JP3276127B2 - 有機電解液電池 - Google Patents

有機電解液電池

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JP3276127B2
JP3276127B2 JP15299394A JP15299394A JP3276127B2 JP 3276127 B2 JP3276127 B2 JP 3276127B2 JP 15299394 A JP15299394 A JP 15299394A JP 15299394 A JP15299394 A JP 15299394A JP 3276127 B2 JP3276127 B2 JP 3276127B2
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organic electrolyte
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幸治 村上
雅治 東口
章 川上
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有機電解液電池に関す
るものであり、さらに詳しくは、貯蔵性の優れた有機電
解液電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】二酸化マンガン−リチウム電池に代表さ
れる有機電解液電池は、高電圧、高エネルギー密度であ
ることから、ますます需要が増えている。
【0003】従来、この種の電池の有機電解液(以下、
電池を表すとき以外は、単に電解液という)には、電解
質として過塩素酸系のLiClO4 が用いられてきた
が、最近は電池の安全性が重視され、LiClO4 のよ
うな危険性の高いものは好まれない状況になってきた。
【0004】上記LiClO4 以外のリチウム塩として
は、たとえばLiBF4 やLiB(C6 5 4 などが
電解質として用いられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
LiBF4 やLiB(C6 5 4 などを電解質として
用いた電解液は、貯蔵しておくと変色したり、一部の電
解液溶媒がポリマー化する。また、その電解液を電池に
用いた場合には電池の貯蔵性が低下する。
【0006】したがって、本発明は、上記のような従来
の有機電解液電池における問題点を解決し、貯蔵性の優
れた有機電解液電池を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、電解液の電解
質として、アニオン中心となるIII 族bからV族bの原
子に対して酸素原子が結合し、該酸素原子に電子求引性
の有機置換基が結合した有機リチウム塩を用いることに
よって、電池の貯蔵性を向上させ、上記目的を達成した
ものである。
【0008】本発明において、上記特定の有機リチウム
塩を電解質として用いることによって、電池の貯蔵性を
向上させることができる理由を、上記特定の有機リチウ
塩を具体的に説明していくなかで、明らかにする。
【0009】アニオン中心となるIII 族bからV族bの
原子、たとえば、B(ホウ素)、N(窒素)、P(リ
ン)、Ga(ガリウム)、Al(アルミニウム)、Si
(ケイ素)などは、VI族原子のO(酸素)、S(イオ
ウ)などに比べて電気陰性度が低く、これらの原子がア
ニオン中心となる場合において、電池電圧が3V以上に
なると電気陰性度の低いぶん、電子を放出しやすくな
り、アニオンが酸化されてしまうため、電池の貯蔵性が
悪くなるという問題がある。なお、上記例示からも明ら
かなように、本発明において、III 族bからV族bの原
子とは周期律表のIII族bからV族bに属する元素の原
子である。
【0010】上記のようなアニオンの酸化を防止する対
策として、アニオン中心となるIII族bからV族bの原
子に無機の電子求引性基を結合させて、アニオン中心と
なる原子を安定化させることが考えられる。この例とし
てはLiBF4 があるが、ある程度の安定化は得られる
ものの、後記の比較例2でも示すように、充分とはいえ
ない。
【0011】そこで、本発明では、さらに検討を重ね、
有機リチウム塩のアニオン中心となるIII 族bからV族
bの原子に対して酸素原子を結合させ、さらにその酸素
原子に電子求引性の有機置換基を結合させて、第一の態
様の発明を完成したのである。
【0012】上記発明において、アニオン中心の原子と
電子求引性の有機置換基とを直接結合させずに、その間
