JP2946180B2 - 電子放出装置、それを用いた画像形成装置及びこれらの製造方法及び駆動方法 - Google Patents

電子放出装置、それを用いた画像形成装置及びこれらの製造方法及び駆動方法

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    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J2201/00Electrodes common to discharge tubes
    • H01J2201/30Cold cathodes
    • H01J2201/316Cold cathodes having an electric field parallel to the surface thereof, e.g. thin film cathodes
    • H01J2201/3165Surface conduction emission type cathodes

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  • Cathode-Ray Tubes And Fluorescent Screens For Display (AREA)
  • Cold Cathode And The Manufacture (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子放出装置、当該装
置を用いて構成した表示装置や露光装置等の画像形成装
置及びこれらの製造方法並びに駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子放出素子として熱電子源と冷
陰極電子源の2種類が知られており、冷陰極電子源に
は、電界放出型(以下FE型と記す)、金属/絶縁層/
金属型(以下MIM型と記す)や表面伝導型等がある。
【0003】上記FE型の例としては、ダブリュ ピィ
ダイク アンド ダブリュ ダブリュ ドラン著「フ
ィールド エミッション」アドバンス イン エレクト
ロンフィジックス,8,89(1956)(W.P.D
yke&W.W.Dolan”Field emiss
ion”,Advance in electron
Physics)或いはシィ エィ スピント「フィジ
カル プロパティズオブ シン−フィルム フィールド
エミッション カソーズ ウィズ モリブデニウム
コーンズ」ジャーナル オブ アプライド フィジク
ス,47,5248(1976)(C.A.Spind
t”PHYSICAL Properties of
thin−film field emission
cathodes with molybdenium
cones”J.Appl.Phys.)等が知られ
ている。
【0004】MIM型の例としては、シィ エィ ミー
ド「ザ トンネル−エミッションアンプリファイア」ジ
ャーナル オブ アプライド フィジクス,32,64
6(1961)(C.A.Mead”The tunn
el−emissionamplifier”J.Ap
pl.Phys.)等が知られている。
【0005】また、表面伝導型電子放出素子の例として
は、エム アイ エリンソン,レィディオ エンジニア
リング エレクトロン フィジクス,10(1965)
(M.I.Elinson,Radio Eng.El
ectron Phys.)等がある。
【0006】表面伝導型電子放出素子は、絶縁性の基板
上に形成された導電性薄膜に、膜面に平行に電流を流す
ことにより電子放出が生ずる現象を利用するものであ
る。
【0007】表面伝導型電子放出素子の典型的な構成例
としては、絶縁性の基板上に設けた一対の素子電極間を
連絡する金属酸化物等の導電性薄膜に、予めフォーミン
グと称される通電処理により電子放出部を形成したもの
が挙げられる。フォーミングは、導電性薄膜の両端に直
流電圧あるいは非常にゆっくりとした昇電圧、例えば1
V/1分程度の昇電圧を印加通電することで通常行わ
れ、導電性薄膜を局所的に破壊、変形もしくは変質させ
て構造を変化させ、電気的に高抵抗な状態の電子放出部
を形成する処理である。電子放出は、上記電子放出部が
形成された導電性薄膜に電圧を印加して電流を流すこと
により、電子放出部に発生した亀裂付近から行われる。
【0008】上記表面伝導型電子放出素子は、構造が単
純で製造も容易であることから、大面積に亙って多数配
列形成できる利点がある。そこで、この特徴を活かすた
めの種々の応用が研究されている。例えば露光装置や表
示装置等の画像形成装置への利用が挙げられる。
【0009】従来、多数の表面伝導型電子放出素子を配
列形成した例としては、並列に表面伝導型電子放出素子
を配列し、個々の表面伝導型電子放出素子の両端(両素
子電極)を配線(共通電極とも呼ぶ)にて夫々結線した
行を多数行配列(梯型配置とも呼ぶ)した電子放出装置
が挙げられる(特開平1−31332号公報、同1−2
83749号公報、同−257552号公報)。ま
た、特に表示装置においては、液晶を用いた表示装置と
同様の平板型表示装置とすることが可能で、しかもバッ
クライトが不要な自発光型の表示装置として、表面伝導
型電子放出素子を多数配置した電子放出装置と、この電
子放出装置からの電子線の照射により可視光を発光する
蛍光体とを組み合わせた表示装置が提案されている(ア
メリカ特許第5066883号明細書)。
【0010】上記表面伝導型電子放出素子を電子放出装
置として利用した表示装置において、高品位、高精細な
画像を大画面で得るためには、表面伝導型電子放出素子
の行・列の数が夫々数百〜数千となり、非常に多くの表
面伝導型電子放出素子を配列する必要がある。従って、
各表面伝導型電子放出素子の電気特性が均一で制御しや
すいことが望まれる。例えば。表面伝導型電子放出素子
を多数配置した電子放出装置を駆動する場合、複数の表
面伝導型電子放出素子に共通の電圧を印加すると共にそ
の電圧を変化させたり、印加電圧は一定で電圧のパルス
幅を変化させることで輝度変調をかけることが行われて
おり、各表面伝導型電子放出素子について印加電圧の変
化やパルス幅の変化による放出電流の均一な変化が各表
面伝導型電子放出素子について得やすいことが望まれ
る。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところで、表面伝導型
電子放出素子は、その特性が真空雰囲気に対して敏感で
あるために、表面伝導型電子放出素子の特性を揃えるた
めには、表面伝導型電子放出素子が配置される真空雰囲
気を分析できることが望ましい。例えば、表示装置のよ
うに、ガラス容器内に多数の表面伝導型電子放出素子を
配置する時には、ガラス容器内での位置による真空雰囲
気のばらつきが電子放出量のばらつき、つまりは輝度の
ばらつきを生むことになる。この場合に、仮にガラス容
器内の任意の位置における真空雰囲気の情報を取得し、
その情報を基に夫々の表面伝導型電子放出素子を制御す
ることができれば、より均一な画像表示状態を得ること
が期待できる。
【0012】また、製造工程下における真空雰囲気のば
らつきによって、表面伝導型電子放出素子のばらつきを
生じる場合がある。例えば、後述するような活性化工程
を経て製造される表面伝導型電子放出素子にとっては、
その活性化処理に伴う素子電流If及び放出電流Ieの
時間依存が、真空雰囲気中に存在する有機物質の種類と
その分圧に大きく依存する。
【0013】しかしながら、この真空雰囲気中に存在す
る有機物質の種類とその分圧を知る有効な手段がないた
め、活性化工程を効率的かつ効果的に行うための障害と
なっている。
【0014】真空雰囲気を測定する手段としては、四重
極マススペクトロメーターが存在するが、拡散ポンプや
ターボポンプを排気装置として用いた高真空中のような
多種の微少な有機物質が存在する真空において、それら
の有機物質を区別し、更に夫々の分圧を特定するのは困
難である。
【0015】本発明は、係る従来の問題点に鑑み、表面
伝導型電子放出素子を初めとする電子放出素子が置かれ
る真空雰囲気を分析できるようにし、均一な特性の電子
放出装置、それを用いた電子源及び画像形成装置を容易
に得られるようにすると共に、最適な駆動ができるよう
にすることを目的とする。
【0016】更に詳しくは、電子放出素子の特性測定と
いう手段によって真空雰囲気に関する情報を取得し、そ
の真空雰囲気(特に真空雰囲気中の有機物質)が影響を
与える任意の製造工程や、真空雰囲気が影響を与える製
造後の電子放出素子の特性を制御することを目的とす
る。
【0017】仮に、真空雰囲気に関する情報を得ること
によって、電子放出特性及びその製造工程の制御が可能
になれば、例えば蛍光体を画像形成部材とする高品位な
画像表示装置を実現することができる。本発明は、この
ような観点から、ばらつきが小さく均一性の良い電子放
出装置、それを用いた画像形成装置を提供するものであ
る。
【0018】
【課題を解決するための手段及び作用】請求項1〜16
の発明は、電子放出装置の製造方法に関する発明で、
機物質を含有する雰囲気内に電子放出素子と分析用電子
放出素子を設け、該雰囲気中における分析用電子放出素
子の素子特性を測定し、この測定結果に基づいて選択し
た条件で前記電子放出素子に有機物質を含有する雰囲気
内で電圧を印加する工程を有する点に特徴を有するもの
である。
【0019】請求項17〜28の発明は、電子放出装置
に関する発明で、電子放出素子が設けられている真空雰
囲気内に、該雰囲気内の有機物質の存在に起因する情報
を得るためにその素子特性が測定される分析用電子放出
素子を設けた点に特徴を有するものである。
【0020】
【0021】請求項29、30及び33は上記電子放出
装置を用いた画像形成装置に関する発明である。
【0022】
【0023】請求項31及び32の発明は、上記画像形
成装置の製造方法に関する発明である。
【0024】上記のように、本発明は、新規な電子放出
装置、これを用いた新規な画像形成装置及びこれらの新
規な製造方法及び駆動方法に係るもので、各発明の構成
及び作用を以下に更に説明する。
【0025】本発明で用いる電子放出素子の好ましい例
として表面伝導型電子放出素子があり、この表面伝導型
電子放出素子には平面型と垂直型がある。まず、平面型
表面伝導型電子放出素子の基本的な構成について説明す
る。
【0026】図1(a)、(b)は、平面型表面伝導型
電子放出素子の基本的な構成を示す図である。
【0027】図1において1は基板、2は電子放出部、
3は導電性薄膜、4と5は素子電極である。
【0028】基板1としては、例えば石英ガラス、Na
等の不純物含有量を減少させたガラス、青板ガラス、青
板ガラスにスパッタ法等によりSiO2 を積層した積層
体、アルミナ等のセラミックス等が挙げられる。
【0029】対向する素子電極4,5の材料としては、
一般的導体材料が用いられ、例えばNi、Cr、Au、
Mo、W、Pt、Ti、Al、Cu、Pd等の金属ある
いは合金及びPd、Ag、Au、RuO2 、Pd−Ag
等の金属あるいは金属酸化物とガラス等から構成される
印刷導体、In23 −SnO2 等の透明導電体及びポ
リシリコン等の半導体導体材料等から適宜選択される。
【0030】素子電極間隔L、素子電極長さW、導電性
薄膜3の形状等は、応用される形態等によって設計され
る。
【0031】素子電極間隔Lは、数百オングストローム
から数百マイクロメートルであることが好ましく、より
好ましくは、素子電極4,5間に印加する電圧と電子放
出し得る電界強度等により、数マイクロメートルから数
十マイクロメートルである。
【0032】素子電極長さWは、電極の抵抗値や電子放
出特性を考慮すると、好ましくは数マイクロメートルか
ら数百マイクロメートルであり、また素子電極厚dは、
数百オングストロームから数マイクロメートルである。
【0033】尚、図1に示される表面伝導型電子放出素
子は、基板1上に、素子電極4,5、導電性薄膜3の順
に積層されたものとなっているが、基板1上に、導電性
薄膜3、素子電極4,5の順に積層したものとしてもよ
い。
【0034】導電性薄膜3は、良好な電子放出特性を得
るためには、微粒子で構成された微粒子膜であることが
特に好ましく、その膜厚は、素子電極4,5へのステッ
プカバレージ、素子電極4,5間の抵抗値及び後述する
フォーミング条件等によって適宜選択される。この導電
性薄膜3の膜厚は、好ましくは数オングストロームから
