JP3284699B2 - ノルボルネン系樹脂成形品製造用反応原液及びノルボルネン系樹脂成形品の製造方法 - Google Patents

ノルボルネン系樹脂成形品製造用反応原液及びノルボルネン系樹脂成形品の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、反応成形法によりノル
ボルネン系樹脂成形品を製造するための反応原液及び該
反応原液を用いたノルボルネン系樹脂成形品の製造方法
に関し、更に詳しくは、保存安定性が改善され、また、
ノルボルネン系樹脂成形品の大きさに応じて反応液のポ
ットライフを変化させることが可能な、ノルボルネン系
樹脂成形品製造用の反応原液及び該反応原液を用いたポ
ットライフの調節可能なノルボルネン系樹脂成形品の製
造方法に関する。
【0002】
【従来技術】近年、ノルボルネン系モノマーとメタセシ
ス触媒からなる反応原液と、ノルボルネン系モノマーと
メタセシス共触媒からなる反応原液をミキシングヘッド
で混合した反応液を金型内に注入して塊状重合させるこ
とによりノルボルネン系樹脂成形品成形品を製造する反
応成形法について技術開発が進められている。この方法
により得られるノルボルネン系樹脂成形品(以下、成形
品と記す)は耐熱性、寸法安定性、耐吸水性等にすぐれ
ており、しかも軽量であるという特徴を有している上、
小型の成形品のみならず大型や複雑形状の成形品の成形
も可能なので、その市場が拡大してきている。
【0003】ところで、ノルボルネン系モノマーを用い
た反応成形法においては、一般に、ノルボルネン系モノ
マー及びメタセシス触媒を含有する反応原液(以下、A
液と記す。)とノルボルネン系モノマー及び共触媒を含
有する反応原液(以下、B液と記す。)をミキシングヘ
ッドで混合した後、混合した反応原液(以下、反応液と
記す。)を金型内に注入し、反応液を硬化させて成形品
を成形する。
【0004】小型の成形品の場合には、金型への注入に
要する時間が短いため、生産効率上の観点からポットラ
イフの短い反応液が用いられている。一方、大型で複雑
な形状の成形品を成形するためには、ポットライフの長
い反応液を使用する必要がある。そこで、一般に、大型
の成形品を成形する場合は、小型の成形品の場合に用い
る反応液よりもポットライフの長いノルボルネン系樹脂
成形品製造用反応原液(以下、反応原液)を調製して成
形する方法がとられている。
【0005】しかし、従来、反応液のポットライフの調
節は、B液中に添加する活性調節剤の量によって行われ
ており、他に成形品に応じてポットライフを調節する適
当な手段がなかった。
【0006】すなわち、一旦B液用タンクで所定のB液
が調製されてしまうとポットライフは固定されてしま
い、例えば、反応成形時にA液とB液の混合比率をかえ
て成形しても、反応液のポットライフは共触媒と活性調
節剤の混合比率によってほぼ決定され、触媒と共触媒の
混合比率にはあまり影響されないため、変化しない。
【0007】また、ポットライフを延長するためにB液
側に活性調節剤を添加した場合には、通常、次のような
問題がある。すなわち、共触媒は一般に酸素、水分等に
きわめて敏感で、タンク保存中に失活することがしばし
ば発生するが、初期のポットライフが長い配合ほど失活
しやすく、その取扱いが非常に難しい。
【0008】このため、失活したB液の活性を回復する
方法として、B液中に新たに共触媒を添加する方法が提
案されている。(特開平4−339821号)。しか
し、この方法では、B液全体の活性を調節するので、そ
の調節作業が大変であり、また、例え活性を回復できて
も、その時の活性に固定化されてしまうため、成形品の
大きさに応じて反応液のポットライフを自由にコントロ
ールすることは困難である。
【0009】さらに、ポットライフを長くした配合は、
成形サイクルの指標となる発煙時間をも長く遅らせるの
で、生産効率の観点からも問題がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、前記従
