JP3287760B2 - 帯電部材、該帯電部材を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents

帯電部材、該帯電部材を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置

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JP3287760B2 JP07652596A JP7652596A JP3287760B2 JP 3287760 B2 JP3287760 B2 JP 3287760B2 JP 07652596 A JP07652596 A JP 07652596A JP 7652596 A JP7652596 A JP 7652596A JP 3287760 B2 JP3287760 B2 JP 3287760B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、画像形成のための
帯電部材に関し、特に被帯電体に当接され電圧を印加さ
れることによって被帯電体を一様に帯電させる接触帯電
部材に関する。
【0002】また、本発明は、上記帯電部材を有するプ
ロセスカートリッジ及び電子写真装置に関する。
【0003】
【従来の技術】電子写真装置などの画像形成装置におい
ては、電子写真感光体などの被帯電体を帯電させる装置
として、コロナ帯電装置及び接触帯電装置が採用されて
いる。
【0004】接触帯電装置は、被帯電体に当接させた帯
電部材に直流電圧、または直流電圧に交流電圧を重畳し
た振動電圧を印加して被帯電体を帯電させる装置であ
る。
【0005】かかる接触帯電装置において、例えば特開
昭63−149669号公報に開示されているように、
直流電圧を接触帯電部材に印加した時に、被帯電体の帯
電開始電圧の2倍以上のピーク間電圧を有する振動電界
を接触帯電部材と被帯電体との間に形成することによっ
て、被帯電体を帯電させることができる。
【0006】以下に接触帯電部材の構成例を示す。
【0007】図4は、帯電部材としての帯電ローラの縦
断面図である。帯電ローラ6は、支持部材(芯金)であ
る導電性基体3と、被帯電体面と均一なニップを形成す
るために必要な弾性を有する導電性弾性層4と、帯電ロ
ーラ6の抵抗を制御する中抵抗の帯電層7で構成されて
いる。
【0008】弾性層4は、アクリルゴム、ウレタンゴム
及びシリコーンゴムなどのソリッド状ゴムに金属酸化物
やカーボンブラックなどの導電性フィラーが分散された
導電体である。
【0009】帯電層7は、一般に中抵抗体であり、被帯
電体にピンホールなどの欠陥が発生しても画像領域に帯
電不良が生じないように構成されている。中抵抗体とし
ての帯電層は、アクリル樹脂、ナイロン、ポリエステ
ル、ポリウレタン、フェノール樹脂及びスチレン樹脂な
どの樹脂に、酸化チタンや酸化スズなどの金属酸化物や
カーボンブラックなどの導電性フィラーを分散させた混
合溶液が、ディッピングコート、スプレーコート及びロ
ーラ転写コート法などの手段を用いて表面にコートされ
ている。
【0010】次に、上記接触帯電ローラを備える画像形
成装置の説明として、反転現像方式を採用するレーザー
ビームプリンターの構成例を示す。
【0011】まず図6は、接触帯電装置8の構造を示し
ている。帯電ローラ6は、被帯電体である感光体9に略
平行に配設され、一定の当接ニップ幅で感光体に圧接さ
れる。ここで、圧接は帯電ローラの導電性基体の両端部
に位置する加圧バネ10によって行われている。この加
圧状態で帯電ローラは所定のプロセススピードで回転す
る感光体に従動回転して感光体の表面を逐次帯電させ
る。ここで、17は電源である。
【0012】図5は、上記接触帯電部材を有するプロセ
スカートリッジを有するレーザービームプリンターの概
略図である。接触帯電部材6で帯電処理された感光体9
はレーザー光11により走査露光され、感光体表面に静
電潜像が形成される。静電潜像は、現像装置12により
トナー像として現像(反転現像)され、トナー像は、転
写装置13と感光体との圧接部に給送されてくる転写材
14に転写される。ここで感光体上の転写残トナーはク
リーニング装置15によって除去され、感光体は次の画
像形成に備えられる。トナー像が転写された転写材は定
着装置16に搬送され、トナー像の定着を受けた後、複
写物となって機外に排出される。なお、電子写真感光体
9、帯電部材6、現像装置12及びクリーニング装置1
5は一体に支持されプロセスカートリッジ18として、
レール19などの案内手段を用いてプリンター本体に着
脱自在になっている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記した樹
脂と導電性フィラーからなる帯電層を有する接触帯電部
材を、長期間使用すると、感光体を磨耗させ、帯電性が
低下してしまうことがあった。
【0014】磨耗の原因のひとつとしては、接触帯電部
材の圧接回転が指摘されている。しかし、接触帯電にお
いて、十分な帯電性を得るには帯電部材を感光体に均一
に接触させることが条件となるために、帯電部材の感光
体へのある程度の加圧は必要不可欠な手段とされてい
る。
【0015】また、上記の接触帯電部材は、その表面に
転写残トナーや感光体の削れ粉などが付着すると、帯電
部材の表面抵抗が変化し、帯電性が低下してしまうこと
があった。
【0016】米国特許第4371252号明細書及び特
開平6−274009号公報には、導電性繊維からなる
帯電部材が開示されている。部材構成は、前者が、基
体、弾性層、電極層及び接触層であり、感光体に当接し
帯電を行う接触層が導電性の繊維集合体からなる。後者
は、導電性ホルダー、弾性芯材及び感光体に当接する導
電性不織布からなる。繊維部材は、前記の樹脂層に比べ