数千オングストロームで、特に好ましくは10オングス
トロームから500オングストロームであり、その抵抗
値は、10の3乗から10の7乗オーム/□のシート抵
抗値である。
【0035】導電性薄膜3を構成する材料としては、例
えばPd、Pt、Ru、Ag、Au、Ti、In、C
u、Cr、Fe、Zn、Sn、Ta、W、Pb等の金
属、PdO、SnO2 、In23 、PbO、Sb2
3 等の酸化物、HfB2 、ZrB2 、LaB6 、CeB
6 、YB4 、GdB4 等の硼化物、TiC、ZrC、H
fC、TaC、SiC、WC等の炭化物、TiN、Zr
N、HfN等の窒化物、Si、Ge等の半導体、カーボ
ン等が挙げられる。
【0036】尚、上記微粒子膜とは、複数の微粒子が集
合した膜であり、その微細構造として、微粒子が個々に
分散配置した状態のみならず、微粒子が互いに隣接、あ
るいは重なり合った状態(島状も含む)の膜をさす。微
粒子膜である場合、微粒子の粒径は、数オングストロー
ムから数千オングストロームであることが好ましく、特
に好ましくは10オングストロームから200オングス
トロームである。
【0037】電子放出部2には亀裂が含まれており、電
子放出はこの亀裂付近から行われる。この亀裂を含む電
子放出部2及び亀裂自体は、導電性薄膜3の膜厚、膜
質、材料及び後述するフォーミング条件等の製法に依存
して形成される。従って、電子放出部2の位置及び形状
は図1に示されるような位置及び形状に特定されるもの
ではない。
【0038】亀裂は、数オングストロームから数百オン
グストロームの粒径の導電性微粒子を有することもあ
る。この導電性微粒子は、導電性薄膜3を構成する材料
の元素の一部、あるいは総てと同様のものである。ま
た、亀裂を含む電子放出部2及びその近傍の導電性薄膜
3は炭素及び炭素化合物を有することもある。
【0039】次に、垂直型表面伝導型電子放出素子の基
本的な構成について説明する。
【0040】図2は、垂直型表面伝導型電子放出素子の
基本的な構成を示す図で、図中21は段差形成部材で、
その他図1と同じ符号は同じ部材を示すものである。
【0041】基板1、電子放出部2、導電性薄膜3及び
素子電極4,5は、前述した平面型表面伝導型電子放出
素子と同様の材料で構成されたものである。
【0042】段差形成部材21は、例えば真空蒸着法、
印刷法、スパッタ法等で付設されたSiO2 等の絶縁性
材料で構成されたものである。この段差形成部材21の
膜厚は、先に述べた平面型表面伝導型電子放出素子の素
子電極間隔L(図1参照)に対応するもので、段差形成
部材21の作成法や素子電極4,5間に印加する電圧と
電子放出し得る電界強度により設定されるが、好ましく
は数百オングストロームから数十マイクロメートルであ
り、特に好ましくは数百オングストロームから数マイク
ロメートルである。
【0043】導電性薄膜3は、通常、素子電極4,5の
作成後に形成されるので、素子電極4,5の上に積層さ
れるが、導電性薄膜3の形成後に素子電極4,5を作成
し、導電性薄膜3の上に素子電極4,5が積層されるよ
うにすることも可能である。また、平面型表面伝導型電
子放出素子の説明においても述べたように、電子放出部
2の形成は、導電性薄膜3の膜厚、膜質、材料及び後述
するフォーミング条件等の製法に依存するので、その位
置及び形状は図2に示されるような位置及び形状に特定
されるものではない。
【0044】尚、以下の説明は、上述の平面型表面伝導
型電子放出素子と垂直型表面伝導型電子放出素子の内、
平面型を例にして説明するが、平面型表面伝導型電子放
出素子に代えて垂直型表面伝導型電子放出素子としても
よい。
【0045】本発明の電子放出装置の製法としては様々
な方法が考えられるが、電子放出素子として表面伝導型
電子放出素子を用いた電子放出装置を得る場合の一例を
図3に基づいて説明する。尚、図3において図1と同じ
符号は同じ部材を示すものである。
【0046】1)基板1を洗剤、純水及び有機溶剤によ
り十分に洗浄した後、真空蒸着法、スパッタ法等により
素子電極材料を堆積させた後、フォトリソグラフィー技
術により基板1の面上に素子電極4,5を形成する(図
3(a))。
【0047】2)素子電極4,5を設けた基板1上に有
機金属溶液を塗布して放置することにより、素子電極4
と素子電極5間を連絡して有機金属薄膜を形成する。
尚、有機金属溶液とは、前述の導電性薄膜3の構成材料
の金属を主元素とする有機化合物の溶液である。この
後、有機金属薄膜を加熱焼成処理し、リフトオフ、エッ
チング等によりパターニングされた導電性薄膜3を形成
する(図3(b))。尚、ここでは、有機金属溶液の塗
布法により説明したが、これに限ることなく、例えば真
空蒸着法、スパッタ法、化学的気相堆積法、分散塗布
法、ディッピング法、スピンナー法等によって有機金属
膜を形成することもできる。
【0048】3)続いて、フォーミングと呼ばれる通電
処理を施す。素子電極4,5間に、不図示の電源より通
電すると、導電性薄膜3の部位に構造の変化した電子放
出部2が形成される(図3(c))。この通電処理によ
り導電性薄膜3を局所的に破壊、変形もしくは変質せし
め、構造の変化した部位が電子放出部2である。
【0049】フォーミング処理の放電電圧波形の例を図
4に示す。
【0050】電圧波形は、特にパルス波形が好ましく、
パルス波高値を定電圧とした電圧パルスを連続的に印加
する場合(図4(a))と、パルス波高値を増加させな
がら電圧パルスを印加する場合(図4(b))とがあ
る。
【0051】まず、パルス波高値を定電圧とした場合に
ついて図4(a)で説明する。
【0052】図4(a)におけるT1及びT2は電圧波
形のパルス幅とパルス間隔であり、例えば、T1を1マ
イクロ秒〜10ミリ秒、T2を10マイクロ秒〜100
ミリ秒とし、波高値(フォーミング時のピーク電圧)を
前述した表面伝導型電子放出素子の形態に応じて適宜選
択して、適当な真空度、例えば10の−4乗torrか
ら10の−5乗torr程度の真空雰囲気下で、数秒か
ら数十分印加する。尚、印加する電圧波形は、図示され
る三角波に限定されるものではなく、矩形波等の所望の
波形を用いることができる。
【0053】次に、パルス波高値を増加させながら電圧
パルスを印加する場合について図4(b)で説明する。
【0054】図4(b)におけるT1及びT2は図4
(a)と同様であり、波高値(フォーミング時のピーク
電圧)を、例えば0.1Vステップ程度ずつ増加させ、
図4(a)の説明と同様の適当な真空雰囲気下で印加す
る。
【0055】尚、パルス間隔T2中に、導電性薄膜3
(図1及び図2参照)を局所的に破壊、変形もしくは変
質させない程度の電圧、例えば0.1V程度の電圧で素
子電流を測定して抵抗値を求め、例えば1Mオーム以上
の抵抗を示した時にフォーミングを終了することが好ま
しい。
【0056】4)表面伝導型電子放出素子を用いて本発
明の電子放出装置を構成する場合、更に活性化工程を施
すことが好ましい。
【0057】活性化工程とは、例えば10の−4乗〜1
0の−5乗torr程度の真空度で、パルス波高値を定
電圧としたパルスの印加を繰り返す処理のことをいい、
真空雰囲気中に存在する有機物質から炭素及び炭素化合
物を電子放出部2(図1及び図2参照)に堆積させるこ
とで、素子電流、放出電流の状態を著しく向上させるこ
とができる工程である。この活性化工程は、例えば素子
電流や放出電流を測定しながら行って、例えば放出電流
が飽和した時点で終了するようにすれば効果的であるの
で好ましい。
【0058】尚、上記炭素及び炭素化合物とは、グラフ
ァイト(単結晶及び多結晶の双方を指す)、非晶質カー
ボン(非晶質カーボン及びこれと多結晶グラファイトと
の混合物を指す)である。また、その堆積膜厚は、好ま
しくは500オングストローム以下、より好ましくは3
00オングストローム以下である。
【0059】6)このようにして作成した表面伝導型電
子放出素子を、フォーミング工程、活性化工程での真空
度より高い真空度の真空雰囲気下で動作駆動する安定化
工程を施すことが好ましい。より好ましくは、この高い
真空度の真空雰囲気下で、80〜150℃の加熱の後、
動作駆動する。
【0060】尚、フォーミング工程、活性化工程の真空
度より高い真空度の真空雰囲気とは、例えば約10の−
6乗torr以上の真空度を有する真空雰囲気であり、
より好ましくは超高真空系であり、炭素及び炭素化合物
が新たにほぼ堆積しない真空度である。
【0061】即ち、表面伝導型電子放出素子を上記真空
雰囲気中に封入してしまうことにより、これ以上の炭素
及び炭素化合物の堆積を抑制することが可能となり、こ
れによって素子電流If、放出電流Ieが安定する。
【0062】このようにして得られる表面伝導型電子放
出素子の基本特性を以下に説明する。
【0063】図5は、表面伝導型電子放出素子の電子放
出特性を測定するための測定評価系の一例を示す概略構
成図で、まずこの測定評価系を説明する。
【0064】図5において、図1と同じ符号は同じ部材
を示す。また、51は素子に素子電圧Vfを印加するた
めの電源、50は素子電極4,5間の導電性薄膜3を流
れる素子電流Ifを測定するための電流計、54は電子
放出部2より放出される放出電流Ieを捕捉するための
アノード電極、53はアノード電極54に電圧を印加す
るための高圧電源、52は電子放出部2より放出される
放出電流Ieを測定するための電流計、55は真空装
置、56は排気ポンプである。
【0065】表面伝導型電子放出素子及びアノード電極
54等は真空装置55内に設置され、この真空装置55
には不図示の真空計等の必要な機器が具備されていて、
所望の真空下で表面伝導型電子放出素子の測定評価がで
きるようになっている。
【0066】排気ポンプ56は、ターボポンプ、ロータ
リーポンプ等からなる通常の高真空装置系と、イオンポ
ンプ等からなる超高真空装置系とから構成されている。
また、真空装置55全体及び表面伝導型電子放出素子の
基板1は、ヒーターにより200℃程度まで加熱できる
ようになっている。尚、この測定評価系は、後述するよ
うな表示パネル(図10における201参照)の組み立
て段階において、表示パネル及びその内部を真空装置5
5及びその内部として構成することで、前述のフォーミ
ング工程、活性化工程及び後述するそれ以降の工程にお
ける定評価及び処理に応用することができるものであ
る。
【0067】以下に述べる表面伝導型電子放出素子の基
本特性は、上記測定評価系のアノード電極54の電圧を
1kV〜10kVとし、アノード電極54と表面伝導型
電子放出素子の距離Hを2〜8mmとして行った測定に
基づくものである。
【0068】まず、放出電流Ie及び素子電流Ifと、
素子電圧Vfとの関係の典型的な例を図6に示す。尚、
図6において、放出電流Ieは素子電流Ifに比べて著
しく小さいので、任意単位で示されている。
【0069】図6から明らかなように、表面伝導型電子
放出素子は、放出電流Ieに対する次の3つの特徴的特
性を有する。
【0070】まず第1に、表面伝導型電子放出素子はあ
る電圧(しきい値電圧と呼ぶ:図6中のVth)を超え
る素子電圧Vfを印加すると急激に放出電流Ieが増加
し、一方しきい値電圧Vth以下では放出電流Ieが殆
ど検出されない。即ち、放出電流Ieに対する明確なし
きい値電圧Vthを持った非線形素子である。
【0071】第2に、放出電流Ieが素子電圧Vfに対
して単調増加する特性(MI特性と呼ぶ)を有するた
め、放出電流Ieは素子電圧Vfで制御できる。
【0072】第3に、アノード電極54(図5参照)に
補足される放出電荷は、素子電圧Vfを印加する時間に
依存する。即ち、アノード電極54に捕捉される電荷量
は、素子電圧Vfを印加する時間により制御できる。
【0073】放出電流Ieが素子電圧Vfに対してMI
特性を有すると同時に、素子電流Ifも素子電圧Vfに
対してMI特性を有する場合もある。このような表面伝
導型電子放出素子の特性の例が図6の実線で示す特性で
ある。一方、図6に破線で示すように、素子電流Ifは
素子電圧Vfに対して電圧制御型負性抵抗特性(VCN
R特性と呼ぶ)を示す場合もある。いずれの特性を示す
かは、表面伝導型電子放出素子の製法及び測定時の測定
条件等に依存する。但し、素子電流Ifが素子電圧Vf
に対してVCNR特性を有する表面伝導型電子放出素子
でも、上記3つの特性上の特徴を有する。
【0074】本発明では、上記表面伝導型電子放出素子
を1又は複数個備えた電子放出装置の製造に際し、表面
伝導型電子放出素子と共に分析用電子放出素子を同一真