来技術の有する問題点を克服するために鋭意研究した結
果、活性調節剤をすべてB液側に添加するのではなく、
活性調節剤の一部を、A液側に添加することにより、B
液の活性低下を防止でき、また、該A液とB液の組み合
せを用い、A液とB液の混合比率を調節することが可能
な注型機を使用して成形することにより、発煙時間を過
度に遅らせることなく反応液のポットライフの調節を容
易に行いうることを見出し、その知見に基づいて本発明
を完成するに至った。
【0011】
【課題を解決するための手段】かくして本発明によれ
ば、一つの発明として、ノルボルネン系モノマーとメタ
セシス触媒と活性調節剤の少なくとも一部とを含む反応
原液(A液)と、ノルボルネン系モノマーと共触媒と残
りの活性調節剤とを含む反応原液(B液)とからなるノ
ルボルネン系樹脂成形品製造用反応原液が提供され、ま
た、他の発明として、該ノルボルネン系樹脂成形品製造
用反応原液を用い、A液とB液の混合比率を調節するこ
とが可能な注型機を使用してノルボルネン系モノマーを
塊状重合することを特徴とするノルボルネン系樹脂成形
品の製造方法が提供される。
【0012】以下、本発明について詳述する。
【0013】(反応原液) (ノルボルネン系モノマー)本発明において使用するノ
ルボルネン系モノマーは、ノルボルネン環をもつもので
あればいずれでもよいが、三環体以上の多環ノルボルネ
ン系モノマーを用いると、熱変形温度の高い重合体が得
られる。また、生成する開環重合体を熱硬化型とするた
めに、全モノマー中の少なくとも10重量%、好ましく
は30重量%以上の架橋性モノマーを使用してもよい。
【0014】ノルボルネン系モノマーの具体例として
は、例えば、ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、テ
トラシクロドデセン、トリシクロペンタジエン、テトラ
シクロペンタジエン等のノルボルネン環を有する化合物
等が挙げられる。ノルボルネン環を有する化合物には、
当然、例えば2−メチルノルボルネン、2−エチリデン
ノルボルネン、2−ビニルノルボルネン、2−フェニル
ノルボルネン、メチルテトラシクロドデセン等の置換基
を有するノルボルネン環を有する化合物も含まれる。こ
れらのモノマーは、1種以上を組合わせて用いてもよ
い。
【0015】反応性の二重結合を2個以上有する多環ノ
ルボルネン系モノマーを架橋性モノマーとして用いる
と、架橋したノルボルネン樹脂を得ることができ、耐熱
性、機械的性質を改善する点から好ましい。ただし、主
成分であるノルボルネン系モノマーが架橋性モノマーで
ある場合には、格別他の架橋性モノマーを用いる必要は
ない。
【0016】なお、上記ノルボルネン系モノマーの1種
以上と共に開環重合し得るシクロブテン、シクロペンテ
ン、シクロペンタジエン、シクロオクテン、シクロドデ
センなどの単環シクロオレフィンなどを、本発明の目的
を損なわない範囲で併用することもできる。
【0017】(メタセシス触媒系)本発明においてはノ
ルボルネン系モノマーの開環重合用触媒として公知のメ
タセシス触媒と共触媒(活性剤ともいう)とからなるメ
タセシス触媒系が使用できる。
【0018】本発明において使用するメタセシス触媒の
具体例としては、タングステン、モリブデン等のハロゲ
ン化物、オキシハロゲン化物、酸化物、有機アンモニウ
ム塩などが挙げられる。これらの中でも、活性調節剤と
の反応が少ないことから、モリブデンやタングステンな
どの有機アンモニウム塩が好ましく、特に、特開昭59
−51911号などに記載の有機アンモニウム塩が好ま
しい。
【0019】好ましいメタセシス触媒の具体例として
は、例えば、トリデシルアンモニウムモリブデート、メ
チルトリカプリルアンモニウムモリブデート、トリ(ト
リデシル)アンモニウムモリブデート、トリオクチルア
ンモニウムモリブデートなどを挙げることができる。
【0020】また、モリブデンやタングステンなどのハ
ロゲン化物やオキシハロゲン化物を使用する場合は、フ
