JP3277573B2 - 半導体レーザモジュール - Google Patents
半導体レーザモジュールInfo
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Description
いられる光源に係り、特に半導体レーザ素子と光ファイ
バとを簡便に着脱結合できる機能を有し端面反射光が半
導体レーザに入らないようにした半導体レーザモジュー
ルに関する。
端末処理したフェルールを着脱可能な状態で嵌合するこ
とができるレセプタクルを有する半導体レーザモジュー
ルは、小型かつ汎用性に富んだ光通信用光源として実用
化が進められている。半導体レーザの光がレンズで絞ら
れてファイバの端面に入射するようになっている。ファ
イバの端面で反射した光を近端反射光という。半導体レ
ーザは素子両端の形成された共振器で光を往復反射させ
ながら光エネルギーを同期増幅するものであるから、近
端反射光が素子内に戻るとその動作が不安定になる。
に様々な工夫がなされる。最も簡単には、ファイバの端
面を斜めに切って近端反射光が半導体レーザに戻らない
ようにしたピグテイル型のものがある。図7に概略図を
示す。これは、半導体レーザ素子1、レンズ2、光ファ
イバ3の先端を保持するフェルール4を一つのフェルー
ルホルダの内部に永久固定したものである。ファイバ自
体の端面が斜めに切ってあるので、端面の反射光は、傾
斜角の約2倍だけ曲がるので半導体レーザに戻らない。
ジュールの構造は単純ではない。一般に光ファイバの端
面は軸に対して直角に切断研磨してある。このような端
面直角切断型の光ファイバを直接に半導体レーザに接続
できない。このため、前記の半導体レーザ、レンズ、フ
ェルールを収容したフェルールホルダの他に、もう一つ
コネクタを用いる。前記のフェルールホルダ内に固定さ
れたフェルールとファイバ端は斜めに切ってある。この
ファイバの他端を先述のコネクタに取付け、ここで任意
の一般の光ファイバと着脱自在に接続できるようになっ
ている。このようにフェルールホルダとコネクタの間に
もう1本の接続用ファイバがあり、これがブタの尻尾の
ように見えるのでピグテイル型というのである。
バとレーザとを中間のファイバに接続するようになって
いる。接続が2段になるので部材の数も多く、材料費、
組立費などが高価に付く。フェルールホルダが一つ余分
に必要であるし、別にコネクタが要る。
幾つか提案されている。つまり、軸に対して直角に切っ
た端面を有するファイバを直接にレセプタクルに着脱で
きるようにしたものである。ファイバ端面は光軸に対し
て直角に切ってあるので、光軸に沿う光の反射光は同一
軸にそって半導体レーザに戻る。光の戻りを避けるため
に2種類の工夫がなされる。ひとつは、ファイバ端の前
にくさび型の透明体を挿入するものである。もう一つは
光軸を斜めにするものである。
さび型透明体を入れる方式の例として、特開平2−81
008号がある。これの原理図を図3に、具体的な半導
体レーザモジュールを図5に示す。半導体レーザ素子1
からの出射ビームをレンズ2によって集光し光ファイバ
3に入射するのであるが、ファイバ端を支持するフェル
ール4の直前にくさび型断面のガラスブロック5を位置
させている。実際には軸穴を有するレセプタクルの軸穴
の直前にガラスブロック5を固着する。レセプタクル6
の軸穴には、ファイバ端に固着したフェルール4が抜き
差し自在に挿入される。
端がガラスブロック5に密着している。ガラスブロック
5は光軸に対して斜めに傾いた面を有するので、半導体
レーザ素子1からの出射ビームは、ガラスブロック5で
屈折してからファイバ端に入る。ファイバに入射した時
の光はファイバの軸線に対して僅かに傾いているが、フ
ァイバの開口角以内であるからファイバ内部の伝搬光に
なる。
るのは、これらの部材間での反射をなくすためである。
ファイバとガラスブロックの屈折率を同一にしておき、
両者を密着させておくと、両者の間での反射が起こらな
い。密着というのはこの間の反射をなくすための必須の
条件である。もちろんガラスブロック5の表面での反射
光(破線でしめす)があるが、これは光軸に沿わないの
で半導体レーザ素子1に戻らない。であるから、半導体
レーザの動作安定性を損なわない。
5のようになる。図5の全体図において、半導体レーザ
