JP3278929B2 - カラーフィルタ - Google Patents

カラーフィルタ

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はいわゆる液晶表示装置用
のカラーフィルタに係わり、特には、TFT(薄膜トラ
ンジスタ)方式の液晶表示装置にみられるような、通常
はカラーフィルタ側に設けられる共通電極に対する構造
上の関係をも考慮したカラーフィルタに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】カラー液晶表示装置等に用いるカラーフ
ィルタの製造方法は数多く提案され、いくつかの方法が
既に実用化されている。
【0003】例えば、透明基板上に感光性樹脂を塗布
し、常法に従って所望のパターンを形成し、前記パター
ンをレッドに染色し、同様にして、以下グリーン及びブ
ルーを染色することにより、カラーフィルタを製造する
染色法。また、予め顔料や染料等の色素を分散した感光
性樹脂を使用して、常法に従ってレッド・グリーン・ブ
ルーの画素を順次形成する着色樹脂法。そして透明基板
上に透明導電膜による所望のパターンを形成した後、着
色すべきパターンにのみ通電しながら電着させ画素を形
成する電着法。あるいはオフセット印刷法等によって画
素を形成する印刷法。さらには支持体上に形成した光導
電体を帯電させた後に、所定のマスクを介して露光を行
い、画素部分以外の電荷を除去し静電潜像を形成して現
像するという工程で作製される電子写真法がある。なお
その他にも、真空蒸着によって画素を基板上に形成する
方法、カラー写真の様にハロゲン化銀乳化剤によって画
素を形成する方法等もある。
【0004】ところで、一般に、カラーフィルタを用い
てカラー表示対応がなされた液晶表示装置を長期間駆動
させた場合には、前記カラーフィルタを構成する画素か
ら不純物イオンが液晶層へ徐々に溶出してくる。また、
電子写真方式により製造されたカラーフィルタのような
場合には、通常は光導電体層が内層として設けられてお
り、この光導電体層からも不純物イオンが液晶層へ徐々
に溶出してくる。そして、前記不純物イオンの液晶層へ
の蓄積が進み、やがては無視できかねるほどの汚染が液
晶層で発生する。
【0005】これにより前記液晶層の電圧保持率が次第
に低減されてゆき、ついには画像がちらつく様な駆動時
の画像の劣化現象(いわゆるフリッカーと称される不
良)を招いてしまい問題になっている。これは現在の主
流をなしている全てのカラーフィルタ、すなわち、前記
染色法によるものや顔料分散法によるもの等、全てに共
通する問題である。
【0006】さて、前記不純物イオンの溶出は、液晶表
示装置を駆動する際の、電極に印加される電圧の直流成
分が形成する電界が、前記不純物イオンを引き寄せる為
に発生するものである。そして、特にTFT方式のカラ
ー液晶表示装置の場合、カラーフィルタの画素面上に共
通電極が全面に形成されるために、その共通電極に印加
される電圧の直流成分によって生じる電界は強力であ
る。そのため、画素等に含まれる不純物イオンが液晶層
に溶出することによって発生する駆動時の画像の劣化現
象の出現を早めてしまう傾向がある。
【0007】なお、前記問題を解決するための対策とし
て、例えば、画素面上と共通電極との間にSiO2 等の
薄膜からなるバリヤー層を設ることにより、前記不純物
イオンの溶出を防ぐという努力もなされたりしている。
しかし、(カラーフィルタとして本来は必要でなかっ
た)前記バリヤー層をわざわざ設けるという付加的な工
程(例えば、スパッタリング法により形成する)が必要
なことや、そしてまだ完璧な効果を生じない場合もあっ
たする、という問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記問題点に
鑑みなされたものであり、その目的とするところは、T
FT方式のカラー液晶表示装置を長期間駆動させた場合
でも、カラーフィルタ中に含まれる不純物イオンの溶出
による液晶層の汚染を阻止し、汚染が原因となっていた
前記フリッカー等のような画像の劣化を抑制し、TFT
方式のカラー液晶表示装置が安定して画像表示のできる
