JP3275740B2 - 形鋼の冷却方法 - Google Patents

形鋼の冷却方法

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JP3275740B2 JP30688496A JP30688496A JP3275740B2 JP 3275740 B2 JP3275740 B2 JP 3275740B2 JP 30688496 A JP30688496 A JP 30688496A JP 30688496 A JP30688496 A JP 30688496A JP 3275740 B2 JP3275740 B2 JP 3275740B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、H形鋼、不等辺山
形鋼の如き形鋼の製造ラインにおいて、これらを冷却す
るための形鋼の冷却方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、H形鋼のウェブの薄肉化のため
に、製造ラインにおいてウェブ波が発生しやすく、この
ようなウェブ波の発生を防止するために、フランジの冷
却が必須となっている。このようなフランジの冷却にお
いては、冷却後のH形鋼全長の上下曲りの発生を防ぐた
めに、一般に、フランジの鉛直方向の均一冷却、あるい
は、上下均一冷却を行うことが必要であるが、フランジ
の全幅の冷却は、冷却水がフランジ表面を上から下に向
って流れる特性(以下流下水という)によって、フラン
ジ下部の温度が低くなりやすい。
【0003】このようなフランジの上下の冷却能力を調
整する方法として、特開平1−116033号公報に記
載された発明がある。この発明は、冷却水を噴出するノ
ズル自体を上下に移動させることにより、フランジの上
下の冷却能力を調整するようにしたものであるが、この
ためにはノズルヘッダ自体を上下動させる機構が必要で
あり、設備費及びメンテナンス費が嵩むという問題があ
った。
【0004】このような問題を解決するための技術とし
て、特開平4−284914号公報、特公平5−305
23号公報に記載された発明(以下従来技術1という)
がある。この発明は、H形鋼のフランジの鉛直方向に対
して多段にノズルを配置し、流下水を考慮した流下水影
響係数を設け、この流下水影響係数に基いてフランジの
鉛直方向の各段のノズルの冷却能力あるいは冷却水量を
調整するようにしたものである。
【0005】また、特開平5−337535号公報に記
載された発明(以下従来技術2という)は、冷却前のフ
ランジの温度分布又は冷却中のフランジの温度分布を参
考にして、圧延ラインの下流側に設けた冷却装置により
フランジの上下の冷却制御を、ノズルのON・OFFに
よって行うようにしたものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来技術1の発明にお
いては、フランジの表面温度が降下することによる冷却
面上で沸騰温度が変化することを考慮していないため、
冷却不足が生じたり過冷却になったりして、フランジの
上下の冷却能力の制御性が悪いという問題がある。
【0007】また、従来技術2においてもフランジの表
面温度が降下することによる冷却面上の沸騰状態を把握
していないため、フランジの上下の温度差を制御するこ
とはかなり難かしい。さらに、冷却中のフランジの温度
分布を制御度数として温度制御を行うことは、この温度
がフランジの平均温度を表していないため、冷却制御を
行うことは困難である。また、各ノズル又はノズル配管
列を、フランジの温度分布を参考にしてからNO・OF
Fすることは機構的に複雑になるという問題もある。こ
のように、ノズルヘッダを上下動することなく、簡易な
方法でフランジの均一冷却を行う方法は現在までなかっ
た。
【0008】本発明は、上記の課題を解決するためにな
されたもので、形鋼のフランジの上下を均一に冷却する
と共に、上下の曲がりの発生を防止することのできる形
