JP3277063B2 - 高張力熱延鋼板の溶融めっき方法 - Google Patents
高張力熱延鋼板の溶融めっき方法Info
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Description
ることなく、高張力熱延鋼板を連続的に溶融めっきする
方法に関する。
材,機械部品等の広範な分野で使用されている。耐食性
を向上させた鋼板として、ゼンジマー法等によって溶融
亜鉛めっきした高張力熱延鋼板も使用されている。高張
力熱延鋼板を溶融めっきする際、低温加熱還元工程での
還元不足に起因して不めっきが生じ易く、製品歩留りを
低下させる原因となっている。不めっきは、Fe,N
i,Zn等のプレめっきにより防止される。しかし、プ
レめっきは、工数の増加,工程管理,操業安定性等に問
題がある。そこで、プレめっきを必要とすることなく、
良好な溶融めっきを高張力熱延鋼板に施すことが従来か
ら検討されている。たとえば、特開平3−61352号
公報では、脱スケールされた熱延鋼板の表面層を僅かに
研削した後、鋼板強度を損なわない範囲での低温加熱に
よって表面改質している。また、特開昭49−1303
7号公報では、熱延鋼板のスケールを機械的に除去した
後、還元加熱を経てめっきしている。また、脱スケール
後、必要に応じて酸化処理し、還元加熱を経てめっきす
る場合もある。
めっきしたとき良好なめっき層が形成されない原因の一
つに、強度向上元素として添加されているSi,Mn等
の影響がある。表面研削後に低温加熱する特開平3−6
1352号公報の方法では、表面研削によって鋼板表面
が一旦清浄化されるものの、予熱炉や還元炉での加熱時
に易酸化性元素であるSi,Mn等が選択酸化され、酸
化物として鋼板表面に濃縮する。濃縮したSi,Mn等
は、めっき金属に対する鋼板表面の濡れ性を低下させ、
めっき性を阻害する。他方、研削ブラシ等を使用して鋼
板表面のスケールを機械的に除去する特開昭49−13
037号公報の方法では、酸洗のような均一処理が難し
く、部分的にスケールが残存し易い。たとえば、コイル
形状が悪い場合、部分的にブラシが当らないところがあ
り、またコイルによって板幅が異なることからブラシが
不均一に劣化する。その結果、脱スケーリングされた鋼
板表面にムラが生じる。
内部酸化スケールが発生している。この種の内部酸化ス
ケールは、研削ブラシ等で極めて除去し難く、機械的な
脱スケーリングの適用を一層困難にする。そのため、ス
ケールを完全に除去しようとすると、通板速度を低下せ
ざるを得ず、生産性が悪くなる。すなわち、従来法で処
理された鋼板表面には、依然としてスケールが部分的に
残存している。残存スケールは、還元加熱で除去可能な
厚みを超えており、不めっき発生の原因となる。本発明
は、このような問題を解消すべく案出されたものであ
り、ガス還元に先立って熱延鋼板を脱スマット処理及び
弱酸化することにより、Si及びMnの拡散を抑制する
作用を呈する薄いFeの酸化皮膜を鋼板表面に均一に形
成し、溶融めっきに適した表面状態に熱延鋼板を改質
し、めっき欠陥のない溶融めっきを施すことを目的とす
る。
は、その目的を達成するため、強化元素としてSi及び
Mnを含む高張力熱延鋼板を脱スケール酸洗後に脱スマ
ット処理し、弱酸化性雰囲気中で加熱して鋼板表面に5
00〜10000Åの膜厚を持つFeの酸化皮膜を形成
した後、水素濃度3〜25容量%の雰囲気に保持された
還元炉で還元加熱し、次いで溶融めっきすることを特徴
とする。鋼材の強度を高める添加元素としては、C,S
i,Mn,P等があり、材質の要求レベルに応じた成分
設計が採用される。代表的な成分系としては、C−Si
−Mn系,C−Mn系,C−Mn−P系等がある。C含