空雰囲気内に設け、電子放出装置の製造課程における表
面伝導型電子放出素子への電圧印加等の処理に先立っ
て、前記分析用電子放出素子の素子特性を測定し、この
結果に基づいて表面伝導型電子放出素子への電圧印加等
の処理を行うこととしているものである。
【0075】本発明で用いる分析用電子放出素子として
は、例えば表面伝導型電子放出素子が挙げられるが、他
の電子放出素子を用いることもでき、好ましくは利用す
る電子放出素子と同じ形式のもである。
【0076】前記フォーミング及び活性化工程を経た表
面伝導型電子放出素子の電流・電圧特性は、駆動条件に
よっては、素子電流Ifは素子電圧Vfに対してMI特
性又はVCNR特性を示す。この素子電流の特性は、真
空雰囲気(特に有機物質の存在)、測定時の電気的測定
条件(例えば電流−電圧特性を得るために表面伝導型電
子放出素子に印加する電圧を低電圧から高電圧まで掃引
した時の掃引速度等)、測定までの放置時間等に依存す
る。
【0077】図5の測定評価系を用い、掃引電圧及び掃
引速度を一定にし、測定までの放置時間を変えた時の電
流・電圧特性の変化の様子の一例を図7に挙げる。図7
は、図8に示されるような一定の放置時間おきに、素子
電圧として、ピーク電圧14V、パルス幅1ミリ秒の三
角波(掃引電圧は14V、掃引速度は14/0.5=2
8V/ミリ秒)を印加した時の素子電圧Vf及び素子電
流Ifをオッシロスコープで捉えた波形を示している。
【0078】上記図7より、放置時間を長くするにつ
れ、 昇電圧時の7V付近のピークが高くなり、VCNR特
性が明確になる、 14V(電圧ピーク)におけるピーク(2つ目のピー
ク)も若干高くなる、 降電圧の方も放置時間を長くするにつれ電流値が若干
増えてはいるが、VCNR特性は見られない、等の現象
が見られる。つまり、放置時間が長いほど昇電圧時と降
電圧時の間のヒステリシス特性が大きくなる。
【0079】このような現象の解釈として、放置時間の
間に真空雰囲気から表面伝導型電子放出素子の表面に吸
着された物質(有機物質)によって、電圧上昇時のVC
NR特性の様子が変わるものだと考えられる。本発明者
等は、オイルフリーな真空雰囲気下においてはこのよう
なヒステリシスが発生しないことを確認していることか
ら、吸着物質は活性化を可能にする有機物質と同じもの
であると考えている。つまり、上記ヒステリシス特性
は、真空雰囲気内に存在する有機物質を反映したもので
あると考えられる。
【0080】このような現象を把握すれば、逆に真空雰
囲気についての情報を得ることができる。また、ここで
は分析用電子放出素子として表面伝導型電子放出素子を
用い、真空雰囲気中の有機物質についての情報を得る場
合に利用できることを説明したが、分析用電子放出素子
は表面伝導型電子放出素子に限られるものではなく、ま
た真空雰囲気の情報も有機物質に関するものに限られる
ものではない。
【0081】真空雰囲気に関する情報に基づいて、得ら
れる表面伝導型電子放出素子の電子放出特性及び表面伝
導型電子放出素子の製造工程における処理条件を最適に
制御することができる。以下に、表面伝導型電子放出素
子の一製造工程である活性化工程における処理について
説明する。
【0082】先に述べたように、活性化とは、10の−
4乗〜10の−5乗torr程度の真空度下で表面伝導
型電子放出素子に通電することにより、真空雰囲気中に
存在する有機物質から、炭素及び炭素化合物を電子放出
部2の周辺に堆積させることである。具体的には、例え
ば、拡散ポンプやターボポンプ等の排気系からの微量な
オイル(有機物質)が存在する真空雰囲気中において電
圧パルスの印加を繰り返すことで活性化を行うことがで
きる。
【0083】前述のように、活性化処理に伴う素子電流
If、放出電流Ieの時間依存は、真空雰囲気中の有機
物質の種類とその分圧に大きく依存する。また、有機物
質の種類によって有機物質の活性化能力(素子電流I
f、放出電流Ieの時間依存にどのような寄与をする
か)が異なるため、実際に活性化工程を制御するには、
有機物質の種類と分圧を特定することに加え、夫々の有
機物質の活性化能力を知ることが重要となる。
【0084】本発明では、真空雰囲気の分析手段とし
て、分析用電子放出素子を用いるものである。即ち、製
造工程下の表面伝導型電子放出素子と同じ真空雰囲気中
に設けられた分析用電子放出素子の電子放出特性を測定
し、この測定結果から、真空雰囲気の情報、特に真空雰
囲気中の有機物質、真空雰囲気の持つ活性化能力に関す
る情報を抽出し、それを基に表面伝導型電子放出素子の
活性化処理を制御するものである。
【0085】上記情報の内容及び抽出方法は特に制限は
ないが、例えば抽出方法として表面伝導型電子放出素子
の電流・電圧特性、特にそのヒステリシス特性を利用す
る場合として、 電圧上昇時と下降時の間の素子電流Ifのヒステリシ
ス面積、 電圧上昇時の2つの素子電流Ifピークの比、 ヒステリシスが見えなくなる繰り返し周波数、等を情
報源として用いることができる。この時、先の電流・電
圧特性測定時に使用した掃引電圧、掃引速度、放置時間
等は先の値に限られるものではない。これらは、真空雰
囲気の持つ活性化能力を有効に反映するように適宜選択
されるものである。また、他の情報源としては、素子電
圧Vfをある一定値から別の一定値に変更した時の素子
電流Ifの振る舞いや、活性化時の素子電流If、放出
電流Ieの時間依存、ノイズスペクトル等を挙げること
ができる。
【0086】これらの抽出した情報を基に、活性化条件
へのフィードバック、つまり活性化の制御を行う。制御
項目としては、例えば通電条件、真空雰囲気等、活性化
工程における処理結果に影響を与える項目であれば特に
制限はない。例えば通電に矩形波を用いる場合、電圧、
パルス幅、繰り返し周波数等を調整することができる。
制御する目的によって制御項目は変わるが、表面伝導型
電子放出素子間のばらつきを抑えようとする際には、活
性化工程における真空雰囲気を常に一定になるように制
御したり、通電パルスの間隔において表面伝導型電子放
出素子の表面に吸着される有機物質の量が一定になるよ
うに制御することが挙げられる。
【0087】更に具体的には、先に述べた電流電圧特性
において、 ヒステリシス面積が一定になるように真空雰囲気を制
御する、 電圧上昇時に見られる2つのピークがほぼ同じ値(高
さ)になる繰り返し周波数の通電条件を用いる、 ヒステリシスが消失する最低繰り返し周波数を通電条
件として用いる、等が挙げられる。尚、ここに示す制御
は一例であり、情報と制御手段は任意の組み合わせが可
能である。
【0088】上述のような手法を用いることによって、
活性化工程における処理の適格性が向上することによっ
て、表面伝導型電子放出素子間の電子放出量のばらつき
が低減され、更には活性化条件の最適化によって、表面
伝導型電子放出素子の高効率化をも得ることができる。
ここで効率とは、表面伝導型電子放出素子の一対の素子
電極4,5に電圧を印加した時に流れる素子電流Ifに
対する真空中に放出される電流、即ち放出電流Ieとの
比をいう。つまり、効率を向上させるためには、素子電
流Ifはできるだけ小さく、放出電流はできるだけ大き
いことが好ましい。
【0089】また、上述した手法は、フォーミング時
や、安定化処理後の真空雰囲気に関する情報取得に用い
ることもでき、更には画像形成装置の製造にも適用でき
るものである。
【0090】次に、画像形成装置の製造への適用につい
て説明する。
【0091】例えば画像表示装置とする場合、電子放出
装置は、通常複数の電子放出素子を有し、ガラス容器内
に納められる。このガラス容器の任意の位置に分析用電
子放出素子を設け、その位置における真空雰囲気に関す
る情報を前述のようにして取得し、この情報を基に夫々
の電子放出素子を制御すれば、ガラス容器内の電子放出
装置全体に亙って均一な電子放出量が得られ、均一な輝
度の画像を得ることができる。
【0092】真空雰囲気は、時間の経過と共に変化する
こともあれば、真空雰囲気を囲むガラス容器内の位置に
よっても異なる場合がある。本発明の上記手法によれ
ば、この両者への対処が可能である。分析用電子放出素
子の配置位置は、例えばガラス容器の四隅、表面伝導型
電子放出素子等の電子放出素子の各配列ライン毎等が挙
げられるが、空間的制約が許す限りなるべく多数配置し
ておくことが好ましい。
【0093】このような手法は、製造後の電子放出装置
や画像形成装置における表面伝導型電子放出素子等の電
子放出素子の特性制御に用いることができる他、真空雰
囲気が表面伝導型電子放出素子等の電子放出素子に与え
る影響と同等もしくは相関のある影響を受け得る任意の
電子放出素子及び画像形成装置の製造工程に適用可能で
ある。例えば表面伝導型電子放出素子を用いた電子放出
装置及び画像形成装置について、この手法を適用可能な
製造工程として、真空雰囲気中で行われるフォーミング
工程、活性化工程、安定化工程が存在するが、特に活性
化工程が有効である。
【0094】次に、複数の電子放出素子を有する本発明
の電子放出装置において、電子放出素子として表面伝導
型電子放出素子を用いた場合の表面伝導型電子放出素子
の配列について説明する。
【0095】本発明の電子放出装置における表面伝導型
電子放出素子の配列方式としては、従来の技術の項で述
べたような梯型配置の他、m本のX方向配線の上にn本
のY方向配線を層間絶縁層を介して設置し、表面伝導型
電子放出素子の一対の素子電極に夫々X方向配線、Y方
向配線を接続した配置方式が挙げられる。これを以後単
純マトリクス配置と呼ぶ。まず、この単純マトリクス配
置について詳述する。
【0096】前述した表面伝導型電子放出素子の基本的
特性によれば、単純マトリクス配置された表面伝導型電
子放出素子における放出電子は、しきい値電圧を超える
電圧では、対向する素子電極間に印加するパルス状電圧
の波高値とパルス幅で制御できる。一方、しきい値電圧
以下では殆ど電子は放出されない。従って、多数の表面
伝導型電子放出素子を配置した場合においても、個々の
素子に上記パルス状電圧を適宜印加すれば、入力信号に
応じて表面伝導型電子放出素子を選択し、その電子放出
量が制御でき、単純なマトリクス配線だけで個別の表面
伝導型電子放出素子を選択して独立に駆動可能となる。
【0097】単純マトリクス配置はこのような原理に基
づくもので、本発明の電子放出装置の一例である、この
単純マトリクス配置の電放出装置の構成について図9に
基づいて更に説明する。
【0098】図9において基板1は既に説明したような
ガラス板等であり、この基板1上に配列された本発明の
表面伝導型電子放出素子104の個数及び形状は用途に
応じて適宜設定されるものである。
【0099】m本のX方向配線102は、夫々外部端子
Dx1,Dx2,……,Dxmを有するもので、基板1
上に、真空蒸着法、印刷法、スパッタ法等で形成した導
電性金属等である。また、多数の表面伝導型電子放出素
子104にほぼ均等に電圧が供給されるように、材料、
膜厚、配線幅が設定されている。
【0100】n本のY方向配線103は、夫々外部端子
Dy1,Dy2,……,Dynを有するもので、X方向
配線102と同様に作成される。
【0101】これらm本のX方向配線102とn本のY
方向配線103間には、不図示の層間絶縁層が設置さ
れ、電気的に分離されて、マトリクス配線を構成してい
る。尚、このm,nは共に正の整数である。
【0102】不図示の層間絶縁層は、真空蒸着法、印刷
法、スパッタ法等で形成されたSiO2 等であり、X方
向配線102を形成した基板1の全面或は一部に所望の
形状で形成され、特に、X方向配線102とY方向配線
103の交差部の電位差に耐え得るように、膜厚、材
料、製法が適宜設定される。
【0103】更に、表面伝導型電子放出素子104の対
向する素子電極(不図示)が、m本のX方向配線102
と、n本のY方向配線103と、真空蒸着法、印刷法、
スパッタ法等で形成された導電性金属等からなる結線1
05によって電気的に接続されているものである。
【0104】ここで、m本のX方向配線102と、n本
のY方向配線103と、結線105と、対向する素子電
極とは、その構成元素の一部あるいは全部が同一であっ
ても、また夫々異なっていてもよく、前述の素子電極の
材料等より適宜選択される。これら素子電極への配線
は、素子電極と材料が同一である場合は素子電極と総称
する場合もある。また、表面伝導型電子放出素子104
は、基板1あるいは不図示の層間絶縁層上どちらに形成
してもよい。