に酸素原子を介在させているのは、酸素原子の電気陰性
度が高く、酸素原子がアニオン中心の原子を安定化させ
る上に、2本しか結合を持たないため、立体障害が少な
い状態で電子求引性の有機置換基を結合させ得るからで
ある。そして、電子求引性の有機置換基はアニオン中心
の原子に対して酸素原子を介して電子を求引し、アニオ
ン中心の原子の電子密度を低下させて、アニオン中心か
ら電子を取り出しにくくすることによって、アニオンが
酸化されるのを防止する。
【0013】電子求引性の有機置換基としては、たとえ
ばカルボニル基、スルホニル基、アミノ基、シアノ基、
ハロゲン化アルキル基などがあるが、特にカルボニル
基、スルホニル基が容易に合成できることから適してい
る。
【0014】上記電子求引性の有機置換基と塩を形成す
リチウム、上記有機アニオンのアニオン中心原子よ
り、モル比が大きいことが好ましい。この理由について
は後で詳述する。
【0015】上記のような有機リチウム塩の具体例とし
ては、たとえば、LiBXX′やLiB(=O)X〔こ
こで、X、X′はB(ホウ素)原子に結合する酸素を有
する電子求引性の有機置換基で、たとえば、X、X′=
−O−C(=O)−C6 3(R)−O−、−O−C
(=O)−R′−O−、などであり、Rはアルキル基ま
たはH(水素)原子、R′はアルキレン基である〕、L
iB(Y1 )(Y2 )(Y3 )(Y4 )〔ここで、
1 ,Y2 ,Y3 ,Y4 は−O−C(=O)−R、−O
−R、−C(=O)−O−Rなどであり、Y1 ,Y2
3 ,Y4 のうち少なくとも1つは−O−C(=O)−
Rである〕、LiN〔−OC(=O)CF3 〕〔−C
(=O)CF3 〕などがあり、特に好ましいものとして
は、リチウムボロンジサリチレート〔LiB(−O−C
(=O)−C6 4 −O−)2 〕が挙げられる。
【0016】上記リチウムボロンジサリチレート〔Li
B(−O−C(=O)−C6 4 −O−)2 〕は、たと
えば、J.inorg.nucl.Chem.,Vo
l.40,p987(1978)に記載の方法や、ホウ
酸とサリチル酸と塩基性リチウム塩とを所定モル比で混
合し、有機溶媒中で加熱し、水分を回収しながら反応さ
せ、溶媒を除去することによって得られる。また、Li
N〔−OC(=O)CF3 〕〔−C(=O)CF3
は、HN〔−OC(=O)CF3 〕〔−C(=O)CF
3 〕を塩基性リチウム塩で中和することによって得られ
る。
【0017】そのほか、上記有機リチウム塩として、L
iB(OSO2 Rf)4 、LiC(OSO2 Rf)3
LiN(OSO2 Rf)2 なども用いることができる。
ここで、Rfはフルオロアルキル基である。
【0018】アニオン中心となるIII 族bからV族bの
原子は、B(ホウ素)、N(窒素)、P(リン)、Ga
(ガリウム)、Al(アルミニウム)、Si(ケイ素)
などのいずれでも良いが、結合数を考慮するとIII 族b
からIV族bの原子が好ましく、特にIII 族bの原子が好
ましい。また、有機リチウム塩の分子量を考慮すると、
原子量が70以下の原子、望ましくは原子量が30以下
の原子、より望ましくは原子量が15以下の原子が好ま
しい。以上のことから、アニオン中心となる原子として
は、B(ホウ素)が最も適している。
【0019】すなわち、ホウ素(B)は、原子量が1
0.8と小さいうえに、有機物に含まれる元素としては
酸素(O)やチッ素(N)よりも多い4本の結合が可能
であり、酸素原子を介して多くの電子求引性を有する有
機置換基と結合できる能力を持っているからである。
【0020】また、本発明は、アニオン中心となるII
I 族bからV族bの原子に対して電子求引性の有機置換
基が結合した有機リチウム塩系の塩において、上記アニ
オン中心原子に対して対カチオンを形成するリチウム
有機アニオンのアニオン中心原子のモル比〔リチウム
アニオン中心原子(モル比)〕が1より大きいものを用
いることによって、電池の貯蔵性をより一層向上させ
ことができる
【0021】具体的には、リチウム/アニオン中心原子
(モル比)が1.001以上が好ましく、より好ましく
は1.005以上、さらに好ましくは1.02以上であ
る。しかし、リチウム/アニオン中心原子(モル比)が
1.05より大きくなると、電池特性が低下しはじめる
傾向があるため、1.05以下が好ましい。
【0022】上記のようにリチウム/アニオン中心原子
(モル比)が1より大きいものは、多くの場合、前述し
有機リチウム塩とLi2 CO3 などの難溶性塩とが複
塩を形成しているものと考えられる。