寿命を永くできるカラーフィルタを提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に本発明が提供する手段は、すなわち、液晶表示装置用
のカラーフィルタ、すなわち少なくとも、透明支持体上
にレッド、グリーンおよびブルーの各画素と、遮光パタ
ーンと、そして共通電極とが形成されてあるカラーフィ
ルタにおいて、該透明支持体の少なくとも片面に透明導
電体層があり、且つ画素面上に形成されてある共通電極
と該透明導電体層とが、非画素部において電気的に導通
していることを特徴とするカラーフィルタである。
【0010】カラーフィルタの透明支持体上の少なくと
も一面に透明導電体層を形成し、且つ前記透明支持体上
の透明導電体層と画素上の共通電極を接触させて、電気
的に導通した状態を確保し、不純物イオンの溶出源であ
る画素等(なお、支持体の2つ平面もしくは画素形成す
る面とは逆の面のみに透明導電体層を設けた場合は支持
体も含む)を、完全に、または殆ど、導電体により包み
込んだ構造に形成しておき、駆動電圧の印加時に電気的
な遮蔽を施すことにより、長期に渡って安定に画像表示
できるようにしたTFT方式のカラー液晶表示装置用の
カラーフィルタである。
【0011】以下には、図面を参照して本発明をさらに
詳細に説明する。なお、本発明はカラーフィルタの製造
方式には特に関係なく、あらゆる方式で作製されるカラ
ーフィルタに関するものである。ここで、特に説明のた
めに列挙するものは、元から支持体上の一面に透明導電
体層を形成する必要があることから、本発明を比較的に
実施し易い二つの製造方式に係わるカラーフィルタであ
る。その二つとは、製造方法の原理上から、カラーフィ
ルタの支持体の少なくとも一方の平面上に透明導電体層
を形成する必要があるところの、前記の電子写真方式お
よび電着方式、により製造されるカラーフィルタであ
る。
【0012】まず電子写真方式によるカラーフィルタに
ついて説明する。電子写真方式によるカラーフィルタに
使用する基体は、支持体1上に導電体層2を設け、さら
に前記導電体層2上に光導電体層3を設けてある構造が
通常の特徴である。
【0013】支持体1としては、透明性を有し且つ支持
体としての強度を有する必要から、ガラス或いは有機高
分子化合物を用いる。導電体層2としては、透明性を有
し、且つ帯電時や露光時および現像時に光導電体層3に
流出入する電荷のチャンネルとなるITO(インジウム
−スズ−酸化物)等を、支持体1上にスパッタリング法
等により形成したものを用いる。光導電体層3として
は、光導電性及び透明性を有するPVK(ポリビニルカ
ルバゾール)等を、スピンコート法等で前記導電体層2
上に形成したものを用いる。
【0014】次に、本発明の電子写真方式カラーフィル
タの製造工程について、光導電体層3上の帯電電位が大
きい静電潜像部分にカラートナーが付着する通常の現像
の場合を例にして説明する。
【0015】まず帯電器を用い、光導電体層3を表面電
位数百V程度に帯電させる。帯電終了後、所定のパター
ンを有するマスクを介して紫外線露光を行い、第1色目
の画素用の静電潜像パターンを形成する。前記静電潜像
形成後、基体を第1色目の画素用の現像液であるカラー
トナー分散液に数秒浸漬し第1色目画素4を現像して、
第1色目の画素形成を終了する。続いて同様に、第2色
目以降の画素形成を行い、電子写真方式カラーフィルタ
の画素を完成させる。続いて、画素全面に共通電極5と
して、ITO等の透明導電体層をスパッタリング法等で
形成する。
【0016】この際、(図1)のように、カラーフィル
タの画素が形成されていない端の部分で、一部光導電体
層3を削り、導電体層2が露出している状態にしてお
き、導電体層2と共通電極5との導通状態を確保して、
本発明のカラーフィルタを完成させる。
【0017】次に電着法によるカラーフィルタの場合に
ついて説明する。まず電着方式カラーフィルタに用いる
基体は支持体6上にパターニングされた導電体層7を設
けた構造を有している。支持体6としては、前記支持体
1と同様、透明性を有し、且つ支持体としての強度を有
するガラス或いは有機高分子化合物を用いる。導電体層
7としては、透明性を有するITO(インジウムスズ酸
化物)等を、支持体6上にスパッタリング法等で形成し
た後、所定形状にパターニングしたものを用いる。
【0018】次に電着法によるカラーフィルタの製造工
