JP3273533B2 - スペクトル拡散変復調方式 - Google Patents

スペクトル拡散変復調方式

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JP3273533B2
JP3273533B2 JP22030895A JP22030895A JP3273533B2 JP 3273533 B2 JP3273533 B2 JP 3273533B2 JP 22030895 A JP22030895 A JP 22030895A JP 22030895 A JP22030895 A JP 22030895A JP 3273533 B2 JP3273533 B2 JP 3273533B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、スペクトル拡散
変復調方式に関するもので、特に直接スペクトル拡散を
用いて、多値の信号を伝送する通信方式に使用されるも
のである。
【0002】
【従来の技術】近年、スペクトル拡散を用いた通信方式
が実用化されつつある。スペクトル拡散通信は、狭帯域
信号を広帯域にして通信することで、耐マルチパスや耐
CW妨害に効果がある。そのため、BPSK(2相位相
変調)方式などの変調方式を用い、広い帯域に広げるこ
とが一般的であった。しかし、近年、日本でのISMバ
ンドのスペクトル拡散通信認可に伴い、スペクトル拡散
通信においても、比較的狭い帯域で、高速の通信を行う
ため、多値化する工夫が行われるようになった。
【0003】特開平5−130155号公報に示す技術
は、この一例であり、図9にその代表的な構成を示す。
この従来例においては(a)は送信系であり、情報発生
部1より供給される多値のデジタル信号は符号コントロ
ーラ2を介して、A符号拡散部4−1及びB符号拡散部
4−2に与えられ、任意の同チップ数を有するA符号及
びB符号をそれぞれ乗算して2種類の変形拡散符号S
A′、SB′に変換される。上記変形拡散符号SA′、S
B′はBPSK変調器7−1、7−2でキャリア発生部
11からのキャリアを変調し、合波器6で合成された
後、バンドパスフィルタ(BPF)8、出力アンプ9及
びアンテナ10を介して、2種類の拡散符号A、Bに対
し、部分的に相関のある2つの信号の合成した信号を送
信する。
【0004】受信系ではアンテナ12で受信された信号
は入力アンプ13、BPF14を経た後、スペクトル逆
拡散部15に入力される。スペクトル逆拡散部15は、
A符号逆拡散部16−1、B符号逆拡散部16−2及び
差動検出部18等によって構成され、A符号逆拡散部1
6−1及びB符号逆拡散部16−2からは、それぞれ受
信信号の値とA、B両符号との相関値に応じたレベルが
相関出力として導出される。
【0005】差動検出部18では、上記A符号逆拡散部
16−1、B符号逆拡散部16−2からの両相関出力の
差をとり、これを量子化回路19に入力して、該量子化
回路19で量子化した後情報複号部20で元の情報を復
号し出力する。この従来例においては、スペクトルの拡
散をA符号とB符号の2種類の拡散符号を用いて行うの
で帯域を広げずに多値のデータを送ることができ、限ら
れた帯域で高速のデータレートを送ることが可能とな
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来例において
は、Aの変形拡散符号とBの変形拡散符号が互いに独立
であり、一方の変形拡散符号が他方の変形拡散符号を表
わすような関係にない。従って、その2つの変形拡散符
号を作成して送信する必要があり、A,B符号拡散部4
-1、4-2が必要であるとともに、BPSK変調器も2個
必要になり、回路規模が大きくなる欠点を生じていた。
【0007】また、上記の従来例においては、受信系で
2つの符号の差信号を用いているが、さらに伝送容量を
上げるためには、A,Bの符号に割り当てる符号の一致
する割合を細分する必要が出てくる。しかし、現実に
は、符号を変形していくと相互相関、自己相関が劣化
し、任意に細分化できない場合が生じてくる。
【0008】また、上記の従来例においては、A符号逆
拡散部16-1及びB符号逆拡散部16-2で逆拡散した
後、差動検出部18で差動出力を導出するようにしてい
るため、ベースバンドで処理する場合は、キャリア再生
する必要があり、回路規模が大きくなる欠点を有してい
た。
【0009】本発明は、以上の点に鑑み、BPSK変調
