JP3289615B2 - 高分子電解質およびその製造方法 - Google Patents

高分子電解質およびその製造方法

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JP3289615B2 JP25698496A JP25698496A JP3289615B2 JP 3289615 B2 JP3289615 B2 JP 3289615B2 JP 25698496 A JP25698496 A JP 25698496A JP 25698496 A JP25698496 A JP 25698496A JP 3289615 B2 JP3289615 B2 JP 3289615B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリスチレン系樹
脂にイオン基を導入して高分子電解質を製造する方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】ポリスチレン系樹脂は、電気的特性や剛
性、耐水性等の特性に優れており、しかも安価である。
このため、ポリスチレン系樹脂は、単独で、もしくは、
共重合体物や他の樹脂とのアロイ物として、緩衝材(発
泡スチロール)や包装材、電化製品や自動車における筐
体および各種部品等の材料として使用され、ポリエチレ
ンに代表されるポリオレフィン系樹脂と並ぶ汎用性樹脂
となっている。
【0003】また、ポリスチレン系樹脂は、上述したよ
うな構造材料以外として用いる以外に、高分子電解質に
改質することで、廃水処理用凝集剤の他、セメント用添
加剤、石炭スラリー流動化剤、無機顔料分散剤、紙力増
強剤、紙用表面サイズ剤、電子複写用導電剤、帯電防止
剤、スケール防止剤、乳化重合用分散剤、水性糊等とし
て用いることもできる。
【0004】ポリスチレン系樹脂を高分子電解質に改質
するには、例えば、ポリスチレン系樹脂中にスルホン酸
塩や、クロロメチル化アミン塩を導入することにより、
水溶性のポリマーとすればよい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、実際に
上述のようにして得られる高分子電解質の分子量(M
w)は、15〜60万であるため、凝集剤として性能を
さらに向上させるためにより高分子量のものが望まれて
いた。
【0006】そこで、本発明においては、より高い分子
量を有する水溶性の高分子電解質を提供することを目的
とし、また、その好適な製造方法を提供することを目的
とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上述の目的
を達成するために鋭意検討を重ねた結果、ポリスチレン
系樹脂に共役ジエンユニットを含有させておき、この共
役ジエンユニットを架橋及び/又は重合させることによ
り、分子量が高い、水溶性の高分子電解質を得られるこ
とを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0008】即ち、本発明に係る高分子電解質は、スチ
レンと共役ジエンとの共重合体にイオン基が導入されて
なり、且つ、該共重合体における共役ジエンユニットが
架橋及び/又は重合しており、水溶性を示すことを特徴
とするものである。そして、本発明に係る高分子電解質
の製造方法は、スチレンと共役ジエンとの共重合体にイ
オン基を導入する工程と、前記共重合体における共役ジ
エンユニットを架橋及び/又は重合させる工程とを有す
ることにより、水溶性の高分子電解質に改質することを
特徴とするものである。
【0009】ここで、前記イオン基は、スルホン酸ある
いはその塩、クロロメチル化アミン塩、カルボン酸ある
いはその塩、PO(OH)2 あるいはその塩、CH2
O(OH)2 あるいはその塩より選ばれる少なくともい
ずれかであって好適である。
【0010】これらイオン基は、全モノマーユニットに
対して20モル%以上、望ましくは40モル%導入され
ることが望ましい。イオン基の導入率が上述の範囲より
低いと、十分に水溶性を示す高分子電解質とならない。
【0011】また、ポリスチレン系樹脂における共役ジ
エンユニットの含有率は、0.05〜20モル%、望ま
しくは0.1〜10モル%とされて好適である。ポリス
チレン系樹脂中の共役ジエンユニットが少なすぎると、
共役ジエンユニットにおける二重結合部での架橋反応や
重合反応が生じにくく、分子量を高める効果が得られな
くなり、逆に、共役ジエンユニットが多すぎると、この
ポリスチレン系樹脂が有機溶媒に溶解しにくくなるため
に均一な反応を行うことが困難となったり、架橋及び/
又は重合度が高くなりすぎることによりゲル化物が生成
しやすくなり、該樹脂のイオン基の導入が困難となる。
【0012】本発明を適用して、ポリスチレン系樹脂に
おける共役ジエンユニットを架橋及び/又は重合する
と、高分子電解質の分子量Mwを60万以上とすること
が可能となる。このため、得られた高分子電解質は、廃
水処理用の凝集剤として用いて好適なものとなる。但
し、この場合には、ポリスチレン系樹脂における共役ジ
エンユニットの含有率が、0.1〜10モル%、望まし
くは0.5〜5モル%とされて好適である。
【0013】一方、ポリスチレン系樹脂におけるスチレ
ンユニットは、全モノマーユニットに対して80モル%
以上、望ましくは90モル%以上含有されて好適であ
る。スチレンユニットの含有率が少なすぎると、十分に
水溶性を示す高分子電解質が得られにくい。
【0014】ところで、本発明に用いられるポリスチレ
ン系樹脂は、本発明の高分子電解質を製造するために新
規につくられたもの(バージン材)であっても、工場や
販売店、家庭等からの廃棄物(廃材)であってもよい。
ポリスチレン系樹脂の廃材には、ハイインパクトポリス
チレン(以下、HIPSと称す。)のように、共役ジエ
ンユニットを有するものが多くある。このため、本発明
は、このような汎用性樹脂として大量に生産されたポリ
スチレン系樹脂製品の再利用法として非常に有効であ
る。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明を適用した具体的な
