JP3281880B2 - ポリスチレンを原料とする廃材の溶解装置、溶解槽の液面調整方法及びポリスチレンを原料とする廃材の投入方法 - Google Patents

ポリスチレンを原料とする廃材の溶解装置、溶解槽の液面調整方法及びポリスチレンを原料とする廃材の投入方法

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JP3281880B2 JP2000148982A JP2000148982A JP3281880B2 JP 3281880 B2 JP3281880 B2 JP 3281880B2 JP 2000148982 A JP2000148982 A JP 2000148982A JP 2000148982 A JP2000148982 A JP 2000148982A JP 3281880 B2 JP3281880 B2 JP 3281880B2
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    • Y02W30/62Plastics recycling; Rubber recycling

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  • Separation, Recovery Or Treatment Of Waste Materials Containing Plastics (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、たとえば発泡スチ
ロールのようなポリスチレンを原料とする廃材の溶解装
置、溶解槽の液面調整方法及びポリスチレンを原料とす
る廃材の投入方法に係り、特に、ポリスチレンを原料と
する廃材の再生処理に用いて好適な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】たとえば発泡スチロールのようなポリス
チレンを原料とする素材は、軽量であること、成形性が
よいこと、断熱性が良好なこと、安価であることなどの
利点を有するため、さまざまな分野で広くしかも大量に
使用されている。具体的な使用例としては、生鮮食料品
などを搬送する保温保冷容器、食料品等を販売する際の
トレー(いわゆるポリスチレンペーパー)、電化製品な
どを段ボールに収納して梱包する際の緩衝材、断熱材な
どの建材、いかだのフロート、プレジャーボートにおけ
る船体の一部の内部構成部材、鋳造模型の中子などがあ
る。これらポリスチレンを素材とする製品等は、広範囲
にわたり大量に使用されていることから、必然的にその
廃棄量も多くなっている。
【0003】しかし、ポリスチレンを原料とする素材
は、自然の環境条件では化学的に安定しており、また、
地上に生息する微生物等によって他の物質に変換される
ようなこともない。このため、上述した製品等が廃棄処
分されたものや上記製品を製造する過程で生じた端材な
どのように、ポリスチレンを原料とする廃材を処理する
ことが重要な課題となっている。ポリスチレンを原料と
する廃材の処理方法としては、1)物理的に小さく粉砕
する方法、2)電気的に溶解する方法、3)焼却する方
法、4)溶剤で溶解させる方法などが従来より提案され
ている。このうち、物理的に粉砕する方法は、廃材がが
さばるため、処理場まで収集して搬送するのに多大の費
用を要するという問題を有し、電気的に溶解する方法
は、溶解処理に時間を要するという問題を有し、焼却す
る方法は、多量の黒煙を発するなど環境汚染の問題を有
している。
【0004】このような背景から、ポリスチレンを原料
とする廃材を溶剤で溶解させる方法が注目され、たとえ
ば特開平7−62137号公報に示すような溶解装置
(図5参照)が提案されている。この溶解装置1は、上
方を水層2、下方を溶剤層3とする槽4から成り、蓋体
6で上部開口に蓋をするようになっているが、この蓋体
6にはエア抜き孔6aが設けられている。この場合の水
層2は、塩素系溶剤が使用される溶剤層3の蒸発を防ぐ
目的で設けられたものである。そして、槽4の蓋体6の
上部にはエアシリンダ7が設けられていて、押さえ板9
を介してピストンロッド8でポリスチレン廃材5を押圧
し、槽4内の水層2、溶剤層3に強制的に埋没させて溶
解させるように構成されている。また、ピストンロッド