素子1は適当な半導体レーザパッケージ9に収容されて
いる。球レンズ2は、軸穴を有するレンズホルダ8の軸
穴の内部に固定される。半導体レーザパッケージ9は、
レンズホルダ8の穴の前端に固定される。フランジ部と
軸穴を有するレセプタクル6は、フェルール4を抜き差
し自在に支持するものである。フェルール4は、光ファ
イバ3の端部を固着してある。このファイバ端面は軸に
直角に(少し丸みをつけることもある)研磨してある。
大きくなっており、途中の段部18が形成される。ガラ
スブロック5は円筒形のストッパ7の内部に固定され
る。このストッパ7は、レセプタクル6の前方から軸穴
に挿入され、段部18に当たる位置で嵌合固定される。
ガラスブロック5のレンズ側の端面は斜めに研磨されて
いる。他方のフェルール側の端面は直角に研磨されてい
る。
パとガラスブロックは面一であり、、ファイバ端を固定
したフェルールが軸穴に挿入された時、ファイバ先端
が、ガラスブロック5に密着するようになっている。ま
た、レンズホルダ8は、レセプタクル6に対し軸合わせ
して、レセプタクル6の前面に溶接固定される。
平3−45913号によって提案される。図4に原理図
を、図6に全体構成を示す。これは半導体レーザ素子
1、レンズ2の中心とを結ぶ直線が、ファイバの光軸と
斜めになるようにしたものである。ファイバ端面に対し
て光が斜めに入射するので、反射光が元の方向に戻ら
ず、半導体レーザに入らない。図4において、半導体レ
ーザ素子1、レンズ2、光ファイバ3の端面中心が一直
線m上にある。ファイバの軸線nは前記の直線mと同一
でなく、ファイバ端面の中心で交差している。
によって決まる第1の光軸mと、ファイバによって決ま
る第2の光軸nとは互いに斜めになっている。これが重
要である。光ファイバ3は円筒形のフェルール4によっ
て保護される。フェルール4は軸穴を穿孔したレセプタ
クル6の軸穴に着脱自在に挿入される。ファイバ3の端
部は軸と直角に(少し丸みをつけることもある)研磨し
てある。
れた光はレンズ2で集光され、光ファイバ3の端面に入
射する。この光線と光軸nの傾きは僅かであり、ファイ
バの開口角内であるので、この光はファイバ内に入って
行くことができる。もちろん直角に入射する場合よりも
入射光量は低下する。重要なのは端面で反射された光で
ある。光軸m、nが斜めになっているから、反射光は半
導体レーザ素子2のある方とは反対向けに進み半導体レ
ーザ素子1に戻らない。
ダ8の穴の途中にレンズ2が固定される。軸穴やフラン
ジを有するレセプタクル6は軸穴内部にストッパ7を有
する。フランジと軸穴を有するレセプタクル6をレンズ
ホルダ8に対して一定偏心位置に溶接固定する。光ファ
イバ3を固着したフェルール4は、レセプタクル6の軸
穴に挿入できる。ファイバの先端はストッパ7で止ま
る。半導体レーザ素子1が気密封止された半導体レーザ
素子パッケージ9は、光ファイバ3と最適結合するよう
に位置調整された後、レンズホルダ8に溶接固定され
る。
良いが、前記特開平3−45913号では、「半導体レ
ーザ素子の光軸と、レセプタクルの光軸が、レンズの光
軸に対して反対方向に偏芯している」と表現している。
この構造をとることによって、レンズ2で集光された出
射ビームは光ファイバの光軸に対して斜めに入射する。
これにより、光ファイバの端面での近端反射光は半導体
レーザ素子1とは別方向に戻ることとなる。
ては、光ファイバ端面で生じた近端反射光の半導体レー
ザ素子への再注入を防ぐために、端面を斜め研磨したフ
ァイバを有するピグテイル型のものを用いるか、フェル
ールにくさび型断面のガラスブロックを密着させるか、
もしくは半導体レーザ素子とレセプタクルをレンズの光
軸に対して互いに反対方向に偏心して配置したものをお
もに用いていた。
部品点数が多いという難点があった。これを解決しよう
として提案された二つの改良も次のような難点がある。
点]くさび型透明体をフェルール前面に挿入する方式の
場合、フェルールを繰り返し着脱すると、フェルールが
ガラスブロックへ密着しなくなった。どうしても間に空
隙が発生する。その結果、反射雑音は増大し変調特性も
劣化した。既に述べたように、この方式でフェルールと
ガラスブロックとを密着させるのは、この間での反射を