実施の形態について詳細に説明する。
【0016】本発明の高分子電解質は、スチレンと共役
ジエンとの共重合体にイオン基を導入する工程と、共重
合体における共役ジエンユニットを架橋及び/又は重合
させる工程とを有することにより製造されるものであ
る。
【0017】このように共重合体における共役ジエンユ
ニットを架橋及び/又は重合させることにより、高分子
電解質の分子量を高めることが可能となる。
【0018】このようにして得られる高分子電解質は、
廃水処理用凝集剤、セメント用添加剤、石炭スラリー流
動化剤、無機顔料分散剤、紙力増強剤、紙用表面サイズ
剤、電子複写用導電剤、帯電防止剤、スケール防止剤、
乳化重合用分散剤、水性糊等として用いることができる
が、特に、分子量Mwを60万以上とすることにより、
廃水処理用凝集剤、吸収性樹脂、イオン交換性樹脂、キ
レート樹脂、紙力増強剤、紙用表面サイズ剤、石炭スラ
リー流動化剤に好適に使用できるようになる。
【0019】ここで、スチレンと共重合される共役ジエ
ンとしては、ブタジエンとイソプレンが挙げられる。ま
た、この共重合体における共役ジエンユニットの含有率
は、全モノマーユニットに対して0.05〜20モル
%、望ましくは0.1〜10モル%とされて好適であ
る。また、得られた高分子電解質を廃水処理用の凝集剤
として用いる場合には、この共重合体における共役ジエ
ンユニットの含有率を、全モノマーユニットに対して
0.1〜10モル%、望ましくは0.5〜5モル%とし
て好適である。ポリスチレン系樹脂中の共役ジエンユニ
ットが少なすぎると、共役ジエンユニットにおける二重
結合部での架橋反応や重合反応が生じにくく、分子量を
高める効果が得られなくなり、逆に、共役ジエンユニッ
トが多すぎると、このポリスチレン系樹脂が有機溶媒に
溶解しにくくなるために均一な反応を行うことが困難と
なったり、架橋及び/又は重合度が高くなりすぎること
によりゲル化物が生成しやすくなり、該樹脂のイオン基
の導入が困難となる。
【0020】また、スルホン化ポリスチレン本来の特性
を発揮させるという観点から、ポリスチレン系樹脂にお
けるスチレンユニットは、全モノマーユニットに対して
80モル%以上、望ましくは90モル%とされて好適で
ある。
【0021】なお、本発明で用いるポリスチレン系樹脂
には、スチレン、共役ジエン以外のモノマーが含有され
ていてもよく、例示するならば、アクリロニトリル、
(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル(炭
素数が1〜4の脂肪族炭化水素)、無水マレイン酸、無
水イタコン酸、α−メチルスチレン等が挙げられる。
【0022】これらポリスチレン系樹脂の分子量は、2
000〜2000000、望ましくは5000〜500
000であって好適である。分子量が低すぎると、高分
子電解質としての特性が得られず、逆に、分子量が高す
ぎると、ポリスチレン樹脂のスルホン化反応を有機溶媒
中で行うに際し、該有機溶媒への溶解性が悪くなること
から、反応が不均一となりやすい。
【0023】また、このようなポリスチレン系樹脂に
は、顔染料、安定剤、難燃剤、可塑剤、充填剤、その他
の補助添加剤等が含有されていてもよい。
【0024】さらに、このようなポリスチレン系樹脂
(共重合体)は単独で使用されても、ポリスチレンや他
のスチレン系共重合体と併用されてもよいし、他のポリ
マーとアロイ物やブレンド物とされても構わない。な
お、アロイやブレンドに用いる他のポリマーとしては、
ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート、ポリフェ
ニレンスルフィド、ポリアミド(ナイロン)、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートが挙
げられる。中でも、ポリフェニレンエーテル、ポリカー
ボネートを用いて好適である。但し、このような場合に
おいても、共役ジエンユニットを含有するポリスチレン
系樹脂が樹脂全体の80重量%以上を占めていることが
好ましい。
【0025】また、ポリスチレン系樹脂は、上述したよ
うな種類のものであれば、本発明の高分子電解質を製造
するために新規につくられたもの(バージン材)であっ
ても、工場や販売店、家庭等からの廃棄物(廃材)であ
ってもよい。また、バージン材と廃材とを併用してもよ
い。さらに、その形状としては、ペレット状、パウダー
状、棒状、成型体状、発泡体状、粒状、繊維状、フィル
ム状等、いずれの形状を有するものであってもよい。
【0026】このように、本発明は、汎用性樹脂として
大量に生産されたポリスチレン系樹脂製品を再利用でき
るため、地球環境保全の観点からも非常に有用である。
このような観点から、本発明では、ポリスチレン系樹脂
として、バージン材よりも廃材を用いることが好まし
い。なお、家庭からの一般廃棄物よりは、工場や販売店
等から回収されたものの方が比較的組成がそろったもの
が得られるため、より望ましい。
【0027】上述したようなポリスチレン系樹脂に導入
されるイオン基としては、スルホン酸あるいはその塩、
クロロメチル化アミン塩、カルボン酸あるいはその塩、
PO(OH)2 あるいはその塩、CH2 PO(OH)2
あるいはその塩より選ばれる少なくともいずれかであっ
て好適である。
【0028】これらイオン基を導入するには、ポリスチ
レン系樹脂(共重合体)と各種酸化剤とを反応させれば
よい。例えば、ポリスチレン系樹脂を無水硫酸に代表さ
れるスルホン化剤を含む有機溶媒中で反応させればスル
ホン基を導入することができ、n−ブチルリチウムを添
加した後にドライアイスと反応させることによりカルボ
キシル基を導入することができる。また、三塩化リンを
添加した後に加水分解を行うことにより、−PO(O
H)2 基を導入することができる。そして、これら酸性
基に塩基性化合物を反応させれば、これら酸性基の中和
塩が、イオン基として導入されることとなる。
【0029】また、ポリスチレン系樹脂をクロロメチル
エーテルとルイス酸とによりクロロメチル化した後、ア
ンモニアや各種アミン化合物と反応させることにより、
クロロメチル化3級アミン塩あるいはクロロメチル化4