8の先端部8aと押さえ板9との間には、廃材5に対す
る押圧動作を補助するためのコイルスプリング10が設
けられている。なお、図中の符号11は、エアシリンダ
7に作動用の圧縮空気を供給するコンプレッサを示して
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような溶解装置1においては、ポリスチレン廃材5を強
制的に溶剤層3内へ埋没させる必要があるため、蓋6の
上部に設けられたエアシリンダ7のロッド8が蓋6を貫
通して摺動するように構成されている。また、溶解処理
するポリスチレン廃材5は水層2及び溶剤層3内へ直接
投入されることになるため、その投入速度を上げるとポ
リスチレン廃材5内から大量の気泡が発生することにな
る。
【0006】このため、水に不溶なことに加えて、高い
粘性を有し接着剤としての活用も可能なポリスチレン溶
解液が気泡と共に水層2を通過して摺動部に付着する可
能性が高くなるので、ロッド8の円滑な摺動が妨げら
れ、頻繁なメンテナンスが必要となるおそれがある。ま
た、ポリスチレン廃材5の投入速度を遅くすると気泡の
発生は少なくなり、溶解ポリスチレンが摺動部に付着す
る可能性も低下するが、同時に作業効率も低下するとい
う問題が生じてくる。なお、ポリスチレン廃材5は水に
浮くため、水層2の上部に大きな空間を設けておかない
と1回当たりの投入量が制限され、この点でも作業効率
を低下させることになる。
【0007】さらに、上述した従来装置では、槽4内に
溶剤層3を形成する溶剤や水層2の水を注入したり、あ
るいは、ポリスチレン廃材5を槽内へ投入する際には、
蓋6及びその上部に設けられたエアシリンダ7等よりな
る押込装置を取り外す必要があり、また、槽4を大型化
して処理能力を上げると溶剤を注入するのにポンプが必
要になるなど、作業が繁雑になるという問題も有してい
る。
【0008】本発明は、上記の事情に鑑みてなされたも
ので、構造が簡単で優れた作業性や作業効率を有する信
頼性の高いポリスチレンを原料とする廃材の溶解装置、
溶解槽の液面調整方法及びポリスチレンを原料とする廃
材の投入方法の提供を目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するため、以下の手段を採用した。請求項1に記載の
発明は、ポリスチレンを原料とする廃材を溶剤に溶解さ
せて処理するための溶解装置であって、前記溶剤を貯留
する溶剤槽と、前記廃材を前記溶剤に浸漬して溶解させ
る溶解槽と、前記溶剤槽及び前記溶解槽の下部どうしを
互いの相対的な上下方向移動を吸収可能に連結した下部
連通管と、前記溶剤槽及び前記溶解槽の少なくとも一方
を上下方向に移動させて前記溶剤の液面を変化させる上
下動手段と、を具備して構成したことを特徴としてい
る。この場合の上下動手段は、溶剤槽のみを上下動させ
るもの、溶解槽のみを上下動させるもの、あるいは、溶
剤槽及び溶解槽の両方を上下動させるものの何れであっ
ても良い。
【0010】このような請求項1記載の発明によれば、
上下動手段によって溶剤槽及び溶解槽の上下方向相対位
置を変化させて溶剤の液面を調整することが可能にな
り、溶解槽に溶剤のない状態で投入した廃材を、溶剤の
液面を変化させて充満した溶剤内に浸漬し溶解させるこ
とができる。このため、廃材を押し付けて強制的に溶剤
内へ浸漬させるような手段を設ける必要はない。
【0011】請求項1記載の発明においては、前記下部
連通管をフレキシブルチューブとするのが好ましく、こ
れにより信頼性の高い装置を提供できる。また、上記の
発明においては、前記溶剤槽内及び前記溶解槽内の溶剤
液面上には、前記溶剤の溶解度が低い液体よりなるシー
ル層を形成するとよく、これにより溶剤が蒸発して流出
するのを防止できる。この場合のシール層としては、た
とえば水やパラフィンなどのように溶剤が溶けにくく、
しかも、溶剤より比重の小さい液体が好適である。特
に、水によるシール層は、経済性や安全性の面で有利で
ある。
【0012】そして、上記の発明においては、前記溶剤
槽及び前記溶解槽を密閉し、互いの上部を相対的な上下
方向移動を吸収可能な上部連通管により連結するのが好
ましく、これにより、廃材を溶解中にシール層を通過し
た少量の溶剤が大気に流出するのを防止できる。この場
合、前記溶解槽の上部に前記シール層を形成する液体の
