JP3289840B2 - ホログラムの複製方法 - Google Patents

ホログラムの複製方法

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JP3289840B2
JP3289840B2 JP05033392A JP5033392A JP3289840B2 JP 3289840 B2 JP3289840 B2 JP 3289840B2 JP 05033392 A JP05033392 A JP 05033392A JP 5033392 A JP5033392 A JP 5033392A JP 3289840 B2 JP3289840 B2 JP 3289840B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はホログラムの密着複製方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図8、図9により従来のホログラム密着
複製方法について説明する。図8(a)は平面状の透過
型原版ホログラムの複製を説明する図である。透過型原
版ホログラム1の背面側に複製用感光体2を密着させ、
再生光3で表面側から原版ホログラム1を照明すると、
ホログラムは回折格子として作用して透過回折光4を生
じ、この回折光は物体波で変調されており、ホログラム
の再生像が複製用感光体2に感光記録されて複製され
る。
【0003】図8(b)は平面状の反射型原版ホログラ
ムの複製を説明する図である。反射型原版ホログラム1
´の表面側に複製用感光体2´を密着させ、再生光3´
で表面側から原版ホログラム1´を照明すると、ホログ
ラムは回折格子として作用して反射回折光4´を生じ、
この回折光は物体波で変調されており、ホログラムの再
生像が複製用感光体2に感光記録されて複製される。
【0004】図9は連続的にホログラムを密着複製する
従来の方法を説明するための図である。回転円筒6に反
射型原版ホログラム5を貼付けてホログラム上から複製
用感光体フィルム7を巻き付け、円筒を回転させてフィ
ルムを連続的に供給しながら再生光8で照明すると、反
射回折光によりホログラムの再生像が複製用感光体フィ
ルム7に連続的に感光記録されて複製される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、図8で示した
平面状原版ホログラムを用いる方法では、1回の複製毎
に密着→露光→剥離→感光体移動を繰り返す必要があ
り、複製に時間がかかると共に、複製装置が複雑化して
高価になるという欠点があった。
【0006】また、図9に示す回転円筒上に原版を貼付
ける方法では、連続的に複製ができ、複製装置も簡単化
できるという利点があるものの、原版が曲率を有するた
め、原版のいわゆる共役な再生ができず、収差や回折効
率のムラが発生するという欠点があった。
【0007】本発明は上記課題を解決するためのもの
で、密着、剥離の工程を要せず高速に複製でき、装置も
簡単で済み、また完全に共役な再生が可能なホログラム
の複製方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】先ず、図1により、本発
明において複製に用いる回転体の表面形状を求める方法
について説明する。なお複製は、回転体に原版ホログラ
ムを貼付し、これに複製用感光体を密着させて露光する
ものであり、以下で述べるように、原版作成時の参照光
源と同一位置に置いた再生光源で照明したときに、回転
体が回転しても常に再生光が原版に対してブラッグ条件
を満たすような回転体の表面形状を求める。
【0009】平面ホログラムである原版は図のAQ上に
感光体を配置し、距離dだけ離れた点Pにある参照点光
源から照射される発散光により作製するものとする。表
面に原版が貼付される回転体10は点Oを回転軸中心と
して回転し、回転軸方向に所定の幅を有していて図では
回転軸に垂直な断面が示されている。この回転体10の
表面形状は、原版作製時ホログラム面AQ上の任意の点
Aにおける、点Pにある参照点光源からの光の入射角度
θおよび参照点光源との距離PA(=d/cosθ)が
等しくなる、すなわち等価である点Cを、順次プロット
することにより求める。ここでは、原版作成時と複製時
とで光の波長が等しい場合を想定しており、この場合に
は、「ブラッグ条件」は「同じ入射角」と等価である。
【0010】複製時の光源は原版作製時と同じ点Pにあ
り、図の上下方向には拡がりが狭く、回転軸方向(紙面
に垂直方向)に幅のあるスリット状のPからQへ向かう
光を用い、OP=l、OC=OB=r、PQ=dとし、