【0105】また、詳しくは後述するが、前記X方向配
線102には、X方向に配列された表面伝導型電子放出
素子104の行を入力信号に応じて走査するために、走
査信号を印加する不図示の走査信号印加手段が電気的に
接続されている。
【0106】一方、Y方向配線103には、Y方向に配
列された表面伝導型電子放出素子104の列の各列を入
力信号に応じて変調するために、変調信号を印加する不
図示の変調信号発生手段が電気的に接続されている。更
に、各表面伝導型電子放出素子104に印加される駆動
電圧は、当該表面伝導型電子放出素子104に印加され
る走査信号と変調信号の差電圧として供給されるもので
ある。
【0107】次に、以上のような単純マトリクス配置の
本発明の電子放出装置を用いた本発明の画像形成装置の
一例を、図10〜図12を用いて説明する。尚、図10
は表示パネル201の基本構成図であり、図11は蛍光
膜114を示す図であり、図12は図10の表示パネル
201で、NTSC方式のテレビ信号に応じてテレビジ
ョン表示を行うための駆動回路の一例を示すブロック図
である。
【0108】図10において、1は上述のようにして本
発明の表面伝導型電子放出素子を配置した電放出装置の
基板、111は基板1を固定したリアプレート、116
はガラス基板113の内面に蛍光膜114とメタルバッ
ク115等が形成されたフェースプレート、112は支
持枠であり、リアプレート111、支持枠112及びフ
ェースプレート116にフリットガラス等を塗布し、大
気中あるいは窒素中で、400〜500℃で10分以上
焼成することで封着して外囲器118を構成している。
【0109】図10において、2は図1における電子放
出部に相当する。102、103は、表面伝導型電子放
出素子104の一対の素子電極4,5と接続されたX方
向配線及びY方向配線で、夫々外部端子Dx1ないしD
xm,Dy1ないしDynを有している。
【0110】外囲器118は、上述の如く、フェースー
プレート116、支持枠112、リアプレート111で
構成されている。しかし、リアプレート111は主に基
板1の強度を補強する目的で設けられるものであり、基
板1自体で十分な強度を持つ場合は別体のリアプレート
111は不要で、基板1に直接支持枠112を封着し、
フェースプレート116、支持枠112、基板1にて外
囲器118を構成してもよい。また、フェースプレート
116、リアプレート111の間にスぺーサーと呼ばれ
る不図示の支持体を更に設置することで、大気圧に対し
て十分な強度を有する外囲器118とすることもでき
る。
【0111】蛍光膜114は、モノクロームの場合は蛍
光体122のみからなるが、カラーの蛍光膜114の場
合は、蛍光体122の配列により、ブラックストライプ
(図11(a))あるいはブラックマトリクス(図11
(b))等と呼ばれる黒色導伝材121と蛍光体122
とで構成される。ブラックストライプ、ブラックマトリ
クスが設けられる目的は、カラー表示の場合必要となる
三原色の各蛍光体122間の塗り分け部を黒くすること
で混色等を目立たなくすることと、蛍光膜114におけ
る外光反射によるコントラストの低下を抑制することで
ある。黒色導伝材121の材料としては、通常良く用い
られている黒鉛を主成分とする材料だけでなく、導電性
があり、光の透過及び反射が少ない材料であれば他の材
料を用いることもできる。
【0112】ガラス基板113に蛍光体122を塗布す
る方法としては、モノクローム、カラーによらず、沈澱
法や印刷法が用いられる。
【0113】また、図10に示されるように、蛍光膜1
14の内面側には通常メタルバック115が設けられ
る。メタルバック115の目的は、蛍光体122(図1
1参照)の発光のうち内面側への光をフェースプレート
116側へ鏡面反射することにより輝度を向上するこ
と、電子ビーム加速電圧を印加するための電極として作
用すること、外囲器118内で発生した負イオンの衝突
によるダメージからの蛍光体122の保護等である。メ
タルバック115は、蛍光膜114の作製後、蛍光膜1
14の内面側表面の平滑化処理(通常フィルミングと呼
ばれる)を行い、その後Alを真空蒸着等で堆積するこ
とで作製できる。
【0114】フェースプレート116には、更に蛍光膜
114の導伝性を高めるため、蛍光膜114の外面側に
透明電極(不図示)を設けてもよい。
【0115】前述の封着を行う際、カラーの場合は各色
蛍光体122と表面伝導型電子放出素子104とを対応
させなくてはいけないため、十分な位置合わせを行なう
必要がある。
【0116】外囲器118内は、不図示の排気管を通
じ、10の−7乗torr程度の真空度にされ、封止さ
れる。また、外囲器118の封止を行う直前あるいは封
止後に、ゲッター処理を行うこともある。これは、外囲
器118内の所定の位置に配置したゲッター(不図示)
を加熱し、蒸着膜を形成する処理である。ゲッターは通
常Ba等が主成分であり、該蒸着膜の吸着作用により、
例えば1×10の−5乗ないしは1×10の−7乗to
rrの真空度を維持するためのものである。
【0117】尚、前述したフォーミング及びこれ以降の
表面伝導型電子放出素子の各製造工程は、通常、外囲器
118の封止直前又は封止後に行われるもので、その内
容は前述の通りである。
【0118】上述の表示パネル201は、例えば図12
に示されるような駆動回路で駆動することができる。
尚、図12において、201は表示パネル、202は走
査回路、203は制御回路、204はシフトレジスタ、
205はラインメモリ、206は同期信号分離回路、2
07は変調信号発生器、Vx及びVaは直流電圧源であ
る。
【0119】図12に示されるように、表示パネル20
1は、外部端子Dx1ないしDxm、外部端子Dy1な
いしDyn及び高圧端子Hvを介して外部の電気回路と
接続されている。この内、外部端子Dx1ないしDxm
には前記表示パネル201内に設けられている表面伝導
型電子放出素子、即ちm行n列の行列状にマトリクス配
置された表面伝導型電子放出素子群を1行(n素子ず
つ)順次駆動して行くための走査信号が印加される。
【0120】一方、端子Dy1ないし外部端子Dynに
は、前記走査信号により選択された1行の各表面伝導型
電子放出素子の出力電子ビームを制御するための変調信
号が印加される。また、高圧端子Hvには、直流電圧源
Vaより、例えば10kVの直流電圧が供給される。こ
れは表面伝導型電子放出素子より出力される電子ビーム
に、蛍光体を励起するのに十分なエネルギーを付与する
ための加速電圧である。
【0121】走査回路202は、内部にm個のスイッチ
ング素子(図12中S1ないしSmで模式的に示す)を
備えるもので、各スイッチング素子S1〜Smは、直流
電圧電源Vxの出力電圧もしくは0V(グランドレベ
ル)のいずれか一方を選択して、表示パネル201の外
部端子Dx1ないしDxmと電気的に接続するものであ
る。各スイッチング素子S1〜Smは、制御回路203
が出力する制御信号Tscanに基づいて動作するもの
で、実際には、例えばFETのようなスイッチング機能
を有する素子を組み合わせることにより容易に構成する
ことが可能である。
【0122】本例における前記直流電圧源Vxは、前記
表面伝導型電子放出素子の特性(しきい値電圧)に基づ
き、走査されていない表面伝導型電子放出素子に印加さ
れる駆動電圧がしきい値電圧以下となるような一定電圧
を出力するよう設定されている。
【0123】制御回路203は、外部より入力される画
像信号に基づいて適切な表示が行われるように、各部の
動作を整合させる働きを持つものである。次に説明する
同期信号分離回路206より送られる同期信号Tsyn
cに基づいて、各部に対してTscan、Tsft及び
Tmryの各制御信号を発生する。
【0124】同期信号分離回路206は、外部から入力
されるNTSC方式のテレビ信号から、同期信号成分と
輝度信号成分を分離するための回路で、よく知られてい
るように、周波数分離(フィルター)回路を用いれば、
容易に構成できるものである。同期信号分離回路206
により分離された同期信号は、これもよく知られるよう
に、垂直同期信号と水平同期信号よりなる。ここでは、
説明の便宜上Tsyncとして図示する。一方、前記テ
レビ信号から分離された画像の輝度信号成分を便宜上D
ATA信号と図示する。このDATA信号はシフトレジ
スタ204に入力される。
【0125】シフトレジスタ204は、時系列的にシリ
アル入力される前記DATA信号を、画像の1ライン毎
にシリアル/パラレル変換するためのもので、前記制御
回路203より送られる制御信号Tsftに基づいて作
動する。この制御信号Tsftは、シフトレジスタ20
4のシフトクロックであると言い換えてもよい。また、
シリアル/パラレル変換された画像1ライン分(表面伝
導型電子放出素子のn素子分の駆動データに相当する)
のデータは、Id1ないしIdnのn個の並列信号とし
て前記シフトレジスタ204より出力される。
【0126】ラインメモリ205は、画像1ライン分の
データを必要時間だけ記憶するための記憶装置であり、
制御回路203より送られる制御信号Tmryに従って
適宜Id1ないしIdnの内容を記憶する。記憶された
内容は、Id’1ないしId’nとして出力され、変調
信号発生器207に入力される。
【0127】変調信号発生器207は、前記画像データ
Id’1ないしId’nの各々に応じて、表面伝導型電
子放出素子の各々を適切に駆動変調するための信号源
で、その出力信号は、端子Doy1ないしDoynを通
じて表示パネル201内の表面伝導型電子放出素子に印
加される。
【0128】前述したように、表面伝導型電子放出素子
は電子放出に明確なしきい値電圧を有しており、しきい
値電圧を超える電圧が印加された場合にのみ電子放出が
生じる。また、しきい値電圧を超える電圧に対しては表
面伝導型電子放出素子への印加電圧の変化に応じて放出
電流も変化して行く。表面伝導型電子放出素子の材料、
構成、製造方法を変えることにより、しきい値電圧の値
や印加電圧に対する放出電流の変化度合いが変わる場合
もあるが、いずれにしても以下のことがいえる。
【0129】即ち、表面伝導型電子放出素子にパルス状
の電圧を印加する場合、例えばしきい値電圧以下の電圧
を印加しても電子放出は生じないが、しきい値電圧を超
える電圧を印加する場合には電子放出を生じる。その
際、第1には電圧パルスの波高値を変化させることによ
り、出力される電子ビームの強度を制御することが可能
である。第2には、電圧パルスの幅を変化させることに
より、出力される電子ビームの電荷の総量を制御するこ
とが可能である。
【0130】従って、入力信号に応じて表面伝導型電子
放出素子を変調する方式としては、電圧変調方式とパル
ス幅変調方式とが挙げられる。電圧変調方式を行う場
合、変調信号発生器207としては、一定の長さの電圧
パルスを発生するが、入力されるデータに応じて適宜パ
ルスの波高値を変調できる電圧変調方式の回路を用い
る。また、パルス幅変調方式を行う場合、変調信号発生
器207としては、一定の波高値の電圧パルスを発生す
るが、入力されるデータに応じて適宜パルス幅を変調で
きるパルス幅変調方式の回路を用いる。
【0131】シフトレジスタ204やラインメモリ20
5は、デジタル信号式のものでもアナログ信号式のもの
でもよく、画像信号のシリアル/パラレル変換や記憶が
所定の速度で行えるものであればよい。
【0132】デジタル信号式を用いる場合には、同期信
号分離回路206の出力信号DATAをデジタル信号化
する必要がある。これは同期信号分離回路206の出力
部にA/D変換器を設けることで行える。
【0133】また、これと関連して、ラインメモリ20
5の出力信号がデジタル信号かアナログ信号かにより、
変調信号発生器207に設けられる回路が若干異なるも
のとなる。
【0134】即ち、デジタル信号で電圧変調方式の場
合、変調信号発生器207には、例えばよく知られてい
るD/A変換回路を用い、必要に応じて増幅回路等を付
け加えればよい。また、デジタル信号でパルス幅変調方
式の場合、変調信号発生器207は、例えば高速の発振
器及び発振器の出力する波数を計数する計数器(カウン
タ)及び計数器の出力値と前記メモリの出力値を比較す
る比較器(コンパレータ)を組み合わせた回路を用いる
ことで容易に構成することができる。更に、必要に応じ
て、比較器の出力するパルス幅変調された変調信号を表
面伝導型電子放出素子の駆動電圧にまで電圧増幅するた
めの増幅器を付け加えてもよい。
【0135】一方、アナログ信号で電圧変調方式の場