無くすためである。重要な要件である。
ろ、ガラスブロックへ異物が付着しているのが観察され
た。この異物がフェルールとガラスブロックの間に挟ま
り、両者の密着を妨げるようになったのである。分析し
た結果、異物の成分はレセプタクルを形成している部材
や、フェルールをクリーニングする際に用いられる綿棒
等の屑などであることが分かった。
ロックに強く押し付けられていたため、こびりついてお
り容易に取れない状態になっていた。工業製品として実
使用を考えた場合、フェルールの繰り返し着脱に伴うレ
セプタクル材の僅かな摩耗あるいはフェルールに付着し
たゴミの混入は避けられない。ガラスブロックがレセプ
タクルの穴部の底にあるので、穴で発生しガラスブロッ
クに付いた異物を、ガラスブロックから取り去ることは
非常に難しい。
繰り返し着脱に伴いゴミなどがガラスブロックに付着
し、この方式の信頼性を確保するのに不可欠な、ガラス
ブロック・フェルール間の密着性を維持するのが非常に
困難であった。
を斜めにする方式の場合は、偏心量を一定に保つ高精度
の偏心固定が難しいという難点がある。図4、図6のよ
うな半導体レーザ素子とレセプタクルをレンズの光軸に
対して互いに反対方向に偏心させる方式の場合、偏心量
が光ファイバへの入射角を決めることになる。
ァイバ・半導体レーザ素子間の結合損失が大きくなって
しまう。反対に、斜め入射角が小さく垂直入射に近くな
ると光ファイバ端での近端反射光が半導体レーザ素子へ
戻ることになってしまう。ファイバ端での光の入射角を
大き過ぎずかつ小さ過ぎもしない、ある一定の定まった
角度になるように偏心量を高精度に制御する必要が生ず
る。
を、たとえば3mm、斜め入射角を5°とすると、±5
0μm偏心量がずれただけで光ファイバ・半導体レーザ
素子間の結合効率が±1dBのバラツキを生ずる。前記
の3mm、5°という条件はこの方式では一般的な条件
である。±1dBのばらつきは製品として問題になる大
きさである。
ルに対してレンズホルダを、またレンズホルダに対して
半導体レーザパッケージを数十μm以内の精度で、制御
良く偏心固定することは非常に困難である。そうしよう
とすると、組立時間・歩留り・特性の何れかを犠牲にし
なければならない。
に示すようにレセプタクルとレンズホルダの間に段差が
生じ形状的にアンバランスになる。従来の同軸上に配置
した方式に比べ、機械的強度において本質的に劣ること
となる。
の欠点を解決するためになされた。フェルールを繰り返
し着脱しても特性が変動せず、組立が容易であり、特性
ばらつきが少なく、更に機械的強度も従来と変わらない
強さが保証できる、高信頼性と安価を同時に兼ね備えた
半導体レーザモジュールを提供することが本発明の目的
である。
ジュールは、半導体レーザ素子と、この半導体レーザ素
子の出射ビームを集光し光ファイバに入射させる働きを
有するレンズと、光ファイバを端末処理したフェルール
を着脱可能な状態で嵌合することができるレセプタクル
とを有する半導体レーザモジュールにおいて、フェルー
ルとレンズとの間にフェルール先端に密着しないよう
に、非平行前後面を持つ透明体を挿入し、ファイバ表面
での反射光が透明体で屈折して半導体レーザ素子に戻ら
ないようにしたものである。つまり、先述のくさび型透
明体を用いる方式に近いが、透明体とファイバの間に間
隙があるところが異なる。
では、半導体レーザ素子の出射ビームはレンズによって
集光されたのち、ファイバに入射する直前で、フェルー
ル先端に密着しないように設置された非平行前後面を持
つ透明体を通り、これにより屈折させられ、光ファイバ
の光軸に対し斜めに入射する。透明体とファイバの間に
空隙があるので、光ファイバ端面で光が反射する。しか
し斜め入射であるので、光ファイバ端面での反射光は、
光軸に関して入射方向と反対方向に出る。この光は透明
体の中を別異の経路を通り、半導体レーザ素子とは別の
方向に戻る。ために、反射雑音による変調特性の劣化が
低減される。
いので、反射光が半導体レーザ素子に戻らないのであ
る。また透明体の前面での反射もあるが、前面が傾いて
いるので、ここからの反射光も半導体レーザ素子に戻ら
ない。前述の図3、図5の方式に比べて、フェルール・
ファイバ間に空隙があるので、反射点が3ヶ所になる。
何れの反射光も半導体レーザ素子に戻らない。