貯留部を設けるとよく、これにより、溶解槽においてシ
ール層を形成する液体が溶剤槽側へ流出するのを防止で
きる。さらに、前記上部連通管に流路面積調整手段を設
けておくことにより、液面調整に伴う空気の流れを調整
でき、従って、昇降装置側とは別に液面変化速度の調整
が可能になる。
【0013】請求項7記載の発明は、ポリスチレンを原
料とする廃材を溶剤に溶解させて処理する溶解槽の液面
調整方法であって、溶剤を貯留する溶剤槽と前記溶解槽
との下部どうしを互いの相対的な上下方向移動を吸収可
能な下部連通管で連結し、前記溶剤槽及び前記溶解槽の
少なくとも一方を上下動させて、前記溶解槽の溶剤液面
を調整することを特徴としている。
【0014】このような請求項7記載の発明によれば、
溶解槽の位置を相対的に高くして溶剤槽側へ溶剤を移動
させた状態から、溶剤槽の液面と溶解槽の上端面とをほ
ぼ一致させて溶解槽内に溶剤を満たした状態まで、溶剤
の液面を容易に調節することができる。
【0015】請求項8記載の発明は、溶剤を貯留する溶
剤槽と、ポリスチレンを原料とする廃材を溶剤に溶解さ
せて処理する記溶解槽との下部どうしを互いの相対的な
上下方向移動を吸収可能な下部連通管で連結し、前記溶
剤槽及び前記溶解槽の少なくとも一方を上下動させて、
前記溶解槽の溶剤液面を調整するポリスチレンを原料と
する廃材を溶剤に溶解させて処理する溶解装置に前記廃
材を投入する投入方法であって、前記溶解槽を前記溶剤
槽より相対的に高い位置にして溶解槽内の溶剤を溶剤槽
側へ移動させる第1の工程と、前記溶解槽内へ前記廃材
を投入する第2の工程と、前記溶解槽及び前記溶剤槽の
相対的な上下方向位置を変化させて前記溶解槽内に溶剤
を充満させる第3の工程と、を具備してなることを特徴
としている。
【0016】このような請求項8記載の発明によれば、
溶解槽内の溶剤液面を容易に調節できるので、溶解槽内
に溶剤が存在しない状態にして廃材を投入した後、溶剤
の液面を調節して溶解槽内に溶剤を充満させ、投入した
廃材を浸漬させて溶解することが可能になる。このた
め、廃材を押し付けて強制的に浸漬させるような手段を
設ける必要がない。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明によるポリスチレン
を原料とする廃材の溶解装置(以後溶解装置と呼ぶ)に
係る一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下
の実施形態では、ポリスチレンを原料とする廃材が発泡
スチロールの廃材(以後廃材と呼ぶ)であるものとして
説明するとともに、図5に示した従来例と同一部材には
同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。図1に示
す溶解装置Dは、溶剤3を貯留する溶剤槽20と、廃材
5を溶剤3に浸漬して溶解させる溶解槽30と、溶剤槽
20及び溶解槽30の下部どうしを互いに連結する下部
連結管40と、溶剤槽30を上下動させる昇降装置(上
下動手段)50とを具備して構成される。また、溶剤槽
20及び溶解槽30内では、溶剤3の液面上に水2によ
るシール層が形成されている。このシール層は、溶剤3
の蒸発を抑制する目的で設けられたものであり、このシ
ール層を形成する液体には、溶剤3が溶けにくく、しか
も溶剤3より比重の小さい液体を採用することになる
が、コスト的に有利な水2だけでなく、パラフィンなど
も適用可能である。
【0018】溶剤槽20は、容器本体21の上部が全面
にわたって開口する溶剤注入口22を備え、底面23に
は下部連通管40の一端が連結された溶剤連通口24が
設けられている。また、溶剤注入口22には上蓋25が
着脱可能に取り付けられ、容器本体21の上部フランジ
面26と上蓋25との間には、溶剤3に強い材料よりな
る適当なシール部材(図示省略)を介在させて密閉して
ある。なお、上蓋25の中央付近には、上部開口25a
が設けられている。
【0019】溶解槽30は、容器本体31の上部が全面
にわたって開口する廃材投入口32を備え、底面33に
は下部連結管40の他端が連結された溶剤連通口34
と、後述する廃材5の溶解液を排出する溶解液出口35
とが設けられている。また、廃材投入口32には上蓋3
6が着脱可能に取り付けられ、容器本体31の上部フラ
