JP3286839B2 - 鋳鉄及び銑鉄の溶湯の炭素含有量と硅素含有量との分析法 - Google Patents
鋳鉄及び銑鉄の溶湯の炭素含有量と硅素含有量との分析法Info
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- Investigating Or Analyzing Materials Using Thermal Means (AREA)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は鋳鉄及び銑鉄の溶
湯の炭素量及び硅素量の分析法、より詳細に述べると、
鋳鉄及び銑鉄(以下、とくにその一方に限定する必要が
ない場合には、「鋳鉄」という)の溶湯を熱分析するこ
とによって、炭素含有量と硅素含有量とを分析する方法
に関する。
湯の炭素量及び硅素量の分析法、より詳細に述べると、
鋳鉄及び銑鉄(以下、とくにその一方に限定する必要が
ない場合には、「鋳鉄」という)の溶湯を熱分析するこ
とによって、炭素含有量と硅素含有量とを分析する方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】キュウポラで溶解鋳鉄の溶湯、あるいは
高炉で溶解された銑鉄の溶湯は、共晶組成と呼ばれてい
るが、この溶湯中に含有されている炭素量は、コークス
量や送風量などの操業条件によって共晶点から変化し、
亜共晶あるいは過共晶になる。
高炉で溶解された銑鉄の溶湯は、共晶組成と呼ばれてい
るが、この溶湯中に含有されている炭素量は、コークス
量や送風量などの操業条件によって共晶点から変化し、
亜共晶あるいは過共晶になる。
【0003】鋳鉄の場合においては、所望の組成を得る
ために、硅素などの添加剤を加えることがあり、銑鉄の
溶湯の場合には、これを転炉に送って炭素及び硅素を除
去し、鋼とする。しかし、そのために行う酸素の吹き込
み量を、銑鉄の溶湯に含まれている炭素含有量及び硅素
含有量によって変える必要がある。
ために、硅素などの添加剤を加えることがあり、銑鉄の
溶湯の場合には、これを転炉に送って炭素及び硅素を除
去し、鋼とする。しかし、そのために行う酸素の吹き込
み量を、銑鉄の溶湯に含まれている炭素含有量及び硅素
含有量によって変える必要がある。
【0004】通常は、鋳鉄及び銑鉄の溶湯中の炭素含有
量あるいは硅素含有量を測定するために、発光分析法を
採用している。
量あるいは硅素含有量を測定するために、発光分析法を
採用している。
【0005】しかしながら、この発光分析を行うために
は、まず第一に、溶湯の一部を試料採取容器に汲み上
げ、次いで、容器を破壊して凝固した試料を取り出し、
湯口切りしてから、分析室に送っている。そこで、分析
技術者は凝固した鋳鉄の試料の表面を研磨して、発光分
析に着手する。
は、まず第一に、溶湯の一部を試料採取容器に汲み上
げ、次いで、容器を破壊して凝固した試料を取り出し、
湯口切りしてから、分析室に送っている。そこで、分析
技術者は凝固した鋳鉄の試料の表面を研磨して、発光分
析に着手する。
【0006】鋳鉄の場合には、従来から熱分析法を利用
して、鋳鉄の溶湯中に含まれる炭素量及び硅素量を測定
している。しかし、熱分析によって得られる冷却曲線に
おいては、亜共晶組成と過共晶組成についてのCE値が
異なるにも拘わらず、同一の初晶温度を示すことがあ
り、しかも冷却曲線の形状が極めて類似していて、その
判別が困難なために、熱分析法による炭素含有量及び硅
素含有量の分析は亜共晶鋳鉄あるいは過共晶の一部に限
定されている。
して、鋳鉄の溶湯中に含まれる炭素量及び硅素量を測定
している。しかし、熱分析によって得られる冷却曲線に
おいては、亜共晶組成と過共晶組成についてのCE値が
異なるにも拘わらず、同一の初晶温度を示すことがあ
り、しかも冷却曲線の形状が極めて類似していて、その
