JP3287699B2 - 電子線装置と画像形成装置 - Google Patents

電子線装置と画像形成装置

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JP3287699B2 JP14166994A JP14166994A JP3287699B2 JP 3287699 B2 JP3287699 B2 JP 3287699B2 JP 14166994 A JP14166994 A JP 14166994A JP 14166994 A JP14166994 A JP 14166994A JP 3287699 B2 JP3287699 B2 JP 3287699B2
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    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J2201/00Electrodes common to discharge tubes
    • H01J2201/30Cold cathodes
    • H01J2201/316Cold cathodes having an electric field parallel to the surface thereof, e.g. thin film cathodes
    • H01J2201/3165Surface conduction emission type cathodes

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子線発生装置等の電
子線装置およびその応用である表示装置等の画像形成装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子放出素子として熱電子源と冷
陰極電子源の2種類が知られている。冷陰極電子源には
電界放出型(以下、FE型と略す)、金属/絶縁層/金
属型(以下、MIM型と略す)や表面伝導型電子放出素
子等がある。
【0003】FE型の例としてはW.P.Dyke&
W.W.Dolan、”Fieldemissio
n”、Advance in Electron Ph
ysics、8、89(1956)あるいはC.A.S
pindt,“PHYSICALProperties
of thin−film field emiss
ion cathodes with molybde
nium cones”,J.Appl.Phys.,
47,5248(1976)等が知られている。
【0004】MIM型の例としてはC.A.Mea
d、”The tunnel−emission am
plifier、J.Appl.Phys.、32、6
46(1961)等が知られている。
【0005】表面伝導型電子放出素子の例としては、
M.I.Elinson、RadioEng.Elec
tron Pys.、10、(1965)等がある。
【0006】表面伝導型電子放出素子は基板上に形成さ
れた小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことによ
り、電子放出が生ずる現象を利用するものである。この
表面伝導型電子放出素子としては、前記エリンソン等に
よるSnO2薄膜を用いたもの、Au薄膜によるもの
[G.Dittmer:”Thin Solid Fi
lms”、9、317(1972)]、In2O3/S
nO2薄膜によるもの[M.Hartwell and
C.G.Fonstad:”IEEE Trans.
ED Conf.”、519(1975)]、カーボン
薄膜によるもの[荒木久他:真空、第26巻、第1号、
22頁(1983)]等が報告されている。
【0007】これらの表面伝導型電子放出素子の典型的
な素子構成として前述のM.ハートウェルの素子構成を
図25に示す。同図において1は絶縁性基板である。2
は電子放出部形成用薄膜で、H型形状のパターンに、ス
パッタで形成された金属酸化物薄膜等からなり、後述の
フォーミングと呼ばれる通電処理により電子放出部3が
形成される。4は電子放出部を含む薄膜と呼ぶことにす
る。尚、図中のL1は0.5〜1mm、Wは0.1mm
で設定されている。
【0008】又、電子放出部3の位置及び形状は不明で
あるので模式図として示した。
【0009】従来、これらの表面伝導型電子放出素子に
おいては、電子放出を行う前に電子放出部形成用薄膜2
を予めフォーミングと呼ばれる通電処理によって電子放
出部3を形成するのが一般的であった。即ち、フォーミ
ングとは前記電子放出部形成用薄膜2の両端に直流電圧
あるいは非常にゆっくりとした昇電圧例えば1V1分程
度を印加通電し、電子放出部形成用薄膜を局所的に破
壊、変形もしくは変質せしめ、電気的に高抵抗な状態に
した電子放出部3を形成することである。尚、電子放出
部3は電子放出部形成用薄膜2の一部に亀裂が発生しそ
の亀裂付近から電子放出が行われる。以下フォーミング
により形成した電子放出部を含む電子放出部形成用薄膜
2を電子放出部を含む薄膜4と呼ぶ。前記フォーミング
処理をした表面伝導型電子放出素子は、上述電子放出部
を含む薄膜4に電圧を印加し、素子に電流を流すことに
より、上述電子放出部3より電子を放出せしめるもので
ある。
【0010】しかしながら、これら従来の表面伝導型電
子放出素子においては、実用化にあたっては、様々の問
題があったが、本出願人等は、後述する様な様々な改善
を鋭意検討し、実用化上の様々な問題点を解決してき
た。
【0011】上述の表面伝導型放出素子は、構造が単純
で製造も容易であることから、大面積にわたって多数素
子を配列形成できる利点がある。そこで、この特徴を生
かせるようないろいろな応用が研究されている。例え
ば、荷電ビーム源、表示装置等があげられる。
【0012】多数の表面伝導型放出素子を配列形成した
例としては、並列に表面伝導型電子放出素子を配列し、
個々の素子の両端を配線にてそれぞれ結線した行を多数
行配列した電子源があげられる(例えば、特開昭64−
31332号公報)。また、特に表示装置等の画像形成
装置においては、近年、液晶を用いた平板型表示装置
が、CRTに替わって、普及してきたが、自発光型でな
いため、バックライト等を持たなければならない等の問
題点があり、自発光型の表示装置の開発が、望まれてき
た。表面伝導型放出素子を多数配置した電子源と電子源
より放出された電子によって、可視光を発光せしめる蛍
光体とを組み合わせた表示装置である画像形成装置は、
大画面の装置でも比較的容易に製造でき、かつ表示品位
の優れた自発光型表示装置である(例えば、USP50
66883号公報)。
【0013】尚、従来、多数の表面伝導型電子放出素子
より構成された電子源より、電子放出をし、蛍光体の発
光をさせる素子の選択は、上述の多数の表面伝導型電子
放出素子を並列に配置し結線した配線(行方向配線と呼
ぶ)、行配線と直交する方向に(列方向と呼ぶ)、該電
子源と蛍光体間の空間に設置された制御電極(グリッド
と呼ぶ)と列方向配線への適当な駆動信号によるもので
ある(例えば、特開平1−283749号公報等)。
【0014】
【発明が解決しようとしている課題】次に、上述従来の
表面伝導型電子放出素子とそれを用いた画像形成装置に
おいて発生していた問題点について説明する。
【0015】問題点1 従来の電子放出素子を真空中または画像形成装置中に駆
動せずに放置すると電子放出素子の電気特性(電流−電
圧特性)が変化し、素子から放出する放出電流が一時的
に増加するという問題点があった。また、このような放
出電流の変化量は、素子を駆動せずに放置している時間
(放置時間)、真空雰囲気(真空度、残留ガスの種
類)、駆動電圧等によって異なる。
【0016】問題点2 従来の電子放出素子は、素子に印加する電圧のパルス幅
を変化させると放出電流ピークが変化し、パルス幅によ
る電子放出量の制御が難しい。
【0017】問題点3 従来の電子放出素子は、素子に印加する電圧値を変化さ
せると素子の電気特性が変化し、それにともない放出電
流も変化するので電圧値による電子放出量の制御が難し
い。
【0018】問題点4 問題点1を有する従来の電子放出素子を画像形成装置に
用いた場合、電子ビーム量が変化するため、形成画像の
コントラスト及び鮮明性の低下、特に、形成画像が蛍光
画像である場合には、蛍光画像の輝度変化、色変化を生
じるという問題点があった。
【0019】問題点5 問題点2〜3を有する従来の電子放出素子を画像形成装
置に用いた場合、素子に印加する電圧又は電圧のパルス
幅で電子ビーム量を制御しにくいため、形成画像の階調
制御、特に、形成画像が蛍光画像である場合には、蛍光
画像の輝度制御、色制御が難しいという問題点があっ
た。
【0020】そこで本発明は上記問題点に鑑みなされた
発明であって、その目的は、駆動していない時間(放置
時間)や真空雰囲気によって電子放出量の変化が極めて
小さい安定な電子線発生装置等の電子線装置を提供する
ことにある。更に、本発明の目的はコントラストの高い
鮮明な画像形成装置の提供、とりわけ、輝度変化の小さ
い発光画像を形成する画像形成装置の提供にある。更
に、本発明の目的は、階調制御が容易な画像形成装置、
取り分け、発光画像の輝度制御及び色制御の容易な画像
形成装置を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】上記目的は、以下の本発
明により達成される。
【0022】即ち本発明は、対向する電極間に配置され
たフォーミング処理を施した導電性膜と、前記電極間に
パルス電圧を印加することにより真空中に存在する有機
物質から前記導電性膜に堆積された炭素あるいは炭素化
合物とを有する電子放出素子を外囲器内に有する電子線
装置において、前記外囲器内の炭素化合物の分圧が1×
10 −8 Torr以下に維持されており、前記電子放出素子
が、その放出電流が素子電圧に対して一義的に決まる特
性を示すことを特徴とする電子線装置である。
【0023】更に本発明は、対向する電極間に配置され
たフォーミング処理を施した導電性膜と、前記電極間に
パルス電圧を印加することにより真空中に存在する有機
物質から前記導電性膜に堆積された炭素あるいは炭素化
合物とを有する電子放出素子を外囲器内に有する電子線
装置において、前記外囲器内の炭素化合物の分圧が1×
10 −8 Torr以下に維持されていることを特徴とする電
子線装置である。
【0024】更に本発明は、外囲器内に、電子源と画像
形成部材とを有し、入力信号に応じて画像を形成する
像形成装置において、前記外囲器内の炭素化合物の分圧
が1×10 −8 Torr以下に維持されており、前記電子源
が、対向する電極間に配置されたフォーミング処理を施
した導電性膜と、前記電極間にパルス電圧を印加するこ
とにより真空中に存在する有機物質から前記導電性膜に
堆積された炭素あるいは炭素化合物とを有する電子放出
素子を有し、該電子放出素子が、その放出電流が素子電
圧に対して一義的に決まる特性を示すことを特徴とする
画像形成装置である。
【0025】更に本発明は、外囲器内に、電子源と画像
形成部材とを有し、入力信号に応じて画像を形成する
像形成装置において、前記外囲器内の炭素化合物の分圧
が1×10 −8 Torr以下に維持されており、前記電子源
が、対向する電極間に配置されたフォーミング処理を施
した導電性膜と、前記電極間にパルス電圧を印加するこ
とにより真空中に存在する有機物質から前記導電性膜に
堆積された炭素あるいは炭素化合物とを有する電子放出
素子を有することを特徴とする画像形成装置である。
【0026】本発明者等は、長年鋭意検討した結果、電
子放出素子の表面および素子の回りの真空雰囲気中にあ
る有機分子の量が変動することが上記問題の主原因であ
ること、また、有機分子の分圧を極力少なくすることに
より、放出電流及び素子電流が変動することなく安定な
電子放出特性が得られることを知見し、上記本発明に至
った。
【0027】以下に本発明の好ましい実施態様について
述べる。
【0028】まず、本発明に係わる、表面伝導型電子放
出素子の基本的な構成について説明する。
【0029】図1の(a)、(b)は、それぞれ、本発
明に係わる基本的な平面型の表面伝導型電子放出素子の
構成を示す平面図及び断面図である。図1を用いて、本
発明に係わる素子の基本的な構成を説明する。
【0030】図1において1は基板、5と6は素子電
極、4は電子放出部を含む薄膜(導電性膜)、3は電子
放出部である。