感光体の磨耗性が少ないため表面削れ防止が期待されて
いる。
【0017】しかしながら、一般に紡糸した状態の繊維
は被帯電体との接触性が低く、十分な帯電性が得られな
いことが多い。そこで、繊維部材による接触帯電では、
被帯電体との当接圧を大きくしたり、または当接面積
(ニップ)を広くすることにより帯電性の低下を防止し
ているのが現状である。そのために感光体の表面削れを
長期的に防止することはやはり困難であった。また、感
光体との接触性が不十分なために転写残トナーなどが繊
維部材に付着すると、帯電性が低下する欠点も指摘され
ている。
【0018】また、感光体の表面削れを防止する目的で
低い圧接力でも十分な接触が得られる低硬度ゴムや発泡
体からなる弾性層を採用した帯電部材も提案されてい
る。弾性層の低硬度化により、従来品に比べると感光体
削れは緩和される方向にあるが、樹脂層からなる帯電層
と感光体との間に働く摩擦の影響のため、根本的な削れ
防止には至っていない。
【0019】一方、接触帯電は、放電を利用する通常の
ものと、特開平6−3921号公報や特開平7−574
8号公報などに記載されるような感光体の表面層として
電荷注入層を設け、帯電部材からその層に直接電荷を注
入する注入帯電に大別される。注入帯電は放電を利用し
ないので、印加電圧の低減やオゾン生成物の発生の防止
などの点で非常に優れる。
【0020】しかしながら、注入帯電の場合、帯電部材
と電荷注入層の注入点との接触点でのみ電荷が注入され
るため、帯電部材の接触性が帯電性に与える影響は通常
の接触帯電に比較して非常に大きいものになる。従っ
て、注入帯電においては、上述のような表面が樹脂層や
通常のブラシ接触子である従来の帯電部材では、十分な
接触性が得にくいことに起因する帯電性の低下という問
題がより顕著に生じ易い。
【0021】従って、本発明の目的は、被帯電体に対す
る接触性に優れた帯電部材を提供することにある。
【0022】また、本発明の目的は、被帯電体の表面を
削りにくい帯電部材を提供することにある。
【0023】また、本発明の目的は、繰り返し使用して
も被帯電体を均一に帯電することができる帯電部材を提
供することにある。
【0024】また、本発明の目的は、上記帯電部材を有
するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供する
ことにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、被帯電
体に接触配置され、電圧を印加されることにより該被帯
電体を帯電する帯電部材において、導電性基体及び該被
帯電体に接触するブラシ接触子を有し、該ブラシ接触子
がエッチング繊維及び複合繊維を開繊することによって
得られる分割繊維の少なくとも一方の繊維を有すること
を特徴とする帯電部材である。
【0026】また、本発明は、上記帯電部材を有するプ
ロセスカートリッジ及び電子写真装置である。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明に用いられるブラシ接触子
とは、ブラシを形成するために織布、不織布及びシート
状物などの基布にW字型織りや、V字型織りなどの手法
により織り込まれたフィラメント状のもの、あるいは静
電植毛や接着により植毛されたフィラメント状のものを
いう。
【0028】本発明においては、ブラシ接触子の平均径
Fが、 0.05μm≦F≦30μm であることが好ましい。上記の範囲では、感光体との接
触性が特に優れ、高温高湿や低温低湿などの特別な環境
下においても長期的に均一帯電を維持することができ
る。更に、比表面積も大きくなるので、微小体の吸着性
やクリーニング性に優れた効果を発揮し、感光体上の転
写残トナーなどを効果的に除去することもできる。ここ
で、上記の平均径Fは、電子顕微鏡撮影を行い、任意に
10箇所を選び、更に1箇所につき10本の繊維径を測
定した各測定値(n=100)の平均値とした。
【0029】本発明において、平均径Fが0.05μm
より小さくなると、感光体削れ防止には問題はないが、
耐久強度が低下する傾向にあり、耐久中、初期の画質を
維持することが困難になることがある。また、平均径F
の増加と共に被帯電体との接触面積は減少し、特に平均
径Fが30μmを越えると、均一帯電を達成させるため
により高い電圧印加が必要になってくる。
【0030】本発明のブラシ接触子を有するブラシの抵
抗Rは、1×103 Ω≦R≦1×109 Ωであることが
好ましい。抵抗Rを1×103 Ωより小さくすると、感
光体にピンホールが存在した場合にリークが発生するこ
とがあり、その場合は帯電不良となってしまう。また、
抵抗Rを1×109 Ωより大きくすると、均一帯電が困
難になる。
【0031】ここで、ブラシ接触子を有するブラシの抵
抗は、導電性金属回転体に当接させ、DC100V印加
時の電流値から算出した値である。
【0032】本発明におけるエッチング繊維とは、複数
成分の中から特定成分のみを酸やアルカリを用いて化学
的に除去することによって得られる繊維であり、合成繊
維、天然繊維、半合成繊維及び再生繊維などが挙げられ
る。
【0033】具体例を挙げると、まず合成繊維として
は、例えばナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−
12、ナイロン−46、アラミド系などのポリアミド
類、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリ
エステル類、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン
(PP)などのポリオレフィン類、ポリビニールアルコ
ール系、ポリ塩化ビニールやビニリデン系、ポリアクリ
ロニトリル系、ポリフェニレンサルファイド、ポリウレ
タン、ポリフルオロエチレン、炭素繊維、ガラス繊維な
