JP3280756B2 - 航空機用中折れドア - Google Patents

航空機用中折れドア

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、たとえば、航空機のラ
バトリーのドアなどに用いられる中折れドアに関する。
【0002】
【従来の技術】中折れドアは、開閉時に1枚のドアに比
べてスペースをあまりとらないため、航空機のラバトリ
ー、電話ボックス、住宅用風呂などにおいて使用されて
いる。図14は航空機のラバトリーユニットに用いられ
る中折れドアの概要を示す説明図である。全体を符号1
で示す中折れドアは、第1のドアパネル2と第2のドア
パネル3とを有し、第1のドアパネル2と第3のドアパ
ネル3とはヒンジ4で連結される。
【0003】図15はヒンジ4の断面を示すもので、歯
車部を形成したヒンジ部材4A,4Bを両ヒンジ2、3
の端部に取り付け、カバー部材4Dで両ヒンジ部材を挾
持する構造を採用してある。ヒンジ部材4A,4Bの歯
車部が噛み合うことにより、2枚のドアパネル2、3は
円滑に折れ曲がることができ、カバー4Dで挾持するこ
とにより密封性も向上する。ヒンジ部にはコイルスプリ
ング5が設けられて、ドアパネル2、3が常時平面を形
成する(ドアが閉じる)方向に付勢する。
【0004】図16はコイルスプリング5の詳細を示
し、第1のドアパネル2と第2のドアパネル3の間に配
設されたコイルスプリング5は折り曲げられたパネル
2、3が平面に戻る方向に付勢する。第2のドアパネル
3にはドアのロック装置8が設けられる。第1のドアパ
ネル2の端部にはピン6が植設されて中折れドア1全体
を壁側に回転自在に支持する。第2のドアパネル3の上
部には案内装置7が設けられ、第2のドアパネル3をド
ア開口部に沿って開閉させる。
【0005】図17は案内装置7の詳細を示す。第2の
パネル3の上部に設けられる案内装置7は、スライダ7
Aとスライダ7Aを支持するシャフト7Bを有する。ス
ライダ7Aは、例えば平面形状が4辺形のものであっ
て、ドア開口部に取り付けられたガイドレール9に嵌合
する。第2のドアパネル3が開閉する際に、スライダ4
Aはガイドレール9内を摺動することにより、第2のド
アパネルを円滑に案内する。スライダ7Aの平面形状が
4辺形の場合には、スライダ7Aは直線運動をし、ドア
パネル3は旋回運動をするので、スライダ7Aはシャフ
ト7Bに対して回動する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上に示す構造の中折
れドアにあっては、ドアの密閉度を向上させようとする
と、コイルスプリング5のばね定数を増強する必要があ
る。コイルスプリング5のばね定数を大きくすると、折
り曲げられた2枚のドアパネル2、3が急激に平面に戻
り、衝突音を発生させる。特に航空機のラバトリーユニ
ットは客席の近くに配置されることもあり、また、就寝
時の使用も多い。したがって、この中折れドアの閉鎖時
の衝突音を防止する必要がある。本発明は円滑に開閉で
き、かつ閉鎖時の衝撃を緩衝する中折れドアを提供する
ものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の中折れドアの案
内装置はドア開口部に設けられる案内レールと、第2の
ドアパネルに回転軸によりとりつけられて案内レール内
を摺動するスライダと、回転軸の回転力を緩衝するロー
タリーダンパーを備えいる。そして、第1のドアパネル
と第2のドアパネルの連結部に第1のドアパネルと第2
のドアパネルを平面上に復元する付勢手段を備えてい
る。
【0008】
【作用】折り曲げられた中折れドアは付勢手段による復
元力で急速に平面形状に戻ろうとする。しかしながらロ
ータリーダンパーの作用により衝撃は防止され、円滑に
平面形状に戻る。
【0009】
【実施例】図1は本発明の実施例を示す正面図、図2図
は中折れドア単体の正面図である。全体を符号100で
示す中折れドアは、ラバトリーユニット等の正面壁10
の開口部に装着される。中折れドア100は第1のドア
パネル150と第2のドアパネル110を有し、第1の
ドアパネル150と第2のドアパネル110は図15で
は示したヒンジ4と図16で示したコイルスプリング5
で連結される。第1のドアパネル150の端部の上下部
には、ピン152が植設されており、壁10の開口部に
設けた受け穴にピン152を挿入することにより中折れ
ドア100は回動自在に支持される。
【0010】表示部114はラバトリー内の使用状況を
示すものである。ユーザが内部に入り、第2のドアパネ
ル110の内側に設けられたノブ8を操作することによ
り、第2のドアパネル110は壁10側に係止され、表
示部114にラバトリーが使用状況であることが表示さ
れる。
【0011】第1のドアパネル150には、ヒンジ4に
近接して押し板154が設けられている。ユーザは押し
板154を押圧することにより、中折れドア100はヒ
