JP3274104B2 - 丸形鋼管の製造方法 - Google Patents

丸形鋼管の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、たとえば建築用の
柱材などに使用される大径で厚肉の丸形鋼管を得るのに
採用される丸形鋼管の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の丸形鋼管の製造は、次の
ようにして行われていた。すなわち、図10に示すよう
に、帯鋼板50を長さ方向に搬送し、開先加工機60に
通して幅方向における両側縁に開先51を加工し、この
前後に所定長さに切断する。そして帯鋼板50を端曲げ
成形機61に入れて、下金型に対する上金型の昇降動
(プレス動)などにより、側縁寄りの二箇所を端曲げ成
形する。次いで、帯鋼板50をプレス成形機62に入れ
て、近似円形状鋼管52に成形する。
【0003】そして、近似円形状鋼管52を仮付け溶接
機63に入れて外側から加圧整形することで、円状に成
形しながら開先51どうしを突き合わせして円形状鋼管
53としたのち、突き合わせ部に対して仮付け溶接54
を施工する。次いで、円形状鋼管53を内面溶接機64
に移して内面溶接55を施工したのち、外面溶接機65
に移して外面溶接56を施工する。そして、ビード除去
装置66よりビード除去を行ったのち、矯正機67にお
いて矯正することで、周方向の一箇所にシール部57を
有する大径で厚肉の丸形鋼管(製品)58を製造する。
【0004】または図11に示すように、端曲げ成形機
61により側縁寄りの二箇所の端曲げ成形を行ったの
ち、U曲げ成形機68に入れてU形鋼板59に成形し、
このU形鋼板59を丸曲げ成形機69に入れて円形状鋼
管53に成形する。その後は、前述した従来方式(図1
0)と同様な工程が遂行される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した従来
の製造方法によると、プレスなどにより成形された円形
状鋼管53は、靭性や加工歪などにおいて十分に対処さ
れていない。そして丸形鋼管(製品)58を製造するた
めの専用のラインが必要であることから、角形鋼管を製
造するための専用のラインを設けた場合、全体の設備費
が高くなる。また、プレス成形機62において帯鋼板5
0を近似円形状鋼管52に成形する工程では、数十回も
プレスで押して次第に丸形に成形することから、この工
程でかなりの時間が必要になり、作業能率が悪かった。
しかも、仮付け溶接54などの溶接部が円弧部になるた
め、予め端曲げ成形機61により正確な端曲げ成形を行
う必要があり、設備費が高くなるとともに作業能率も悪
かった。
【0006】そこで本発明の請求項1記載の発明は、靭
性や加工歪などに十分に対処し得、そして全体の設備費
を安くし得、しかも作業能率の良い丸形鋼管の製造方法
を提供することを目的としたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】前述した目的を達成する
ために、本発明の請求項1記載の丸形鋼管の製造方法
は、帯鋼板の幅方向における複数箇所を折り曲げたの
ち、外側から加圧整形することで、一辺に側縁の突き合
わせ部を形成し、この突き合わせ部の少なくとも一部を
溶接することにより多角形状鋼管とし、この多角形状鋼
管を、焼鈍し処理したのち、丸管成形機により丸形に成
形することを特徴としたものである。
【0008】したがって請求項1の発明によると、帯鋼
板を多角形状鋼管に成形したのち、この多角形状鋼管を
速やかに焼鈍し処理し得る。また、多角形状鋼管を丸管
成形機において丸形に成形することで、多角形状鋼管に
成形するためのプレス押しは数回でよいことになった。
しかも、仮付け溶接などの溶接部が平面部になるため、
端曲げ成形を行う必要がない。さらに、仮付け溶接を施
工した多角形状鋼管に対する丸管成形機での丸形成形を
パス(通過)させたときには、同じラインを使用して角
形鋼管の製造を行える。
【0009】また本発明の請求項2記載の丸形鋼管の製
造方法は、帯鋼板の幅方向における複数箇所を折り曲げ
て曲げ鋼板とし、複数の曲げ鋼板を、複数箇所に側縁の
突き合わせ部が形成されるよう配置したのち、これら突
