JP3287119B2 - シリカ系絶縁膜形成用塗布液 - Google Patents

シリカ系絶縁膜形成用塗布液

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JP3287119B2
JP3287119B2 JP16155994A JP16155994A JP3287119B2 JP 3287119 B2 JP3287119 B2 JP 3287119B2 JP 16155994 A JP16155994 A JP 16155994A JP 16155994 A JP16155994 A JP 16155994A JP 3287119 B2 JP3287119 B2 JP 3287119B2
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敏 田口
孝 中田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体基板,金属板,
ガラス板,セラミックス板などの基板上にシリカ系絶縁
膜を形成するための塗布液に関する。更に詳しくは、本
発明は、多層配線を形成する際、微細パターンの形成さ
れた下層配線の段差を平坦化することができるシリカ系
絶縁膜形成用塗布液に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、超LSIの高集積化に伴ない、多
層配線技術に関する要求がますます高度なものとなって
きた。すなわち、パターン間の溝は狭くなり、かつ素子
表面の凹凸は大きくなっており、多層配線を行う場合
に、下部配線(及び絶縁膜など)で形成された素子表面
凹凸が大きいと上部配線パターンの正確な形成か妨げら
れる。このため素子表面の凹凸をなくす平担化処理が必
須となってきた。このような観点から、近年平担性の優
れた塗布膜法が見直されてきている。
【0003】塗布膜として現在迄に提案されているもの
は多い。有機系で代表的なものはポリイミドやポリイミ
ドシリコーンなどであるが、これらは平担性,耐クラッ
ク性には優れているものの、耐熱性,ポリシリコン,A
l,SiO2 ,Si3 4 などの基材(以下「サブスト
レート」ということもある。)との密着性に劣ってお
り、また長期間における劣化の問題がある。特に、45
0℃以上の温度で一部分解が起るのが大きな欠点であ
る。
【0004】これに対して、テトラエトキシシランの縮
重合物であるシリカグラス系の塗布膜は、耐熱性、サブ
ストレートとの密着性に優れているが、耐クラック性に
劣り、ある程度の素子表面凹凸の緩和には効果があるも
のの、近年の高集積度の超LSIのような狭いパターン
巾や高アスペクト比の溝を上部配線パターン形成に支障
がない程度に平担化することはできない。
【0005】一方、ポリラダーオルガノシロキサンやポ
リラダーオルガノシロキサンとシリカグラスなどとの複
合物の提案もあるが、サブストレートとの密着性や耐ク
ラック性、膜の均一性に劣り、実用的ではない(特開昭
57−83563号公報、特開昭57−131250号
公報、特開昭56−129261号公報参照。)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】かかる現状において、
本発明者が解決すべき課題は、パターンの形状によら
ず、下層配線の段差を平担化できる絶縁膜を形成できる
ポリシロキサン系塗布液を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】塗布膜法の基本は、膜を
形成するベースポリマーを有機溶剤に溶解させ、浸漬又
はスピンコート法などにより基材に塗布し、加熱により
有機溶剤の除去と熱縮重合を行い、ガラス質又は巨大高
分子の膜を形成させることからなる。
【0008】本発明者らは、各種有機シリコン化合物の
縮合反応により得られるプレポリマーと有機溶媒とから
なるシリカ系絶縁被膜形成用塗布液に関して鋭意検討の
結果、特定の有機シリコン化合物を用いたプレポリマー
である分子量範囲のものと有機溶媒からなる塗布液で、
かつ該塗布液の導電率を調整することにより、凹凸の大
きな素子表面に塗布した場合、平担性、耐クラック性が
優れ、かつ保存安定性の良好な塗布液となることを見い
出し、本発明に至った。
【0009】すなわち、本発明は、一般式 R1 4-n
i(OR2 n (式中、R1 及びR2 は、独立に、炭
素数1〜6個を有するアルキル基又は炭素数6〜10個
を有するアリール基を表し、nは2〜4の整数を表
す。)で表わされる有機シリコン化合物の中から選ばれ
た少なくとも2種(ただし、Si(OR2 4 及びR1
2Si(OR2 2 のみから選ばれた二種以上を除
く。)を加水分解縮合して得られるシロキサン系プレポ
リマーと有機溶媒とから成るシリカ系絶縁膜形成用塗布
液において、該プレポリマーの重量平均分子量が100
0〜4000以下であり、かつ該塗布液の導電率が0.