器を減らせる、あるいは、高速化、非同期化できるスペ
クトル拡散変復調方式を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、多値のデジタル信号のデジタル値を任意の同チップ
数を有する種類の拡散符号に分担し、多値の大きさに
応じて、それぞれの拡散符号に対して部分的に相関があ
とともに両者の相関値の差が前記デジタル値に対応す
1つの変形拡散符号を形成し、該1つの変形拡散符号
を変調処理して送信するとともに、受信系においては、
前記変形拡散符号にそれぞれの拡散符号で逆拡散を施
し、それらの逆拡散出力の差をとることにより、多値の
デジタル信号を復調するようにしたことを特徴とする。
この場合、前記変形拡散符号を予め記憶手段に記憶して
おいて前記多値の大きさに応じて前記記憶手段から取り
出すようにするとよい。
【0011】請求項3記載の発明は、請求項1の送信系
において、変調方法は、4相位相変調とし、多値のデジ
タル値をI相成分とQ相成分に2分割してそれぞれに
して上記変形拡散符号を形成し、受信系においては、逆
拡散をI相、Q相、各々において行うとともにI相、Q
相各々において求めた相関値の差を併せて多値のデジタ
ル信号を復調するようにしたことを特徴とする。
【0012】請求項4記載の発明は、請求項1、3の受
信系において、逆拡散した信号を絶対値にする絶対値形
成手段を有し、この絶対値の差より、前記変形拡散符号
に対応した多値のデジタル信号を復調するようにしたこ
とを特徴とする。
【0013】請求項5記載の発明は、請求項1の送信系
の変調方法を、送信系の変調は2相位相変調とし、受信
系においては、送信系のキャリア周波数とほぼ同一の周
波数を乗じて、ほぼベースバンドあるいはアナログ相関
器に応じた周波数に変換し、信号をI成分、Q成分
に変換して、その逆拡散、あるいは相関器出力信号の各
々の2乗和をとり絶対値出力とし、この絶対値の差によ
り、前記多値のデジタル信号を復調するようにしたこと
を特徴とする。
【0014】本発明は上記の構成であるので、例えば変
形拡散符号を、符号長112のチップを有する2つの直
交した拡散符号の第1の拡散符号における16個を反転
したもので構成すると、第1の拡散符号に対し96の相
関がとれ、第2の拡散信号に対し16の相関がとれるこ
とになる(尚、第1拡散信号の相関が96で、第2の拡
散信号の相関が16のときの差80が多値のレベル1を
表わすものとする)。このように構成された1つの変形
拡散符号を送信すれば、受信系では、この変形拡散符号
に第1、第2の拡散符号の逆拡散をそれぞれ行なうこと
によって第1、第2拡散符号の相関96、16をそれぞ
れ求めることができ、更にその相関の差により多値のレ
ベル1を得ることができる。
【0015】また、変調する手段に、4相位相変調を用
いることで、2倍の伝送容量を確保でき、さらに高速伝
送が可能となる。また、受信系において、逆拡散した信
号を絶対値で判断することで、位相変調の位相の不確定
性をなくすことができるようになる。
【0016】また、2相位相変調を用いると、ほぼベー
スバンドあるいはアナログ相関器に応じた周波数に変換
し、信号をI成分、Q成分に変換し、その逆拡散、ある
いは相関器出力信号を各々2乗和をとり絶対値出力とす
ることで、非同期方式でも、復調できるようになる。
【0017】また、多値のデジタル信号を任意の同チッ
プ数を有する数種類の拡散符号に変換し、それぞれの拡
散符号に部分的に相関のある数種類の信号を伝送する方
式においても、この数種類を同時に用いることで、さら
に高速な伝送が可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】図1は本発明の第1の実施形態の
ブロック図である。ここでは、2種類の拡散符号をベー
スとしたシステムを構成する場合について説明する。図
1において、(a)は送信系である。30は多値例えば
8値の情報を発生する情報発生部であり、該情報発生部
30より発生する。情報はシリアル−パラレル変換を行
った例えば3ビットの情報であってもよい。
【0019】31は符号コントローラであり、上記情報
発生部30からの例えば3ビットの入力信号に対して予
じめ定めた任意の周期(チップ数)で同一チップ数の2
種類の符号(A,B)との差動信号が出力するように符
号を生成し、この差動信号をBPSK変調器32で変調
した後、BPF(バンドパスフィルタ)33、アンプ3