判別が困難なために、熱分析法による炭素含有量及び硅
素含有量の分析は亜共晶鋳鉄あるいは過共晶の一部に限
定されている。
【0007】溶湯が確実に過共晶の場合には、初晶とし
ては黒鉛とセメンタイト(Fe3C)とのいずれかの一
方が晶出するが、この両者はFe−C系の2元素状態図
(図1)に示すように、初晶温度が異なっていて、黒鉛
の初晶温度とセメンタイトの初晶温度とが殆ど同じ点か
ら分岐して発生するために、測定した初晶温度が黒鉛に
よるものであるか、あるいはセメンタイトによるもので
あるか不明であり、また黒鉛によるものとセメンタイト
によるものとでは炭素含有量が相違する。
ては黒鉛とセメンタイト(Fe3C)とのいずれかの一
方が晶出するが、この両者はFe−C系の2元素状態図
(図1)に示すように、初晶温度が異なっていて、黒鉛
の初晶温度とセメンタイトの初晶温度とが殆ど同じ点か
ら分岐して発生するために、測定した初晶温度が黒鉛に
よるものであるか、あるいはセメンタイトによるもので
あるか不明であり、また黒鉛によるものとセメンタイト
によるものとでは炭素含有量が相違する。
【0008】しかし亜共晶の場合においては、初晶はオ
ーステナイトだけであるので、鋳鉄では配合計算によ
り、確実に亜共晶として、オーステナイトの初晶温度か
ら炭素量を求めているのである。
ーステナイトだけであるので、鋳鉄では配合計算によ
り、確実に亜共晶として、オーステナイトの初晶温度か
ら炭素量を求めているのである。
【0009】さらに付言すると、図1に示すFe−C系
の2元素状態図から判るように、過共晶側には2本の液
相線が示されており、熱分析においては、この初晶温度
から炭素含量を読みとる。しかしながら、核物質の量が
黒鉛の液相線と同一に現れるには不十分であり、しかも
ゼロではなく、セメンタイトの液相線としては現れない
がために、実際の溶湯の初晶温度は2本の液相線の中間
の温度を示す。
の2元素状態図から判るように、過共晶側には2本の液
相線が示されており、熱分析においては、この初晶温度
から炭素含量を読みとる。しかしながら、核物質の量が
黒鉛の液相線と同一に現れるには不十分であり、しかも
ゼロではなく、セメンタイトの液相線としては現れない
がために、実際の溶湯の初晶温度は2本の液相線の中間
の温度を示す。
【0010】すなわち、過共晶の場合においては、初晶
として黒鉛またはセメンタイトのいずれかが晶出する。
そこで、黒鉛が晶出する場合について考えるならば、黒
鉛核物質が十分に存在すれば、Fe−C系の2元素状態
図における黒鉛の液相線を示すわけである。しかし、こ
れが不十分なときには、過冷状態になるために、液相線
よりも低温度を示すことになる。
として黒鉛またはセメンタイトのいずれかが晶出する。
そこで、黒鉛が晶出する場合について考えるならば、黒
鉛核物質が十分に存在すれば、Fe−C系の2元素状態
図における黒鉛の液相線を示すわけである。しかし、こ
れが不十分なときには、過冷状態になるために、液相線
よりも低温度を示すことになる。
【0011】また、黒鉛核物質が全く存在しない場合に
は、初晶としてセメンタイトが晶出される。ところが、
実際の溶湯の核物質量は、黒鉛の液相線と同一に現れる
には不十分であり、しかもゼロではないことからセメン
タイトの液相線としては現れない。
は、初晶としてセメンタイトが晶出される。ところが、
実際の溶湯の核物質量は、黒鉛の液相線と同一に現れる
には不十分であり、しかもゼロではないことからセメン
タイトの液相線としては現れない。
【0012】したがって、Fe−C系の2元素状態図を
利用して実際の鋳鉄の溶湯を対象に初晶温度から炭素含
有量を分析するには、十分な黒鉛核物質量を与えるか、
あるいは、ある程度存在している黒鉛核物質を消滅させ
るかの、いずれか一方の操作を必要とする。
利用して実際の鋳鉄の溶湯を対象に初晶温度から炭素含
有量を分析するには、十分な黒鉛核物質量を与えるか、