ンジ面37と上蓋36との間には、溶剤槽20と同様
に、溶剤3に強い材料よりなる適当なシール部材(図示
省略)を介在させて密閉してある。なお、上蓋36の中
央付近には適当な容積の貯留部38に連通する上部開口
36aが設けられ、また、溶解液出口35には開度調整
可能な開閉弁39aを備えた回収管39が連結されてい
る。
【0020】上述した溶剤槽20は、その底面23が昇
降装置50の支持部51上に設置されている。この支持
部51は、上下方向に昇降する複数のスライドシャフト
52の上端部に支持され、同スライドシャフト52の下
端部側は、図示省略の駆動機構を備えた昇降駆動部53
に連結されている。この結果、溶剤槽20は、駆動機構
を作動させることにより、スライドシャフト52及び支
持部51と一体的に上下方向へ昇降可能となっている。
【0021】このように、溶剤槽20を昇降装置50に
より昇降させるようにすれば、溶剤槽20の溶剤連通口
24と溶解槽30の溶剤連通口34とを連結する下部連
通管40にこの上下動を吸収させる必要がある。そこ
で、本発明では、下部連通管40として、U字状のフレ
キシブルチューブを採用している。この場合のフレキシ
ブルチューブは、溶剤3の溶解力に耐えるよう適当な素
材を選択したもの、あるいは、適当なコーティングを施
したものを使用するのが好ましい。なお、下部連通管4
0としては、フレキシブルチューブに限定されることは
なく、たとえば適当なシールを施して異径管を嵌合させ
た摺動管のように、液体が漏れることなく上下方向の移
動を吸収できるものであればよい。
【0022】一方、溶剤槽20の上部開口25aと溶解
槽30の上部開口36aとは、下部連通管40と同様に
上下動を吸収しうるフレキシブルチューブのような上部
連通管41により連結さている。この結果、溶剤槽20
の空気層と溶解槽30の空気層とが上部連通管41によ
り連結されることになる。なお、図中の符号42は、上
部連通管41の流路面積を可変とする開閉弁(流路面積
調整手段)であり、流路面積が最大となる全開位置から
上部連通管41の流路を閉じる全閉位置まで調整可能で
ある。
【0023】さて、上述した構成の溶解装置Dについて
その操作手順を説明すると、最初に溶剤槽20へ所定量
の溶剤3を注入する。ここで使用する溶剤3としては、
たとえば塩化メチレンなど危険物第4類第3石油類相当
品(比重が約1.4)が好適である。なお、以後の操作
では、回収管39の開閉弁39aは閉じた状態にしてお
く。溶剤3を注入する際には、昇降装置50を作動させ
て溶剤槽20を最も低い位置まで下げておき、上蓋25
を取り外してから容器本体21内へ注入する。このた
め、ポンプなどを用いて溶剤3を送出しなくても容易に
注入することができ、作業性の面で極めて有利になる。
この後、水2を同様に注入して溶剤3の液面上にシール
層を形成し、上蓋25を閉じる。また、溶解槽30側に
も水2を注入して、溶剤3の液面上にシール層が形成さ
れるようにしておく。
【0024】この結果、図2(a)に示す液面が廃材投
入位置にある状態のように、溶剤槽20は水2及び溶剤
3でほぼ満杯になり、溶解槽30においては溶剤が下部
連通管40側へ移動し、その上部に水2によるシール層
が形成された状態になる。この場合、溶解槽30におい
ては、水2の液面が下部連通管40内にあるのが好まし
い。この状態で溶解槽30の上蓋36を開き、廃材投入
口32から容器本体31内へ廃材5を投入すると、容器
本体31内に液体が存在しないため比重の小さい廃材5
が浮き上がるようなことはなく、従って、容器本体31
の容積を有効に利用して大量の廃材5を投入することが
可能になる。また、廃材投入時において投入した廃材5
が溶剤3に接触して溶解することはないので、気泡が発
生するようなことはなく、従って、大量の廃材5を一気
に投入することが可能である。なお、所定量の廃材5を
投入した後には上蓋36を閉じる。
【0025】こうして廃材5の溶解準備が完了すると、
昇降措置50を作動させて、固定されている溶解槽30
より相対的に高い位置まで溶剤槽20を上昇させる。こ
の結果、図2(b)に示す液面が溶解位置にある状態の
ように、溶剤槽20内に満たされていた溶剤3が下部連
通管40を通って溶解槽30側へ移動し、溶解槽30の
容器本体31では液面が上昇する。この場合、シール層