級アミン塩を導入することができる。さらに、上述のよ
うにしてクロロメチル化を行った後、三塩化リンと反応
させ、加水分解を行えば、−CH2 PO(OH)2 基を
導入することができる。なお、さらに塩基性化合物と反
応させれば、この中和塩が、イオン基として導入される
こととなる。
【0030】上述したようなイオン基を導入させるとき
に用いる反応溶媒としては、1,2−ジクロロエタン、
クロロホルム、ジクロロメタン、1,1−ジクロロエタ
ンに代表される炭素数1〜2の脂肪族ハロゲン化炭化水
素や、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロ
ペンタンに代表される脂環式化合物や、ニトロメタン、
ニトロベンゼンを用いて好適である。脂環式化合物を用
いれば、ハロゲン化合物を含有しない高分子電解質を、
有害な廃棄物を排出することなく製造することが可能と
なる。なお、上述したような有機溶媒は、単独で用いら
れても、複数が組み合わされてもよく、その混合比率に
特に制限はない。
【0031】また、上述したような有機溶媒を他の溶媒
と混合して用いることも可能である。混合可能な他の溶
媒としては、炭素数1〜7のパラフィン系炭化水素、ア
セトニトリル、二硫化炭素、テトラヒドロフラン、テト
ラヒドロピラン、1,2−ジメトキシエタン、アセト
ン、メチルエチルケトン、チオフェン等が挙げられ、特
に、炭素数1〜7のパラフィン系炭化水素、アセトニト
リル、テトラヒドロフラン、アセトンが好適である。こ
のような溶媒を上述した脂肪族ハロゲン化炭化水素や脂
環式化合物と混合して用いる場合、この比率は特に限定
されないが、脂肪族ハロゲン化炭化水素や脂環式化合物
の体積に対して1〜100%として好適である。
【0032】なお、イオン基の導入反応に際して一度使
用した溶媒は、反応終了後に、抜き取りや蒸留等の方法
により回収して、再度使用することができる。但し、こ
の溶媒の回収は、塩基性化合物やその水溶液を反応系に
添加する前に行われて好適である。
【0033】また、上述したような溶媒を用いてイオン
基を導入するための反応を行う場合、ポリスチレン系樹
脂の濃度は、0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜
20重量%とされて好適である。濃度が低すぎると、生
産効率やポリマーへのスルホン基の導入率が低下してし
まい、逆に高すぎると、ゲル化物や未反応物が多くなっ
てしまう。
【0034】このようなスルホン化の反応は、0〜10
0℃、好ましくは10〜80℃にて行えばよい。温度が
低すぎると、反応が進行しにくくなり収率が低下してし
まう。また、反応を行う時間は、10分〜40時間、好
ましくは30分〜20時間として好適である。
【0035】なお、イオン基の中和に用いる塩基性化合
物としては、ナトリウム、リチウム、カリウム等のアル
カリ金属、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類
金属等の酸化物、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩、硫酸塩、
リン酸塩等の化合物や、アンモニア、1級〜3級のアル
キルアミン化合物等が挙げられる。これらをそのまま、
もしくは水溶液の状態で、徐々に添加することにより中
和処理を完結させる。
【0036】以上のようにして導入されるイオン基は、
全モノマーユニットに対して20モル%以上、望ましく
は40モル%とされることが望ましい。イオン基の導入
率が上述の範囲より低いと、十分に水溶性を示す高分子
電解質とならないからである。
【0037】上述したようにして、共役ジエンユニット
を含有するポリスチレン系樹脂にイオン基を導入するこ
とができるが、本発明においては、さらに、共役ジエン
ユニットを架橋及び/又は重合させることにより、より
高分子量の電解質へと改質を行う。
【0038】ここで、架橋及び/又は重合の反応を生じ
させるための薬剤としては、無機系あるいは有機系の過
酸化物、アゾ化合物、その他が挙げられる。
【0039】具体的には、無機系の過酸化物として、過
酸化水素水、ペルオキソ硫酸及びその塩化合物、ペロオ
キソ炭酸塩、ペルオキソ燐酸及びその塩化合物、ペルオ
キソ硝酸及びその塩化合物、オゾン、過塩素酸、過マン
ガン酸及びその塩が挙げられる。これらの中でも、過酸
化水素水、ペルオキソ硫酸及びその塩化合物、オゾンを
用いて好適である。
【0040】また、有機系の過酸化物としては、以下の
ものが挙げられる。
【0041】ヒドロペルオキシド系:t−ブチルヒドロ
ペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロ
ピルベンゼンヒドロペルオキシド、P−メンタンヒドロ
ペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジヒドロペ
ルオキシヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジヒド
ロペルオキシヘキシン−3、ピネンヒドロペルオキシド
等。
【0042】ジアルキルペルオキシド系:ジ−t−ブチ
ルペルオキシド、ジ−t−アミルペルオキシド、t−ブ
チルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、2,
5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘ
キサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペ
ルオキシ)ヘキシン−3、α,α’−ビス(t−ブチル
ペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、1,1−ビス
(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシ
クロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチル
ペルオキシ)ヴァレレート、2,2−ビス(4,4−ジ
