JP3285736B2 - 画像形成装置 - Google Patents

画像形成装置

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JP3285736B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子線発生装置お
よびその応用である表示装置等の画像形成装置にかかわ
り、特に、電子線発生時の放電の防止手法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、電子放出素子としては大別し
て2種類あり熱電子放出素子と冷陰極電子放出素子を用
いたものが知られている。冷陰極電子放出素子には電界
放出型(以下、「FE型」という。)、金属/絶縁層/
金属型(以下、「MIM型」という。)や表面伝導型電
子放出素子等がある。FE型の例としてはW.P.Dy
ke & W.W.Dolan、”Field emi
ssion”、Advance in Electro
n Physics、8、89(1956)あるいは
C.A.Spindt、”PHYSICAL Prop
erties ofthin−film field
emission cathodes with mo
lybdenium cones”、J.Appl.P
hys.、47、5248(1976)等に開示された
ものが知られている。MIM型の例としてはC.A.M
ead、”Operation of Tunnel−
Emission Devices”、J.Appl
y.Phys.、32、646(1961)等に開示さ
れたものが知られている。
【0003】表面伝導型電子放出素子型の例としては、
M.I.Elinson、Radio Eng.Ele
ctron Phys.、10、1290(1965)
等に開示されたものがある。表面伝導型電子放出素子
は、基板上に形成された小面積の薄膜に、膜面に平行に
電流を流すことにより、電子放出が生ずる現象を利用す
るものである。この表面伝導型電子放出素子としては、
前記エリンソン等によるSnO2 薄膜を用いたもの、A
u薄膜によるもの[G.Dittmer:”Thin
Solid Films”、9 317(197
2)]、In23 /SnO2 薄膜によるもの[M.H
artwell and C.G.Fonstad:”
IEEE Trans. ED Conf.”、519
(1975)]、カーボン薄膜によるもの[荒木久
他:真空、第26巻、第1号、22頁(1983)]等
が報告されている。これらの表面伝導型電子放出素子の
典型的な例として前述のM.ハートウェルの素子構成を
図17に模式的に示す。同図において1は基板である。
2は導電性薄膜で、H型形状のパターンに、スパッタで
形成された金属酸化物薄膜等からなり、後述の通電フォ
ーミングと呼ばれる通電処理により電子放出部3が形成
される。なお、図中の素子電極間隔Lは、0.5〜1m
m、W’は、0.1mmで設定されている。従来、これ
らの表面伝導型電子放出素子においては、電子放出を行
う前に導電性薄膜2を予め通電フォーミングと呼ばれる
通電処理によって電子放出部3を形成するのが一般的で
あった。通電フォーミングとは前記導電性薄膜2両端に
直流電圧あるいは非常にゆっくりとした昇電圧例えば1
V/分程度を印加通電し、導電性薄膜を局所的に破壊、
変形もしくは変質せしめ、電気的に高抵抗な状態にした
電子放出部3を形成することである。この電子放出部3
は導電性薄膜2の一部に発生した亀裂であり、その亀裂
付近から電子放出が行われる。前記通電フォーミング処
理をした表面伝導型電子放出素子は、上述導電性薄膜2
に電圧を印加し、素子に電流を流すことにより、上述電
子放出部3より電子を放出せしめるものである。上述の
表面伝導型放出素子は、構造が単純で製造も容易である
ことから、大面積にわたり多数素子を配列形成できる利
点がある。そこで、この特徴を生かせるようないろいろ
な応用が研究されている。例えば、荷電ビーム源、表示
装置等があげられる。多数の表面伝導型電子放出素子を
配列形成した例としては、後述するように、並列に表面
伝導型電子放出素子を配列し、個々の素子の両端を配線
(共通配線とも呼ぶ)で、それぞれ結線した行を多数行
配列した電子源があげられる(例えば、特開昭64−0
31332、特開平1−283749、2−25755
2等)。また、特に、表面伝導型放出素子を多数配置し
た電子源と、電子源より放出された電子によって可視光
を発光せしめる蛍光体とを組み合わせた表示装置である
画像形成装置の例として例えば、USP5066883
があげられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】電子放出素子を利用し
た画像形成装置たとえば、フラットテレビにおいては画
素欠陥のない表示画像を安定に提供することが望まれ
る。しかしながら、表面伝導型電子放出素子において上
述のフォーミングと呼ばれる通電処理により電子放出部
が形成される時、および、または、電子放出時に素子電
極間が局部的に加熱される結果、表面伝導型放出素子を
構成する部材中に混入しているガス、または、表面伝導
型電子放出素子表面に吸着しているガスが外部に放出さ
れる場合があった。また、画像形成装置内は真空に保持
されるが、H2 O、H2 などのガスが残留している場合
があった。これらの画像形成装置内に放出されたガス、
または画像形成装置内に残留するガスは、表面伝導型放
出素子から放出された電子との衝突により正にイオン化
されるため、表面伝導型電子放出素子の負電極に向かっ
て加速され、当該電極を破損し画素欠陥を発生する。し
たがって、電子放出時に当該電子線発生装置内にガスが
存在しないことまたは、ガスが存在しても電極を破損し
ない条件で動作させることが望まれていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述した課題
を解決するために鋭意検討を行ってなされたものであ
り、下述する構成のものである。即ち、本発明の画像形
成装置は、表面伝導型電子放出素子を複数配した電子源
基板と蛍光膜とを、その内部に備えると共に、その内部
にH 2 Oガスが存在する外囲器を有する画像形成装置に
おいて、前記外囲器内にH 2 Oよりも第1イオン化ポテ
ンシャルが低く、多原子から構成される無機ガスが封入
されていることを特徴とする。ここで、前記無機ガスの
イオン化ポテンシャルと解離エネルギーの差が当該外囲
器内の電子源の負電極を形成する材料の仕事関数の2倍
以下であることが好ましい。前記無機ガスとしては、N
O、NO 2 、NH 3 から選ばれるガス、又はこれらの混合
ガスを挙げることができる。前記無機ガスの封入圧力
は、1×10 -7 Torrないし1×10 -5 Torrが好
ましい。本発明の画像形成装置によれば、素子駆動中の
放電が抑制される。従って、放電による素子へのダメー
ジを低減した、画素欠陥のない画像形成装置を製造する
ことが可能となる
【0006】
【発明の実施の形態】以下に、本発明について詳述す
る。まず、表面伝導型電子放出素子について説明する。
図1は、本発明を適用可能な平面型表面伝導型電子放出
素子の構成を示す模式図であり、図1aは平面図、図1
bは断面図である。図1において1は基板、2および3
は素子電極、4は導電性薄膜、5は電子放出部である。
基板1としては、石英ガラス、Na等の不純物含有量を
減少したガラス、青板ガラス、青板ガラスにスパッタ法
等により形成したSiO2 を積層したガラス基板及びア
