JPH09265897A - 電子放出素子、電子源及び画像形成装置 - Google Patents

電子放出素子、電子源及び画像形成装置

Info

Publication number
JPH09265897A
JPH09265897A JP7801696A JP7801696A JPH09265897A JP H09265897 A JPH09265897 A JP H09265897A JP 7801696 A JP7801696 A JP 7801696A JP 7801696 A JP7801696 A JP 7801696A JP H09265897 A JPH09265897 A JP H09265897A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electron
electrode
emitting device
emitting
thin film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7801696A
Other languages
English (en)
Inventor
Masahiro Okuda
昌宏 奥田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP7801696A priority Critical patent/JPH09265897A/ja
Publication of JPH09265897A publication Critical patent/JPH09265897A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Cathode-Ray Tubes And Fluorescent Screens For Display (AREA)
  • Cold Cathode And The Manufacture (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子放出効率の向上、製造の低コスト化、亀
裂位置の高精度の制御が困難。 【解決手段】 基体上11に第1素子電極12と第2素子電
極13とが絶縁層16を挟んで積層され、第1及び第2素子
電極12,13の積層された面と垂直方向の面上に導電性薄
膜14が形成されてなる電子放出素子であって、第1素子
電極12、絶縁層16、第2素子電極13は基体の端縁まで形
成され、該端縁側の第1素子電極、絶縁層、第2素子電
極の側面には導電性薄膜14が延長されて形成されてな
り、第1素子電極12と第2素子電極13との間の導電性薄
膜14に電子放出部15が形成されてなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子放出素子、電
子源、および表示装置等の画像形成装置にかかわり、特
に、一対の素子電極と該素子電極間に設けられた導電性
薄膜とを備えた電子放出素子、電子源、および表示装置
等の画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子放出素子として熱電子放出素
子と冷陰極電子放出素子の2種類が知られている。冷陰
極電子放出素子には電界放出型(以下FE型と略す)、
金属/絶縁層/金属型(以下MIM型と略す)や表面伝
導型電子放出素子(以下SCEと略す)等がある。
【0003】FE型の例としてはW.P.Dyke and W.W.Dola
n、"Field emission"、Advance inElectron Phys ics、
8、89(1956), あるいはC.A.Spindt,"PHYSICAL Properti
es of thin-film field emission cat hodeswith molyb
denium cones",J.Appl.Phys.,47,5248(1976)等が知られ
ている。MIM型の例としては、C.A.Mead、"Thetunnel
-emission amplifier、J.Appl.Phys.、32、64 6(1961)
等が知られている。SCE型の例としては、M.I.Elinso
n 、Radio Eng. Electron Pys.、10、(1965)等があ
る。
【0004】SCE型は基板上に形成された小面積の薄
膜に、膜面に平行に電流を流すことにより、電子放出が
生ずる現象を利用するものである。この表面伝導型電子
放出素子としては、前記エリンソン等によるSnO2
膜を用いたもの、Au薄膜によるもの[G.Dittmer:"Thin
Solid Films"、9、317(192)]、In2O3/SnO2薄膜による
もの[M. Hartwell and C.G.Fonsta d:"IEEE Trans.ED C
onf."、519(1975)]、カーボン薄膜によるもの]荒木久
他:真空、第26巻、第1号、22頁(1983)]等が報告されて
いる。
【0005】これらの表面伝導型電子放出素子の典型的
な素子構成として前述のM.ハートウェルの素子構成を
図16に示す。同図において、201は絶縁性基板であ
る。202は導電性薄膜で、H型形状のパターンに、ス
パッタで形成された金属酸化物薄膜等からなり、後述の
フォーミングと呼ばれる通電処理により電子放出部20
3が形成される。尚、図中のL1は、0.5〜1mm、W1
は、0.1mmに設定されている。
【0006】これらの表面伝導型電子放出素子において
は、電子放出を行う前に導電性薄膜202を予めフォー
ミングと呼ばれる通電処理によって電子放出部203を
形成するのが一般的である。ここで、フォーミングとは
前記導電性薄膜202の両端に直流電圧あるいは非常に
ゆっくりとした昇電圧、例えば1V/分程度を印加通電
し、導電性薄膜を局所的に破壊、変形もしくは変質せし
め、電気的に高抵抗な状態にした電子放出部203を形
成することである。なお、電子放出部203は導電性薄
膜202の一部に亀裂が発生しその亀裂付近から電子放
出が行われる。以下フォーミングにより形成した電子放
出部を含む導電性薄膜を電子放出部を含む薄膜204と
呼ぶ。
【0007】前記フォーミング処理をした表面伝導型電
子放出素子は、上述電子放出部を含む薄膜204に電圧
を印加し、素子に電流を流すことにより、上述電子放出
部203より電子を放出せしめるものである。
【0008】上述の表面伝導型電子放出素子は、構造が
単純で製造も容易であることから、大面積にわたる多数
素子を配列形成できる利点がある。そこで、この特徴を
生かせるようないろいろな応用が研究されている。例え
ば、荷電ビーム源、表示装置等があげられる。多数の表
面伝導型電子放出素子を配列形成した例としては、並列
に表面伝導型電子放出素子を配列し、個々の素子の両端
を配線にてそれぞれ結線した行を多数行配列した電子放
出素子があげられる(例えば、本出願人の特開平1-0313
32号公報)。また、特に表示装置等の画像形成装置にお
いては、近年、液晶を用いた平板型表示装置が、CRT
に替わって普及してきたが、自発光型でないため、バッ
クライト等を持たなければならない等の問題点があり、
自発光型の表示装置の開発が望まれてきた。表面伝導型
電子放出素子を多数配置した電子放出素子と、電子放出
素子より放出された電子によって可視光を発光せしめる
蛍光体とを組み合わせた表示装置等の画像形成装置は、
大画面の装置でも比較的容易に製造できかつ表示品位の
優れた自発光型表示装置である(例えば、本出願人の米
国特許第5066883号)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記表
面伝導型電子放出素子においては、次のような特性を有
することが望まれてきた。
【0010】(1) 効率が高く電子放出特性が安定し
ていること。ここで効率とは、表面伝導型電子放出素子
の一対の対向する素子電極に電圧を印加したとき、流れ
る電流(以降素子電流Ifと呼ぶ)に対する真空中に放出
される電流(以降電子放出電流Ieと呼ぶ)との電流比を
さす。つまり、素子電流はできるだけ小さく、放出電流
はできるだけ大きいことが望ましい。
【0011】(2) 亀裂の位置が制御できること。特
に、画像形成装置に用いる電子放出素子においては、亀
裂の位置が電子放出点となるため、亀裂の位置が制御で
きないと電子放出位置がばらつくことになり、高解像度
の画像形成装置を作ることができなくなる。
【0012】(3) 安価に製造できること。特に、画
像形成装置に用いる電子放出素子においては、電子放出
素子の数が画像形成装置の画素の数だけ必要になるた
め、一つ一つの素子が安価に製造できることが、画像形
成装置を安価に製造できることにつながる。
【0013】ところが、従来の表面伝導型電子放出素子
においては、後述するように、電子放出部から放出され
た電子の多くが、直接アノード電極には向かわず、高電
位側の導電性薄膜または素子電極に入射してしまう。こ
のうち、弾性散乱されたものは再びアノードに向かう