4及びアンテナ35を介して送信する。
【0020】この場合、符号コントローラ31による符
号の生成は次のようにして行われる。情報発生部30か
らの入力信号が例えば3ビットの信号である場合、その
入力信号は8レベルを取り得る。今、拡散符号として仮
に112チップの符号を用いた場合、8レベルに分ける
と16チップが1レベルに相当する。つまり情報発生部
30から与えられる多値信号が0〜7の8レベルの値
(3ビット)であるとすると、0を送信するときには例
えばAの符号に対して112の相関がとれ(Aの符号に
112個が一致)、一方Bの符号に対しては相関が0に
なる(Bの符号と0個が一致)ので、残り7レベルで1
12チップを割ると、1レベル当り16チップとなる。
【0021】情報発生部30からの多値信号が1である
場合は、Aの符号に対して96の相関がとれ、Bの符号
に対しては、16の相関がとれる変形拡散符号を作る。
同様に情報発生部30からの多値信号のレベル2〜7に
ついても同様にして変形拡散符号が作られる。多値信号
の各レベル0〜7に対して例えば表1に示すようなAの
符号及びBの符号に対する相関がとれた変形拡散符号を
符号コントローラ31は生成する。
【0022】
【表1】
【0023】この符号コントローラ31の動作を図2及
び図3を用いて従来例と比較しながら更に詳細に説明す
る。図2に示す従来例では入力された情報発生部1から
の多値入力(Kビット、例えば3ビット)に従って、A
符号の相関値とB符号の相関値を決定する。
【0024】例えば従来例に記載されている数値例で説
明すると、符号長127チップの符号の場合、図2のA
符号相関値決定回路21−1でA符号の相関が120
に、またB符号相関値決定回路21−2でB符号の相関
が110に決定されるとA符号の相関が120になるよ
うにROM等のメモリーで構成されたA符号用変形符号
発生部23−1からのA符号用変形符号をセレクター2
2−1で選び、B符号に対してはB符号の相関が110
になるようにROM等のメモリーで構成したB符号用変
形符号発生部23−2からのB符号用変形符号をセレク
ター22−2で選ぶ。
【0025】多値入力が3ビットのとき、せいぜい8通
りしか選ぶ必要がないので、あらかじめこの変形した符
号はROM等に8種蓄えておきセレクター22−1、2
2−2に従って送出するようにすればよい。この変形符
号は例えば120の相関を得ようとする場合、127チ
ップのうち7チップを反転すればよい。同様に、110
の相関を得る場合は、120チップのうち10チップを
反転する。
【0026】一方、本発明においては、情報発生部30
より供給された多値デジタル信号入力に従って、図3に
示すセレクター41で変形符号を選び、変形符号発生部
42から、多値入力に応じた変形符号を送出する。この
ときも、せいぜい8通りしかないので、あらかじめRO
M等のメモリーに8種の信号を蓄えておき、セレクター
42によって選出するようにすればよい。
【0027】この変形符号の作り方の1例を次に示す。
符号長が112チップである場合多値入力情報が1のと
き、変形符号はA符号に対して96の相関がとれ、B符
号に対して16の相関がある符号を考える。A符号とB
符号は、互いに直交した符号を用いると、本来相関は0
である。そこでA符号の112チップのうちB符号と符
号の一致していないものを8ケ反転することでA符号と
の相関は112が96となり、一方B符号の相関は0が
16となる。
【0028】同様にして多値入力信号が3ビットの場合
の各レベル0〜7についてA符号とB符号に対する変形
符号の相関は上記の表1に示すものと同じになる。この
ようにして生成した変形した符号とA符号、B符号との
相関をあらかじめコンピュータ等によって計算し最適な
変形符号をROM等のメモリーに記憶しておく。
【0029】符号コントローラ31で上述のようにして
生成した変形拡散符号は1個のBPSK変調器32で変
調した後、BPF33及びアンプ34を介しアンテナ3
5より送信される。つまり、本発明では変形拡散信号が
A符号とB符号に対し、それぞれ相関をもっているの
で、変形拡散符号は1つ送るだけでよく、BPSK変調
器は1つだけでよいことになる。
【0030】図1(b)は受信系のブロック図である。
受信系で受信した信号は周波数変換部36で周波数変換
された後、分配器37でA符号による変形拡散符号とB
符号による変形拡散符号の2種類に分配されて、それぞ
れA符号逆拡散部38−1及びB符号逆拡散部38−2
