JP3290508B2 - 制振板および制振構造 - Google Patents
制振板および制振構造Info
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- JP3290508B2 JP3290508B2 JP15444693A JP15444693A JP3290508B2 JP 3290508 B2 JP3290508 B2 JP 3290508B2 JP 15444693 A JP15444693 A JP 15444693A JP 15444693 A JP15444693 A JP 15444693A JP 3290508 B2 JP3290508 B2 JP 3290508B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、振動を低減させる制振
板および制振構造に関する。
板および制振構造に関する。
【0002】
【従来の技術】図1は従来の制振鋼板1を示しており、
2枚の鋼板2,3の間に合成樹脂または合成ゴム等のエ
ラストマー4の層が設けられている。
2枚の鋼板2,3の間に合成樹脂または合成ゴム等のエ
ラストマー4の層が設けられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年、エンジンは高馬
力化、高回転化の傾向にあり、この傾向は燃焼圧力の増
大および熱負荷の増大をもたらしている。また同時に近
年、エンジンは軽量化の傾向にあり、この傾向はシリン
ダヘッドおよびシリンダブロックの剛性の低下をもたら
している。このためシリンダヘッドおよびシリンダブロ
ックにおける燃焼圧力による構造的変形は増大し、それ
に付随してエンジンに装着されている比較的剛性の弱い
ロッカーカバー、オイルパンカバー、およびヒートイン
シュレーター(遮熱板)等の振動も大きくなり、エンジ
ン騒音発生の大きな要因であることが判明している。図
2はロッカーカバー(5がロッカーカバー、6はロッカ
ーカバーガスケットである)、図3はオイルパンカバ
ー、図4はヒートインシュレーターの例をそれぞれ示し
ている。
力化、高回転化の傾向にあり、この傾向は燃焼圧力の増
大および熱負荷の増大をもたらしている。また同時に近
年、エンジンは軽量化の傾向にあり、この傾向はシリン
ダヘッドおよびシリンダブロックの剛性の低下をもたら
している。このためシリンダヘッドおよびシリンダブロ
ックにおける燃焼圧力による構造的変形は増大し、それ
に付随してエンジンに装着されている比較的剛性の弱い
ロッカーカバー、オイルパンカバー、およびヒートイン
シュレーター(遮熱板)等の振動も大きくなり、エンジ
ン騒音発生の大きな要因であることが判明している。図
2はロッカーカバー(5がロッカーカバー、6はロッカ
ーカバーガスケットである)、図3はオイルパンカバ
ー、図4はヒートインシュレーターの例をそれぞれ示し
ている。
【0004】近年のエンジン騒音の低減を求める騒音規
制等の強化に応じて、前記ロッカーカバー等における騒
音対策が種々検討されており、その一つとして前記ロッ
カーカバー等を制振鋼板により作成すると騒音低減に極
めて有効であることが既に判明しており、既に実際に実
施されているが、前記従来の制振鋼板1を用いた場合に
は下記の種々の欠点が生じていた。
制等の強化に応じて、前記ロッカーカバー等における騒
音対策が種々検討されており、その一つとして前記ロッ
カーカバー等を制振鋼板により作成すると騒音低減に極
めて有効であることが既に判明しており、既に実際に実
施されているが、前記従来の制振鋼板1を用いた場合に
は下記の種々の欠点が生じていた。
【0005】(a)エンジンの熱的負荷が増大すると、
当然、潤滑油温度および排気温度が上昇し、ひいてはロ
ッカーカバー、オイルパンカバー等の温度上昇およびイ
ンシュレーター等の熱的負荷が増大する。このような場
合、鋼板2,3間に充填されているエラストマー4の耐
熱性が低いため(120℃程度)、騒音低減効果が減少
する。特に、温度が60℃を越えると、騒音低減効果が
著しく減少しやすい。
当然、潤滑油温度および排気温度が上昇し、ひいてはロ
ッカーカバー、オイルパンカバー等の温度上昇およびイ
ンシュレーター等の熱的負荷が増大する。このような場
合、鋼板2,3間に充填されているエラストマー4の耐
熱性が低いため(120℃程度)、騒音低減効果が減少
する。特に、温度が60℃を越えると、騒音低減効果が