き合わせ部の少なくとも一部を溶接することにより多角
形状鋼管とし、この多角形状鋼管を、焼鈍し処理したの
ち、丸管成形機により丸形に成形することを特徴とした
ものである。
【0010】したがって請求項2の発明によると、複数
の曲げ鋼板からなる多角形状鋼管を速やかに焼鈍し処理
し得る。そして、複数箇所に突き合わせ溶接部(シーム
溶接部)を有する丸形鋼管を製造し得る。そして本発明
の請求項3記載の丸形鋼管の製造方法は、上記した請求
項1または2記載の構成において、多角形状鋼管を、前
段の焼鈍し処理を行ったのち、前段の丸管成形機により
丸形に粗成形し、次いで、後段の焼鈍し処理を行ったの
ち、後段の丸管成形機により丸形に仕上げ成形すること
を特徴としたものである。
【0011】したがって請求項3の発明によると、焼鈍
し処理と丸形に成形とを交互に二回行える。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の第一の実施の形
態を、図1〜図6に基づいて説明する。図1に示すよう
に、帯鋼板1を長さ方向1Aに搬送し、開先加工機20
に通して幅方向1Bにおける両側縁に開先2を加工し、
この前後に所定長さに切断する。そして帯鋼板1を前段
成形プレス21に入れて、下金型22に対する上金型2
3の昇降動により、側縁寄りの二箇所に大半径R状の隅
部3,4を折り曲げ成形する。
【0013】次いで図2に示すように、後段成形プレス
24に入れて、下金型25に対する上金型26の昇降動
により、中間の二箇所に大半径R状の隅部5,6を折り
曲げ成形する。そして仮付け溶接機27の部分で、四辺
をロール28,29群(またはシリンダー)により外側
から加圧整形することで、開先2どうしを突き合わせし
て、四角形状鋼管(多角形状鋼管)7としたのち、その
突き合わせ部に対して仮付け溶接8を施工する。
【0014】次いで図3に示すように、四角形状鋼管7
を内面溶接機30に移して内面溶接9を施工したのち、
外面溶接機31に移して外面溶接10を施工する。その
後、四角形状鋼管7をビード除去装置32に移して外側
のビード除去を行うことで、突き合わせ溶接部(シーム
溶接部)11を形成する。そして図4に示すように、四
角形状鋼管7を前段焼鈍し部(工程)33に入れて、前
段の焼鈍し処理を行う。すなわち、四角形状鋼管7を高
温に加熱したのち徐冷することによって、靭性の向上や
加工歪の除去などを速やかに行える。次いで四角形状鋼
管7を前段の丸管成形機34に入れて(実線参照)、下
型35に対する上型36の昇降動により、この四角形状
鋼管7を丸形に粗成形し、以て丸形状鋼管12に成形す
る(仮想線参照)。その後、丸形状鋼管12を後段焼鈍
し部(工程)37に入れて、後段の焼鈍し処理を行う。
【0015】そして図5に示すように、丸形状鋼管12
を後段の丸管成形機38に入れて(実線参照)、下型3
9に対する上型40の昇降動により、この丸形状鋼管1
2を丸形に仕上げ成形することで、一箇所に突き合わせ
溶接部11を有する大径で厚肉の丸形鋼管(製品)13
を製造し得る。この丸形鋼管13は、必要に応じて矯正
機41に入れて矯正される。
【0016】ここで前段の丸管成形機34や後段の丸管
成形機38による成形は、全長一度に成形してもよく、
また何回かに短く分けて成形してもよい。後者の何回か
に短く分けて成形する場合には、たとえば小形のプレス
で行うことができるため、設備費を安くできる。なお図
6に示すように、ビード除去装置32により外側のビー
ド除去を行うことで突き合わせ溶接部11を形成し、そ
して前段焼鈍し部33に入れて前段焼鈍し処理を行った
四角形状鋼管7に対する前段の丸管成形機34での丸形
粗成形、後段焼鈍し部37での後段焼鈍し処理、後段の
丸管成形機38での丸形仕上げ成形をパス(通過)さ
せ、この四角形状鋼管7を矯正機43に入れて矯正した
ときには、同じラインを使用して角形鋼管(製品)14
の製造を行える。このように、丸形鋼管(製品)13を
製造するためのラインを使用して、角形鋼管14の製造
を行えるため、全体の設備費を安くし得る。
【0017】また、帯鋼板1を四角形状鋼管7に成形し
たのち、この四角形状鋼管7を前段の丸管成形機34や
後段の丸管成形機38において丸形に成形することで、