あるいは、ある程度存在している黒鉛核物質を消滅させ
るかの、いずれか一方の操作を必要とする。
【0013】それゆえ、鋳鉄または銑鉄の溶湯の炭素含
有量および硅素含有量を知るに当たって、溶湯が過共晶
を示す場合には、従来の熱分析法からは直ちにこれを判
断することができないのである。
有量および硅素含有量を知るに当たって、溶湯が過共晶
を示す場合には、従来の熱分析法からは直ちにこれを判
断することができないのである。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】以上に述べた従来の発
光分析法においては、前述したように、溶湯の試料を作
業者が自ら鋳鉄の溶湯の試料を試料採取容器に汲み取
り、分析技術者が冷却凝固した試料の表面を研磨するな
どの必要があり、さらに分析の結果が判明するまでに長
時間を要するなどの多くの問題点がある。
光分析法においては、前述したように、溶湯の試料を作
業者が自ら鋳鉄の溶湯の試料を試料採取容器に汲み取
り、分析技術者が冷却凝固した試料の表面を研磨するな
どの必要があり、さらに分析の結果が判明するまでに長
時間を要するなどの多くの問題点がある。
【0015】さらに、試料とする溶湯が過共晶の場合に
は、熱分析法によって溶湯中の炭素含有量及び硅素含有
量を分析することができないという問題がある。
は、熱分析法によって溶湯中の炭素含有量及び硅素含有
量を分析することができないという問題がある。
【0016】以上に述べた諸問題から、この発明の主目
的は、鋳鉄および銑鉄の溶湯を熱分析することにより亜
共晶であるか過共晶であるかを判別し、炭素と硅素の含
有量を分析する方法を提供することにある。
的は、鋳鉄および銑鉄の溶湯を熱分析することにより亜
共晶であるか過共晶であるかを判別し、炭素と硅素の含
有量を分析する方法を提供することにある。
【0017】この発明の他の目的は、専門の技術者と高
価な発光分析装置を必要とすることなく、極めて容易に
鋳鉄および銑鉄の溶湯の炭素含有量と硅素含有量とを分
析する方法を提供することにある。
価な発光分析装置を必要とすることなく、極めて容易に
鋳鉄および銑鉄の溶湯の炭素含有量と硅素含有量とを分
析する方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、この発明の鋳鉄および銑鉄の溶湯の炭素量と硅素量
を分析する方法は: (1)テルル(Te)を入れた第一の熱分析用試料採取
容器を用意することと (2)シリコン(Si)を入れた第二の熱分析用試料採
取容器を用意することと (3)前記第一の容器と第二の容器とに同時に前記溶湯
を注入することと (4)前記第一の熱分析用試料採取容器内の溶湯を熱分
析することと (5)前記第二の熱分析用試料採取容器内の溶湯を熱分
析することと (6)前記第一の熱分析用試料採取容器内の溶湯の初晶
温度と前記第二の熱分析用試料採取容器内の溶湯の初晶
温度とを比較することとから成る。なお、ここにおい
て、シリコンとはフェロシリコン(例えばFe−75%
Si)あるいはシリコン系接種剤(Fe−40Si−1
0%Ca)をいう。
に、この発明の鋳鉄および銑鉄の溶湯の炭素量と硅素量
を分析する方法は: (1)テルル(Te)を入れた第一の熱分析用試料採取
容器を用意することと (2)シリコン(Si)を入れた第二の熱分析用試料採
取容器を用意することと (3)前記第一の容器と第二の容器とに同時に前記溶湯
を注入することと (4)前記第一の熱分析用試料採取容器内の溶湯を熱分
析することと (5)前記第二の熱分析用試料採取容器内の溶湯を熱分
析することと (6)前記第一の熱分析用試料採取容器内の溶湯の初晶
温度と前記第二の熱分析用試料採取容器内の溶湯の初晶
温度とを比較することとから成る。なお、ここにおい
て、シリコンとはフェロシリコン(例えばFe−75%