【0031】基板1としては、石英ガラス、Na等の不
純物含有量を減少したガラス、青板ガラスにスパッタ法
等により形成したSiO2を積層したガラス基板等及び
アルミナ等のセラミックス等が、あげられる。
【0032】対向する素子電極5,6の材料としては導
電性を有するものであればどのようなものであっても構
わないが、例えばNi,Cr,Au,Mo,W,Pt,
Ti,Al,Cu,Pd等の金属或は合金およびPd,
Ag,Au,RuO2,Pd−Ag等の金属或は金属酸
化物とガラス等から構成されるの印刷導体、In23
SnO2等の透明導電体及びポリシリコン等の半導体導
体材料等が挙げられる。
【0033】素子電極間隔L1は、数百オングストロー
ムより数百マイクロメートルであり、素子電極の製法の
基本となるフォトリソグラフィー技術、即ち、露光機の
性能とエッチング方法等、及び、素子電極間に印加する
電圧と電子放出し得る電界強度等により設定されるが、
好ましくは、数マイクロメートルより数十マイクロメー
トルである。
【0034】素子電極長さW1、素子電極5、6の膜厚
dは、電極の抵抗値、前述したX、Y配線との結線、多
数配置された電子源の配置上の問題より適宜設計され、
通常は、素子電極長さW1は、数マイクロメートルより
数百マイクロメートルであり、素子電極5、6の膜厚d
は、数百オングストロームより数マイクロメートルであ
る。
【0035】基板1上に設けられた対向する素子電極5
と素子電極6間及び素子電極5、6上設置された電子放
出部を含む薄膜4は、電子放出部3を含むが、図1の
(b)に示された場合だけでなく、素子電極5、6上に
は、設置されない場合もある。即ち、絶縁性基板1上
に、電子放出部形成用薄膜2、対向する素子電極5、6
の電極順に積層構成した場合である。また、対向する素
子電極5と素子電極6間全てが、製法によっては、電子
放出部として機能する場合もある。この電子放出部を含
む薄膜4の膜厚は、好ましくは、数オングストロームよ
り数千オングストロームで、特に好ましくは10オング
ストロームより500オングストロームあり、素子電極
5、6へのステップカバレージ、電子放出部3と素子電
極5、6間の抵抗値及び電子放出部3の導電性微粒子の
粒径、後述する通電処理条件等によって、適宜設定され
る。その抵抗値は、10の3乗より10の7乗オーム/
□のシート抵抗値を示す。
【0036】電子放出部を含む薄膜4は導電性膜で、そ
れを構成する材料の具体例を挙げるならばPd、Ru、
Ag、Au、Ti、In、Cu、Cr、Fe、Zn、S
n、Ta、W、Pb等の金属、PdO、SnO2 、In
23 、PbO、Sb23等の酸化物、HfB2 、Z
rB2 、LaB6 、CeB6 、YB4 、GdB4 等の硼
化物、TiC、ZrC、HfC、TaC、SiC、WC
等の炭化物、TiN、ZrN、HfN等の窒化物、S
i、Ge等の半導体、カーボン、AgMg、NiCu、
Pb、Sn等であり、好ましくは、良好な電子放出特性
を得るために微粒子からなる。
【0037】なおここで述べる微粒子膜とは、複数の微
粒子が集合した膜であり、その微細構造として、微粒子
が個々に分散配置した状態のみならず、微粒子が互いに
隣接、あるいは、重なり合った状態(島状も含む)の膜
をさす。
【0038】微粒子の粒径は数オングストロームより数
千オングストローム、このましくは10オングストロー
ムより200オングストロームである。
【0039】電子放出部3は、導電性膜4の一部に形成
された、例えば亀裂等の高抵抗部であり、更には、好ま
しくは数オングストロームより数百オングストローム、
特にこのましくは10オングストロームより500オン
グストロームの粒径の導電性微粒子多数個を有すること
もあり、電子放出部を含む薄膜(導電性膜)4の膜厚及
び後述する通電処理条件等の製法に依存しており、適宜
設定される。
【0040】又、上記導電性微粒子は、電子放出部を含
む薄膜4を構成する材料の元素の一部あるいは全てと同
様の物である。
【0041】又、電子放出部3の一部、更には、電子放
出部3の近傍の導電性膜4には、炭素あるいは炭素化合
物が堆積されている場合もある。
【0042】次に本発明に係る別な構成の表面伝導型電
子放出素子である垂直型表面伝導型電子放出素子につい
て説明する。
【0043】図6は基本的な垂直型表面伝導型電子放出
素子の構成を示す模式的図面である。
【0044】図6において、図1と同一の符号のもの
は、同一である。21は、段さ形成部である。
【0045】基板1、素子電極5と6、電子放出部を含
む薄膜4、電子放出部3は、前述した平面型表面伝導型
電子放出素子と同様の材料で構成されたものであり、段
さ形成部21は、真空蒸着法,印刷法,スパッタ法等で
形成されたSiO2等の絶縁性材料で構成され、段さ形
成部21の膜厚が、先に述べた平面型表面伝導型電子放
出素子の素子電極間隔Lに対応し、数十ナノメートルよ
り数十マイクロメートルであり、段さ形成部の製法、及
び、素子電極間に印加する電圧と電子放出し得る電界強
度により設定されるが、好ましくは、数十ナノメートル
より数マイクロメートルである。
【0046】電子放出部を含む薄膜4は、素子電極5、
6と段さ形成部21作成後に、形成するため、素子電極
5、6の上に積層される。なお、電子放出部3は、図6
において、段差形成部21に直線状に示されているが、
作成条件、通電フォーミング条件等に依存し、形状、位
置ともこれに限るものでない。
【0047】電子放出部3を有する電子放出素子の製造
方法としては様々な方法が考えられるが、その一例を図
2に示す。尚、図2中の2は電子放出部形成用薄膜(導
電性膜)で例えば微粒子膜が挙げられる。
【0048】以下、順をおって製造方法の説明を図1及
び図2に基づいて説明する。
【0049】1)基板1を洗剤、純水および有機溶剤に
より十分に洗浄後、真空蒸着法、スパッタ法等により素
子電極材料を堆積後、フォトリソグラフィー技術により
該絶縁性基板1の面上に素子電極5、6を形成する(図
2の(a))。
【0050】2)絶縁性基板1上に設けられた素子電極
5と素子電極6との間に、素子電極5と6を形成した絶
縁性基板上に有機金属溶液を塗布して放置することによ
り、有機金属薄膜を形成する。なお、有機金属溶液と
は、前記Pd、Ru、Ag、Au、Ti、In、Cu、
Cr、Fe、Zn、Sn、Ta、W、Pb等の金属を主
元素とする有機化合物の溶液である。この後、有機金属
薄膜を加熱焼成処理し、リフトオフ、エッチング等によ
りパターニングし、電子放出部形成用薄膜(導電性膜)
2を形成する(図2の(b))。尚、ここでは、有機金
属溶液の塗布法により説明したが、これに限る物でな
く、真空蒸着法、スパッタ法、化学的気相堆積法、分散
塗布法、デイッピング法、スピンナー法等によって形成
される場合もある。
【0051】3)つづいて、フォーミングと呼ばれる通
電処理を素子電極5、6間に電圧を不図示の電源により
パルス状あるいは、昇電圧による通電処理がおこなわれ
ると、電子放出部形成用薄膜(導電性膜)2の部位に構
造の変化した電子放出部3が形成される(図2の
(c))。この通電処理により電子放出部形成用薄膜
(導電性膜)2を局所的に破壊、変形もしくは変形せし
め、構造の変化した部位(高抵抗部位)を電子放出部3
と呼ぶ。
【0052】フォーミング処理以降の電気的処理は、図
3に示す測定評価装置内で行う。以下に測定評価装置を
説明する。
【0053】図3は図1で示した構成を有する素子の電
子放出特性を測定するための測定評価装置の概略構成図
である。図3において、1は基体、5及び6は素子電
極、4は電子放出部を含む薄膜、3は電子放出部を示
す。また、31は素子に素子電圧Vfを印加するための
電源、30は素子電極5、6間の電子放出部を含む薄膜
4を流れる素子電流Ifを測定するための電流計、34
は素子の電子放出部より放出される放出電流Ieを捕捉
するためのアノード電極、33はアノード電極34に電
圧を印加するための高圧電源、32は素子の電子放出部
3より放出される放出電流Ieを測定するための電流計
である。
【0054】電子放出素子の上記素子電流If、放出電
流Ieの測定にあたっては、素子電極5、6に電源31
と電流計30とを接続し、該電子放出素子の上方に電源
33と電流計32とを接続したアノード電極34を配置
している。また電子放出素子及びアノード電極34は真
空装置内に設置され、その真空装置には不図示の排気ポ
ンプ及び真空計等の真空装置に必要な機器が具備されて
おり、所望の真空下で素子の測定評価を行えるようにな
った。尚、排気ポンプは、ターボポンプ、ロータリーポ
ンプからなる通常の高真空装置系と更に、ソープション
ポンプとイオンポンプからなる真空オイルを用いない超
高真空装置系からなり、高真空装置系と超高真空装置系
はお互いに、切り替えられるようにできている。更に、
真空装置内の残留ガスを測定するために不図示の四重極
質量分析計が設置されている。また、真空装置全体、及
び電子源基板は、不図示のヒーターにより200℃まで
加熱できる。
【0055】なお、アノード電極の電圧は1kV〜10
kV、アノード電極と電子放出素子との距離Hは2mm
〜8mmの範囲で測定した。
【0056】フォーミング処理は、パルス波高値が定電
圧のパルスを印加する場合と、パルス波高値を増加させ
ながら電圧パルスを印加する場合とがある。
【0057】まず、パルス波高値が定電圧のパルスを印
加する場合の電圧波形を図4の(a)に示す。
【0058】図4の(a)中、T1及びT2は電圧波形
のパルス幅とパルス間隔であり、T1を1マイクロ秒〜
10ミリ秒、T2を10マイクロ秒〜100ミリ秒と
し、三角波の波高値(フォーミング時のピーク電圧)は
適宜選択し、フォーミング処理は、10のマイナス5乗
Torr〜10のマイナス6乗Torrの真空雰囲気下
で印加する。
【0059】パルス波高値を増加させながら電圧パルス
を印加する場合の電圧波形を、図4の(b)に示す。
【0060】図4の(b)中、T1及びT2は電圧波形
のパルス幅とパルス間隔であり、T1を1マイクロ秒〜
10ミリ秒、T2を10マイクロ秒〜100ミリ秒と
し、三角波の波高値(フォーミング時のピーク電圧)
は、例えば0.1Vステップ程度づつ、増加させ、10
のマイナス5乗Torr〜10のマイナス6乗Torr
の真空雰囲気下で印加する。
【0061】尚、フォーミング処理の終了は、パルス間
隔T2中に、電子放出部形成用薄膜2を局所的に破壊、
変形しない程度の電圧、例えば0.1V程度の電圧で、
素子電流を測定し、抵抗値を求め、例えば、1Mオーム
以上の抵抗を示した時、フォーミングを終了とする場合
と、更に、電圧を実際に電子放出を行う駆動電圧まで増
加させ終了させる場合がある。尚、上記1Mオーム以上
の抵抗を示す電圧を、フォーミング電圧Vformと呼
ぶことにする。
【0062】以上説明した電子放出部を形成する際に、
素子の電極間に三角波パルスを印加してフォーミング処
理を行っているが、素子の電極間に印加する波形は三角
波に限定することはなく、矩形波など所望の波形を用い
ても良く、その波高値及びパルス間隔等についても上述
の値に限ることなく、電子放出部が良好に形成される様
に、電子放出素子の抵抗値等にあわせて、所望の値を選
択する。
【0063】4)次に、フォーミングが終了した素子に
対して、好ましくは活性化処理と呼ぶ処理を施す。この
活性化処理とは、10のマイナス4乗〜10のマイナス
5乗Torr程度の真空度で、フォーミング同様、パル
ス波高値が定電圧のパルスの印加を繰りかえす処理のこ
とを言い、真空中に存在する有機物質から、炭素あるい
は炭素化合物を堆積することで、素子電流If、放出電
流Ieが、著しく変化する処理である。
【0064】例えば、素子電流Ifと放出電流Ieを測
定しながら、放出電流Ieが飽和する時点で活性化処理
を終了する。素子電流If、放出電流Ieの活性化処理
時間依存例を図5に示す。
【0065】活性化処理は、真空度、素子に印加するパ
ルス電圧等に依存して、この素子電流If、放出電流I
eの時間依存及びフォーミング処理によって、変形、変
質した薄膜の近傍に被膜の形成状態が変化する。
【0066】活性化処理電圧は、好ましくはフォーミン
グ電圧Vformに比べて、より高い波高値の電圧に設
定され、より好ましくは、実際にその素子を駆動する際
の駆動電圧に設定される。
【0067】尚、活性化工程後の素子の形態をFESE
M,TEMで観察したところ、フォーミングによって変
形、変質せしめた部分3の一部およびその周辺に炭素ま