四角形状鋼管7に成形するためのプレス押しは四回(数
回)でよく、以てプレス工程での時間は短くなり、作業
能率は良くなった。しかも、仮付け溶接8や内面溶接9
や外面溶接10などの溶接部が平面部になるため、端曲
げ成形を行う必要がなく、設備費が安くなるとともに作
業能率も良くなった。
【0018】次に、本発明の第二の実施の形態を、図7
に基づいて説明する。すなわち、仮付け溶接8を施工し
た四角形状鋼管7を前段焼鈍し部33に入れて前段の焼
鈍し処理を行い、そして四角形状鋼管7を前段の丸管成
形機34に入れて丸形に粗成形し、以て丸形状鋼管12
に成形する(仮想線参照)。次いで、丸形状鋼管12を
後段焼鈍し部37に入れて後段の焼鈍し処理を行ったの
ち、丸形状鋼管12を後段の丸管成形機38に入れて丸
形に仕上げ成形する。その後、内面溶接機30により内
面溶接9を施工したのち、外面溶接機31により外面溶
接10を施工する。次いで、ビード除去装置32により
外側のビード除去を施工したのち、丸形状鋼管12を矯
正機41に入れて矯正することで、一箇所に突き合わせ
溶接部(シーム溶接部)11を有する大径で厚肉の丸形
鋼管(製品)13を製造し得る。
【0019】次に、本発明の第三の実施の形態を、図8
に基づいて説明する。すなわち、帯鋼板1を長さ方向1
Aに搬送し、開先加工機20に通して幅方向1Bにおけ
る両側縁に開先2を加工し、この前後に所定長さに切断
する。そして帯鋼板1を成形プレス45に入れて、下金
型に対する上金型の昇降動により、側縁寄りの二箇所に
大半径R状の隅部3,4を折り曲げ成形し、以てC字形
状(チャンネル状)の曲げ鋼板15とする。
【0020】次いで、仮付け溶接機27の部分におい
て、一対(複数)の曲げ鋼板15を、二箇所(複数箇
所)に開先2の突き合わせ部が形成されるよう配置した
状態で、四辺をロール28,29群により外側から加圧
整形することで、開先2どうしを突き合わせして、四角
形状鋼管(多角形状鋼管)7としたのち、その突き合わ
せ部に対して仮付け溶接8を施工する。その後は、前述
した第一の実施の形態や第二の実施の形態と同様な工程
が遂行される。
【0021】この第三の実施の形態によると、二箇所
(複数箇所)に突き合わせ溶接部(シーム溶接部)11
を有する大径で厚肉の丸形鋼管(製品)13を製造し得
る。次に、本発明の第四の実施の形態を、図9に基づい
て説明する。すなわち、多角形状鋼管として六角形状鋼
管17が示されている。このように、多角形状鋼管とし
ては、四角形状鋼管7や六角形状鋼管17などを含めた
複数角形状鋼管の採用が可能である。
【0022】上記した各実施の形態において、多角形状
鋼管7を、前段の焼鈍し処理を行ったのち前段の丸管成
形機34により丸形に粗成形し、次いで、後段の焼鈍し
処理を行ったのち後段の丸管成形機38により丸形に仕
上げ成形しているが、これは粗成形を行わず、一回の焼
鈍し処理と一回の成形(仕上げ成形)とからなる方式で
あつてもよい。
【0023】上記した各実施の形態では、下型35と上
型36からなるプレス形式の前段の丸管成形機34や、
同様の後段の丸管成形機38を示しているが、これらは
ロール形式の丸管成形機であってもよい。また丸管成形
機34,38は、製造される丸形鋼管(製品)13の直
径に応じて、たとえば、サイズの異なる下型35,39
や上型36,40が準備されるものである。
【0024】上記した各実施の形態では、ライン中に丸
管成形機と矯正機が配置されているが、これは丸管成形
機が矯正機を兼ねる形式であってもよい。上記した各実
施の形態では、ライン中に前段成形プレス21と後段成
形プレス24が配置されているが、これは一台の成形プ
レスにより四箇所の折り曲げ成形を行う形式であっても
よい。
【0025】上記した各実施の形態では、一箇所または
複数箇所に突き合わせ溶接部(シーム溶接部)11を有
する大径で厚肉の丸形鋼管(製品)13を製造している
が、これは大径で薄肉の丸形鋼管、小径で厚肉の丸形鋼
管、小径で薄肉の丸形鋼管などの製造であってもよい。
【0026】
【発明の効果】上記した本発明の請求項1によると、帯
鋼板を多角形状鋼管に成形したのち、この多角形状鋼管
を速やかに焼鈍し処理できて、靭性の向上や加工歪の除