有量が大きいほど強度が高くなるが、0.3重量%を超
えるC含有量では溶接性が著しく劣化する。そこで、C
含有量は、通常0.001〜0.3重量%の範囲にす
る。Siは、含有量が2.0重量%を超えると熱間圧延
時に厚い内部酸化スケールを生成させ、脱スケール酸洗
性の劣化や表面外観の不均一性の原因となるため、通常
0.001〜2.0重量%の範囲にする。ここで、Si
無添加の高張力鋼も本発明の対象としていることから、
Si含有量の下限を0.001重量%にしている。しか
し、Si添加によって強度向上を図る場合、0.2重量
%以上のSiを含有させることが一般的である。Mn
は、強度及び靭性を向上させる作用があるため、現在で
は高張力鋼を設計する際の必須元素となっている。強度
の面から、0.4重量%以上のMn含有量が必要であ
る。しかし、Mn含有量が3.0重量%を超えると、鋼
材が過度に硬質化し、加工性が劣化する。したがって、
Mn含有量は、通常0.4〜3.0重量%の範囲に定め
る。Pは、強度の向上に有効であるが、0.15重量%
を超える含有量では脆化,溶接性の劣化等の悪影響が現
れる。そのため、P含有量は、通常0.001〜0.1
5重量%の範囲にする。ここで、P無添加の高張力鋼も
本発明の対象としていることから、P含有量の下限を
0.001重量%にしている。しかし、P添加で強度向
上を図る場合、0.04重量%以上のPを含有させるこ
とが一般的である。
ケール内層で内部酸化され、スケールと下地鋼との界面
に酸化物として濃縮する性質をもっている。生成したS
i系及びMn系の酸化物や鋼中に分散しているセメンタ
イト(Fe3 C)等は、塩酸,硫酸等を使用した脱スケ
ール酸洗で完全に除去することが難しく、酸洗後も鋼板
表面にスマットとして残存する。スマットは、Si系酸
化物,Mn系酸化物,セメンタイト等からなり、水素−
窒素雰囲気中での還元加熱によっても還元又は分解しな
い。表面にスマットがある鋼板をそのままめっき浴に浸
漬すると、めっき金属に対する鋼板表面の濡れ性がスマ
ットにより著しく劣化する。その結果、不めっき,密着
不良等のめっき欠陥が発生する。
延鋼板の表面に残留しているスマットを、弱酸化処理に
先立って鋼板表面から除去する。脱スマット処理には、
ブラッシング等の機械的手段,電解等の電気化学的手
段,物理的手段等が採用される。脱スマット処理せずに
弱酸化処理すると、スマット残留部分と他の鋼表面の酸
化傾向が異なり、Feの酸化皮膜が鋼板表面に均一な厚
みで形成されない。具体的には、スマットで覆われてい
る部分では、生成したFeの酸化皮膜が薄くなる。脱ス
マット処理された熱延鋼板は、清浄化された表面状態に
なる。この熱延鋼板を弱酸化すると、均一な厚みを持つ
Feの酸化皮膜が鋼板表面に形成される。予熱炉で弱酸
化するとき、予熱炉の空気比を1.00〜1.20の範
囲に維持することが好ましい。1.00未満では、燃料
が過剰で、余剰酸素を含まない雰囲気となる。そのた
め、めっき性の改善に最低限必要な膜厚を持つFeの酸
化皮膜が生成しない。しかし、1.20を超える空気比
では、Feの酸化皮膜が適正厚み以上に成長し、却って
還元不十分に起因した不めっきが発生する。
後続する還元工程で完全にFeに還元されるまで、Si
やMnが鋼中から表面に拡散することを抑制する作用を
呈する。このとき、Feの酸化皮膜が均一な厚みで鋼板
表面に形成されているので、拡散抑制作用が最大限発揮
される。したがって、還元炉での加熱中に易酸化性元素
の選択酸化が抑制され、不めっき発生の原因となるS
i,Mnの濃縮・偏析がなくなる。弱酸化で形成するF
eの酸化皮膜は、還元工程で所期の還元処理効果を得る
ため、500〜10000Åの膜厚が必要である。膜厚
が500Å未満では、還元工程の初期段階で酸化皮膜か