合、変調信号発生器207には、例えばよく知られてい
るオペアンプ等を用いた増幅回路を用いればよく、必要
に応じてレベルシフト回路等を付け加えてもよい。ま
た、アナログ信号でパルス幅変調方式の場合、例えばよ
く知られている電圧制御型発振回路(VCO)を用いれ
ばよく、必要に応じて表面伝導型電子放出素子の駆動電
圧にまで電圧増幅するための増幅器を付け加えてもよ
い。
【0136】以上のような表示パネル201及び駆動回
路を有する本発明の画像形成装置は、端子Dx1〜Dx
m及びDy1〜Dynから電圧を印加することにより、
必要な表面伝導型電子放出素子から電子を放出させるこ
とができ、高圧端子Hvを通じて、メタルバック115
あるいは透明電極(不図示)に高電圧を印加して電子ビ
ームを加速し、加速した電子ビームを蛍光膜114に衝
突させることで生じる励起・発光によって、NTSC方
式のテレビ信号に応じてテレビジョン表示を行うことが
できるものである。
【0137】尚、以上説明した構成は、表示等に用いら
れる本発明の画像形成装置を得る上で必要な概略構成で
あり、例えば各部材の材料等、詳細な部分は上述の内容
に限られるものではなく、画像形成装置の用途に適する
よう、適宜選択されるものである。また、入力信号とし
てNTSC方式を挙げたが、本発明に係る画像形成装置
はこれに限られるものではなく、PAL、SECAM方
式等の他の方式でもよく、更にはこれらよりも多数の走
査線からなるTV信号、例えばMUSE方式を初めとす
る高品位TV方式でもよい。
【0138】次に、前述の梯型配置の電放出装置及びこ
れを用いた本発明の画像形成装置の一例について図13
及び図14を用いて説明する。
【0139】図13において、1は基板、104は表面
伝導型電子放出素子、304は表面伝導型電子放出素子
104を接続する共通配線で10本設けられており、各
々外部端子D1〜D10を有している。
【0140】表面伝導型電子放出素子104は、基板1
上に並列に複数個配置されている。これを素子行と呼
ぶ。そしてこの素子行が複数行配置されて電放出装置を
構成している。
【0141】各素子行の共通配線304(例えば外部端
子D1とD2の共通配線304)間に適宜の駆動電圧を
印加することで、各素子行を独立に駆動することが可能
である。即ち、電子ビームを放出させたい素子行にはし
きい値電圧を超える電圧を印加し、電子ビームを放出さ
せたくない素子行にはしきい値電圧以下の電圧を印加す
るようにすればよい。このような駆動電圧の印加は、各
素子行間に位置する共通配線D2〜D9について、夫々
相隣接する共通配線304、即ち夫々相隣接する外部端
子D2とD3,D4とD5,D6とD7,D8とD9の
共通配線304を一体の同一配線としても行うことがで
きる。
【0142】図14は、本発明の電放出装置の他の例で
ある上記梯型配置の電放出装置を備えた表示パネル30
1の構造を示す図である。
【0143】図14中302はグリッド電極、303は
電子が通過するための開口、D1〜Dmは各表面伝導型
電子放出素子に電圧を印加するための外部端子、G1〜
Gnはグリッド電極302に接続された外部端子であ
る。また、各素子行間の共通配線304は一体の同一配
線として基板1上に形成されている。
【0144】尚、図14において図10と同じ符号は同
じ部材を示すものであり、図10に示される単純マトリ
クス配置の電子放出装置を用いた表示パネル201との
大きな違いは、基板1とフェースプレート116の間に
グリッド電極302を備えている点である。
【0145】基板1とフェースプレート116の間に
は、上記のようにグリッド電極302が設けられてい
る。このグリッド電極302は、表面伝導型電子放出素
子104から放出された電子ビームを変調することがで
きるもので、梯型配置の素子行と直行して設けられたス
トライプ状の電極に、電子ビームを通過させるために、
各表面伝導型電子放出素子104に対応して1個ずつ円
形の開口303を設けたものとなっている。
【0146】グリッド電極302の形状や配置位置は、
必ずしも図14に示すようなものでなければならないも
のではなく、開口303をメッシュ状に多数設けること
もあり、またグリッド電極302を、例えば表面伝導型
電子放出素子104の周囲や近傍に設けてもよい。
【0147】外部端子D1〜Dm及びG1〜Gnは不図
示の駆動回路に接続されている。そして、素子行を1列
ずつ順次駆動(走査)して行くのと同期してグリッド電
極302の列に画像1ライン分の変調信号を印加するこ
とにより、各電子ビームの蛍光膜114への照射を制御
し、画像を1ラインずつ表示することができる。
【0148】以上のように、本発明の画像形成装置は、
単純マトリクス配置及び梯型配置のいずれの本発明の電
放出装置を用いても得ることができ、上述したテレビジ
ョン放送の表示装置のみならず、テレビ会議システム、
コンピューター等の表示装置として好適な画像形成装置
が得られる。更には、感光ドラムとで構成した光プリン
ターの露光装置としても用いることができるものであ
る。
【0149】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳述す
る。
【0150】実施例1 本実施例で用いた表面伝導型電子放出素子の構成は、図
1(a),(b)に示されるものと同様である。尚、本
実施例の電子放出装置では基板1上に、同一形状の表面
伝導型電子放出素子が48個形成されている。
【0151】表面伝導型電子放出素子の製法は、基本的
には図3で説明した方法と同様である。以下、図1及び
図3を用いて、本実施例で用いた表面伝導型電子放出素
子の基本的な構成及び製造法を説明する。
【0152】図1において1は基板、4と5は素子電
極、2は電子放出部、3は電子放出部2を含む薄膜であ
る。
【0153】以下、製造手順を図1及び図3に基づいて
説明する。
【0154】工程−a 清浄化した青板ガラス上に厚さ0.5ミクロンメートル
のシリコン酸化膜をスパッタ法で形成した基板1上に、
所望の電極形状開口を有するパターンをホトレジスト
(RD−2000N−41・日立化成社製)で形成し、
真空蒸着法により、厚さ50オングストロームのTi、
厚さ1000オングストロームのNiを順次堆積した。
ホトレジストパターンを有機溶剤で溶解し、Ni/Ti
堆積膜をリフトオフして、素子電極間隔Lが3ミクロン
メートル、幅Wが300ミクロンメートルの素子電極
4,5を形成した。
【0155】工程−b 次に、電子放出部2を形成するための導電性薄膜3を所
定の形状にパターニングするために、通常よく用いられ
る蒸着マスクを素子電極4,5上に配置し、膜厚100
0オングストロームのCr膜を真空蒸着により堆積、パ
ターニングし、その上に有機Pd(ccp4230奥野
製薬(株)社製)をスピンナーにより回転塗布し、30
0℃で10分間の加熱焼成処理をした。また、こうして
形成された、主元素がPdの微粒子からなる導電性薄膜
3の膜厚は100オングストローム、シート抵抗値は2
×10の4乗Ω/□であった。尚、ここで述べる微粒子
膜とは、前述したように、複数の微粒子が集合した膜で
あり、その微細構造として、微粒子が個々に分散配置し
た状態のみならず、微粒子が互いに隣接、あるいは、重
なり合った状態(島状も含む)の膜をさし、その粒径と
は、この状態で粒子形状が認識可能な微粒子ついての径
をいう。
【0156】工程−c Cr膜及び焼成後の導電性薄膜3を酸エッチャントによ
りエッチングして所望のパターンを形成した。
【0157】以上の工程により、基板1上に素子電極
4,5及び導電性薄膜3等を形成した。
【0158】工程−d 次に、上記工程を終えた48個の表面伝導型電子放出素
子(No.1〜No.48)と、既に活性化工程を終了
した1個の表面伝導型電子放出素子(分析用電子放出素
子)を図5の測定評価系に設置した。ターボポンプにて
排気し、2×10の−5乗torrの真空度に達した
後、表面伝導型電子放出素子の素子電圧Vfを印加する
ための電源51より素子電極4,5間に夫々電圧を印加
し、通電処理(フォーミング処理)を施した。フォーミ
ング処理の電圧波形は図4(b)に示されるような波形
とした。
【0159】図4(b)中、T1及びT2は電圧波形の
パルス幅とパルス間隔であり、本実施例ではT1を1ミ
リ秒、T2を10ミリ秒とし、三角波の波高値(フォー
ミング時のピーク電圧)は0.1Vステップで昇圧させ
てフォーミング処理を行なった。また、フォーミング処
理中は、同時に、0.1Vの電圧でT2間に抵抗測定パ
ルスを挿入して抵抗を測定した。尚、フォーミング処理
の終了は、抵抗測定パルスでの測定値が約1Mオーム以
上になった時とし、同時に、表面伝導型電子放出素子へ
の電圧の印加を終了した。てんけいてきな表面伝導型電
子放出素子のフォーミング電圧VFは5.0Vであっ
た。
【0160】工程−e 続いて、フォーミング処理したNo.1〜No.48の
表面伝導型電子放出素子に、以下に示すようにして、2
個ずつ順次活性化処理を施した。
【0161】真空分析 まず、分析用電子放出素子の電流・電圧特性を、図8の
ような三角波を用いて測定した。パルス幅30マイクロ
秒、ピーク電圧14Vに固定し、繰り返し周波数を0.
01Hzからゆっくりと速くしながら、図7のように電
流・電圧特性を測定した。当初、繰り返し周波数の小さ
い時に存在していた図7のようなヒステリシスが30H
zで消失した。この消失とは、電圧昇圧時と降圧時の7
Vの素子電流の差異が5%以内になることで判断した。
【0162】活性化処理 次に、No.1の表面伝導型電子放出素子とNo.2の
表面伝導型電子放出素子を、波高値が14V、パルス幅
が30マイクロ秒の矩形波を印加することによって活性
化した。夫々の表面伝導型電子放出素子に用いた繰り返
し周波数及び活性化時間(上記パルス電圧の印加時間)
は次の通りとした。
【0163】No.1の表面伝導型電子放出素子:上記
ヒステリシスが消失した周波数(30Hz)で20分。
【0164】No.2の表面伝導型電子放出素子:60
Hzで10分。
【0165】No.1とNo.2の表面伝導型電子放出
素子に上記を行った後、同様に上記を行ってからN
o.3及びNo.4の表面伝導型電子放出素子にを行
う、というように2個ずつ順次活性化を行った。このと
き、奇数No.の表面伝導型電子放出素子は常に、活性
化直前に分析用電子放出素子の特性から抽出された繰り
返し周波数(実際にはヒステリシスが消失する周波
数)、偶数No.の表面伝導型電子放出素子は常に60
Hzとした。活性化時間は、印加パルス数が同じになる
ように、600/繰り返し周波数(分)とした。
【0166】このように、偶数No.の表面伝導型電子
放出素子は常に同条件で、奇数No.の表面伝導型電子
放出素子は、直前の分析用電子放出素子の電流・電圧特
性から得られる情報を基に繰り返し周波数を表面伝導型
電子放出素子毎に調整して、活性化処理を行った。簡易
型四重極マススペクトロメーターでハイドロカーボン分
圧を測定したところ、最初の表面伝導型電子放出素子
(No.1)を活性化した時と比べると、最後の表面伝
導型電子放出素子(No.48)を活性化した時の有機
物質の分圧が約1/2に減少していた。そして、これに
対応して、ヒステリシスが消失する周波数も30Hzか
ら2Hzへと減少していた。
【0167】工程−f 最後に、上記活性化工程を終えた表面伝導型電子放出素
子をオイルフリーな超高真空装置内に移行し、安定化処
理として、120℃のベーキングを12時間行った。
【0168】安定化処理後、分析用電子放出素子に、繰
り返し周波数0.01Hz、パルス幅30マイクロ秒、
波高値14Vのパルス電圧を印加したところ、ヒステリ
シス特性は見られなかった。これにより、炭素及び炭素
化合物が新たにほぼ堆積しない真空度が得られたことを
確認した。
【0169】特性評価 上述の工程で作成した電子放出装置の特性を、図5の測
定評価系において測定した。
【0170】尚、図5におけるアノード電極34と表面
伝導型電子放出素子の距離を4mm、アノード電極34
の電位を1kV、電子放出特性測定時の真空装置内の真
空度は1×10の−9乗torrとした。
【0171】各表面伝導型電子放出素子の素子電極4,
5間に14Vの素子電圧を印加し、その時に流れる素子
電流If及び放出電流Ieを測定した。典型的な表面伝
導型電子放出素子の特性は、素子電圧14Vにて素子電
流Ifが2.0ミリA、放出電流Ieが1.0マイクロ
Aであった。また、電子放出効率η=Ie/Ifは0.