著しく減少しやすい。
【0006】(b)ロッカーカバー、オイルパンカバ
ー、インシュレーター等はガスケットを介在された状態
でボルトの締付けにて装着されるが、熱的負荷が増大す
ると、内部のエラストマー4の耐熱性が乏しいため、温
度上昇に伴ない軟化し、耐圧力が低下し、ボルト締付部
等の高面圧部にて内部のエラストマー4が横流れして、
鋼板2,3間から外部にはみ出してしまうことが多い。
ー、インシュレーター等はガスケットを介在された状態
でボルトの締付けにて装着されるが、熱的負荷が増大す
ると、内部のエラストマー4の耐熱性が乏しいため、温
度上昇に伴ない軟化し、耐圧力が低下し、ボルト締付部
等の高面圧部にて内部のエラストマー4が横流れして、
鋼板2,3間から外部にはみ出してしまうことが多い。
【0007】(c)前項のエラストマー4のはみ出しに
伴ない、締付ボルトのトルクダウンが増大するため、付
随してボルトの軸力が低下し、ガスケット装着部からの
油漏れを発生しやすい。
伴ない、締付ボルトのトルクダウンが増大するため、付
随してボルトの軸力が低下し、ガスケット装着部からの
油漏れを発生しやすい。
【0008】(d)ロッカーカバー、オイルパンカバ
ー、ヒートインシュレーター等の作成工程においては、
平板状の制振鋼板1を絞る絞り加工が必要となるが、こ
の絞り加工の際に鋼板2,3間のエラストマー4が横流
れしやすい。このため、上下金型で絞り加工を行う場
合、鋼板2,3がタイトに保持されず、シワの発生が多
く、深絞り加工が制限され、加工性が悪い。
ー、ヒートインシュレーター等の作成工程においては、
平板状の制振鋼板1を絞る絞り加工が必要となるが、こ
の絞り加工の際に鋼板2,3間のエラストマー4が横流
れしやすい。このため、上下金型で絞り加工を行う場
合、鋼板2,3がタイトに保持されず、シワの発生が多
く、深絞り加工が制限され、加工性が悪い。
【0009】(e)エラストマー4の層を厚くすると、
その横流れがますます増大するとともに、エラストマー
4の弾性のため、絞り加工が不可能になる(すなわち、
金型の凸部が制振鋼板1を押圧しても、エラストマー4
の変形により吸収されて鋼板2,3を十分変形させるこ
とができない)。
その横流れがますます増大するとともに、エラストマー
4の弾性のため、絞り加工が不可能になる(すなわち、
金型の凸部が制振鋼板1を押圧しても、エラストマー4
の変形により吸収されて鋼板2,3を十分変形させるこ
とができない)。
【0010】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
もので、熱的負荷が増大しても騒音低減効果の減少がな
く、ボルト締付部等の高面圧部におけるエラストマーの
はみ出しがなく、加工性も良い制振板および制振構造を
提供することを目的とする。
もので、熱的負荷が増大しても騒音低減効果の減少がな
く、ボルト締付部等の高面圧部におけるエラストマーの
はみ出しがなく、加工性も良い制振板および制振構造を
提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明による制振板は、
圧縮性繊維とエラストマーと充填材とを含有する厚み3
00μ以下のコンパウンドの層をコーティングされた第
一の金属板の前記コンパウンド層側の面に、第二の金属
板を積層してなるものである。
圧縮性繊維とエラストマーと充填材とを含有する厚み3
00μ以下のコンパウンドの層をコーティングされた第
一の金属板の前記コンパウンド層側の面に、第二の金属
板を積層してなるものである。
【0012】また、本発明による制振構造は、圧縮性繊
維とエラストマーと充填材とを含有する厚み300μ以
下のコンパウンドの層をコーティングされた第一の金属
板の前記コンパウンド層側の面に、第二の金属板を接着
することなく積層してなるものである。
維とエラストマーと充填材とを含有する厚み300μ以
下のコンパウンドの層をコーティングされた第一の金属
板の前記コンパウンド層側の面に、第二の金属板を接着
することなく積層してなるものである。
【0013】前記圧縮性繊維としては、圧縮性無機繊維
または圧縮性有機繊維をそれぞれ単独で用いても良い
し、その両者を混合して用いても良い。
または圧縮性有機繊維をそれぞれ単独で用いても良い
し、その両者を混合して用いても良い。
【0014】圧縮性無機繊維としては、例えばガラス繊
維、セラミック繊維、岩綿、鉱滓綿、溶融石英繊維、化
