JP3289343B2 - マイクロフィルターの製造方法 - Google Patents

マイクロフィルターの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マイクロフィルターの
製造方法に関するものであり、特に、支持構造を有する
マイクロフィルターの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図4は、従来のマイクロフィルターの一
例を示す断面図である。図4を参照して、このマイクロ
フィルターは、フィルター孔38を有するフィルター膜
37と、支持エレメント39とから構成されている。
【0003】従来、このように構成されるマイクロフィ
ルターは、たとえば特開昭63−200803号に開示
されているように、以下の製造工程を経て製造されてい
た。
【0004】まず、支持エレメントおよびフィルター膜
を形成するための金型を、X線リソグラフィおよび電鋳
で作製する。この金型に、高エネルギ放射線により溶解
度が変化する樹脂を注入し、型抜きして、支持エレメン
トを有する膜を形成する。次に、この膜に、マスクを介
して、高エネルギ放射線を部分的に照射する。この照射
により溶解度が高められた部分を除去することにより、
膜にフィルター孔が形成される。
【0005】このように、フィルター孔を有するフィル
ター膜と支持エレメントとからなるマイクロフィルター
は、製造されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
製造方法では、まず,高エネルギ放射線の照射により作
製された金型を用いて、支持エレメントを有する膜を形
成した後、再び高エネルギ放射線を照射して、膜にフィ
ルター孔を形成していた。すなわち、支持エレメントを
形成する工程とフィルター孔を形成する工程とが、別に
なっていた。
【0007】そのため、この従来の製造方法は、煩雑
で、しかも製造コストが高くなる、という問題点があっ
た。
【0008】この発明の目的は、上述の問題点を解決
し、フィルター孔を有するフィルター膜と支持構造とか
らなるマイクロフィルターを、簡便に、しかも低いコス
トで製造する方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明の製造方法は、
フィルター孔を有するフィルター膜と支持構造とからな
るマイクロフィルターの製造方法であって、ある導電性
基板上にレジスト膜を形成するステップと、レジスト膜
にマスクを介してシンクロトロン放射光を露光しレジス
ト膜の一部を削除することによりレジスト構造体を形成
するステップと、露光により形成されたレジスト構造体
を基にして金型を作製するステップとを備え、マスク
は、シンクロトロン放射光を十分に吸収する全吸収体層
とシンクロトロン放射光の一部を吸収して減衰する部分
吸収体層とからなり、部分吸収体層はフィルター孔に対
応して貫通孔を有することを特徴としている。
【0010】好ましくは、露光に用いられるシンクロト
ロン放射光のスペクトル範囲を変化させ、部分吸収体層
を透過するX線エネルギおよびX線量を変化させること
により、露光により削除されるレジスト膜の一部の深さ
を可変とするとよい。
【0011】
【作用】この発明による製造方法では、ある導電性基板
上に形成されたレジスト膜に、マスクを介して、シンク
ロトロン放射光が照射される。このマスクは、シンクロ
トロン放射光を十分に吸収する全吸収体層と、シンクロ
トロン放射光の一部を吸収して減衰する部分吸収体層と
からなる。そのため、全吸収体層を介して露光された範
囲と、部分吸収体層を介して露光された範囲とによっ
て、異なる高さを有するレジスト構造体が得られる。す
なわち、たとえばポジ型レジスト膜を用いた場合には、
全吸収体層を介して露光された範囲によって支持構造に
対応するレジストが形成され、一方、部分吸収体層を介
して露光された範囲によってフィルター膜に対応するレ
ジストが形成される。
【0012】また、部分吸収体層には、貫通孔が設けら
れている。そのため、この貫通孔の部分を介して露光さ
れたレジスト膜の部分には、フィルター孔に対応する孔
が形成される。
【0013】このように、この発明の製造方法によれ
ば、支持構造に対応するレジストの形成と、フィルター
孔を有するフィルター膜に対応するレジストの形成と
を、同時に行なうことができる。