Si)あるいはシリコン系接種剤(Fe−40Si−1
0%Ca)をいう。
【0019】
【発明の説明】まず最初に、試料の溶湯が亜共晶である
か、あるいは過共晶であるかを判断する必要がある理由
について説明する。図1に示すように、Fe−C系の状
態図における共晶点は、炭素含有量が4.25%の点で
ある。これよりも炭素含有量が少ない組成を亜共晶組
成、多い組成を過共晶組成という。液相線は亜共晶の場
合、炭素含有量が増加すると温度が降下(図では右下が
り)し、過共晶の場合には、これとは逆に温度が上昇
(図では右上がり)する。
か、あるいは過共晶であるかを判断する必要がある理由
について説明する。図1に示すように、Fe−C系の状
態図における共晶点は、炭素含有量が4.25%の点で
ある。これよりも炭素含有量が少ない組成を亜共晶組
成、多い組成を過共晶組成という。液相線は亜共晶の場
合、炭素含有量が増加すると温度が降下(図では右下が
り)し、過共晶の場合には、これとは逆に温度が上昇
(図では右上がり)する。
【0020】熱分析法の原理は供給された試料の溶湯の
液相線温度(初晶温度)を測定することによって、炭素
含有量を分析し、共晶温度から硅素含有量を分析するも
のである。すなわち、試料の初晶温度から炭素含有量を
分析するときに、亜共晶であるか、あるいは過共晶であ
るかが不明であると、どちらの液相線を比較したらよい
のか判断することができない。つまり、測定したいずれ
か一方の温度には、2種類の炭素含有量を含む場合があ
る。
液相線温度(初晶温度)を測定することによって、炭素
含有量を分析し、共晶温度から硅素含有量を分析するも
のである。すなわち、試料の初晶温度から炭素含有量を
分析するときに、亜共晶であるか、あるいは過共晶であ
るかが不明であると、どちらの液相線を比較したらよい
のか判断することができない。つまり、測定したいずれ
か一方の温度には、2種類の炭素含有量を含む場合があ
る。
【0021】そこで、この発明は、亜共晶であるか、過
共晶であるかを判別するために、テルルを入れた第一の
熱分析用試料採取容器と、シリコンを入れた第二の熱分
析用試料採取容器とによって、それぞれの容器の鋳鉄の
溶湯を熱分析し、両者の初晶温度を比較する。
共晶であるかを判別するために、テルルを入れた第一の
熱分析用試料採取容器と、シリコンを入れた第二の熱分
析用試料採取容器とによって、それぞれの容器の鋳鉄の
溶湯を熱分析し、両者の初晶温度を比較する。
【0022】この比較において、例えば、テルルを入れ
た第一の試料採取容器の試料の初晶温度の方が、シリコ
ンを入れた第二の試料採取容器の試料の初晶温度よりも
高温度であれば、その溶湯は亜共晶であり、またその逆
の場合には過共晶であると判断することができる。
た第一の試料採取容器の試料の初晶温度の方が、シリコ
ンを入れた第二の試料採取容器の試料の初晶温度よりも
高温度であれば、その溶湯は亜共晶であり、またその逆
の場合には過共晶であると判断することができる。
【0023】ところで、過共晶の場合、初晶には黒鉛と
セメンタイトとがあり、両者は初晶温度が相違する。し
かしながら、この発明によれば、第一の試料容器にはテ
ルルが入れてあるので、鋳鉄の溶湯はテルルの作用によ
って、その初晶は必ずセメンタイトを呈する。したがっ
て、この発明の方法によって、第一のテルルを入れた試
料容器の溶湯が過共晶であると判断されれば、その検量
線によって炭素含有量を知ることができる。なお、供与
された試料の溶湯が亜共晶であれば、第一の試料採取容
器の溶湯の初晶はオーステナイトである。
セメンタイトとがあり、両者は初晶温度が相違する。し
かしながら、この発明によれば、第一の試料容器にはテ
ルルが入れてあるので、鋳鉄の溶湯はテルルの作用によ
って、その初晶は必ずセメンタイトを呈する。したがっ
て、この発明の方法によって、第一のテルルを入れた試
料容器の溶湯が過共晶であると判断されれば、その検量