【0023】Li2 CO3 などの難溶性塩は、一般的な
有機電解液用の有機溶媒には難溶性であるが、複塩であ
れば溶解するだけでなく、対となる有機リチウム塩を安
定化させるので好ましい。
【0024】この難溶性塩の具体例としては、たとえ
ば、LiOH、Li2 CO3 、LiF、Li2 SO4
Li3 PO4 などが挙げられ、なかでもアルカリ性金属
塩であるLiOH、Li2 CO3 が好ましく、特にLi
2 CO3 が好ましい。すなわち、これらの難溶性塩はそ
れ自身が電解液中で安定であったり、あるいはアルカリ
性であって電池の貯蔵性を低下させる原因となる有機酸
を中和する作用を有している。なかでも、Li2 CO3
は安定性とアルカリ性を兼ね備えているという点で特に
好適なものとして挙げられる。
【0025】なお、本発明の電解質と他の一般的な電解
質とを混合して用いる場合は、一般的な電解質のカチオ
ンのモル数、アニオンのモル数を差し引いて、上記リチ
ウム/アニオン中心原子(モル比)を算出する。
【0026】上記のように、アニオン中心となるIII 族
bからV族bの原子に対して電子求引性の有機置換基が
結合した有機リチウム塩系の塩において、リチウム/ア
ニオン中心原子(モル比)が1より大きいものは、上記
有機リチウム塩の製造工程において、Li2 CO3 など
の難溶性塩が一部取り込まれ、有リチウム塩とLi2
CO3 などの難溶性塩とが複塩を形成しているものと考
えられる。
【0027】このリチウム/アニオン中心原子(モル
比)は、ICP発光分析法によるB、Liなどの原子濃
度の測定や、あるいは上記ICP発光分析法と原子吸光
法によるLiの濃度測定の併用によって、求めることが
できる。
【0028】電解液の調製にあたって、上記電解質の有
リチウム塩を溶解させるために使用する有機溶媒とし
ては、たとえば、1,2−ジメトキシエタン、1,2−
ジメトキシメタン、ジメトキシプロパン、1,3−ジオ
キソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒド
ロフラン、4−メチル−1,3−ジオキソランなどのエ
ーテル類、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネ
ート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、γ
−バレロラクトンなどのエステル類、さらにはスルフォ
ランなどが挙げられる。
【0029】なかでも、エステル類は4.2V以上の高
電圧下においても正極の活物質との反応性が少なく、前
記の有機リチウム塩からなる電解質と組み合わせて用い
るときに、電池の貯蔵性をより向上させるので好まし
い。このエステル類は全有機溶媒中10体積%以上であ
ることが好ましく、より好ましくは20体積%以上、さ
らに好ましくは30体積%以上であって、全有機溶媒を
エステル類が占めてもよい。
【0030】電解液中における上記有機リチウム塩から
なる電解質の濃度は、特に限定されるものではないが、
通常、電解液は上記の有機溶媒に上記有機リチウム塩か
らなる電解質を0.01〜2mol/l、特に0.05
〜1mol/l程度溶解させるのが好ましい。
【0031】上記電解液を用いて電池を作製するにあた
り、負極にはアルカリ金属またはアルカリ金属を含む化
合物をステンレス鋼製網などの集電材料と一体化したも
のが用いられるが、そのアルカリ金属として、たとえ
ば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどが挙げられ、
アルカリ金属を含む化合物としては、たとえば、アルカ
リ金属とアルミニウム、鉛、インジウム、カリウム、カ
ドミウム、スズ、マグネシウムなどとの合金、さらには
アルカリ金属と炭素材料との化合物、低電位のアルカリ
金属と金属酸化物、硫化物との化合物などが挙げられ
る。
【0032】正極には、たとえば二酸化マンガン、五酸
化バナジウム、クロム酸化物、リチウムコバルト酸化
物、リチウムニッケル酸化物などの金属酸化物、二酸化
モリブデンなどの金属硫化物、またはそれらの正極活物
質に導電助剤やポリテトラフルオロエチレンなどの結着
剤などを適宜添加した合剤を、ステンレス鋼製網などの
集電材料を芯材として成形体に仕上げたものが用いられ
る。
【0033】正極活物質として金属酸化物を用いる場合
は高電圧が得られる。3V以上、特に4.2V以上の金
属酸化物を正極に用いる場合、従来のLiBF4 やLi
B(C6 5 4 では貯蔵性が非常に悪くなるが、本発