ルミナ等のセラミックス及びSi基板等を用いることが
できる。対向する素子電極2および3の材料としては、
一般的な導体材料を用いることができる。例えばNi、
Cr、Au、Mo、W、Pt、Ti、Al、Cu、Pd
等の金属あるいはこれらの合金及びPd、Ag、Au、
RuO2 、Pd−Ag等の金属あるいは金属酸化物とガ
ラス等から構成される印刷導体、In23 −SnO2
等の透明導電体及びポリシリコン等の半導体材料等から
適宜選択することができる。素子電極間隔L、素子電極
長さW、導電性薄膜4の形状等は、応用される形態等を
考慮して、設計される。素子電極間隔Lは、好ましく
は、数千オングストロームから数百マイクロメートルの
範囲とすることができ、より好ましくは、素子電極間に
印加する電圧等を考慮して数マイクロメートルから数十
マイクロメートルの範囲とすることができる。素子電極
長さWは、電極の抵抗値、電子放出特性を考慮して、数
マイクロメートルから数百マイクロメートルの範囲とす
ることができる。素子電極2および3の膜厚dは、数百
オングストロームから数マイクロメートルの範囲とする
ことができる。なお、平面型表面伝導型電子放出素子は
図1に示した構成でなく、基板1上に、導電性薄膜4、
対向する素子電極2および3の順に積層した構成とする
こともできる。
【0007】導電性薄膜4には、良好な電子放出特性を
得るために、微粒子で構成された微粒子膜を用いるのが
好ましい。その膜厚は、素子電極2および3へのステッ
プカバレージ、素子電極2および3間の抵抗値及び後述
するフォーミング条件等を考慮して適宜設定されるが、
通常は、数オングストロームから数千オングストローム
の範囲とするのが好ましく、より好ましくは10Åより
500Åの範囲である。その抵抗値は、Rsが102
ら107 Ω/□の値である。なおRsは、厚さがt、幅
がwで長さがlの薄膜の抵抗Rを、R=Rs(l/w)
とおいたときに現れる。本願明細書において、フォーミ
ング処理については、通電処理を例に挙げて説明する
が、フォーミング処理はこれに限られるものではなく、
膜に亀裂を生じさせて高抵抗状態を形成する処理を包含
するものである。
【0008】導電性薄膜4を構成する材料は、Pd、P
t、Ru、Ag、Au、Ti、In、Cu、Cr、F
e、Zn、Sn、Ta、W、Pb等の金属、PdO、S
nO2、In23 、PbO、Sb23 等の酸化物、
HfB2 、ZrB2 、LaB6、CeB6 、YB4 、G
dB4 等の硼化物、TiC、ZrC、HfC、TaC、
SiC、WC等の炭化物、TiN、ZrN、HfN等の
窒化物、Si、Ge等の半導体、カーボン等の中から適
宜選択される。
【0009】前記の微粒子膜とは、複数の微粒子が集合
した膜であり、その微細構造は、微粒子が個々に分散配
置した状態あるいは微粒子が互いに隣接、あるいは重な
り合った状態(いくつかの微粒子が集合し、全体として
島状構造を形成している場合も含む)をとっている。微
粒子の粒径は、数オングストロームから数千オングスト
ロームの範囲、好ましくは10Åより200Åの範囲で
ある。なお、本明細書では頻繁に「微粒子」という言葉
を用いるので、その意味について説明する。小さな粒子
を「微粒子」と呼び、これよりも小さなものを「超微粒
子」と呼ぶ。「超微粒子」よりもさらに小さく原子の数
が数百個程度以下のものを「クラスター」と呼ぶことは
広く行われている。しかしながら、それぞれの境は厳密
なものではなく、どの様な性質に注目して分類するかに
より変化する。また「微粒子」と「超微粒子」を一括し
て「微粒子」と呼ぶ場合もある。例えば「実験物理学講
座14 表面・微粒子」(木下是雄 編、共立出版 1
986年9月1日発行)では次のように記述されてい
る。「本稿で微粒子と言うときにはその直径がだいたい
2〜3μm程度から10nm程度までとし、特に超微粒
子というときは粒径が10nm程度から2〜3nm程度
までを意味することにする。両者を一括して単に微粒子
と書くこともあってけっして厳密なものではなく、だい
たいの目安である。粒子を構成する原子の数が2個から
数十〜数百個程度の場合はクラスターと呼ぶ。」(19
5ページ22〜26行目) 一方、新技術開発事業団の”林・超微粒子プロジェク
ト”での「超微粒子」の定義は、粒径の下限はさらに小
さく、次のようなものであった。「創造科学技術推進精
度の”超微粒子プロジェクト”(1981〜1986)
では、粒子の大きさ(径)がおよそ1〜100nmの範
囲のものを”超微粒子”(ultra fine pa
rticle)と呼ぶことにした。すると1個の超微粒
子はおよそ100〜108個くらいの原子の集合体とい
う事になる。原子の尺度でみれば超微粒子は大〜巨大粒
子である。」(「超微粒子−創造科学技術−」林主税、
上田良二、田崎明 編;三田出版 1988年 2ペー
ジ1〜4行目)「超微粒子よりさらに小さいもの、すな
わち原子が数個〜数百個で構成される1個の粒子は、ふ
つうクラスターと呼ばれる」(同書2ページ12〜13
行目)。
【0010】上記のような一般的な呼び方をふまえて、
本明細書において「微粒子」とは多数の原子・分子の集
合体で、粒径の下限は数Å〜10Å程度、上限は数μm
程度のものを指すこととする。
【0011】電子放出部5は、導電性薄膜4の一部に形
成された高抵抗の亀裂により構成され、導電性薄膜4の
膜厚、膜質、材料及び後述する通電フォーミング等の手
法等に依存したものとなる。電子放出部5の内部には、
数オングストロームから数百オングストロームの範囲の
粒径の導電性微粒子が存在する場合もある。この導電性
微粒子は、導電性薄膜4を構成する材料の元素の一部、
あるいは全ての元素を含有するものとなる。電子放出部
5及びその近傍の導電性薄膜4には、炭素及び炭素化合
物を有することもできる。上述の表面伝導型電子放出素
子の製造方法としては様々な方法があるが、その一例を
図2に模式的に示す。以下、図1及び図2を参照しなが
ら製造方法の一例について説明する。図2においても、
図1に示した部位と同じ部位には図1に付した符号と同
一の符号を付している。 1)基板1を洗剤、純水および有機溶剤等を用いて十分
に洗浄し、真空蒸着法、スパッタ法等により素子電極材
料を堆積後、例えばフォトリソグラフィー技術を用いて
基板1上に素子電極2および3を形成する(図2
(a))。 2)素子電極2および3を設けた基板1に、有機金属溶
液を塗布して、有機金属薄膜を形成する。有機金属溶液
には、前述の導電性膜4の材料の金属を主元素とする有
機金属化合物の溶液を用いることができる。有機金属薄
膜を加熱焼成処理し、リフトオフ、エッチング等により
パターニングし、導電性薄膜4を形成する(図2
(b))。ここでは、有機金属溶液の塗布法を挙げて説
明したが、導電性薄膜4の形成はこれに限られるもので
なく、真空蒸着法、スパッタ法、化学的気相堆積法、分
散塗布法、ディッピング法、スピンナー法等を用いるこ
ともできる。 3)つづいて、フォーミング工程を施す。このフォーミ
ング工程の方法の一例として通電処理による方法を説明
する。素子電極2および3間に、不図示の電源を用い
て、通電を行うと、導電性薄膜4の部位に、構造の変化
した電子放出部5が形成される。(図2(c))。通電
フォーミングによれば導電性薄膜4に局所的に破壊、変
形もしくは変質等の構造の変化した部位が形成される。
該部位が電子放出部5を構成する。通電フォーミングの
電圧波形の例を図3に示す。
【0012】電圧波形は、パルス波形が、好ましい。こ
れにはパルス波高値を定電圧としたパルスを連続的に印
加する図3aに示した手法とパルス波高値を増加させな