たは炭素化合物が堆積していた。更に高倍率で観察する
と微粒子の周囲及び周辺にも堆積していた。また、対向
する素子電極間距離にもよるが、素子電極にも、炭素あ
るいは炭素化合物が、堆積する場合もある。その膜厚
は、好ましくは、500オングストローム以下、より好
ましくは、300オングストローム以下である。
【0068】尚ここで、炭素及び炭素化合物とは、TE
M,ラマン等の結果、グラファイト(単、多結晶双方を
指す)、非晶質カーボン(非晶質カーボン及び多結晶グ
ラファイトとの混合物を指す)である。
【0069】尚、フォーミング工程において電圧を駆動
電圧付近まで印加した場合においては活性化工程を行っ
ても行わなくても構わない。
【0070】5)こうして作成した電子放出素子を、フ
ォーミング処理及び活性化処理した真空度より高い真空
度の真空雰囲気にして駆動する。また、フォーミング処
理及び活性化処理した真空度より高い真空度の真空雰囲
気とは、好ましくは約10のマイナス6乗Torr以下
の真空度を有する真空雰囲気であり、よりこのましく
は、超高真空系で、炭素、あるいは炭素化合物の新た
に、ほぼ、堆積しない真空度である。
【0071】従って、これによって、これ以上の炭素及
び炭素化合物の堆積を抑制する事が可能となり、素子電
流If、放出電流Ieが、一定に安定する。
【0072】上述のような素子構成と製造方法によって
作成された本発明にかかわる電子放出素子の基本特性に
ついて図3、図7を用いて説明する。
【0073】図3に示した測定評価装置により測定され
た放出電流Ieおよび素子電流Ifと素子電圧Vfの関
係の典型的な例を図7に示す。なお、図7は放出電流I
eは素子電流Ifに比べて著しく小さいので、任意単位
で示されている。図7からも明らかなように、本電子放
出素子は放出電流Ieに対する三つの特性を有する。
【0074】まず第一に、本素子はある電圧(しきい値
電圧と呼ぶ、図5中のVth)以上の素子電圧を印加す
ると急激に放出電流Ieが増加し、一方しきい値電圧V
th以下では放出電流Ieがほとんど検出されない。す
なわち、放出電流Ieに対する明確なしきい値電圧Vt
hを持った非線形素子である。
【0075】第二に、放出電流Ieが素子電圧Vfに依
存するため、放出電流Ieは素子電圧Vfで制御でき
る。
【0076】第三に、アノード電極34に捕捉される放
出電荷は、素子電圧Vfを印加する時間に依存する。す
なわち、アノード電極34に捕捉される電荷量は、素子
電圧Vfを印加する時間により制御できる。
【0077】一方、素子電流Ifは素子電圧Vfに対し
て単調増加する(MI特性と呼ぶ)特性(図7の実線)
及び電圧制御型負性抵抗(VCNR特性と呼ぶ)特性
(図7の破線)を示す場合があるが、これら素子電流の
特性は、その製法に、依存する。又、VCNR特性を示
す境界電圧をVpという。
【0078】即ち、素子電流IfのVCNR特性は、通
常の真空装置系で、フォーミングを行ったとき発生し、
その特性はフォーミング時の電気的条件、真空装置系の
真空雰囲気条件等、あるいは、フォーミングを既におこ
なった電子放出素子の測定時の真空装置系の真空雰囲気
条件、測定時の電気的測定条件(例えば、電子放出素子
の電流−電圧特性をうるために、素子に印加する電圧を
低電圧から高電圧まで掃引した時の掃引速度等)測定時
までの電子放出素子の真空装置内の放置時間、等に依存
して、大きく変わることが判明した。またこの時、放出
電流Ieは、MI特性をしめす。
【0079】更に、従来の表面伝導型電子放出素子の特
性について説明する。電子放出素子の駆動は、通常、真
空装置内をロータリーポンプやターボポンプ等の真空排
気装置を用いて1×10のマイナス5乗torr程度の
真空度にしてから行う。
【0080】図26は、従来の電子放出素子を駆動せず
に放置したときの、放置時間によって放出電流Ie、素
子電流Ifがどのように変化するかを模式的に示したも
のである(これを、放置時間変動と呼ぶ)。放出電流お
よび素子電流は、その絶対値は異なるがほぼ同様な変動
がある。
【0081】図26から明らかなように、放置時間T後
に、放出電流および素子電流は一時的に増加して、数十
秒から数分の時定数で放置前の値に戻る。その増加量
(Is−I)は、放置時間、真空度、真空中に存在する
残留ガス、素子の駆動電圧等さまざまな条件で異なる
が、大きい時には50%程度の増加がある。一般に、電
子放出素子の電子放出量を変化させ、変調するために、
素子に印加する電圧のパルス幅か電圧値を変化させるこ
とによりおこなう。
【0082】図27は、従来の電子放出素子の放出電流
とパルス幅の関係を模式的に示したものである。図27
からも明らかなように、パルス幅を狭くすると放出電流
が増加する。よって、従来の電子放出素子では、電子放
出量がパルス幅に比例しないため制御しにくい(これ
を、パルス幅変動と呼ぶ)。
【0083】図28は、従来の電子放出素子の素子電圧
と放出電流の関係を模式的に示したものである。ここで
示される放出電流−素子電圧特性(Ie−Vf特性)
は、パルス幅が100ミリ秒以下の三角波の電圧を素子
に印加し続け、放出電流が飽和したときの特性である。
尚、図28においては、素子に14Vの電圧を印加し放
出電流が飽和したときのIe−Vf特性と、素子に12
Vの電圧を印加し放出電流が飽和した時のIe−Vf特
性を示した。
【0084】図28から明らかなように、素子電圧によ
って放出電流−素子電圧特性が変動するため、素子電圧
によって電子放出量を制御しにくい。また、このような
変動は、素子電流においても同様である(これを素子電
圧変動と呼ぶ)。
【0085】本発明は、これらを鑑みてなされたもの
で、放出電流Ie及び素子電流Ifは、電子放出素子の
表面及び素子の回りの真空雰囲気中にある有機物質が変
動するに伴い変動し、有機物質の分圧を極力少なくする
ことにより放出電流Ie及び素子電流Ifは素子電圧に
対して、変動なく、実用的には一義的に決まり、通常の
動作電圧範囲では単調増加特性(MI特性)を示すこと
を本発明者らがはじめてみいだした。ここで、真空雰囲
気は、本発明における、電子線装置及び画像形成装置の
外囲器内の雰囲気に同等である。また、これらの放出電
流及び素子電流の変動は、素子の製法に依存することも
みいだした。
【0086】又、上記通常の動作電圧範囲とは、電子放
出素子の材料,構成等で設定され、特に、電子放出素子
が、電界,熱などにより破壊されない範囲を意味する。
【0087】即ち、本発明者等は、通常の真空装置内で
上述種々の変動不安定性を有する電子放出素子を、超高
真空系で排気し、動作させたところ、上述の放置時間変
動、パルス幅変動、及び素子電圧変動の極めて小さい電
子放出特性を示すことを見いだした。
【0088】更に、また、これらの変動要因を質量分析
装置で調べたところ、真空装置(外囲器)内の有機物質
の分圧が1×10のマイナス8乗torr以下が好まし
く、さらには、1×10のマイナス10乗torr以下
が特に好ましい範囲である。又、真空装置(外囲器)内
の圧力は、1×10のマイナス6乗Torr以下、好ま
しくは1×10のマイナス7乗Torr以下、特に好ま
しくは1×10のマイナス8乗Torr以下、の範囲が
望ましい。ここで、真空装置を排気する真空排気装置
は、装置から発生するオイルが素子特性に影響を与えな
いようにオイルを使用しないものの方が特に望ましい。
具体的には、ソープションポンプ、イオンポンプ等の真
空排気装置が挙げられる。さらには、上記超高真空排気
系で排気する際には、電子放出素子および真空装置を加
熱真空排気した方が、素子表面および真空装置に吸着し
た有機物質を排気しやすくなるので特に望ましい。この
ときの加熱条件は、80℃から200℃で5時間以上が
望ましいが、特にこの条件に限定されない。また、上記
有機物質の分圧測定法は、質量分析装置により質量が1
0〜200の炭素と水素を主成分とする有機分子の分圧
を測定し、それらの分圧を積算することから求められ
る。
【0089】以上説明した本発明に係る表面伝導形電子
放出素子の放出電流と素子電圧の関係を、図8に示す。
【0090】図8からも明らかなように、放出電流は、
ほぼ素子電圧に対して一義的に決まる単調増加特性(M
I特性)を持つ。
【0091】尚、上述した従来の電子放出素子の各種変
動不安性は、素子作成時の活性化後に電子放出部に観察
されているグラファイトおよび非晶質カーボンの微細形
態が微量に存在する有機分子によつて変っているか、ま
たは、有機分子及びその変質体が電子放出部に吸着して
電子放出特性に影響を与えているものと考えられる。そ
こで、これらの変動要因である有機物質を取り除くこと
によって、極めて安定な特性を有する電子放出素子が得
られたものと考えられる。
【0092】尚、以上説明した変動要因は、有機物質に
限定されるものではなく、炭素化合物であれば、同様の
変動要因となり得る。
【0093】以上、詳述した本発明に係る電子放出素子
は、放置時間や真空雰囲気によって電子放出特性の変動
が小さい、極めて安定な電子放出素子である。更に、本
発明に係る電子放出素子は、駆動電圧(素子電圧)波形
のパルス幅や電圧値によって、電子放出特性が変動しな
いので、電子放出量の制御が容易な電子放出素子であ
る。
【0094】尚、あらかじめ導電性微粒子を分散して構
成した表面伝導形電子放出素子においては、前記本発明
の基本的な素子構成の基本的な製造方法のうちの一部を
変更してもよい。
【0095】以上表面伝導型電子放出素子の基本的な構
成、製法について述べたが、本発明の思想によれば、表
面伝導型電子放出素子の特性で上述の3つの特徴を有す
れば、上述の構成等に限定されず、後述の電子線発生装
置等の電子線装置、表示装置等の画像形成装置に於ても
適用できる。
【0096】次に、本発明に係る電子線発生装置及び画
像形成装置について述べる。
【0097】好ましくは、表面伝導型電子放出素子等の
電子放出素子を複数個基板上に配列した電子源基板を用
いて、電子線発生装置あるいは、画像形成装置が構成で
きる。
【0098】基板上の配列の方式には、例えば、従来例
で述べた、多数の表面伝導形電子放出素子を並列に配置
し、個々の素子の両端を配線にて結線した、電子放出素
子の行を多数配列し(行方向と呼ぶ)、この配線と直交
する方向に(列方向と呼ぶ)、該電子源の上方の空間に
配置された制御電極(グリッドと呼ぶ)により電子を制
御駆動する配列法、及び、次に述べるm本のX方向配線
の上にn本のY方向配線を、層間絶縁層を介して、設置
し表面伝導型電子放出素子の一対の素子電極にそれぞ
れ、X方向配線、Y方向配線を接続した配列法があげら
れる(これを単純マトリクス配置と以降呼ぶ)。
【0099】以下に、単純マトリクスについて詳述す
る。
【0100】本発明にかかわる表面伝導型電子放出素子
の先述した3つの基本的特性の特徴によれば、表面伝導
型電子放出素子からの放出電子は、しきい値電圧以上で
は、対向する素子電極間に印加するパルス状電圧の波高
値と巾で制御される。一方、しきい値電圧以下では、殆
ど放出されない。この特性によれば、多数の電子放出素
子を配置した場合においても、個々の素子に、上記パル
ス状電圧を適宜印加すれば、入力信号に応じて、表面伝
導型電子放出素子を選択し、その電子放出量が、制御出
来る事となる。
【0101】以下この原理に基づき構成した電子源基板
の構成について、図9を用いて説明する。
【0102】m本のX方向配線82は、DX1、DX
2、……DXmからなり、絶縁性基板1上に、真空蒸着
法、印刷法、スパッタ法等で形成し、所望のパターンと
した導電性金属等からなり、多数の表面伝導型電子放出
素子にほぼ均等な電圧が供給される様に、材料、膜厚、
配線巾が設定される。Y方向配線83は、DY1、DY
2、……DYnのn本の配線よりなり、X方向配線82
と同様に、真空蒸着法、印刷法、スパッタ法等で形成
し、所望のパターンとした導電性金属等からなり、多数
の表面伝導型電子放出素子にほぼ均等な電圧が供給され
る様に、材料、膜厚、配線巾等が設定される。これらm
本のX方向配線82とn本のY方向配線83間には、不
図示の層間絶縁層が設置され、電気的に分離されて、マ
トリクス配線を構成する(m、nは、共に正の整数)。
【0103】不図示の層間絶縁層は、真空蒸着法、印刷
法、スパッタ法等で形成されたSiO2 等であり、X方
向配線82を形成した絶縁性基板1の全面或は一部に所
望の形状で形成され、特に、X方向配線82とY方向配
線83の交差部の電位差に耐え得る様に、膜厚、材料、
製法が、適宜設定される。X方向配線82とY方向配線