−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、
2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブタン、1,1
−ジ−(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン等。
【0043】ジアシルペルオキシド系:カプリライドペ
ルオキシド、ラウロイルペルオキシド、ステアロイルペ
ルオキシド、スクシン酸ペルオキシド、ベンゾイルペル
オキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4
−ジクロロベンゾイルペルオキシド等。
【0044】ペルオキシエステル系:t−ブチルペルオ
キシ酢酸、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノ
エート、t−ブチルペルオキシラウレート、t−ブチル
ペルオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルジペルオキシ
フタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイ
ルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−
ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキシン−3、t−ブチル
ペルオキシマレイン酸、t−ブチルペルオキシイソプロ
ピルカルボネート等。
【0045】ケトンペルオキシド系:メチルエチルケト
ンペルオキシド、メチル イソブチルケトンペルオキシ
ド、シクロヘキサノンペルオキシド等。
【0046】なお、これらの過酸化物は各種還元剤や架
橋助剤と併用してもよく、還元剤としては、コバルト、
ニッケル、鉄、銅、マンガン、セレン、ナトリウム等の
各金属イオンやジメチルアニリン等のアミン化合物が挙
げられ、架橋助剤としては、イオウ、p−キノンジオキ
シム、p,p−ジベンゾイルキノンジオキシム、ラウリ
ルメタクリレート、エチレングリコールアクリレート、
トリエチレングリコールアクリレート、テトラエチレン
グリコールジメタアクリレート、ポリエチレングリコー
ルジメタアクリレート、トリメチロールプロペントリメ
タアクリレート、メチルメタクリレート、ジアリールフ
マレート、ジアリールフタレート、テトラアリールオキ
シエタン、トリアリールシアヌレート、マレイミド、フ
ェニールマレイミド、N,N’−m−フェニレンヒスマ
レイミド、無水マレイン酸、イタコン酸、ジビニルベン
ゼン、ビニールトルエン、低分子量(Mw=1000〜
5000)のポリブタジエン等が挙げられる。
【0047】また、架橋及び/又は重合の反応を生じさ
せるための薬剤として使用できるアゾ化合物としては、
アゾビスブチロニトリル、1−[(1−シアノ−1−メ
チルエチル)アゾ]ホルムアミド、1,1−アゾビス
(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2−ア
ゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、
2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,
2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、
2,2−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバ
レロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草
酸)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロ
ピオネート)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダ
ゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−ア
ゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパ
ン]、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1
−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]
プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル
−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−エチル]
プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル
−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、
2,2−アゾビスイソブチルアミド二水和物、2,2’
−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオンニト
リル]、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチル
ペンタン)等が挙げられる。
【0048】架橋及び/又は重合の反応を生じさせるた
めの薬剤としては、その他、炭素数1〜5のテトラアル
キルチウラムジスルフィド、モルホリン、ジスルフィド
化合物、アルキルフェノールジスルフィド、Se−ジエ
チルジチオカーバメート等のジチオ酸塩、塩化イオウ、
セレン、テルル、亜塩華、酸化マグネシウム、リサー
ジ、p−キノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキ
ノンオキシム、テトラクロロ−p−ベンゾキノン、ポロ
−p−ジニトロソベンゼン等が挙げられる。
【0049】そして、上述したような薬剤の添加量は、
ポリスチレン系樹脂の全モノマーユニットに対して0.