05%であった。
【0172】奇数No.の24個の表面伝導型電子放出
素子と、偶数No.の24個の表面伝導型電子放出素子
のばらつきを夫々調べたところ、奇数No.では5%、
偶数No.では9%であった。これにより、活性化工程
に本実施例の手法を適用することによって、表面伝導型
電子放出素子のばらつきを低減できることがわかる。
【0173】次に、波高値が14V及び12V、パルス
幅が1ミリ秒の三角波で測定したところ、図6に示され
るような、素子電流If、放出電流Ieが素子電圧Vf
に対してほぼ単調増加する特性(MI特性)を示した。
【0174】実施例2 本実施例は、活性化工程において、分析用電子放出素子
の電流・電圧特性から抽出された情報(以下に示す再生
時間)を基に、活性化時の通電時間(活性化時間)を制
御した電子放出装置の製造方法である。
【0175】工程−eを除いては、実施例1と同様にし
て表面伝導型電子放出素子を作成した。
【0176】以下本実施例における工程−eについて述
べる。
【0177】真空分析 まず、分析用電子放出素子に、図8のような三角波(パ
ルス幅1ミリ秒、ピーク電圧14V、繰り返し周波数6
0Hz)を印加した後、ピーク電圧を7Vに変更して印
加した。変更前の素子電流Ifは2ミリAであり、変更
後は0.1ミリAであったが、その後の時間の経過と共
にIfは増加傾向を示した。Ifが変更前の素子電流I
fである2ミリAに到達したのはピーク電圧変更後78
秒後であった。以下この時間を再生時間と呼ぶ。
【0178】活性化処理 次に、No.1の表面伝導型電子放出素子とNo.2の
表面伝導型電子放出素子に、波高値が14V、パルス幅
が30マイクロ秒、繰り返し周波数が60Hzの矩形波
を印加することによって活性化した。活性化時間(上記
パルス電圧の印加時間)は次の通りとした。
【0179】No.1の表面伝導型電子放出素子:上記
再生時間の10倍。即ち78×10秒=13分。
【0180】 No.2の表面伝導型電子放出素子:10分。
【0181】No.1とNo.2の表面伝導型電子放出
素子にを行った後、同様にを行ってからNo.3及
びNo.4の表面伝導型電子放出素子にを行う、とい
うように2個ずつ順次活性化を行った。このとき、奇数
No.の表面伝導型電子放出素子は常に、活性化直前に
分析用電子放出素子空得た再生時間の10倍の時間活性
化を行った。
【0182】このように、偶数No.の表面伝導型電子
放出素子は常に同条件で、奇数No.の表面伝導型電子
放出素子は直前に分析用電子放出素子の再生時間から得
た情報を基に活性化を行った。
【0183】安定化工程を経た後の本電子放出装置にお
ける各表面伝導型電子放出素子の特性を実施例1と同様
にして測定したところ、典型的な表面伝導型電子放出素
子において、素子電流Ifが2.5ミリA、放出電流I
eが1.5マイクロAとなり、電子放出効率η=Ie/
If(%)は0.06%であった。
【0184】奇数No.の24個の表面伝導型電子放出
素子と、偶数No.の24個の表面伝導型電子放出素子
のばらつきを夫々調べたところ、奇数No.では6%、
偶数No.では10%であった。これにより、活性化工
程に本実施例の手法を適用することによって、表面伝導
型電子放出素子のばらつきを低減できることがわかる。
【0185】実施例3 本実施例は、多数の表面伝導型電子放出素子を単純マト
リクス配置した電子放出装置を有する画像形成装置の例
であり、その1ラインを分析用電子放出素子として用い
る。また、本実施例では、活性化工程において、分析用
電子放出素子の電流・電圧特性から抽出された情報(ヒ
ステリシスが消失する最低繰り返し時間)を基に、活性
化時の通電条件(繰り返し周波数)を制御する手法を用
いる。
【0186】電子放出装置の一部の平面図を図15に示
す。また、図中のA−A’断面図を図16に、製造手順
を図17及び図18に示す。但し、図15、図16、図
17及び図18において同じ符号は同じ部材を示す。
【0187】ここで1は基板、102はX方向配線(下
配線とも呼ぶ)、103はY方向配線(上配線とも呼
ぶ)、3は電子放出部を含む薄膜、4,5は素子電極、
151は層間絶縁層、152は素子電極5と下配線10
2と電気的接続のためのコンタクトホールである。
【0188】次に製造方法を、図17及び図18に基づ
いて工程順に従って具体的に説明する。尚、以下の各工
程a〜hは図17及び図18の(a)〜(h)に対応す
るものである。
【0189】工程−a 清浄化した青板ガラス上に厚さ0.5ミクロンメートル
のシリコン酸化膜をスパッタ法で形成した基板1上に、
真空蒸着により、厚さ50オングストロームのCr、厚
さ6000オングストロームのAuを順次積層した後、
ホトレジスト(AZ1370・ヘキスト社製)をスピン
ナーにより回転塗布し、ベークした後、ホトマスク像を
露光、現像して、下配線102のレジストパターンを形
成し、Au/Cr堆積膜をウエットエッチングして、所
望の形状の下配線102を形成した。
【0190】工程−b 次に、厚さ1.0ミクロンメートルのシリコン酸化膜か
らなる層間絶縁層151をRFスパッタ法により堆積し
た。
【0191】工程−c 工程bで堆積したシリコン酸化膜にコンタクトホール1
52を形成するためのホトレジストパターンを作り、こ
れをマスクとして層間絶縁層151をエッチングしてコ
ンタクトホール152を形成した。エッチングはCF4
とH2 ガスを用いたRIE(Reactive・Ion
・Etching)法によった。
【0192】工程−d その後、素子電極5と素子電極間ギャップGとなるべき
パターンをホトレジスト(RD−2000N−41・日
立化成社製)で形成し、真空蒸着法により、厚さ50オ
ングストロームのTi、厚さ1000オングストローム
のNiを順次堆積した。ホトレジストパターンを有機溶
剤で溶解し、Ni/Ti堆積膜をリフトオフし、素子電
極間隔L1が3ミクロンメーター、幅W1が300ミク
ロンメートルの素子電極4,5を形成した。
【0193】工程−e 素子電極4,5の上に上配線103のホトレジストパタ
ーンを形成した後、厚さ50オングストロームのTi、
厚さ5000オングストロームのAuを順次真空蒸着に
より堆積し、リフトオフにより不要の部分を除去して、
所望の形状の上配線103を形成した。
【0194】工程−f 次に、膜厚100ナノメートルのCr膜153を真空蒸
着により堆積・パターニングし、その上に有機Pd(c
cp4230・奥野製薬(株)社製)をスピンナーによ
り回転塗布し、300℃で10分間の加熱焼成処理をし
た。また、こうして形成された主元素がPdの微粒子か
らなる導電性薄膜3の膜厚は10ナノメートル、シート
抵抗値は5×10の4乗Ω/□であった。尚、ここで述
べる微粒子膜とは、上述したように、複数の微粒子が集
合した膜であり、その微細構造として、微粒子が個々に
分散配置した状態のみならず、微粒子が互いに隣接、あ
るいは、重なり合った状態(島状も含む)の膜をさし、
その粒径とは、上記状態で粒子形状が認識可能な微粒子
ついての径をいう。
【0195】工程−g Cr膜153及び焼成後の導電性薄膜3を酸エッチャン
トによりエッチングして所望のパターンを形成した。
【0196】工程−h コンタクトホール152部分以外にレジストを塗布して
パターンを形成し、真空蒸着により厚さ50オングスト
ロームのTi、厚さ5000オングストロームのAuを
順次堆積した。リフトオフにより不要の部分を除去する
ことにより、コンタクトホール152を埋め込んだ。
【0197】次に、以上のようにして作成した電子放出
装置を用いて表示パネルを構成した例を、図10と図1
1を用いて説明する。
【0198】上述のようにして多数の表面伝導型電子放
出素子104を設けた基板1をリアプレート111上に
固定した後、基板1の5mm上方に、フェースプレート
116(ガラス基板113の内面に蛍光膜114とメタ
ルバック115が形成されて構成される)を支持枠11
2を介して配置し、フェースプレート116、支持枠1
12、リアプレート111の接合部にフリットガラスを
塗布し、大気中あるいは窒素雰囲気中で400℃ないし
500℃で10分以上焼成することで封着した。またリ
アプレート111への基板1の固定もフリットガラスで
行った。
【0199】図10において、102,103は夫々X
方向及びY方向配線である。
【0200】蛍光膜114は、モノクロームの場合は蛍
光体122のみからなるが、本実施例では蛍光体122
はストライプ形状(図11(a))を採用し、先にブラ
ックストライプを形成し、その間隙部に各色蛍光体12
2を塗布して蛍光膜114を作製した。ブラックストラ
イプの材料としては、通常よく用いられている黒鉛を主
成分とする材料を用いた。
【0201】ガラス基板113に蛍光体122を塗布す
る方法としてはスラリー法を用いた。また、蛍光膜11
4の内面側にはメタルバック115を設けた。メタルバ
ック115は、蛍光膜114の作製後、蛍光膜114の
内面側表面の平滑化処理(通常フィルミングと呼ばれ
る)を行い、その後、Alを真空蒸着することで作製し
た。
【0202】フェースプレート116には、更に蛍光膜
114の導伝性を高めるため、蛍光膜114の外面側に
透明電極(不図示)が設けられる場合もあるが、本実施
例では、メタルバック115のみで十分な導伝性が得ら
れたので省略した。
【0203】前述の封着を行う際、カラーの場合は各色
蛍光体122と表面伝導型電子放出素子104とを対応
させなくてはいけないため、十分な位置合わせを行っ
た。
【0204】以上のようにして完成したガラス容器内の
雰囲気を排気管(図示せず)を通じ真空ポンプにて排気
し、十分な真空度に達した後、外部端子Dx1ないしD
xmとDy1ないしDynを通じ、表面伝導型電子放出
素子104の素子電極4,5間に電圧を印加し、導電性
薄膜3をフォーミング処理することにより電子放出部2
を作成した。
【0205】フォーミング処理の電圧波形は、図4
(b)と同様とした。また、本実施例ではT1を1ミリ
秒、T2を10ミリ秒とし、約1×10の−5乗tor
rの真空雰囲気下で行った。
【0206】このようにして作成された電子放出部2
は、パラジウム元素を主成分とする微粒子が分散配置さ
れた状態となり、その微粒子の平均粒径は30オングス
トロームであった。
【0207】フォーミングの後、以下のようにして活性
化を行った。
【0208】まず、外部端子Dx1とDy1からDyn
で指定される表面伝導型電子放出素子を全て、ピーク電
圧14V、繰り返し周波数60Hz、パルス幅30マイ
クロ秒の矩形波で10分活性化した。以下、この表面伝
導型電子放出素子を各々Dyk(k=1〜n)ラインの
分析用電子放出素子として用いる。
【0209】次に、各Dykライン毎にk=1〜nまで
順次活性化を行った。
【0210】各ラインの活性化を行う直前に、Dx1と
Dxkで指定される分析用電子放出素子を用い、実施例
1と同様な方法(電流・電圧ヒステリシスが消失する周
波数を見いだす方法)で、夫々の位置における真空雰囲
気に関する情報を抽出した。その情報を基に、素子電圧
14V、パルス幅30マイクロ秒で、繰り返し周波数
が、実施例1と同様に常に先に抽出された周波数の矩形
波を用い、夫々のDyk(k=1〜n)ラインの活性化
を行った。
【0211】これにより、ガラス容器内の真空雰囲気の
位置に伴う(Dyk間の)ばらつきが引き起こす活性化
のばらつきを抑制した。
【0212】次に、安定化処理として、ガラス容器をベ
ーキングし、10の−7乗torr程度の真空度まで排
気し、不図示の排気管をガスバーナーで熱することで溶
着し、外囲器の封止を行った後、更に真空度を維持する
ために、高周波加熱法でゲッター処理を行った。
【0213】真空雰囲気の分析として、分析用電子放出
素子に繰り返し周波数0.01Hz、パルス幅30マイ
クロ秒、波高値14Vのパルス電圧を印加したところ、
ヒステリシス特性は見られなかった。これにより、炭素
及び炭素化合物が新たにほぼ堆積しない真空度となって
いることを確認した。
【0214】以上のように完成した表示パネルを用いた
画像形成装置において、外部端子Dx1ないしDxmと
Dy1ないしDynを通じ、走査信号及び変調信号を不
図示の信号発生手段より夫々表面伝導型電子放出素子1
04に印加することにより電子放出させると共に、高圧
端子Hvを通じてメタルバック114あるいは透明電極
(不図示)に数kV以上の高圧を印加して、電子ビーム
を加速し、蛍光膜115に衝突させ、励起・発光させる
ことで画像の表示が得られた。
【0215】本実施例の画像形成装置は、輝度分布の少
ない極めて安定な画像が得られるものであった。また、
階調特性及びフルカラー表示特性に優れたコントラスト
の高い表示が得られた。
【0216】実施例4 本実施例は、多数の表面伝導型電子放出素子を単純マト
リクス配置した電子放出装置を有する画像形成装置の例
であり、その1ラインを分析用電子放出素子として用い
る。また、本実施例では、活性化工程において、分析用
電子放出素子の電流・電圧特性から抽出された情報(活
性化時のIf、Ieの時間依存)を基に、活性化時の通
電条件を制御する手法を用いる。
【0217】活性化工程を除いて、実施例3と同様な方
法により表示パネルを作成した。
【0218】活性化工程においては、各Dykライン毎
にk=1〜nまで順次活性化を行った。各ラインの活性
化を行う直前に、Dx1とDxkで指定される分析用電