学処理高シリカ繊維、溶融珪酸アルミナ繊維、アルミナ
連続繊維、安定化ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、チ
タン酸アルカリ繊維、ウィスカー、ボロン繊維、炭素繊
維、金属繊維等を用いることができる。
維、セラミック繊維、岩綿、鉱滓綿、溶融石英繊維、化
学処理高シリカ繊維、溶融珪酸アルミナ繊維、アルミナ
連続繊維、安定化ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、チ
タン酸アルカリ繊維、ウィスカー、ボロン繊維、炭素繊
維、金属繊維等を用いることができる。
【0015】また、圧縮性有機繊維としては、例えば芳
香族ポリアミド繊維、ポリアミド系繊維、ポリオレフィ
ン系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアクリロニトリル
系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリ塩化ビニル
系繊維、ポリ尿素系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリフ
ルオロカーボン系繊維、フェノール繊維、セルロース系
繊維等を用いることができる。
香族ポリアミド繊維、ポリアミド系繊維、ポリオレフィ
ン系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアクリロニトリル
系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリ塩化ビニル
系繊維、ポリ尿素系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリフ
ルオロカーボン系繊維、フェノール繊維、セルロース系
繊維等を用いることができる。
【0016】また、エラストマーとしては、例えばNB
R、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴ
ム(IR)、クロロプレンゴム(CR)、ブタジエンゴ
ム(BR)、プチルゴム(IIR)、エチレン−プロピ
レンゴム(EPM)、フッ素ゴム(FPM)、シリコー
ンゴム(SI)、クロロスルフォン化ポリエチレン(C
SM)、エチレン酢ビゴム(EVA)、塩化ポリエチレ
ン(CPE)、塩化ブチルゴム(CIR)、エビクロル
ヒドリンゴム(ECO)、ニトリルイソプレンゴム(N
IR)、天然ゴム(NR)等を用いることができるとと
もに、前記SBR等のゴム材にナフテン系のプロセス油
が添加された油展ゴムも用いることができる。
R、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴ
ム(IR)、クロロプレンゴム(CR)、ブタジエンゴ
ム(BR)、プチルゴム(IIR)、エチレン−プロピ
レンゴム(EPM)、フッ素ゴム(FPM)、シリコー
ンゴム(SI)、クロロスルフォン化ポリエチレン(C
SM)、エチレン酢ビゴム(EVA)、塩化ポリエチレ
ン(CPE)、塩化ブチルゴム(CIR)、エビクロル
ヒドリンゴム(ECO)、ニトリルイソプレンゴム(N
IR)、天然ゴム(NR)等を用いることができるとと
もに、前記SBR等のゴム材にナフテン系のプロセス油
が添加された油展ゴムも用いることができる。
【0017】また、充填材としては、無機充填剤が好ま
しく、例えばクレー、タルク、硫酸バリウム、重炭酸ナ
トリウム、クラファイト、硫酸鉛、トリポリ石、ウォラ
ストナイト等を用いることができる。
しく、例えばクレー、タルク、硫酸バリウム、重炭酸ナ
トリウム、クラファイト、硫酸鉛、トリポリ石、ウォラ
ストナイト等を用いることができる。
【0018】前記コンパウンド中の圧縮性繊維と充填剤
の量は50%以上(重量)が好ましい。前記コンパウン
ド層の厚さは0.05mm〜0.3mm程度が好まし
い。
の量は50%以上(重量)が好ましい。前記コンパウン
ド層の厚さは0.05mm〜0.3mm程度が好まし
い。
【0019】
【作用】本発明の制振板および制振構造においては、金
属板間に、合成樹脂・合成ゴム等のエラストマー単独の
層ではなく、圧縮性繊維とエラストマーと充填剤とを含
有するコンパウンドの層が介在されるため、耐熱性が向
上する(耐熱温度400℃程度とすることができる)。
したがって、熱的負荷が増大しても騒音低減効果が減少
しない。