がら、電圧パルスを印加する図3bに示した手法があ
る。図3aにおけるT1 及びT2 は電圧波形のパルス幅
とパルス間隔である。通常T 1 は1マイクロ秒〜10ミ
リ秒、T2 は、10マイクロ秒〜100ミリ秒の範囲で
設定される。三角波の波高値(通電フォーミング時のピ
ーク電圧)は、表面伝導型電子放出素子形態に応じて適
宜選択される。このような条件のもと、例えば、数秒か
ら数十分間電圧を印加する。パルス波形は三角波に限定
されるものではなく、矩形波など所望の波形を採用する
ことができる。図3bにおけるT1 及びT2 は、図3a
に示したのと同様とすることができる。三角波の波高値
(通電フォーミング時のピーク電圧)は、例えば0.1
Vステップ程度づつ、増加させることができる。通電フ
ォーミング処理の終了は、パルス間隔T2 中に、導電性
薄膜2を局所的に破壊、変形しない程度の電圧を印加
し、電流を検知することができる。例えば0.1V程度
の電圧印加により流れる素子電流を測定し、抵抗値を求
めて、1MΩ以上の抵抗を示した時、通電フォーミング
を終了させる。
【0013】フォーミングを終えた素子には活性化工程
と呼ばれる処理を施すのが好ましい。活性化工程とは、
この工程により、素子電流If、放出電流Ieが、著し
く変化する工程である。活性化工程は、例えば、有機物
質のガスを含有する雰囲気下で、通電フォーミングと同
様に、パルスの印加を繰り返すことで行うことができ
る。この雰囲気は、例えば油拡散ポンプやロータリーポ
ンプなどを用いて真空容器内を排気した場合に雰囲気内
に残留する有機ガスを利用して形成することができる
他、イオンポンプなどにより一旦十分に排気した真空中
に適当な有機物質のガスを導入することによっても得ら
れる。このときの好ましい有機物質のガス圧は、前述の
応用の形態、真空容器の形状や、有機物質の種類などに
より異なるため場合に応じ適宜設定される。適当な有機
物質としては、アルカン、アルケン、アルキン等の脂肪
族炭化水素類、芳香族炭化水素類、アルコール類、アル
デヒド類、ケトン類、アミン類、フェノール、カルボン
酸、スルホン酸等の有機酸類等を挙げることができ、具
体的には、メタン、エタン、プロパンなどCn2n+2
表される飽和炭化水素、エチレン、プロピレンなどCn
2n等の組成式で表される不飽和炭化水素、ベンゼン、
トルエン、メタノール、エタノール、ホルムアルデヒ
ド、アセトアルデヒド、アセトン、メチルエチルケト
ン、メチルアミン、エチルアミン、フェノール、蟻酸、
酢酸、プロピオン酸等が使用できる。この処理により、
雰囲気中に存在する有機物質から、炭素あるいは炭素化
合物が素子上に堆積し、素子電流If、放出電流Ieが
著しく変化するようになる。活性化工程の終了判定は、
素子電流Ifと放出電流Ieを測定しながら、適宜行
う。なおパルス幅、パルス間隔、パルス波高値などは適
宜設定される。ここで炭素及び炭素化合物とは、例えば
グラファイト(いわゆるHOPG、PG、GCを包含す
る。HOPGはほぼ完全なグラファイトの結晶構造、P
Gは結晶粒が200Å程度で結晶構造がやや乱れたも
の、GCは結晶粒が20Å程度になり結晶構造の乱れが
さらに大きくなったものを指す。)、非晶質カーボン
(アモルファスカーボン及び、アモルファスカーボンと
前記グラファイトの微結晶の混合物を指す)であり、そ
の膜厚は、500Å以下とするのが好ましく、300Å
以下とすることがより好ましい。
【0014】このような工程を経て得られた電子放出素
子は、さらに安定化工程を行うことが好ましい。この工
程は、真空容器内の有機物質排気する工程である。真空
容器を排気する真空排気装置は、装置から発生するオイ
ルが素子の特性に影響を与えないように、オイルを使用
しないものを用いるのが好ましい。具体的には、ソープ
ションポンプ、イオンポンプ等の真空排気装置を挙げる
ことができる。前記活性化の工程で、排気装置として油
拡散ポンプやロータリーポンプを用い、これから発生す
るオイル成分に由来する有機ガスを用いた場合は、この
成分の分圧を極力低く抑える必要がある。真空容器内の
有機成分の分圧は、上記の炭素及び炭素化合物がほぼ新
たに堆積しない分圧で1×10-8Torr以下が好まし
く、さらには1×10-10 Torr以下が特に好まし
い。さらに真空容器内を排気するときには、真空容器全
体を加熱して、真空容器内壁や、電子放出素子に吸着し
た有機物質分子を排気しやすくするのが好ましい。この
ときの加熱条件は、80〜200℃で5時間以上が望ま
しいが、特にこの条件に限るものではなく、真空容器の
大きさや形状、電子放出素子の構成などの諸条件により
適宜選ばれる条件により行う。真空容器内の圧力は極力
低くすることが必要で、1〜3×10-7Torr以下が
好ましく、1×10-8Torr以下が特に好ましい。
【0015】安定化工程を行った後の、駆動時の雰囲気
は、上記安定化処理終了時の雰囲気を維持するのが好ま
しいが、これに限るものではなく、有機物質が十分除去
されていれば、真空度自体は多少低下しても十分安定な
特性を維持することができる。このような真空雰囲気を
採用することにより、新たな炭素あるいは炭素化合物の
堆積を抑制でき、結果として素子電流If、放出電流I
eが安定する。
【0016】上述した工程を経て得られた本発明を適用
可能な電子放出素子の基本特性について図4、図5を参
照しながら説明する。図4は、真空処理装置の一例を示
す模式図であり、この真空処理装置は測定評価装置とし
ての機能をも兼ね備えている。図4においても、図1に
示した部位と同じ部位には図1に付した符号と同一の符
号を付している。図4において、55は真空容器であ
り、56は排気ポンプである。真空容器55内には電子
放出素子が配されている。即ち、1は電子放出素子を構
成する基体であり、2及び3は素子電極、4は導電性薄
膜、5は電子放出部である。51は、電子放出素子に素
子電圧Vfを印加するための電源、50は素子電極2、
3間の導電性薄膜4を流れる素子電流Ifを測定するた
めの電流計、54は素子の電子放出部より放出される放
出電流Ieを捕捉するためのアノード電極である。53
はアノード電極54に電圧を印加するための高圧電源、
52は素子の電子放出部5より放出される放出電流Ie
を測定するための電流計である。一例として、アノード
電極の電圧を1kV〜10kVの範囲とし、アノード電
極と電子放出素子との距離Hを2mm〜8mmの範囲と
して測定を行うことができる。真空容器55内には、不
図示の真空計等の真空雰囲気下での測定に必要な機器が
設けられていて、所望の真空雰囲気下での測定評価を行
えるようになっている。排気ポンプ56は、ターボポン
プ、ロータリーポンプからなる通常の高真空装置系と更
に、イオンポンプ等からなる超高真空装置系とにより構
成されている。ここに示した電子源基板を配した真空処
理装置の全体は、不図示のヒーターにより200度まで
加熱できる。従って、この真空処理装置を用いると、前
述の通電フォーミング以降の工程も行うことができる。
図5は、図4に示した真空処理装置を用いて測定された
放出電流Ie、素子電流Ifと素子電圧Vfの関係を模
式的に示した図である。図5においては、放出電流Ie
が素子電流Ifに比べて著しく小さいので、任意単位で
示している。なお、縦・横軸ともリニアスケールであ
る。図5からも明らかなように、本発明を適用可能な表
面伝導型電子放出素子は、放出電流Ieに関して対する
三つの特徴的性質を有する。すなわち (i)本素子はある電圧(しきい値電圧と呼ぶ 図5中
のVth)以上の素子電圧を印加すると急激に放出電流
Ieが増加し、一方しきい値電圧Vth以下では放出電