が、かなりの部分が吸収されてしまう。従って、直接ア
ノードへ向かう電子の割合を増やすことと、上記高電位
側の導電性薄膜ないし、素子電極上での弾性散乱の効率
を向上させることが、電子放出効率の改善の方法として
考えられる。電子放出効率の低い電子放出素子を画像形
成装置に用いると必要な放出電流を得るために大きな素
子電流Ifが必要となり、その結果、消費電力が大きくな
ってしまったり、配線抵抗による電圧効果が大きくな
り、輝度むらが生じる原因になる。
【0014】さらに、従来の電子放出素子においては、
亀裂の形成は素子に通電することにより薄膜の一部を、
破壊することによって行うため、より電子放出部の位置
制御の精度が求められても亀裂の位置を正確に制御する
ことが難しいという課題があった。亀裂の位置を正確に
制御しようとすれば、図16におけるW1を例えば1μm
程度以下にパターニングすれば良いが、このようなパタ
ーニングをするためには高精度のフォトリソグラフィー
などを用いなければならず、製造のコストが大幅に高く
なってしまうこととなる。
【0015】本発明の目的は、上記課題を鑑み、電子放
出効率の高く、安価に製造でき、しかも亀裂位置の制御
された電子放出素子及びそれを用いた画像形成装置を提
供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的は、以下の構成
を有する電子放出素子、さらにそれを用いた電子源、画
像形成装置により達成される。
【0017】すなわち、本発明の第1の電子放出素子
は、基体上に第1の素子電極と第2の素子電極とが絶縁
層を挟んで積層され、前記第1及び第2の素子電極の積
層された面と垂直方向の面上に導電性薄膜が形成されて
なる電子放出素子であって、前記第1の素子電極、前記
絶縁層、前記第2の素子電極は前記基体の端縁まで形成
され、該端縁側の前記第1の素子電極、前記絶縁層、前
記第2の素子電極の側面には前記導電性薄膜が延長され
て形成されてなり、前記第1の素子電極と前記第2の素
子電極との間の前記導電性薄膜に電子放出部が形成され
てなる電子放出素子である。
【0018】本発明の第2の電子放出素子は、基体の第
1の面上及びこの第1面と対向する第2の面上にそれぞ
れ第1の素子電極と第2の素子電極とが絶縁層を挟んで
積層され、前記第1及び第2の面と垂直方向の面上に導
電性薄膜が形成されてなる電子放出素子であって、前記
第1及び第2の面上にそれぞれ積層された第1の素子電
極、前記絶縁層、前記第2の素子電極は、前記第1及び
第2の面の同一方向の端縁までそれぞれ形成され、前記
第1及び第2の面の同一方向の端縁側の前記第1の素子
電極、前記絶縁層、前記第2の素子電極の側面にはそれ
ぞれ前記導電性薄膜が延長されて形成されてなり、前記
第1及び第2の面上にそれぞれ積層された前記第1の素
子電極と前記第2の素子電極との間の前記導電性薄膜に
電子放出部が形成されてなる電子放出素子である。
【0019】本発明の第3の電子放出素子は、前記電子
放出素子は表面伝導型電子放出素子であることを特徴と
する上記第1又は第2の電子放出素子である。
【0020】本発明の第1の電子源は、入力信号に応じ
て電子を放出する電子放出素子であって、上記第1〜第
3のいずれかの電子放出素子を、基体上に複数個配置し
たことを特徴とするものである。
【0021】本発明の第2の電子源は、上記第1の電子
源において、前記基体は短冊状基体であって、前記短冊
状基体の長手方向に上記第1〜第3のいずれかの電子放
出素子が複数個配置され、各電子放出素子の一方の素子
電極は前記短冊状基体に設けられた共通の配線に接続さ
れてなり、前記短冊状基体は、別の基体に電子放出部が
マトリクス状に配されるように前記長手方向と垂直方向
に複数個配列されており、各短冊状基体の同一配列順の
電子放出素子の他方の素子電極が前記別の基体に設けら
れた配線群に電気的に接続されてなることを特徴とする
ものである。
【0022】本発明の画像形成装置は、上記第1又は第
2の電子源と、該電子源からの電子線の照射により画像
を形成する画像形成部材と、を有することを特徴とする
ものである。
【0023】ここで、図1、図2及び図3を用いて、従
来例とを対比しつつ本発明の原理について説明する。図
1は本発明の基本的素子構成の平面図を示す。図1にお
いて、11は基板、12,13は素子電極である。ま
た、16は素子電極間の電気的な絶縁を保つための絶縁
膜である。
【0024】該素子電極12,13の平面とは直角方向
の端面にはある程度の抵抗を有する導電性薄膜14が形
成されており、前述のフォーミング工程を経て、電子放
出部である亀裂15が形成されている。ここで、素子電
極12、13の間に電圧Vfを印加することにより、電子
放出部15から電子が出射されることになる。
【0025】また、比較のために、従来例の構成におけ
る素子構成を図2に示す。図2において、21は基体、
22,23は素子電極、24は導電性薄膜、25は電子
放出部である亀裂である。かかる従来例の電子放出素子
において、電子放出部を形成するには、導電性薄膜24
に、素子電極22,23を通じて電圧を印加し、導電性
薄膜を局所的に破壊することにより、電子放出部25を
形成する。この工程がフォーミング工程である。このと
き、素子電極間に電子放出部である亀裂25は形成され
るが、一般に、素子電極間の特定の位置に高精度に亀裂
を形成することは難しい。つまり、ある程度の幅(最大
では素子電極の間隔W1程度の幅)で亀裂が蛇行したりす
ることが生じえる。そして、素子電極の間隔が広いと、
蛇行の大きさも大きくなる可能性が高まり、電子放出点
の位置もそれだけ蛇行することになる。蛇行の幅が広い
電子放出素子を画像形成装置の電子放出源として用いた
とすると、蛇行の幅に応じて画像形成部材上の電子線の
照射される位置もばらつくため、より高解像度の画像形
成装置を作ることが困難となる。
【0026】蛇行の幅をより小さく抑えるには、フォト
リソグラフィーなどのパターニング法を用いて、素子電
極の間隔を狭くすれば良い。しかしながら、フォトリソ
グラフィーを用いる方法は、大面積、例えば40インチ
程度の面積を持つ画像形成装置に対して、パターニング
することは難しい上に、製造コストが高くなると言う課
題を持っている。さらに、大面積にわたって素子電極間
隔が1μm以下の表面伝導型の電子放出素子を作製する
ことは困難である。
【0027】これに対して本発明の電子放出素子では、
図1のように、絶縁層16を介して積層した二枚の素子
電極の間に亀裂部15を形成するので亀裂位置が、絶縁
層の膜厚程度の幅に制御できることになる。絶縁層16
の膜厚は数10nm(ナノメートル)〜数μm(マイク
ロメートル)程度に設定するのが普通であるので亀裂位
置もこのオーダーで制御できることになる。さらに、本
発明の構造では、フォトリソグラフィーなどのパターニ
ング法を用いなくても、充分、蛇行の小さい亀裂を形成
できるので、製造コストをより低く抑えることが可能と
なる。
【0028】次に、本発明の電子放出素子の電子放出効
率について説明する。図3に本発明の電子放出素子に電
圧を印加して電子放出をさせた場合の電子放出部付近の
電界分布(等電位線)を示す。比較のために、従来例の
電子放出素子の電子放出部付近の電界分布を図4に示
す。
【0029】図4に示すように、従来例の電子放出素子
では、一旦電子放出部から放出された電子の多くは、素
子電極23あるいは、導電性薄膜24の高電位側に落下
してしまう。これは、図4でハッチングを施した領域4
1では、一旦放出された電子は下向き(高電位側の素子
電極23の方向を向いた)力を受けるためである。この
ことが電子放出効率を低くしてしまう原因の一つとなっ
ている。
【0030】これに対して、本発明の電子放出素子で
は、電界分布が図3のようになっていて、一旦放出され
た電子が高電位側の素子電極方向に力を受ける領域も従
来の表面伝導型電子放出素子に比べて非常に小さくなっ
ている。このため、一旦放出された電子のうち、再び電
子放出素子の高電位側の素子電極に落下してしまう電子
の割合が従来の表面伝導型電子放出素子に比べて非常に
少なくなる。すなわち、本発明の電子放出素子では従来
の電子放出素子にくらべてアノード板に到達する電子の
割合が増える、すなわち、効率が向上することになる。
【0031】なお、本発明の電子放出素子は、図3の極
性を変えても、図4の従来の電子放出素子より効率が向
上するが、改善効果は図3の極性方向がより効率の改善
効果が得られる。これは、高電位側を外側にした場合
(図3)では図に示すように、高電位側を内側にした場
合に比べて、高電位側の導電性薄膜上に落下してしまう
電子が、アノード板に引き上げられるようになる為であ
る。
【0032】
【発明の実施の形態】次に本発明の好ましい実施形態を
示す。
【0033】本発明に係わる表面伝導型電子放出素子の
基本的な構成について説明する。基板11として、石英
ガラス,Na等の不純物含有量を減少したガラス,青板
ガラス,青板ガラスにスパッタ法等により形成したSi