属板間に、合成樹脂・合成ゴム等のエラストマー単独の
層ではなく、圧縮性繊維とエラストマーと充填剤とを含
有するコンパウンドの層が介在されるため、耐熱性が向
上する(耐熱温度400℃程度とすることができる)。
したがって、熱的負荷が増大しても騒音低減効果が減少
しない。
【0020】また、前記コンパウンド層の横流れがない
ため、ボルト締付部等の高面圧部において前記コンパウ
ンドが金属板間からハミ出すことがない。
ため、ボルト締付部等の高面圧部において前記コンパウ
ンドが金属板間からハミ出すことがない。
【0021】また、前記のようにコンパウンドのはみ出
しがないため、締付ボルトのトルク保持力が良く、締付
ボルトのトルクダウンが少いため、本発明による制振板
または制振構造によりロッカーカバー、オイルパンカバ
ー、ヒートインシュレーター等を構成した場合、これら
に装着されているガスケットからの油洩れ抵抗性が増大
する。
しがないため、締付ボルトのトルク保持力が良く、締付
ボルトのトルクダウンが少いため、本発明による制振板
または制振構造によりロッカーカバー、オイルパンカバ
ー、ヒートインシュレーター等を構成した場合、これら
に装着されているガスケットからの油洩れ抵抗性が増大
する。
【0022】また、前記コンパウンド層の横流れが極め
て少いため、絞り加工時の加圧力緩和現象が少く、した
がって深絞り加工時におけるシワの発生率がなく、加工
性が良い。
て少いため、絞り加工時の加圧力緩和現象が少く、した
がって深絞り加工時におけるシワの発生率がなく、加工
性が良い。
【0023】さらに、前述のように前記コンパウンド層
の横流れおよび加工時の応力緩和現象が少いため、前記
コンパウンド層の厚みを300μ程度まで厚くすること
ができる。
の横流れおよび加工時の応力緩和現象が少いため、前記
コンパウンド層の厚みを300μ程度まで厚くすること
ができる。
【0024】また、本発明の制振構造においては、第一
の金属板と第二の金属板との一体化は、例えば、外周ク
リンチ等により行うことができ、第二の金属板とコンパ
ウンド層とは接着されないので、絞り加工時に第一の金
属板と第二の金属板との間に伸び差が生じても、これら
の金属板間のコンパウンド層が“もまれる”ことがない
ため、さらに加工性が向上する。
の金属板と第二の金属板との一体化は、例えば、外周ク
リンチ等により行うことができ、第二の金属板とコンパ
ウンド層とは接着されないので、絞り加工時に第一の金
属板と第二の金属板との間に伸び差が生じても、これら
の金属板間のコンパウンド層が“もまれる”ことがない
ため、さらに加工性が向上する。
【0025】また、第二の金属板とコンパウンド層とは
接着されないので、コンパウンド層と第二の金属板との
間に空気層ができるため、さらに制振効果、ひいては騒
音低減効果が向上する。
接着されないので、コンパウンド層と第二の金属板との
間に空気層ができるため、さらに制振効果、ひいては騒
音低減効果が向上する。
【0026】
【実施例】以下、本発明を図面に示す実施例に基づいて
説明する。 〔実施例1〕次の組成を有するコンパウンドを調整し
た。
説明する。 〔実施例1〕次の組成を有するコンパウンドを調整し
た。
【0027】 (a)ガラス繊維 30重量% (b)フィブリル化した芳香族ポリアミド繊維 10重量% (商品名ケプラーパルプ、デュポン社製) (c)ニトリルゴム(NBR) 16重量% (d)ゴム薬品 4重量% (e)無機充填材 40重量% なお、ゴム薬品としては、硫黄、酸化亜鉛、酸化マグネ
シウム、過酸化物、ジニトロリベンゼン等の加硫材、お
よびチアゾール系化合物、ポリアミン系化合物、スルフ
ェンアミド系化合物、ジチオカルバメート系化合物、ア
ルデヒドアミン系化合物、グアニジン系化合物、チオ尿
素系化合物、キサンテート系化合物等の加硫促進剤を用
いることができる。
シウム、過酸化物、ジニトロリベンゼン等の加硫材、お
よびチアゾール系化合物、ポリアミン系化合物、スルフ
ェンアミド系化合物、ジチオカルバメート系化合物、ア
ルデヒドアミン系化合物、グアニジン系化合物、チオ尿
素系化合物、キサンテート系化合物等の加硫促進剤を用
いることができる。
【0028】図5に示されるように予め片面に耐熱性接
着剤11を塗布されたSPCC鋼板からなる第一の金属
板12の前記片面に上述の組成を有するコンパウンド1
3の層をコーティングし、さらにコンパウンド13の層
の第一の金属板12と反対側の面に、片面に耐熱性接着