ェノール、アルコール等で変性したり、キレート化剤で
処理することにより、モノマーに可溶化して使用するこ
とが好ましい。
【0021】本発明において使用する共触媒は、アルキ
ルアルミニウム、アルキルアルミニウムハライド、アル
コキシアルキルアルミニウム、アルコキシアルキルアル
ミニウムハライド、アリールオキシアルキルアルミニウ
ム、アリールオキシアルキルアルミニウムハライド、有
機錫化合物等が挙げられる(例えば、特開昭64−92
19号)。
【0022】好ましい共触媒としては、例えば、ジエチ
ルアルミニウムクロライド、ジオクチルアルミニウムア
イオダイド、エチルアルミニウムジクロライド、n−プ
ロポキシエチルアルミニウムクロライドなどが挙げられ
る。
【0023】メタセシス触媒の使用量は、ノルボルネン
系モノマーの1モルに対し、通常、約0.01〜50ミ
リモル、好ましくは0.1〜20ミリモルの範囲で用い
られる。共触媒は、メタセシス触媒成分に対して、通
常、0.1〜200(モル比)、好ましくは1〜10
(モル比)の範囲で用いられる。
【0024】なお、メタセシス触媒および共触媒は、い
ずれもモノマーに溶解して用いるのが好ましいが、生成
物の性質を本質的に損なわない範囲であれば少量の溶剤
に懸濁または溶解させて用いてもよい。
【0025】(活性調節剤)本発明においては、B液の
活性低下を防止し、かつA液とB液の混合液である反応
液のポットライフの調節を容易にするために、一般には
共触媒と組み合わせて用いられる活性調節剤の一部を触
媒側に添加する。
【0026】本発明において使用する活性調節剤として
は、一般に、アルコールのような酸、または、アミンや
エーテル等のようなルイス塩基が用いられ、活性調節剤
を使用することにより、メタセシス重合の開始を遅らせ
ることができる(例えば、特開昭63−99206号、
特開昭63−241008号、特開昭64−9219号
等)。
【0027】本発明において使用する活性調節剤として
は、上記化合物で、触媒と予備混合しても重合活性に悪
影響をもたらさないものであれば使用可能である。
【0028】このような活性調節剤としては、例えば、
アルコール、フェノール、エーテル、エステル、ケト
ン、ニトリル、アミン、チオール、チオフェノール、チ
オエーテル、チオエステル、チオケトン等を挙げること
ができるが、中でも、アルコール、フェノール、チオー
ル、アミン、特に、アルコールはポットライフを遅延さ
せる効果が高いのでポットライフの調節を行いやすく好
ましい。
【0029】具体的には、アルコールとしては、メチル
アルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール等
の脂肪族アルコール、シクロヘキシルアルコール等の脂
環族アルコールの他、脂肪族グリコール、脂環族グリコ
ール等の他価アルコールが挙げられる。
【0030】フェノールとしては、フェノール、2−メ
チルフェノール、2,4−ジメチルフェノール等の脂肪
族置換フェノール、4−シクロペンチルフェノール等の
脂環族置換フェノール、4−ベンジルフェノール等の芳
香族置換フェノール等が挙げられる。
【0031】エーテルとしては、ジメチルエーテル、ジ
エチルエーテル等の炭化水素系エーテル、フェニルエー
テル等の芳香族系エーテル等が挙げられる。エステルと
しては、酢酸メチル、酢酸エチル等のジアルキルエーテ
ル、酢酸フェニル等のフェニルエーテルが挙げられる。
【0032】ケトンとしては、アセトン、メチルエチル
ケトン等のアルキルアセトンの他、アセチルアセトン等
が挙げられる。特に、アセチルアセトンのようなケトエ
ノール互変異性を有するケトンはアルコールと同等の効
果を有し好ましい。
【0033】アルコール、フェノール、エーテル、ケト
ン等はハロゲンを含んでいても構わない。
【0034】ニトリル化合物としては、シアン化メチ
ル、シアン化エチル、シアン化プロピル等が挙げられ
る。
【0035】アミンとしては、メチルアミン、エチルア
ミン等の第一級アルキルアミンの他、第二級アルキルア