83は、それぞれ外部端子として引き出されている。
【0104】更に、前述と同様にして、表面伝導型電子
放出素子84の対向する電極(不図示)が、m本のX方
向配線82(DX1、DX2、……DXm)とn本のY
方向配線83(DY1、DY2、……DYn)と真空蒸
着法、印刷法、スパッタ法等で形成された導電性金属等
からなる結線85によって電気的に接続されているもの
である。
【0105】ここで、m本のX方向配線82とn本のY
方向配線83と結線85と対向する素子電極の導電性金
属は、その構成元素の一部あるいは全部が同一であって
も、またそれぞれ異なってもよく、Ni、Cr、Au、
Mo、W、Pt、Ti、Al、Cu、Pd等の金属或は
合金及びPd、Ag、Au、RuO2、Pd−Ag等の
金属或は金属酸化物とガラス等から構成される印刷導
体、In23−SnO2等の透明導体及びポリシリコン
等の半導体材料等より適宜選択される。また表面伝導形
電子放出素子は、絶縁性基板1あるいは、不図示の層間
絶縁層上どちらに形成してもよい。
【0106】また、詳しくは、後述するが、前記X方向
配線82には、X方向に配列する表面伝導型電子放出素
子84の行を、入力信号に応じて、走査するための走査
信号を印加するための不図示の走査信号印加手段が電気
的に接続され、一方、Y方向配線83には、Y方向に配
列する表面伝導型電子放出素子84の列の各列を入力信
号に応じて、変調するための変調信号を印加するための
不図示の変調信号発生手段と電気的に接続される。
【0107】更に、表面伝導型電子放出素子の各素子に
印加される駆動電圧は、当該素子に印加される走査信号
と変調信号の差電圧として供給されるものである。
【0108】次に、以上のようにして作成した電子源基
板を用いた、電子線発生装置及び、表示等に用いる画像
形成装置について、図10と図11を用いて説明する。
図10は画像形成装置の基本構成図であり、図11は蛍
光膜である。
【0109】図10において、1は、電子放出素子が配
列された基板、91は、基板1を固定したリアプレー
ト、96はガラス基板93の内面に蛍光膜94とメタル
バック95等が形成されたフェースプレート、92は支
持枠であり、リアプレート91、支持枠92及びフェー
スプレート96をフリットガラス等を塗布し、大気中あ
るいは、窒素中で、400〜500℃で10分以上焼成
することで、封着して、外囲器98を構成する。
【0110】図10において、84は、図1あるいは図
6に示された表面伝導型電子放出素子に相当する。8
2、83は表面伝導型電子放出素子の一対の素子電極と
接続されたX方向配線及びY方向配線である。また、こ
れら素子電極への配線は、素子電極と配線材料が同一で
ある場合は、素子電極と呼ぶ場合もある。
【0111】外囲器98は、上述の如く、フェースプレ
ート96、支持枠92、リアプレート91で外囲器98
を構成したが、リアプレート91は主に基板1の強度を
補強する目的で設けられるため、基板1自体で十分な強
度を持つ場合は別体のリアプレート91は不要であり、
基板1に直接支持枠92を封着し、フェースプレート9
6、支持枠92、基板1にて外囲器98を構成しても良
い。
【0112】図11は、蛍光膜である。図10の蛍光膜
94は、モノクロームの場合は蛍光体のみから成るが、
カラーの蛍光膜の場合は、蛍光体の配列によりブラック
ストライプあるいはブラックマトリクスなどと呼ばれる
黒色伝導体101と蛍光体102とで構成される(図1
1)。ブラックストライプ、ブラックマトリクスが設け
られる目的は、カラー表示の場合必要となる三原色蛍光
体の、各蛍光体、102の塗り分け部を黒くすることで
混色等を目立たなくすることと、蛍光膜94における外
光反射によるコントラストの低下を抑制することであ
る。ブラックストライプの材料としては、通常良く用い
られている黒鉛を主成分とする材料だけでなく、導電性
があり、光の透過及び反射が少ない材料であればこれに
限るものではない。
【0113】ガラス基板93に蛍光体を塗布する方法は
モノクローム、カラーによらず、沈澱法や印刷法が用い
られる。
【0114】また、蛍光膜94の内面側には通常メタル
バック95が設けられる。メタルバックの目的は、蛍光
体の発光のうち内面側への光をフェースプレート96側
へ鏡面反射することにより輝度を向上すること、電子ビ
ーム加速電圧を印加するための電極として作用するこ
と、外囲器内で発生した負イオンの衝突によるダメージ
からの蛍光体の保護等である。メタルバックは、蛍光膜
作製後、蛍光膜内面側表面の平滑化処理(通常フィルタ
イミングと呼ばれる)を行い、その後Alを真空蒸着等
で堆積することで作製できる。
【0115】フェースプレート96には、更に蛍光膜9
4の導伝性を高めるため、蛍光膜94の外面側に透明電
極(不図示)を設けてもよい。
【0116】前述の封着を行う際、カラーの場合は各色
蛍光体と電子放出素子とを対応させなくてはいけないた
め、十分な位置合わせを行う必要がある。
【0117】外囲器98は、不図示の排気管を通じ、1
0のマイナス6乗トール程度の真空度にされ、外囲器9
1の封止がおこなわれる。
【0118】尚、電子源基板は、前述した通り、電子放
出部を形成した図1あるいは図6の素子が基板上に前述
の如く配置,配線されたものでも良いが、好ましくは、
電子放出部形成前の素子、例えば図2の(b)に示され
た状態の素子を基板上に前述の如く配置,配線し、これ
を図10に示す外囲器98内に配置し、不図示の排気管
を通じ、たとえば、ロータリーポンプ、ターボポンプを
ポンプ系とする様な通常の真空装置系で該外囲器内を1
0のマイナス6乗トール程度の真空度とし、容器外端子
Dox1ないしDoxmとDoy1ないしDoynを通
じ素子電極5、6(図2の(b))間に電圧を印加し、
上述のフォーミングを行い、次に、好ましくは前記活性
化工程を該外囲器内を10のマイナス5乗トール程度の
真空度として行うことにより電子源基板を形成する。
【0119】以上の様に作成した後、イオンポンプ等の
オイルを使用しないポンプ系とする超高真空排気系にき
りかえ、120℃〜200℃で十分な時間、ベーキング
し、表面伝導型電子放出素子が多数配列した電子線発生
装置を作成した。
【0120】尚、上記超高真空系の切り替え、及びベー
キングは、前述の表面伝導型電子放出素子の素子電流I
f、放出電流Ieが素子電圧に対して一義的に決まる単
調増加特性(MI特性)を満足するためであり、その方
法、条件は、これに限るものではない。
【0121】また、外囲器98の封止後の真空度を維持
するために、ゲッター処理を行う場合もある。これは、
外囲器98の封止を行う直前あるいは封止後に、抵抗加
熱あるいは高周波加熱等の加熱法により、外囲器98内
の所定の位置(不図示)に配置されたゲッターを加熱
し、蒸着膜を形成する処理である。ゲッターは通常Ba
が主成分であり、該蒸着膜の吸着作用により、たとえ
ば、1×10マイナス5乗ないしは1×10マイナス7
乗Torrの真空度を維持するものである。
【0122】以上により完成した本発明の画像表示装置
において、各電子放出素子には、容器外端子Dox1な
いしDoxm、Doy1ないしDoynを通じ、電圧を
印加することにより、電子放出させ、高圧電子Hvを通
じ、メタルバック95、あるいは透明電極(不図示)に
数kV以上の高圧を印加し、電子ビームを加速し、蛍光
膜94に衝突させ、励起・発光させることで画像を表示
するものである。
【0123】以上述べた構成は、表示等に用いられる好
適な画像形成装置を作製する上で必要な概略構成であ
り、例えば各部材の材料等、詳細な部分は上述内容に限
られるものではなく、画像装置の用途に適するよう適宜
選択する。
【0124】本実施態様の画像形成装置は、放置時間変
動のない極めて安定な画像形成装置である。更に、階調
特性及びフルカラー表示特性に優れたコントラストの高
い画像形成装置である。
【0125】
【実施例】
〔実施例1〕以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳
述する。
【0126】本発明にかかわる基本的な表面伝導形電子
放出素子の構成は、図1の(a)、(b)の平面図及び
断面図と同様である。また、本発明に係わる表面伝導形
電子放出素子の製造法は、基本的には図2と同様であ
る。
【0127】以下、図1、図2を用いて、本発明に関わ
る素子の基本的な構成及び製造法を説明する。
【0128】図1において、1は基板、5と6は素子電
極、4は電子放出部を含む薄膜、3は電子放出部であ
る。
【0129】以下、順をおって製造方法の説明を図1及
び図2に基づいて説明する。
【0130】工程−a:清浄化した青板ガラス上に厚さ
0.5ミクロンのシリコン酸化膜をスパッタ法で形成し
た基板1上に、素子電極5、6と素子電極間ギャップL
1となるべきパターンをホトレジスト(RD−2000
N−41 日立化成社製)で形成し、真空蒸着法によ
り、厚さ50ÅのTi、厚さ1000ÅのNiを順次堆
積した。ホトレジストパターンを有機溶剤で溶解し、N
i/Ti堆積膜をリフトオフし、素子電極間隔L1は、
3ミクロンとし、素子電極の幅W1を300ミクロン、
を有する素子電極5、6を形成した(図2の(a))。
【0131】工程−b:次に、電子放出部形成用薄膜4
を所定の形状にパターニングするために、通常よく用い
られる蒸着マスクを、素子電極間上に配置し、膜厚10
00オングストロームのCr膜を真空蒸着により堆積、
パターニングし、そのうえに有機Pd(ccp4230
奥野製薬(株)社製)をスピンナーにより回転塗布、3
00℃で10分間の加熱焼成処理をした。また、こうし
て形成された主元素としてPdよりなる微粒子からなる
電子放出部形成用薄膜4の膜厚は100オングストロー
ム、シート抵抗値は3×10の4乗Ω/□であった。な
おここで述べる微粒子膜とは、上述したように、複数の
微粒子が集合した膜であり、その微細構造として、微粒
子が個々に分散配置した状態のみならず、微粒子が互い
に隣接、あるいは、重なり合った状態(島状も含む)の
膜をさし、その粒径とは、前記状態で粒子形状が認識可
能な微粒子についての径をいう。
【0132】次に、Cr膜および焼成後の電子放出部形
成用薄膜4を酸エッチャントによりエッチングして所望
のパターンを形成した。
【0133】以上の工程により基板1上に、素子電極
5、6、電子放出部形成用薄膜4等を形成した(図2の
(b))。
【0134】工程−c:次に、図3の測定評価装置に設
置し、真空ポンプにて排気し、2×10のマイナス5乗
torrの真空度に達した後、素子に素子電圧Vfを印
加するための電源31より電圧を印加し、通電処理(フ
ォーミング処理)した。フォーミング処理の電圧波形を
図4の(b)に示す。
【0135】図4の(b)中、T1及びT2は電圧波形
のパルス幅とパルス間隔であり、本実施例ではT1を
0.5ミリ秒、T2を10ミリ秒とし、三角波の波高値
(フォーミング時のピーク電圧)は0.1Vステップで
昇圧し、フォーミング処理を行った。また、フォーミン
グ処理中は、同時に、0.1Vの電圧で、T2間に抵抗
測定パルスを挿入し、抵抗を測定した。尚フォーミング
処理の終了は、抵抗測定パルスでの測定値が、約1Mオ
ーム以上になった時とし、同時に、素子への電圧の印加
を終了した。素子のフォーミング電圧VFは5.5Vで
あった。
【0136】工程−d:続いて、フォーミング処理した
素子に、矩形波の波高値を14Vで活性化処理した。活
性化処理とは、前述した様に、図3の測定評価装置内
で、素子電極間に、パルス電圧をこの時、素子電流If
及び放出電流Ieを測定しながら印加した。尚、この
時、図3の測定評価装置内の真空度は1.0×10のマ
イナス5乗torrであった。放出電流が約20分で飽
和傾向を示し、1.5マイクロAになったため、活性化
処理を終了した。
【0137】こうして、電子放出部3を形成し電子放出
素子を作製した(図2の(c))。
【0138】上述の工程で作製した表面伝導形電子放出
素子の電子放出部を電子顕微鏡にて観察したところ、活
性化処理後に電子放出部に被膜が形成されていた。更
に、高倍率のFESEMで観察すると、この被膜は、金
属微粒子の周囲及び微粒子間にも形成されているようで
あった。更に、TFM、ラマン等で観察すると、グラフ
ァイト、アモルファスカーボンからなる炭素被膜が観察
された。
【0139】更に、上述の工程で作製した表面伝導形電
子放出素子において、実施態様で説明した放置時間変