程について説明する。前記基体を、電荷をもつ可溶性樹
脂に顔料を分散させた着色材の溶液に浸漬して、所定の
導電体層のみに通電させ、電気泳動法で所定の導電体層
上に着色材を被着させて、第1色目画素8を形成する。
続いて同様に、第2色目以降の画素形成を行い、電着方
式によるカラーフィルタのレッド、グリーン、およびブ
ルーの各画素を完成させる。
【0019】尚、電着方式はストライプ状の画素形成に
は適しているが、マトリクス状等の画像形成には適さな
い為に、ブラックマトリクス9は、黒色レジストを各色
の画素を形成した基体上にスピンコートした後、基体の
裏面から紫外線露光を行い、各色の画素をマスクとして
用い、各色の画素を形成していない非画素部のみの黒色
レジストを硬化させて、且つ画素上の黒色レジストはリ
ンスで取り除続くことで画像形成を行う。
【0020】続いて、画素全面に共通電極10として、
ITO等の透明導電体層をスパッタリング法等で形成す
る。この際、カラーフィルタの画素が形成されていない
各色の通電部上にも共通電極10を形成し、共通電極1
0との導通状態を確保して、本発明のカラーフィルタを
完成させる((図2)、(図3)参照)。
【0021】続いて、本発明のカラーフィルタを用い
て、TFT方式の液晶表示装置を作製する工程について
説明する。ここでは前記電子写真方式カラーフィルタを
用いた場合を例にして説明する。
【0022】次に前記電子写真方式カラーフィルタ上
に、液晶を規則正しく配列させる為の液晶配向層11、
すなわち、透明性を有し、且つ液晶に対して安定な、ポ
リイミドやポリビニルアルコール等の数ミクロンの厚さ
の膜を、ナイロン繊維等で一方向にラビング処理したも
のを形成した。そして次に、別の透明性を有するガラス
或いは有機高分子化合物に、TFT素子12及び電極1
3を形成し、さらにそれらの上に液晶配向層11を形成
した後、前記数ミクロン程度の粒径を有するガラスビー
ズ等によるスペーサを介して、前記電極及び液晶配向層
をその上に形成したカラーフィルタと、互いに液晶配向
層のラビング処理方向が互いに反平行に向き合う様にし
て重ね、液晶14を注入し、周辺を接着剤等で封止する
ことで、液晶パネルを完成させる((図4)参照)。
【0023】以上、本発明のカラーフィルタを電子写真
方式及び電着方式で説明したが、前記従来の技術で簡単
に説明した染色方式、着色樹脂方式、印刷方式、蒸着方
式等にも、支持体の2つの平面のうちの少なくとも一面
上に透明導電体層を設けることで、本発明のカラーフィ
ルタを作製することが出来る。
【0024】
【作用】本発明に係わるカラーフィルタによると、前記
カラーフィルタの支持体上に形成した透明導電体層と画
素上の共通電極との間に電気的な導通が出来ることか
ら、画素(場合により光導電体層も含む)等の不純物イ
オンの溶出源を静電遮蔽することにより、液晶の駆動時
に印加される電圧の直流成分により形成される電界の影
響が前記溶出源に及ぶのを防ぐ。これにより不純物イオ
ンが液晶層を汚染することを防ぎ、これが引き起こすと
ころの前記フリッカー等の発生を防ぎ、画像の劣化を抑
制することができる。
【0025】
【実施例】以下には本発明の一実施例を説明する。ポリ
−N−ビニルカルバゾール(アナン製、商品名:ツビコ
ール210)100重量部を、シクロヘキサノン900
重量部に溶解して光導電体層用の母液とした。この母液
をITO透明導電体付きソーダガラス基板に、スピンコ
ート法で塗布した後、オーブンを用い温度150℃で3
0分間乾燥を行い、約2μmの厚さの光導電体層を形成
した。
【0026】次に、コロナ帯電器を用い、光導電体層表
面を+200Vに帯電させた。帯電終了後、前記光導電
体層上に所定のパターンのマスク露光(ブラックライ
ト、波長366nmを1秒間使用)を行い、静電潜像を
形成した。
【0027】続いて、黒色着色剤を分散させ、イソパラ
フィン系溶媒(エッソ化学製、商品名:アイソパーG)
を加え作製した負帯電ブラックトナーを調整し、前記ブ
ラックトナー分散液に浸漬し現像を行い、ブラックマト
リクス画像を形成し、画像定着の為に150℃で1時間
のベーク処理を行い、ブラックマトリクスの画像形成を
終了させた。
【0028】以下、R(レッド)、G(グリーン)そし