流Ieがほとんど検出されない。つまり、放出電流Ie
に対する明確なしきい値電圧Vthを持った非線形素子
である。 (ii)放出電流Ieが素子電圧Vfに単調増加依存する
ため、放出電流Ieは素子電圧Vfで制御できる。 (iii)アノード電極54に捕捉される放出電荷は、素子
電圧Vfを印加する時間に依存する。つまり、アノード
電極54に捕捉される電荷量は、素子電圧Vfを印加す
る時間により制御できる。以上の説明より理解されるよ
うに、本発明を適用可能な表面伝導型電子放出素子は、
入力信号に応じて、電子放出特性を容易に制御できるこ
とになる。この性質を利用すると複数の電子放出素子を
配して構成した電子源、画像形成装置等、多方面への応
用が可能となる。図5においては、素子電流Ifが素子
電圧Vfに対して単調増加する(以下、「MI特性」と
いう。)例を実線で示した。素子電流Ifが素子電圧V
fに対して電圧制御型負性抵抗特性(以下、「VCNR
特性」という。)を示す場合もある(不図示)。これら
の特性は、前述の工程を制御することで制御できる。電
子放出素子の配列については、種々のものが採用でき
る。一例として、電子放出素子をX方向及びY方向に行
列状に複数個配し、同じ行に配された複数の電子放出素
子の電極の一方を、X方向の配線に共通に接続し、同じ
列に配された複数の電子放出素子の電極の他方を、Y方
向の配線に共通に接続するものが挙げられる。このよう
なものはいわゆる単純マトリックス配置である。
【0017】本発明を適用可能な表面伝導型電子放出素
子については、前述したとおり(i)ないし(iii)
の特性がある。すなわち、表面伝導型電子放出素子から
の放出電子は、しきい値電圧以上では、対向する素子電
極間に印加するパルス状電圧の波高値と巾で制御でき
る。一方、しきい値電圧以下では、電子は殆ど放出され
ない。この特性によれば、多数の電子放出素子を配置し
た場合においても、個々の素子に、パルス状電圧を適宜
印加すれば、入力信号に応じて表面伝導型電子放出素子
を選択して電子放出量を制御できる。以下この原理に基
づき、本発明を適用可能な電子放出素子を複数配して得
られる電子源基板について、図6を用いて説明する。図
6において、71は電子源基板、72はX方向配線、7
3はY方向配線である。74は表面伝導型電子放出素
子、75は結線である。m本のX方向配線72は、D
x1、Dx2、・・・Dxmからなり、真空蒸着法、印刷法、
スパッタ法等を用いて形成された導電性金属等で構成す
ることができる。配線の材料、膜厚、巾は、適宜設計さ
れる。Y方向配線73は、Dy1、Dy2、・・・Dynのn
本の配線よりなり、x方向配線72と同様に形成され
る。これらm本のX方向配線72とn本のY方向配線7
3との間には、不図示の層間絶縁層が設けられており、
両者を電気的に分離している(m、nは、共に正の整
数)。不図示の層間絶縁層は、真空蒸着法、印刷法、ス
パッタ法等を用いて形成されたSiO2 等で構成され
る。例えば、X方向配線72を形成した基板71の全面
或は一部に所望の形状で形成され、特に、X方向配線7
2とY方向配線73の交差部の電位差に耐え得るよう
に、膜厚、材料、製法が、適宜設定される。X方向配線
72とY方向配線73は、それぞれ外部端子として引き
出されている。表面伝導型放出素子74を構成する一対
の電極(不図示)は、m本のX方向配線72とn本のY
方向配線73と導電性金属等からなる結線75によって
電気的に接続されている。配線72と配線73を構成す
る材料、結線75を構成する材料及び一対の素子電極を
構成する材料は、その構成元素の一部あるいは全部が同
一であっても、またそれぞれ異なってもよい。これら材
料は、例えば前述の素子電極の材料より適宜選択され
る。素子電極を構成する材料と配線材料が同一である場
合には、素子電極に接続した配線は素子電極ということ
もできる。X方向配線72には、X方向に配列した表面
伝導型放出素子74の行を選択するための走査信号を印
加する不図示の走査信号印加手段が接続される。一方、
Y方向配線73には、Y方向に配列した表面伝導型放出
素子74の各列を入力信号に応じて、変調するための不
図示の変調信号発生手段が接続される。各電子放出素子
に印加される駆動電圧は、当該素子に印加される走査信
号と変調信号の差電圧として供給される。
【0018】このような単純なマトリクス配置の電子源
を用いて構成した画像形成装置について、図7と図8を
用いて説明する。図7は、画像形成装置の表示パネルの
一例を示す模式図であり、図8は図7に示した電子放出
素子を複数配した電子源基板の拡大図を示す。図7にお
いて、71は電子放出素子を複数配した電子源基板、8
1は電子源基板71を固定したリアプレート、86はガ
ラス基板83の内面に蛍光膜84とメタルバック85等
が形成されたフェースプレートである。82は、支持枠
であり該支持枠82には、リアプレート81、フェース
プレート86がフリットガラス等を用いて接続されてい
る。88は外囲器であり、例えば大気中あるいは、窒素
中で、400〜500度の温度範囲で10分以上焼成す
ることで、封着して構成される。74は、図1における
電子放出部5に相当する。72、73は、表面伝導型電
子放出素子の一対の素子電極と接続されたX方向配線及
びY方向配線である。
【0019】外囲器88は、上述の如く、フェースプレ
ート86、支持枠82、リアプレート81で構成され
る。リアプレート81は主に基板71の強度を補強する
目的で設けられるため、基板71自体で十分な強度を持
つ場合は別体のリアプレート81は不要とすることがで
きる。即ち、基板71に直接支持枠82を封着し、フェ
ースプレート86、支持枠82及び基板71で外囲器8
8を構成しても良い。一方、フェースプレート86、リ
アプレート81間に、スペーサーとよばれる不図示の支
持体を設置することにより、大気圧に対して十分な強度
をもつ外囲器88を構成することもできる。
【0020】図10は、蛍光膜を示す模式図である。図
7に示された蛍光膜84は、モノクロームの場合は蛍光
体のみから構成することができる。カラーの蛍光膜の場
合は、蛍光体の配列によりブラックストライプあるいは
ブラックマトリクスなどと呼ばれる黒色導電材101と
蛍光体102とから構成することができる。ブラックス
トライプ、ブラックマトリクスを設ける目的は、カラー
表示の場合、必要となる三原色蛍光体の各蛍光体102
間の塗り分け部を黒くすることで混色等を目立たなくす
ることと、蛍光膜84における外光反射によるコントラ
ストの低下を抑制することにある。ブラックストライプ
の材料としては、通常用いられている黒鉛を主成分とす
る材料の他、導電性があり、光の透過及び反射が少ない
材料を用いることができる。図7においてガラス基板8
3に蛍光体を塗布する方法は、モノクローム、カラーに
よらず、沈澱法、印刷法等が採用できる。蛍光膜84の
内面側には、通常メタルバック85が設けられる。メタ
ルバックを設ける目的は、蛍光体の発光のうち内面側へ
の光をフェースプレート86側へ鏡面反射させることに
より輝度を向上させること、電子ビーム加速電圧を印加
するための電極として作用させること、外囲器内で発生
した負イオンの衝突によるダメージから蛍光体を保護す
ること等であり、その後Alを真空蒸着等を用いて堆積
させることで作製できる。フェースプレート86には、
更に蛍光膜84の導電性を高めるため、蛍光膜84の外
面側に透明電極(不図示)を設けてもよい。前述の封着
を行う際には、カラーの場合は各色蛍光体と電子放出素
子とを対応させる必要があり、十分な位置合わせが不可
欠となる。