1〜100μs/cmであることを特徴とするシリカ系
絶縁膜形成用塗布液に係るものである。
【0010】本発明に用いられる有機シリコン化合物と
しては、一般式 R1 4-n Si(OR2 n (式中、
1 及びR2 は、独立に、炭素数1〜6個を有するアル
キル基又は炭素数6〜10個を有するアリール基を表
し、nは2〜4の整数を表す。)で表されるものが用い
られる。
【0011】このうちn=4、すなわち4官能性の有機
シリコン化合物の具体例としては、テトラメトキシシラ
ン,テトラエトキシシラン,テトライソプロポキシシラ
ン,テトラフェノキシシランなどがあげられる。特にテ
トラメトキシシラン,テトラエトキシシランが好適に使
用される。
【0012】次にn=3、すなわち3官能性の有機シリ
コン化合物の具体例としては、メチルトリメトキシシラ
ン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポ
キシシラン、メチルトリフェノキシシラン、エチルトリ
メトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルト
リイソプロポキシシラン、エチルトリフェノキシシラ
ン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキ
シシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、フェニ
ルトリフェノキシシランなどがあげられる。好ましくは
メチルトリメトキシシラン、メチルトリフェノキシシラ
ン、メチルトリエトキシシランである。
【0013】次にn=2、すなわち2官能性の有機シリ
コン化合物の具体例としては、ジメチルジメトキシシラ
ン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジイソプロポ
キシシラン、ジメチルジフェノキシシラン、ジエチルジ
メトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチル
ジイソプロポキシシラン、ジエチルジフェノキシシラ
ン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソプロピル
ジエトキシシラン、ジイソプロピルジイソプロポキシシ
ラン、ジイソプロピルジフェノキシシラン、ジフェニル
ジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフ
ェニルジイソプロポキシシラン、ジフェニルジフェノキ
シシランなどがあげられる。特にジメチルジメトキシシ
ラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキ
シシランが好適に用いられる。
【0014】これらの有機シリコン化合物は少なくとも
2種以上(ただし、Si(OR2 4 及びR1 2 Si
(OR2 2 のみから選ばれた二種以上を除く。)を加
水分解縮合させる。Si(OR2 4 のみから選ばれた
2種以上からなるプレポリマーで塗布液を作成すると、
素子表面上に塗布したのち加熱して形成される絶縁膜
は、先に述べたテトラエトキシシランの縮重合物と同様
のシリカグラス膜となり、耐クラック性に劣るため、高
集積度の超LSIでの平担化には用いることができな
い。
【0015】一方、3官能性や2官能性の有機シリコン
化合物を含めることで最終的な絶縁膜中にアルキル基や
アリール基が残存し、加熱時や冷却時に膜内に発生する
応力が緩和され、耐クラック性に優れた塗布液となるも
のと思われる。ただし、2官能性の有機シリコン化合物
のみでは化合物により液状であったり、基板との密着性
に劣るなど問題があり、2官能性の有機シリコン化合物
を用いるときは、4官能性及び/又は3官能性の有機シ
リコン化合物と組合せて用いる。
【0016】使用する用途に応じ、絶縁膜としての膜質
や基板となる材質との密着性などを考慮して有機シリコ
ン化合物を選択すればよい。
【0017】特に超LSI用として用いる場合には、
(a)4官能性有機シリコン化合物、(b)3官能性有
機シリコン化合物、(c)2官能性有機シリコン化合物
をモル分率で(a):(b):(c)=0.05〜0.