明で用いる上記有機リチウム塩からなる電解質は、その
ような高電圧下でも貯蔵性を低下させることが少ないの
で、高電圧の正極活物質を用いる場合に、その効果が特
に顕著に発揮される。
【0034】また、正極活物質の表面積が小さくなると
貯蔵性はさらに向上する。本発明において用いる正極活
物質としては、表面積が50m2 /g以下であることが
好ましく、特に30m2 /g以下であること、とりわけ
20m2 /g以下であることが好ましい。
【0035】さらに、正極活物質の金属酸化物の活性表
面をアルカリ金属またはアルカリ土類金属化合物で処理
して、上記金属酸化物にアルカリ金属またはアルカリ土
類金属を含有させると、さらに貯蔵性を向上させること
ができる。また、電池作製後、予備放電を行うことによ
っても貯蔵性を多少向上させることができる。
【0036】
【実施例】つぎに、実施例をあげて本発明をより具体的
に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例に限定さ
れるものではない。
【0037】実施例1 電解質として、リチウムボロンジサリチレート〔構造式
はLiB(−O−C(=O)−C6 4 −O−)2 で、
以下、これをLiBSAと略記する〕を用い、以下に示
すように電解液を調製した。なお、上記のLiBSAで
は、そのアニオン中心となるB(ホウ素)原子にO(酸
素)原子を介して電子求引性の有機置換〔−C(=O)
−C6 4 −〕が2個結合している。このLiBSAの
リチウム/アニオン中心原子(モル比)は1.02であ
った。上記リチウム/アニオン中心原子(モル比)は、
B原子の濃度をICP発光分析で測定し、Li原子の濃
度を原子吸光法で測定した測定結果から求めたものであ
り、以下の実施例や比較例においても、このリチウム
アニオン中心原子(モル比)は上記と同様の方法によっ
て求めている。
【0038】電解液の調製は、上記のLiBSAを1,
2−ジメトキシエタンに溶解させた後、プロピレンカー
ボネートを加えて混合することによって行った。プロピ
レンカーボネートと1,2−ジメトキシエタンとの体積
比は1:2であり、電解液中における電解質のLiBS
Aの濃度は0.6mol/lであり、この電解液の組成
を0.6mol/l LiBSA/PC:DME(体積
比1:2)で示す。
【0039】上記電解液におけるLiBSAは前記した
ようにリチウムボロンジサリチレートの略称であり、P
Cはプロピレンカーボネートの略称で、DMEは1,2
−ジメトキシエタンの略称である。したがって、上記電
解液を示す0.6mol/lLiBSA/PC:DME
(体積比1:2)は、電解液がプロピレンカーボネート
と1,2−ジメトキシエタンとの体積比1:2の混合溶
媒にリチウムボロンジサリチレートを0.6mol/l
溶解させたものであることを示している。
【0040】また、電解二酸化マンガンを熱処理し、水
酸化リチウム水溶液で処理してその表面積を18m2
gにした後、この二酸化マンガン100重量部とカーボ
ンブラック5重量部とポリテトラフルオロエチレン5重
量部を混合した後、ステンレス鋼製網を芯材として厚さ
0.4mm、幅30mmのシート状に成形し、ステンレ
ス鋼製網の集電体を取り付けた帯状正極を、250℃で
乾燥し、乾燥後、乾燥雰囲気中で室温まで冷却した。
【0041】つぎに、上記帯状正極を厚さ25μmの微
孔性ポリプロピレンフィルムからなるセパレータで包
み、これに厚さ0.18mm、幅30mmのシート状リ
チウムをステンレス鋼製網に圧着した帯状負極を重ね、
渦巻状に巻回して渦巻状電極体とした後、外径15mm
の有底円筒状の電池ケース内に充填し、正極および負極
のリード体のスポット溶接を行った後、前記の電解液を
電池ケース内に注入した。
【0042】つぎに、常法にしたがって、電池ケースの
開口部を封口し、1Aで120秒間の予備放電を行った
後、60℃で3日間エイジングを行い、図1に示す構造
の筒形の有機電解液電池を作製した。
【0043】図1に示す電池について説明すると、1は
前記の正極で、2は負極である。ただし、図1では、繁
雑化を避けるため、正極1や負極2の作製にあたって使
用されたステンレス鋼製網や集電体などは図示していな
い。そして、3はセパレータで、4は前記の電解液であ
る。
【0044】5はステンレス鋼製の電池ケースであり、
この電池ケース5は負極端子を兼ねている。電池ケース
5の底部にはポリテトラフルオロエチレンシートからな
る絶縁体6が配置され、電池ケース5の内周部にもポリ
テトラフルオロエチレンシートからなる絶縁体7が配置