何も密着させないためにフェルールの繰り返し着脱によ
ってごみ等が透明体に付着しない。ために特性が不安定
になることがない。かつ光ファイバへの入射角は光を屈
折させる透明体の屈折率及び透明体の前面と後面のなす
角によって決まるために、高精度な偏心固定が不要にな
り組立が容易になる。
軸mと、ファイバの光軸nが食い違うが、この食い違い
Δは、極小さいものである。つまり、レンズホルダと、
レセプタクルはほぼ同軸に並べることができる。ために
機械的強度劣化の問題も避けられる。
に係る半導体レーザモジュールの基本構成図である。本
半導体レーザモジュールは、半導体レーザ素子1と、こ
の半導体レーザ素子1の出射ビームを集光し光ファイバ
3の端面に入射させる働きを有するレンズ2と、光ファ
イバを端末処理したフェルールを着脱可能な状態で嵌合
することができるレセプタクル6を含む。この構成にお
いて、フェルール・ファイバとレンズとの間に、フェル
ール・ファイバの先端に密着しないように、非平行前後
面を有する透明体10を挿入している。
中心を通った光が、透明体10で屈折しファイバの中心
に斜め入射するように位置合わせする。そうすると、半
導体レーザ素子1、レンズ2を結ぶ光軸mが、光ファイ
バの光軸nと平行であるが、少し食い違う。食い違い量
Δは、透明体の厚さD、透明体の面傾き角Θ、屈折率
N、間隙量dによる。しかし、これは僅かである。
ルでは、半導体レーザ素子1の出射ビームは、レンズ2
によって集光されたのち、非平行前後面を有する透明体
によって屈折し、光ファイバ3の端面に斜めに入射す
る。これによって光ファイバ3の端面での反射光(破
線)は、半導体レーザ素子1とは別方向にもどる。また
透明体10の前面での反射光も半導体レーザ素子1とは
別の方向に戻る。反射点は増えるが、いずれの反射光も
半導体レーザ素子に戻らないので、反射雑音による変調
特性の劣化が低減される。
ジュールの具体的構成の一実施例を説明する。レセプタ
クル6は、フランジ、軸穴、雄螺子部などを有する金属
製部材である(プラスチックとすることもできる)。レ
セプタクル6の軸穴の内部には、大径部と小径部があ
り、この境界が段部18になっている。
た石英製ガラスブロック11が前記の透明体10に該当
する。ガラスブロック11は円筒形の部材であるストッ
パ7の内部に挿入され樹脂によって接着されている。ス
トッパ7は、レセプタクル6の軸穴の大径部に挿入固定
される。フェルール・ファイバをレセプタクル6の小径
部に挿入した際にファイバの先端とガラスブロック後面
の間隔が0.2mmになるように調整される(d=0.
2mm)。dは一般に0.05mm〜3mm程度で良
い。
ール側の光学面(後面)12はファイバの光軸n(ある
いはレーザ・レンズの光軸m)に対して垂直に研磨され
ている。他方のレンズ側の光学面(前面)13はファイ
バの光軸n(或はレーザ・レンズの光軸m)に対し法線
が9°傾斜した状態で研磨されている(Θ=9°)。Θ
は一般にΘ=2°〜20°程度である。ガラスブロック
11の前後両面とも半導体レーザ素子の発振波長に対す
る無反射コーティング(波線で示す)が施されている。
無反射コーティングは省いても差し支えない。
ケージ9の外径中心位置に内装される。レンズ2は、半
導体レーザ素子の光軸と同軸になるようにレンズホルダ
8の軸穴の適当な位置に溶接固定されている。半導体レ
ーザパッケージ9はレンズホルダ8の端部に、レンズの
光軸と半導体レーザの光軸が合致するように位置合わせ
して固定される。レンズホルダ8は、レセプタクル6に
対してYAGレーザによるスポット溶接などにより固定
されている。なお、レンズ2で集光されたレーザビーム
はガラスブロック内で焦点を結んでいる。もちろん、フ
ァイバの端面で焦点を結ぶようにしても良い。
他に、プラスチックや単結晶透明体を用いることもでき
る。実験例では、ガラスブロック11を挿入したための
損失は1dBであった。きわめて小さい値である。これ
はファイバへの斜め入射による損失、ガラスブロック1
1の透過損失の他に、前面での反射損失も含まれる。ガ
ラスブロックの追加は組立を困難にしなかった。半導体
レーザ・レンズと、ファイバの光軸が食い違うことによ
り、レセプタクル6とレンズホルダ8とは軸線の位置が