どがある。天然繊維としては、例えば、絹、綿、羊毛、
麻などがある。半合成繊維としてはアセテートなど、ま
た再生繊維としては、レーヨン、キュプラなどがある。
【0034】本発明においては、上述の繊維の原材料の
中から二種類以上の原材料を複合紡糸して得られる複合
繊維を用いる。化学エッチング可能な複合繊維として
は、単一の極細繊維が得られる芯鞘繊維、複数の極細繊
維が得られる海島繊維などがある。これらの複合繊維
は、例えば、ポリエステル系の加水分解性樹脂とポリア
ミド系、ポリオレフィン系、ポリアクリル系などの非加
水分解性樹脂を複合紡糸した繊維であり、酸またはアル
カリなどで加水分解することにより非加水分解性樹脂か
らなる繊維が得られる。加水分解性樹脂は他には、溶剤
溶解性樹脂と非溶解性樹脂の複合繊維などもある。
【0035】例えば、海島繊維の場合、海部を加水分解
性樹脂のPET、複数存在する島部を非加水分解性樹脂
のナイロン−6としアルカリ性の水酸化ナトリウムまた
は水酸化カリウム水溶液で加水分解することにより、海
部のPET成分が分解除去され複数のナイロン−6の島
部が極細繊維として得られる。
【0036】一方、本発明における分割繊維とは、熱収
縮率の差や、外的な力を利用して分割することによって
得られる繊維であり、上述のような合成繊維、天然繊
維、半合成繊維及び再生繊維などが挙げられる。
【0037】具体的には、非相溶性の熱可塑性樹脂を複
合紡糸した後、延伸、熱処理が施してあり、加熱を行う
と各部分の収縮率の差により開繊、分割される。ここ
で、非相溶性の熱可塑性樹脂の組み合わせとしては、例
えば、一方がポリエステル、他方がナイロンやポリプロ
ピレンなどである。
【0038】また、高圧の水流噴射やニードルパンチ法
により繊維を極細繊維群に開繊する。この場合、より効
率的に開繊が行われるように、上記した熱収縮率を利用
した極細繊維発生型複合繊維を用いることができる。こ
こで、非相溶性の熱可塑性樹脂の組み合わせとしては、
例えば、一方がポリエステル、他方がナイロンやポリプ
ロピレンなどである。
【0039】エッチング繊維や分割繊維は繊維表面に微
細な凹凸を有しているので、被帯電体との接触性が非常
に高く、均一な帯電が可能である。その効果は、注入帯
電に適用したときに特に顕著である。
【0040】本発明においてはブラシ接触子に導電性を
付与する方法として、導電性を有する樹脂自体を用いる
以外に、例えば鉄、銅及び銀などの金属粉体、酸化亜
鉛、酸化すず、酸化チタン及び硫化銅などの複合金属
粉、カーボンブラックなどの導電性カーボン粉に代表さ
れる導電性フィラーを前記した各種繊維の材料に混合し
て紡糸した練り込み繊維を用いる方法、電子共役性ポリ
マーなどの導電性ポリマーを付与して導電処理する方法
などを挙げることができる。中でも導電性カーボン粉の
練り込み及び電子共役性ポリマーによる導電処理が好ま
しく、より好ましくは電子共役性ポリマーによる導電処
理である。
【0041】好ましい電子共役性ポリマーとしては、例
えばポリピロール、ポリチオフェン、ポリキノリン、ポ
リフェニレン、ポリナフチレン、ポリアセチレン、ポリ
フェニレンスルフィド、ポリアニリン、ポリフェニレン
ビニレン、ピロール及びチオフェンの誘導体を含む重合
体などが挙げられる。これらは、単独または2種類以上
組み合わせて用いることができる。中でも、ポリマー分
子中に複素環式化合物を含むポリピロール、ポリチオフ
ェン、窒素原子と同素環式化合物を含むポリアニリン及
びこれらの誘導体を含む重合体は、帯電部材として耐高
電圧性に優れ、また、抵抗変化が少なく長期的に安定な
抵抗値を維持することができるので特に好ましい。
【0042】その付与方法としては、例えば 1)繊維に重合触媒を含浸もしくはコートし、その後、
導電性ポリマーの前駆体であるモノマーを接触させ繊維
表面で重合を行う方法。
【0043】2)上記モノマーを予め繊維に含浸もしく
はコートした後、重合触媒と接触させ繊維表面で重合を
行う方法。
【0044】3)導電性ポリマーを溶媒に溶解させ、繊
維に直接、含浸もしくはコートする方法。 などが挙げられる。ここで、モノマーは、蒸気または溶
液状態であり、含浸もしくはコートの手段としては、デ
ィッピング、スプレーコート及びローラ転写などが挙げ
られる。
【0045】繊維への導電性ポリマーの付与は、繊維単
体、ブラシ繊物及び帯電部材加工後など、どの製造工程
においても可能である。
【0046】次に導電性ポリマーの具体的な付与方法を
例に挙げて説明する。
【0047】例えば、ポリピロールを付与する場合は、
10重量%の塩化第二鉄水溶液(酸化触媒)中にPET
繊維を2時間浸し塩化鉄を吸着させる。次に、風乾また
はロールプレスで過剰の水溶液成分を除去する。これを
ピロールモノマー蒸気で満たされた密閉容器内にセット
する。ピロールモノマーは繊維上で気相重合され導電性
ポリピロールが生成する。この時、ピロールモノマーの
仕込量(濃度)、気相重合時間、重合触媒の付与量、重
合反応温度等を調整することで任意の導電性が得られ
る。反応後、繊維は十分に洗浄し、加熱乾燥する。乾燥
したブラシは、高湿度条件下で遠心回転させるなどの手
段により、繊維を直毛状態から斜毛状態まで自由に調整
することができる。
【0048】ピロールモノマーの重合反応においては、
重合触媒を付与した繊維を液状のピロールモノマー中に
直接浸漬させてもよい。この場合、液状ピロールモノマ
ーを適当な溶媒で希釈したり重合反応時間により抵抗値
が調整できる。
【0049】次に、可溶性導電性ポリマーとしてポリア
ニリンの付与方法を説明する。
【0050】まず、可溶性のポリアニリンは、アニリン
をペルオキソ二硫酸アンモニウム(酸化剤)と硫酸(プ
ロトン酸)の存在下で化学酸化重合し、これをアンモニ
ア水で処理することにより得られる。得られたポリマー