ミン、第三級アルキルアミン、アニリン、ピリジン、ピ
コリン等の芳香族アミン等が挙げられる。
【0036】チオール、チオエーテル、チオエステル、
チオケトンとしては、上記アルコール、フェノール、エ
ーテル、エステル、ケトンの酸素を硫黄で置き換えた化
合物等が挙げられる。
【0037】活性調節剤の添加順序は特に限定されない
が、その一部を共触媒側の反応原液に添加する場合、共
触媒を添加した後に活性調節剤を添加するのが均一な反
応系を調製するために好ましい。また、エラストマーの
溶解等のようなモノマーを加熱する操作はメタセシス触
媒系の失活を招きやすいので、活性調節剤はできるだけ
そのような操作の後にモノマー中に添加することが好ま
しい。
【0038】また、活性調節剤を第3液として供給する
ことも考えられるが、3液を一度に混合すると、部分的
に触媒と共触媒が接触反応するため、ポットライフの制
御が困難となる。
【0039】活性調節剤の使用量は、活性調節剤の種類
にもよるが、活性調節剤全体で、共触媒に対し、通常、
0.5〜2.5(モル比)、好ましくは、0.7〜2.
0である。
【0040】触媒側と共触媒側への活性調節剤の添加比
率は、成形品の大きさ、反応液の活性、活性調節剤の種
類により適宜決定されるが、通常、A液側に、1〜50
%、好ましくは5〜40%、さらに好ましくは10〜3
0%である。
【0041】このように、活性調節剤の一部をA液側へ
添加するため、その分B液側への活性調節剤の添加量が
減り、全ての活性調節剤をB液側へ添加したときに比較
して、反応原液の貯蔵安定性が改善される。
【0042】また、前記したように、反応液のポットラ
イフは共触媒と活性調節剤の混合比率によってほぼ決定
されるので、反応成形時にA液とB液の混合比率をかえ
ることによりポットライフを調節することが可能とな
る。
【0043】(任意成分)ノルボルネン系ポリマーに
は、反応活性化剤、酸化防止剤、充填材、補強材、顔
料、着色剤、エラストマーなどの添加剤を配合すること
ができる。これらの添加剤は、反応原液に溶解ないしは
分散させて配合したり、第3液として反応液に供給され
るが、金型内に配設しておく場合もある。
【0044】また、反応原液に添加するエラストマーと
しては、例えば、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエ
ン共重合体(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレ
ンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン
−スチレン共重合体(SIS)などが挙げられるが、こ
れらのエラストマーを反応液に添加すると、得られるポ
リマーに耐衝撃性が付与されるだけではなく、反応液の
粘度を調節することができる。
【0045】(注型機)本発明において使用する注型機
は、A液とB液の混合比率を任意に調節可能な注型機で
あれば、特に限定されないが、反応射出成形(RIM)
用注型機として公知の衝突混合型の注型機を使用するこ
とが好ましい。この場合、二種類の反応原液の流れをR
IM機のミキシングヘッドで瞬間的に混合して反応液と
し、次いで該反応液を金型中に注入し、そこで即座に塊
状重合させて成形品を得る。
【0046】衝突混合型の注型機以外でも、A液とB液
の吐出量を任意に調節可能な注型機ならば使用すること
ができる。このような注型機としては、例えば、A液側
とB液側の原料ラインに流量調節弁を設けて、それぞれ
の反応原液の流量を調節できるようにし、ダイナミック
ミキサーやスタチックミキサーなどを混合手段として使
用する低圧注入機が挙げられる。
【0047】(反応成形) (成形方法)反応成形法によるノルボルネン系ポリマー
の好ましい製造方法では、一般に、ノルボルネン系モノ
マーを二液に分けて別の容器に入れ、一方にはメタセシ
ス触媒を添加しA液とし、他方には共触媒を添加してB
液とし、二種類の安定な反応原液を調製する。この二種