鋼の冷却方法を得ることを目的としたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】(1)本発明に係る形鋼
の冷却方法は、形鋼の冷却当初はフランジの全幅を均一
に冷却し、フランジの一部の表面温度が500℃〜65
0℃を下回るところから冷却工程が進むごとに該フラン
ジ下部の冷却を弱め若しくは中止し、又はフランジ上部
の冷却を強めるようにしたものである。
【0010】(2)また、本発明に係る形鋼の冷却方法
は、形鋼の冷却当初はフランジの全幅を均一に冷却し、
フランジの一部の表面温度が500℃〜650℃を下回
るところから冷却工程が進むごとに該フランジ下部の冷
却幅を広げるようにしたものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の発明者らは、流下水によ
るフランジの過冷却の発生メカニズムを次のように解明
した。すなわち、流下水によるフランジの過冷却の発生
は、被冷却材の冷却水があたっている部分の表面温度
(ここでは、H形鋼のフランジの表面温度)が、その冷
却中のフランジの表面温度における沸騰状態によって影
響されることがわかった。
【0012】一般に、H形鋼のフランジの冷却を行う
際、フランジは鉛直方向に立った状態で冷却が行われる
ため、フランジの表面に噴射された冷却水は、図8に示
すように、フランジ面の下方向に放射状に広がり、か
つ、フランジ面上を流れるように接触しながら落ちてい
く。したがって、フランジ面上の冷却水は、ノズルより
噴射された冷却水が冷却面に接触する直接接触部A(図
8の領域A)と、接触した冷却水がフランジ面上を下方
に放射状に広がってフランジの表面を流れる間接接触部
B(図8の領域B)にわかれる。この間接接触部Bは、
フランジの下部になるほど接触領域が広くなる。
【0013】また、フランジ下部の隣接する直接接触部
Aの中間部には、放射状に広がって落下してきた冷却水
が、隣接するノズルによる間接接触部Bと衝突する干渉
領域部C(図8の領域C)が存在する。ここでは、干渉
領域部Cも間接接触部Bとして考えるが、一般に、H形
鋼のフランジ冷却装置は、H形鋼の左右ずれ防止ガイド
と組合わせて配置されており、この左右ずれ防止ガイド
が存在するためにフランジとガイドの間に冷却水が押し
込まれるので、干渉領域部Cは表面流れによる間接接触
部Bの部分と同等又はそれ以上の冷却が行われる可能性
がある。ただし、直接接触部Aほど冷却能力はない。
【0014】以上のように、連続した冷却装置内でフラ
ンジの下部に流下水の間接接触部Bと干渉領域部Cが存
在することを明らかにしたが、フランジの表面温度が5
00〜650℃以上の高温の場合、被冷却面に接触して
いる冷却水は、被冷却面の熱により直ちに蒸気になり、
かつ、連続的に蒸気が発生するため蒸気膜が形成されて
冷却水が被冷却面に直接接触しなくなる(この状態を膜
沸騰と呼ぶ)。したがって、直接接触部Aは、フランジ
に対して垂直方向に衝突する運動量を有するため、膜沸
騰状態を破壊してフランジを冷却することができるが、
間接接触部B(干渉領域部Cを含む)においては、フラ
ンジに対して垂直方向に衝突する運動量がないために完
全な膜沸騰状態となり、直接接触部Aに比べて冷却能力
がかなり低い。この状態での各部の抜熱量は、領域Aが
最も大きく、領域Bと領域Cはほぼ等しい。
【0015】しかし、連続した冷却装置内においては、
冷却が進むにつれてフランジの表面温度は低下し、50
0〜650℃を下回る温度になると、蒸気膜の形成が弱
まって冷却水がフランジの表面に直接接触するようにな
るため冷却能力が向上し(この状態を遷移沸騰と呼
ぶ)、間接接触部Bの多いフランジの下部で過冷却が進
む。特に、干渉領域部Cは冷却水が押し込まれているた
め、冷却能力は間接接触部Bよりさらに大きくなる。こ
の状態での各部の抜熱量は(領域A)>(領域C)>
(領域B)であり、これが流下水による過冷却発生のメ
カニズムであることが明らかになった。
【0016】一般に、H形鋼の冷却は圧延中又は圧延後
に行われるが、冷却開始時のフランジの表面温度は65