に供給される。そしてA符号とB符号に相関のとれるA
符号逆拡散部38−1及びB符号逆拡散部38−2で逆
拡散すると各々の出力は、送信側の符号コントローラ3
1で作った値が出力される。
【0031】例えば、情報発生部1からの多値入力信号
が1の場合は、A符号の逆拡散部38-1から96が、B
符号の逆拡散部38-2から16が出力する。この出力を
差動部39に導き両出力の差動を取ると、80となる。
このようにすると、送信データと差動出力の関係は、多
値入力信号のレベルが0,1,2,3,4,5,6,7
の場合、各々112,80,48,12,−12,−4
8,−80,−112に相当する値になる。これを量子
化回路40で量子化した後情報複合部41で元の情報に
複合する。
【0032】このようにして、本発明では、符号コント
ローラ31で拡散符号を上述の如くコントロールするこ
とで、多値のデジタル信号の伝送が1つの変形拡散符号
を送るだけで可能となる。また、本発明では、従来の問
題点であったBPSK変調器を一つにすることができ、
回路を小型化できるメリットをもつ。
【0033】次に、本発明の第2の実施形態として、3
符号を用いた場合の受信系の構成を図4に示す。送信系
は、図1の(a)と同一で、符号コントローラ31で3
つの符号に対して、相関出力を考えた変形拡散符号を作
る。
【0034】図4に示す受信系で、入力した信号は、周
波数変換部43で周波数変換された後、配分器44に供
給され、該配分器44で3分配し、各々をA,B,C符
号に対して、相関の取れるA符号逆拡散部45−1、B
符号逆拡散部45−2及びC符号逆拡散部45−3で逆
拡散し、A、B差動部46−1、A,C差動部46−2
及びB,C差動部46−3で各々、Aの相関器出力とB
の相関器出力、Aの相関器出力とCの相関器出力、Bの
相関器出力とCの相関器出力の差動出力を得る。この
後、この各差動出力は量子化回路47−1,47−2,
47−3を経て、情報復号部48に供給し、該情報復号
部48で、データを復調し、出力する。
【0035】送信信号の多値数が多い場合、例えば4ビ
ットであると16レベル、6ビットであると64レベル
になり、2符号の差動のみでは、例えば、114チップ
でこのような多値の伝送は、難しくなる。そこで、符号
を増やすことでこの問題を解決できる。図4に示す実施
形態では、AとB、AとC、BとCの3つの差動を取っ
ているので、各々2ビットずつ割り当てればよく、11
4チップに対して、4レベルとなり、伝送が容易とな
る。
【0036】また、AとB、AとCの2組だけ使うこと
も可能である。この場合は、3ビットずつ割り当てれば
よい。2ビットずつに比べて、1つのレベルは小さくな
るものの、受信回路の小型化ができる。また、送信系の
符号コントローラ31で信号を生成する場合、AとB、
AとC、BとCに対して各々任意のパーセントで符号が
一致して信号を生成することは難しくなってくるが、A
とB、AとCのみであると、生成を容易に行うことがで
きる。以上のように、本実施形態を用いることで、符号
のレベルの細分化を押さえることができる。
【0037】なお、上述する図1及び図4で示した第1
及び第2の実施形態においては、逆拡散部は、能動型で
も、受動型でもよく、アナログ回路でも、デジタル回路
でも、構成できる。また、逆拡散部がデジタル回路で構
成されている場合は、差動部、量子化部もデジタル回路
で構成されるので、この場合の量子化部は、多ビットか
ら3ビットへのデジタル−デジタル変換で実現できる。
また、第2の実施形態では、A,B,Cの3符号を用い
たものを示したが、これは、2以上のいくつでもよい。
【0038】次に本発明の第3の実施形態を説明する。
第1及び第2の実施形態においては、変調器として、B
PSK方式のものを示したが、ここでは、QPSK(4
相位相変調)方式の回路を採用した実施形態を図5を用
いて説明する。この送信系を図5(a)に示す。この場
合、符号コントローラ51では、情報発生部50より入
力された多値のビットの入力信号をI成分とQ成分の2
つの信号に分け、その後、第1及び第2の実施形態と同
様にして、与えられた複数個の符号により、多値レベル
を決定して、符号を生成する。
【0039】一方、受信系を、図5(b)に示す。アン
テナ60で受信した信号は、I信号、Q信号になるよう
に、周波数変換部61でローカル信号発生器68からの
ローカル信号のcos成分、sin成分と乗算し、I成