は、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液に溶解
させ約1重量%〜10重量%に調製する。これを、繊維
集合体にスプレーコートし、その後、溶媒を除去(加熱
乾燥、真空乾燥)することにより繊維集合体を導電化で
きる。ここで、ポリアニリンの溶媒には、NMPが最適
であるが、その他にN,N−ジメチルアセトアミドや
N,N−ジメチルホルムアミドなども用いることができ
る。
【0051】また、繊維は、導電性ポリマー前駆体のモ
ノマー、重合触媒及び導電性ポリマー溶液の含浸やコー
ト性を良好にする目的で、酸、アルカリあるいは有機溶
剤でエッチングしたり、カップリング剤などを用いて改
質することも可能である。
【0052】本発明に用いられるブラシ接触子を織り込
んだり植毛する基布としては、前述のような合成繊維、
天然繊維、半合成繊維及び再生繊維などを平織りなどの
手法で織った織布、これらの繊維を短繊維化したものか
ら得られる不織布、及び樹脂やゴムをシート状にしたも
のなどが挙げられる。
【0053】また、導電性基体としては、アルミニウ
ム、アルミニウム合金及びステンレスなどの金属や合
金、及び導電性カーボンブラック、金属及び導電性金属
酸化物などの導電性粒子を分散した樹脂などが挙げられ
る。その形状としては、棒状、及び平板やへの字型など
のブレード状などが挙げられる。
【0054】本発明においては、ブラシ接触子を有する
基布と導電性基体との間に導電性弾性層を設けることも
可能である。用いられる弾性材料としては、例えばEP
DM、NBR、ブチルゴム、アクリルゴム、ウレタンゴ
ム、ポリブタジエン、ブタジエンスチレンゴム、ブタジ
エンアクリロニトリルゴム、ポリクロロプレン、ポリイ
ソプレン、クロルスルホン化ポリエチレン、ポリイソブ
チレン、イソブチレンイソプレンゴム、フッ素ゴム及び
シリコーンゴムなどの合成ゴムや天然ゴムなどが挙げら
れる。これらの弾性材料は、必要に応じ発泡剤などを用
いて適当なセル径に発泡させても良い。弾性材料は、導
電性フィラーにより容易に導電化できるが、このような
導電性フィラーとしては、例えばアルミニウム、ニッケ
ル、ステンレス、パラジウム、亜鉛、鉄、銅及び銀など
の金属系の粉体や繊維、酸化亜鉛、酸化すず、酸化チタ
ン、硫化銅及び硫化亜鉛などの複合金属粉、及びアセチ
レンブラック、ケッチェンブラック、PAN系カーボン
及びピッチ系カーボンなどのカーボン粉が挙げられ、こ
れらを単独または2種類以上組み合わせて用いることが
できる。
【0055】本発明のブラシ接触子を有する帯電部材の
形態としては、例えば、ローラ形状、ブレード形状及び
ベルト形状などが挙げられるが、中でもローラ形状及び
ベルト形状が好ましい。以下に、本発明の帯電部材の構
成例を示す。
【0056】図1は、帯電ブラシローラ1である。基布
上に植毛されたブラシ接触子2を導電性基体(芯金)3
に巻き付けた構成である。巻き付ける手段としては、例
えば、短幅のブラシ接触子織物をスパイラル状に巻き付
ける方法、ブラシ幅に相当する広幅の織物を芯金に張り
合せる方法などが挙げられる。
【0057】図2は、帯電ブレードであり、ブレード状
の導電性基体3に基布上に植毛されたブラシ接触子2を
張り合せた構成である。ブレードは、振動機(不図示)
の連結により感光体表面上を前後左右に振動移動させる
ことも可能である。
【0058】図3は、ベルト形状の帯電部材である。2
はブラシ接触子、4はベルト形状の導電性弾性層であ
り、ベルト4は駆動ロールとしての導電性基体3と従動
ロール5により固定、回転される。ベルト4に本発明の
ブラシ接触子が張り合わされるが、その手段としては、
例えば、前記図4と同様に、短幅のブラシ接触子織物を
スパイラル状に巻き付ける方法、広幅の織物をベルト回
転体形状に合わせ筒状に成形する方法などが挙げられ
る。ベルトは、図3に示す2軸式固定ベルの他に、図3
の駆動ロール位置に従動ロールを入れ替え、新たに駆動
ロールを設置した3軸式固定ベルトまたは3軸以上の固
定ベルトを採用することも可能である。
【0059】本発明において用いられる被帯電体として
の感光体は、いずれのものでも良く、導電性支持体上に
少なくとも感光層を有し、必要に応じて感光層上に保護
層や電荷注入層を設けることができる。
【0060】電荷注入層は、十分な帯電性を得、画像流
れをおこさない条件を満足するために、体積抵抗値が1
×108 Ωcm〜1×1015Ωcmの範囲に調整される
ことが好ましいが、特には、画像流れ防止の点から、1
×1010Ωcm〜1×1015Ωcmであり、更には急激
な環境変動下でも画像流れや帯電不良が発生しないよう
に、1×1012Ωcm〜1×1015Ωcmであることが
好ましい。
【0061】ここで、1×108 Ωcmより小さい体積
抵抗値では静電潜像を保持できずに画像流れが発生し易
く、1×1015Ωcmより大きい抵抗値であると帯電部
材からの電荷を十分受け取ることができず、帯電不良を
生じる傾向にある。
【0062】電荷注入層の体積抵抗は、表面に導電膜を
蒸着させたポリエチレンテレフタレート(PET)上に
電荷注入層を作成し、これを体積抵抗測定装置(ヒュー
レットパッカード社製4140B pAMATER)に
より23℃、65%の環境で100Vの電圧を印加する
ことにより測定した。
【0063】本発明の電荷注入層としては、 1)絶縁性の結着樹脂に光透過性でかつ導電性の粒子を
適量分散させた樹脂層、 2)半導体などで構成された無機層、 3)導電性高分子からなる有機層、などを挙げることが
できる。
【0064】このような電荷注入層を感光体表面に設け
ることによって、帯電部材より印加された電荷を90%
以上の高い効率で保持する役割を果たし、像露光時に
は、この電荷を感光体支持体に逃がす役割を果し、残留
電位を低減させることができる。
【0065】具体的に電荷注入層を説明する。