を形成している水2の全量が貯留部38内まで上昇し、
溶剤3の液面が上蓋36に接触するまで、あるいは、若
干の溶剤3が貯留部38に入り込む程度まで、溶剤槽2
0を上昇させればよい。従って、貯留部38には、この
ようなシール層の水2を十分に貯留できる容量を持たせ
ておくのが好ましい。
【0026】この時、溶解槽30内の空気は上部連通管
41を通って溶剤槽20側へ移動するが、開閉弁42の
開度を調整することにより、昇降装置50の昇降速度と
比較した液面変化速度を抑制することが可能である。従
って、昇降装置50の昇降速度が比較的遅い場合など
は、開閉弁42を設けなくてすむこともある。
【0027】ところで、図示の例では、溶剤層20及び
溶解槽30内における溶剤3の液面上に水2によるシー
ル層を形成して溶剤の蒸発を防止し、また、溶剤層20
及び溶解槽30を共に密閉して上部連通管41を設け、
これによりシール層の水2に解けたごく少量の溶剤3が
大気に放出されることをも防止している。しかし、溶解
装置D全体を密閉空間に設置するなどして蒸発した溶剤
3を回収できるようにしたり、あるいは、水2に解けた
ごく少量の溶剤3が大気に放出されるのを容認するので
あれば、溶剤2の上に形成している水3のシール層を省
略したり、あるいは、シール層の上部を大気に開放する
構成とすることも可能である。また、上部連通管41に
十分な長さを与えることで、すなわち、溶解槽30側の
水2が溶剤槽20側へ流出しないよう十分な容積を得ら
れる長さを与えることで、貯留部38を廃止することも
可能である。
【0028】上述したように、溶解槽30内が溶剤3で
満たされると、投入された廃材5は上蓋36に浮上を阻
止されて溶剤3に浸漬される。こうして廃材5が溶剤3
に浸漬されると、廃材5は溶剤3に短時間で解けて溶解
液となり、この溶解液は、開閉弁39aを開くことで、
溶解槽30の溶解液出口35から回収管39へ流出す
る。なお、回収管39を通って回収された溶解液は、以
後適当な方法及び装置によって処理される。
【0029】図3は、上述した溶解装置Dから回収した
溶解液の処理例を示している。この処理例では、回収管
39に導かれた溶解液61が回収装置Rへ導かれ、ポリ
スチレン62と溶剤蒸気3aとに分離される。この回収
装置Rでは、溶解液61をベルトコンベア63上に落下
させ、最初に加熱装置64を通過させて加熱する。この
結果、溶剤蒸気3aが溶解液61から気化分離される。
この後、残った粘性の強いポリスチレン溶液62aをベ
ルトコンベア63で搬送し、冷却槽65を通過させて冷
却する。こうして固化したポリスチレン62は、スクレ
ーパ66によってベルトコンベア63から除去され、所
定の貯留容器67に落下して貯蔵される。
【0030】また、回収装置Rの上部には蒸気管68を
介して水槽69が接続され、ベルトコンベア63上で気
化分離させた溶剤蒸気3aをコンプレッサ70で吸引し
て水槽69へ移送する。水2を貯留した水槽69の底部
には、溶剤蒸気3aの気泡を発生させる微細な孔が多数
形成された気泡微細器71を設けてある。気泡微細器7
1から流出される溶剤蒸気3aは微細な気泡3bとな
り、水槽69中において上昇する過程でバブリングによ
って冷却され、水槽69の底部に回収溶剤3cとして沈
下し回収されるように構成されている。なお、水槽69
の天井部には、水槽69内に溜まる溶剤臭気を抜き出す
ため、溶剤臭気吸着塔72が配設されている。このよう
にして、溶剤蒸気3aを水槽69でバブリングさせて液
化し溶剤3を回収することができるので、使用する溶剤
のほとんどを回収して再利用することができる。
【0031】なお、上述した溶解装置Dから回収した溶
解液61は、図3に示す回収装置Rに供給して連続的に
処理する他にも、たとえば適当な密閉容器に封入するな
どして回収処理装置まで移送することも可能である。
【0032】これまで説明した実施形態では、昇降装置
50により溶剤槽20を昇降させるものであったが、図
4に示す他の実施形態のように、溶剤槽20を所定位置
に固定とし、溶解槽30を昇降させて相対的な液面を調
整してもよい。この場合には、溶剤槽20に溶剤2等を
注入する際に溶解槽30を上昇させて相対的な位置を高
くし、廃材5を溶剤3に浸漬させる際に溶解槽30を下
降させればよい。また、溶剤槽20及び溶解槽30の両
方に昇降装置50を設けてもよく、これにより、液面調