0℃以上であることが多く、したがって、冷却開始時は
間接接触部(領域B,C)は冷却能力が低い膜沸騰状態
であるが、冷却工程が進むにつれてフランジの表面温度
が低下すると、間接接触部(領域B,C)は冷却能力が
高くなる遷移沸騰状態になる。このため、ある長さの冷
却装置内のすべてによりフランジの全幅冷却を行なって
いると下部が過冷却され、逆に流下水を見込んでフラン
ジの下部の冷却を行わないと、表面温度が高いために間
接接触部(領域B,C)は遷移沸騰にならないため、フ
ランジ下部の温度が高くなる。
【0017】このようなことから、ある長さの冷却装置
を通過させてH形鋼のフランジの冷却を行うにあたり、
フランジの上下の均一冷却を行うためには、(1)フラ
ンジの冷却当初は全幅冷却を行い、続いて、(2)フラ
ンジの表面温度が500〜650℃を下回るところから
フランジ下部の冷却を弱め又は中止し、あるいは、
(3)フランジの表面温度が500〜650℃を下回る
ところからフランジ上部の冷却を強めることにより、フ
ランジ下部の冷却を間接接触部(領域B,C)の冷却に
より補う。また、間接接触部(領域B,C)の冷却は、
冷却工程が進むにつれて広がるので、上記(2)の場合
は、フランジ下部の冷却をさらに弱め又は中止し、
(3)の場合は、フランジ上部の冷却をさらに強める。
【0018】以上の説明から明らかなように、本発明に
おいては、H形鋼のフランジの冷却を、冷却当初は全幅
冷却を行い、冷却中のフランジの表示温度が500〜6
50℃に下ってきたところで、フランジ下部の冷却を弱
め若しくは中止し、又はフランジ上部の冷却を強めこと
により、フランジの上下部の均一冷却が可能になり、ま
た、H形鋼の上下曲りなどの形状不良の発生を防止する
ことができる。
【0019】[実験例1]高さ300mm、幅300m
m、厚み20mmで、表面温度が800℃の一般鋼材か
らなる試験片を搬送台に立てて固定し、200mm間隔
で配置した全幅(但し、上部非冷却部25mm、下部非
冷却部25mm)スプレーノズル6列の前を、14秒間
隔で6往復させて冷却した。なお、放射温度計によりフ
ランジの上下方向の温度分布を測定した。また、スプレ
ーノズル1本の流量を60l/minとした。図5はそ
の結果を示すもので、冷却が進むにつれて、特に表面温
度か600℃を切る4往復目から間接接触水の影響によ
り、フランジ下部が過冷却になっていることがわかる。
【0020】[実験例2]実験例1と同様に、高さ30
0mm、幅300mm、厚み20mmで、表面温度が8
00℃の一般鋼材からなる試験片を搬送台に立てて固定
し、200mm間隔で配置した上部側(但し、上部非冷
却部25mm、下部非冷却部75mm)スプレーノズル
6列の前を6秒間隔で6往復させて冷却した。なお、ス
プレーノズル1本の冷却水量を60l/minとした。
図6は放射温度計により上下方向の温度分布を測定した
結果を示すもので、下部を全く冷却しなかったために、
流下水があってもフランジの表面温度が高く、その部分
がほとんど冷却されなかったことがわかる。
【0021】[実験例3]実験例1,2と同様に、高さ
300mm、幅300mm、厚み20mmの一般鋼材か
らなる試験片を搬送台に立てて固定し、200mm間隔
で配置したスプレーノズル6列の前を14秒間隔で6往
復させて冷却した。なお、試験片の冷却前の表面温度は
800℃であり、スプレーノズル1本の冷却水量を60
l/minとした。なお、スプレーノズルは実験例1,
2を考慮して、初め3往復は実験例1と同様に試験片の
全幅をスプレーノズルで冷却し、4往復目から残り3往
復を実験例2と同様に下部75mmを冷却しない上部側
スプレーノズルによって冷却した。
【0022】図7は放射温度計により試験片の表面温度
分布を測定した結果を示すもので、全幅冷却で600℃
付近まで冷却し、流下水の影響が出る600℃未満で下
部の非冷却部が大きい上部側スプレーノズルに切り替え
た。このため、試験片の下部は冷却されることなく、上
下がほぼ均等に冷却されることが確認できた。
【0023】[実施例1]上述の実験例1,2,3の結