【0066】まず、上記1)の導電性微粒子と結着樹脂
からなる樹脂層の場合、結着樹脂には、ポリエステル樹
脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、フッ素
樹脂、セルロース、塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹
脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ア
ルキド樹脂及び塩化ビニル−酢酸ビニール共重合体樹脂
などの樹脂を用いることができる。導電性微粒子として
は、銅、アルミニウム、銀及びニッケルなどの金属、酸
化亜鉛、酸化すず、酸化アンチモン、酸化チタン、ある
いはこれらの固溶体、もしくは融着体などの金属酸化
物、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリピロールな
どの導電性ポリマーなどが使用できるが、感光体の透過
性の観点から透明度の高い酸化すずなどの金属酸化物を
選択使用することがより好ましい。
【0067】これら導電性微粒子の粒径は、透過性の観
点から0.3μm以下が好ましく、特には0.1μm以
下であることが好ましい。電荷注入層に含有させる場
合、導電性微粒子の含有量は、その粒径にも依存する
が、結着樹脂に対し2〜280重量%の範囲が好まし
い。含有量が2重量%未満では、電荷注入層の抵抗調整
が困難となることがあり、また、280重量%を越える
と結着樹脂の塗膜性が部分的に低下することがある。
【0068】導電性微粒子の分散性向上、結着樹脂との
接着性、あるいは成膜後の塗膜平滑性向上を目的とし
て、種々の添加剤を加えることができる。また、分散性
の向上に関しては、カップリング剤あるいはレベリング
剤などにより、導電性微粒子の表面改質を行うことは非
常に有効である。更には、分散性向上の点から、結着樹
脂として硬化型樹脂を用いることが効果的である。
【0069】硬化型樹脂を電荷注入に用いる場合には、
導電性微粒子を硬化性モノマーまたはオリゴマーの溶液
中に分散下塗工液を感光層上に塗布、成膜後、熱または
光照射によって該塗膜を硬化させて表面層とする。この
ような硬化型樹脂としては、例えばアクリル樹脂、エポ
キシ樹脂、フェノール樹脂及びメラミン樹脂などが挙げ
られるが、これに限ったわけではなく、塗布成膜後に光
または熱などのエネルギーを与えることにより化学反応
を起こし硬化する樹脂であれば使用可能である。
【0070】上記電荷注入層は、結着樹脂、導電性微粒
子及び必要に応じ添加剤を加えた、適当な溶液または分
散溶液を感光体上に塗布乾燥することにより得られ、こ
の膜厚は、好ましくは0.1〜10μm、特には0.5
〜5μmであることが好ましい。
【0071】ここで、上記電荷注入層には滑材粉末を含
有させてもよい。感光体と帯電部材との摩擦、または感
光体とクリーニング部材との摩擦が低減され、電子写真
装置の力的負荷が軽減できる。また、感光体表面の離型
性が向上するため、現像剤粒子(トナー)の付着が防止
できる。このような滑剤粒子としては、臨界表面張力の
低い、フッ素樹脂、シリコーン樹脂またはポリオレフィ
ン樹脂を用いるのが好ましい。特に好ましくは、4フッ
化ポリエチレン樹脂である。この場合、滑剤粉末の添加
量は、好ましくは結着樹脂に対して2〜50重量%、よ
り好ましくは5〜40重量%である。2重量%未満では
帯電性の向上効果が十分でなく、また、50重量%を越
えると、画像の分解能、感光体の感度が低下する傾向に
ある。
【0072】次に、前記2)の無機系材料からなる電荷
注入層としては、例えばアモルファスシリコンなどの半
導電体を挙げることができる。
【0073】シリコン製の感光体は、下層の感光層に光
導電化されたアモルファスシリコンを選択することによ
り、高周波グロー放電分解によりプラズマ化学気相堆積
装置を用いて連続的に作製できる。
【0074】前記3)の導電性高分子からなる電荷注入
層としては、例えばポリピロール、ポリチオフェン及び
ポリアニリンなどの電子共役性ポリマー及び有機ポリシ
ラン類などを挙げることができる。
【0075】本発明の感光層は、電荷発生層と電荷輸送
層を有する積層型でも電荷発生物質及び電荷輸送物質を
同一層に含有する単層型でも良い。ここで、電荷輸送層
の膜厚は、5〜40μm、電荷発生層のμmは、0.0
5〜5μmの範囲に設定することが好ましい。
【0076】電荷発生物質としては、例えば、フタロシ
アニン顔料及びアゾ顔料などの有機系材料、シリコン化
合物などの無機系材料などが挙げられる。
【0077】また、電荷輸送物質としてはヒドラゾン化
合物、スチリル化合物、トリアリールアミン化合物及び
トリアリールメタン化合物などが挙げられる。
【0078】更に、電荷注入層と感光層あるいは導電性
支持体と感光層の間に中間層を設けることもできる。中
間層は、各層の接着性を高め、あるいは電荷のバリアー
層として機能させることを目的とする。中間層として
は、例えばエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミ
ド樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂及びシリコー
ン樹脂などの樹脂材料が使用可能である。
【0079】また、感光体用の導電性支持体としては、
アルミニウム、ニッケル、ステンレス及びスチールなど
の金属、導電性膜を有するプラスチックあるいは硝子、
導電化した紙などを用いることができる。
【0080】以下、実施例により本発明を更に詳細に説
明する。
【0081】
【実施例】
(実施例1)ポリエチレンテレフタレートが海部、ナイ
ロン−66が島部(エレメント数15)である海島型複
合繊維(平均径25μm)をナイロン繊維の基布にU字