分、Q成分に分けられる。その後、分配器62−1、6
2−2によりI信号及びQ信号は、それぞれA符号及び
B符号逆拡散部63−1、63−2、64−1、64−
2で上記第1及び第2の実施形態と同様にして逆拡散処
理が施され、差動部65−1、65−2で差動出力を導
出し、量子化回路66−1、66−2でそれぞれ量子化
が行われた後、情報復合部67でI成分の信号とQ成分
の信号を併せてデータ復調を行い出力を導出する。
【0040】この受信側回路の基本的な動作は、第1及
び第2の実施形態と実質的には同一である。また、この
とき、I側、Q側の符号A、Bは、IとQが同一でも、
また異なる4種類の符号(例えばA,B,C,D各符
号)であってもよい。また、この実施形態では、QPS
K変調方式を用いたものを示したが、これは、IとQの
信号が直交しているような方式であれば、本発明は一般
性を失わない。また、本実施形態では、符号がA,B,
2符号の場合を示したが、これは3個以上の複数個でも
よいことは明らかである。
【0041】次に、本発明の第4の実施形態を説明す
る。第4の実施形態の送信系は図1(a)に示す第1の
実施形態の送信系と同一であり、受信系を図6に示す。
図6において、アンテナ70からの入力信号は周波数変
換部71で周波数変換された後、分配器72で2配分さ
れ、A符号及びB符号でそれぞれ相関がとれるA符号逆
相関部73−1及びB符号逆相関部73−2に導かれ逆
変換が施される。
【0042】そして、この逆変換が行われた信号はそれ
ぞれ絶対値検出部74−1、74−2で絶対値の算出が
行われた後、差動検出部75に供給されてA側及びB側
の絶対値出力の差動が取られる。差動検出部75で検出
された差動出力は、量子化回路76で量子化された後、
情報復合部77に供給されて、ここで信号の復調が行わ
れる。
【0043】上述する第1、第2、第3の実施形態で
は、復調側において、A符号及びB符号で逆拡散した
後、そのまま差動出力を取り出すようにしたが、第4の
実施形態では、逆拡散した信号の絶対値を取って差動す
るようにしている。一般に、位相変調を復調する場合、
キャリア再生を行うが、再生回路によっては、データが
反転する場合が生じる。
【0044】例えば、第1及び第2の実施形態を例に取
ると、Aの符号で96、Bの符号で16の相関出力の場
合、差動をとると本来80となる。しかし、もしデータ
が反転すると、−96−(−16)で−80となってし
まう。これは、6と判断される危険性が生じる。しか
し、本実施形態のように絶対値とすることで、常に正し
い結果を得ることができるようになる。この場合、送信
系符号は、絶対値にしたときに最適となるように符号コ
ントローラでコントロールする。
【0045】次に本発明の第5の実施形態を説明する。
第1から第4の実施形態においては、キャリア同期する
ことで復調を行っていたが、本実施形態は、非同期のま
ま復調するものである。送信系は、図1(a)に示す構
成と同一である。受信系を図7に示す。アンテナ80で
受信した入力信号は第1の周波数変換部81で周波数変
換された後、分配器82に供給されて2分配され、第2
の周波数変換部83−1、83−2に入力される。
【0046】周波数変換部83−1、83−2では発振
器84からの乗算するローカル信号がキャリア同期して
いないので上記周波数変換部83−1、83−2の出力
信号はローカル信号のcos成分、sin成分を用いて
擬似ベースバンド信号のI成分、Q成分となる。このロ
ーカル信号は、送信側のローカル信号とほぼ同一の周波
数のものにする。
【0047】上記周波数変換部83−1、83−2の出
力は、それぞれ分配器85−1、85−2でA符号側と
B符号側に分配され、A符号及びB符号で相関のとれる
A符号逆拡散部86−1、86−2及びB符号逆拡散部
87−1、87−2に供給されて逆拡散処理が施され
る。逆拡散処理が施されたI成分側及びQ成分側の逆拡
散出力はA符号側どうし、及びB符号側どうし、それぞ
れ2乗和回路88−1、88−2に供給してA符号どう
し、及びB符号どうし、の2乗和をとり更に差動検出部
89で上記2乗和の差動出力を導出して、量子化回路9
0で量子化した後、情報復調部91で信号の復調を行
う。
【0048】この時、送信側は、第4の実施形態と同様
に、絶対値出力で最適になるようにコントロールされて
いる。本実施形態において、信号が復調できる原理を説
明する。周波数変換部83−1、83−2で受信したデ