異なるが、レンズホルダ・レセプタクル間の段差は20
μmに過ぎなかった。これは殆ど無視できる量である。
しかも100回の挿抜に渡って、反射雑音の少ないこと
が確認できた。
前面での光の経路と、角度、光軸のずれを説明するため
の線図である。非平行前後面を有する透明体は光ファイ
バの前面に間隙dをおいて設置されている。透明体の前
後面は角度Θをなす。光が通る部分での透明体の厚みを
Dとする。前面後面ともに光軸に対して直角でなく、前
面の直角からの反れをθ1 とし、後面の直角からの反れ
をθ2 とする。当然θ1 +θ2 =Θである。図1や図2
では、θ2 =0の場合を描いているが、θ2 は0でなく
ても良い。
ームのみを考える。これは光軸に沿って、A点から進み
透明体の前面のB点で入射し屈折する。ここでの入射角
をθ1 とし、屈折角をφ1 とする。このビームは媒質中
を進行し透明体後面のC点から出射する。一部はC点で
反射して破線で示すような光線Iとなって、透明体から
出てゆく。C点での媒質中の入射角をφ2 とし、出射角
をφ3 とする。透明体の屈折率をNとする。
の中心Wに入射する。入射した光が実際の伝搬に寄与す
るのであるが、ここではこれには触れない。反射光はW
Eの方向へ出る。入射角、反射角はα1 とする。これが
自由空間を進行し、E点で透明体に入る。ここでの入射
角をβ1 、屈折角をβ2 とする。この光が媒質中を進
み、F点から自由空間に出る。F点での入射角をσ1 と
し、屈折角をσ2 とする。そしてF点からGの方向へ伝
搬する。FGが、ファイバ端面での反射光の進行方向で
ある。これが入射光Aの光軸となす角をΩとする。
ある。これの進行方向が入射光Aの光軸となす角度をΦ
とする。また半導体レーザ、レンズの光軸mと、ファイ
バの光軸nのずれをΔとする。ファイバ端での反射光、
透明体の前面での反射光の光軸となす角Ω、Φ、それに
光軸間の食い違いΔが考察すべきパラメータとなる。透
明体は薄く、角度は全て小さいと仮定して、正弦、正接
が角度に等しいと仮定して、これらの角度の間には、次
の関係が成り立つ。
の関係を与えるスネルの式である。その外の式は、三角
形の内角、外角の関係によって与えられる式である。
(10)は透明体での反射光の光路を求めるもので、こ
れは簡単に分かる。透明体の前面傾きの2倍の傾き角Φ
を与える。これらの式は近似式であり簡単に解くことが
できる。
行方向はΩで与えられるが、これは2(N−1)Θであ
る。透明体の屈折率を1.5と仮定し、Θを6°とする
と、Ωは6°となる。
き方による。透明体の前面での反射光BHが半導体レー
ザに戻らないためには、透明体の前面の軸直角方向とな
す角θ1 が0でなければよい。Θが6°とすると、例え
ばθ1 =4°、θ2 =2°とすれば、Φ=8°となる。
度が小さい)では、ファイバ端面反射光の方向は、透明
体の前後面の非平行度Θによって決まる。透明体の置き
方(θ1 、θ2 )にはよらない。これに反して、透明体
前面反射光は透明体の置き方(θ1 )による。
直径なども関係し最適のものを選ぶべきであるが、一般
にD=0.3〜6mm程度である。
ついて説明する。θ1 =0であると、透明体での近端反
射光が半導体レーザに戻るので、θ1 ≠0であることが
望ましい。それはそうなのであるが、θ1 =0でも、透
明体の屈折率をファイバのそれよりも小さくすれば、透
明体からの反射光強度を、ファイバの反射光強度よりも
小さくすることができる。エネルギー反射率Rは、
4として、0.08程度になる。透明体の屈折率Nがフ
ァイバの屈折率より小さいと、透明体前面での反射を減
らすことができる。Nが1.4より小さい材料を透明体
に用いる場合は、θ1 =0が禁止されないということで
ある。また、透明体前面に無反射コーティングすれば、
θ1 =0であってもよい。
の厚みがD、透明体とファイバ端面の間隙をdとするの
で、
量dが大きければ大きいということになる。例えばD=
1mm、d=0.5mm、N=1.4、Θ=5°と仮定
すると、Δは0.09mmとなる。Δが小さいのでレン
ズホルダ8とレセプタクル6の軸線の食い違いが少なく
て済む。ずれΔをより小さくするには、間隙量dを小さ
くすることが有効である。このためには、透明体後面を
半導体レーザの光軸に対し直角に設置すると最も有効と