去などに十分に対処することができる。また、多角形状
鋼管を丸管成形機において丸形に成形することで、多角
形状鋼管に成形するためのプレス押しは数回でよく、こ
のプレス工程での時間を短くできて、作業能率を向上で
きる。しかも、仮付け溶接などの溶接部が平面部になる
ため、端曲げ成形を行う必要がなく、設備費を安くでき
るとともに作業能率を向上できる。さらに、仮付け溶接
を施工した多角形状鋼管に対する丸管成形機での丸形成
形をパス(通過)させたときには、丸形鋼管を製造する
ためのライン(同じライン)を使用して、角形鋼管の製
造を行うことができて、全体の設備費を安くできる。
【0027】また、上記した本発明の請求項2による
と、複数の曲げ鋼板からなる多角形状鋼管を速やかに焼
鈍し処理できて、靭性の向上や加工歪の除去などに十分
に対処することができる。そして複数箇所に突き合わせ
溶接部を有する丸形鋼管を、設備費を安くしてかつ作業
能率を良くして製造できる。さらに、上記した本発明の
請求項3によると、焼鈍し処理と丸形成形とを交互に二
回行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態を示し、丸形鋼管の
製造方法における前段プレス工程までの説明図である。
【図2】同丸形鋼管の製造方法における仮付け溶接工程
までの説明図である。
【図3】同丸形鋼管の製造方法におけるビード除去工程
までの説明図である。
【図4】同丸形鋼管の製造方法における後段焼鈍し工程
までの説明図である。
【図5】同丸形鋼管の製造方法における最終工程までの
説明図である。
【図6】本発明の第二の実施の形態を示し、丸形鋼管の
製造方法における工程説明図である。
【図7】本発明の第三の実施の形態を示し、丸形鋼管の
製造方法における工程説明図である。
【図8】本発明の第四の実施の形態を示し、丸形鋼管の
製造方法における中間部を省略した工程説明図である。
【図9】本発明の第五の実施の形態を示し、多角形状鋼
管の説明図である。
【図10】従来例を示し、丸形鋼管の製造方法における
工程説明図である。
【図11】別の従来例を示し、丸形鋼管の製造方法にお
ける工程説明図である。
【符号の説明】
1 帯鋼板 1A 長さ方向 1B 幅方向 2 開先(側縁) 7 四角形状鋼管(多角形状鋼管) 8 仮付け溶接 9 内面溶接 10 外面溶接 11 突き合わせ溶接部 12 丸形状鋼管 13 丸形鋼管(製品) 14 角形鋼管(製品) 15 曲げ鋼板 17 六角形状鋼管(多角形状鋼管) 20 開先加工機 21 前段成形プレス 24 後段成形プレス 27 仮付け溶接機 30 内面溶接機 31 外面溶接機 32 ビード除去装置 33 前段焼鈍し部 34 前段の丸管成形機 37 後段焼鈍し部 38 後段の丸管成形機 41 矯正機 43 矯正機 45 成形プレス

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 帯鋼板の幅方向における複数箇所を折り
    曲げたのち、外側から加圧整形することで、一辺に側縁
    の突き合わせ部を形成し、この突き合わせ部の少なくと
    も一部を溶接することにより多角形状鋼管とし、この多
    角形状鋼管を、焼鈍し処理したのち、丸管成形機により
    丸形に成形することを特徴とする丸形鋼管の製造方法。
  2. 【請求項2】 帯鋼板の幅方向における複数箇所を折り
    曲げて曲げ鋼板とし、複数の曲げ鋼板を、複数箇所に側
    縁の突き合わせ部が形成されるよう配置したのち、これ
    ら突き合わせ部の少なくとも一部を溶接することにより
    多角形状鋼管とし、この多角形状鋼管を、焼鈍し処理し
    たのち、丸管成形機により丸形に成形することを特徴と
    する丸形鋼管の製造方法。
  3. 【請求項3】 多角形状鋼管を、前段の焼鈍し処理を行
    ったのち、前段の丸管成形機により丸形に粗成形し、次
    いで、後段の焼鈍し処理を行ったのち、後段の丸管成形
    機により丸形に仕上げ成形することを特徴とする請求項
    1または2記載の丸形鋼管の製造方法。
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