子放出素子を、ピーク電圧14V、繰り返し周波数60
Hz、パルス幅30マイクロ秒の矩形波で30分活性化
し、活性化時のIf、Ieの時間依存を測定した。この
測定結果を基に、真空雰囲気に関する情報として、Ie
が2マイクロAとなる活性化処理時間τkを抽出した。
この情報を基に、各Dykラインの活性化を、夫々の活
性化処理時間をτkとして行った。
【0219】これにより、ガラス容器内の真空雰囲気の
位置に伴う(Dyk間の)ばらつきが引き起こす活性化
のばらつきを抑制した。
【0220】このようにして得た表示パネルを有する本
実施例の画像形成装置は、極めてライン(Dyk間の)
輝度のばらつきが小さく、安定な表示画像が得られる画
像形成装置であった。更に、諧調特性及びフルカラー表
示に優れたコントラストの高い画像形成装置であった。
【0221】実施例5 本実施例は、多数の表面伝導型電子放出素子を単純マト
リクス配置した電子放出装置を有する画像形成装置の例
であり、その1ラインを分析用電子放出素子として用い
るものである。
【0222】活性化工程を除いて、実施例3と同様な方
法により表示パネルを作成した。但し、活性化工程にお
いては、真空分析を行わず、全ての表面伝導型電子放出
素子を、ピーク電圧14V、繰り返し周波数60Hz、
パルス幅30マイクロ秒の矩形波で10分間活性化し
た。
【0223】上記表示パネルを有する画像形成装置完成
後、Dx1とDyk(k=1〜n)で指定される表面伝
導型電子放出素子を夫々Dyk(k=1〜n)ラインの
分析用電子放出素子を用い、次のような駆動電圧補正を
行った。
【0224】まず、Dx1とDykで指定される分析用
電子放出素子に印加する電圧を0Vから徐々に増加し、
放出電流が1マイクロAとなる電圧Vykを捜した。こ
の時、アノード電圧は1kVを用いた。この電圧Vyk
を各ラインの表面伝導型電子放出素子に印加する電圧と
して用いた。
【0225】これにより、ガラス容器内の真空雰囲気の
位置に伴う(Dyk間の)ばらつきが引き起こす電子放
出量のばらつきを抑制した。
【0226】本実施例の画像形成装置は、極めてライン
(Dyk間の)輝度のばらつきが小さく、安定な表示画
像が得られる画像形成装置であった。更に、諧調特性及
びフルカラー表示に優れたコントラストの高い画像形成
装置であった。
【0227】実施例6 図19は、前述の表面伝導型電子放出素子を用いた表示
パネルに、例えばテレビジョン放送を初めとする種々の
画像情報源より提供される画像情報を表示できるように
構成した本発明の画像形成装置の一例を示す図である。
【0228】図中16100は表示パネル、16101
は表示パネルの駆動回路、16102はディスプレイコ
ントローラ、16103はマルチプレクサ、16104
はデコーダ、16105は入出力インターフェース回
路、16106はCPU、16107は画像生成回路、
16108及び16109及び16110は画像メモリ
ーインターフェース回路、16111は画像入力インタ
ーフェース回路、16112及び16113はTV信号
受信回路、16114は入力部である。
【0229】尚、本画像形成装置は、例えばテレビジョ
ン信号のように、映像情報と音声情報の両方を含む信号
を受信する場合には当然映像の表示と同時に音声を再生
するものであるが、本発明の特徴と直接関係しない音声
情報の受信、分離、再生、処理、記憶等に関する回路や
スピーカー等については説明を省略する。
【0230】以下、画像信号の流れに沿って各部の機能
を説明する。
【0231】まず、TV信号受信回路16113は、例
えば電波や空間光通信等のような無線伝送系を用いて伝
送されるTV信号を受信するための回路である。
【0232】受信するTV信号の方式は特に限られるも
のではなく、例えばNTSC方式、PAL方式、SEC
AM方式等、いずれの方式でもよい。また、これらより
更に多数の走査線よりなるTV信号、例えばMUSE方
式を初めとする所謂高品位TVは、大面積化や大画素数
化に適した前記表示パネルの利点を生かすのに好適な信
号源である。
【0233】TV信号受信回路16113で受信された
TV信号は、デコーダ16104に出力される。
【0234】TV信号受信回路16112は、例えば同
軸ケーブルや光ファイバー等のような有線伝送系を用い
て伝送されるTV信号を受信するための回路である。前
記TV信号受信回路16113と同様に、受信するTV
信号の方式は特に限られるものではなく、また本回路で
受信されたTV信号もデコーダ16104に出力され
る。
【0235】画像入力インターフェース回路16111
は、例えばTVカメラや画像読み取りスキャナーなどの
画像入力装置から供給される画像信号を取り込むための
回路で、取り込まれた画像信号はデコーダ16104に
出力される。
【0236】画像メモリーインターフェース回路161
10は、ビデオテープレコーダー(以下VTRと略す)
に記憶されている画像信号を取り込むための回路で、取
り込まれた画像信号はデコーダ16104に出力され
る。
【0237】画像メモリーインターフェース回路161
09は、ビデオディスクに記憶されている画像信号を取
り込むための回路で、取り込まれた画像信号はデコーダ
16104に出力される。
【0238】画像メモリーインターフェース回路161
08は、静止画ディスクのように、静止画像データを記
憶している装置から画像信号を取り込むための回路で、
取り込まれた静止画像データはデコーダ16104に入
力される。
【0239】入出力インターフェース回路16105
は、本表示装置と、外部のコンピュータもしくはコンピ
ュータネットワークもしくはプリンターなどの出力装置
とを接続するための回路である。画像データや文字・図
形情報の入出力を行うのは勿論のこと、場合によっては
本画像形成装置の備えるCPU16106と外部との間
で制御信号や数値データの入出力などを行うことも可能
である。
【0240】画像生成回路16107は、前記入出力イ
ンターフェース回路16105を介して外部から入力さ
れる画像データや文字・図形情報や、あるいはCPU1
6106より出力される画像データや文字・図形情報に
基づき、表示用画像データを生成するための回路であ
る。本回路の内部には、例えば画像データや文字・図形
情報を蓄積するための書き換え可能メモリーや、文字コ
ードに対応する画像パターンが記憶されている読み出し
専用メモリーや、画像処理を行うためのプロセッサー等
を初めとして、画像の生成に必要な回路が組み込まれて
いる。
【0241】本回路により生成された表示用画像データ
は、デコーダ16104に出力されるが、場合によって
は前記入出力インターフェース回路16105を介して
外部のコンピュータネットワークやプリンターに出力す
ることも可能である。
【0242】CPU16106は、主として本表示装置
の動作制御や、表示画像の生成や選択や編集に関わる作
業を行う。
【0243】例えば、マルチプレクサ16103に制御
信号を出力し、表示パネルに表示する画像信号を適宜選
択したり組み合わせたりする。その際には表示する画像
信号に応じて表示パネルコントローラ16102に対し
て制御信号を発生し、画面表示周波数や走査方法(例え
ばインターレースかノンインターレースか)や一画面の
走査線の数など表示装置の動作を適宜制御する。また、
前記画像生成回路16107に対して画像データや文字
・図形情報を直接出力したり、あるいは前記入出力イン
ターフェース回路16105を介して外部のコンピュー
タやメモリーをアクセスして画像データや文字・図形情
報を入力する。
【0244】尚、CPU16106は、これ以外の目的
の作業にも関わるものであってよい。例えば、パーソナ
ルコンピュータやワードプロセッサ等のように、情報を
生成したり処理する機能に直接関わってもよい。あるい
は前述したように、入出力インターフェース回路161
05を介して外部のコンピュータネットワークと接続
し、例えば数値計算等の作業を外部機器と協同して行っ
てもよい。
【0245】入力部16114は、前記CPU1610
6に使用者が命令やプログラム、あるいはデータなどを
入力するためのものであり、例えばキーボードやマウス
の他、ジョイスティック、バーコードリーダー、音声認
識装置等の多様な入力機器を用いることが可能である。
【0246】デコーダ16104は、前記16107な
いし16113より入力される種々の画像信号を3原色
信号、又は輝度信号とI信号、Q信号に逆変換するため
の回路である。尚、図中に点線で示すように、デコーダ
16104は内部に画像メモリーを備えるのが望まし
い。これは、例えばMUSE方式を初めとして、逆変換
するに際して画像メモリーを必要とするようなテレビ信
号を扱うためである。
【0247】画像メモリーを備える事により、静止画の
表示が容易になる。あるいは前記画像生成回路1610
7及びCPU16106と協同して、画像の間引き、補
間、拡大、縮小、合成を初めとする画像処理や編集が容
易になるという利点が得られる。
【0248】マルチプレクサ16103は、前記CPU
16106より入力される制御信号に基づき、表示画像
を適宜選択するものである。即ち、マルチプレクサ16
103はデコーダ16104から入力される逆変換され
た画像信号の内から所望の画像信号を選択して駆動回路
16101に出力する。その場合には、一画面表示時間
内で画像信号を切り換えて選択することにより、所謂多
画面テレビのように、一画面を複数の領域に分けて領域
によって異なる画像を表示することも可能である。
【0249】表示パネルコントローラ16102は、前
記CPU16106より入力される制御信号に基づき、
駆動回路16101の動作を制御するための回路であ
る。
【0250】表示パネルの基本的な動作に関わるものと
して、例えば表示パネルの駆動用電源(図示せず)の動
作シーケンスを制御するための信号を駆動回路1610
1に対して出力する。表示パネルの駆動方法に関わるも
のとして、例えば画面表示周波数や走査方法(例えばイ
ンターレースかノンインターレースか)を制御するため
の信号を駆動回路16101に対して出力する。また、
場合によっては、表示画像の輝度やコントラストや色調
やシャープネスといった画質の調整に関わる制御信号を
駆動回路16101に対して出力する場合もある。
【0251】駆動回路16101は、表示パネル161
00に印加する駆動信号を発生するための回路であり、
前記マルチプレクサ16103から入力される画像信号
と、前記表示パネルコントローラ16102より入力さ
れる制御信号に基づいて動作するものである。
【0252】以上、各部の機能を説明したが、図19
例示した構成により、本画像形成装置においては多様な
画像情報源より入力される画像情報を表示パネル161
00に表示することが可能である。即ち、テレビジョン
放送を初めとする各種の画像信号は、デコーダ1610
4におて逆変換された後、マルチプレクサ16103
において適宜選択され、駆動回路16101に入力され
る。一方、表示パネルコントローラ16102は、表示
する画像信号に応じて駆動回路16101の動作を制御
するための制御信号を発生する。駆動回路16101
は、上記画像信号と制御信号に基づいて表示パネル16
100に駆動信号を印加する。これにより、表示パネル
16100において画像が表示される。これらの一連の
動作は、CPU16106により統括的に制御される。
【0253】本画像形成装置においては、前記デコーダ
16104に内蔵する画像メモリや、画像生成回路16
107及び情報の中から選択したものを表示するだけで
なく、表示する画像情報に対して、例えば拡大、縮小、
回転、移動、エッジ強調、間引き、補間、色変換、画像
の縦横比変換等を初めとする画像処理や、合成、消去、
接続、入れ換え、嵌め込み等を初めとする画像編集を行
うことも可能である。また、本実施例の説明では特に触
れなかったが、上記画像処理や画像編集と同様に、音声
情報に関しても処理や編集を行なうための専用回路を設
けてもよい。
【0254】従って、本画像形成装置は、テレビジョン
放送の表示機器、テレビ会議の端末機器、静止画像及び
動画像を扱う画像編集機器、コンピュータの端末機器、
ワードプロセッサを初めとする事務用端末機器、ゲーム
機などの機能を一台で兼ね備えることが可能で、産業用
あるいは民生用として極めて応用範囲が広い。
【0255】尚、図19は、表面伝導型電子放出素子を
電子ビーム源とする表示パネルを用いた画像形成装置と
する場合の一例を示したに過ぎず、本発明の画像形成装
置がこれのみに限定されるものでないことは言うまでも
ない。
【0256】例えば図19の構成要素の内、使用目的上
必要のない機能に関わる回路は省いても差し支えない。
また、これとは逆に、使用目的によっては更に構成要素
を追加してもよい。例えば、本表示装置をテレビ電話機
として応用する場合には、テレビカメラ、音声マイク、
照明機、モデムを含む送受信回路等を構成要素に追加す
るのが好適である。
【0257】本画像形成装置においては、とりわけ表面
伝導型電子放出素子を電子源としているので、表示パネ
ルの薄形化が容易であり、画像形成装置の奥行きを小さ
くすることができる。それに加えて、表面伝導型電子放
出素子を電子ビーム源とする表示パネルは大画面化が容
易で輝度が高く視野角特性にも優れるため、画像形成装
置は臨場感にあふれ、迫力に富んだ画像を視認性良く表
示することが可能である。