ンジ4の内側に折れ曲がり、ドアを開けることができ
る。押圧力を除くと、ヒンジ4の内側に設けたコイルス
プリングの復元力により中折れドア100は自動的に開
口部を閉じる。
【0012】航空機用のラバトリーユニット等にあって
は、パネル材をハニカム構造体にして軽量化が図られて
いる。この中折れドア100の第1のドアパネル150
と第2のドアパネル110もハニカム板構造を採用して
いる。したがって、ドアパネルの周囲はカバーが被覆さ
れている。第2のドアパネル110の上部もカバーを兼
ねる取付板130が固着され、この取付板130にスラ
イダ120及びロータリーダンパー200が支持され
る。図3は壁10と第2のドアパネル110との係合状
態を示すもので、壁10の開口部の上部にとりつけたガ
イドレール12に第2のドアパネル110の上部にとり
つけたスライダ120が係合していることを示してい
る。
【0013】図4は本発明の中折れドアに装備する案内
装置の組立図、図5は案内装置の部品図である。全体を
符号120で示す案内装置は、第2のドアパネル110
の上部に固着される取付板124と、取付板124の下
部に固着されるロータリーダンパー200と、ロータリ
ーダンパー200のシャフト210に固着されるスライ
ダ122とを有する。第2のドアパネル110の上部に
は上部カバー130がとりつけられ、側部には側部カバ
ー132がとりつけられる。案内装置120の取付板1
24は上部カバー130を兼ねることもできるが、別体
に構成することもできる。
【0014】ロータリーダンパー200のケーシング2
05は取付具128を介して取付板124の下面に重ね
られ、ビス126により第2のドアパネル110の上部
に固定される。第2のドアパネル110の上部にはロー
タリーダンパー200のケーシング205を収容する穴
108が設けられる。ロータリーダンパー200のシャ
フト210は取付板124に形成した穴を貫通して上方
に延びる。このシャフト210にスライダ122がとり
つけられる。スライダ122は平面形状が4辺形をして
おり、シャフト210に対して回動しないように固着さ
れる。このスライダ122は壁側のガイドレール12内
を回動することなく直線移動する。
【0015】図6は、中折れドアを開閉した場合のスラ
イダ122とロータリーダンパー200の軌跡を示すも
のである。第1のドアパネル150と第2のドアパネル
110がヒンジ4を中心に内側に折り曲げられると、ス
ライダ122は第1のドアパネル150の取付ピン15
2に向かって直線運動する。スライダ122は回動しな
いが、第2のドアパネル110側に固定されたケース2
05はドアパネル110が開くにつれて旋回動するの
で、ロータリーダンパー200のシャフト210とケー
シング205の成す角度は角度Bから角度Aの間で変化
する。
【0016】ユーザが中折れドアから手を放すと、ヒン
ジ4部に設けたコイルスプリングの復元力で第2のドア
パネル110と第1のドアパネル150は平面状態に戻
る方向へ運動する。この運動によりロータリーダンパー
200のシャフト210とケーシング205の成す角度
は角度Aから角度Bまで相対回転する。したがってロー
タリーダンパー200のケーシング205とシャフト2
10との間の間に緩衝力を作用させることで、中折れド
アを円滑かつ静かに閉じることができる。
【0017】図7はロータリーダンパーの斜視図、図8
は断面図、図9はローターの断面図である。全体を符号
200で示すロータリーダンパーはケーシング205内
にダンパー室220を有し、ケーシング205を貫通す
るシャフト210が回転自在に設けられている。シャフ
ト210にはローター240がとりつけられており、ロ
ーター240はダンパー室220内を摺動する。ダンパ
ー室220内にはシリコーンオイル222が充填されて
おり、ローター240の回転に抵抗を与える。ローター
240は、テーパー穴242を有し、テーパー穴242
内にボール244が挿入されている。そして、テーパー
穴242を貫通するピン250を打ち込んで、ボール2
44をテーパー穴242の穴径の小さい部分に保持して
ある。ダンパー室220の側壁面にはオリフィス溝23
0が形成してあり、ローター240の側面との間に形成
されるシリコンオイルの通路の流路断面を絞り、ロータ
ー240の回転にブレーキをかける。
【0018】図10、図11はローター240の回転方
向とその緩衝作用を示す説明図、図12はオリフィス2
30の形状を示す説明図である。図10において、シャ
フト210とローター240がダンパー室内で矢印R1
方向に回転すると、テーパー穴242内を通過するシリ
コンオイルがボール244をテーパー穴242の小径部
を内側から塞ぎ、テーパー穴242を封鎖する。したが
って、ローター240により圧縮されるシリコンオイル
は、オリフィス溝230を通ってローター240の裏側
へ回り込む。そこで、オリフィス溝230の断面有効面
積をローター240の回転角に対応して変化させておけ