回転体の表面形状を極座標表示によりφ=f(r)とす
る。
【0011】回転体10が図1の状態から点Oを中心に
時計周りにφだけ回転したとき、再生光源から照射され
る回転体表面上の点はCとなり、直線OP上の点Bに一
致するものとする。このとき点Cが原版作成時と等価な
距離であるためには PA=PB =PO−BO =PO−CO ………(1) であることが必要であり、ここで、PA=d/cosθ
より d/cosθ=l−r ………(2) が条件となる。また、複製時に点Cは点Bに位置し、再
生光はCO方向へ入射するので、原版作成時と複製時で
入射角が等価であるためには、直線OCと曲線QCのC
点における垂線とのなす角、すなわち回転体表面の点C
における接線11と円弧BCのC点における接線13の
なす角がθであることが必要である。したがって、 dr/rdφ =tanθ=((1/cos2 θ)−1)1/2 (>0) ………(3) が条件となる。(2)、(3)式からcosθを消去す
ると dφ/dr=d/r(r2 −2lr+l2 −d2 1/2 ………(4) が導かれる。(4)式において、回転体表面に原版が貼
付されるという条件、すなわちφ=0のときr=l−d
の条件のもとに積分すると、 φ=d/(l2-d2)1/2・log | rd/(l2-d2-lr +((l2-d2)(r2-2lr +l2-d2))1/2) | ………(5) が得られる。(5)式を満足する回転体表面に原版を貼
付し、これに密着した感光材料に対して十分薄いスリッ
ト状の再生光でP点から照明して複製すれば、回転体が
回転したときに常に原版に対して再生光がブラッグ条件
を満たし、収差のないホログラムの複製を行うことがで
きる。なお、上記では原版作成時と複製時とで光の波長
が等しい場合について説明したが、原版作成時と複製時
とで光の波長が異なる場合には、再生時の波長に対して
ブラッグ条件を満たす角度を求めて回転体の曲面を求め
るようにすればよい。
【0012】図2は前述した方法で作成した回転体を使
用して連続的にホログラムの複製を行うものである。回
転体20は図1で説明した方法で作成した回転体であ
り、回転軸に垂直な断面が示されており、点Oを中心に
して回転するようになっている。この回転体の表面に
は、反射型の原版ホログラム21を貼付する。なお、回
転体は少なくとも原版ホログラム21が貼付される部分
は透明である必要がある。この回転体20に複製用感光
体フィルム22を密着して複製用感光体フィルム22と
共に回転させる。原版ホログラム21は点Pの参照点光
源によりホログラムが形成されているものとする。この
点Pに再生用光源を配置し、回転体の曲面上において回
転軸方向に広く回転方向に狭い幅を有するスリット状の
再生光を照射すると、回転体20がどの回転角において
も回転軸に垂直な面内で再生光が原版に対してブラッグ
条件を満たすので、より収差のないホログラムの複製を
連続的に行うことができる。
【0013】なお、上記では回転軸に垂直な面内で二次
元的にブラッグ条件を満たす場合について説明したが、
回転軸方向も考慮して三次元的にブラッグ条件を満たす
ような回転体表面形状とすることも可能であり、このよ
うにすることにより回転体が回転したときに、原版上の
どの位置においても原版に対して再生光がブラッグ条件
を満たすことになる。
【0014】図3は回転体の回転中心に収束する再生光
を使用して複製するものである。
【0015】図2においてもスリット光を十分に薄くす
ることにより、全ての光に対してブラッグ条件を満たす
ことができるものの、光源と回転体の中心を結ぶ線から
ずれた光は厳密にはブラッグ条件を満たさず、収差が生
ずることになる。そこで、図3に示すように、光学系3
0を使用して、回転体の中心Oに収束する再生光31を
使用する。この再生光は、原版21に対する入射方向が
回転方向に沿ってほぼ等しくなり、この再生光で複製す
ることにより、より収差の少ないホログラム複製を行う
ことができる。
【0016】図4は複製用感光体フィルムを回転体に密
着させるための円筒体を設けた例を示している。
【0017】図2で説明したと同じ形状の回転体20に
原版ホログラム21を貼付し、複製用感光体フィルム2
2を巻き付け、さらに回転可能な円筒体40で感光体フ
ィルムを回転体20に押圧して密着させる。円筒体40
は矢印Aで示す方向に移動可能になっていて、回転体2
0の回転に伴って矢印方向に移動し、常時回転体と接し
て感光体フィルムを回転体に密着させるように機能す
る。こうして、感光体フィルム22の回転体20への密
着が保持され、図2、図3で示すようにして再生光を照
射することにより、原版に対して再生光がブラッグ条件
を満足してより収差を少なく原版ホログラムを複製する