類の反応原液を混合し、次いで所定形状の金型内に注入
し、そこで塊状による開環重合を行なう。
【0048】本発明においては、活性調節剤の一部がA
液側に添加されているので、A液とB液の混合比率を変
化させることで、反応液のポットライフを変化させるこ
とができる。例えば、B液の使用比率を高めるとポット
ライフが短縮され、逆にその使用比率を低めるとポット
ライフが延長される。
【0049】従って、成形品の大きさにあわせてポット
ライフを変化させることが可能で、品質の優れた成形品
を効率よく成形することができる。また、B液の貯蔵中
に何らかの原因で反応活性が低下した場合でも、B液の
混合比率を高めることで、容易に適正なポットライフに
調節することができる。さらに、活性調節剤の一部をA
液側に添加して成形した場合、その理由はよく分からな
いが、発煙時間を過度に変化させることなくポットライ
フを調節することができるため、生産効率の観点からも
好ましい。
【0050】例えば、小さな成形品から大きな成形品に
変更する場合にはポットライフを長く変更する必要があ
る。このような場合、従来は、反応原液自体をポットラ
イフが長くなるA液とB液の組合せに変更して対応して
いたため作業が煩雑であり、また、成形品一つ一つに対
応したポットライフが得られるようにA液とB液を用意
する必要があった。しかし、本発明によれば、例えば、
A液の吐出量を増加させることで反応液中の活性調節剤
の添加量が増加し、反応液のポットライフを遅くするこ
とが可能なので、ポットライフの調節が可能な範囲では
同一の反応原液を用いることができる上、成形時間を長
くする必要もなく、従来のような反応原液の変更に伴う
煩雑さや大型の成形品を生産する際の生産効率の低下は
ない。
【0051】また、B液の貯蔵中に活性低下が生じた場
合でも、従来は、成形直前に、B液に共触媒を追加添加
して活性の調節を行っていたが、本発明によれば、例え
ば、A液側の吐出量を減少させることで活性調節剤の添
加量を減少させ、所望のポットライフに復元させること
が可能なので、この点でも従来のような煩雑さはない。
【0052】ところで、A液とB液の混合比率をかえる
と、共触媒に対する活性調節剤量だけでなく、触媒の
量、モノマーの量も変化し、その結果、触媒と共触媒の
比率、モノマーと触媒の比率、モノマーと共触媒の比率
等も一様に変化し、所望の品質の成形品が得られないの
ではないかという懸念が生じるが、ノルボルネン系モノ
マーのメタセシス重合においては、触媒と共触媒の比
率、モノマーと触媒の比率、モノマーと共触媒の比率等
に多少の変化があっても得られる成形品の品質にはなん
ら影響がないという事実がある。例えばRIM成形にお
いてはA液とB液の比率は±20%程度は許容範囲であ
り、この範囲ならば得られる成形品の外観や物性等は変
化しない。そのため、本発明の方法では、得られる成形
品の品質を低下させることなく、反応液のポットライフ
のみを変化させて成形することができる。
【0053】A液とB液の混合比率の変更は常法に従え
ばよく、例えば、衝突混合型の注型機を使用した場合に
は、A液とB液の各シリンダーのストローク量を変え、
低圧注入機を使用した場合には、ラインの途中に設けた
流量調節弁でA液とB液の比率を調節すればよい。
【0054】なお、反応原液は、通常、窒素ガスなどの
不活性ガス雰囲気下で貯蔵され、また操作される。
【0055】(金型)金型の形状、材質、大きさには、
特に制限はない。低粘度の反応液を使用するため、金属
製のものだけではなく、各種合成樹脂、木材、セラミッ
クなど種々の材料で作成されたものが使用できる。ま
た、型温等も適宜決定される。
【0056】
【発明の効果】本発明によれば、ノルボルネン系モノマ
ーをメタセシス触媒系の存在下に反応成形法により成形
品を製造する方法において、B液の活性低下を防止し、
また、反応液のポットライフの調節が容易で、大型の成
形品を生産する場合も生産効率を低下させず生産可能な
反応原液と該反応原液を用いた成形品の製造方法が提供
される。
【0057】