8:0.03〜0.8:0〜0.7がシリコン基板、シ
リコン酸化膜及び配線材料などとの密着性や形成された
絶縁膜の膜質から好ましく、(a):(b):(c)=
0.1〜0.6:0.1〜0.5:0.05〜0.5が
より好ましい。
【0018】上記有機シリコン化合物を加水分解縮合せ
しめて得られるシロキサン系プレポリマーの重量平均分
子量は(GPC法、ポリスチレン換算)微細なパターン
への埋め込み性に優れ、素子表面の凹凸の平担化を行う
には、1000〜4000が好適であり、好ましくは2
000〜3000である。
【0019】次に本発明の低分子量シロキサン系プレポ
リマーを得る製造法について記述する。
【0020】アルコキシシランの加水分解重縮合反応
は、一般的には酸触媒又はアルカリ触媒の存在下で行わ
れる。勿論、無触媒下でも実施された例はみられる。い
づれの方法でも低分子量のプレポリマーを得ることはで
きる。短時間で収率よく本発明のプレポリマーを得るに
は、塩酸、硝酸、酢酸などの酸触媒が望ましい。
【0021】反応温度は150℃以下で、好ましくは0
℃〜50℃である。
【0022】反応方法は、前記有機シリコン化合物から
選ばれた少なくとも2種(4官能性及び2官能性のもの
のみから選ばれた2種以上を除く。)を混合し、水を滴
下して共重縮合させる方法が一般的である。溶剤は特に
必要としないが、溶剤としてメタノール、エタノール、
イソプロパノールなどのアルコール類、酢酸メチル、酢
酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、メチルエチル
ケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、ベン
ゼン、トルエンなどの芳香族類を用いることができる。
これらは、そのまま塗布液の溶剤の一部になる。
【0023】触媒は先に投入してもよく、水と一緒に滴
下してもよい。
【0024】水の量は理論量(アルコキシ基又はアリー
ルオキシ基2ケに対し、水1モル)の0.8〜1.5倍
量が好ましく、多すぎるとゲル化により一部有機溶剤不
溶物を形成するし、又、少なすぎると未縮合基としての
アルコキシ基又はアリールオキシ基が多く残り好ましく
ない。
【0025】かかる重合は回分式でも連続式でもよい。
【0026】本発明の好適な分子量を安定的に得る方法
は、分子量の変化をGPCで追跡しながら目的の分子量
より少し低めで反応を中断する。反応を中断する方法
は、溶剤で稀釈すると共に触媒を除去する。溶剤による
稀釈は単に反応速度を遅くする目的であり、温度を0℃
以下にすることによっても目的は達せられる。
【0027】触媒の除去方法は、中和反応、吸着除去、
イオン交換処理など種々の方法がとられるが、半導体用
途に使用する場合には純度を厳しく求められることか
ら、イオン交換樹脂による除去が望ましい。
【0028】特にNaやK、Alといった混入してきた
不純物金属も同時に除去するためにアニオン交換樹脂と
カチオン交換樹脂との混床でイオン交換処理するのが好
ましい。
【0029】次に、絶縁膜形成用塗布液について説明す
る。
【0030】上記シロキサン系プレポリマーはメタノー
ル、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール系
溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエス
テル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイ
ソブチルケトンなどのケトン系溶剤、ブチルセルソルブ
などのエチレングリコールのモノアルキルエーテル系溶
剤、1−メトキシ−2−プロパノールなどのプロピレン
グリコールのモノアルキルエーテル系溶剤、ベンゼン、
トルエンなどの芳香族系溶剤などの有機溶剤に所望する
膜厚が得られるように溶解して使用される。
【0031】かかるシロキサン系プレポリマーと有機溶
剤の混合物において、該シロキサン系ポリマーの濃度は
使用状況に応じ適宜決定されるが、一般的には4重量%
以上であり、10以上、20以下が好適に用いられる。
20重量%以上になると塗布した膜にストリエーション
が発生しやすい。
【0032】次に、上記絶縁膜形成用塗布液の経時安定
性について述べる。上記の方法で作成された塗布液はそ
のままでは、冷却保存していても数日〜1ケ月のうちに