【0014】さらに、本発明では、露光の際、照射する
シンクロトロン放射光のスペクトル範囲を変化させる。
スペクトルのピーク波長が短波長になれば、部分吸収体
層を透過するX線エネルギおよびX線量が増大し、レジ
スト膜は深く露光される。一方、逆に、スペクトルのピ
ーク波長が長波長になれば、部分吸収体層を透過するX
線エネルギおよびX量が減少し、レジスト膜は浅く露光
される。したがって、この特性を利用することにより、
部分吸収体層を介して露光された範囲によって形成され
るフィルター膜に対応するレジストを、任意の厚さに形
成することができる。
【0015】
【実施例】図1は、本発明の一実施例によるマイクロフ
ィルターの製造において、露光工程を示す断面図であ
る。
【0016】図1を参照して、導電性基板6上に、ポジ
型レジスト膜5が塗布、形成されている。このポジ型レ
ジスト膜5に、X線マスク10を介して、シンクロトロ
ン放射光1が照射される。
【0017】X線マスク10は、使用するシンクロトロ
ン放射光1に対して十分な透過性を有するマスク支持膜
2と、支持エレメントに対応するレジストを形成するた
めの全吸収体層4と、フィルター膜に対応するレジスト
を形成するための部分吸収体層3とから構成されてい
る。また、部分吸収体層3には、貫通孔11が設けられ
ている。前記吸収体層4は、シンクロトロン放射光1を
すべて吸収する。一方、部分吸収体層4は、シンクロト
ロン放射光1の一部を吸収し、減衰する。
【0018】また、照射するシンクロトロン放射光1
は、そのピーク波長を変化させることにより、部分吸収
体層3を透過するX線エネルギおよびX線量が変化し、
レジストの露光される深さが決定される。したがって、
シンクロトロン放射光1の波長は、レジストを所望とす
る深さまで露光できるように、設定されている。
【0019】図2は、図1に示すシンクロトロン放射光
1による露光の後、現像を行ない、シンクロトロン放射
光1が照射された部分を削除することにより形成され
た、レジスト構造体25を示す断面図である。
【0020】図2を参照して、このレジスト構造体25
は、導電性基板6上に形成されており、支持エレメント
対応部分24と、フィルター孔対応部分21を有するフ
ィルター膜対応部分23とからなっている。
【0021】支持エレメント対応部分24は、X線マス
ク10の全吸収体層4を介して、シンクロトロン放射光
1が照射された範囲であり、シンクロトロン放射光1が
全吸収体層4に吸収されたため、レジストが除去されず
に残り、他の部分より高くなっている。この支持エレメ
ント対応部分24の高さは、導電性基板6上に形成され
るポジ型レジスト膜の膜厚を制御することにより、任意
に設定できる。また、支持エレメント対応部分24の間
隔も、X線マスク10の形状によって、任意に設定でき
る。
【0022】これに対して、フィルター膜対応部分23
は、X線マスク10の部分吸収体層3を介して、シンク
ロトロン放射光1が照射された範囲であり、シンクロト
ロン放射光1が部分吸収体層3に一部吸収されたため、
レジストが所定の深さに削除されている。この削除され
る深さは、上述のように、シンクロトロン放射光1のス
ペクトル範囲を変化させることによって、任意に設定す
ることができる。このシンクロトロン放射光1のスペク
トル範囲の制御は、その発生源である電子蓄積リングの
磁場を変化させることによって、行なうとよい。このよ
うにして、所望の膜厚を有するフィルター膜対応部分2
3が形成される。
【0023】また、フィルター膜対応部分23に設けら
れたフィルター孔対応部分21は、X線マスク10の部
分吸収体層3に設けられた貫通孔11を介して、シンク
ロトロン放射光1が照射された範囲である。シンクロト
ロン放射光1が、直接ポジ型レジスト膜5に照射され、
レジストが完全に削除されることにより、孔が形成され
る。
【0024】次に、この図2に示すレジスト構造体25
に、メッキ浴中で、導電性基板6を電極として、支持エ
レメント対応部分24よりも高くなるように、メッキを
施す。その後、導電性基板6およびレジスト構造体25
を除去すると、残ったメッキ部分が金型となる。このよ
うにして、金型を作製する。
【0025】図3は、この発明の一実施例により製造さ
れたマイクロフィルターを示す断面図である。
【0026】図3を参照して、このマイクロフィルター
は、フィルター孔8を有するフィルター膜7と、支持エ