動、パルス幅変動、素子電圧変動を測定するために、上
述の図3の測定評価装置を用いて行った。
【0140】尚、アノード電極と電子放出素子の距離を
4mm、アノード電極の電位を1kV、電子放出特性測
定時の真空装置内の真空度は、従来の電子放出素子は高
真空排気装置を用いて約3×10のマイナス6乗tor
r(有機物の分圧:5×10のマイナス7乗torr)
に、本発明の電子放出素子は超高真空排気装置を用い
て、1×10マイナス9乗torr程度(有機物の分
圧:1×10のマイナス10乗torr以下)に設定し
た。
【0141】まず、本実施例の電子放出素子の放出電流
−素子電圧特性(実施態様説明したような飽和値)を素
子電圧(波高値)を14Vおよび12V、パルス幅を1
ミリ秒の三角波で測定したところ、図7で示されるよう
な、放出電流が素子電圧に対してほぼ一義的に決まる単
調増加特性を示し、素子電圧変動は問題となる範囲以下
であった。従来の電子放出素子は、図28で示されるよ
うな特性で、12Vでの放出電流は素子電圧の波高値
(掃引電圧)12Vと14Vで30%以上の違いがあっ
た。また、本実施例の電子放出素子の素子電流も素子電
圧に対してほぼ一義的に決まる単調増加特性を示した。
【0142】次に、本実施例の電子放出素子の放置時間
変動を、素子電圧を14V、パルス幅を100マイクロ
秒の矩形波、放置時間を10分で測定した結果、放置時
間後の放出電流の増加量(Is−I)/I×100(図
26を参照)は3%以下であった。また、従来の電子放
出素子は35%程度であった。
【0143】次に、本実施例の電子放出素子のパルス幅
変動を、素子電圧を14V、パルス幅を10マイクロ秒
および100マイクロ秒で測定したところ、パルス幅に
よる放出電流ピークの変動は2%以下であり、従来の電
子放出素子は20%程度であった。
【0144】上述したように、本実施例の電子放出素子
は、電子放出特性の変動が小さい安定な電子放出素子で
あり、駆動電圧(素子電圧)波形のパルス幅や電圧値に
よって、電子放出量が制御可能な電子放出素子である。
【0145】〔実施例2〕実施例1において、電子放出
素子を測定評価装置で、真空オイルを使用しない超高真
空排気装置にて、素子および装置全体を120℃で10
時間程度加熱ベーキングした。
【0146】このときの真空装置内の真空度は、約1×
10のマイナス8乗torr(有機物質の分圧:検出限
界以下、1×10のマイナス10乗torr以下)であ
った。
【0147】本実施例の電子放出素子は、実施例1と比
較してさらに放置時間変動およびパルス幅変動の小さい
安定な電子放出素子であった。
【0148】〔実施例3〕本実施例においては、実施例
1におけるフォーミング処理をつぎのようにおこなっ
た。
【0149】電圧波形を短形波とし、パルス幅T1を
0.5ミリ秒、パルス間隔T2を10ミリ秒とし、0.
1Vのステップで0Vから14Vまで昇圧した。
【0150】電子放出特性測定時の真空装置内をオイル
を用いない超高真空排気装置により真空排気し、真空装
置内の真空度を約7×10マイナス7乗Torr(有機
物の分圧:1×10−8Torr以下)にして、電子放
出特性を測定したところ、本実施例の電子放出素子の放
出電流、素子電流ともに素子電圧に対してほぼ一義的に
決まる単調増加特性を示した。パルス幅による放出電流
ピークの変動は5%以下であり、従来の電子放出素子よ
り電子放出特性の変動が小さい安定な電子放出素子であ
った。また、電子放出量は、1.1マイクロA得られ
た。
【0151】本実施例の電子放出素子は、電子放出特性
の変動が小さい安定な電子放出素子であり、駆動電圧
(素子電圧)波形のパルス幅や電圧値によって、電子放
出量が制御可能な電子放出素子である。
【0152】〔実施例4〕本実施例は、多数の表面伝導
電子放出素子を単純マトリクス配置した画像形成装置の
例である。
【0153】電子線発生装置の一部の平面図を図12に
示す。また、図中のA−A′断面図を図13に示す。但
し、図12、図13、図14、図15で、同じ記号を示
したものは、同じものを示す。ここで1は基板、82は
図9のDxnに対応するX方向配線(下配線とも呼
ぶ)、83は図9のDynに対応するY方向配線(上配
線とも呼ぶ)、4は電子放出部を含む薄膜、5、6は素
子電極、141は層間絶縁層、142は素子電極5と下
配線82と電気的接続のためのコンタクトホールであ
る。
【0154】次に製造方法を図14、図15により工程
順に従って具体的に説明する。
【0155】工程−a:清浄化した青板ガラス上に厚さ
0.5ミクロンのシリコン酸化膜をスパッタ法で形成し
た基板1上に、真空蒸着により厚さ50オングストロー
ムのCr、厚さ6000オングストロームのAuを順次
積層した後、ホトレジスト(AZ1370ヘキスト社
製)をスピンナーにより回転塗布し、ベークした後、ホ
トマスク像を露光、現像して、下配線82のレジストパ
ターンを形成し、Au/Cr堆積膜をウエットエッチン
グして、所望の形状の下配線82を形成する(図14の
(a))。
【0156】工程−b:次に厚さ1.0ミクロンのシリ
コン酸化膜からなる層間絶縁層141をRFスパッタ法
により堆積する(図14の(b))。
【0157】工程−c:前記工程bで堆積したシリコン
酸化膜にコンタクトホール142を形成するためのホト
レジストパターンを作り、これをマスクとして層間絶縁
層141をエッチングしてコンタクトホール142を形
成する。エッチングはCF4とH2ガスを用いたRIE
(Reactive Ion Etching)法によ
った(図14の(c))。
【0158】工程−d:その後、素子電極5と素子電極
間ギャップGとなるべきパターンをホトレジスト(RD
−2000N−41 日立化成社製)形成し、真空蒸着
法により、厚さ50ÅのTi、厚さ1000ÅのNiを
順次堆積した。ホトレジストパターンを有機溶剤で溶解
し、Ni/Ti堆積膜をリフトオフし、素子電極間隔G
は3ミクロンとし、素子電極の幅W1を300ミクロ
ン、を有する素子電極5、6を形成した(図14の
(d))。
【0159】工程−e:素子電極5、6の上に上配線8
3のホトレジストパターンを形成した後、厚さ50Åの
Ti、厚さ5000ÅのAuを順次真空蒸着により堆積
し、リフトオフにより不要の部分を除去して、所望の形
状の上配線83を形成した(図15の(e))。
【0160】工程−f:膜厚1000ÅのCr膜151
を真空蒸着により堆積・パターンニングし、そのうえに
有機Pd(ccp4230奥野製薬(株)社製)をスピ
ンナーにより回転塗布、300℃で10分間の加熱焼成
処理をした。また、こうして形成された主元素としてP
dよりなる微粒子からなる電子放出部形成用薄膜2の膜
厚は100オングストローム、シート抵抗値は5×10
の4乗Ω/□であった。なおここで述べる微粒子膜と
は、上述したように、複数の微粒子が集合した膜であ
り、その微細構造として、微粒子が個々に分散配置した
状態のみならず、微粒子が互いに隣接、あるいは、重な
り合った状態(島状も含む)の膜をさし、その粒径と
は、前記状態で粒子形状が認識可能な微粒子ついての径
をいう(図15の(f))。
【0161】工程−g:Cr膜151および焼成後の電
子放出部形成用薄膜2を酸エッチャントによりエッチン
グして所望のパターンを形成した(図15の(g))。
【0162】工程−h:コンタクトホール142部分以
外にレジストを塗布するようなパターンを形成し、真空
蒸着により厚さ50ÅのTi、厚さ5000ÅのAuを
順次堆積した。リフォトオフにより不要の部分を除去す
ることにより、コンタクトホール142を埋め込んだ
(図15の(h))。
【0163】以上の工程により絶縁性基板1上に下配線
82、層間絶縁層141、上配線83、素子電極5、
6、電子放出部形成用薄膜2等を形成した。
【0164】次に、以上のようにして作成した電子源基
板を用いて、電子線発生装置及びこれを用いた表示装置
を構成した例を、図10と図11を用いて説明する。
【0165】以上のようにして多数の素子を作製した基
板1をリアルプレート91上に固定した後、基板1の5
mm上方に、フェースプレート96(ガラス基板93の
内面に蛍光膜94とメタルバック95が形成されて構成
される)を支持枠92を介し配置し、フェースプレート
96、支持枠92、リアプレート91の接合部にフリッ
トガラスを塗布し、大気中あるいは窒素雰囲気中で40
0℃ないし500℃で10分以上焼成することで封着し
た(図10)。また、リアプレート91への基板1の固
定もフリットガラスで行った。
【0166】本実施例において、図10の84は電子放
出部形成前の電子放出素子(例えば、図2の(b)に相
当する)であり、82、83はそれぞれX方向及びY方
向の素子配線である。
【0167】蛍光膜94は、モノクロームの場合は蛍光
体のみから成るが、本実施例では蛍光体はストライプ形
状を採用し、先にブラックストライプを形成し、その間
隙部に各色蛍光体を塗布し、蛍光膜94を作製した。ブ
ラックストライプの材料として通常良く用いられている
黒鉛を主成分とする材料を用いたガラス基板93に蛍光
体を塗布する方法はスラリー法を用いた。
【0168】また、蛍光膜94の内面側には通常メタル
バック95が設けられる。メタルバックは、蛍光膜作製
後、蛍光膜の内面側表面の平滑化処理(通常フィルミン
グと呼ばれる)を行い、その後、A1を真空蒸着するこ
とで作製した。フェースプレート96には、更に蛍光膜
94の導伝性を高めるため、蛍光膜94の外面側に透明
電極(不図示)が設けられる場合もあるが、本実施例で
は、メタルバックのみで十分な導伝性が得られたので省
略した。
【0169】前述の封着を行う際、カラーの場合は各色
蛍光体と電子放出素子とを対応させなくてはいけないた
め、十分な位置合わせを行った。
【0170】以上のようにして完成したガラス容器内の
雰囲気を排気管(図示せず)を通じ真空ポンプにて排気
し、十分な真空度に達した後、容器外端子Dxolない
しDoxmとDoy1ないしDoynを通じ電子放出素
子84の電極5、6(図2の(b)を参照)間に電圧を
印加し、電子放出部形成用薄膜2をフォーミング処理し
た。フォーミング処理の電圧波形は、図4の(b)と同
様である。尚、本実施例ではT1を1ミリ秒、T2を1
0ミリ秒とし、約1×10−5乗torrの真空雰囲気
下で行った。
【0171】次にフォーミングと同一の矩形波で波高1
4Vまで昇圧し、真空度2×10のマイナス5乗Tor
rの真空度で、素子電流If、放出電流Ieを測定しな
がら、活性化処理をおこなった。
【0172】以上のフォーミング、活性化処理を行い、
図12に示すような、電子放出部3が形成された電子放
出素子84を多数個、基板上に配置した電子線発生装置
を作製した。
【0173】このように作成された電子放出部3は、パ
ラジウム元素を主成分とする微粒子が分散配置された状
態となり、その微粒子の平均粒径は30オングストロー
ムであった。その後、イオンポンプ等のオイルを使用し
ないポンプ系とする超高真空排気系にきりかえ、120
度で十分な時間ベーキングした。ベーキング後の真空度
は1×10のマイナス8トール程度であった。
【0174】次に、不図示の排気管をガスバーナーで熱
することで溶着し外囲器の封止を行った。
【0175】最後に封止後の真空度を維持するために、
高周波加熱法でゲッター処理を行った。
【0176】以上のように完成した本発明の画像表示装
置において、各電子放出素子には、容器外端子Dxlな
いしDxm、DylないしDynを通じ、走査信号及び
変調信号を不図示の信号発生手段よりそれぞれ、印加す
ることにより、電子放出させ、高圧端子Hvを通じ、メ
タルバック99、に数kV以上の高圧を印加し、電子ビ
ームを加速し、蛍光膜98に衝突させ、励起・発光させ
ることで画像を表示した。
【0177】本実施例の画像形成装置は、放置時間変動
の少ない極めて安定な表示画像の得られる画像形成装置
であった。更に、階調特性及びフルカラー表示特性に優
れたコントラストの高い画像形成装置であった。
【0178】〔実施例5〕図16は、前記説明の表面伝
導形電子放出素子を電子ビーム源として用いたディスプ
レイパネルに、たとえばテレビジョン放送をはじめとす
る種々の画像情報源より提供される画像情報を表示でき
るように構成した表示装置の一例を示すための図であ
る。
【0179】図16中17100はディスプレイパネ
ル、17101はディスプレイパネルの駆動回路、17
102はディスプレイコントローラ、17103はマチ
プレクサ、17104はデコーダ、17105は入出力