塗布液の性質が変化し、作成当時は超LSIの素子表面
の凹凸を平坦化し、微細パターン埋込みが優れていたも
のも、保存したのちに測定すると平担性や埋込性が劣っ
てくることが判明した。種々の検討の結果、経時安定性
は塗布液の導電率と関係があることがわかった。
【0033】すなわち、塗布液の導電率が0.1〜10
0μs/cmの範囲では数ケ月保存後でも充分な平担性
及び埋込性をもったものであったが、導電率が0.1μ
s/cm以下及び100μs/cm以上では保存後の塗
布液は優れた平担性及び埋込性を示さなかった。すなわ
ち、塗布液の導電率は0.1〜100μs/cmに管理
することが必要であり、0.2〜30μs/cmがより
好ましい。
【0034】塗布液の導電率を管理する方法としては、
反応に用いる酸触媒の量を反応前に塗布液の導電率が
0.1〜100μs/cmとなるように制御する方法が
ある。又、別の方法としては触媒を除去後、塗布液に溶
解する酸や塩を添加する方法がある。添加方法としては
酸や塩を塗布液の有機溶媒成分に溶解し、塗布液の導電
率を測定しながら添加すれば制御がしやすく好ましい。
【0035】導電率を調整するために添加する酸や塩と
しては、塗布液に用いられる有機溶媒又は、反応で生成
するアルコール類に溶解し、溶解した状態で部分的でも
よいが解離し、塗布液の導電率を0.1〜100μs/
cmに保てるものであればよい。そのようなものとして
塩酸や塩化物類、酢酸や酢酸塩類、硝酸や硝酸塩類、リ
ン酸や一部のリン酸塩類、塩素酸や塩素酸塩類、過塩素
酸や過塩素酸塩類、臭化水素酸や臭化物類、ヨウ化水素
酸やヨウ化物類、一部の炭酸水素塩類などをあげること
ができる。
【0036】特に、本発明の塗布液を超LSI用途に用
いる場合には、ハロゲン類や金属類の低減を求められる
ことがあるので、それらを含まない酸、又は塩を添加す
るのが好ましい。そのようなものとして酢酸、酢酸アン
モニウム、酢酸テトラメチルアンモニウム、酢酸テトラ
エチルアンモニウム、炭酸水素テトラメチルアンモニウ
ム、硝酸及び硝酸アンモニウムをあげることができる。
【0037】最後に絶縁膜の形成方法について説明す
る。
【0038】絶縁膜形成は、先ず上記絶縁膜形成塗布液
を一般に使用されるスピンコート法又は浸漬法により塗
布し、次いで風乾又は低温加熱により溶剤を充分除去し
た後、400℃以上の温度に加熱して、未反応のアルコ
キシ基を分解させ、この部分でシロキサン結合を形成さ
せることにより行われる。
【0039】この膜形成に於て、熱処理は熱処理温度に
も依存するが10分間以上、好ましくは30分間以上行
われる。
【0040】
【実施例】以下本発明を実施例により具体的に説明す
る。物性値の測定は次の如く行った。
【0041】(1)重量平均分子量の測定 GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法
により測定した値を、昭和電工(株)のShodex
Standard S シリーズのSL−105を用い
たポリスチレン(標準球)換算値で表した。GPC法の
測定は、装置として日本分光社のTRIROTAR−II
I を使用し、カラムとして昭和電工(株)のShode
x A−80M(8φ×500mm)及び/又はKF−
802(8φ×300mm)を接続し、検出器としてR
I、溶離液として酢酸エチルを使用した。また流量は1
ml/分とした。
【0042】(2)導電率の測定 京都電子社の導電率計(CM−117型)を用いて測定
した。
【0043】(3)膜厚の測定法 ナノメトリック社のナノスペック210を用いて非接触
で測定した。屈折率はエリプソメトリー法で求め、その
値を用いた。
【0044】(4)スピンコート法 ミカサ社のミカサスピンナー1H−360型で、塗布液
を数mlシリコン上に滴下して、500〜3500rp
mで15秒間回転塗布して塗布膜を形成した。
【0045】(5)平担化度の測定法 段差が約1μmで、ライン及びスペース巾が0.6〜
2.0μmである熱酸化膜のパターン付 4インチシリ
コンウェハー上にスピンコート法で塗布膜を形成したの
ち、N2 雰囲気の焼成炉で、450℃、30分間の熱処
理をした。ウェハーを割断し、パターンの断面を走査電
子顕微鏡(明石製作所製SIGMA−1型)を用い、倍
率10、000倍で観察した。そのうち0.8μmのラ
イン及びスペース部におけるラインの厚みAμmと、ラ
インの厚みとその上部に形成された絶縁膜の厚みの合計