【0021】次に、はしご型配置の電子源及び画像形成
装置について図11及び図12を用いて説明する。図1
1は、はしご型配置の電子源の一例を示す模式図であ
る。図11において、110は電子源基板、111は電
子放出素子である。112 Dx1〜Dx10 は、電子放出
素子111を接続するための共通配線である。電子放出
素子111は、基板110上に、X方向に並列に複数個
配されている(これを素子行と呼ぶ)。この素子行が複
数個配されて、電子源を構成している。各素子行の共通
配線間に駆動電圧を印加することで、各素子行を独立に
駆動させることができる。即ち、電子ビームを放出させ
たい素子行には、電子放出しきい値以上の電圧を、電子
ビームを放出しない素子行には、電子放出しきい値以下
の電圧を印加する。各素子行間の共通配線Dx2〜Dx9
は、例えばDx2、Dx3を同一配線とすることもできる。
【0022】図12は、はしご型配置の電子源を備えた
画像形成装置におけるパネル構造の一例を示す模式図で
ある。122はグリッド電極、123は電子が通過する
ため空孔、125はDox1 、Dox2 、・・・Doxm より
なる容器外端子である。124は、グリッド電極122
と接続されたG1、G2、・・・Gnからなる容器外端
子、120は各素子行間の共通配線を同一配線とした電
子源基板である。ここに示した画像形成装置と、図7に
示した単純マトリクス配置の画像形成装置との大きな違
いは、電子源基板120とフェースプレート121の間
にグリッド電極122を備えているか否かである。図1
2においては、基板120とフェースプレート121の
間には、グリッド電極122が設けられている。グリッ
ド電極122は、表面伝導型放出素子から放出された電
子ビームを変調するためのものであり、はしご型配置の
素子行と直交して設けられたストライプ状の電極に電子
ビームを通過させるため、各素子に対応して1個ずつ円
形の開口123が設けられている。グリッドの形状や設
置位置は図12に示したものに限定されるものではな
い。例えば、開口としてメッシュ状に多数の通過口を設
けることもでき、グリッドを表面伝導型放出素子の周囲
や近傍に設けることもできる。グリッド容器外端子12
4およびグリッド容器外端子125は、不図示の制御回
路と電気的に接続されている。
【0023】本例の画像形成装置では、素子行を1列ず
つ順次駆動(走査)していくのと同期してグリッド電極
列に画像1ライン分の変調信号を同時に印加する。これ
により、各電子ビームの蛍光体への照射を制御し、画像
を1ラインずつ表示することができる。本発明の画像形
成装置は、テレビジョン放送の表示装置、テレビ会議シ
ステムやコンピューター等の表示装置の他、感光性ドラ
ム等を用いて構成された光プリンターとしての画像形成
装置等としても用いることができる。電子放出素子の配
列が単純マトリックスである場合の表面伝導型電子放出
素子の断面図を図9に示す。図9は図8に示した表面伝
導型電子放出素子の、一対の素子電極と接続されたX方
向配線およびY方向配線をまたぐA−A’の断面図であ
る。図9において91は絶縁性基板、92はY方向配
線、93はX方向配線、94は層間絶縁層、96および
97は素子電極、98は電子放出部形成薄膜、98aは
電子放出部を示している。層間絶縁層94をアルゴンス
パッタ法により形成したSiO2 とする場合、当該絶縁
層中にアルゴンガスが混入する。フォーミング時または
素子駆動時の局所的な発熱により当該絶縁層中に含まれ
るアルゴンが外囲器88内に放出されると、これが電子
放出部から放出された電子との衝突により正にイオン化
される現象が起きる場合がある。ここで、アルゴンイオ
ンが負電極材料の仕事関数より大きいエネルギーを持っ
て負電極に到達する場合、負電極から2次電子を発生さ
せる。この2次電子はさらに外囲器88内のアルゴンを
イオン化させ、該アルゴンイオンはさらに負電極から2
次電子を発生させる。この様な機構で2次電子数がなだ
れ的に増大する場合には、層間絶縁層94から放出され
たアルゴンガスと電子放出部から放出された電子との衝
突は、連続した放電現象の一因となりうる。また、外囲
器88内に残留しているガスが電子放出部から放出され
た電子との衝突により正にイオン化される場合もある。
この場合は、これらのイオンが負電極材料の仕事関数よ
り大きいエネルギーを持って負電極に到達し、該負電極
から2次電子を発生させる可能性がある。この2次電子
はさらに外囲器88内の他の残留ガスをイオン化し、新
たに生成したイオンは負電極から2次電子を放出させる
現象を繰り返して2次電子数はなだれ的に増大すると考
えると、外囲器88内に残留するガスと電子放出部から
放出された電子との衝突は、連続した放電現象の一因と
なりうる。また、この現象は、表面伝導型電子放出素子
の配置がはしご型配置の場合でも起きる可能性がある。
ここで、層間絶縁層94から放出されるアルゴンまた
は、外囲器88内に残留するガスよりもイオン化されや
すい多原子から構成される放電抑止ガスが外囲器88内
に存在する場合を考えてみる。この場合には、アルゴン
または残留ガスに代わって当該放電抑止ガスがイオン化
される。この時イオン化ポテンシャルが解離エネルギー
より大きい場合は他の放電抑止ガスを解離させる。さら
に、負電極近傍に到達した時そのエネルギーが該負電極
の仕事関数より大きい場合には該電極から電子を引き出
してアルゴンイオンは中性化されて負電極に到達する。
負電極表面に到達した時点でのエネルギーが該電極の仕
事関数より低い場合には該電極から2次電子を発生させ
ることはない。その結果放電現象は回避されることが予
想される。
【0024】エネルギーの観点からは次のように説明で
きる。放電抑止ガスのイオン化ポテンシャルをEi、負
電極材料の仕事関数をφ、放電抑止ガスの解離エネルギ
ーをEdと定義する。Eiはアルゴン、または残留ガス
または、電子放出部74近傍からの外囲器88内に放出
されるイオンのイオン化ポテンシャルより小さいため、
放出電子との衝突によりアルゴンまたは残留ガスまたは
電子放出部74から外囲器88内に放出されたガスがイ
オン化された場合でも、放電抑止ガスのイオン化に置き
換えられる。該放電抑止ガスイオンは他の分子を解離さ
せEi−Edのエネルギーを持つイオンとなる。さらに
負電極表面に近接すると、Ei−Ed>φの場合、表面
から電子を引き出してEi−Ed−φのエネルギーを持
つ中性分子として該電極表面に到達する。このとき、E
i−φ−Ed<φになる場合は、該電極表面に到達して
も該電極からの2次電子放出は起こらず、連続した放電
は抑止される。上記効果を達成するための手段として
は、放電を抑止する無機ガスを常時外囲器88内に存在
させる手段と、少なくともアルゴンまたは残留ガスまた
は電子放出部74から外囲器88内に放出されるイオン
がイオン化される時に存在させる手段が可能である。
【0025】すなわち、第1の発明は該電子線発生装置
内に上記放電抑止ガス、具体的には、H2 、N2 、C
O、CO2 、NO、NO2 、NH3 から選ばれたガスま
たは当該ガスを適宜混合したガスを外囲器88内に封入
することを特徴とする画像形成装置を提供するものであ
る。ここで放電抑止ガスとしては上述のポテンシャル関
係を満足していればよく、上記の成分に限られるもので
はない。
【0026】第2の発明は層間絶縁層94中または、電
子放出部(図7,8では74、図9では98a)に上記
放電抑止ガスすなわちH2 、N2 、CO、CO2 、N
O、NO2 、NH3 から選ばれたガスまたは当該ガスを
適宜混合したガスを含む構成とした画像形成装置を提供