整の速度を増したり、広範囲にわたる液面調整が可能に
なるなどのメリットが生じる。
【0033】以上説明したように、本発明の溶解装置D
によれば、昇降装置50を作動させて液面を調整する方
法を採用した装置構成としたので、溶剤3の液面を容易
に調整して、廃材投入位置と溶解位置との液面切換を実
施することができる。この結果、溶解位置では、溶解槽
30内において廃材5が溶剤2中に全体を浸漬されて溶
解・減容されるので、簡単な装置構成で減容効果が大き
く、廃材5の溶解操作を単純化できる。特に、溶解槽3
0を溶剤槽20より相対的に高い位置にして溶解槽30
内の溶剤を溶剤槽20側へ移動させる第1の工程と、溶
解槽30内へ廃材5を投入する第2の工程と、溶解槽3
0及び溶剤槽20の相対的な上下方向位置を変化させて
溶解槽30内に溶剤3を充満させる第3の工程とを経る
廃材の投入方法を採用した装置構成としたので、容器本
体31内に溶剤3が存在しない状態にして、溶解槽30
に廃材5を大量に投入することができるようになり、従
って、投入時に溶解して発泡するのを防止でき、発泡と
共に溶解液が飛散して手動部等に付着するようなことも
なく、作業を効率よく実施することができる。なお、回
収したポリスチレンは化学的変化がなく、従って、再生
資源として活用できる。
【0034】
【発明の効果】以上述べたように、請求項1に記載した
本発明の溶解装置によれば、上下動手段によって溶剤槽
及び溶解槽の上下方向相対位置を変化させて溶剤の液面
を調整することが可能になり、溶解槽に溶剤のない状態
で投入した廃材を、溶剤の液面を変化させて充満した溶
剤内に浸漬し溶解させることができる。このため、廃材
を押し付けて強制的に溶剤内へ浸漬させるような手段を
設ける必要はなく、簡単な装置構成として短時間での溶
解が可能となる。なお、連通管をフレキシブルチューブ
とすることで、上下方向の変化に対して信頼性の高い装
置を提供できる。
【0035】また、溶剤槽内及び溶解槽内の溶剤液面上
に、たとえば水やパラフィンなどのように溶剤が溶けに
くく、しかも、溶剤より比重の小さい液体よりなるシー
ル層を形成したことにより、溶剤が蒸発して流出するの
を防止でき、特に、水によるシール層は、経済性や安全
性の面で有利である。
【0036】そして、溶剤槽及び溶解槽を密閉し、互い
の上部を相対的な上下方向移動を吸収可能な上部連通管
により連結したので、廃材を溶解中にシール層を通過し
た少量の溶剤が大気に流出するのを防止できる。なお、
溶解槽の上部にシール層を形成する液体の貯留部を設け
ておくことにより、溶解槽においてシール層を形成する
液体が溶剤槽側へ流出するのを防止できる。
【0037】請求項7に記載した本発明の溶解槽の液面
調整方法によれば、溶剤を貯留する溶剤槽と溶解槽との
下部どうしを互いの相対的な上下方向移動を吸収可能な
下部連通管で連結し、前記溶剤槽及び前記溶解槽の少な
くとも一方を上下動させて、前記溶解槽の溶剤液面を調
整するようにしたので、溶解槽の位置を相対的に高くし
て溶剤槽側へ溶剤を移動させた状態から、溶剤槽の液面
と溶解槽の上端面とをほぼ一致させて溶解槽内に溶剤を
満たした状態まで、溶剤の液面を容易に調節することが
できる。
【0038】請求項8に記載した本発明のポリスチレン
を原料とする廃材の投入方法によれば、溶解槽を溶剤槽
より相対的に高い位置にして溶解槽内の溶剤を溶剤槽側
へ移動させる第1の工程と、溶解槽内へ廃材を投入する
第2の工程と、溶解槽及び溶剤槽の相対的な上下方向位
置を変化させて溶解槽内に溶剤を充満させる第3の工程
とを具備しているので、溶解槽内の溶剤液面を容易に調
節できる、従って、溶解槽内に溶剤が存在しない状態に
して廃材を投入した後、溶剤の液面を調節して溶解槽内
に溶剤を充満させ、投入した廃材を浸漬させて溶解する
ことが可能になる。このため、廃材を押し付けて強制的
に浸漬させるような手段を設ける必要がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明によるポリスチレンを原料とする廃材
の溶解装置の一実施形態を示す構成概念図である。
【図2】 図1に示す溶解装置の液面調整方法を示す説
明図で、(a)は液面が廃材投入位置にある状態、
(b)は液面が廃材を浸漬して溶解させる溶解位置にあ
る状態である。