剤14を塗布されたSPCC鋼板からなる第二の金属板
15を、コンパウンド13層に接着剤14側を向けて重
ね、加熱、加圧しながら接着する。接着後、140〜1
60℃の温度雰囲気中で40〜60分熱処理を施すこと
により、制振板16を製造した。なお、前記熱処理は前
記ゴム、ゴム薬品および耐熱性接着剤11,14等の架
橋反応を促進するために実施される。前記第一の金属板
12および第二の金属板15の板厚は0.3mm、耐熱
性接着剤11,14の層の厚さは0.01mm、コンパ
ウンド13の層の厚さは0.2mmとそれぞれされてい
る。
着剤11を塗布されたSPCC鋼板からなる第一の金属
板12の前記片面に上述の組成を有するコンパウンド1
3の層をコーティングし、さらにコンパウンド13の層
の第一の金属板12と反対側の面に、片面に耐熱性接着
剤14を塗布されたSPCC鋼板からなる第二の金属板
15を、コンパウンド13層に接着剤14側を向けて重
ね、加熱、加圧しながら接着する。接着後、140〜1
60℃の温度雰囲気中で40〜60分熱処理を施すこと
により、制振板16を製造した。なお、前記熱処理は前
記ゴム、ゴム薬品および耐熱性接着剤11,14等の架
橋反応を促進するために実施される。前記第一の金属板
12および第二の金属板15の板厚は0.3mm、耐熱
性接着剤11,14の層の厚さは0.01mm、コンパ
ウンド13の層の厚さは0.2mmとそれぞれされてい
る。
【0029】このようにして得られた制振板16は、金
属板12,15間にエラストマー単独の層ではなく、圧
縮性繊維とエラストマーと充填剤とを含有するコンパウ
ンド13の層が介在されるため、耐熱性が向上し、熱的
負荷が増大しても騒音低減効果が減少しない。図7は、
従来の制振鋼板と本実施例の制振板16における温度に
よる制振性能の変化を示す特性図を示している。ここ
で、制振板の制振性能の大小は次式で定義される損失係
数ηで表わされる。
属板12,15間にエラストマー単独の層ではなく、圧
縮性繊維とエラストマーと充填剤とを含有するコンパウ
ンド13の層が介在されるため、耐熱性が向上し、熱的
負荷が増大しても騒音低減効果が減少しない。図7は、
従来の制振鋼板と本実施例の制振板16における温度に
よる制振性能の変化を示す特性図を示している。ここ
で、制振板の制振性能の大小は次式で定義される損失係
数ηで表わされる。
【0030】η=ΔE/2πE =(1/π)・ln(An/An+1) ただし、E:振動のエネルギ ΔE:一周期で失われる振動のエネルギ An:n周期目の振幅 An+1:(n+1)周期目の振幅 図7においては、縦軸に損失係数η、横軸に温度をとっ
ている。
ている。
【0031】図7から明らかなように、60℃程度まで
は本実施例と従来の制振鋼板の制振性能は同様である
が、60℃を越えると大幅な制振特性の差が見られ、本
実施例においては温度が上昇しても制振性能の低下がな
い。
は本実施例と従来の制振鋼板の制振性能は同様である
が、60℃を越えると大幅な制振特性の差が見られ、本
実施例においては温度が上昇しても制振性能の低下がな
い。
【0032】また、この制振板16においては、コンパ
ウンド13の層の横流れ、剥離が生じにくいため、ボル
ト締付部等の高面圧部においてコンパウンド13が金属
板12,15間からハミ出すことがない。
ウンド13の層の横流れ、剥離が生じにくいため、ボル
ト締付部等の高面圧部においてコンパウンド13が金属
板12,15間からハミ出すことがない。
【0033】また、前記のようにコンパウンド13のは
み出しがないため、締付ボルトのトルク保持力が良く、
締付ボルトのトルクダウンが少いため、制振板16によ
りロッカーカバー、オイルパンカバー、ヒートインシュ
レーター等を構成した場合、これらに装着されているガ
スケットからの油洩れ抵抗性が増大する。
み出しがないため、締付ボルトのトルク保持力が良く、
締付ボルトのトルクダウンが少いため、制振板16によ
りロッカーカバー、オイルパンカバー、ヒートインシュ
レーター等を構成した場合、これらに装着されているガ
スケットからの油洩れ抵抗性が増大する。
【0034】また、コンパウンド13の層の横流れが極
めて少いため、絞り加工時の加圧力緩和現象が少く、し
たがって絞り加工時におけるシワの発生率が少く、加工
性が良い。
めて少いため、絞り加工時の加圧力緩和現象が少く、し
たがって絞り加工時におけるシワの発生率が少く、加工
性が良い。
【0035】さらに、前述のようにコンパウンド13の