インターフェース回路、17106はCPU、1710
7は画像生成回路、17108および17109および
17110は画像メモリーインターフェース回路、17
111は画像入力インターフェース回路、17112お
よび17113はTV信号受信回路、17114は入力
部である。
【0180】尚、本表示装置は、たとえばテレビジョン
信号のように映像情報と音声情報の両方を含む信号を受
信する場合には、当然映像の表示と同時に音声を再生す
るものであるが、本発明の特徴と直接関係しない音声情
報の受信、分離、再生、処理、記憶などに関する回路や
スピーカなどについては説明を省略する。
【0181】以下、画像信号の流れに沿って各部の機能
を説明してゆく。
【0182】まず、TV信号受信回路17113は、た
とえば電波や空間光通信などのような無線伝送系を用い
て伝送されるTV画像信号を受信する為の回路である。
受信するTV信号の方式は特に限られるものではなく、
たとえば、NTSC方式、PAL方式、SECAM方式
などの諸方式でもよい。また、これらよりさらに多数の
走査線よりなるTV信号(たとえばMUSE方式をはじ
めとするいわゆる高品位TV)は、大面積化や大画素数
化に適した前記ディスプレイパネルの利点を生かすのに
好適な信号源である。
【0183】TV信号受信回路17113で受信された
TV信号は、デコーダ17104に出力される。
【0184】また、TV信号受信回路17112は、た
とえば同軸ケーブルや光ファイバーなどのような有線伝
送系を用いて伝送されるTV画像信号を受信するための
回路である。前記TV信号受信回路17113と同様
に、受信するTV信号の方式は特に限られるものではな
く、また本回路で受信されたTV信号もデコーダ171
04に出力される。
【0185】また、画像入力インターフェース回路17
111は、たとえばTVカメラや画像読み取りスキャナ
ーなどの画像入力装置から供給される画像信号を取り込
むための回路で、取り込まれた画像信号はデコーダ17
104に出力される。
【0186】また、画像メモリーインターフェース回路
17110は、ビデオテープレコーダー(以下VTRと
略す)に記憶されている画像信号を取り込むための回路
で、取り込まれた画像信号はデコーダ17104に出力
される。
【0187】また、画像メモリーインターフェース回路
17109は、ビデオディスクに記憶されている画像信
号を取り込むための回路で、取り込まれた画像信号はデ
コーダ17104に出力される。
【0188】また、画像メモリーインターフェース回路
17108は、いわゆる静止画像ディスクのように静止
画像データを記憶している装置から画像信号を取り込む
ための回路で、取り込まれた静止画像データはデコーダ
17104に入力される。
【0189】また、入出力インターフェース回路171
05は、本表示装置と、外部のコンピュータもしくはコ
ンピュータネットワークもしくはプリンターなどの出力
装置とを接続するための回路である。画像データや文字
・図形情報の入出力を行うのはもちろんのこと、場合に
よっては本表示装置の備えるCPU17106と外部と
の間で制御信号や数値データの入出力などを行うことも
可能である。
【0190】また、画像生成回路17107は、前記入
出力インターフェース回路17105を介して外部から
入力される画像データや文字・図形情報や、あるいはC
PU17106より出力される画像データや文字・図形
情報にもとずき表示用画像データを生成するための回路
である。本回路の内部には、たとえば画像データや文字
・図形情報を蓄積するための書き換え可能メモリーや、
文字コードに対応する画像パターンが記憶されている読
み出し専用メモリーや、画像処理を行うためのプロセッ
サーなどをはじめとして画像の生成に必要な回路が組み
込まれている。
【0191】本回路により生成された表示用画像データ
は、デコーダ17104に出力されるが、場合によって
は前記入出力インターフェース回路17105を介して
外部のコンピュータネットワークやプリンターに出力す
ることも可能である。
【0192】また、CPU17106は、主として本表
示装置の動作制御や、表示画像の生成や選択や編集に関
わる作業を行う。
【0193】たとえば、マルチプレクサ17103に制
御信号を出力し、ディスプレイパネルに表示する画像信
号を適宜選択したり組み合わせたりする。また、その際
には表示する画像信号に応じてディスプレイパネルコン
トローラ17102に対して制御信号を発生し、画面表
示周波数や走査方法(たとえばインターレースかノンイ
ンターレースか)や一画面の走査線の数など表示装置の
動作を適宜制御する。
【0194】また、前記画像生成回路17107に対し
て画像データや文字・図形情報を直接出力したり、ある
いは前記入出力インターフェース回路17105を介し
て外部のコンピュータやメモリーをアクセスして画像デ
ータや文字・図形情報を入力する。なお、CPU171
06は、むろんこれ以外の目的の作業にも関わるもので
あって良い。たとえば、パーソナルコンピュータやワー
ドプロセッサなどのように、情報を生成したり処理する
機能に直接関わっても良いあるいは、前述したように入
出力インターフェース回路17105を介して外部のコ
ンピュータネットワークと接続し、たとえば数値計算な
どの作業を外部機器と協同して行っても良い。
【0195】また、入力部17114は、前記CPU1
7106に使用者が命令やプログラム、あるいはデータ
などを入力するためのものであり、たとえばキーボード
やマウスのほか、ジョイスティック、バーコードリーダ
ー、音声確認装置など多様な入力機器を用いる事が可能
である。
【0196】また、デコーダ17104は、前記171
07ないし17113より入力される種々の画像信号を
3原色信号、または輝度信号とI信号、Q信号に逆変換
するための回路である。なお、同図中に点線で示すよう
に、デコーダ17104は内部に画像メモリーを備える
のが望ましい。これは、たとえばMUSE方式をはじめ
として、逆変換するに際して画像メモリーを必要とする
ようなテレビ信号を扱うためである。また、画像メモリ
ーを備える事により、静止画の表示が容易になる、ある
いは前記画像生成回路17107およびCPU1710
6と協同して画像の間引き、補間、拡大、縮小、合成を
はじめとする画像処理や編集が容易に行えるようになる
という利点が生まれるからである。
【0197】また、マルチプレクサ17103は、前記
CPU17106より入力される制御信号にもとづき表
示画像を適宜選択するものである。すなわち、マルチプ
レクサ17103はデコーダ17104から入力される
逆変換された画像信号のうちから所望の画像信号を選択
して駆動回路17101に出力する。その場合には、一
画面表示時間内で画像信号を切り替えて選択することに
より、いわゆる多画面テレビのように、一画面を複数の
領域に分けて領域によって異なる画像を表示することも
可能である。
【0198】また、ディスプレイパネルコントローラ1
7102は、前記CPU17106より入力される制御
信号にもとづき駆動回路17101の動作を制御するた
めの回路である。
【0199】まず、ディスプレイパネルの基本的な動作
に関わるものとして、たとえばディスプレイパネルの駆
動用電源(図示せず)の動作シーケンスを制御するため
の信号を駆動回路17101に対して出力する。また、
ディスプレイパネル駆動方法に関わるものとして、たと
えば画面表示周波数や走査方法(たとえばインターレー
スかノンインターレースか)を制御するための信号を駆
動回路17101に対して出力する。
【0200】また、場合によっては表示画像の輝度やコ
ントラストや色調やシャープネスといった画質の調整に
関わる制御信号を駆動回路17101に対して出力する
場合もある。
【0201】また、駆動回路17101は、ディスプレ
イパネル17100に印加する駆動信号を発生するため
の回路であり、前記マルチプレクサ17103から入力
される画像信号と、前記ディスプレイパネルコントロー
ラ17102より入力される制御信号にもとづいて動作
するものである。
【0202】以上、各部の機能を説明したが、図16に
例示した構成により、本表示装置においては多様な画像
情報源より入力される画像情報をディスプレイパネル1
7100に表示する事が可能である。すなわち、テレビ
ジョン放送をはじめとする各種の画像信号はデコーダ1
7104において逆変換された後、マルチプレクサ17
103において適宜選択され、駆動回路17101に入
力される。一方、ディスプレイコントローラ17102
は、表示する画像信号に応じて駆動回路17101の動
作を制御するための制御信号を発生する。駆動回路17
101は、上記画像信号と制御信号にもとづいてディス
プレイパネル17100に駆動信号を印加する。これに
より、ディスプレイパネル17100において画像が表
示される。これらの一連の動作は、CPU17106に
より統括的に制御される。
【0203】また、本表示装置においては、前記デコー
ダ17104に内蔵する画像メモリや、画像生成回路1
7107および情報の中から選択したものを表示するだ
けでなく、表示する画像情報に対して、たとえば拡大、
縮小、回転、移動、エッジ強調、間引き、補間、色変
換、画像の縦横比変換などをはじめとする画像処理や、
合成、消去、接続、入れ換え、はめ込みなどをはじめと
する画像編集を行う事も可能である。また、本実施例の
説明では特に触れなかったが、上記画像処理や画像編集
と同様に、音声情報に関しても処理や編集を行なうため
の専用回路を設けても良い。
【0204】〔実施例6〕本実施例は多数の表面伝導型
電子放出素子と、制御電極(グリッド)を有する画像形
成装置の例である。
【0205】以下の本実施例で述べる電子線発生装置及
び画像形成装置に用いられる多数の表面伝導型電子放出
素子の製造方法は実施例4とほぼ同等な方法で作製し
た。即ち、後述する図19及び図20のガラス容器VC
内に、電子放出部形成前の電子放出素子を図19及び図
20に示すように基板S上に配置した後、ガラス容器内
VCを排気管(図示せず)を通じ真空ポンプにて排気
し、十分な真空度に達した後、容器外端子(図19で
は、Dp1〜Dp200及びDm1〜Dm200,図2
0ではEx1ないしEx201)を通じ、電子放出素子
ESに電圧を印加し、フォーミング処理した。フォーミ
ング処理の電圧波形は、図4(b)と同様である。尚、
本実施例ではT1を1ミリ秒、T2を10ミリ秒とし、
ガラス容器VC内を約1×10−5乗Torrの真空雰
囲気下で行った。
【0206】次にフォーミングと同一の短波形で波高1
4Vまで昇圧し、真空度2×10マイナス5乗Torr
の真空度で、素子電流If,放出電流Ieが得られた。
【0207】このように作成された電子放出部は、パラ
ジウム元素を主成分とする微粒子が分散配置された状態
となり、その微粒子の平均粒径は30オングストローム
であった。
【0208】又、ガラス容器VCは、その後、イオンポ
ンプ等のオイルを使用しないポンプ形とする超高真空排
気装置にきりかえ、120度で十分な時間ベーキング
し、ベーキング後の真空度を1×10マイナス8乗トー
ル程度とした他、その後、不図示の排気管をガスバーナ
ーで熱することで溶着しガラス容器VCの封止が行わ
れ、最後に封止後の真空度を維持するために、高周波加
熱法でゲッター処理が行われた。
【0209】まず、表面伝導形電子放出素子を基板上に
多数個設けた電子線発生装置と、これを応用した表示装
置の実施例を説明する。
【0210】図17および図18は、基板上に表面伝導
形電子放出素子の多数個を配列形成した電子線発生装置
の2つの例を説明するための模式図である。
【0211】まず、図17においてSはたとえばガラス
を材料とする絶縁性基板、点線で囲んだESは前記基板
Sの上に設けられた表面伝導形電子放出素子、E1〜E
10は前記表面伝導形電子放出素子を配線するための配
線電極をあらわしている。表面伝導形電子放出素子は基
板上にX方向に沿って列をなして形成されている(以
下、これを素子列と呼ぶ)。各素子列を構成する表面伝
導形電子放出素子は、これを挟む両側の配線電極によっ
て電気的に並列に共通配線されている(たとえば、第1
列は両側の配線電極E1とE2によって配線されてい
る)。
【0212】本実施例の電子線発生装置は、配線電極間
に適宜の駆動電圧を印加することにより、各素子列を独
立に駆動することが可能である。すなわち、電子ビーム
を放出させたい素子列には電子放出閾値を上回る適当な