果を考慮して、実機冷却装置のノズル配置を行った。図
1は実施例1の概要を示す説明図である。冷却装置5
は、仕上げ圧延機4の後方(下流側)において、H形鋼
搬送ライン8の両側に沿って45mにわたって設けられ
ている。そして、冷却装置5は長手方向に15m間隔で
第1ゾーン5a、第2ゾーン5b及び第3ゾーン5cの
3ゾーンに分けられており、各ゾーン5a〜5cには2
00mm間隔でノズルを配置し、1ゾーン当り片側75
個、両側で150個、第1〜第3ゾーン5a〜5c全部
で450個のノズルを設けた。
【0024】冷却するH形鋼は、フランジ幅300m
m、ウェブ高さ800mm、フランジ厚み26mm、ウ
ェブ厚み14mm、長さ30mで、搬送ライン8上を約
4.0m/sの搬送速度で通過させた。なお、冷却前の
H形鋼のフランジの上部平均表面温度は873℃、下部
平均表面温度は877℃で、上下の温度がほぼ等しかっ
た。
【0025】このとき、冷却装置5の第1ゾーン5aの
ノズルは、図2(a)に示すように、全幅ノズル6aを
使用した。ただし、H形鋼1のフランジ2の上下に25
mmずつ非冷却部7a,7bが設けられている。また、
図2(b)に示すように、第2ゾーン5bのノズル6b
は、フランジ2の上部に25mmの非冷却部7aを、下
部に55mmの非冷却部7cを設けた。さらに、図2
(c)に示すように、第3ゾーン5cのノズル6cは、
フランジ2の上部に25mmの非冷却部7aを、下部に
85mmの非冷却部7dを設けた。したがって、ゾーン
が進むごとに冷却幅が上部方向に縮まるノズル配置であ
る。また、冷却水量は、ノズル1本当り60l/min
噴射し、全部で1620t/hr噴射した。なお、この
条件は、H形鋼のサイズ、表面温度などの各条件により
適宜調整する。
【0026】上記の条件でH形鋼1のフランジ2を冷却
した結果、冷却復熱後のフランジ2の上部平均表面温度
は573℃、下部平均表面温度は575℃で、フランジ
2の上下部の均一冷却が行われたことがわかった。ま
た、常温になった際も曲がり等の形状不良は発生しなか
った。なお、冷却復熱後のフランジ2の平均表面温度は
570℃以上であったが、冷却中のフランジ2の平均表
面温度は500℃未満になっており、前述の間接接触部
(図8の領域B,C)の沸騰状態は遷移沸騰となって、
流下水の影響が発生しているものと考えられる。
【0027】[実施例2]本発明の第2の実施例を、図
3、図4及び表1によって説明する。冷却装置5は、仕
上げ圧延機4の後方(下流側)において、H形鋼搬送ラ
イン8の両側に沿って40mにわたって設けられてい
る。そして、ノズル6は縦方向にそれぞれ5個取付けら
れ、それを一列として200mm間隔で片側200列、
全部で400列のノズル列を取付けた。なお、便宜上、
各ノズル列の最下段のノズル6を1段目、その上を2段
目、最上段を5段目とする。また、本実施例では、冷却
装置5を10m毎に1ゾーンとして区切り、便宜上、最
初の10mを第1ゾーン5aとし、次の10mを第2ゾ
ーン5b、次を第3ゾーン5c、最終を第4ゾーン5d
とする。なお、各ゾーン5a〜5dにおいては、それぞ
れ縦方向(フランジの鉛直方向)のノズルの水量を調整
可能とした。
【0028】上記のように構成した冷却装置5に、フラ
ンジ幅300mm、ウェブ高さ800mm、フランジ厚
み26mm、ウェブ厚み14mm、長さ30mのH形鋼
1を、4.0m/sの搬送速度で搬送ライン8上を通過
させた。なお、冷却前のH形鋼1のフランジ2の上部平
均表面温度は861℃、下部平均表面温度は860℃
で、上下の温度はほぼ等しかった。
【0029】冷却条件は、表1に示すように、第1ゾー
ン5aの1段目から5段目の各ノズル6の冷却水量を6
0[l/min]とし、第2ゾーン5bの各ノズル6の
冷却水量を、1段目が36[l/min]、2段目が4
8[l/min]とし、3段目から5段目までをそれぞ
れ60[l/min]とした。また、第3ゾーン5cの
冷却水量は、1段目を27[l/min]、2段目を3
8[l/min]、3段目を49[l/min]と、4