2を積層したガラス基板等及びアルミナ等のセラミッ
クス等があげられる。積層する素子電極12,13の材
料としては導電性を有するものであればどのようなもの
であっても構わず、例えばNi,Cr,Au,Mo,
W,Pt,Ti,Al,Cu,Pd等の金属或は合金及
びPd,Ag,Au,RuO2,Pd-Ag等の金属或は
金属酸化物とガラス等から構成される印刷導体、In2O3-
SnO2等の透明導電体及びポリシリコン等の半導体導体材
料等が挙げられる。
【0034】絶縁層16の厚さは、数nm(ナノメート
ル)より数百μm(マイクロメートル)である。この値
は、絶縁層16の絶縁耐圧、許容する亀裂15の蛇行
幅、等により設定されるが、好ましくは、数十nmより
数μmである。素子電極12,13の膜厚D2,D3は、
電極の抵抗値や多数配置された電子放出素子の配置上の
問題より適宜設計され、通常は数十nmより数μmであ
る。
【0035】また、電子放出部を含む薄膜14の膜厚
は、好ましくは、0.1nmの数倍より数百nmで、特に
好ましくは1nmより50nmであり、素子電極12,
13への濡れ性、電子放出部16と素子電極12、13
間の抵抗値及び、後述する通電処理条件等によって、適
宜設定される。薄膜14の抵抗値は、103より107Ω/□
のシート抵抗値に設定される。
【0036】電子放出部を含む薄膜14を構成する材料
の具体例を挙げるならばPd、Ru、Ag、Au、T
i、In、Cu、Cr、Fe、Zn、Sn、Ta、W、
Pbなどの金属や、PdO、SnO2、In23、Pb
O、Sb23などの酸化物や、HfB2、ZrB2、La
6、CeB6、YB4、GdB4などの硼化物、TiC、
ZrC、HfC、TaC、SiC、WC等の炭化物、T
iN、ZrN、HfNなどの窒化物、Si、Geなどの
半導体、カーボンからなる。
【0037】なおここで述べる微粒子膜とは、複数の微
粒子が集合した膜であり、その微細構造として、微粒子
が個々に分散配置した状態のみならず、微粒子が互いに
隣接、あるいは重なり合った状態(島状も含む)の膜を
さす。微粒子径は、0.1nmの数倍より数百nm、好ま
しくは、1nmより20nmである。電子放出部は、好
ましくは、0.1nmの数倍より数十nm、特に好ましく
は、1nmより50nmの粒径の導電性微粒子多数個か
らなり、電子放出部を含む薄膜14の膜厚及び後述する
通電処理条件等の製法に依存しており、適宜設定され
る。
【0038】電子放出部を有する電子放出素子の製造方
法としては様々な方法が考えられる。その一例を図5に
示す。導電性薄膜は、例えば微粒子膜が挙げられる。そ
の他の番号は図1と同じものに対応する。以下、順をお
って製造方法の説明を図5(a)〜(d)に基づいて説
明する。
【0039】1) 基板11を洗剤、純水および有機溶
剤により十分に洗浄後、真空蒸着法、スパッタ法等によ
り素子電極材料、絶縁層材料を順次堆積後、フォトリソ
グラフィー技術により素子電極12、絶縁膜16を形成
する(図5(a))。
【0040】2) さらに、この上にフォトリソグラフ
ィー等によってパターニングした素子電極13を形成す
る(図5(b))。
【0041】3) 端面17を研磨した後に、この面上
に有機金属溶液を塗布して放置することにより、有機金
属薄膜を形成する。なお、有機金属溶液とは、前述のP
d、Ru、Ag、Au、Ti、In、Cu、Cr、F
e、Zn、Sn、Ta、W、Pb等の金属を主元素とす
る有機化合物の溶液である。この後、有機金属薄膜を加
熱焼成処理し、リフトオフ、エッチング等によりパター
ニングし、導電性薄膜14を形成する(図5(c))。
なお、ここでは、有機金属溶液の塗布法により説明した
が、これに限る物でなく、真空蒸着法、スパッタ法、化
学的気相堆積法、分散塗布法、ディッピング法、スピン
ナー法等によって形成される場合もある。
【0042】4) つづいて、フォーミングと呼ばれる
通電処理を素子電極12、13間に対して行う。これ
は、電圧を不図示の電源によりパルス状あるいは、昇電
圧による通電処理であり、この結果、導電性薄膜14の
部位に構造変化した電子放出部である亀裂15が形成さ
れる(図4(d))。この通電処理により導電性薄膜1
4は局所的に破壊、変形もしくは変質する。
【0043】フォーミング処理以降の電気的処理は、図
6に示す測定評価装置内で行なう。以下に測定評価装置
を説明する。
【0044】図6は、図1で示した構成を有する素子の
電子放出特性を測定するための測定評価装置の概略構成
図である。図6において、11は基体、12及び13は
素子電極、14は電子放出部を含む薄膜、15は電子放
出部を示す。
【0045】また、51は素子に素子電圧Vfを印加す
るための電源、52は素子電極12,13間の電子放出
部を含む薄膜14を流れる素子電流Ifを測定するため
の電流計、18は素子の電子放出部より放出される放出
電流Ieを捕捉するためのアノード電極、53はアノー
ド電極18に電圧を印加するための高圧電源、54は素
子の電子放出部より放出される放出電流Ieを測定する
ための電流計である。電子放出素子の上記の素子電流I
f、放出電流Ieの測定にあたっては、素子電極12、
13に電源51と電流計52とを接続し、該電子放出素
子の上方に電源53と電流計54とを接続したアノード
電極18を配置している。
【0046】尚、排気ポンプは、ターボポンプ、ロータ
リーポンプからなる通常の高真空装置系と、更に、イオ
ンポンプからなる超高真空装置系からなる。また、真空
装置全体及び電子放出素子基板は、不図示のヒーターに
より200度まで加熱できる。
【0047】なお、アノード電極の電圧は1kV〜10
kV、アノード電極と電子放出素子との距離hは2mm
〜8mmの範囲で測定した。
【0048】フォーミング処理は、素子電極間に印加す
る電圧パルスの波高値を一定に保つ場合と素子電極間に
印加する電圧パルスの波高値を増加させながら行う場合
がある。まず、電圧パルスの波高値を一定に保つ場合の
電圧波形の例を図7(a)に示す。
【0049】図7(a)中、T1及びT2は電圧波形のパ
ルス幅とパルス間隔であり、T1は1マイクロ秒〜10
ミリ秒、T2は10マイクロ秒〜100ミリ秒とした。
また、三角波の波高値(フォーミング時のピーク電圧)
は適宜選択し、1.33×10-3Pa(パスカル)程度の真空雰
囲気下で印加した。
【0050】電圧パルス波高値を増加させながら、フォ
ーミングする場合の電圧波形を図7(b)に示す。図7
(b)中、T1及びT2は電圧波形のパルス幅とパルス間
隔であり、T1を1マイクロ秒〜10ミリ秒、T2を1
0マイクロ秒〜100ミリ秒とし、三角波の波高値(フ
ォーミング時のピーク電圧)は、例えば0.1Vステップ
程度づつ増加させた。なお、フォーミング中の真空雰囲
気は1.33×10-3Pa程度に保った。
【0051】フォーミング処理の終了は、パルス間隔T
2中に導電性薄膜14が局所的に破壊、変形しない程度
の電圧、例えば0.1V程度の電圧で、素子電流を測定し
て抵抗値を求め、例えば、1MΩ以上の抵抗を示した
時、フォーミング終了とした。この時の電圧を、フォー
ミング電Vformと呼ぶことにする。
【0052】以上説明したように、フォーミング処理は
素子の電極間に三角波パルスを印加して行っているが、
素子の電極間に印加する波形は三角波に限定することは
なく、矩形波などの波形を用いても良く、その波高値及
びパルス幅・パルス間隔等についても上述値に限ること
なく、電子放出部が良好に形成される様に、導電性薄膜
の抵抗値等にあわせて、所望の値を選択する。
【0053】5) 次に、フォーミング終了した素子に
活性化処理と呼ぶ処理を施す。活性化処理とは、1.33×
10-2〜1.33×10-3Pa程度の圧力で、フォーミング同様、
電圧パルスの波高値が一定のパルスを繰りかえし印加す
る処理のことを言い、真空中に存在する有機物質から、
炭素及び炭素化合物を堆積することで、素子電流If、放
出電流Ieを著しく変化させる処理である。素子電流Ifと
放出電流Ieを測定しながら、例えば、放出電流Ieが飽和
した時点で、活性化処理を終了する。活性化処理の進行
の程度は、装置内の圧力、素子に印加するパルス電圧等
に依存している。この処理によって、フォーミングによ
って、変形、変質した薄膜の近傍の被膜の形成状態が変
化する。
【0054】6) 活性化処理を施した素子には、つづ
いて安定化処理を施すのが望ましい。この処理は電子放
出素子を活性化処理した圧力より低い圧力の真空雰囲気
にし駆動する。また活性化処理した圧力より低い圧力の
真空雰囲気とは、約1.33×10 -4Pa以下の圧力であり、よ
り好ましくは、超高真空系であり、炭素、及び炭素化合
物が新たに、ほぼ堆積しない圧力である。従って、これ
によって、これ以上の炭素及び炭素化合物の堆積を抑制
することが可能となり、素子電流If,放出電流Ieが一定
に安定する。
【0055】上述のような素子構成と製造方法によって
作成された本発明にかかわる電子放出素子の基本特性に