型に織り込みブラシを作製した(ブラシ接触子長3m
m)。
【0082】これを、90℃に調整した濃度3重量%の
水酸化ナトリウム水溶液中に投入し、20分間加水分解
処理した。これを希塩酸で中和した後、乾燥して単糸平
均径0.5μmの極細ナイロン繊維をブラシ接触子とし
て有するブラシを得た。これをステンレス製の直径10
mm金属芯(導電性基体)に巻き付けてローラ形状の帯
電部材を作製した。
【0083】上記帯電ローラを回転体にセットし、NM
Pに溶解させた導電性ポリアニリンをスプレーコートし
た。乾燥後、ブラシは室温で4×104 Ωの抵抗値を示
した。
【0084】この帯電ローラをK−1とする。
【0085】(実施例2)ポリエチレンテレフタレート
とポリプロピレンからなる平均径20μmの中空環状サ
イドバイサイド型の複合繊維(エレメント数8)をナイ
ロン繊維の基布にU字型に織り込みブラシを作製した
(ブラシ接触子長3mm)。
【0086】これを濃度1重量%の水酸化カリウム水溶
液を用いて110℃で加水分解処理し、単糸平均径1μ
mの極細ポリプロピレン繊維をブラシ接触子として有す
るブラシを得た。
【0087】上記ブラシを塩化第2鉄水溶液(濃度10
重量%)に30分間含浸させた後、ピロール蒸気で満た
された密閉容器内(15℃)にセットし、一時間ピロー
ル蒸気と接触(気相酸化重合)させた。反応後、エタノ
ールでそれぞれ十分に洗浄してから100℃で乾燥し
た。乾燥後、ブラシは室温で5×106 Ωの抵抗値を示
した。
【0088】これを、厚さ2mmのブレード形状のステ
ンレス板(導電性基体)に張り付け、ブレード型の帯電
部材を作製した。この帯電ブレードをK−2とする。
【0089】(実施例3)ポリエチレンテレフタレート
が鞘部、ポリアクリロニトリルが芯部である芯鞘型複合
繊維(平均径13μm)をナイロン繊維の基布にU字型
に織り込みブラシを作製した(ブラシ接触子長3m
m)。
【0090】これを濃度1重量%の水酸化カリウム水溶
液を用いて100℃で加水分解処理し、単糸平均径2μ
mの極細ポリアクリロニトリル繊維をブラシ接触子とし
て有するブラシを得た。
【0091】上記ブラシを塩化銅水溶液(濃度20重量
%)に30分間含浸させた後、ピロール蒸気で満たされ
た密閉容器内(25℃)にセットし、2時間ピロール蒸
気と接触(気相酸化重合)させた。反応後、純水とエタ
ノールでそれぞれ十分に洗浄してから100℃で乾燥し
た。乾燥後、ブラシは室温で5×105 Ωの抵抗値を示
した。
【0092】次に、直径6mmのステンレス金属芯(導
電性基体)に弾性層として導電性酸化チタンと導電性カ
ーボンブラックを混合分散したシリコーンゴムを円心状
に形成した。
【0093】この弾性層に上記導電化済のブラシを巻き
付けローラ形状の帯電部材を作製した。これをK−3と
する。
【0094】(比較例1)加水分解処理を行わなかった
以外は実施例3と同様にしてブラシを得た。
【0095】上記ブラシを直径10mmのステンレス製
金属芯に巻き付けることによって、ローラ形状の帯電部
材を作成した。
【0096】この帯電ローラをH−1とする。
【0097】(評価方法)帯電部材(K−1、2、3及
びH−1)を図5に示す電子写真装置(レーザービーム
プリンター)に装着し、圧接荷重1kgで感光体に接触
させた。なお、感光体は電荷注入層を持たず、電荷輸送
層を表面層として有するものを用いた。
【0098】電子写真装置(レーザープリンター)は、
プロセススピードを16枚/min、解像度を600d
piに設定し、感光体の回転に対し従動回転する帯電ロ
ーラに所定の電圧を印加し画像出し耐久試験を行った。
【0099】なお、帯電ブレードについては、ローラ専
用の接触帯電装置を改良した保護治具に取付け、感光体
に対し固定状態で当接させた。
【0100】画像出し環境は高温高湿H/H(32.5
℃、85%)、常温常湿N/N(23℃、60%)及び
低温低湿L/L(15℃、10%)とした。
【0101】印加電圧はAC+DC重畳(AC1.4k
Vpp+DC−700V)及びDC帯電(DC−140
0V)とした。
【0102】耐久枚数は2万枚とした。
【0103】画像評価はリフレクメーター(東京電色株
式会社製、TC−6DS)を使用し、プリント後の転写
紙白部の白色度とプリント前の転写紙の白色度を測定
し、両者の差からカブリ(%)を算出することにより行
った。カブリは、5%以上になると画質的に問題とな
る。
【0104】評価項目は、以下の2項目である。 1)ドラム削れ起因のカブリとして、耐久前後の画像カ
ブリ評価。 2)DC帯電による初期画像のカブリ評価。
【0105】画質は、カブリ5%を境界とする4段階で
評価した(表1)。
【0106】
【表1】
【0107】(評価結果)実施例及び比較例の評価結果
を表2に整理した。
【0108】本発明の帯電部材は、耐久中、感光体削れ
に起因したカブリは発生せず、長期的に均一な帯電が行
われた。
【0109】また、DC印加による帯電でも画像カブリ
は5%未満であり、良好な帯電性が認められた。
【0110】これに対し、繊維を化学エッチングするこ
となく帯電部材としたH−1は、耐久により感光体の表
面削れが進行し帯電不良となった。特にH/H環境にて
帯電性の著しい低下が認められた。
【0111】比較例の帯電部材は、DC帯電では帯電性
が低くカブリが目立った。
【0112】
【表2】
【0113】(感光体製造例1)φ30mmのアルミニ
ウムシリンダー上に以下の5層を設けた。アルミニウム
シリンダーから順に第1、2、3、4そして5層とす
る。
【0114】第1層は導電層である。アルミニウムシリ
ンダーの欠陥などをならすため、またレーザ露光の反射
によるモアレ発生を防止するために導電性を有する厚さ
20μmの導電性粒子分散樹脂層を設けた。
【0115】第2層は正電荷注入防止層(下引層)であ
る。アルミニウムシリンダー側から注入された正電荷が