ことができる。
【0018】図5は複製用感光体フィルムを回転体に密
着させるための特定の形状をした回転体を設けた例を示
している。
【0019】図5に示すものは、図4の円筒体に代えて
回転体50を配置したものであり、回転体50は、常時
その表面が回転体20と接して回転するような表面形状
をしており、そのため感光体フィルム22の回転体20
への密着が常時維持され、図2、図3で示すようにして
再生光を照射することにより、原版に対して再生光がブ
ラッグ条件を満足してより収差を少なく原版ホログラム
を複製することができる。
【0020】図6は透過型の原版ホログラムを使用して
連続的にホログラムを複製するものである。
【0021】図6において、図1と同様の表面形状の回
転体は中空になっており、その表面には透過型の原版ホ
ログラム61が貼付されている。また、回転体20の原
版ホログラム61が貼付された部分は光透過性になって
いる。そこで、回転体内部に配置した光源からの再生光
60で回転体を通して原版ホログラム61を照明する。
この場合の照明条件も図2、図3で説明したものと同様
にすると、原版に対して再生光がブラッグ条件を満足し
てより収差を少なく原版ホログラムを複製することがで
きる。
【0022】なお、図2〜6において、原版と感光体フ
ィルム間に液体を介在させることによりインデックスマ
ッチングを行い、反射を防ぐと同時に表面張力により一
度密着した原版と複製用感光材料を剥離しないようにす
ることができる。
【0023】
【作用】本発明は、どの回転角においても回転軸に垂直
な面内で、またはどの回転角の原版上のどの位置におい
ても、再生光が原版に対してブラッグ条件を満たすよう
な表面形状の回転体に原版ホログラムを貼り付け、原版
ホログラム上から複製用感光体フィルムを巻き付け密着
させて回転体を複製用感光体フィルムと共に回転させ、
回転体の曲面上において回転体の回転軸方向に広く回転
方向に狭い幅を有する再生光を照射するようにしたの
で、密着、剥離の工程を要せず高速に複製でき、装置も
簡単で済み、また曲面が的確に設計された回転体を用い
ることにより完全に共役な再生も可能である。
【0024】また、原版と感光体フィルム間に液体を用
いてインデックスマッチングを行い、反射を防ぐと同時
に表面張力により一度密着した原版と複製用感光体を剥
離しないようにすることができる。
【0025】
【実施例】光源として波長633nm、50mWのHe
Neレーザを用い、図7に示すような光学系を使用し
た。図7において、感光材料71はILFORD SP
673Tフィルムであり、感光材料側より物体70とレ
ンズ71との距離を60cm離して照明し、物体光72
と光源からの参照光73とを干渉させて感光材料71に
ホログラム像を記録し、反射型の原版ホログラムを作成
した。
【0026】次いで、この原版ホログラム作成時と同じ
光源、感光材料を使用し、図2に示した光学系(ただ
し、図1におけるd=60/cos30°=69.3c
m,l=140cm)を使用してホログラムの複製を行
ったところ、収差、ムラの無い複製品を得ることができ
た。
【0027】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、密着、剥
離の工程を要せず高速に複製でき、装置も簡単で済み、
また常にブラッグ条件を満足して複製することができる
ので、完全に共役な再生が可能なホログラムの複製を行
うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明において使用する複製に用いる回転体
の表面形状を求める方法を説明する図である。
【図2】 図1で説明した回転体を使用して連続的にホ
ログラムの複製を行う例を示す図である。
【図3】 再生光として収束光を用いてホログラムの複
製を行う例を説明する図である。
【図4】 円筒体を用いて感光体フィルムを回転体に密
着させるようにした例を説明する図である。
【図5】 常時接触する回転体を用いて感光体フィルム
を回転体に密着させるようにした例を説明する図であ
る。
【図6】 透過型の原版ホログラムを使用した例を示す
図である。
【図7】 原版ホログラムを作成する光学系を示す図で
ある。
【図8】 従来の平面状原版ホログラム複製方法を説明
する図である。
【図9】 回転円筒を使用した従来の原版ホログラム複
製方法を説明する図である。
【符号の説明】
20…回転体、21…原版ホログラム、22…複製用感
光体フィルム、23、31…再生光、30…光学系、4
0…円筒体、50…回転体、60…再生光、61…原版
ホログラム、70…物体、71…感光材料、72…物体