するものである。ここで放電抑止ガスとしては、上述の
ポテンシャル関係すなわち、Ei−Ed<2φを満足し
ていればよく、上記の成分に限られるものではない。
【0027】当該画像形成装置内に存在しているガスと
しては、例えば当該画像形成装置で放電が発生した際に
4重極質量分析計で検出されたN2(第1イオン化ポテ
ンシャル15.6eV、以下同)、H2(15.5e
V)、H2O(12.6eV)、CH4(12.8eV)
および、Ar(15.76eV)が挙げられる。この中
で最もイオン化ポテンシャルの低い 2 よりも第1イ
オン化ポテンシャルの低く多原子から構成されるガスと
してはNH3(10.15eV)、NO(9.26e
V)、NO2(9.75eV)が挙げられる。Arが主
として検出される場合には、CO2(13.78e
V)、CO(14.0eV)も挙げられる。さらには、
当該ガスよりもイオン化ポテンシャルが高いガスが外囲
器88内に存在する場合はH2、N2も挙げられる。これ
に対して解離エネルギーEdはH2(4.5eV)、N2
(9.7eV)、CO2(5.5eV)、CO(7.5
eV)、NH3(4.6eV)、NO(6.5eV)、
NO2(3.2eV)になる。負電極としてPtを使う
場合、その仕事関数φは5.7eVであるのでN2
2、CO2、CO、NH3、NO2、NOはEi−Ed<
2φを満足する放電を抑止するガスになる可能性が高
い。
【0028】第1の発明においては、画像形成装置内に
封入するガス圧は任意に選ぶことが可能である。しかし
ながら、封入圧力が高すぎる場合には、該電子源から放
出された電子と封入ガスとの衝突が頻発し、放出電子を
有効に利用できなくなるという問題を持つ。適する封入
ガス圧力としては1×10のマイナス7乗Torrから
1×10のマイナス5乗Torrの範囲にあればよい。
次に、単純マトリクス配置の電子源を用いて構成した表
示パネルに、NTSC方式のテレビ信号に基づいたテレ
ビジョン表示を行う為の駆動回路の構成例について、図
13を用いて説明する。図13において、131は画像
表示パネル、132は走査回路、133は制御回路、1
34はシフトレジスタ、135はラインメモリ、136
は同期信号分離回路、137は変調信号発生器、Vxお
よびVaは直流電圧源である。表示パネル131は、端
子Dox1 乃至Doxm 、端子Doy1 乃至Doyn 、及び高圧
端子Hvを介して外部の電気回路と接続している。端子
ox1 乃至Doxm には、表示パネル内に設けられている
電子源、即ち、M行N列の行列状にマトリックス配線さ
れた表面伝導型電子放出素子群を一行(N素子)ずつ順
次駆動する為の走査信号が印加される。
【0029】端子Dy1ないしDynには、前記走査信号に
より選択された一行の表面伝導型電子放出素子の各素子
の出力電子ビームを制御する為の変調信号が印加され
る。高圧端子Hvには、直流電圧源Vaより、例えば1
0K[V]の直流電圧が供給されるが、これは表面伝導
型電子放出素子より出力される電子ビームに蛍光体を励
起するのに十分なエネルギーを付与する為の加速電圧で
ある。
【0030】走査回路132について説明する。同回路
は、内部にM個のスイッチング素子を備えたもので(図
中、S1ないしSmで模式的に示している)ある。各ス
イッチング素子は、直流電圧源Vxの出力電圧もしくは
0[V](グランドレベル)のいずれか一方を選択し、
表示パネル131の端子Dx1ないしDxmと電気的に接続
される。S1乃至Smの各スイッチング素子は、制御回
路133が出力する制御信号Tscanに基づいて動作
するものであり、例えばFETのようなスイッチング素
子を組み合わせることにより構成することができる。直
流電圧源Vxは、本例の場合には表面伝導型電子放出素
子の特性(電子放出しきい値電圧)に基づき走査されて
いない素子に印加される駆動電圧が電子放出しきい値電
圧以下となるような一定電圧を出力するよう設定されて
いる。制御回路133は、外部より入力する画像信号に
基づいて適切な表示が行なわれるように各部の動作を整
合させる機能を有する。制御回路133は、同期信号分
離回路136より送られる同期信号Tsyncに基づい
て、各部に対してTscanおよびTsftおよびTm
ryの各制御信号を発生する。
【0031】同期信号分離回路136は、外部から入力
されるNTSC方式のテレビ信号から同期信号成分と輝
度信号成分とを分離する為の回路で、一般的な周波数分
離(フィルター)回路等を用いて構成できる。同期信号
分離回路136により分離された同期信号は、垂直同期
信号と水平同期信号より成るが、ここでは説明の便宜上
Tsync信号として図示した。一方、前記テレビ信号
から分離された画像の輝度信号成分は便宜上DATA信
号と表した。該DATA信号はシフトレジスタ134に
入力される。シフトレジスタ134は、時系列的にシリ
アルに入力される前記DATA信号を、画像の1ライン
毎にシリアル/パラレル変換するためのもので、前記制
御回路133より送られる制御信号Tsftに基づいて
動作する(すなわち、制御信号Tsftは、シフトレジ
スタ134のシフトクロックであるということもでき
る。)。シリアル/パラレル変換された画像1ライン分
(電子放出素子N素子分の駆動データに相当)のデータ
は、Id1ないしIdnのN個の並列信号として前記シフト
レジスタ134より出力される。ラインメモリ135
は、画像1ライン分のデータを必要時間の間だけ記憶す
る為の記憶装置であり、制御回路133より送られる制
御信号Tmryにしたがって適宜Id1ないしIdnの内容
を記憶する。記憶された内容は、I'd1 ないしI'dnと
して出力され、変調信号発生器137に入力される。変
調信号発生器137は、前記画像データI'd1 ないし
I'dn の各々に応じて表面伝導型電子放出素子の各々を
適切に駆動変調するための信号源であり、その出力信号
は、端子Doy1 ないしDoyn を通じて表示パネル131
内の表面伝導型電子放出素子に印加される。
【0032】前述したように、本発明を適用可能な電子
放出素子は放出電流Ieに対して以下の基本特性を有し
ている。すなわち、電子放出には明確なしきい値電圧V
thがあり、Vth以上の電圧を印加された時のみ電子
放出が生じる。電子放出しきい値以上の電圧に対して
は、素子への印加電圧の変化に応じて放出電流も変化す
る。このことから、本素子にパルス状の電圧を印加する
場合、例えば電子放出閾値以下の電圧を印加しても電子
放出は生じないが、電子放出閾値以上の電圧を印加する
場合は電子ビームが出力される。その際、パルスの波高
値Vmを変化させることにより出力電子ビームの強度を
制御することが可能である。また、パルスの幅Pwを変
化させることにより出力される電子ビームの電荷の総量
を制御することが可能である。したがって、入力信号に
応じて電子放出素子を変調する方式としては、電圧変調
方式、パルス幅変調方式等が採用できる。電圧変調方式
を実施するに際しては、変調信号発生器137として、
一定長さの電圧パルスを発生し、入力されるデータに応
じて適宜パルスの波高値を変調するような電圧変調方式
の回路を用いることができる。パルス幅変調方式を実施
するに際しては、変調信号発生器137として、一定の
波高値の電圧パルスを発生し、入力されるデータに応じ
て適宜電圧パルスの幅を変調するようなパルス幅変調方
式の回路を用いることができる。シフトレジスタ134
やラインメモリ135は、デジタル信号式のものをもア
ナログ信号式のものをも採用できる。画像信号のシリア
ル/パラレル変換や記憶が所定の速度で行なわれればよ