てB(ブルー)それぞれのカラートナーを用いて、レッ
ド、グリーンおよびブルーの各色の画素を順次に形成す
ることにより、電子写真方式によるカラーフィルタの画
素を完成させた。
【0029】次に、前記カラーフィルタの枠の外側(非
画素部)の光導電体層を剃刀の刃で削り、ガラス基板上
のITO透明導電体層を露出させた後、画素上及び露出
したITO透明導電体層上に、ITOを約0.1μmの
厚さでスパッタリングして、共通電極を形成すると共
に、本発明の特徴である支持体上の透明導電体層と共通
電極の導通状態を確保し、本発明のカラーフィルタを完
成させた。
【0030】続いて、形成したITO透明電極上に、ポ
リイミド樹脂(日立化成工業製、商品名:PX−140
0)をスピンコートし、80℃で15分間と引続き25
0℃で1時間のベーキング処理を行なった後、ナイロン
繊維を用いて一方向にラビング処理し、液晶配向層を形
成した。
【0031】また、さらに別のガラス基板を用い、その
上にTFT及び画素電極を形成し、さらにその上に前記
と同様に液晶配向層を形成し、次に粒径10μmのガラ
スビース(旭硝子製)をスペーサとして、前記基板とカ
ラーフィルタとを、互いに液晶配向層を形成した面を向
け、かつ互いにラビング処理方向が反平行の向きになる
ように重ね、空パネルを作製した後、液晶(メルク製、
商品名:ZLI3086)を真空注入した後、パネルの
周辺を接着剤で封止し、液晶パネルを完成させた。
【0032】
【発明の効果】以上のように本発明に係わるカラーフィ
ルタによれば、液晶表示装置(特にTFT方式のもの)
にカラーフィルタを用いた場合に、カラーフィルタの画
素等からの不純物イオンの溶出による液晶層の汚染のた
めに、駆動時のフリッカー等のごとき画像の劣化が起こ
り、液晶表示装置の高画質の表示を行なえる寿命が縮ま
るという問題点に対して、不純物イオンの溶出源を電気
的に遮蔽して、印加される電圧の直流成分が形成する電
界による不純物イオンの溶出を防ぎ、液晶層の汚染を防
ぐことが出来る。これにより、フリッカー等の、駆動時
の画像の劣化を阻止し、TFT方式によるからー液晶表
示装置の高画質で表示を行なえる寿命を延ばすことが出
来るカラーフィルタを提供することが出来た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるカラーフィルタの一実施例を、
断面図を用いてその構造を示す説明図である。(電子写
真方式によるカラーフィルタ)
【図2】本発明に係わるカラーフィルタの他の一実施例
を、断面図を用いてその構造を示す説明図である。(電
着法によるカラーフィルタ)
【図3】本発明に係わるカラーフィルタの他の一実施例
を、平面図を用いてその構造を示す説明図である。
【図4】従来のTFT方式によるカラー液晶表示装置の
一例を、断面斜視図を用いて概略の構造を示す説明図で
ある。
【符号の説明】
1・・・支持体 2・・・導電体層 3・・・光導電体層 4・・・画素 5・・・共通電極 6・・・支持体 7・・・導電体層 8・・・画素 9・・・ブラックマトリクス 10・・・共通電極 11・・・液晶配向層 12・・・TFT素子 13・・・電極 14・・・液晶層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−81804(JP,A) 特開 昭63−273834(JP,A) 特開 昭62−79421(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 5/20 101 G02F 1/1335 505

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】液晶表示装置用のカラーフィルタ、すなわ
    ち少なくとも、透明支持体上にレッド、グリーンおよび
    ブルーの各画素と、遮光パターンと、そして共通電極と
    が形成されてあるカラーフィルタにおいて、該透明支持
    体の少なくとも片面に透明導電体層があり、且つ画素面
    上に形成されてある共通電極と該透明導電体層とが、
    画素部において電気的に導通していることを特徴とする
    カラーフィルタ。
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