線によって炭素含有量を知ることができる。なお、供与
された試料の溶湯が亜共晶であれば、第一の試料採取容
器の溶湯の初晶はオーステナイトである。
【0024】他方、供与された試料の溶湯をシリコンを
入れた第二の試料採取容器に汲み入れると、試料溶湯は
シリコンの作用により、溶湯の炭素当量が増加する。し
たがって、図1に示す状態図で判るように、わずかに高
炭素側にずれる。ここで、第一の容器と第二の容器との
初晶温度を比較すると、供与された試料溶湯が亜共晶の
場合には、第二の試料採取容器の初晶温度は共晶点に近
ずくことから、第一の試料容器のものよりも初晶温度が
低くなる。
入れた第二の試料採取容器に汲み入れると、試料溶湯は
シリコンの作用により、溶湯の炭素当量が増加する。し
たがって、図1に示す状態図で判るように、わずかに高
炭素側にずれる。ここで、第一の容器と第二の容器との
初晶温度を比較すると、供与された試料溶湯が亜共晶の
場合には、第二の試料採取容器の初晶温度は共晶点に近
ずくことから、第一の試料容器のものよりも初晶温度が
低くなる。
【0025】これとは反対に、供与された試料溶湯が過
共晶であれば、第二の試料採取容器の溶湯は共晶点から
遠ざかり、初晶温度が第一試料採取容器の試料よりも高
くなる。
共晶であれば、第二の試料採取容器の溶湯は共晶点から
遠ざかり、初晶温度が第一試料採取容器の試料よりも高
くなる。
【0026】このようにして、供与された溶湯の試料が
亜共晶であるか、あるいは過共晶であるかを判断した後
には、それぞれに応じた関係線、すなわち検量線を用い
て、第一の試料採取容器における溶湯の初晶温度から炭
素含有量を求めることができる。
亜共晶であるか、あるいは過共晶であるかを判断した後
には、それぞれに応じた関係線、すなわち検量線を用い
て、第一の試料採取容器における溶湯の初晶温度から炭
素含有量を求めることができる。
【0027】また、第一の試料採取容器にはテルルが入
れてあるので、溶湯が過共晶であっても、白銑凝固する
ことから一定の共晶温度を得ることができ、炭素と硅素
の両者を分析することが可能である。
れてあるので、溶湯が過共晶であっても、白銑凝固する
ことから一定の共晶温度を得ることができ、炭素と硅素
の両者を分析することが可能である。
【0028】
【実験例1】鋳鉄を溶解して1500℃の温度に保持し
ながら、炭素含有量を変化(減少)させて熱分析を行っ
た。熱分析には、前述のテルルを入れた第一の試料採取
容器とシリコンを入れた第二の試料採取容器とを用い、
さらに従来法と比較するために何らの添加物を加えない
試料採取容器とによって遂行した。
ながら、炭素含有量を変化(減少)させて熱分析を行っ
た。熱分析には、前述のテルルを入れた第一の試料採取
容器とシリコンを入れた第二の試料採取容器とを用い、
さらに従来法と比較するために何らの添加物を加えない
試料採取容器とによって遂行した。
【0029】これらの試料採取容器に同一の鋳鉄の溶湯
を注入し、初晶温度と共晶温度とを測定した。それによ
って得た初晶温度と共晶温度とから、炭素量(C)、硅
素量(Si)及びCE値を測定した。また、他方におい
て、同時に得た試料から化学成分の分析を行って、熱分
析の結果と比較した。
を注入し、初晶温度と共晶温度とを測定した。それによ
って得た初晶温度と共晶温度とから、炭素量(C)、硅
素量(Si)及びCE値を測定した。また、他方におい
て、同時に得た試料から化学成分の分析を行って、熱分
析の結果と比較した。
【0030】得られた試料の化学分析の結果は表1に示
す通りであり、熱分析による測定結果は表2に示す通り
であった。
す通りであり、熱分析による測定結果は表2に示す通り
であった。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】これによる炭素含有量と硅素含有量の推定
結果は表3に示す通りになる。