ータにローカル信号を乗算するが、このとき、送信・受
信間の周波数差を△ωtとする。また、入力信号は、S
(t)とする。その場合、周波数変換部の信号は、S
(t)cos△ωtとS(t)sin△ωtとなる。
【0049】この信号にA符号及びB符号逆拡散部86
−1、86−2、87−1、87−2ではA符号A
(t)、B符号B(t)を乗じるのでA符号及びB符号
逆拡散部86−1、87−1、86−2、87−2の出
力はA(t)S(t)cos△ωt,B(t)S(t)
cos△ωt,A(t)S(t)sin△ωt,B
(t)S(t)sin△ωtとなる。2乗和回路88−
1、88−2では対応する上記信号の2乗和をとるの
で、この2乗和出力は、各々、A2(t)S2(t),B
2(t)S2(t)となる。これは、図6の絶対値出力の
二乗和と等しくなっていることがわかる。
【0050】上述するように受信系の構成を図7に示す
実施形態のようにすると非同期方式でありながら、同期
方式と同一の出力が得られる事がわかる。一般に、受信
機を同期方式にする場合、キャリア同期回路が必要であ
る。これには、PLL,VCO,ループフィルタ等が必
要であり、回路が大きくなる欠点があった。また、キャ
リア同期には、PLLの引き込み時間が必要であり、パ
ケット通信のような場合はスループットが劣化してい
た。しかし、実施形態では、非同期方式で復調できるの
で、回路の小型化が可能になるとともに、引き込み時間
を0にすることができ、パケット通信に適したシステム
となる。尚、この2乗和回路は平方をとった回路、即ち
A(t)S(t)、B(t)S(t)としても本発明の一般性を失わ
ない。
【0051】次に本発明の第6の実施形態を図8と共に
説明する。本実施形態は、図9に示す従来例において送
信信号の多値数が多い場合に、多値の信号伝送が困難に
なるのを解消するため3個の符号で拡散を行うようにし
たものであり、受信系は図4に示す本発明の第2の実施
形態の受信系と同一構成でよい。
【0052】図8に示す送信系において、情報発生部1
00で発生した信号は符号コントローラ101を通っ
て、A符号拡散部102−1、B符号拡散部102−
2、C符号拡散部102−3で拡散処理が施され、その
後BPSK変調器103−1、103−2、103−3
でそれぞれBPSK変調を行う。BPSK変調が施され
た各信号は、合波器104で合波され、BPF105及
びアンプ106を介してアンテナ107より伝送され
る。
【0053】この実施形態では図4に示す受信系におい
て、AとB、AとC、BとCの各符号に対する信号の3
つの差動を取っているので、各符号毎にそれぞれ2ビッ
トずつ割り当てればよく、各符号の周期が例えば114
チップの場合、4レベルとなり、伝送が容易となる。従
って、このときの多値入力信号の各レベルにおいて、各
符号A、B、Cに対する相関の割り当て方や受信回路の
構成は図1に示す本発明の、第1の実施形態と同様に構
成でき、また符号のレベルの細分化を押さえることがで
きる。
【0054】次に本発明の第7の実施形態を説明する。
図8に示す第6の実施形態では、変調方式としてBPS
K方式を採用した場合について説明したが、本実施形態
では、変調方式にQPSK方式を採用したものについて
説明する。この場合の送信系は本発明の第6の実施形態
として図8に示す送信系のBPSK変調器103−1、
103−2、103−3をQPSK変調器にするととも
に、符号コントローラ101において、入力された多値
のビットをI成分とQ成分の2つの信号に分けるように
する。そして、I信号とQ信号に分けられた各信号は、
その後、第1の実施形態のように与えられた複数個の符
号A、B等により、多値レベルを決定して、変形拡散符
号を生成する。
【0055】一方、受信系は、本発明の第3の実施形態
として説明した図5(b)と同一構成でよい。受信した
信号は、I信号、Q信号になるように、周波数変換部6
1でローカル信号のcos成分、sin成分と乗算し、
I成分、Q成分に分けられる。その後、各符号(A、
B)の逆拡散部63−1、63−2、64−1、64−
2を通して、差動部65−1、65−2で差動を取り、
量子化回路66−1、66−2で量子化を行い、その
後、情報復調部67では、I側からの信号とQ側からの
信号とを併せてデータ復調を行い、復調信号を出力す
る。
【0056】基本的な動作は、第3の実施形態と同一で
ある。また、このとき、I側、Q側の符号A、Bは、I