感光体表面に帯電された負電荷を打ち消すことを防止す
る目的で、106 Ωcmオーダーに抵抗調整したアミラ
ン樹脂とメトキシメチル化ナイロンからなる厚さ約1μ
mの層を形成した。
【0116】第3層は電荷発生層である。ジスアゾ系顔
料を分散した厚さ約0.3μmの樹脂層であり、レーザ
ー露光により正負の電荷対を発生させることができる。
【0117】第4層は電荷輸送層である。ポリカーボネ
ート樹脂にヒドラゾンを分散し、厚さ20μmのP型半
導体層を形成した。この層は、電荷発生層で発生した正
電荷を感光体表面に輸送する機能を有し、感光体表面に
帯電された負電荷は、この層を移動することはできな
い。
【0118】第5層は電荷注入層である。光硬化性アク
リル樹脂に酸化すずを分散した厚さ3μmの導電性を有
する樹脂層である。本発明に用いた酸化すずは、アンチ
モンをドーピングして導電化した粒径約0.03μmの
超微粒子であり、結着樹脂である光硬化性アクリル樹脂
に対して160重量%分散した。電荷注入層は、表面滑
り性向上の目的で、4フッ化エチレン樹脂粒子を25重
量%、分散剤を1重量%分散した。感光体表面層の体積
抵抗値は3×1013Ωcmであった。
【0119】この感光体を、感光体−1とする。
【0120】(感光体製造例2)第5層のSnO2 粒子
を光硬化性のアクリル樹脂に対して250重量%分散し
た以外は、感光体製造例1と同様に作製した。感光体表
面層の体積抵抗値は2×109 Ωcmであった。
【0121】この感光体を、感光体−2とする。
【0122】(感光体製造例3)鏡面加工を施したφ3
0mmのアルミシリンダーにグロー放電法を用いて、阻
止層、光導電層、表面層(電荷注入層)からなるアモル
ファスシリコン感光体を作製した。
【0123】まず、反応室を約5×10-3Paに排気し
てから、250℃に調温されたアルミシリンダー表面
に、SiH4 ,B26 ,NO及びH2 の各種ガスをフ
ロー式で反応室に送り込んだ。30Pa程度の内圧に達
したところでグロー放電を生起させ、厚さ5μmの阻止
層を形成した。
【0124】次に、阻止層の形成と同様な方法で、Si
4 及びH2 ガスを使用し、約50Paの内圧条件下で
厚さ20μmの光導電層を形成した。
【0125】更に、SiO4 ,CH4 及びH2 ガスを使
用し、約60Paの内圧条件下でグロー放電させて、厚
さ0.5μmのSiとCからなる表面層を形成し、アモ
ルファスシリコン感光体を作製した。感光体表面層の体
積抵抗値は8×1012Ωcmであった。
【0126】この感光体を、感光体−3とする。
【0127】(実施例4)ポリエチレンテレフタレート
(PET)とナイロン−6からなるオレンジ型断面形状
を有する分割繊維(分割後の繊維径1.5μm)をナイ
ロン繊維の基布に織り込みブラシを作製した。これに高
圧水流を噴射し分割繊維を開繊した。
【0128】次に、得られたブラシを濃度15重量%の
塩化第二鉄水溶液に2時間含浸させてから、ピロールモ
ノマー蒸気で満たされた密閉容器に入れ、3時間重合反
応を行い、繊維表面にポリピロールを形成させた。反応
後、純水とエタノールで十分に洗浄し110℃で乾燥し
た。乾燥したブラシを直径12mmの芯金にスパイラル
状に巻き付け帯電部材とした。更に、この帯電部材を水
蒸気で満たした恒温室で回転させブラシ繊維の直毛化及
び開繊状態を均一化した。
【0129】繊維密度は110万本/inch2 、ブラ
シ接触子長は3.5mm、帯電部材の抵抗は3×106
Ωであった。
【0130】(実施例5)PETが海部、ナイロン−6
6が島部である海島型複合繊維をナイロン繊維の基布に
U字型で織り込みブラシを作製した。
【0131】ブラシを80℃に調整した濃度2重量%の
水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬し、1時間処理した。
これを希塩酸で中和した後、乾燥し繊維径0.7μmの
極細ナイロン繊維をブラシ接触子として有するブラシを
得た。
【0132】得られたブラシを直径6mm芯金に巻き付
け帯電部材とした。
【0133】上記帯電部材を回転体にセットし、NMP
に溶解させた導電性ポリアニリン(2重量%)をスプレ
ーコートした。
【0134】繊維密度は150万本/inch2 、ブラ
シ接触子長は3.0mm、帯電部材の抵抗は7×108
Ωであった。
【0135】(実施例6)PETとポリプロピレンから
なる複合繊維をナイロン繊維の基布にU字型に織り込み
ブラシを作製した。これを濃度1重量%の水酸化カリウ
ム水溶液(90℃)を用いてPET成分を溶解除去し、
繊維径1μmの極細ポリプロピレン繊維をブラシ接触子
として有するブラシを得た。
【0136】上記ブラシをシランカップリング剤(アミ
ノプロピルトリメトキシシラン類)で親水化処理した
後、塩化第二鉄水溶液(濃度10重量%)に1時間含浸
させた。これを、ピロール蒸気で満たされた密閉容器内
(20℃)にセットし、1時間ピロール蒸気と接触(気
相酸化重合)させた。反応後、純水とエタノールでそれ
ぞれ十分に洗浄してから、110℃で乾燥した。
【0137】繊維密度は80万本/inch2 、ブラシ
接触子長は3.0mm、帯電部材の抵抗は2×107 Ω
であった。
【0138】(実施例7)実施例4と同様な方法でブラ
シを作製した。ブラシの基布側を2軸式回転ベルトの従
動ゴムベルト表面に張り合せベルト形状の帯電部材とし
た。
【0139】ベルトは、感光体に10mmのニップ幅が
されるように直径6mmの駆動及び従動ロールを調整し
固定した。一方の芯金を外部駆動機に連結し、ベルトを
感光体回転方向に対し対向で回転させた。ここで、駆動
及び従動ロールは、ステレンス芯金に0.2μmの導電
性ゴムシートを巻き付けて使用した。
【0140】(比較例2)直径6mmのステレンス製芯
金に、ケッチェンブラックとカーボンブラックを混合分