ら金属Feへの還元反応が完了してしまい、引き続き行
われる還元加熱中に鋼中のSiやMnが表面まで拡散す
る。表面に拡散したSiやMnは、雰囲気に含まれてい
る微量の水分や酸素によって選択酸化され、めっき性を
阻害する表面濃縮層となる。逆に、10000Åを超え
る膜厚では、還元不足に起因した不めっきが発生し易く
なる。仮に還元が終了していても、十分なめっき密着性
が得られない。
成したFeの酸化皮膜を金属Feまで完全に還元する。
還元加熱された鋼板表面は、活性な還元Feとなり、溶
融めっき性に優れた表面状態に改質される。還元加熱雰
囲気の還元力は、Feの酸化皮膜を金属Feに還元する
還元力以上で、且つ鋼中Si,Mnがめっき性を阻害す
る程度にまで表面に濃縮し始める還元力未満に設定され
る。このことから、雰囲気の水素濃度を3〜25容量%
の範囲に設定することが必要である。水素濃度が3容量
%未満では還元力が弱すぎるため、Feの酸化皮膜が完
全に還元されずに残留し、残留皮膜が不めっき発生の原
因となる。しかし、25容量%を超える水素濃度では、
還元力が強すぎることから還元過多になり、鋼中Si,
Mnが表面まで拡散し選択酸化される。その結果、S
i,Mnが酸化物として表面に濃縮し、めっき性が阻害
される。
元に与える影響を、図1を参照しながら具体的に説明す
る。図1で使用した試験片は、1.2重量%のSiを含
む高張力熱延鋼板を脱スケール酸洗した後、ブラッシン
グでスマットを除去し、弱酸化処理で1000Åの膜厚
を持つFeの酸化皮膜を形成したものを使用した。水素
濃度がそれぞれ1容量%,15容量%及び50容量%の
H2 −N2 還元性雰囲気で試験片を還元加熱し、還元加
熱後の試験片をオージェ電子分光分析した。図1(b)
から明らかなように、水素濃度15容量%の雰囲気で還
元加熱したとき、試験片の表面は、Si及びMnの濃縮
が検出されず、実質的に還元Feのみであった。他方、
水素濃度1容量%の雰囲気で還元加熱した試験片では、
図1(a)に示すように、表層にFeの酸化皮膜が残存
していた。逆に、水素濃度50容量%の雰囲気で還元加
熱した試験片では、図1(c)に示すように、試験片表
面におけるSi,Oの顕著な濃化が検出された。
ット処理した熱延鋼板の表面に500〜10000Åの
膜厚をもつFeの酸化皮膜を均一に形成した後、水素濃
度3〜25容量%の雰囲気中で還元加熱することによ
り、鋼中Si,Mnを表面濃縮させることなく、Feの
酸化皮膜を完全に金属Feまで還元している。これによ
り、熱延鋼板の表面が活性な還元Feになり、不めっき
等の欠陥を発生することがない溶融めっき性に優れた表
面状態が得られる。
4種の高張力熱延鋼板を使用した。各熱延鋼板を連続式
溶融めっきラインで塩酸脱スケール酸洗した後、ブラシ
ロール又は陽極電解によって脱スマット処理した。陽極
電解は、キレート剤を含む強アルカリ脱脂液50g/l
及びNaOH50g/lの浴を使用し、浴温40℃,電
流密度15A/dm2 ,電解時間10秒の電解条件を採
用した。
に予熱炉に装入し、空気比0.90〜1.20の弱酸化
性雰囲気中で弱酸化処理した。弱酸化処理で生成される
Feの酸化皮膜は、空気比及び鋼板温度によって膜厚が
決まってくる。そこで、適正な膜厚を持つFeの酸化皮
膜が形成されるように、予熱炉の空気比及び板温を管理
した。Feの酸化皮膜が形成された熱延鋼板は、何れも
水素濃度10容量%の還元性雰囲気が維持された還元炉
で還元加熱した後、大気に曝されることなく溶融Znめ
っきした。還元炉は最大加熱能力の70〜80%で操業
し、加熱能力,板厚,板幅等に応じて通板速度を選定し
た。具体的には、板厚3.2mm及び板幅1000mm
の熱延鋼板を通板速度32m/分で通板し、還元炉の滞
在時間を30秒に設定した。めっき浴には、Zn−0.