001〜500モル%、望ましくは0.005〜300
モル%とされて好適である。また、反応系の温度は、0
〜100℃、望ましくは10〜90℃とされて好適であ
り、この反応系の樹脂濃度は、0.05〜39重量%と
されて好適である。なお、この反応は、窒素等の不活性
ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
【0050】以上のようにすることにより、ポリスチレ
ン系樹脂における共役ジエンユニットに、架橋及び/又
は重合の反応を生じさせることができるが、この反応
は、ポリスチレン系樹脂へのイオン基の導入工程前に行
っても、イオン基の導入工程後に行ってもよい。
【0051】このように、ポリスチレン系樹脂における
共役ジエンユニットを架橋及び/又は重合することによ
り、得られる高分子電解質の分子量Mwを60万以上と
することができる。そして、このような高分子量の電解
質は、廃水処理用凝集剤として好適に使用できるように
なる。
【0052】得られた高分子電解質を廃水処理用凝集剤
として用いる場合、他の添加剤、例えば非イオン性高分
子凝集剤、アニオン性高分子凝集剤、カチオン性高分子
凝集剤と併用してもよい。以下、併用可能な非イオン性
高分子凝集剤、アニオン性高分子凝集剤、カチオン性高
分子凝集剤を例示する。
【0053】<非イオン性高分子凝集剤> ・ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド。好まし
くはポリアクリルアミドである。
【0054】<アニオン性高分子凝集剤> ・(メタ)アクリル酸系樹脂として、ポリアクリルアミ
ドやポリメタクリルアミドの部分加水分解物、アクリル
酸またはメタクリル酸とアクリルアミドまたはメタクリ
ルアミドとの共重合体およびその塩類、アクリル酸また
はメタクリル酸と、アクリルアミドまたはメタクリルア
ミドと、2−アクリルアミド−メチルプロパンスルホン
酸あるいはビニルスルホン酸またはビニルメチルスルホ
ン酸との三元共重合体およびその塩類。好ましくは、ポ
リアクリルアミドの部分加水分解物、アクリル酸とアク
リルアミドとの共重合体およびその塩類、アクリル酸と
アクリルアミドと2−アクリルアミド−メチルプロパン
スルホン酸との三元共重合体およびその塩類である。
【0055】・ポリスリレン系スルホン酸塩ポリマーと
して、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン、スチレン
−アクリロニトリル、スチレン−ブタジエン−アクリロ
ニトリル、スチレン−(メタ)アクリル酸、スチレン−
(メタ)アクリル酸エステル(炭素数が1〜4の脂肪族
炭化水素)、スチレン−アクリロニトリル−(メタ)ア
クリル酸エステル(炭素数が1〜4の脂肪族炭化水
素)、スチレン−ブタジエン−(メタ)アクリル酸エス
テル(炭素数が1〜4の脂肪族炭化水素)、スチレン−
無水マレイン酸、スチレン−無水イタコン酸が挙げられ
る。この中でも、ポリスチレン、スチレン−ブタジエ
ン、スチレン−アクリロニトリル、スチレン−ブタジエ
ン−アクリロニトリル、スチレン−無水マレイン酸が好
適である。
【0056】・その他のポリマーとして、ポリフェニレ
ンエーテル、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフ
ィド、ポリエチレンテレフタレートが挙げられる。好ま
しくは、ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネートで
ある。
【0057】<カチオン性高分子凝集剤> ・ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの四
級化物(四級化剤としては、塩化メチル、塩化ベンジル
等)もしくは酸塩(酸塩としては、塩酸塩、硫酸塩等の
無機酸塩および酢酸塩等の有機酸塩等)またはこれらと
(メタ)アクリルアミドとの重合体または共重合体。例
えば、ジメチルアミノエチルアクリレートのメチルクロ
ライド四級化物またはこれとアクリルアミドとの重合体
または共重合体である。
【0058】・ジアルキルアミノアルキル(メタ)アク
リルアミドの四級化物もしくは酸塩またはこれらと(メ
タ)アクリルアミドとの重合体または共重合体。例え
ば、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドのメチルク
ロライド四級化物とアクリルアミドとの共重合体が挙げ
られる。
【0059】・ポリアクリルアミドのカチオン化変成
物。例えば、ポリアクリルアミドのマンニッヒ変成物お
よびホフマン分解物が挙げられる。
【0060】・エピハロヒドリン−アミン縮合物。例え
ば、エピハロヒドリンと炭素数2〜8のアルキレンジア
ミンとの重縮合物が挙げられる。
【0061】・ポリジメチルジアリルアンモニウムクロ
ライド。
【0062】・ジシアンジアミド縮合物。例えば、ジシ
アンジアミドと塩化アンモニウムのホルマリン縮合物が
挙げられる。
【0063】・ポリエチレンイミン。
【0064】本発明に係る高分子電解質は、以上のよう
な各種高分子凝集剤と混合して用いてもよいし、逐次添
加して用いてもよい。但し、カチオン性高分子凝集剤と
併用する場合には、逐次添加することが好ましい。
【0065】また、本発明に係る高分子電解質を、各種
無機凝結剤や無機凝集剤と併用しても構わない。
【0066】本発明に係る高分子電解質は、廃水処理用
凝集剤として優れた性能を発揮するため、水および環境
の汚染防止に貢献できる。
【0067】また、本発明に用いられるポリスチレン系
樹脂は、バージン材のみならず、廃材であってもよい。