レメント9とから構成されている。
【0027】このように構成されるマイクロフィルター
は、上述のように作製された金型に、樹脂またはセラミ
ックス等をモールドすることによって、製造することが
できる。
【0028】なお、上述の実施例ではポジ型レジスト膜
を用いているが、本発明はネガ型レジスト膜を用いた場
合にも適用できる。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の方法によ
れば、フィルター孔を有するフィルター膜と支持構造と
からなるマイクロフィルターを、簡便に、しかも低いコ
ストで製造することができる。
【0030】また、本発明の方法によれば、支持構造の
間隔、支持構造の高さおよびフィルター膜の厚さが、任
意に設定できる。したがって、用途による特性の要求に
十分適応し、通路抵抗または機械強度等の特性が最適な
マイクロフィルターを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例によるマイクロフィルターの
製造工程を示す断面図である。
【図2】図1の製造工程により形成されたレジスト構造
体を示す断面図である。
【図3】本発明の一実施例により製造されたマイクロフ
ィルターを示す断面図である。
【図4】従来のマイクロフィルターの一例を示す断面図
である。
【符号の説明】
1 シンクロトロン放射光 2 マスク支持膜 3 部分吸収体層 4 全吸収体層 5 ポジ型レジスト膜 6 導電性基板 7 フィルター膜 8 フィルター孔 9 支持エレメント 10 X線マスク 11 貫通孔 25 レジスト構造体 なお、各図中、同一符号は同一または相当部分を示す。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フィルター孔を有するフィルター膜と支
    持構造とからなるマイクロフィルターの製造方法であっ
    て、 ある導電性基板上にレジスト膜を形成するステップと、 前記レジスト膜に、マスクを介してシンクロトロン放射
    光を露光し、前記レジスト膜の一部を削除することによ
    り、レジスト構造体を形成するステップと、 前記露光により形成された前記レジスト構造体を基にし
    て、金型を作製するステップとを備え、 前記マスクは、前記シンクロトロン放射光を十分に吸収
    する全吸収体層と、前記シンクロトロン放射光の一部を
    吸収して減衰する部分吸収体層とからなり、 前記部分吸収体層は、前記フィルター孔に対応して貫通
    孔を有することを特徴とする、マイクロフィルターの製
    造方法。
  2. 【請求項2】 前記露光に用いられる前記シンクロトロ
    ン放射光のスペクトル範囲を変化させ、前記部分吸収体
    層を透過するX線エネルギおよびX線量を変化させるこ
    とにより、前記露光により削除される前記レジスト膜の
    一部の深さを可変とする、請求項1記載のマイクロフィ
    ルターの製造方法。
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NL1016779C2 (nl) * 2000-12-02 2002-06-04 Cornelis Johannes Maria V Rijn Matrijs, werkwijze voor het vervaardigen van precisieproducten met behulp van een matrijs, alsmede precisieproducten, in het bijzonder microzeven en membraanfilters, vervaardigd met een dergelijke matrijs.
DE102010027074B4 (de) * 2010-07-13 2013-01-24 Eads Deutschland Gmbh Verfahren und Vorrichtung zur Detektion von Sprengstoffpartikeln in einem Gasstrom
JP5518039B2 (ja) * 2011-12-28 2014-06-11 株式会社日立製作所 フィルター、及びその製造方法

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