14%Al合金を使用した。製造されためっき鋼板の外
観を観察し、めっき欠陥がないものを○,不めっきが発
生したものを×,ピンホール状の不めっきが発生したも
のを△として評価した。また、めっき外観が良好な鋼板
から試験片を切り出し、めっき密着性試験に供した。密
着性試験は、試験片を180度曲げ、屈曲部の外側に粘
着テープを貼り付け、引き剥した後、粘着テープに転写
されためっき層の有無により判定した。粘着テープにめ
っき層が転写されないものを○として評価した。
らかなように、本発明に従った脱スマット処理,弱酸化
処理及び還元加熱が施された熱延鋼板を溶融めっきする
と、何れもめっき外観及びめっき密着性の双方に優れて
いることが判る。これは、500〜10000Åの膜厚
をもつFeの酸化皮膜が鋼板表面に均一に形成され、こ
の酸化皮膜が還元加熱で金属Feまで還元されることに
よって、活性表面をもつ熱延鋼板がめっき浴に導入され
たことを示す。これに対し、Feの酸化皮膜が薄すぎる
比較例1,5,11,16及び19では、不めっきが発
生していた。予熱工程において空気比1.0未満の雰囲
気で酸化した比較例8〜10も、生成したFeの酸化皮
膜が薄く、同様に不めっきが発生していた。また、脱ス
マット処理を施さなかった比較例22〜25では、不め
っき,ピンホール等が観察された表面層を呈していた。
これは、予熱工程で、不均一なFeの酸化皮膜が生成し
たことに起因するものと推察される。
き原板として使用し、脱スケール酸洗及び脱スマット処
理した後、直ちに空気比1.05〜1.20の予熱炉で
加熱することにより所定膜厚を持つFeの酸化皮膜を形
成した。次いで、水素濃度1〜40容量%の還元性雰囲
気に維持した還元炉で熱延鋼板を還元加熱し、大気に曝
されることなく実施例1と同じめっき浴で溶融めっきし
た。なお、実施例2では、何れもブラッシングによる脱
スマット処理を採用した。また、還元炉の操業条件及び
通板条件は、実施例1と同様に設定した。得られためっ
き鋼板のめっき性を、製造条件と併せて表3に示す。表
3から明らかなように、本発明に従うとき、めっき外観
及びめっき密着性共に優れた溶融亜鉛めっき高張力鋼板
が製造されることが判る。他方、予熱工程までを同様に
処理されたものであっても、水素濃度が3〜25容量%
の範囲を外れる水素濃度の雰囲気で還元加熱した比較例
では、何れもめっき外観が劣っていた。
ケール酸洗した後、何れもブラシロールで脱スマット処
理し、直ちに空気比1.00〜1.20の予熱炉で加熱
した。所定の膜厚を持つFeの酸化皮膜が形成された熱
延鋼板は、何れも水素濃度20容量%の還元炉で還元加
熱された後、大気に曝されることなく溶融めっき浴に導
入された。還元炉の操業条件及び通板条件は、実施例1
と同様に設定した。また、溶融めっき浴には、Zn−4
%Al,Zn−55%Al及びAl−9%Siの3種を
使用した。得られためっき鋼板のめっき性を、製造条件
と併せて表4に示す。表4から明らかなように、本発明
に従うとき、Zn−Alめっき鋼板及びAlめっき鋼板
の何れも外観及び密着性に優れた溶融めっき層が形成さ
れていることが判る。しかし、同様に処理されたもので
も、予熱工程で膜厚が10000Åを超えるFeの酸化
皮膜が形成されたものでは、何れもめっき外観が劣って
いた。
は、脱スケール酸洗された熱延鋼板表面に残留している
スマットを除去し、清浄な表面状態にして弱酸化及び還
元加熱を施している。そのため、弱酸化によって鋼板表
面に均一な厚みをもつFeの酸化皮膜が形成され、還元
加熱時に鋼中のSi及びMnが選択酸化されて表面に濃
縮することが抑制される。還元加熱された鋼板表面は、
めっき金属に対して濡れ性の良好な活性な還元Feにな
っている。このようにして本発明によるとき、従来難め
っき材とされてきた高張力熱延鋼板の溶融めっき性が改
善され、連続めっきラインで溶融Zn,溶融Zn−A
l,溶融Al等の各種めっき鋼板を製造することが可能
になる。得られためっき鋼板は、外観及び密着性に優れ
ためっき層をもち、構造材,建材,部品等として広範な
分野で使用される。
鋼板表面を還元加熱したとき、オージェ電子分光分析に
よる表面からの深さ方向分析結果に還元性雰囲気の水素
濃度が及ぼした影響を示すグラフ
Claims (1)
- 【請求項1】 強化元素としてSi及びMnを含む高張
力熱延鋼板を脱スケール酸洗後に脱スマット処理し、弱
酸化性雰囲気中で加熱して鋼板表面に500〜1000
0Åの膜厚を持つFeの酸化皮膜を形成した後、水素濃
度3〜25容量%の雰囲気に保持された還元炉で還元加
熱し、次いで溶融めっきすることを特徴とする高張力熱
延鋼板の溶融めっき方法。
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JP00656494A JP3277063B2 (ja) | 1994-01-25 | 1994-01-25 | 高張力熱延鋼板の溶融めっき方法 |
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Country Status (1)
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KR100368728B1 (ko) * | 1998-12-29 | 2003-03-31 | 주식회사 포스코 | 실리콘함유용융아연도금열연강판의제조방법 |
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- 1994-01-25 JP JP00656494A patent/JP3277063B2/ja not_active Expired - Lifetime
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