ポリスチレン系樹脂の廃材には、ハイインパクトポリス
チレン(以下、HIPSと称す。)のように、共役ジエ
ンユニットを有するものが多くある。このため、本発明
は、このような汎用性樹脂として大量に生産されたポリ
スチレン系樹脂製品の再利用法として非常に有効であ
る。
【0068】
【実施例】ここで、本発明に係る高分子電解質を実際に
製造し、その特性の評価を行った。
【0069】先ず、樹脂として、 (a)ポリスチレン ・・・共役ジエンユニットを含有しない 分子量Mw=28万、アルドリッチ社製 (b)スチレン−ブタジエン共重合体 ・・・スチレン:ブタジエン=40:60(モル%) 分子量Mw=20万、サイエンティヒックポリマー社製 (c)ハイインパクトポリスチレン ・・・化成品 ブタジエンを2モル%含有、分子量Mw=22万 (d)ハイインパクトポリスチレン ・・・VHSカセットケース廃材 ブタジエンを1モル%含有、分子量Mw=18万 (e)ハイインパクトポリスチレン ・・・TV用ハウジング廃材 ブタジエンを4モル%含有、分子量Mw=23万 を用意した。なお、樹脂(d)、(e)としてはシュレ
ッダーにより粉砕したものを用いるようにした。
【0070】実施例1 0.6gのリン酸トリエチルを70gの1,2−ジクロ
ロエタンに添加した溶液を20〜25℃に保ち、この溶
液に対して、0.27gの無水硫酸を加えた。次に、7
gのハイインパクトポリスチレン(c)を63gの1,
2−ジクロロエタンに溶解させたものと、4.3gの無
水硫酸とを、上述の温度に保ち、60分かけて同時滴下
した。そして、添加終了後、水を添加し、加熱により溶
媒留去を行って、20重量%のポリスチレンスルホン酸
水溶液とした。
【0071】次に、上述の残留液を50℃に加熱し、窒
素雰囲気下で、0.15gの過硫酸アンモニウムを添加
し、その後、1時間熟成した。
【0072】そして、この反応系中に、水酸化ナトリウ
ムを含む水溶液を撹拌しながら徐々に加えて中和を行っ
た。
【0073】以上の操作により、分子量Mw=140万
のポリスチレンスルホン酸ソーダが得られた。この高分
子電解質水溶液を実施例1のサンプル水溶液とする。
【0074】実施例2 ハイインパクトポリスチレン(c)の代わりにハイイン
パクトポリスチレン(d)を用いた以外は、実施例1と
同様にして、分子量Mw=90万のポリスチレンスルホ
ン酸ソーダを得た。このこの高分子電解質水溶液を実施
例2のサンプル水溶液とする。
【0075】実施例3 0.02gのAlBNを50gのシクロヘキサンに添加
した溶液を、窒素雰囲気下で70℃に保った。そして、
2.4gのハイインパクトポリスチレン(c)と0.9
2gのリン酸トリエチルとを120gのシクロヘキサン
に溶解させたものと、3.5gの発煙硫酸とを、上述の
溶液を同温度に保った状態で、30分かけて同時滴下
し、その後、70±2℃の温度に保って1時間反応を行
った。
【0076】次に、この反応系中に、水酸化ナトリウム
を含む水溶液を撹拌しながら徐々に加えて中和を行った
後、加熱により、反応系中のシクロヘキサンを留去し
た。
【0077】以上の操作により、分子量Mw=180万
のポリスチレンスルホン酸ソーダが得られた。この高分
子電解質水溶液を実施例3のサンプル水溶液とする。
【0078】実施例4 2.44gのリン酸トリエチルを70gの1,2−ジク
ロロエタンに添加した溶液を55〜60℃に保ち、この
溶液に、6.93gのハイインパクトポリスチレン
(e)を63gの1,2−ジクロロエタンに溶解させた
ものと、8.4gの60%発煙硫酸とを、60分かけて
同時滴下し、さらに30分間熟成を行った。そして、こ
の反応系中に、水酸化ナトリウムを含む水溶液を撹拌し
ながら徐々に加えて中和を行った。その後、この中和混
合物を常温下で加熱し、同反応系から1,2−ジクロロ
エタンを留去した。
【0079】次に、上述の残留液を60℃に加熱し、窒
素雰囲気下で、3.2gの30重量%過酸化水素水を添
加し、2時間熟成した。
【0080】以上の操作により、分子量Mw=250万
のポリスチレンスルホン酸ソーダが得られた。この高分
子電解質水溶液を実施例4のサンプル水溶液とする。
【0081】実施例5 5gのハイインパクトポリスチレン(d)を20gのテ
トラクロロエタンに添加したものに、0.3gの2,
2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルヴァ
レロニトリル)を添加し、窒素気流下で60℃に加熱し
ながら1時間撹拌を行った。
【0082】次に、上述の溶液を45gのクロロメチル
エーテルに添加した後、15gの塩化アルミニウムを徐
々に加え、上述の温度に保って3時間撹拌を行った。反
応終了後、未反応のクロルメチルエーテルを減圧蒸留
し、ポリスチレン系樹脂中に導入されたクロロメチル基
と等モル量のアンモニア水を添加した。
【0083】以上の操作により、分子量Mw=210万
のポリクロロメチルスチレンアンモニウム塩が得られ
た。この高分子電解質水溶液を実施例5のサンプル水溶
液とする。
【0084】比較例1 ハイインパクトポリスチレン(c)の代わりにポリスチ
レン(a)を用いた以外は、実施例1と同様にして、分
子量Mw=45万のポリスチレンスルホン酸ソーダを得
た。このこの高分子電解質水溶液を比較例1のサンプル
水溶液とする。
【0085】比較例2 ハイインパクトポリスチレン(c)の代わりにスチレン
−ブタジエン共重合体(b)を用いた以外は、実施例1
と同様にして、スルホン化反応を行った後、過硫酸アン
モニウムを添加した。
【0086】しかしながら、過硫酸アンモニウムを添加
した時点で、反応系にゲル化物が生成し、水溶性の高分
子電解質を得ることができなかった。