層の横流れおよび加工時の応力緩和現象が少いため、前
記コンパウンド13の層の厚みを300μ程度まで厚く
することができる。
層の横流れおよび加工時の応力緩和現象が少いため、前
記コンパウンド13の層の厚みを300μ程度まで厚く
することができる。
【0036】この制振板16は以上のような優れた機能
を有しているため、この制振板16によりロッカーカバ
ー、オイルパンカバー、ヒートインシュレーターを製造
すれば、前記従来の問題点を解消することができる。ま
た、勿論、制振板16は前記ロッカーカバー等以外のも
のにも使用することができる。 〔実施例2〕図6は本発明による制振構造の実施例を示
している。この場合、予め片面に耐熱性接着剤11を塗
布されたSPCC鋼板からなる第一の金属板12の前記
片面に、前記実施例1におけるコンパウンド13と同一
のコンパウンド13の層をコーティングするとともに、
このコンパウンド13側の面にSPCC鋼板からなる第
二の金属板15を、接着することなく積層している。前
記第一の金属板12と第二の金属板15とは、第二の金
属板15の外周15aを折り返して第一の金属板12を
クリンチすることにより一体化されている。
を有しているため、この制振板16によりロッカーカバ
ー、オイルパンカバー、ヒートインシュレーターを製造
すれば、前記従来の問題点を解消することができる。ま
た、勿論、制振板16は前記ロッカーカバー等以外のも
のにも使用することができる。 〔実施例2〕図6は本発明による制振構造の実施例を示
している。この場合、予め片面に耐熱性接着剤11を塗
布されたSPCC鋼板からなる第一の金属板12の前記
片面に、前記実施例1におけるコンパウンド13と同一
のコンパウンド13の層をコーティングするとともに、
このコンパウンド13側の面にSPCC鋼板からなる第
二の金属板15を、接着することなく積層している。前
記第一の金属板12と第二の金属板15とは、第二の金
属板15の外周15aを折り返して第一の金属板12を
クリンチすることにより一体化されている。
【0037】この制振構造においては、前記制振板16
と同様の作用効果を得ることができる上、第二の金属板
15とコンパウンド13の層とは接着されないので、絞
り加工時に第一の金属板12と第二の金属板15との間
に伸び差が生じても、これらの金属板12,15間のコ
ンパウンド13層が“もまれる”ことがないため、さら
に加工性が向上する。
と同様の作用効果を得ることができる上、第二の金属板
15とコンパウンド13の層とは接着されないので、絞
り加工時に第一の金属板12と第二の金属板15との間
に伸び差が生じても、これらの金属板12,15間のコ
ンパウンド13層が“もまれる”ことがないため、さら
に加工性が向上する。
【0038】また、第二の金属板15とコンパウンド1
3の層とは接着されないので、コンパウンド13の層と
第二の金属板15との間に空気層ができるため、さらに
制振効果、ひいては騒音低減効果が向上する。
3の層とは接着されないので、コンパウンド13の層と
第二の金属板15との間に空気層ができるため、さらに
制振効果、ひいては騒音低減効果が向上する。
【0039】このような制振構造も、ロッカーカバー、
オイルパンカバー、ヒートインシュレーターに適用でき
るし、それ以外のものにも適用できる。
オイルパンカバー、ヒートインシュレーターに適用でき
るし、それ以外のものにも適用できる。
【0040】なお、前記各実施例では第一および第二の
金属板としてSPCC鋼板を使用しているが、本発明に
おいては第一および第二の金属板として、その他の鋼
板、さらには鋼板以外の金属板、例えはアルミニウム
板、ステンレス鋼板等も用いることができる。
金属板としてSPCC鋼板を使用しているが、本発明に
おいては第一および第二の金属板として、その他の鋼
板、さらには鋼板以外の金属板、例えはアルミニウム
板、ステンレス鋼板等も用いることができる。
【0041】
【発明の効果】以上のように本発明による制振板および
制振構造は、熱的負荷が増大しても騒音低減効果の減少
がなく、ボルト締付部等の高面圧部におけるエラストマ
ーのはみ出しがなく、加工性も良い等の優れた効果を得
られるものである。
制振構造は、熱的負荷が増大しても騒音低減効果の減少
がなく、ボルト締付部等の高面圧部におけるエラストマ
ーのはみ出しがなく、加工性も良い等の優れた効果を得
られるものである。
【図1】従来の制振鋼板を示す断面図である。