ついて図6、図8を用いて説明する。図6に示した測定
評価装置により測定された放出電流Ieおよび素子電流
Ifと素子電圧Vfの関係の典型的な例を図8に示す。
なお、図8では放出電流Ieは素子電流Ifに比べて著
しく小さいので、任意単位で示されている。
【0056】図8からも明らかなように、本電子放出素
子は放出電流Ieと素子電圧Vfの関係に対して次の三つ
の特性を有する。
【0057】(i) まず第一に、本素子はある電圧
(しきい値電圧と呼ぶ、図8のVth)以上の素子電圧を
印加すると急激に放出電流Ieが増加し、一方しきい値
電圧Vth以下では放出電流Ieがほとんど検出されな
い。すなわち、放出電流Ieに対する明確なしきい値電
圧Vthを持った非線形素子である。
【0058】(ii) 第二に、放出電流Ieが素子電圧
Vfに依存するため、放出電流Ieは素子電圧Vfで制御
できる。
【0059】(iii) 第三に、アノード電極18に捕捉
される放出電荷量は、素子電圧Vfを印加する時間に依
存する。すなわち、アノード電極18に捕捉される電荷
量は、素子電圧Vfを印加する時間により制御できる。
【0060】一方、素子電流Ifは素子電圧Vfに対して
単調に増加する(MI特性と呼ぶ)特性(図8)、また
は、電圧制御型負性抵抗(VCNR特性と呼ぶ)特性(不図
示)を示す場合があるが、これら素子電流の特性は、そ
の製法、および、素子を駆動するときの雰囲気に依存す
る。またVCNR特性を示す境界電圧をVpと呼ぶ。
【0061】更に図9に本発明の電子放出素子の放出電
流Ieの印加電圧依存性と従来例の表面伝導型電子放出素
子の印加電圧依存性を示す。図9から明らかなように、
本発明の表面伝導型電子放出素子では、従来の表面伝導
型電子放出素子に比べて大幅に電子放出効率の改善が認
められた。
【0062】次に、本発明の電子放出素子を用いた画像
形成装置について述べる。本発明の電子放出素子を複数
個基板上に配列して、画像形成装置が構成できる。基板
上の配列の方式には、例えば、前述の表面伝導型電子放
出素子を複数個一方向に配列した素子列を複数列配置
し、個々の素子の両端をそれぞれ配線(行配線と呼ぶ)
にて結線したものを多数配列し、この配線と直交する方
向の配線(列配線と呼ぶ)に該電子放出素子の上方の空
間に設置された制御電極(グリッドと呼ぶ)を配線する
方法、及び、m本のX方向配線の上にn本のY方向配線
を設置し、表面伝導型電子放出素子の一対の素子電極に
それぞれ、X方向配線、Y方向配線を接続した配列法が
あげられる。以後、後者を単純マトリクス配置と呼ぶ。
以下、単純マトリクスについて詳述する。
【0063】本発明にかかわる表面伝導型電子放出素子
は、上述したように、3つの基本的特性の特徴(i)〜
(iii)を備えている。かかる特性によれば、表面伝導
型電子放出素子からの放出電子は、しきい値電圧以上で
は、対向する素子電極間に印加するパルス状電圧の波高
値と巾で制御される。一方、しきい値電圧以下では殆ど
放出されない。従って、多数の電子放出素子を配置した
場合においても、個々の素子に上記パルス状電圧を適宜
印加すれば、入力信号に応じて、表面伝導型電子放出素
子を選択し、その電子放出量が制御出来ることとなる。
【0064】以下この原理に基づき構成した電子源の電
子放出素子基板の構成について、図10を用いて説明す
る。
【0065】m本のX方向配線92は、DX1,DX2,・・
・,DXmからなり、絶縁性基板91上に、真空蒸着法,
印刷法,スパッタ法等で形成し、所望のパターンとした
導電性金属等からなり、多数の表面伝導型素子にほぼ均
等な電圧が供給される様に、材料,膜厚,配線巾が設定
される。
【0066】Y方向配線93は、DY1,DY2,・・・,DY
nのn本の配線よりなり、X方向配線92と同様に、真
空蒸着法,印刷法,スパッタ法等で形成し、所望のパタ
ーンとした導電性金属等からなり、多数の表面伝導型素
子にほぼ均等な電圧が供給される様に、材料,膜厚,配
線巾等が設定される(このm,nは、共に正の整数)。
【0067】これらm本のX方向配線92とn本のY方
向配線93の間は、電気的に分離されて、マトリクス配
線を構成する。
【0068】X方向配線92とY方向配線93、それぞ
れ外部端子として引き出されている。
【0069】更に、表面伝導型電子放出素子94の対向
する電極(不図示)はそれぞれ、X方向配線92とY方
向配線93、及び真空蒸着法,印刷法,スパッタ法等で
形成された導電性金属等からなる結線95を介して電気
的に接続されている。
【0070】ここで、m本のX方向配線92とn本のY
方向配線93と素子電極結線用配線95は、その構成元
素の一部あるいは全部が同一であっても、またそれぞれ
異なってもよく、Ni,Cr,Au,Mo,W,Pt,
Ti,Al,Cu,Pd等の金属、あるいは合金及びP
d,Ag,Au,RuO2,Pd-Ag等の金属、あるい
は金属酸化物とガラス等から構成される印刷導体、In2O
3-SnO2等の透明導体及びポリシリコン等の半導体導体材
料等より適宜選択される。
【0071】また、詳しくは後述するが、前記X方向配
線92には、走査信号を印加するための不図示の走査信
号印加手段と電気的に接続されている。一方、Y方向配
線93には、変調信号を印加するための不図示の変調信
号発生手段と電気的に接続されている。更に、各表面伝
導型電子放出素子に印加される駆動電圧は、当該素子に
印加される走査信号と変調信号の差電圧として供給され
るものである。
【0072】次に、以上のようにして作成した電子放出
素子を用いた表示等にもちいる画像形成装置について図
11と図12を用いて説明する。図11は画像形成装置
の基本構成図であり、図12は蛍光膜を示す図である。
【0073】図11において、101は上述のようにし
て電子放出素子を作製した電子放出素子基板、102は
電子放出素子基板101を固定したリアプレート、10
3はガラス基板104の内面に蛍光膜105とメタルバ
ック106等が形成されたフェースプレート、107は
支持枠であり、リアプレート102、支持枠107及び
フェースプレート103をフリットガラス等を塗布し、
大気中あるいは窒素中で、400〜500度で10分以上焼成す
ることで封着して、外囲器108を構成する。
【0074】図11において、109は図1における電
子放出部に相当する。92,93は表面伝導型電子放出
素子の一対の素子電極と接続されたX方向配線及びY方
向配線である(図10と同様)。また、これら素子電極
への配線は、素子電極と配線材料が同一である場合は、
素子電極と呼ぶ場合もある。外囲器108は、上述の如
く、フェースプレート103,支持枠107,リアプレ
ート102で構成したが、リアプレート102は主に基
板101の強度を補強する目的で設けられるため、基板
101自体で十分な強度を持つ場合は別体のリアプレー
ト102は不要であり、基板101に直接支持枠107
を封着し、フェースプレート103,支持枠107,基
板101にて外囲器108を構成しても良い。
【0075】図11において、蛍光膜105は、モノク
ロームの場合は蛍光体のみから成るが、カラーの蛍光膜
の場合は、蛍光体の配列によりブラックストライプある
いはブラックマトリクスなどと呼ばれる黒色導電材(図
12中の111)と蛍光体(図12中の112)とで構
成される。ブラックストライプ、ブラックマトリクスが
設けられる目的は、カラー表示の場合必要となる三原色
蛍光体の各蛍光体112間の塗り分け部を黒くすること
で混色等を目立たなくすることと、蛍光膜105におけ
る外光反射によるコントラストの低下を抑制することで
ある。ブラックストライプの材料としては、通常良く用
いられている黒鉛を主成分とする材料だけでなく、導電
性があり、光の透過及び反射が少ない材料であればこれ
に限るものではない。ガラス基板104に蛍光体を塗布
する方法はモノクローム、カラーによらず、沈澱法や印
刷法等が用いられる。
【0076】また、蛍光膜105の内面側には通常メタ
ルバック106が設けられる。メタルバックの目的は、
蛍光体の発光のうち内面側への光をフェースプレート1
03側へ鏡面反射することにより輝度を向上すること
と、電子ビーム加速電圧を印加するための電極として作
用すること、外囲器内で発生した負イオンの衝突による
ダメージからの蛍光体の保護等である。メタルバック
は、蛍光膜作製後、蛍光膜の内面側表面の平滑化処理
(通常フィルミングと呼ばれる)を行い、その後Alを
真空蒸着等で堆積することで作製できる。
【0077】フェースプレート103には、更に蛍光膜
105の導電性を高めるため、蛍光膜105の外面側に
透明電極(不図示)を設けてもよい。前述の封着を行う
際、カラーの場合は各色蛍光体と電子放出素子とを対応
させなくてはいけないため、十分な位置合わせを行なう
必要がある。
【0078】外囲器108は、不図示の排気管を通じ、
1.33×10-4Pa程度の圧力にされ、封止が行われる。尚、
不図示の排気管を通じ、例えばロータリーポンプ、ター
ボポンプをポンプ系とする様な通常の真空装置系で、1.