いからである。
【0033】デジタル信号式を用いる場合には、同期信
号分離回路136の出力信号DATAをデジタル信号化
する必要があるが、これには136の出力部にA/D変
換器を設ければよい。これに関連してラインメモリ13
5の出力信号がデジタル信号かアナログ信号かにより、
変調信号発生器137に用いられる回路が若干異なった
ものとなる。すなわち、デジタル信号を用いた電圧変調
方式の場合、変調信号発生器137には、例えばD/A
変換回路を用い、必要に応じて増幅回路などを付加す
る。パルス幅変調方式の場合、変調信号発生器137に
は、例えば高速の発振器および発振器の出力する波数を
計数する計数器(カウンタ)及び計数器の出力値と前記
メモリの出力値を比較する比較器(コンパレータ)を組
み合せた回路を用いる。必要に応じて比較器の出力する
パルス幅変調された変調信号を表面伝導型電子放出素子
の駆動電圧にまで電圧増幅するための増幅器を付加する
こともできる。
【0034】アナログ信号を用いた電圧変調方式の場
合、変調信号発生器137には、例えばオペアンプなど
を用いた増幅回路を採用でき、必要に応じてレベルシフ
ト回路などを付加することもできる。パルス幅変調方式
の場合には、例えば、電圧制御型発振回路(VCO)を
採用でき、必要に応じて表面伝導型電子放出素子の駆動
電圧まで電圧増幅するための増幅器を付加することもで
きる。このような構成をとり得る本発明を適用可能な画
像表示装置においては、各電子放出素子に、容器外端子
ox1 ないしDoxm 、D0y1 ないしDoyn を介して電圧
を印加することにより、電子放出が生ずる。高圧端子H
vを介してメタルバック85、あるいは透明電極(不図
示)に高圧を印加し、電子ビームを加速する。加速され
た電子は、蛍光膜84に衝突し、発光が生じて画像が形
成される。ここで述べた画像形成装置の構成は、本発明
を適用可能な画像形成装置の一例であり、本発明の技術
思想に基づいて種々の変形が可能である。入力信号につ
いては、NTSC方式を挙げたが入力信号はこれに限ら
れるものではなく、PAL、SECAM方式などの他、
これよりも、多数の走査線からなるTV信号(例えば、
MUSE方式をはじめとする高品位TV)方式をも採用
できる。
【0035】
【実施例】以下に、実施例をあげて本発明を詳述する。
【0036】実施例1 本発明にかかわる基本的な表面伝導型電子放出素子の構
成は、図8、図9の平面図及び断面図と同様である。ま
ず、図14を用いて、本発明に関わる素子の基本的な構
成及び電子放出素子をマトリックスに配置した場合の製
造法を説明する。
【0037】以下、図14に基づいて順を追って製造方
法を説明する。工程aからhは図14の(a)から
(h)に対応する。 工程a 清浄化した青板ガラス上に厚さ0.5ミクロンのシリコ
ン酸化膜をスパッタ法で形成した基板141上に、真空
蒸着法により300ÅのCr、6000ÅのCu、およ
び300ÅのCr層を順次積層後フォトレジスト法によ
りX方向配線143を形成した。 工程b 次にアルゴンガスを用いたRFスパッタ法によりSiO
2 からなる1.2μm厚さの層間絶縁層144を堆積し
た。 工程c 工程bで堆積したSiO2 膜にコンタクトホール144
aを形成するためのフォトレジストパターンを作り、こ
れをマスクとして層間絶縁層144をエッチングしてコ
ンタクトホール144aを形成した。エッチングはCF
4 とH2 ガスを用いたRIE(Reactive Io
n etching)法によった。 工程d その後、素子電極146および147と素子電極間ギャ
ップとなるべきパターンをホトレジスト(RD−200
0N−41日立化成社製)形成し、真空蒸着法により、
厚さ100ÅのTi、厚さ400ÅのPtを順次堆積し
た。ホトレジストパターンを有機溶剤で溶解し、Pt/
Ti堆積膜をリフトオフし、素子電極間隔L(図1a)
は10ミクロンとし、素子電極の幅W(図1a)300
ミクロンを有する素子電極146および147を形成し
た。 工程e 次に素子電極146と147の上にX方向配線142の
フォトレジストパターンを形成した後、厚さ150オン
グストロームのTa、厚さ1ミクロンメートルのAuを
順次真空蒸着により堆積し、リフトオフにより不要な部
分を除去して所望の形状のX方向配線142を形成し
た。 工程f 図15に示すような、素子電極間隔L1だけ間をおいて
位置する一対の素子電極146、147を跨ぐような開
口20aを有するマスクを用い、膜厚1000オングス
トロームのCr膜145を真空蒸着により堆積、パター
ニングし、その上に有機Pd(ccp4230奥野製薬
(株)社製)をスピンナーにより回転塗布、300℃で
10分間大気中で加熱焼成処理をした。こうして形成さ
れた主としてPdOよりなる微粒子からなる導電性薄膜
148の膜厚は100オングストローム、シート抵抗値
は2×10の4乗Ω/□であった。 工程g 次に、Cr膜および焼成後の導電性薄膜148を酸エッ
チャントによりエッチングして所望のパターンを形成し
た。 工程h コンタクトホール144a以外にレジストを塗布するよ
うなパターンを形成し、真空蒸着により厚さ150オン
グストロームのTaと1ミクロンメートルのAuを順次
堆積した。リフトオフ法により不要な部分を除去するこ
とによりコンタクトホール144aを埋め込んだ。以上
の工程により基板141上に、X方向配線142、Y方
向配線143、層間絶縁層144、素子電極146、1
47、電子放出部形成薄膜148等を2次元状にかつ等
間隔に形成した。以上の工程により作製された電子放出
素子を複数配した電子源基板を用いたパネルの構成を図
7を用いて説明する。71は以上の工程により作製され
た電子放出素子を複数配した電子源基板141に同じで
ある。81は電子源基板71を固定したリアプレート、
86はガラス基板83の内面に蛍光膜84とメタルバッ
ク85を形成したフェースプレートである。82は支持
枠であり、該支持枠82にはリアプレート81、フェー
スプレート86がフリットガラス等を用いて接続されて
いる。88は外囲器であり、たとえば大気中あるいは窒
素中で、400〜500度の温度範囲で10分以上焼成
することで、封着して構成される。次に、フォーミング
処理により電子放出部形成薄膜148内に不図示の電子
放出部を形成した。図7および図9を用いてフォーミン
グ処理について説明する。上述の工程により形成した電
子源基板71を不図示の排気間を通じて真空ポンプにて
排気し、十分な真空に達した後、容器外端子Dx1ないし
xmとDy1ないしD ynを通じ、電子放出素子74の素子
電極96、97間に電圧を印加し、電子放出部形成薄膜
98を通電処理(フォーミング処理)することにより電
子放出部98aを形成した。フォーミング処理として1
0のマイナス6乗Torrの真空雰囲気下で図3に示す
ようなパルス幅T1 が1ミリ秒、波高値(フォーミング
時のピーク電圧)が5Vの三角波を、10ミリ秒のパル
ス間隔60秒間素子電極96、97間に通電した。上述
のような構成と製造方法によって作製された本発明の電
子放出素子の特性評価について、図16に示した評価装
置の概略図を用いて説明する。図16は、図7に示した
単純マトリックス配置の電子源のうちの1個の電子放出
素子に対応したものであり、161、1641は絶縁性
基板、162はY方向配線、163はX方向配線、16
4は層間絶縁層、164aはX方向配線163と素子電
極166をつなぐためのコンタクトホール、166、1
67は素子電極、168は電子放出部168aを含む薄
膜、169は外囲器、1631は素子電極166、16