【図2】内燃機関のロッカーカバーの一例を示す斜視図
である。
である。
【図3】内燃機関のオイルパンカバーの一例を示す斜視
図である。
図である。
【図4】内燃機関のヒートインシュレータの一例を示す
斜視図である。
斜視図である。
【図5】本発明による制振板の一実施例(実施例1)を
示す断面図である。
示す断面図である。
【図6】本発明による制振構造の一実施例(実施例2)
を示す断面図である。
を示す断面図である。
【図7】従来の制振鋼板と前記実施例1の制振板におけ
る温度による制振性能の変化を示す特性図である。
る温度による制振性能の変化を示す特性図である。
11 耐熱性接着剤 12 第一の金属板 13 コンパウンド 14 耐熱性接着剤 15 第二の金属板 16 制振板
Claims (4)
- 【請求項1】 圧縮性繊維とエラストマーと充填材とを
含有する厚み300μ以下のコンパウンドの層をコーテ
ィングされた第一の金属板の前記コンパウンド層側の面
に、第二の金属板を積層してなる制振板。 - 【請求項2】 片面に予め耐熱性接着剤を塗布された第
一の金属板の前記接着剤側の面に、圧縮性繊維とエラス
トマーと充填材とを含有する厚み300μ以下のコンパ
ウンドの層をコーティングし、このコンパウンド層の前
記第一の金属板と反対側の面に、片面に耐熱性接着剤を
塗布された第二の金属板の前記接着剤側の面を接着して
なる制振板。 - 【請求項3】 圧縮性繊維とエラストマーと充填材とを
含有する厚み300μ以下のコンパウンドの層をコーテ
ィングされた第一の金属板の前記コンパウンド層側の面
に、第二の金属板を接着することなく積層してなる制振
構造。 - 【請求項4】 前記第二の金属板の外周を折り返して前
記第一の金属板をクリンチすることにより、前記第一の
金属板と前記第二の金属板と一体化した請求項3記載の
制振構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15444693A JP3290508B2 (ja) | 1993-06-01 | 1993-06-01 | 制振板および制振構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15444693A JP3290508B2 (ja) | 1993-06-01 | 1993-06-01 | 制振板および制振構造 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06340024A JPH06340024A (ja) | 1994-12-13 |
JP3290508B2 true JP3290508B2 (ja) | 2002-06-10 |
Family
ID=15584392
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP15444693A Expired - Lifetime JP3290508B2 (ja) | 1993-06-01 | 1993-06-01 | 制振板および制振構造 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3290508B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4964531B2 (ja) * | 2006-08-01 | 2012-07-04 | 東海旅客鉄道株式会社 | 制振構造体 |
WO2009116603A1 (ja) * | 2008-03-19 | 2009-09-24 | 株式会社深井製作所 | 複合材 |
KR20110119663A (ko) | 2008-12-23 | 2011-11-02 | 트렐레보르그 루보레 에이비 | 다층 플레이트 구조를 통해 부분적으로 절삭 라인을 형성하는 방법 |
CN110060949B (zh) * | 2019-05-20 | 2024-04-19 | 广东工业大学 | 一种固晶机摆臂的减振结构 |
-
1993
- 1993-06-01 JP JP15444693A patent/JP3290508B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06340024A (ja) | 1994-12-13 |
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