【実施例】以下に実施例および比較例を挙げて、本発明
についてさらに具体的に説明するが、本発明は、これら
の実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の
例において、部および%は、特に断りのない限り重量基
準である。
【0058】(実施例1〜3)反応原液として、次のA
液とB液を調製した。
【0059】ジシクロペンタジエン(DCP)85%と
メチルテトラシクロドデセン(MTD)15%の混合モ
ノマー100部に、スチレン−イソプレン−スチレンブ
ロック共重合体(SIS;日本ゼオン社製、商品名クイ
ンタック3421)6.5部ポリブタジエン(BR:日
本ゼオン社製、商品名BR1220)1部を入れて混合
した液を2つの容器に入れ、一方には、モノマー成分1
リットルに対して、ジエチルアルミニウムクロリド(以
下、DEACと記す。)を40ミリモル、n−プロパノ
ール(以下、PAと記す。)を表1に示す量、四塩化ケ
イ素を20ミリモルになるようにそれぞれ添加した(B
液)。
【0060】他方には、モノマー成分1リットルに対し
て、トリ(トリデシル)アンモニウムモリブデートを1
0ミリモル、PAを表1に示す量添加し、さらにモノマ
ー成分100部当たりフェノール系酸化防止剤(エチル
コーポレーション社製、商品名エタノックス702)3
部を添加した(A液)。
【0061】30℃に保持したガラス製反応容器に、上
記A液とB液を1:1(容量比)の割合で投入し、混合
した。混合した反応液の混合後、反応液が液体からプリ
ン状に変化するまでの時間をポットライフ(PL)と定
義し、また、急激な反応が起こり、白煙が発生するまで
の時間を発煙時間(スモーキングタイム、SMT)と定
義して、各時間を測定した。
【0062】A液側への活性調節剤の添加割合を変化さ
せたA液とB液を、空気などの触媒系の失活成分の混入
がないように注意しながら、エポキシ樹脂で内面をコー
トしたドラムにいれて保存し、一定期間経過後に、ポッ
トライフを測定して、保存安定性を調べた。
【0063】また、比較例及び参考例として、活性調節
剤をすべてB液側へ添加した反応原液を調製し、一定期
間経過後にポットライフを測定して、保存安定性を調べ
た。
【0064】
【表1】
【0065】実施例1〜3に示すように、活性調節剤の
一部をA液側へ添加した反応原液は、保存安定性がよ
く、3ケ月の保存後もポットライフはほとんど変化しな
かった。
【0066】一方、、すべての活性調節剤を共触媒側へ
添加した反応原液は、参考例1に示すように、PAが少
ない場合は、保存安定性はよかったが、比較例1、2に
示すように、ポットライフの遅い大型の成形品用の反応
原液においては、保存安定性は悪かった。
【0067】更に、実施例1で調製した1ケ月保存反応
原液を用い、重量は、約20Kg、大きさ約1200m
m×約750mm×約600mm(深さ)で厚み約7m
mの成形品を成形した。射出機は、2液の合計吐出量が
1.0Kg/secのギヤポンプ式の注型機を使用し、
スタティックミキサーでA液とB液とを混合した。A液
とB液の混合比率は1:1だった。金型の温度は、製品
面のキャビ側を80℃、非製品面のコア側を50℃にし
て成形した。
【0068】目視により成形品の外観をウエルドとベタ
ツキで評価した。ウエルドとは、成形板表面の流れ模様
のことであり、ベタツキとは、反応原液が空気や湿気に
より失活し、未反応のモノマーが多量残るために成形品
の表面がべたついている状態である。また、表中のウエ
ルド、ベタツキの評価は、○が問題のない良好な仕上が
りのもの、△が補修をするなどすれば問題のない仕上が
りのもの、×が仕上がりの悪いものである。評価の基準
は、他の表でも同様である。
【0069】
【表2】
【0070】実施例1〜3はいずれも、ウエルド、ベタ
ツキがみられず、良好な外観だった。また、実施例1〜
3に示すように、A液の吐出量を変化させることで、成
形品の外観を損ねることなく、PLを容易に変化させる
ことができた。