段目及び5段目をそれぞれ60[l/min]とした。
さらに、第4ゾーン5dの冷却水量を、1段目は0[l
/min]、2段目は12[l/min]、3段目は3
6[l/min]とし、4段目及び5段目をそれぞれ6
0[l/min]とした。なお、この条件は、H形鋼の
各部の条件に応じて適宜調整する。
【0030】
【表1】
【0031】以上の条件でH形鋼1のフランジ2を冷却
した結果、冷却復熱後のフランジ2の上部平均表面温度
は567℃、下部平均表面温度は563℃で、冷却後も
フランジ2の上下の温度差がほとんどなく、フランジ2
の上下部の均一冷却が行われたことがわかった。また、
常温になった際も、曲がり等の形状不良は発生しなかっ
た。なお、冷却復熱後のフランジ2の平均表面温度は5
60℃以上であるが、冷却中のフランジ2の平均表面温
度は500℃未満になっており、間接接触部の沸騰状態
は遷移沸騰となっていて、流下水が発生しているものと
考えられる。
【0032】[実施例3]本発明の第3の実施例を表2
によって説明する。本実施例の冷却装置は第2の実施例
の場合と同じであるが、本実施例においては、フランジ
2の表面温度が高いうちはフランジ2の全幅の冷却を行
い、フランジ2の表面温度が下ってきたらフランジ上部
の冷却能力を強化し、さらに冷却が進めば、フランジ上
部の冷却能力を一層強化するようにしたものである。
【0033】冷却装置5は仕上げ圧延機4の後方におい
て、H形鋼の搬送ライン8の両側に40mにわたって設
けられている。ノズル6は、図4に示すように、縦方向
に5個のノズル6を取付け、それを一列として200m
m間隔で片側200列、全部で400列のノズル列を取
付けた。また、冷却装置5は、1ゾーンごとに縦方向の
ノズルの流量を調整しうるように構成されており、便宜
上、最下段のノズルを1段目、その上を2段目とし、最
上段を5段目とする。本実施例においては、冷却装置5
を10mごとに1ゾーンとして区切り、各ゾーンではフ
ランジ2の鉛直方向のノズルの水量をそれぞれ調整可能
とした。なお、図3に示すすように、最初の10mを第
1ゾーン5aとし、次の10mを第2ゾーン5b、次の
第3のゾーン5c、最終を第4ゾーン5dとする。
【0034】この冷却装置5に、フランジ幅300m
m、ウェブ高さ600mm、フランジ厚み20mm、ウ
ェブ厚み12mm、長さ30mのH形鋼1を、搬送速度
約3.0m/sの速さで通過させた。冷却前のフランジ
2の上部平均表面温度は847℃、下部平均表面温度は
849℃で、上下の温度はほぼ等しかった。
【0035】冷却条件は、第1ゾーン5aの1段目から
5段目の各ノズル6の冷却水量を30[l/min]と
した。また、第2ゾーン5bの各ノズル6の冷却水量
は、5段目を48[l/min]、4段目を42[l/
min]、3段目を36[l/min]とし、1段目と
2段目をそれぞれ30[l/min]とした。第3ゾー
ン5cは、5段目を54[l/min]、4段目を48
[l/min]、3段目を42[l/min]とし、1
段目及び2段目をそれぞれ30[l/min]とした。
さらに、第4ゾーン5dは、5段目を60[l/mi
n]、4段目を54[l/min]、3段目を48[l
/min]、1段目及び2段目をそれぞれ30[l/m
in]として冷却水を噴射した。その詳細を表2に示
す。なお、この条件は、H形鋼1の各部の条件により、
適宜調整する。
【0036】
【表2】
【0037】以上の条件で、H形鋼1を冷却した結果、
冷却復熱後のフランジ2の上部平均表面温度は582
℃、下部平均表面温度は580℃であり、冷却復熱後も
フランジ2の上下の温度差がほとんどなく、フランジ2
の上下部の均一冷却が行われたことが確認された。ま
た、常温になっても曲がり等の形状不良は発生しなかっ
た。なお、冷却復熱後の温度は560℃以上であるが、
冷却中のフランジの表面温度は500℃未満になってお
り、間接接触部の沸騰状態は遷移沸騰となっていて、流
下水が発生しているものと考えられる。
【0038】[比較例]実施例1の冷却装置5のノズル