結果は表3に示す通りになる。
【0034】
【表3】
【0035】表1と表3との比較から、この発明の方法
による熱分析法による結果は、化学分析による結果と殆
ど一致するものであることが判る。
による熱分析法による結果は、化学分析による結果と殆
ど一致するものであることが判る。
【0036】
【発明の作用と効果】この発明の鋳鉄及び銑鉄の溶湯の
炭素含有量と硅素含有量との分析法における試料とする
鋳鉄あるいは銑鉄の溶湯についてのテルル及びシリコン
の作用は、上記の説明に詳述してある通りで、これによ
って試料とする溶湯の炭素含有量と硅素含有量とを容易
に分析することができることは十分に理解されよう。
炭素含有量と硅素含有量との分析法における試料とする
鋳鉄あるいは銑鉄の溶湯についてのテルル及びシリコン
の作用は、上記の説明に詳述してある通りで、これによ
って試料とする溶湯の炭素含有量と硅素含有量とを容易
に分析することができることは十分に理解されよう。
【0037】従って、この発明の方法を用いることによ
り、従来のように経済的に費用のかかる発光分析装置を
必要とすることなく、いわゆる炉前で、亜共晶であるか
過共晶であるか不明な鋳鉄の溶湯の炭素及び硅素の含有
量を容易に分析することができる。
り、従来のように経済的に費用のかかる発光分析装置を
必要とすることなく、いわゆる炉前で、亜共晶であるか
過共晶であるか不明な鋳鉄の溶湯の炭素及び硅素の含有
量を容易に分析することができる。
【図1】鋳鉄の溶湯のFe−C系の2元素の状態図であ
る。
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭53−56088(JP,A) 特開 平5−172767(JP,A) 特開 昭54−36797(JP,A) 特開 昭53−102096(JP,A) 特開 昭48−46393(JP,A) 特開 昭61−50047(JP,A) 特表 平7−502819(JP,A) 国際公開91/18285(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 25/02 G01N 33/20 JICSTファイル(JOIS)
Claims (3)
- 【請求項1】(1)テルルを入れた第一の熱分析用試料
採取容器を用意することと; (2)シリコンを入れた第二の熱分析用試料採取容器を
用意することと; (3)前記第一の容器と第二の容器とに同時に前記溶湯
を注入することと; (4)前記第一の熱分析用試料採取容器内の溶湯を熱分
析することと; (5)前記第二の熱分析用試料採取容器内の溶湯を熱分
析することと; (6)前記第一の熱分析用試料採取容器内の溶湯の初晶
温度と前記第二の熱分析用試料採取容器内の溶湯の初晶
温度とを比較することとから成る鋳鉄及び銑鉄の溶湯の
炭素含有量と硅素含有量との分析法。 - 【請求項2】前記シリコンをフェロシリコン、すなわち
Fe−75%Siとする請求項1に記載の分析法。 - 【請求項3】前記シリコンをシリコン系接種剤、すなわ
ちFe−40Si−10%Caとする請求項1に記載の
分析法。
Priority Applications (7)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP06374699A JP3286839B2 (ja) | 1999-02-04 | 1999-02-04 | 鋳鉄及び銑鉄の溶湯の炭素含有量と硅素含有量との分析法 |
BR0000255-0A BR0000255A (pt) | 1999-02-04 | 2000-02-03 | Determinação de teores de carbono e silìcio em ferro fundido |
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