7に素子電圧を印加するための電源、1632は素子電
極間電圧計、1633はアノード電極、1634はアノ
ード電源、1635はアノード素子間電流計、1636
は外囲器169にガスを導入する弁、1637はガスボ
ンベ、1639は排気弁、1640は排気ポンプであ
る。図16に示した弁1636を閉じて弁1639を開
け、排気ポンプ1640により外囲器169内を10の
−9乗Torr台まで排気した後、弁1639を閉じ弁
1636を開けてガスボンベ1637からNH3 を10
の−7乗Torr台まで導入し、弁1636を閉じてN
3 ガスを外囲器169内に封入した。この後、素子電
極166、167間に素子電圧(Vf)=17Vを印加
した。ここでは電子放出素子とアノード間には3KV印
加した。
【0038】放電抑止ガスを封入しない場合、全電子放
出素子の1/3程度の負の素子電極167ならびに、Y
方向配線162が破壊されたのに対して、素子電極16
7およびY方向配線が破壊された素子は全電子放出素子
の1/5程度まで低減することができた。
【0039】実施例2 層間絶縁層164をNO2 100%ガスを用いたスパッ
タ法により作製した点および外囲器169内を放電抑止
ガスを封入せずに10のマイナス8乗Torr台に維持
する点以外は実施例1とまったく同様に電子源を作製し
た。層間絶縁層中のN濃度は、NO2 換算で0.1から
0.5重量%になるように調整した。アルゴン100%
でのスパッタ法により層間絶縁層164を作製した場
合、全電子放出素子の1/3程度の負の素子電極167
ならびにY方向配線162が破壊されたが、本手法では
破壊された電子放出素子数を全体の1/4程度まで低減
することができた。
【0040】実施例3 層間絶縁層164を作製するスパッタガスをNO2
し、かつ、外囲器169内に10のマイナス7乗Tor
r台のNH3 ガスを封入した点以外は実施例1とまった
く同様に電子源を作製した。アルゴン100%でのスパ
ッタ法により層間絶縁層164を作製し、外囲器169
内を10のマイナス8乗台に維持した場合、全電子放出
素子の1/3程度に相当する負の素子電極167ならび
にY方向配線162が破壊されたが、本手法では破壊さ
れた電子放出素子数を全体の1/10程度まで低減する
ことができた。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、表面伝導型電子放
出素子を配置した画像形成装置において発生する放電現
象を、当該画像形成装置内に無機ガスを封入することに
より抑制し、放電により表面伝導型電子放出素子が破壊
されるのを防ぐことができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用可能な表面伝導型電子放出素子の
1例を示す模式的平面図および断面図である。
【図2】本発明を適用可能な表面伝導型電子放出素子の
製造方法の1例を示す模式図である。
【図3】本発明を適用可能な表面伝導型電子放出素子の
製造に関して採用できる通電フォーミング処理における
電圧波形の1例を示す模式図である。
【図4】測定評価機能を備えた真空処理装置の1例を示
す模式図である。
【図5】本発明を適用可能な表面伝導型電子放出素子に
ついての放出電流Ie、素子電流Ifと素子電圧Vfの
関係の1例を示す模式図である。
【図6】本発明を適用可能な単純マトリックス配置した
電子源の1例を示す模式図である。
【図7】本発明を適用可能な画像形成装置の表示パネル
の1例を示す模式図である。
【図8】本発明を適用可能な単純マトリックス配置した
電子源の模式的平面図である。
【図9】本発明を適用可能な単純マトリックス配置した
電子源の模式的断面図である。
【図10】蛍光膜の1例を示す模式図である。
【図11】本発明を適用可能な梯子配置の電子源の1例
を示す模式図である。
【図12】本発明を適用可能な画像形成装置の標示パネ
ルの1例を示す模式図である。
【図13】画像形成装置にNTSC方式のテレビ信号に
応じて表示を行うための駆動回路の1例を示すブロック
図である。
【図14】本発明を適用可能な単純マトリックス配置し
た電子源の製造工程を順に示す模式図である。
【図15】本発明を適用可能な表面伝導型電子放出素子
の電子放出部形成用薄膜を形成する際に用いられるマス
クの1例を示す模式的平面図である。
【図16】測定評価機能を備えた真空処理装置の1例を
示す模式図である。
【図17】表面伝導型電子放出素子の典型的例の摸式図
である。
【符号の説明】
1 基板 2、3 素子電極 4 導電性薄膜 5 電子放出部 20 マスク 20a 開口 50 電流計 51 電源 52 電流計 53 高圧電源 54 アノード電極 55 真空容器 56 排気ポンプ 71 電子源基板 72 X方向配線 73 Y方向配線 74 表面伝導型電子放出素子 75 結線 81 リアプレート 82 支持枠 83 ガラス基板 84 蛍光膜 85 メタルバック 86 フェースプレート 88 外囲器 91 絶縁性基板 92 X方向配線 93 Y方向配線 94 層間絶縁層 94a コンタクトホール 96、97 素子電極 98 電子放出部形成薄膜 98a 電子放出部 101 黒色導電材 102 蛍光体 110 電子源基板 111 電子放出素子 112:Dx1〜Dx10 共通配線 120 電子源基板 121 フェースプレート 122 グリッド電極 123 空孔 124 容器外端子 125 容器外端子 131 表示パネル 132 走査回路 133 制御回路 134 シフトレジスタ 135 ラインメモリ 136 同期信号分離回路 137 変調信号発生器 Vx及びVa 直流電圧源 141 絶縁性基板 142 Y方向配線 143 X方向配線 144 層間絶縁層 144a コンタクトホール 145 Cr層 146、147 素子電極 148 電子放出部形成薄膜 161 絶縁性基板 162 Y方向配線 163 X方向配線 164 層間絶縁層 164a コンタクトホール 166、167 素子電極 168 電子放出部形成薄膜 168a 電子放出部 169 外囲器 1631 電源 1632 電流計 1633 アノード電極 1634 アノード電源 1635 電流計 1636 ガス導入弁 1637 ガスボンベ 1639 排気弁 1640 排気ポンプ 1641 絶縁性基板

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面伝導型電子放出素子を複数配した電
    子源基板と蛍光膜とを、その内部に備えると共に、その
    内部にH 2 Oガスが存在する外囲器を有する画像形成装
    置において、前記外囲器内に 2 Oよりも第1イオン化
    ポテンシャルが低く、多原子から構成される無機ガスが
    封入されていることを特徴とする画像形成装置。
  2. 【請求項2】 前記無機ガスのイオン化ポテンシャルと
    解離エネルギーの差が当該外囲器内の電子源の負電極を
    形成する材料の仕事関数の2倍以下であることを特徴と
    する請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 【請求項3】 前記無機ガスがNO、NO2、NH3から
    選ばれるガス、又はこれらの混合ガスである請求項1に
    記載の画像形成装置。
  4. 【請求項4】 前記無機ガスの封入圧力が1×10-7
    orrないし1×10-5Torrの範囲である請求項1
    に記載の画像形成装置。
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