33×10-4Pa程度の圧力中で、容器外端子Dox1ないしDo
xmとDoy1ないしDoynを通じ素子電極92,93間に電
圧を印加し、上述のフォーミングを行った後、活性化処
理をし、電子放出部109を形成し電子放出素子を作製
した。その後、80度〜250度、好ましくは150度以上でベ
ーキングをできるだけ長時間行いながら、例えば、イオ
ンポンプ等のポンプ系とする超高真空装置系にきりかえ
る。超高真空系の切り替え、及びベーキングは、前述の
安定化処理のためであり、その方法、条件は、これに限
るものでない。
【0079】また、外囲器108の封止後の圧力を維持
するために、ゲッター処理を行なう場合もある。これ
は、外囲器108の封止を行う直前あるいは封止後に、
抵抗加熱あるいは高周波加熱等の加熱法により、外囲器
108内の所定の位置(不図示)に配置されたゲッター
を加熱し、蒸着膜を形成する処理である。ゲッターは通
常Ba等が主成分であり、該蒸着膜の吸着作用により、
たとえば1.33×10-3ないし1.33×10-5Paの圧力を維持す
るものである。
【0080】以上のように完成した本発明の画像表示装
置において、各電子放出素子には、容器外端子Dox1な
いしDoxm、Doy1ないしDoynを通じ、電圧を印加し
て、電子放出させた。また、高圧端子Hvを通じ、メタ
ルバック106、あるいは透明電極(不図示)に数kV
以上の高圧を印加し、放出された電子ビームを加速し、
蛍光膜105に衝突させ、励起・発光させることで画像
を表示するものである。
【0081】以上述べた構成は、表示等に用いられる好
適な画像形成装置を作製する上で必要な概略構成であ
り、例えば各部材の材料等詳細な部分は上述内容に限ら
れるものではなく、画像装置の用途に適するよう適宜選
択する。
【0082】
【実施例】以下に、実施例をあげて、本発明をさらに詳
述する。
【0083】[実施例1]本発明にかかわる基本的な表
面伝導型電子放出素子の構成は、図1の断面図と同様で
ある。尚、図13に示すように、基板11上には同一形
状の素子が4個形成されている。本発明に係わる表面伝
導型電子放出素子の製造法は、基本的には図5と同様で
ある。以下、図1,図5,図13を用いて、本発明に関
わる素子の基本的な構成及び製造方法を説明する。
【0084】本実施例の各表面伝導型電子放出素子は、
図1に示す構成と同様に、基板11、素子電極12,1
3、電子放出部を含む薄膜14、後述のフォーミング工
程によって形成された電子放出部である亀裂15であ
り、絶縁膜16を備えている。
【0085】(工程−a)清浄化した青板ガラス上に素
子電極12のパターンをフォトレジストで形成した後
に、真空蒸着法により厚さ5nmのTi、厚さ100n
mのNiを順次堆積して、素子電極12を形成した。そ
の後、厚さ1μmのシリコン酸化膜をスパッタ法で形成
して絶縁膜16を形成し、さらに、その上に素子電極1
3を真空蒸着法により形成した(図5(a),
(b))。なお、絶縁膜16、素子電極のパターニング
もフォトレジストにより行った。ここでW1(図13)
は300μmとした。
【0086】(工程−b)続いて、端面17をアルミナ
粉により、研磨して平滑面を形成した。その後、その上
に有機Pd(ccp4230奥野製薬(株)社製)をス
ピンナーにより回転塗布、300℃で10分間の加熱焼
成処理をして導電性薄膜14を形成した(図5
(c))。また、こうして形成された主として酸化パラ
ジウムよりなる微粒子からなる導電性薄膜(後述のフォ
ーミング工程後は電子放出部を含む薄膜と呼ぶ)14の
膜厚は10nm、シート抵抗値は2×104Ω/□であ
った。なおここで述べる微粒子膜とは、上述したよう
に、複数の微粒子が集合した膜であり、その微細構造と
して、微粒子が個々に分散配置した状態のみならず、微
粒子が互いに隣接、あるいは、重なり合った状態(島状
も含む)の膜をさし、その粒径とは、前記状態で粒子形
状が認識可能な微粒子ついての径をいう。
【0087】(工程−c)次に、図6の測定評価装置に
設置し、真空ポンプにて排気し2.66×10-3Paの圧力に達
した後、素子に素子電圧Vfを印加するための電源51
より、素子電極12、13間にそれぞれ電圧を印加し、
通電処理(フォーミング処理)を行った。フォーミング
処理の電圧波形を図7(b)に示す。図7(b)中、T
1及びT2は電圧波形のパルス幅とパルス間隔であり、本
実施例ではT1を1ミリ秒、T2を10ミリ秒とし、三角
波の波高値(フォーミング時のピーク電圧)は0.1Vス
テップで昇圧し、フォーミング処理を行なった。また、
フォーミング処理中は、同時に、0.1Vの電圧で、T2間
に抵抗測定パルスを挿入し、抵抗を測定した。尚フォー
ミング処理の終了は、抵抗測定パルスでの測定値が、約
1MΩ以上になった時とし、同時に、素子への電圧の印
加を終了した。素子のフォーミング電圧は、5.0V程度
であった。
【0088】(工程−d)続いて、フォーミング処理し
た素子に、上記工程−cにおけるT2と同じ周期でパル
ス幅T1の矩形波を印加して活性化処理を行った。ここ
で、矩形波の波高値を14Vとした。なお、この時、図
6の測定評価装置内の圧力は2.0×10-3Paであった。約3
0分で活性化処理を終了した。こうして、電子放出部を
形成し電子放出素子を作製した。
【0089】前述の工程で作製した表面伝導電子放出素
子の特性を把握するために、その電子放出特性の測定を
上述の図6の測定評価装置を用いて行った。
【0090】なお、アノード電極と電子放出素子間の距
離を5mmとし、アノード電極の電位を5kV、電子放
出特性測定時の真空装置内の圧力を1.33×10-3Paとし
た。電極12,13の間に素子電圧を16V印加して、
その時に流れる素子電流If及び放出電流Ieを測定した。
どの素子ともに、測定初期より安定した素子電流If、放
出電流Ieが観測された。
【0091】はじめに、素子電極に加える電圧を変えな
がら放出電流を測定した。この結果を図9に示す。素子
電圧16Vで素子電流Ifが0.8ミリアンペア、放出電流
は8マイクロアンペアであったので電子放出効率はおよ
そ1.0%となった。
【0092】従来例の素子においては、Ifが0.8ミリア
ンペア、Ieが0.8マイクロアンペアと測定され、効率は
0.1%であった。
【0093】以上より、本発明の素子は、従来例の素子
に比べて最大で10倍程度の高い電子放出効率を示したこ
とになる。つまり、本発明の素子では、一旦、真空中に
放出された電子が再び高電位側の素子電極に引き込まれ
ずにアノード板に到達したものと考えられる。
【0094】[実施例2]本実施例は第1の実施例の電
子放出素子を単純マトリクス配置した画像形成装置の例
である。画像形成装置の構成は図11に示した画像形成
装置の構成を同じである。本実施例においては、第一の
実施例の電子放出素子が、短冊上の基板に図11のよう
に、多数個並べられていて、しかも、共通のx方向配線
を持っている。また、短冊状の基板は基体101上にほ
ぼ、垂直方向に立てられている。
【0095】次に製造方法を工程順に従って図5、図1
1、図13を用いて具体的に説明する。
【0096】(工程−a)清浄化した青板ガラス上に素
子電極12のパターンをフォトレジストで形成した後
に、真空蒸着法により厚さ5nmのTi、厚さ100n
mのNiを順次堆積して、素子電極12を形成した。そ
の後、厚さ1μmのシリコン酸化膜をスパッタ法で形成
して絶縁膜16を形成し、さらに、その上に素子電極1
3を真空蒸着法により形成した(図5(a),
(b))。なお、絶縁膜16、素子電極のパターニング
もフォトレジストにより行った。ここでW1(図13)
は300μmとした。
【0097】(工程−b)続いて、端面17をアルミナ
粉により、研磨して平滑面を形成した。その後、その上
に有機Pd(ccp4230奥野製薬(株)社製)をス
ピンナーにより回転塗布、300℃で10分間の加熱焼
成処理をして導電性薄膜14を形成した(図5
(c))。また、こうして形成された主として酸化パラ
ジウムよりなる微粒子からなる導電性薄膜14の膜厚は
10nm、シート抵抗値は2×104Ω/□であった。
なお ここで述べる微粒子膜とは、上述したように、複
数の微粒子が集合した膜であり、その微細構造として、
微粒子が個々に分散配置した状態のみならず、微粒子が
互いに隣接、あるいは、重なり合った状態(島状も含
む)の膜をさし、その粒径とは、前記状態で粒子形状が
認識可能な微粒子ついての径をいう。
【0098】(工程−c)一方、長さ500mm、幅3
00mmの大面積の絶縁性基体101にダイシングソー
によって幅310μm、深さ1mmの溝部を多数本形成
した。
【0099】(工程−d)次に、スクリーン印刷法によ
って絶縁性基板101上に厚さ2μm、幅100μmの
Y方向配線93を形成した。
【0100】(工程−e)ここで、工程−bによって作
られた短冊状電子放出素子を大面積基体101の溝部に
差し込むことによって順次ならべていった。このとき、
短冊状基板11に設けられた電極12と大面積基体10
1上の電極93との電気的な接触を得るために少量のハ
ンダを用いた。さらに、ところどころの短冊状基板11
の裏側に、フェースプレート108を基体101に対し
て支えるためのスペーサとなる絶縁性基板(不図示)を配
置させた。このスペーサの数は支えるフェースプレート
の厚さ、面積等によって適宜決定される。本実施例では