なる。このことから、請求項3の発明が生まれる。しか
し、光軸に対して直角に透明体後面を設置することは、
必ずしも必要ではない。
とが、本発明の重要な要件である。しかし、これは前後
の面が平面でなければならないということではない。光
が通過する狭い部分だけが非平行の平面になっていれば
良く、他の部分の形状は任意である。
線と、ファイバの軸線を異ならせることにより、ファイ
バ端面での光の入射角を0°から異ならせるものであ
る。入射角のずれをΘとすると、軸線のずれΔ′はレー
ザとファイバの距離LとΘの積になる。Δ′=LΘであ
る。
式で得ようとすると、本発明の場合に比較して軸ずれ
が、L/{(D/N)+d}(N−1)になる。これは
かなり大きい量である。本発明の優れていることが分か
る。
して反射点が増える。点W、点Cでの反射が損失とな
る。点Bでの反射損は、図3、図5の方式にも現れる。
点B、Cでの反射は無反射コーティングを透明体前面及
び後面に施すことにより軽減できるが、点Wでの損失は
回避できない。
体レーザモジュールは、フェルールとレンズの間に、フ
ェルール先端に密着しないように、ファイバ表面での反
射光が半導体レーザ素子に戻らないよう対策を施した透
明体を挿入した構成をとっている。半導体レーザ素子と
レンズと光ファイバとを無視できる程、小さいズレ内で
ほぼ同軸上に配置し、かつ光ファイバ前端に何も密着さ
せることなく、半導体レーザ素子への近端反射光の再注
入を防ぐことができる。
合には避けられなかったフェルールの繰り返し着脱に伴
う特性の変動を格段に低減できる。また、半導体レーザ
・レンズ・光ファイバを偏心させた場合に避けられなか
った組立上の困難さや機械的強度上の欠点を回避でき
る。このように、特性面、信頼面、製造面の多面におい
て大きな効果を有する。
は広く実用化される可能性が大で、その工業的価値は極
めて高い。
図。
の断面図。
成を示す概略構成図。
本構成を示す概略構成図。
示す断面図。
示す断面図。
ジュールの断面図。
のずれなどを計算するための、透明体の厚み、角度、透
明体とファイバ間隙などのパラメータと、その定義を示
す線図。
Claims (5)
- 【請求項1】 半導体レーザ素子と、半導体レーザ素子
のビームをファイバ端面に集光するレンズと、軸穴を有
し軸穴の先端に半導体レーザ素子を固定し、軸穴の途中
に前記レンズを保持しているレンズホルダと、軸穴を有
し光ファイバを端末処理したフェルールを軸穴に着脱可
能に嵌合することができるレセプタクルと、レセプタク
ルの軸穴の途中に固定される非平行前後平面を有する透
明体とからなる半導体レーザモジュールであって、前記
透明体のファイバ側に近い後面が軸穴に挿入されたファ
イバ端に接触しないように、且つ前記透明体の後面とフ
ァイバ端との間隔dを0.05mm〜3mmの範囲に保
持する手段を有し、前記透明体の半導体レーザに近い前
面は半導体レーザ、レンズの光軸に対して直角でないよ
うにしてあることを特徴とする半導体レーザモジュー
ル。 - 【請求項2】 透明体の厚みDは0.3mm〜6mmで
あり、且つ透明体前後面の傾斜角Θは2゜〜20゜であ
ることを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザモジ
ュール。 - 【請求項3】 半導体レーザの光軸と透明体前面とのな
す角α(0゜≦α≦90゜)が、半導体レーザ光軸と透
明体後面とのなす角β(0゜≦β≦90゜)より小さく
なるように、非平行前後面を有する透明体をレセプタク
ル内に固定してあることを特徴とする請求項1に記載の
半導体レーザモジュール。 - 【請求項4】 非平行前後面を有する透明体の、前面と
後面のどちらかもしくは両方に、半導体レーザ素子の発
振波長に対する無反射コーティングを施してあることを
特徴とする請求項1に記載の半導体レーザモジュール。 - 【請求項5】 非平行前後面を有する透明体の、前面と
後面のいずれもが、出射ビームをレンズで集光した際の
焦点に位置しないようにレセプタクル内に固定してある
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザモジュ
ール。
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