Bμm及びスペース部の絶縁膜の厚みCμmを測定し、
式〔平担化度=1−{(B−C)/A}〕により平担化
度を算出した。
【0046】実施例1 ジメチルジメトキシシラン72g、メチルトリメトキシ
シラン163g、テトラメトキシシラン182gを攪拌
機付1lフラスコに入れ、0.1N−HCl水溶液7g
と水81gの混合液を25℃で30分間かけてゆっくり
滴下した。更に、イオン交換樹脂デュオライトC20と
A101Dを混合したカラムに通して、触媒を除去し
た。得られたシロキサン系プレポリマーの重量平均分子
量は2500であった。次いで、イソプロパノール80
0gを加え、絶縁膜形成用塗布液とした。次いで、0.
5N酢酸/エタノール溶液を添加し、導電率を5μs/
cmに調整した。この塗布液を4インチシリコンベアウ
ェハー上にスピンコート法で条件を変化させて塗布し、
450℃、N2 雰囲気下での熱処理を行ったところ焼成
後の膜厚が1μmを超えるものでもクラックの発生は認
められなかった。次に、パターン付シリコンウェハーを
用い、平担化度を測定したところ、平担化度は0.90
であった。更に、本塗布液を2ケ月間、冷蔵庫(約5
℃)に保存したものの平担化度は0.90であり、安定
性にも優れていることが判った。
【0047】比較例1 実施例1と同様にして、絶縁膜形成用塗布液を作成した
が、導電率の調整は行わなかった。塗布液の導電率は
0.01μs/cmであった。平担化度は当初0.90
であったものが、1ケ月間、冷蔵庫(約5℃)に保存後
は0.65に低下し、安定性に問題があった。
【0048】比較例2 実施例1と同様にして、絶縁膜形成用塗布液を作成し、
導電率を200μs/cmとした。平担化度は当初0.
90であったが、1ケ月間、冷蔵庫(約5℃)に保存後
は0.70に低下した。
【0049】比較例3 実施例1と同じ組成のモノマーを仕込み、0.1N−H
Cl水溶液7gと水81gの混合液を40℃で30分間
かけてゆっくり滴下し、更に、40℃で4時間攪拌を続
けた。次いで、イオン交換樹脂デュオライトC20とA
101Dを混合したカラムに通して触媒を除去し、重量
平均分子量10、000のシロキサン系プレポリマーを
得た。更に、イソプロパノール800gを加え、絶縁膜
形成用塗布液とし、平担化度を測定したところ0.60
と低い値となった。
【0050】実施例2〜8及び比較例4〜5 有機シリコン化合物、反応条件、有機溶媒、導電率及び
導電率調整用の添加物(エタノール溶液として使用)を
種々変化させて、絶縁膜形成用塗布液を作成し、プレポ
リマーの重量平均分子量、塗布液の導電率及びパターン
付ウェハーでの平担化度の測定結果を表3及び表4に示
す。
【0051】
【表1】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実 施 例 1 2 3 4 5 6 7 有機シリコン化合物 2官能性 種類 *1 MDM MDE MDM MDM MDE MDM EDE 量 g 72 89 54 90 89 36 79 モル比 0.20 0.20 0.15 0.25 0.20 0.10 0.15 3官能性 種類 *2 MTM MTE MTM MTM MTE ETE PTM 量 g 163 187 143 102 187 230 297 モル比 0.40 0.35 0.35 0.25 0.35 0.40 0.50 4官能性 種類 *3 TM TE TE TE TM TM TM 量 g 182 281 312 312 205 228 160 モル比 0.40 0.45 0.50 0.50 0.45 0.50 0.35 有機溶媒 種類 *4 IPA EAC EAL EAL EAC IPA BAC 量 g 800 800 800 800 800 800 800 重量平均分子量 2500 2000 1500 3500 3000 4000 2500 添加物 種類 *5 ACA AAC TAC ANI ACA NIA ACA 導電率 μs/cm 5 3 2 1 10 0.8 20 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0052】