短冊状絶縁性基板11が20本に対して1本の割合でス
ペーサを配した。
【0101】(工程−f)以上のようにして、多数の短
冊状基板11を組み込んだ絶縁性基体101をリアプレ
ート102上に固定した後、絶縁性基体101に対向す
るように、フェースプレート108(ガラス基板104
の内面に蛍光膜105とメタルバック106が形成され
て構成される)を支持枠107を介し配置し、フェース
プレート103、支持枠107、絶縁性基体101の接
合部にフリットガラスを塗布し、大気中あるいは窒素雰
囲気中で400℃ないし500℃で10分以上焼成する
ことで封着した。またリアプレート102への基体10
1の固定もフリットガラスで行った。
【0102】蛍光膜105は、モノクロームの場合は蛍
光体のみから成るが、本実施例では蛍光体はストライプ
形状を採用し、先にブラックストライプを形成し、その
間隙部に各色蛍光体を塗布し、蛍光膜105を作製し
た。ブラックストライプの材料として通常良く用いられ
ている黒鉛を主成分とする材料を用いたガラス基板10
4に蛍光体を塗布する方法はスラリー法を用いた。ま
た、蛍光膜105の内面側には通常メタルバック106
が設けられる。メタルバックは、蛍光膜作製後、蛍光膜
の内面側表面の平滑化処理(通常フィルミングと呼ばれ
る)を行い、その後、Alを真空蒸着することで作製し
た。フェースプレート103には、更に蛍光膜105の
導電性を高めるため、蛍光膜105の外面側に透明電極
(不図示)が設けられる場合もあるが、本実施例では、
メタルバックのみで十分な導電性が得られたので省略し
た。前述の封着を行う際、カラーの場合は各色蛍光体と
電子放出素子とを対応させなくてはいけないため、十分
な位置合わせを行った。
【0103】(工程−g)以上のようにして完成したガ
ラス容器内の雰囲気を排気管(図示せず)を通じ真空ポ
ンプにて排気し、十分低い圧力に達した後、容器外端子
Dx1ないしDxmとDy1ないしDynを通じ電子放出素子の
電極12、13間に電圧を印加し、導電性薄膜14を通
電処理(フォーミング処理)することにより、電子放出
部を作成した。フォーミング処理の電圧波形を図7に示
す。図7中、T1及びT2は電圧波形のパルス幅とパルス
間隔であり、本実施例ではT1を1ミリ秒、T2を10ミ
リ秒とし、三角波の波高値(フォーミング時のピーク電
圧)は5Vとし、フォーミング処理は約1.33×10-4Paの
真空雰囲気下で60秒間行った。このように作成された
電子放出部は、パラジウム元素を主成分とする微粒子が
分散配置された状態となり、その微粒子の平均粒径は3
nmであった。
【0104】(工程−h)次に、1.33×10-4Pa程度の圧
力で、不図示の排気管をガスバーナーで熱することで溶
着し外囲器の封止を行った。
【0105】(工程−i)最後に封止後の圧力を維持す
るために、ゲッター処理を行った。これは、封止を行う
直前に、高周波加熱等の加熱法により、画像形成装置内
の所定の位置(不図示)に配置されたゲッターを加熱
し、蒸着膜を形成処理した。ゲッターはBa等を主成分
とした。
【0106】以上のように完成した本発明の画像表示装
置において、各電子放出素子には、容器外端子Dx1ない
しDxm,Dy1ないしDynを通じ、走査信号及び変調信号
を不図示の信号発生手段よりそれぞれ印加することによ
り、電子放出させ、高圧端子Hvを通じ、メタルバック
106に数kV以上の高圧を印加し、電子ビームを加速
し、蛍光膜105に衝突させ、励起・発光させることで画
像を表示した。
【0107】[実施例3]本実施例は、短冊状の絶縁性
基板11の上になるべく多数個の電子放出素子を並べ
て、短冊状絶縁性基板の数を減らすように工夫を行った
ものである。電子放出素子の構成、製法、および、電子
放出特性は前記の実施例とほとんど同じであるので本実
施例に於いては、前記実施例とは異なる部分についての
み、記述することにする。
【0108】図14は本発明の第三の実施例を表わす構
成図で、電子放出素子の断面方向から見た図である。本
構成に於いては短冊状の絶縁性基板131の両面に表面
伝導型電子放出素子の素子電極132,133,13
4,135、層間絶縁膜136,137が形成されてい
る。また、これらの面と直交する端面には共通の導電性
薄膜138が形成されていて、実施例1と同様の方法に
よって亀裂部139、140が形成されている。この亀
裂部にそれぞれ、電子放出部が存在するものと考えられ
る。
【0109】[実施例4]図15は、前記説明の表面伝
導型電子放出素子を電子ビーム源として用いたディスプ
レイパネルに、例えばテレビジョン放送をはじめとする
種々の画像情報源より提供される画像情報を表示できる
ように構成した表示装置の一例を示すための図である。
【0110】図中、300はディスプレイパネル、30
1はディスプレイパネルの駆動回路、302はディスプ
レイコントローラ、303はマルチプレクサ、304は
デコーダ、305は入出力インターフェース回路、30
6はCPU、307は画像生成回路、308および30
9および310は画像メモリインターフェース回路、3
11は画像入力インターフェース回路、312および3
13はTV信号受信回路、314は入力部である。な
お、本表示装置は、たとえばテレビジョン信号のように
映像情報と音声情報の両方を含む信号を受信する場合に
は、当然映像の表示と同時に音声を再生するものである
が、本発明の特徴と直接関係しない音声情報の受信、分
離、再生、処理、記憶などに関する回路やスピーカーな
どについては説明を省略する。
【0111】以下、画像信号の流れに沿って各部の機能
を説明する。
【0112】まず、TV信号受信回路313は、たとえ
ば電波や空間光通信などのような無線伝送系を用いて伝
送されるTV画像信号を受信する為の回路である。受信
するTV信号の方式は特に限られるものではなく、たと
えば、NTSC方式,PAL方式,SECAM方式など
の諸方式でもよい。また、これらよりさらに多数の走査
線よりなるTV信号(例えばMUSE方式をはじめとす
るいわゆる高品位TV)は、大面積化や大画素数化に適
した前記ディスプレイパネルの利点を生かすのに好適な
信号源である。TV信号受信回路313で受信されたT
V信号は、デコーダ304に出力される。TV信号受信
回路312は、たとえば同軸ケーブルや光ファイバーな
どのような有線伝送系を用いて伝送されるTV画像信号
を受信するための回路である。
【0113】前記TV信号受信回路313と同様に、受
信するTV信号の方式は特に限られるものではなく、ま
た本回路で受信されたTV信号もデコーダ304に出力
される。画像入力インターフェース回路311は、たと
えばTVカメラや画像読み取りスキャナーなどの画像入
力装置から供給される画像信号を取り込むための回路
で、取り込まれた画像信号はデコーダ304に出力され
る。
【0114】画像メモリーインターフェース回路310
は、ビデオテープレコーダー(以下VTRと略す)に記
憶されている画像信号を取り込むための回路で、取り込
まれた画像信号はデコーダ304に出力される。画像メ
モリーインターフェース回路309は、ビデオディスク
に記憶されている画像信号を取り込むための回路で、取
り込まれた画像信号はデコーダ304に出力される。画
像メモリーインターフェース回路308は、いわゆる静
止画ディスクのように、静止画像データを記憶している
装置から画像信号を取り込むための回路で、取り込まれ
た静止画像データはデコーダ304に入力される。
【0115】入出力インターフェース回路305は、本
表示装置と、外部のコンピュータもしくはコンピュータ
ネットワークもしくはプリンターなどの出力装置とを接
続するための回路である。画像データや文字・図形情報
の入出力を行うのはもちろんのこと、場合によっては本
表示装置の備えるCPU306と外部との間で制御信号
や数値データの入出力などを行うことも可能である。
【0116】画像生成回路307は、前記入出力インタ
ーフェース回路305を介して外部から入力される画像
データや文字・図形情報や、あるいはCPU306より
出力される画像データや文字・図形情報にもとずき表示
用画像データを生成するための回路である。
【0117】本回路の内部には、たとえば画像データや
文字・図形情報を蓄積するための書き換え可能メモリー
や、文字コードに対応する画像パターンが記憶されてい
る読み出し専用メモリや、画像処理を行うためのプロセ
ッサなどをはじめとして画像の生成に必要な回路が組み
込まれている。
【0118】本回路により生成された表示用画像データ
は、デコーダ304に出力されるが、場合によっては前
記入出力インターフェース回路305を介して外部のコ
ンピュータネットワークやプリンターに出力することも
可能である。
【0119】また、CPU306は、主として本表示装
置の動作制御や、表示画像の生成や選択や編集に関わる
作業を行う。例えば、マルチプレクサ303に制御信号
を出力し、ディスプレイパネルに表示する画像信号を適
宜選択したり組み合わせたりする。
【0120】また、その際には表示する画像信号に応じ
てディスプレイパネルコントローラ302に対して制御
信号を発生し、画面表示周波数や走査方法(たとえばイ
ンターレースかノンインターレースか)や一画面の走査
線の数など表示装置の動作を適宜制御する。また、前記