【0071】一方、この成形品に対しては、参考例1に
示す反応原液で成形した場合はポットライフが早すぎ、
成形品にウエルドが生じ、また、比較例1、2に示す反
応原液で成形した場合は成形品の表面にベタツキが生
じ、B側にのみ活性調節剤を添加した場合には、ウエル
ドとベタツキを共に問題なく成形するのは困難であるこ
とが解った。
【0072】(実施例4)実施例2で用いた1ケ月保存
反応原液を用い、RIM注型機によりA液とB液の混合
比率を変化させて成形品の成形性を確認した。A液とB
液の吐出量は、各液の吐出シリンダーの吐出ストローク
を変化させて行った。
【0073】実験に使用した成形品の重量は、約20K
g、大きさ約1200mm×約750mm×約600m
m(深さ)で厚み約7mmの成形品を成形した。金型の
温度は、製品面のキャビ側を80℃、非製品面のコア側
を50℃にして成形した。
【0074】目視により成形品の外観をウエルドとベタ
ツキで評価した。
【0075】
【表3】
【0076】実施例4−1〜4−4に示すように、A液
とB液の混合比を変化させることにより反応液のポット
ライフを調節することができた。また、成形品にはウエ
ルドやベタツキは発生しなかった。
【0077】この結果から、本発明に係る反応原液で成
形すれば、たとえ反応原液の保存中に活性が低下して
も、A液とB液の混合比率を変化させることでポットラ
イフが容易に調節可能であること、及び、反応原液が失
活してもポットライフを回復させることが可能であるこ
とがわかった。
【0078】(実施例5−1〜6−3)活性調節剤を1
カ月保存したPAを添加した反応原液から表4に示した
活性調節剤を添加した反応原液にかえ、A液とB液の混
合比率を表4に示した量にかえる以外は、実施例4と同
様にして実験した。
【0079】
【表4】
【0080】実施例5−1〜6−3に示すように、アセ
チルアセトン、アニリンを反応調節剤としても、アルコ
ールの場合と同様に反応液のポットライフを変化させる
ことができた。
【0081】(実施例7)成形品の重量で、約15K
g、大きさ約1000mm×約500mm×約600m
m(深さ)で厚み約7mmの成形品を成形できる金型を
使用し、実施例2で用いた1ケ月保存反応原液を用い、
実施例4で使用したRIM注型機により成形品を成形し
た。A液/B液の吐出量割合は、0.8/1だった。反
応液の活性はポットライフが46秒、発煙時間が166
秒だった。成形品にはウエルドもベタツキも発生せず、
良好な成形状態だった。
【0082】この実験から、ほん発明の反応原液なら
ば、大きさの異なる成形品でも、反応原液を変更するこ
となく、容易にポットライフを変更して成形できること
がわかった。
フロントページの続き 審査官 森川 聡 (56)参考文献 特開 平1−221416(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 61/06 - 61/08

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ノルボルネン系モノマーとメタセシス触媒
    と活性調節剤の少なくとも一部とを含む反応原液(A
    液)と、ノルボルネン系モノマーと共触媒と残りの活性
    調節剤とを含む反応原液(B液)とからなるノルボルネ
    ン系樹脂成形品製造用反応原液。
  2. 【請求項2】活性調節剤の1〜50%をA液側に添加
    し、残りの50〜99%の活性調節剤をB液側に添加す
    ることを特徴とする請求項1記載のノルボルネン系樹脂
    成形品製造用反応原液。
  3. 【請求項3】請求項1記載のノルボルネン系樹脂成形品
    製造用反応原液を用い、A液とB液の混合比率を調節す
    ることが可能な注型機を使用してノルボルネン系モノマ
    ーを塊状重合することを特徴とするノルボルネン系樹脂
    成形品の製造方法。
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