されていて、前記正極1、負極2およびセパレータ3か
らなる渦巻状電極体や、電解液4などは、この電池ケー
ス5内に収容されている。
【0045】8はステンレス鋼製の封口板であり、この
封口板8の中央部にはガス通気孔8aが設けられてい
る。9はポリプロピレン製の環状パッキング、10はチ
タン製の可撓性薄板で、11は環状のポリプロピレン製
の熱変形部材である。
【0046】上記の熱変形部材11は温度によって変形
することにより、可撓性薄板10の破壊圧力を変える作
用をする。
【0047】12はニッケルメッキを施した圧延鋼製の
端子板であり、この端子板12には切刃12aとガス排
出孔12bとが設けられていて、電池内部にガスが発生
して電池の内部圧力が上昇し、その内圧上昇によって可
撓性薄板10が変形したときに、上記切刃12aによっ
て可撓性薄板10を破壊し、電池内部のガスを上記ガス
排出孔12bから電池外部に排出して、電池の破壊が防
止できるように設計されている。
【0048】13は絶縁パッキングで、14はリード体
であり、このリード体14は正極1と封口板8とを電気
的に接続しており、端子板12は封口板8との接触によ
り正極端子として作用する。また、15は負極2と電池
ケース5とを電気的に接続するリード体である。
【0049】実施例2 電解質として、リチウム/アニオン中心原子(モル比)
が1.00のLiBSAを用いた以外は、実施例1と同
様にして、図1に示す構造の筒形有機電解液電池を作製
した。
【0050】比較例1 PC:DMEの混合溶媒にLiB(C6 5 4 ・3D
MEを溶解して、組成が0.6mol/l LiB(C
6 5 4 /PC:DME(1:2)で示される電解液
を調製した。このLiB(C6 5 4 ・3DME塩の
リチウム/アニオン中心原子(モル比)は1.00であ
った。
【0051】この電解液におけるPCはプロピレンカー
ボネートの略称で、DMEは1,2−ジメトキシエタン
の略称である。したがって、上記電解液を示す0.6m
ol/l LiB(C6 5 4 /PC:DME(1:
2)は、電解液がプロピレンカーボネートと1,2−ジ
メトキシエタンとの体積比1:2の混合溶媒にLiB
(C6 5 4 を0.6mol/l溶解させたものであ
ることを示している。
【0052】この電解液を用いた以外は、実施例1と同
様にして、図1に示す構造の筒形有機電解液電池を作製
した。
【0053】比較例2 PC:DME(体積比1:2)の混合溶媒にLiBF4
を溶解して、0.6mol/l LiBF4 /PC:D
ME(1:2)で組成が示される電解液を調製した。こ
のLiBF4 リチウム(Li)/アニオン中心原子
(B)(モル比)は1.00であった。
【0054】この電解液におけるPCはプロピレンカー
ボネートの略称で、DMEは1,2−ジメトキシエタン
の略称である。したがって、上記電解液を示す0.6m
ol/l LiBF4 /PC:DME(1:2)は、電
解液がプロピレンカーボネートと1,2−ジメトキシエ
タンとの体積比1:2の混合溶媒にLiBF4 を0.6
mol/l溶解させたものであることを示している。
【0055】この電解液を用いた以外は、実施例1と同
様にして、図1に示す構造の筒形有機電解液電池を作製
した。
【0056】つぎに、上記実施例1〜2の電池および比
較例1〜2の電池を3Aで0.5秒間放電した時の最小
電圧を測定した。この電池を80℃で10日間貯蔵し、
貯蔵後の電池についても同様に最小電圧の測定を行い、
電池の性能劣化を調べた。その結果を表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】上記のような80℃×10日間という過酷
な貯蔵条件下では、表1に示すように、実施例1の電池
も最小電圧が1.37Vから1.06Vまで低下し、実
施例2の電池では最小電圧が1.36Vから1.01V
まで低下したが、それでも従来電池に相当する比較例1
〜2の電池に比べて電圧低下がはるかに少なく、本発明
の電池が従来電池に比べて、貯蔵性が優れていることを
明確に示していた。
【0059】すなわち、電解質としてLiB(C
6 5 4 を用いた比較例1の電池は、80℃×10日
間の貯蔵で最小電圧が1.06Vから0.2Vまで大幅
に低下し、また電解質としてLiBF4 を用いた比較例
2の電池にいたっては、80℃×10日間の貯蔵で最小
電圧が1.30Vから0.00V以下にまで低下し、電
池として到底使用できる状況になかったが、実施例1〜
2の電池は80℃×10日間の貯蔵後も最小電圧が1.