ば、ローター240の回転位置に応じて緩衝効果(ロー
ターに対するブレーキ力)を調整することができる。
【0019】図11に示すように、ローター240が矢
印R2方向に回転すると、シリコンオイルの流れに押さ
れてボール244はピン250の位置まで戻される。こ
れによりテーパー穴242は開口し、シリコンオイルは
テーパー穴242とオリフィス溝230の両方を流れ
る。したがって、ローターにかかる抵抗も小さくなる。
そこでローターにかかる抵抗が大になる矢印R1方向が
中折れドアが閉じる方向に一致するように、ダンパー2
00のシャフト210をスライダ122にとりつける。
図12に示すオリフィス溝230は、例えば溝230の
底面にテーパー232を付けることでローター240に
かかる抵抗が徐々に大きくなるように設定することがで
きる。さらに、オリフィス溝230の終端部の底面23
4を浅くして、溝の断面積を小さくすることで、ロータ
ー240にかかる抵抗を最大にすることができる。
【0020】ユーザーがドアを無理に閉じようとする
と、ドア及びダンパーに過大な力がかかる。図13は、
この過大な力を逃がすための圧力調整弁を示す。ダンパ
ー室220内でローター240が矢印R1方向に移動す
る際に、ボール244がテーパー穴242を閉じてダン
ピングを行なう。ユーザーがドアを無理に閉じようとす
ると、ダンパー室220内のシリコンオイルの圧力が過
大となる。そこでダンパー室220の両側部を連通する
バイパス通路300を設け、ボール310とスプリング
320を有するチェック弁を設けたものである。ダンパ
ー室220内の圧力が設定値以上になると、チェック弁
が開き、過大な圧力を逃がす。
【0021】
【発明の効果】本発明の中折れドアは以上のように、レ
ールにより案内されるドアパネルにロータリーダンパー
を設けてあるので、スプリングの力で閉じようとするド
アは緩衝を受け、スムーズに閉じることができる。した
がって衝撃音等の発生は防止される。ダンパーを設けて
あるので、必要に応じてスプリングの力を増強すること
もでき、密閉度の高いドアを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す正面図。
【図2】中折れドア単体の正面図。
【図3】中折れドアの案内構造を示す説明図。
【図4】案内装置の組立図。
【図5】案内装置の部品図。
【図6】中折れドアの開閉の軌跡を示す説明図。
【図7】ロータリーダンパーの斜視図。
【図8】ロータリーダンパーの断面図。
【図9】ローターの断面図。
【図10】ローターの緩衝作用を示す説明図。
【図11】ローターの緩衝作用を示す説明図。
【図12】オリフィス溝の断面図。
【図13】圧力調整弁の説明図。
【図14】ラバトリーユニットに用いられる中折れドア
の斜視図。
【図15】ヒンジの断面図。
【図16】コイルスプリングの説明図。
【図17】案内装置の説明図。
【符号の説明】
4 ヒンジ 5 コイルスプリング 10 壁 100 中折れドア 110 第2のドアパネル 120 案内装置 122 スライダ 150 第1のドアパネル 152 ピン 154 押し板 200 ロータリーダンパー 205 ケーシング 210 シャフト 220 ダンパー室 230 オリフィス溝 240 ローター 242 テーパー穴 244 ボール 250 ピン

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ドア開口部の一側部に回転自在に支持さ
    れる第1のドアパネルと、第1のドアパネルに対してヒ
    ンジにより折り曲げ自在にとりつけられる第2のドアパ
    ネルと、第2のドアパネルをドア開口部に沿って案内す
    る案内装置と、第1のドアパネルと第2のドアパネルの
    連結部に第1のドアパネルと第2のドアパネルを平面状
    に復元する付勢手段を有する航空機用中折れドアにおい
    て、案内装置はドア開口部に設けられる案内レールと、
    第2のドアパネルに回転軸によりとりつけられて案内レ
    ール内を摺動するスライダと、回転軸の回転力を緩衝す
    るロータリーダンパーを備え、ロータリーダンパーはケ
    ースとケース内に設けられるダンパー室と、ダンパー室
    内に充填される液体と、ダンパー室を貫通するシャフト
    と、シャフトに連結されてダンパー室内を回転摺動する
    ローターと、ローターに設けられる一方弁と、ダンパー
    室の側壁に設けられるオリフィス溝とを備え、オリフィ
    ス溝は、第1のドアパネルと第2のドアパネルが平面形
    状に復元されるのに従い、その緩衝力を増加する形状に
    形成されてなるとともに、ダンパー室への両側部を連通
    するバイパス通路を設け、該バイパス通路内にボールと
    スプリングを有するチェック弁を備える航空機用中折れ
    ドア。
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