散したEPDM発泡体(平均発泡セル径90μm)を円
心状に形成した。これを外径13mmに研磨し、帯電部
材とした。部材の抵抗は7×104 Ωであった。
【0141】(比較例3)比較例1で作製したブラシを
用いた以外は、実施例4と同様な方法で帯電部材を作製
した。
【0142】(比較例4)水系アクリル樹脂に酸化すず
スラリーを固形分で30重量%混合した溶液を、比較例
2と同様な方法で作製した発泡体ローラ表面にディッピ
ングコートし、帯電部材とした。
【0143】表面層膜厚は70μm、帯電部材の抵抗は
6×106 Ωであった。
【0144】(結果)電子写真装置として、図5に示す
レーザービームプリンターを用いた。
【0145】プリンターは、感光体−1及び感光体−2
を装着し、プロセススピードを94mm/s(16pp
m)に調整した。図6の接触帯電装置に外部駆動モータ
を連結し、帯電ブラシローラを感光体回転に対し対向で
200%の周速差で圧接回転させた。ベルト帯電部材
は、対向で130%に調整した。画像出しは、低湿度
(20℃、20%)の条件で、DC−750Vを印加
し、2万枚の耐久試験を行った。
【0146】また、感光体−3の場合は、帯電部材にD
C+750Vを印加した以外は上記と同様にして画像出
し評価を行った。
【0147】画質評価は、表3に示す画質評価レベルに
基づいて行った。その結果を表4にそれぞれ示した。
【0148】
【表3】
【0149】また、印加バイアスをV(V)、感光体帯
電電位をH(V)としたとき、次式(1)により帯電効
率を算出した。
【0150】 帯電効率=(H/V)×100〔%〕 (1) ここで、均一帯電を達成するためには、90%以上の帯
電効率が必要である。
【0151】帯電効率が、90%未満の場合は、帯電不
良による画像カブリが発生し、画質は低下する。
【0152】
【表4】
【0153】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、被帯電体
に対する接触性に優れ、被帯電体の表面を削りにくく、
繰り返し使用しても被帯電体を均一に帯電することがで
き、更には注入帯電に適する帯電部材、該帯電部材を有
するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の帯電ブラシローラの断面図である。
【図2】本発明の帯電ブラシブレードの正面図及び側面
図である。
【図3】本発明の帯電ブラシベルトの断面図である。
【図4】従来の帯電ローラの断面図である。
【図5】接触帯電部材を有するプロセスカートリッジを
有するレーザービームプリンターの主要部の構成図であ
る。
【図6】接触帯電装置の正面図である。
【符号の説明】
1 本発明の接触帯電ブラシローラ 2 ブラシ接触子 3 導電性基体(芯金) 4 導電性弾性層 5 従動ロール 6 従来の帯電ローラ 7 帯電層 8 接触帯電装置 9 感光体(ドラム) 10 加圧バネ 11 レーザー光 12 現像装置 13 転写装置 14 転写材 15 クリーニング装置 16 定着装置 17 電源 18 プロセスカートリッジ 19 レール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杷野 祥史 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤ ノン株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−326910(JP,A) 特開 平4−51168(JP,A) 実開 平8−6357(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 15/02

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被帯電体に接触配置され、電圧を印加さ
    れることにより該被帯電体を帯電する帯電部材におい
    て、 導電性基体及び該被帯電体に接触するブラシ接触子を有
    し、該ブラシ接触子がエッチング繊維及び複合繊維を開
    繊することによって得られる分割繊維の少なくとも一方
    の繊維を有することを特徴とする帯電部材。
  2. 【請求項2】 ブラシ接触子がエッチング繊維を有する
    請求項1記載の帯電部材。
  3. 【請求項3】 ブラシ接触子が分割繊維を有する請求項
    1記載の帯電部材。
  4. 【請求項4】 ブラシ接触子が有する繊維の平均径が
    0.05μm以上30μm以下である請求項1乃至3の
    いずれかに記載の帯電部材。
  5. 【請求項5】 被帯電体が電子写真感光体である請求項
    1乃至4のいずれかに記載の帯電部材。
  6. 【請求項6】 電子写真感光体が電荷注入層を有する請
    求項5記載の帯電部材。
  7. 【請求項7】 電子写真感光体及び請求項1乃至4のい
    ずれかに記載の帯電部材、あるいは電子写真感光体、請
    求項1乃至4に記載の帯電部材、及び現像手段及びクリ
    ーニング手段の少なくとも一方の手段を一体に支持し、
    装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカ
    ートリッジ。
  8. 【請求項8】 電子写真感光体が電荷注入層を有する請
    求項7記載のプロセスカートリッジ。
  9. 【請求項9】 電子写真感光体、請求項1乃至4のいず
    れかに記載の帯電部材、露光手段、現像手段及び転写手
    段を有することを特徴とする電子写真装置。
  10. 【請求項10】 電子写真感光体が電荷注入層を有する
    請求項9記載の電子写真装置。
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