電圧を、また電子ビームを放出しない素子列には電子放
出閾値を越えない適当な電圧(たとえば0[V])を印
加すればよい(なお、以下の説明では、電子放出閾値を
上回る適当な駆動電圧をVE[V]と記す。)。
【0213】次に、図18に示すのは電子線発生装置の
他の一例であり、Sはたとえばガラスを材料とする絶縁
性基板、点線で囲んだESは前記基板Sの上に設けられ
た表面伝導形電子放出素子、E′1〜E′6は前記表面
伝導形電子放出素子を共通配線するための配線電極をあ
らわしている。前記図17の例と同様、本実施例におい
ても表面伝導形電子放出素子はX方向に沿って列をなし
て形成され、各素子列の表面伝導形電子放出素子は配線
電極によって電気的に並列に共通配線されている。さら
に、たとえば素子列の第1列と第2列の片側の共通配線
を配線電極E′2が兼ねているように、本実施例におい
ては隣接する素子列の隣接する側の共通配線を1本の配
線電極で行っている。本実施例の電子線発生装置は、前
記図17の列と比較して同一形状の表面伝導形電子放出
素子と配線電極を用いた場合に、Y方向に配列する配列
間隔を小さくできるという利点がある。
【0214】本実施例の電子線発生装置は、配線電極間
に適宜の駆動電圧を印加することにより、各素子列を独
立に駆動することが可能である。すなわち、電子放出さ
せたい電子放出素子列はVE[V]を、電子放出させな
い素子列にはたとえば0[V]の電圧を印加すればよ
い。たとえば、第3列だけを駆動したい場合には、E′
1〜E′3の各配線電極には0[V]の電位を、また
E′4〜E′6の各配線電極にはVE[V]の電位を印
加する。その結果、第3列の素子列には、VE−0=V
E[V]の電圧が印加されるが、他の素子列に対して
は、0−0=0[V]かまたはVE−VE=0[V]と
いうように0[V]の電圧が印加されることになるわけ
である。また、たとえば第2列と第5列を同時に駆動さ
せる場合には、配線電極E′1とE′2とE′6には0
[V]の電位を、配線電極E′3とE′4とE′5には
VE[V]の電位を印加すればよい。このように、本実
施例においても任意の素子列を選択的に駆動することが
可能である。
【0215】なお、上記図17と図18の電子線発生装
置においては、図示の便宜上から、表面伝導形電子放出
素子をX方向には1列あたり12素子をならべたが、素
子数はこれに限るものではなく、より多数を配列しても
よい。また、Y方向には5列の素子列を並べたが、素子
列の数はこれに限るものではなく、より多数を配列して
もよい。
【0216】次に、上記の電子線発生装置を用いた平板
型CRTについて例を挙げて説明する。
【0217】図19は前記図17の電子線発生装置を備
えた平板型CRTのパネル構造を示すための図であり、
図中VCはガラス製の真空容器で、その一部であるFP
は表示面側のフェースプレートを示している。フェース
プレートFPの内面には、たとえばITOを材料とする
透明電極が形成され、さらに該透明電極上には赤、緑、
青の蛍光体がモザイクもしくはストライプ状に塗り分け
られている。図面の複雑化を避けるため、図中では透明
電極と蛍光体を合わせてPHとして示している。なお、
各色の蛍光体の間にはCRTの分野では公知のブラック
マトリクスもしくはブラックストライプを設けてもよ
く、また蛍光体の上に同じく公知のメタルバック層を形
成することも可能である。前記透明電極は、電子ビーム
の加速電圧を印加できるように端子EVを通じて真空容
器外と電気的に接続されている。
【0218】また、Sは真空容器VCの底面に固定され
た電子源の基板で、前記図17説明したように表面伝導
形電子放出素子が配列形成されている。なお、本実施例
においては1列あたり200素子が並列に配線された素
子列が200列設けられている。各素子列の2本の配線
電極は、両側のパネル側面に設けられた電極端子Dp1
〜Dp200およびDm1〜Dm200と交互に接続し
ており、真空容器外から駆動電気信号が印加できるよう
になっている。
【0219】また、基板SとフェースプレートFPの中
間には、ストライプ状のグリッド電極GRが設けられて
いる。グリッド電極GRは、前記素子列と直交して(す
なわちY方向に沿って)200本が独立して設けられて
おり、各グリッド電極には電子ビームを通過させるため
の開口Ghが設けられている。開口Ghは各表面伝導形
電子放出素子に対応して1個ずつ円形のものが設けられ
ているが、場合によってはメッシュ状に多数の通過口を
もうけることもある。各グリッド電極は、電子端子G1
〜G200により真空容器外と電気的に接続されてい
る。なお、グリッド電極は表面伝導形電子放出素子から
放出された電子ビームを変調することができるものであ
ればその形状や設置位置は必ずしも図19のようなもの
でなくともよく、たとえば表面伝導形電子放出素子の周
囲や近傍に設けてもよい。
【0220】本表示パネルでは、表面伝導形電子放出素
子の素子列とグリッド電極で200×200のXYマト
リクスを構成している。したがって、素子列を1列ずつ
順次駆動(走査)していくのと同期してグリッド電極列
に画像1ライン分の変調信号を同時に印加することによ
り、各電子ビームの蛍光体への照射を制御し、画像を1
ラインずつ表示していくものである。
【0221】つぎに、図20は前記図19の表示パネル
を駆動するための電気回路をブロック図として示したも
ので、図20中1000は前記図19の表示パネル、1
001は外部から入力する複合画像信号をデコードする
ためのデコード回路、1002はシリ/パラ変換回路、
1003はラインメモリ、1004は変調信号発生回
路、1005はタイミング制御回路、1006は走査信
号発生回路である。表示パネル1000の電極端子は各
々電気回路と接続されており、端子EVは10[kV]
の加速電圧を発生する電圧源HVと、端子G1〜G20
0は変調信号発生回路1004と、端子Dp1〜Dp2
00は走査信号発生回路1006と、端子Dm1〜Dm
200はグランドと接続されている。
【0222】以下、各部の機能を説明する。まず、デコ
ード回路1001は外部から入力するたとえばNTSC
テレビ信号などの複合画像信号をデコードするための回
路で、複合画像信号から輝度信号成分と同期信号成分を
分離して、前者をData信号としてシリ/パラ変換回
路1002に、後者をTsync信号としてタイミング
制御回路1005に出力する。すなわち、デコード回路
1001は、RGBの各色成分ごとの輝度を表示パネル
1000のカラー画素配列に合わせて配列しシリ/パラ
変換回路1002に順次出力する。また、垂直同期信号
と水平同期信号を抽出してタイミング制御回路1005
に出力する。タイミング制御回路1005は前記同期信
号Tsyncを基準にして、各部の動作タイミングを整
合させるための各種タイミング制御信号を発生する。つ
まり、シリ/パラ変換回路1002に対してはTsp
を、ラインメモリ1003に対してはTmryを変調信
号発生回路1004に対してはTmodを走査信号発生
回路1006に対してはTscanを出力する。
【0223】シリ/パラ変換回路1002は、デコード
回路1001から入力する輝度信号Dataをタイミン
グ制御回路1005より入力されるタイミング信号Ts
pにもとづいて順次サンプリングし、200個の並列信
号I1 〜I200 としてラインメモリ1003に出
力する。タイミング制御回路1005は画像の1ライン
分のデータがシリ/パラ変換された時点でラインメモリ
1003に対して書き込みタイミング制御信号Tmry
を出力する。ラインメモリ1003はTmryを受ける
とI1 〜I200の内容を記憶して、それをI′1
〜I′200として変調信号発生回路1004に出力す
るが、これはラインメモリに次の書き込みタイミング制
御信号Tmryが入力されるまで保持される。
【0224】変調信号発生回路1004はラインメモリ
1003より入力される画像1ライン分の輝度データに
もとづいて、表示パネル1000のグリッド電極に印加
する変調信号を発生させるための回路であり、タイミン
グ制御回路1005の発生するタイミング制御信号Tm
odに合わせて変調信号端子G1 〜G200に同時に
印加する。変調信号は画像の輝度データに応じて電圧の
大きさを変える電圧変調方式を用いるが、輝度データに
応じて電圧パルスの長さを変えるパルス幅変調方式を用
いることも可能である。
【0225】また、走査信号発生回路1006は表示パ
ネル1000の表面伝導形電子放出素子の素子列を適宜
駆動するための電圧パルスを発生するための回路であ
る。タイミング制御回路1005の発生するタイミング
制御信号Tscanに合わせて適宜内部のスイッチング
回路を切り替え、定電圧源DVの発生する表面伝導形電
子放出素子の閾値を上回る適当な駆動電圧VE[V]
か、またはグランドレベル(すなわち0[V])かを選
択して端子Dp1〜Dp200に印加するものである。
【0226】以上の回路により、表示パネル1000に
は図21のタイムチャートに示すタイミングで駆動信号
が印加される。図21中の(a)〜(d)は、走査信号
発生回路1006から表示パネルの端子Dp1〜Dp2
00に印加される信号の一部を示すが、図から分かるよ
う振幅VE[V]の電圧パルスが画像の1ライン表示時
間ごとに順次Dp1、Dp2、Dp3…の順に印加され
てゆく。一方、端子Dm1〜Dm200は常にグランド
レベル(0[V])と接続されているため、上記電圧パ
ルスにより素子列は第1列目から順次駆動され電子ビー
ムが出力されていく。
【0227】また、これと同期して変調信号発生回路1
004から同図(f)に点線で示すタイミングで画像の
1ライン分の変調信号が同時に端子G1〜G200に印
加される。走査信号が切り替えられるのと同期して順次
変調信号も切り替えられ、、1画面分の画像が表示され
てゆく。これを連続して繰り返し行うことにより、テレ
ビジョン動画の表示が可能なわけである。
【0228】以上、図17の電子線発生装置を備えた平
板型CRTについて説明したが、次に前記図18の電子
線発生装置を備えた平板型CRTについて図22を用い
て説明する。
【0229】図22の平板型CRTは、基本的には前記
図19の平板型CRTの電子線発生装置部を、図18の
タイプで置き換えたものであり、電子放出素子列とグリ
ッド電極で200×200のXYマトリクスを構成して
いる。ただし、200列の表面伝導形電子放出素子の配
線がE1〜E201の201本の配線電極でなされてい
るため、真空容器にはEx1〜Ex201の201本の
電極端子が設けられている。
【0230】図23に本表示パネル1008を駆動する
駆動回路を示すが、走査信号発生回路1007を除け
ば、前記G4図の回路と基本的に同様である。走査信号
発生回路1007は、定電圧源DVの発生する表面伝導
形電子放出素子の電子放出閾値を上回る適当な駆動電圧
VE[V]か、またはグランドレベル(0[V])を適
宜選択して表示パネルの端子に出力するが、そのタイミ
ングを図24のタイムチャートに示す。表示パネルは
(a)に示すタイミングで表示動作を行うが、そのため
に電極端子Ex1〜Ex4には走査信号発生回路100
7より(b)〜(e)に示すような駆動信号が印加され
る。そのため、表面伝導形電子放出素子列には(f)〜
(h)のような電圧が印加され、1列ずつ順次駆動され
る。これと同期して、変調信号発生回路1004からは
(i)のようなタイミングで変調信号が出力され、順次
画像が表示されるものである。
【0231】本実施例の画像形成装置は、実施例4と同
様に放置時間変動の少ない極めて安定な表示画像が得ら
れる画像形成装置であった。さらに、階調特性及びフル
カラー表示特性に優れたコントラストの高い画像形成装
置であった。
【0232】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の表面伝導
形電子放出素子及び電子源は、真空装置内の有機物質の
量を極力減少させることで放出電流および素子電流が素
子電圧に対して一義的に決まる単調増加特性を有し、素
子を駆動してない時間(放置時間)や真空度によって電
子放出量の変動が小さい、極めて安定な電子放出性を可
能にし、また、駆動電圧(素子電圧)のパルス幅および
電圧値によって、電子放出量の制御が可能になった。
【0233】更に、本発明の表面伝導形電子放出素子を
用いた画像形成装置は、放置時間変動のすくない安定な
表示画像が得られ、更に、階調特性に優れたコントラス