【0087】比較例3 0.92gのリン酸トリエチルを50gのシクロヘキサ
ンに添加した溶液を70℃に保った状態で、0.17g
の60%発煙硫酸を加えた。そして、この溶液に対し
て、2.4gのハイインパクトポリスチレン(c)を1
20gのシクロヘキサンに溶解させたものと、3.3g
の発煙硫酸とを、同温度に保った状態で、30分かけて
同時滴下し、その後、70±2℃の温度に保って1時間
反応を行った。
【0088】次に、この反応系中に、水酸化ナトリウム
を含む水溶液を撹拌しながら徐々に加えて中和を行った
後、加熱により、反応系中のシクロヘキサンを留去し
た。
【0089】以上の操作により、分子量Mw=42万の
ポリスチレンスルホン酸ソーダが得られた。この高分子
電解質水溶液を比較例3のサンプル水溶液とする。
【0090】比較例4 2.44gのリン酸トリエチルを70gの1,2−ジク
ロロエタンに添加した溶液を55〜60℃に保った状態
で、6.93gのハイインパクトポリスチレン(e)を
63gの1,2−ジクロロエタンに溶解させたものと、
9.33gの60%発煙硫酸とを、60分かけて同時滴
下し、その後、30分間熟成を行った。
【0091】次に、この反応系中に、水酸化ナトリウム
を含む水溶液を撹拌しながら徐々に加えて中和を行った
後、加熱により、反応系中の1,2−ジクロロエタンを
留去した。
【0092】以上の操作により、分子量Mw=44万の
ポリスチレンスルホン酸ソーダが得られた。この高分子
電解質水溶液を比較例4のサンプル水溶液とする。
【0093】比較例5 ハイインパクトポリスチレン(d)の代わりにポリスチ
レン(a)を用いた以外は、実施例5と同様にして、分
子量Mw=39万のポリクロロメチルスチレンアンモニ
ウム塩を得た。このこの高分子電解質水溶液を比較例5
のサンプル水溶液とする。
【0094】特性の評価 以上のように様々なポリスチレン樹脂の改質を行った結
果、比較例1〜比較例5においては、得られた高分子電
解質の分子量Mwが50万以下であったのに、対し、実
施例1〜実施例5においては、得られた高分子電解質の
分子量Mwが90万以上となることがわかった。
【0095】個別に評価を行うと、比較例1、比較例5
においては、共役ジエンユニットを含有しないポリスチ
レン(a)を用いたため、重合開始剤を添加しても高分
子量の高分子電解質が得られず、比較例3、比較例4に
おいては、共役ジエンユニットを含有するハイインパク
トポリスチレン(c)、(e)を用いているが、架橋及
び/又は重合反応を行っていないため、高分子量の高分
子電解質が得られなかった。また、比較例2において
は、共役ジエンユニットの含有量が多すぎる共重合体
(b)を用いたため、架橋反応時にゲル化が起こってし
まい、水溶性の高分子電解質が得られなかった。
【0096】これに対して、実施例1〜実施例5におい
ては、共役ジエンユニットを適正量含有するハイインパ
クトポリスチレン(c)〜(e)を用い、且つ、架橋及
び/又は重合反応を行ったため、高分子量の高分子電解
質が得られた。また、実施例1と実施例2、4の比較よ
り、用いるポリスチレン系樹脂における共役ジエンユニ
ットの含有量が適正であれば、ポリスチレン系樹脂とし
て廃材を用いてもよいことがわかる。さらに、実施例1
と実施例3、4の比較より、イオン基の導入後に架橋剤
を添加しても、架橋剤とスルホン化剤を同時添加して
も、イオン基の中和を行ってから架橋剤を添加しても問
題ないことがわかる。また、実施例2と実施例5の比較
より、ポリスチレン系樹脂に導入されるイオン基は、ス
ルホン酸ソーダであっても、クロロメチル化アンモニウ
ム塩であっても構わないことがわかる。
【0097】以上の結果より、共役ジエンユニットを適
正量だけ含有するポリスチレン系樹脂にイオン基を導入
する工程と、該樹脂における共役ジエンユニットを架橋
及び/又は重合させる工程とを有することにより、高分
子量化された水溶性の高分子電解質を得られることがわ
かった。
【0098】以下、上述した各サンプル水溶液につい
て、廃水処理用凝集剤としての特性を評価した。
【0099】先ず、イオン基としてスルホン酸ソーダが
導入された高分子電解質よりなるサンプル水溶液につい
て評価を行った。
【0100】具体的には、電子部品工場の廃水(pH=
6.0、懸濁物質(ss)濃度=500ppm)に、硫
酸アルミニウムを50ppm添加したものを凝集評価用
の懸濁液として用意した。そして、この懸濁液を共栓付
きの200mlメスシリンダーに100ml入れ、これ
に実施例1〜実施例4、比較例1、3、4のサンプル水
溶液を、凝集評価用懸濁液中に樹脂成分が2.0ppm
となる量だけ投入した。その後、直ちに同メスシリンダ
ーを上下10回転撹拌してから静置し、懸濁粒子の沈降
速度、凝集後のろ液の濁度を測定した。また、実施例2
のサンプル水溶液を市販の凝集剤A(ポリアクリルアミ
ドの部分加水分解物)と1ppmずつ混合して用いた場
合、この市販の凝集剤Aを単独で2ppm用いた場合に
ついても、同様の測定を行った。これらの測定結果を表
1に示す。
【0101】
【表1】
【0102】表1より、各実施例のサンプル水溶液は、
いずれも高分子凝集剤として比較例4や市販の凝集剤以
上の基本特性を有することがわかった。また、実施例の
サンプル水溶液と市販の凝集剤とを併用しても良好な結
果が得られることもわかった。
【0103】続いて、イオン基としてクロロメチル化ア
ンモニウム塩が導入された高分子電解質よりなるサンプ
ル水溶液について評価を行った。
【0104】具体的には、先ず、下水処理場の混合汚泥
(pH=6.8、懸濁物質(ss)濃度=1.1重量
%)を凝集評価用の懸濁液として用意した。そして、こ