画像生成回路307に対して画像データや文字・図形情
報を直接出力したり、あるいは前記入出力インターフェ
ース回路305を介して外部のコンピュータやメモリを
アクセスして画像データや文字・図形情報を入力する。
なお、CPU306は、むろんこれ以外の目的の作業に
も関わるものであって良い。例えば、パーソナルコンピ
ュータやワードプロセッサなどのように、情報を生成し
たり処理する機能に直接関わっても良い。あるいは、前
述したように入出力インターフェース回路305を介し
て外部のコンピュータネットワークと接続し、たとえば
数値計算などの作業を外部機器と協同して行っても良
い。入力部314は、前記CPU306に使用者が命令
やプログラム、あるいはデータなどを入力するためのも
のであり、例えばキーボードやマウスのほか、ジョイス
ティック,バーコードリーダー,音声認識装置など多様
な入力機器を用いることが可能である。
【0121】また、デコーダ304は、前記画像生成回
路307ないしTV信号受信回路313より入力される
種々の画像信号を3原色信号、または輝度信号とI信
号、Q信号に逆変換するための回路である。なお、同図
中に点線で示すように、デコーダ304は内部に画像メ
モリを備えるのが望ましい。これは、たとえばMUSE
方式をはじめとして、逆変換するに際して画像メモリを
必要とするようなテレビ信号を扱うためである。また、
画像メモリを備えることにより、静止画の表示が容易に
なる、あるいは前記画像生成回路307およびCPU3
06と協同して画像の間引き,補間,拡大,縮小,合成
をはじめとする画像処理や編集が容易に行えるようにな
るという利点が生まれるからである。
【0122】マルチプレクサ303は、前記CPU30
6より入力される制御信号に基づき表示画像を適宜選択
するものである。すなわち、マルチプレクサ303はデ
コーダ304から入力される逆変換された画像信号のう
ちから所望の画像信号を選択して駆動回路301に出力
する。その場合には、一画面表示時間内で画像信号を切
り替えて選択することにより、いわゆる多画面テレビの
ように、一画面を複数の領域に分けて領域によって異な
る画像を表示することも可能である。
【0123】ディスプレイパネルコントローラ302
は、前記CPU306より入力される制御信号に基づき
駆動回路301の動作を制御するための回路である。ま
ず、ディスプレイパネルの基本的な動作に関わるものと
して、たとえばディスプレイパネルの駆動用電源(図示
せず)の動作シーケンスを制御するための信号を駆動回
路301に対して出力する。また、ディスプレイパネル
の駆動方法に関わるものとして、例えば画面表示周波数
や走査方法(例えばインターレースかノンインターレー
スか)を制御するための信号を駆動回路301に対して
出力する。また、場合によっては表示画像の輝度やコン
トラストや色調やシャープネスといった画質の調整に関
わる制御信号を駆動回路301に対して出力する場合も
ある。
【0124】駆動回路301は、ディスプレイパネル3
00に印加する駆動信号を発生するための回路であり、
前記マルチプレクサ303から入力される画像信号と、
前記ディスプレイパネルコントローラ302より入力さ
れる制御信号に基づいて動作するものである。
【0125】以上、各部の機能を説明したが、図15に
例示した構成により、本表示装置においては多様な画像
情報源より入力される画像情報をディスプレイパネル3
00に表示することが可能である。すなわち、テレビジ
ョン放送をはじめとする各種の画像信号はデコーダ30
4において逆変換された後、マルチプレクサ303にお
いて適宜選択され、駆動回路301に入力される。
【0126】一方、ディスプレイコントローラ302
は、表示する画像信号に応じて駆動回路301の動作を
制御するための制御信号を発生する。駆動回路301
は、上記画像信号と制御信号に基づいてディスプレイパ
ネル300に駆動信号を印加する。これにより、ディス
プレイパネル300において画像が表示される。これら
の一連の動作は、CPU306により統括的に制御され
る。
【0127】また、本表示装置においては、前記デコー
ダ304に内蔵する画像メモリや、画像生成回路307
および情報の中から選択したものを表示するだけでな
く、表示する画像情報に対して、たとえば拡大,縮小,
回転,移動,エッジ強調,間引き,補間,色変換,画像
の縦横比変換などをはじめとする画像処理や、合成,消
去,接続,入れ換え,はめ込みなどをはじめとする画像
編集を行うことも可能である。また、本実施例の説明で
は特に触れなかったが、上記画像処理や画像編集と同様
に、音声情報に関しても処理や編集を行なうための専用
回路を設けても良い。
【0128】従って、本表示装置は、テレビジョン放送
の表示機器,テレビ会議の端末機器,静止画像および動
画像を扱う画像編集機器,コンピュータの端末機器,ワ
ードプロセッサをはじめとする事務用端末機器,ゲーム
機などの機能を一台で兼ね備えることが可能で、産業用
あるいは民生用として極めて応用範囲が広い。
【0129】なお、上記図15は、表面伝導型放出素子
を電子ビーム源とするディスプレイパネルを用いた表示
装置の構成の一例を示したにすぎず、これのみに限定さ
れるものでないことは言うまでもない。たとえば、図1
5の構成要素のうち使用目的上必要のない機能に関わる
回路は省いても差し支えない。またこれとは逆に、使用
目的によってはさらに構成要素を追加しても良い。例え
ば、本表示装置をテレビ電話機として応用する場合に
は、テレビカメラ,音声マイク,照明機,モデムを含む
送受信回路などを構成要素に追加するのが好適である。
【0130】本表示装置においては、とりわけ表面伝導
型電子放出素子を電子ビーム源とするディスプレイパネ
ルの薄形化が容易なため、表示装置の奥行きを小さくす
ることができる。それに加えて、表面伝導型電子放出素
子を電子ビーム源とするディスプレイパネルは大画面化
が容易で輝度が高く視野角特性にも優れるため、本表示
装置は臨場感にあふれ迫力に富んだ画像を視認性良く表
示することが可能である。
【0131】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
基体上に二層の素子電極を絶縁膜を挟んで積層し、積層
した面とは直角方向の基体端面に導電性薄膜を形成した
電子放出素子によって、電子放出位置が正確に制御で
き、さらに安価に製造できるようになった。また、この
ような構造を用いることによってに電子放出効率を上げ
ることが可能になった。
【0132】さらには、入力信号に応じて電子を放出す
る電子放出素子であって、上記の電子放出素子を、基体
上に、複数個配置した電子源にあっては、電子放出位置
が正確に制御できるのでより高精細化ができ、安価に製
造でき、電子放出効率がより向上した電子源とすること
が可能になった。
【0133】上記電子源としては、上記電子放出素子を
複数個一方向に配列した素子列を複数列配置し、個々の
素子の両端をそれぞれ配線(行配線)にて結線したもの
を多数配列し、この配線と直交する方向の配線(列配
線)に該電子放出素子の上方の空間に設置された制御電
極(グリッド)を配線する方法、及び、m本のX方向配
線の上にn本のY方向配線を設置し、表面伝導型電子放
出素子の一対の素子電極にそれぞれ、X方向配線、Y方
向配線を接続した配列法を取ることができ、安定で、か
つ、歩留まりよく作成できるようになる。また、効率の
向上により、消費電力が少なく周辺回路等の負担も軽減
され安価な装置が提供できる。さらに、電子放出位置が
正確に制御できるようになったので、高解像度の電子源
が製造できるようになった。
【0134】また、本発明の画像形成装置においては、
入力信号に基づいて、画像を形成する装置であり、少な
くとも、画像形成部材と前記電子放出素子より構成され
たことを特徴とする画像形成装置であるため、安定で制
御された電子放出特性と効率の向上がなされ、例えば蛍
光体を画像形成部材とする画像形成装置においては、低
電流、低消費電力で明るい高品位な画像形成装置、例え
ば、カラーフラットテレビが実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる表面伝導型電子放出素子の基本
構成図である。
【図2】従来の表面伝導型電子放出素子の基本構成図で
ある。
【図3】本発明に係わる表面伝導型電子放出素子の電子
放出の原理を説明する図である。
【図4】従来の表面伝導型電子放出素子の電子放出の原
理を説明する図である。
【図5】本発明に係わる表面伝導型電子放出素子の基本
的な製造方法を示す図である。
【図6】本発明に係わる表面伝導型電子放出素子の基本
的な測定評価装置を示す図である。
【図7】本発明に係わる表面伝導型電子放出素子の通電
伝処理の電圧波形を示す図である。
【図8】本発明に係わる表面伝導型電子放出素子の基本
的な特性を示す図である。
【図9】本発明に係わる表面伝導型電子放出素子の基本
的な特性を示す図である。
【図10】本発明の電子源の電子放出素子のマトリクス
構成図である。
【図11】本発明の画像形成装置の構成を示す図であ
る。
【図12】上記画像形成装置に用いる蛍光膜の説明図で
ある。
【図13】本発明の電子放出素子の斜視図である。
【図14】実施例3の電子放出素子の基本的構成図であ
る。
【図15】実施例4の表示装置のブロック図である。