トの高い、フルカラーの表示画像が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る基本的な表面伝導形電子放出素子
の構成を示す図。
【図2】本発明に係る表面伝導形電子放出素子の基本的
な製造方法を説明するための図。
【図3】本発明に係る表面伝導形電子放出素子の特性評
価に用いる測定評価装置の図。
【図4】本発明に係るフォーミング処理における電圧波
形の一例を示す図。
【図5】本発明に係る表面伝導形電子放出素子の素子電
流及び放出電流の活性化処理時間に対する依存性を示す
図。
【図6】本発明に係る別の態様の表面伝導形電子放出素
子の基本的な構成を示す図。
【図7】本発明に係る表面伝導形電子放出素子の放出電
流、素子電流、及び素子電圧の関係の典型例を示す図。
【図8】本発明に係る表面伝導形電子放出素子の、放出
電流−素子電圧(I−V)特性を示す図。
【図9】本発明に係る電子源基板の概略構成図。
【図10】本発明に係る画像形成装置の基本構成を示す
図。
【図11】図10の画像形成装置に用いられる蛍光膜を
示す図。
【図12】本発明の実施例4の電子源の構成の一部を示
す図。
【図13】図12A−A’断面図。
【図14】本発明の実施例4の電子源の製造工程を説明
するための断面図。
【図15】本発明の実施例4の電子源の製造工程を説明
するための断面図。
【図16】本発明の実施例5における表示装置を示すブ
ロック図。
【図17】本発明の実施例6の画像形成装置の電子源基
板の概略構成図。
【図18】本発明の実施例6の画像形成装置の電子源基
板の概略構成図。
【図19】本発明の実施例6の画像形成装置におけるパ
ネル構成図。
【図20】本発明の実施例6の画像形成装置を駆動する
ための電気回路を説明するためのブロック図。
【図21】本発明の実施例6の画像形成装置の駆動を説
明するためのタイムチャート図。
【図22】本発明の実施例6の画像形成装置におけるパ
ネル構成図。
【図23】本発明の実施例6の画像形成装置を駆動する
ための電気回路を説明するためのブロック図。
【図24】本発明の実施例6の画像形成装置の駆動を説
明するためのタイムチャート図。
【図25】従来の表面伝導形電子放出素子の概略構成
図。
【図26】表面伝導形電子放出素子の放出電流及び素子
電流の放置時間変動について説明するための図。
【図27】表面伝導形電子放出素子の放出電流のパルス
幅変動について説明するための図。
【図28】表面伝導形電子放出素子の放出電流の素子電
圧変動について説明するための図。
【符号の説明】
1 基板 5,6 素子電極 4 電子放出部を含む薄膜 3 電子放出部 2 電子放出部形成用薄膜 84,74 電子放出素子 82,83 配線 85 結線 91 リヤプレート 92 支持枠 98 外囲器 96 フェースプレート 93 透明基板 94 蛍光膜 95 メタルバック 141 層間絶縁層 142 コンタクトホール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 武田 俊彦 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 岩崎 達哉 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤ ノン株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−309242(JP,A) 特開 平1−298624(JP,A) 特開 平5−242793(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 1/30 - 1/316 H01J 29/94 H01J 31/12

Claims (33)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対向する電極間に配置されたフォーミン
    グ処理を施した導電性膜と、前記電極間にパルス電圧を
    印加することにより真空中に存在する有機物質から前記
    導電性膜に堆積された炭素あるいは炭素化合物とを有す
    電子放出素子を外囲器内に有する電子線装置におい
    て、前記外囲器内の炭素化合物の分圧が1×10 −8 Tor
    r以下に維持されており、前記電子放出素子が、その放
    出電流が素子電圧に対して一義的に決まる特性を示すこ
    とを特徴とする電子線装置。
  2. 【請求項2】 前記電子放出素子が、その放出電流が素
    子電圧に対してほぼ一義的に決まる単調増加特性を示す
    請求項1に記載の電子線装置。
  3. 【請求項3】 前記電子放出素子が、その放出電流及び
    素子電流が、素子電圧に対して一義的に決まる特性を示
    す請求項1に記載の電子線装置。
  4. 【請求項4】 前記電子放出素子が、その放出電流及び
    素子電流が、素子電圧に対してほぼ一義的に決まる単調
    増加特性を示す請求項1に記載の電子線装置。
  5. 【請求項5】 前記外囲器内が、前記電子放出素子の構
    造変化を防止する雰囲気に維持されている請求項1〜4
    のいずれかに記載の電子線装置。
  6. 【請求項6】 前記外囲器内が、前記電子放出素子への
    炭素を主成分とする堆積物の堆積を防止する雰囲気に維
    持されている請求項1〜4のいずれかに記載の電子線装
    置。
  7. 【請求項7】 前記外囲器内が、1×10-6Torr
    以下の真空雰囲気に維持されている請求項1〜4のいず
    れかに記載の電子線装置。
  8. 【請求項8】 前記炭素あるいは炭素化合物は、グラフ
    ァイト、アモルファスカーボンあるいはそれらの混合物
    である請求項1〜4に記載の電子線装置。
  9. 【請求項9】 前記電子放出素子を複数有し、入力信号
    に応じて電子を放出する請求項1〜4のいずれかに記載
    の電子線装置。
  10. 【請求項10】 前記複数の電子放出素子の各々の両端
    を配線にて接続した電子放出素子の行を複数行と、該電
    子放出素子より放出される電子線の変調を行う変調手段
    とを有する請求項に記載の電子線装置。
  11. 【請求項11】 前記複数の電子放出素子が互いに電気
    的に絶縁されたm本のX方向配線とn本のY方向配線と
    に接続し並設されている請求項に記載の電子線装置。
  12. 【請求項12】 対向する電極間に配置されたフォーミ
    ング処理を施した導電性膜と、前記電極間にパルス電圧
    を印加することにより真空中に存在する有機物質から前
    記導電性膜に堆積された炭素あるいは炭素化合物とを有
    する電子放出素子を外囲器内に有する電子線装置におい
    て、前記外囲器内の炭素化合物の分圧が1×10 −8 Tor
    r以下に維持されていることを特徴とする電子線装置。
  13. 【請求項13】 前記外囲器内が、前記電子放出素子へ
    の炭素を主成分とする堆積物の堆積を防止する雰囲気に
    維持されている請求項12に記載の電子線装置。
  14. 【請求項14】 前記外囲器内が、1×10−6Tor
    r以下の真空雰囲気に維持されている請求項12に記載
    の電子線装置。
  15. 【請求項15】 前記炭素あるいは炭素化合物は、グラ
    ファイト、アモルファスカーボンあるいはそれらの混合
    物である請求項12〜14のいずれかに記載の電子線装
    置。
  16. 【請求項16】 前記電子放出素子を複数有し、入力信
    号に応じて電子を放出する請求項12〜14のいずれか
    に記載の電子線装置。
  17. 【請求項17】 前記複数の電子放出素子の各々の両端
    を配線にて接続した電子放出素子の行を複数行と、該電
    子放出素子より放出される電子線の変調を行う変調手段
    とを有する請求項16に記載の電子線装置。
  18. 【請求項18】 前記複数の電子放出素子が互いに電気
    的に絶縁されたm本のX方向配線とn本のY方向配線と
    に接続し並設されている請求項16に記載の電子線装
    置。
  19. 【請求項19】 外囲器内に、電子源と画像形成部材と
    を有し、入力信号に応じて画像を形成する画像形成装置
    において、前記外囲器内の炭素化合物の分圧が1×10
    −8 Torr以下に維持されており、前記電子源が、対向す
    る電極間に配置されたフォーミング処理を施した導電性
    膜と、前記電極間にパルス電圧を印加することにより真
    空中に存在する有機物質から前記導電性膜に堆積された
    炭素あるいは炭素化合物とを有する電子放出素子を有
    し、該電子放出素子が、その放出電流が素子電圧に対し
    て一義的に決まる特性を示すことを特徴とする画像形成
    装置。
  20. 【請求項20】 前記電子放出素子が、その放出電流が
    素子電圧に対して一義的に決まる単調増加特性を示す請
    求項19に記載の画像形成装置。
  21. 【請求項21】 前記電子放出素子が、その放出電流及
    び素子電流が、素子電圧に対して一義的に決まる特性を
    示す請求項19に記載の画像形成装置。
  22. 【請求項22】 前記電子放出素子が、その放出電流及
    び素子電流が、素子電圧に対してほぼ一義的に決まる単
    調増加特性を示す請求項19に記載の画像形成装置。
  23. 【請求項23】 前記外囲器内が、前記電子放出素子へ
    の炭素を主成分とする堆積物の堆積を防止する雰囲気に
    維持されている請求項19〜22のいずれかに記載の画
    像形成装置。
  24. 【請求項24】 前記外囲器内が、1×10−6Tor
    r以下の真空雰囲気に維持されている請求項19〜22
    のいずれかに記載の画像形成装置。
  25. 【請求項25】 前記炭素あるいは炭素化合物は、グラ
    ファイト、アモルファスカーボンあるいはそれらの混合
    物である請求項19〜22のいずれかに記載の画像形成
    装置。
  26. 【請求項26】 前記電子放出素子を複数有し、該電子
    放出素子の各々の両端を配線にて接続した行を複数行
    と、該電子放出素子の変調を行う変調手段とを有する請
    求項19〜22のいずれかに記載の画像形成装置。
  27. 【請求項27】 前記電子放出素子を複数有し、該複数
    の電子放出素子が互いに電気的に絶縁されたm本のX方
    向配線とn本のY方向配線とに接続し並設されている請
    求項19〜22のいずれかに記載の画像形成装置。
  28. 【請求項28】 外囲器内に、電子源と画像形成部材と
    を有し、入力信号に応じて画像を形成する画像形成装置
    において、前記外囲器内の炭素化合物の分圧が1×10
    −8 Torr以下に維持されており、前記電子源が、対向す
    る電極間に配置されたフォーミング処理を施した導電性
    膜と、前記電極間にパルス電圧を印加することにより真
    空中に存在する有機物質から前記導電性膜に堆積された
    炭素あるいは炭素化合物とを有する電子放出素子を有す
    ることを特徴とする画像形成装置。
  29. 【請求項29】 前記外囲器内が、前記電子放出素子へ
    の炭素を主成分とする堆積物の堆積を防止する雰囲気に
    維持されている請求項28に記載の画像形成装置。
  30. 【請求項30】 前記外囲器内が、1×10−6Tor
    r以下の真空雰囲気に維持されている請求項29に記載
    の画像形成装置。
  31. 【請求項31】 前記炭素あるいは炭素化合物は、グラ
    ファイト、アモルファスカーボンあるいはそれらの混合
    物である請求項28〜30のいずれかに記載の画像形成
    装置。
  32. 【請求項32】 前記電子放出素子を複数有し、該電子
    放出素子の各々の両端を配線にて接続した行を複数行
    と、該電子放出素子の変調を行う変調手段とを有する請
    求項28〜30のいずれかに記載の画像形成装置。
  33. 【請求項33】 前記電子放出素子を複数有し、該複数
    の電子放出素子が互いに電気的に絶縁されたm本のX方
    向配線とn本のY方向配線とに接続し並設されている請
    求項28〜30のいずれかに記載の画像形成装置。
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