【図3】 図1に示す溶解装置で回収した溶解液の処理
例を示す概念図である。
【図4】 本発明によるポリスチレンを原料とする廃材
の溶解装置の他の実施形態を示す構成概念図である。
【図5】 従来のポリスチレンを原料とする廃材の溶解
装置の構成例を示す概念図である。
【符号の説明】
2 水(シール層) 3 溶剤 5 廃材 20 溶剤槽 22 溶剤注入口 24,34 溶剤連通口 25,36 上蓋 30 溶解槽 32 廃材投入口 35 溶解液出口 38 貯留部 39 回収管 40 下部連通管 41 上部連通管 50 昇降装置(上下動手段)
フロントページの続き (72)発明者 原 謙治 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22 号 三菱重工業株式会社 広島製作所内 (56)参考文献 特開 平9−143300(JP,A) 登録実用新案3046198(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 11/08

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリスチレンを原料とする廃材を溶剤
    に溶解させて処理するるための溶解装置であって、 前記溶剤を貯留する溶剤槽と、前記廃材を前記溶剤に浸
    漬して溶解させる溶解槽と、前記溶剤槽及び前記溶解槽
    の下部どうしを互いの相対的な上下方向移動を吸収可能
    に連結した下部連通管と、前記溶剤槽及び前記溶解槽の
    少なくとも一方を上下方向に移動させて前記溶剤の液面
    を変化させる上下動手段と、を具備して構成したことを
    特徴とするポリスチレンを原料とする廃材の溶解装置。
  2. 【請求項2】 前記下部連通管がフレキシブルチュー
    ブであることを特徴とする請求項1記載のポリスチレン
    を原料とする廃材の溶解装置。
  3. 【請求項3】 前記溶剤槽内及び前記溶解槽内の溶剤
    液面上に前記溶剤の溶解度が低い液体よりなるシール層
    を形成したことを特徴とする請求項1または2記載のポ
    リスチレンを原料とする廃材の溶解装置。
  4. 【請求項4】 前記溶剤槽及び前記溶解槽を密閉し、
    互いの上部を相対的な上下方向移動を吸収可能な上部連
    通管により連結したことを特徴とする請求項1から3の
    いずれかに記載のポリスチレンを原料とする廃材の溶解
    装置。
  5. 【請求項5】 前記溶解槽の上部に前記シール層を形
    成する液体の貯留部を設けたことを特徴とする請求項4
    記載のポリスチレンを原料とする廃材の溶解装置。
  6. 【請求項6】 前記上部連通管に流路面積調整手段を
    設けたことを特徴とする請求項4または5記載のポリス
    チレンを原料とする廃材の溶解装置。
  7. 【請求項7】 ポリスチレンを原料とする廃材を溶剤
    に溶解させて処理する溶解槽の液面調整方法であって、 溶剤を貯留する溶剤槽と前記溶解槽との下部どうしを互
    いの相対的な上下方向移動を吸収可能な下部連通管で連
    結し、前記溶剤槽及び前記溶解槽の少なくとも一方を上
    下動させて、前記溶解槽の溶剤液面を調整することを特
    徴とする溶解槽の液面調整方法。
  8. 【請求項8】 溶剤を貯留する溶剤槽と、ポリスチレ
    ンを原料とする廃材を溶剤に溶解させて処理する記溶解
    槽との下部どうしを互いの相対的な上下方向移動を吸収
    可能な下部連通管で連結し、前記溶剤槽及び前記溶解槽
    の少なくとも一方を上下動させて、前記溶解槽の溶剤液
    面を調整するポリスチレンを原料とする廃材を溶剤に溶
    解させて処理する溶解装置に前記廃材を投入する投入方
    法であって、 前記溶解槽を前記溶剤槽より相対的に高い位置にして溶
    解槽内の溶剤を溶剤槽側へ移動させる第1の工程と、 前記溶解槽内へ前記廃材を投入する第2の工程と、 前記溶解槽及び前記溶剤槽の相対的な上下方向位置を変
    化させて前記溶解槽内に溶剤を充満させる第3の工程
    と、 を具備してなることを特徴とするポリスチレンを原料と
    する廃材の投入方法。
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