【表2】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実施例 比 較 例 8 1 2 3 4 5 有機シリコン化合物 2官能性 種類 *1 EDE MDM MDM MDM MDE MDE 量 g 158 72 72 72 89 89 モル比 0.30 0.20 0.20 0.20 0.20 0.20 3官能性 種類 *2 ETE MTM MTM MTM MTE MTE 量 g 202 163 163 163 187 187 モル比 0.35 0.40 0.40 0.40 0.35 0.35 4官能性 種類 *3 TE TM TM TM TE TE 量 g 281 182 182 182 281 281 モル比 0.35 0.40 0.40 0.40 0.45 0.45 有機溶媒 種類 *4 EAL IPA IPA IPA EAC EAC 量 g 800 800 800 800 800 800 重量平均分子量 2000 2500 2500 10000 2000 7000 添加物 種類 *5 TCH - ACA ACA AAC AAC 導電率 μs/cm 1 0.01 200 5 300 3 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0053】
【表3】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実 施 例 1 2 3 4 5 6 7 評価 平坦化度 作製直後 0.90 0.90 0.90 0.85 0.85 0.80 0.85 1ケ月後 0.90 0.90 0.90 0.85 0.85 0.80 0.85 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0054】
【表4】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実施例 比 較 例 8 1 2 3 4 5 評価 平坦化度 作製直後 0.90 0.90 0.90 0.60 0.90 0.65 1ケ月後 0.90 0.65 0.70 0.60 0.65 0.65 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0055】 *1 2官能性有機シリコン化合物の種類 MDM:ジメチルジメトキシラン MDE:ジエチルジメトキシラン EDE:ジエチルジエトキシラン
【0056】 *2 3官能性有機シリコン化合物の種類 MTM:メチルトリメトキシシラン MTE:メチルトリエトキシシラン ETE:エチルトリエトキシシラン PTM:フェニルトリメトキシシラン
【0057】 *3 4官能性有機シリコン化合物の種類 TM:テトラメトキシシラン TE:テトラエトキシシラン
【0058】 *4 有機溶媒の種類 IPA:イソプロパノール EAC:酢酸エチル EAL:エタノール BAC:酢酸ブチル
【0059】 *5 添加物の種類 AAC:酢酸アンモニウム TAC:酢酸テトラメチルアンモニウム ANI:硝酸アンモニウム ACA:酢酸 NIA:硝酸 TCH:炭酸水素テトラメチルアンモニウム
【0060】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明により、狭い
パターンでも平坦化度が良好で、経時安定性に優れたシ
リカ系絶縁膜形成用塗布液を提供することができた。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 183/02 C09D 183/04 H01B 3/46

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式R1 4--n Si(OR2 )n (式
    中、R1 及びR2は、独立に、炭素数1〜6個を有する
    アルキル基又は炭素数6〜10個を有するアリール基を
    表し、nは2〜4の整数を表す。)で表わされる有機シ
    リコン化合物の中から選ばれた少なくとも2種(ただ
    し、Si(OR24 及びR1 2 Si(OR22 のみ
    から選ばれた二種以上を除く。)を加水分解縮合して得
    られるシロキサン系プレポリマーと有機溶媒とから成る
    シリカ系絶縁膜形成用塗布液において、該プレポリマー
    の重量平均分子量が2000〜4000であり、かつ該
    塗布液の導電率が0.1〜100μs/cmであること
    を特徴とするシリカ系絶縁膜形成用塗布液。
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