光、73…参照光。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03H 1/00 - 1/34

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原版となるホログラムを回転体に貼り付
    け、原版ホログラムの上に複製用感光体フィルムを巻き
    付けて密着させ、回転体を複製用感光体フィルムと共に
    回転させ、回転体の曲面上において回転体の回転軸方向
    に広く、回転方向に狭い幅を有する再生光を照射して、
    ホログラムの情報を複製用感光体フィルムに複製するホ
    ログラムの複製方法において、前記回転体の表面形状を極座標表示したときの角度φ
    は、 rを回転体の表面形状を極座標表示した場合の径 dを原版撮影時の平面ホログラムである原版と参照点光
    源との距離 lを回転体の回転軸中心と原版撮影時の参照点光源又は
    複製時の光源との距離としたとき、 φ=d/(l 2 −d 2 ) 1/2 ・log|rd/(l 2 −d 2 −lr +((l 2 −d 2 )(r 2 −2lr+l 2 −d 2 )) 1/2 ) | の関係式を満たす ことを特徴とするホログラムの複製方
    法。
  2. 【請求項2】 前記回転体は、どの回転角の原版上のど
    の位置においても、前記関係式を満たすことを特徴とす
    る請求項1記載のホログラムの複製方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の方法において、
    複製用感光体フィルムを挟んで回転体と対向して回転可
    能な円筒を少なくとも1つ配置し、回転体と円筒の間に
    複製用感光体フィルムを挟み込んで感光体フィルムを回
    転体に密着させることを特徴とするホログラムの複製方
    法。
  4. 【請求項4】 請求項1または2記載の方法において、
    複製用感光体フィルムを挟んで回転体の表面と常時接す
    る形状の他の回転体を少なくとも1つ配置し、回転体と
    他の回転体との間に複製用感光体フィルムを挟み込んで
    フィルムを回転体に密着させることを特徴とするホログ
    ラムの複製方法。
  5. 【請求項5】 請求項1または2記載の方法において、
    原版ホログラムが反射型であり、再生光が複製用感光体
    フィルムを通して原版に照射されることを特徴とするホ
    ログラムの複製方法。
  6. 【請求項6】 請求項1または2記載の方法において、
    原版ホログラムが透過型であるとともに、回転体の原版
    を貼付した部分が光透過性であり、再生光が回転体内か
    ら回転体の光透過性部分を通して原版に照射されること
    を特徴とするホログラムの複製方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のうちいずれか1項記載の
    方法において、原版ホログラムと複製用感光体フィルム
    の間に液体を介在させることを特徴とするホログラムの
    複製方法。
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DE10330421A1 (de) * 2003-07-04 2005-02-03 Leonhard Kurz Gmbh & Co. Kg Belichtungsstation für Folienbahnen
DE102008057784A1 (de) 2008-11-17 2010-05-20 Hologram Industries Research Gmbh Verfahren und Vorrichtung zum Herstellen von Volumen-Transmissions-und/oder -Reflexionshologrammen
DE102010014305A1 (de) 2010-04-09 2011-10-13 Hologram Industries Research Gmbh Verfahren und Vorrichtung zum Herstellen Kontaktkopien von Reflexions-Volumenhologrammen
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KR102001019B1 (ko) * 2018-10-12 2019-07-17 (주)한교홀로그램 홀로그램 전사 장치

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