6に代えて、全幅ノズルのみを取付けた冷却装置によ
り、H形鋼のフランジを冷却して比較例としての試験を
行った。各条件は実施例1の場合と同様であり、冷却装
置を仕上げ圧延機4の後方において、H形鋼搬送ライン
8の両側に45mの範囲にわたって設けた。この冷却装
置は、長手方向に15m間隔で3ゾーンに分けられてお
り、各ゾーンには200mm間隔でノズルを配置し、1
ゾーン当り片側75個、両側で150個、第1、第2、
第3のゾーン全体で450個の全幅スプレーノズルを取
付けた。冷却水量は、ノズル1本当り60l/min噴
射し、全部で1620t/hr噴射した。
【0039】この冷却装置に、フランジ幅300mm、
ウェブ高さ800mm、フランジ厚み26mm、ウェブ
厚み14mm、長さ30mのH形鋼を搬送速度約4.0
m/sの速さで通過させた。冷却前のフランジの上部平
均表面温度は873℃、下部平均表面温度は875℃
で、上下の温度はほぼ等しかった。冷却復熱後のフラン
ジの上部平均表面温度は583℃、下部平均表面温度は
523℃で大きな温度差を生じ、フランジ下部が流下水
の影響を受けていることがわかる。また、H形鋼が常温
になった際上曲がりが発生し、この曲りは、10mあた
り290mmであった。上記の比較例からみても、本発
明に係る形鋼の冷却方法は、従来技術に比べてきわめて
有効であることがわかる。
【0040】上記の説明では、本発明によりH形鋼を冷
却する場合について述べたが、不等辺山形鋼その他の形
鋼も冷却することができる。また、上下方向に配設して
5個のノズルによりノズル列を構成した場合を示した
が、ノズルの数は適宜増減することができる。
【0041】
【発明の効果】本発明に係る形鋼の冷却方法は、冷却当
初はフランジの全幅を均一に冷却し、フランジの一部の
表面温度が500℃〜650℃を下回るところから冷却
工程が進むごとにフランジ下部の冷却を弱め若しくは中
止し、又はフランジ上部の冷却を強めるようにし、ある
いはフランジ下部の非冷却幅を広げるようにしたので、
形鋼のフランジの鉛直方向を均一に冷却することがで
き、これにより上下の曲がりの発生を防止して高品質の
形鋼を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の概略説明図である。
【図2】実施例1の作用説明図である。
【図3】本発明の実施例2の概略説明図である。
【図4】実施例2のノズルの配置例を示す説明図であ
る。
【図5】実験例1の説明図である。
【図6】実験例2の説明図である。
【図7】実験例3の説明図である。
【図8】冷却水の噴射及び流下状態を示す説明図であ
る。
【符号の説明】
1 H形鋼 2 フランジ 3 ウェブ 4 仕上げ圧延機 5 冷却装置 5a 第1ゾーン 5b 第2ゾーン 5c 第3ゾーン 5d 第4ゾーン 6,6a,6b,6c ノズル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21B 45/02 C21D 9/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 H形鋼の如き形鋼の製造ラインに設置さ
    れた冷却装置による形鋼の冷却方法であって、 形鋼の冷却当初はフランジの全幅を均一に冷却し、前記
    フランジの一部の表面温度が500℃〜650℃を下回
    るところから冷却工程が進むごとに該フランジ下部の冷
    却を弱め若しくは中止し、又はフランジ上部の冷却を強
    めることを特徴とする形鋼の冷却方法。
  2. 【請求項2】 H形鋼の如き形鋼の製造ラインに設置さ
    れた冷却装置による形鋼の冷却方法であって、 形鋼の冷却当初はフランジの全幅を均一に冷却し、前記
    フランジの一部の表面温度が500℃〜650℃を下回
    るところから冷却工程が進むごとに該フランジ下部の非
    冷却幅を広げることを特徴とする形鋼の冷却方法。
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