【図16】従来の表面伝導型電子放出素子の基本構成図
である。
【符号の説明】
11 基板、 12,13 素子電極、 14 導電性
薄膜、15 電子放出部(亀裂)、 16 絶縁膜、
17 端面、18 アノード板、 21 基板、 2
2,23 素子電極、25 導電性薄膜、 24 電子
放出部(亀裂)、31,41 放出電子が素子電極方向
の力を受ける領域、51 電源、 52,54 電流
計、 53 高圧電源、 92 X方向配線、93 Y方
向配線、 101 絶縁性基体、 102 リアプレー
ト、103 フェースプレート、 104 ガラス基
板、 105 蛍光膜、106 メタルバック、 10
7 支持枠、 108 外囲器、109 電子放出部、
111 黒色導電体、 112 蛍光体、131 基
板、 132,133,134,135 素子電極、1
36,137 絶縁膜、 138 導電性薄膜、13
9,140 電子放出部(亀裂)、 300 ディスプ
レイパネル、301 駆動回路、 302 ディスプレ
イコントローラ、303 マルチプレクサ、 304
デコーダ、305 入出力インターフェース回路、 3
06 CPU、307 画像生成回路、308,30
9,310 画像メモリインターフェース回路、311
画像入力インターフェース回路、 312,313
TV信号受信回路、314 入力部、 201 絶縁性基
板、 202 導電性薄膜、203 電子放出部、 2
04 導電性薄膜。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体上に第1の素子電極と第2の素子電
    極とが絶縁層を挟んで積層され、前記第1及び第2の素
    子電極の積層された面と垂直方向の面上に導電性薄膜が
    形成されてなる電子放出素子であって、 前記第1の素子電極、前記絶縁層、前記第2の素子電極
    は前記基体の端縁まで形成され、該端縁側の前記第1の
    素子電極、前記絶縁層、前記第2の素子電極の側面には
    前記導電性薄膜が延長されて形成されてなり、 前記第1の素子電極と前記第2の素子電極との間の前記
    導電性薄膜に電子放出部が形成されてなる電子放出素
    子。
  2. 【請求項2】 基体の第1の面上及びこの第1面と対向
    する第2の面上にそれぞれ第1の素子電極と第2の素子
    電極とが絶縁層を挟んで積層され、前記第1及び第2の
    面と垂直方向の面上に導電性薄膜が形成されてなる電子
    放出素子であって、 前記第1及び第2の面上にそれぞれ積層された第1の素
    子電極、前記絶縁層、前記第2の素子電極は、前記第1
    及び第2の面の同一方向の端縁までそれぞれ形成され、
    前記第1及び第2の面の同一方向の端縁側の前記第1の
    素子電極、前記絶縁層、前記第2の素子電極の側面には
    それぞれ前記導電性薄膜が延長されて形成されてなり、 前記第1及び第2の面上にそれぞれ積層された前記第1
    の素子電極と前記第2の素子電極との間の前記導電性薄
    膜に電子放出部が形成されてなる電子放出素子。
  3. 【請求項3】 前記電子放出素子は表面伝導型電子放出
    素子であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載
    の電子放出素子。
  4. 【請求項4】 入力信号に応じて電子を放出する電子放
    出素子であって、請求項1〜3のいずれかの請求項に記
    載の電子放出素子を、基体上に複数個配置したことを特
    徴とする電子源。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の電子源において、 前記基体は短冊状基体であって、前記短冊状基体の長手
    方向に請求項1〜3のいずれかの請求項に記載の電子放
    出素子が複数個配置され、各電子放出素子の一方の素子
    電極は前記短冊状基体に設けられた共通の配線に接続さ
    れてなり、 前記短冊状基体は、別の基体に電子放出部がマトリクス
    状に配されるように前記長手方向と垂直方向に複数個配
    列されており、各短冊状基体の同一配列順の電子放出素
    子の他方の素子電極が前記別の基体に設けられた配線群
    に電気的に接続されてなることを特徴とする電子源。
  6. 【請求項6】 請求項4又は請求項5に記載の電子源
    と、該電子源からの電子線の照射により画像を形成する
    画像形成部材と、を有することを特徴とする画像形成装
    置。
JP7801696A 1996-03-29 1996-03-29 電子放出素子、電子源及び画像形成装置 Pending JPH09265897A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7801696A JPH09265897A (ja) 1996-03-29 1996-03-29 電子放出素子、電子源及び画像形成装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7801696A JPH09265897A (ja) 1996-03-29 1996-03-29 電子放出素子、電子源及び画像形成装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09265897A true JPH09265897A (ja) 1997-10-07

Family

ID=13650009

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7801696A Pending JPH09265897A (ja) 1996-03-29 1996-03-29 電子放出素子、電子源及び画像形成装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09265897A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6384542B2 (en) 1999-12-08 2002-05-07 Canon Kabushiki Kaisha Electron-emitting apparatus and image-forming apparatus

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6384542B2 (en) 1999-12-08 2002-05-07 Canon Kabushiki Kaisha Electron-emitting apparatus and image-forming apparatus

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3416266B2 (ja) 電子放出素子とその製造方法、及び該電子放出素子を用いた電子源及び画像形成装置
JP3072825B2 (ja) 電子放出素子、電子源、及び、画像形成装置の製造方法
US6348761B1 (en) Electron beam apparatus and image-forming apparatus
EP0725414B1 (en) Electron beam apparatus and method of driving the same
JPH08315723A (ja) 電子線発生装置、及び、それを用いた画像形成装置
KR100209046B1 (ko) 전자 소스 및 화상 형성 장치
JP3062987B2 (ja) 電子源及び画像形成装置の製法
JP3402751B2 (ja) 電子源と、その製造方法及び該電子源を用いた画像形成装置
JP3416261B2 (ja) 電子源のフォーミング方法
JP3287699B2 (ja) 電子線装置と画像形成装置
JP3472016B2 (ja) マルチ電子ビーム源の駆動回路及びそれを用いた画像形成装置
JP3320182B2 (ja) 電子放出素子及びこれを用いた電子源、画像形成装置
JPH09265897A (ja) 電子放出素子、電子源及び画像形成装置
JP3673667B2 (ja) 電子放出素子、電子源、及び画像形成装置
JP3517474B2 (ja) 電子線発生装置及び画像形成装置
JP3320245B2 (ja) 電子放出素子、それを用いた電子源、画像形成装置及びこれらの製造方法
JP3332576B2 (ja) マルチ冷陰極電子源とその駆動方法及び画像表示装置
JP2961500B2 (ja) 表面伝導型電子放出素子、電子源及び画像形成装置の製造方法
JPH0927273A (ja) 電子放出素子、電子源、及びこれを用いた画像形成装置とそれらの製造方法
JP3728271B2 (ja) 電子放出素子及び電子源及び画像形成装置の製造方法
JPH09265894A (ja) 電子放出素子及びこれを用いた画像形成装置
JPH09330647A (ja) 電子放出素子、該電子放出素子を用いた電子源、該電子源を用いた画像形成装置及び該電子放出素子の製造方法
JP3372689B2 (ja) 電子ビーム発生装置および画像表示装置
JPH0831306A (ja) 電子放出素子、電子源、及びそれを用いた画像形成装置と、それらの製造方法
JPH1064406A (ja) 電子放出素子及び画像形成装置