シラン化合物5〜95重量部、 (3)一般式R7SiX3(R7はエポキシ官能基を有す
    る炭素数1〜18の一価炭化水素基、Xは上記と同様の
    意味を示す)で表される加水分解性3官能シラン化合物
    5〜95重量部(但し、(2)及び(3)成分の合計量
    は100重量部である)、 (4)一般式R8 2SiX2(R8は炭素数1〜18の非置
    換又は置換一価炭化水素基、Xは上記と同様の意味を示
    す)で表される加水分解性2官能シラン化合物0〜12
    0重量部の加水分解縮合物よりなり、かつ重量平均分子
    量が400〜800である請求項3記載の光触媒含有塗
    膜の形成方法。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5のいずれか1項記載の光
    触媒含有塗膜の形成方法であって、光触媒を含有する塗
    膜層が、 (1)光触媒、 (2)請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシリコー
    ン樹脂、 (3)水及び/又は有機溶媒を含有する塗布液を塗布
    し、硬化させることによって形成されたものである光触
    媒含有塗膜の形成方法。
  7. 【請求項7】 光触媒を含有する塗膜層が、光を照射す
    ることにより、塗膜層表面の水に対する接触角が40度
    以下の表面親水性を有するものとなる請求項1乃至6の
    いずれか1項記載の光触媒含有塗膜の形成方法。
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