【0258】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
分析用電子放出素子によって真空雰囲気の情報を取得す
ることによって、真空雰囲気が要因として生じる電子放
出素子間のばらつき、画像装置間のばらつきを低減する
ことができる。
【0259】特に画像形成装置のように、ガラス容器内
に多数の電子放出素子を配置する際には、位置による真
空雰囲気のばらつきによるばらつきを生じるが、任意の
位置に分析用電子放出素子を配置することにより、その
位置における真空雰囲気に関する情報を取得することが
でき、その情報を基に夫々の電子放出素子を制御するこ
とで、より均一な画像表示装置とすることができる。
【0260】特に活性化工程を必要とする電子放出素子
を用いた電子放出装置等の製造においては、活性化工程
と同時に、同等な真空雰囲気中に配置した分析用電子放
出素子の電流・電圧特性から、真空雰囲気の持つ活性化
能力に関する情報を引き出し、その情報に基づいて活性
化処理条件を制御することによって、活性化工程を制御
性良く行うことができる。そして、これにより、電子放
出量の電子放出素子間及び画像形成装置間のばらつきを
低減することができる。更に、真空雰囲気の情報を基に
活性化の最適化を行うことができるため、効率を向上す
ることが可能である。
【0261】また、画像形成装置等のように、ガラス容
器に配置した多数の電子放出素子を有する場合には、ガ
ラス容器内の任意の位置に配置した分析用電子放出素子
から、真空雰囲気の位置によるばらつき情報を抽出する
ことによって、この情報を基に活性化工程を制御でき、
結果としてガラス容器内の電子放出素子間の電子放出量
のばらつきを低減できる。従って、画像形成装置による
画像をより高品位にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いる平面型表面伝導型電子放出素子
(表面伝導型電子放出素子)を示す概略的構成図であ
る。
【図2】垂直型表面伝導型電子放出素子を示す概略的構
成図である。
【図3】表面伝導型電子放出素子の製造方法を示す図で
ある。
【図4】フォーミング波形の例を示す図である。
【図5】測定評価系の一例を示す概略的構成図である。
【図6】表面伝導型電子放出素子の放出電流−素子電圧
特性(I−V特性)を示す図である。
【図7】表面伝導型電子放出素子の放置時間に対する電
流・電圧特性を示す図である。
【図8】図7の電流・電圧特性の測定に用いる素子電圧
の波形の一例を示す図である。
【図9】単純マトリクス配置の本発明の電子放出装置の
概略的構成図である。
【図10】単純マトリクス配置の電子放出装置を用いた
本発明の画像形成装置に用いる表示パネルの概略的構成
図である
【図11】図10の表示パネルにおける蛍光膜を示す図
である。
【図12】図10の表示パネルを駆動する駆動回路の一
例を示す図である。
【図13】梯型配置の電子放出装置の概略的平面図であ
る。
【図14】梯型配置の電子放出装置を用いた本発明の画
像形成装置に用いる表示パネルの概略的構成図である。
【図15】実施例2における電子放出装置を示す概略的
平面図である。
【図16】図15におけるA−A’断面図である。
【図17】実施例2における電子放出装置の製造手順を
示す図である。
【図18】実施例2における電子放出装置の製造手順を
示す図である。
【図19】実施例における画像形成装置を示すブロッ
ク図である。
【符号の説明】
1 基体 2 電子放出部 3 薄膜 4,5 素子電極 21 段差形成部材 40,41 パルス印加装置 42 真空装置 43 真空排気管 44 ガス導入管 50 素子電流Ifを測定するための電流計 51 電源 52 放出電流Ieを測定するための電流計 53 高圧電源 54 アノード電極 55 真空装置 56 排気ポンプ 102 X方向配線(下配線) 103 Y方向配線(上配線) 104 表面伝導型電子放出素子 105 結線 111 リアプレート 112 支持枠 113 ガラス基板 114 蛍光膜 115 メタルバック 116 フェースプレート 118 外囲器 121 黒色導伝材 122 蛍光体 151 層間絶縁層 152 コンタクトホール 153 Cr層 201 表示パネル 202 走査回路 203 制御回路 204 シフトレジスタ 205 ラインメモリ 206 同期信号分離回路 207 変調信号発生器 301 表示パネル 302 グリッド電極 303 開口 304 共通配線 16100 ディスプレイパネル 16101 駆動回路 16102 ディスプレイコントローラ 16103 マルチプレクサ 16104 デコーダ 16105 入出力インターフェース回路 16106 CPU 16107 画像生成回路 16108 画像メモリーインターフェース回路 16109 画像メモリーインターフェース回路 16110 画像メモリーインターフェース回路 16111 画像入力インターフェース回路 16112 TV信号受信回路 16113 TV信号受信回路 16114 入力部

Claims (33)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機物質を含有する雰囲気内に電子放出
    素子と分析用電子放出素子を設け、該雰囲気中における
    分析用電子放出素子の素子特性を測定し、この測定結果
    に基づいて選択した条件で前記電子放出素子に有機物質
    を含有する雰囲気内で電圧を印加する工程を有すること
    を特徴とする電子放出装置の製造方法。
  2. 【請求項2】 測定する分析用電子放出素子の素子特性
    が電流・電圧特性であることを特徴とする請求項1の電
    子放出装置の製造方法。
  3. 【請求項3】 測定する分析用電子放出素子の素子特性
    が電流・電圧特性のヒステリシス特性であることを特徴
    とする請求項2の電子放出装置の製造方法。
  4. 【請求項4】 分析用電子放出素子が、対向する一対の
    素子電極間に、電子放出部を含む導電性膜を有する電子
    放出素子であることを特徴とする請求項1または2の電
    子放出装置の製造方法。
  5. 【請求項5】 分析用電子放出素子は、導電性膜に流れ
    る素子電流Ifと、電子放出部から放出される放出電流
    Ieを有する電子放出素子であることを特徴とする請求
    項4の電子放出装置の製造方法。
  6. 【請求項6】 測定する分析用電子放出素子の素子特性
    が、素子電流Ifのヒステリシス特性であることを特徴
    とする請求項5の電子放出装置の製造方法。
  7. 【請求項7】 電子放出素子及び分析用電子放出素子が
    表面伝導型電子放出素子であることを特徴とする請求項
    1ないし6いずれかの電子放出装置の製造方法。
  8. 【請求項8】 分析用電子放出素子の素子特性から得ら
    れる情報が、雰囲気中に存在する予め決められた有機物
    質の種類に応じた分圧であることを特徴とする請求項7
    の電子放出装置の製造方法。
  9. 【請求項9】 分析用電子放出素子の素子特性から得ら
    れる情報が、雰囲気中に存在する有機物質の種類及び分
    圧に依存する、素子電流Ifと放出電流Ieを増加させ
    る能力であることを特徴とする請求項7の電子放出装置
    の製造方法。
  10. 【請求項10】 測定された分析用電子放出素子の素子
    特性に基づいて選択した条件で電子放出素子に有機物質
    を含有する雰囲気内で電圧を印加する工程が、電子放出
    素子にパルス電圧を印加し、素子電流If及び放出電流
    Ieを増加させる活性化工程であることを特徴とする請
    求項7ないし9いずれかの電子放出装置の製造方法。
  11. 【請求項11】 測定された分析用電子放出素子の素子
    特性に基づいて選択される条件が、電子放出素子に印加
    するパルス電圧の波高値及び/または繰り返し周波数で
    あることを特徴とする請求項10の電子放出装置の製造
    方法。
  12. 【請求項12】 測定された分析用電子放出素子の素子
    特性に基づいて選択される条件が、活性化工程におけ
    囲気条件であることを特徴とする請求項10の電子放
    出装置の製造方法。
  13. 【請求項13】 活性化工程において、電子放出素子の
    表面に吸着される有機物質の量が一定になるように
    子放出素子に電圧印加する条件を制御することを特徴と
    する請求項10ないし12いずれかの電子放出装置の製
    造方法。
  14. 【請求項14】 活性化工程の後に、活性化工程より高
    い真空度下で電子放出素子に電圧を印加する安定化工程
    を有することを特徴とする請求項10ないし13いずれ
    かの電子放出装置の製造方法。
  15. 【請求項15】 有機物質を含有する雰囲気内に複数の
    電子放出素子を設けることを特徴とする請求項1ないし
    14いずれかの電子放出装置の製造方法。
  16. 【請求項16】 有機物質を含有する雰囲気内に複数の
    分析用電子放出素子を設けることを特徴とする請求項1
    5の電子放出装置の製造方法。
  17. 【請求項17】 電子放出素子が設けられている真空雰
    囲気内に、該雰囲気内の有機物質の存在に起因する情報
    を得るためにその素子特性が測定される分析用電子放出
    素子を設けたことを特徴とする電子放出装置。
  18. 【請求項18】 分析用電子放出素子が、電子放出素子
    の製造に際 して有機物質を含有する雰囲気内で該電子放
    出素子に電圧印加する工程の条件を選択するためにその
    素子特性が測定されるものであることを特徴とする請求
    項17の電子放出装置。
  19. 【請求項19】 電子放出素子と分析用電子放出素子が
    同一基板上に設けられていることを特徴とする請求項1
    7または18の電子放出装置。
  20. 【請求項20】 電子放出素子と分析用電子放出素子が
    表面伝導型電子放出素子であることを特徴とする請求項
    17ないし19いずれかの電子放出装置。
  21. 【請求項21】 電子放出素子と分析用電子放出素子
    が、素子電極が同一面上に形成された平面型であること
    を特徴とする請求項20の電子放出装置。
  22. 【請求項22】 電子放出素子と分析用電子放出素子
    が、素子電極が絶縁層を介して上下に位置し、該絶縁層
    の側面に電子放出部を含む導電性薄膜が形成された垂直
    型であることを特徴とする請求項20の電子放出装置。
  23. 【請求項23】 電子放出素子が複数であることを特徴
    とする請求項17ないし22いずれかの電子放出装置。
  24. 【請求項24】 複数の電子放出素子を配列した素子列
    を少なくとも1列以上有し、各電子放出素子を駆動する
    ための配線がマトリクス配置されていることを特徴とす
    る請求項20ないし22いずれかの電子放出装置。
  25. 【請求項25】 複数の電子放出素子を配列した素子列
    を少なくとも1列以上有し、各電子放出素子を駆動する
    ための配線がはしご状配置されていることを特徴とする
    請求項20ないし22いずれかの電子放出装置。
  26. 【請求項26】 分析用電子放出素子が複数であること
    を特徴とする請求項23ないし25いずれかの電子放出
    装置。
  27. 【請求項27】 分析用電子放出素子が真空雰囲気を構
    成する真空容器の四隅に配置されていることを特徴とす
    る請求項26の電子放出装置。
  28. 【請求項28】 分析用電子放出素子が各素子列毎に配
    置されていることを特徴とする請求項24または25
    電子放出装置。
  29. 【請求項29】 請求項17ないし28いずれかの電子
    放出装置と、該電子放出装置の前記電子放出素子からの
    電子線の照射により画像を形成する画像形成部材とを有
    することを特徴とする画像形成装置。
  30. 【請求項30】 請求項17ないし28いずれかの電子
    放出装置と、該電子放出装置の前記電子放出素子から放
    出される電子線を情報信号に応じて変調する変調手段
    と、該電子線の照射により画像を形成する画像形成部材
    とを有することを特徴とする画像形成装置。
  31. 【請求項31】 請求項17ないし28いずれかの電子
    放出装置と、該電子放出装置からの電子線の照射により
    画像を形成する画像形成部材とを組み合わせることを特
    徴とする画像形成装置の製造方法。
  32. 【請求項32】 請求項17ないし28いずれかの電子
    放出装置と、該電子放出装置から放出される電子線を情
    報信号に応じて変調する変調手段と、該電子放出装置か
    らの電子線の照射により画像を形成する画像形成部材と
    を組み合わせることを特徴とする画像形成装置の製造方
    法。
  33. 【請求項33】 テレビジョン放送の表示装置、テレビ
    会議システムの表示装置、コンピューターの表示装置の
    いずれかに用いられる請求項29又は30の画像形成装
    置。
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