の懸濁液をジャーテスター内で撹拌しながら、実施例
5、比較例5のサンプル水溶液を、樹脂成分が懸濁物質
(ss)当たり0.5重量%となる量だけ投入した後、
静置し、懸濁粒子の沈降速度、凝集後のろ液の濁度を測
定した。また、実施例5のサンプル水溶液を市販の凝集
剤B(N,N−ジメチルアミノメチルアクリレートメチ
ルクロライド4級化物)と混合して用いた場合、この市
販の凝集剤Bを単独で用いた場合についても、同様の測
定を行った。これらの測定結果を表2に示す。
【0105】
【表2】
【0106】表2より、実施例5のサンプル水溶液は、
高分子凝集剤として、比較例5や市販の凝集剤以上の基
本特性を有することがわかった。また、実施例5のサン
プル水溶液と市販の凝集剤とを併用しても良好な結果が
得られることもわかった。
【0107】以上の結果より、共役ジエンユニットを適
正量だけ含有するポリスチレン系樹脂にイオン基が導入
されてなり、且つ、該樹脂における共役ジエンユニット
が架橋及び/又は重合している高分子電解質は、廃水処
理用凝集剤として非常に優れた特性を発揮することがわ
かった。
【0108】
【発明の効果】以上の結果からも明らかなように、本発
明を適用して、スチレンと共役ジエンとの共重合体にイ
オン基を導入する工程と、該共重合体における共役ジエ
ンユニットを架橋及び/又は重合させる工程とを経るこ
とにより、分子量の高い、水溶性の高分子電解質に改質
することができる。
【0109】そして、このようにして得られる分子量の
高い高分子電解質は、廃水処理用凝集剤として非常に優
れた特性を発揮するものとなる。
【0110】また、本発明においては、ポリスチレン系
樹脂として、使用済みの廃材を用いることができるた
め、資源の有効利用および廃棄物の低減を図ることがで
き、地球環境保全に貢献することができる。
フロントページの続き (72)発明者 黒宮 美幸 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソ ニー株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−51508(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 8/00 - 8/50

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スチレンと共役ジエンとの共重合体にイ
    オン基が導入されてなり、前記共重合体は、共役ジエン
    ユニットを全モノマーユニットに対して0.05〜20
    モル%含有しており、且つ、該共重合体における共役ジ
    エンユニットが架橋及び/又は重合しており、水溶性を
    示すことを特徴とする高分子電解質。
  2. 【請求項2】 前記イオン基が、スルホン酸あるいはそ
    の塩、クロロメチル化アミン塩、カルボン酸あるいはそ
    の塩、PO(OH)あるいはその塩、CHPO(O
    H)あるいはその塩より選ばれる少なくともいずれか
    であることを特徴とする請求項1記載の高分子電解質。
  3. 【請求項3】 前記イオン基は、前記全モノマーユニッ
    トに対して20モル%以上導入されていることを特徴と
    する請求項1記載の高分子電解質。
  4. 【請求項4】 前記共重合体は、共役ジエンユニットを
    全モノマーユニットに対して0.1〜10モル%含有す
    ることを特徴とする請求項1記載の高分子電解質。
  5. 【請求項5】 分子量Mwが60万以上であることを特
    徴とする請求項1記載の高分子電解質。
  6. 【請求項6】 廃水処理用の高分子凝集剤として用いら
    れることを特徴とする請求項5記載の高分子電解質。
  7. 【請求項7】 スチレンと共役ジエンとの共重合体であ
    って、共役ジエンユニットを全モノマーユニットに対し
    て0.05〜20モル%含有するものにイオン基を導入
    する工程と、 前記共重合体における共役ジエンユニットを架橋及び/
    又は重合させる工程と、 を有することにより水溶性の高分子電解質に改質するこ
    とを特徴とする高分子電解質の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記イオン基として、スルホン酸あるい
    はその塩、クロロメチル化アミン塩、カルボン酸あるい
    はその塩、PO(OH)あるいはその塩、CHPO
    (OH)あるいはその塩より選ばれる少なくともいず
    れかを導入することを特徴とする請求項7記載の高分子
    電解質の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記イオン基を、全モノマーユニットに
    対して20モル%以上導入することを特徴とする請求項
    記載の高分子電解質の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記共重合体として、共役ジエンユニ
    ットを全モノマーユニットに対して0.1〜10モル%
    含有するものを用いることを特徴とする請求項7記載の
    高分子電解質の製造方法。
  11. 【請求項11】 分子量Mwが60万以上となるように
    改質することを特徴とする請求項7記載の高分子電解質
    の製造方法。
  12. 【請求項12】 廃水処理用の高分子凝集剤として用い
    られるものに改質することを特徴とする請求項11記載
    の高分子電解質の製造方法。
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