06Vと1.01Vであり、貯蔵性が優れていることを
示していた。
【0060】なお、実施例の中で比較すると、実施例1
の電池は、使用したLiBSAのリチウム/アニオン中
心原子(モル比)が実施例2の場合より大きいぶん、貯
蔵後の最小電圧が高くなり、貯蔵性がより優れていた。
【0061】また、上記実施例1〜2および比較例1〜
2の電池を3.5Vまで100mAで充電し、0.3A
で0.01秒間放電した時の最小電圧を測定した後、
3.5V定電圧条件下80℃で10日間貯蔵し、貯蔵後
の電池について上記同様に最小電圧の測定を行い、電池
の性能劣化を調べた。その結果を表2に示す。
【0062】
【表2】
【0063】表2に示すように、実施例1〜2の電池
は、比較例2の電池に比べて、貯蔵後の最小電圧が高
く、貯蔵性が優れていた。なお、比較例1の電池は、電
解質が電子求引性基を有しないので、3.5V以上の高
電圧に対しては耐えることができず、3.5Vに達する
前に電解質が分解し、充電することができなかった。
【0064】また、比較例2の電池では、電解質が電子
求引性基を有しているが、無機の塩であって、アニオン
中心原子に対して酸素原子を介して有機アニオンが結合
していないため、表2に示すように、貯蔵後の最小電圧
が低く、貯蔵性が悪かった。
【0065】これに対して、実施例1〜2の電池は、電
解質がアニオン中心原子に対して酸素原子を介して電子
求引性の有機置換基が結合しているので、3.5V以上
の高電圧に対しても優れた貯蔵性を示すことができた。
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、電解
液の電解質として、たとえばリチウムボロンジサリチレ
ート〔LiB(−O−C(=O)−C6 4 −O
−)2 〕のような、アニオン中心となるIII 族bからV
族bの原子に対して酸素原子を介して電子求引性の有機
置換基が結合した有機リチウム塩を用いることによっ
て、貯蔵性の優れた有機電解液電池を提供することがで
きた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る有機電解液電池の一例を模式的に
示す断面図である。
【符号の説明】
1 正極 2 負極 3 セパレータ 4 電解液
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川上 章 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立 マクセル株式会社内 (72)発明者 田中 銀之輔 大阪府堺市上89番地 大崎工業株式会社 内 (56)参考文献 特開 昭59−31780(JP,A) 米国特許3403305(US,A) 英国特許2143228(GB,B) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 6/16 H01M 10/40

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルカリ金属またはアルカリ金属を含む
    化合物を用いた負極と、活物質を有する正極と、有機電
    解液を構成要素とする有機電解液電池において、上記有
    機電解液の電解質として、アニオン中心となるIII 族b
    からV族bの原子に対して酸素原子を介して電子求引性
    の有機置換基が結合した有機リチウム塩を用いたことを
    特徴とする有機電解液電池。
  2. 【請求項2】 上記有機電解液の電解質のアニオン中心
    となる原子が、原子量30以下であることを特徴とする
    請求項1記載の有機電解液電池。
  3. 【請求項3】 上記有機電解液の電解質のアニオン中心
    となる原子が、B(ホウ素)原子であることを特徴とす
    る請求項1記載の有機電解液電池。
  4. 【請求項4】 上記有機電解液の電解質の電子求引性の
    有機置換基が、カルボニル基またはスルホニル基である
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の有機
    電解液電池。
  5. 【請求項5】 有機電解液の溶媒としてエステル類を用
    いたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の
    有機電解液電池。
  6. 【請求項6】 正極活物質として金属酸化物を用いたこ
    とを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の有機電
    解液電池。
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