とQが同一でも、違っても(A,B,C,D)効果は同
一である。また、本実施形態では、変調方式としてQP
SK方式としたが、これは、IとQの信号が直交してい
るような方式であれば、本発明は一般性を失わない。ま
た図8に示す送信系の例示ではA,B,Cの3符号を用
いた場合を示し、図5(b)に示す受信系の例示では
A,Bの2符号の場合を示しているが採用する符号の数
は2個以上の複数個で同様にして実施することができ
る。
【0057】
【発明の効果】本発明は以上のようなものであるので、
多値のデジタル信号を、多値の大きさに応じて、それぞ
れの拡散符号に対して部分的に相関のある1つの変形拡
散符号を作ることで、位相変調器を一つにすることが可
能となり、小型化、低価格化が実現できる。また、変調
するときに、4相位相変調を用いることで、同一の帯域
で2倍の伝送容量を確保でき、さらに高速伝送が可能と
なる。また、受信系において、逆拡散した信号を絶対値
で判断することで、位相変調の位相の不確定性をなくす
ことができ、復調ミスを無くすために必要なデータ判別
回路が不要となり、回路の簡易化が図れるようになる。
【0058】また、I成分、Q成分の相関器出力信号の
2乗和をとり絶対値出力とすることで、非同期方式で
も、復調できるようになり、PLL回路等が不要にな
り、回路を小型化できる。また、同期に要する時間がゼ
ロであるので、パケット通信のような方式では、同期の
ためのプリアンブル部を短くできるので、スループット
を上げることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態のブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の動作説明に供する従
来例の要部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の要部構成を示すブロ
ック図である。
【図4】本発明の第2の実施形態の受信系の構成を示す
ブロック図である。
【図5】本発明の第3の実施形態の構成を示すブロック
図である。
【図6】本発明の第4の実施形態の受信系の構成を示す
ブロック図である。
【図7】本発明の第5の実施形態の受信系の構成を示す
ブロック図である。
【図8】本発明の第6の実施形態の送信系の構成を示す
ブロック図である。
【図9】従来例のブロック図である。
【符号の説明】
30 情報発生部 31 符号コントローラ 32 BPSK変調器 36 周波数変換器 37 分配器 38−1 A符号逆拡散部 38−2 B符号逆拡散部 39 差動部 41 情報復合部 43 周波数変換部 44 分配器 45−1 A符号逆拡散部 45−2 B符号逆拡散部 45−3 C符号逆拡散部 46−1 A,B差動部 46−2 A,C差動部 46−3 B,C差動部 48 情報復号部 50 情報発生部 51 符号コントローラ 52 QPSK変調器 61 周波数変換部 62−1 分配器 62−2 分配器 63−1 A符号逆拡散部 63−2 A符号逆拡散部 64−1 B符号逆拡散部 64−2 B符号逆拡散部 65−1 差動部 65−2 差動部 67 情報復合部 71 周波数変換部 72 分配器 73−1 A符号逆拡散部 73−2 B符号逆拡散部 74−1 絶対値算出部 74−2 絶対値算出部 75 差動検出部 77 情報復号部 81 周波数変換部 82 分配器 83−1 周波数変換部 83−2 周波数変換部 84 発振器 85−1 分配器 85−2 分配器 86−1 A符号逆拡散部 86−2 A符号逆拡散部 87−1 B符号逆拡散部 87−2 B符号逆拡散部 88−1 2乗回路 88−2 2乗回路 89 差動検出部 91 情報復号部 100 情報発生部 101 符号コントローラ 102−1 A符号拡散部 102−2 B符号拡散部 102−3 C符号拡散部 103−1 BPSK変調部 103−2 BPSK変調部 103−3 BPSK変調部 104 合波器

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】多値のデジタル信号のデジタル値を任意の
    同チップ数を有する種類の拡散符号に分担し、多値の
    大きさに応じて、それぞれの拡散符号に対して部分的に
    相関があるとともに両者の相関値の差が前記デジタル値
    に対応する1つの変形拡散符号を形成し、該1つの変形
    拡散符号を変調処理して送信するとともに、受信系にお
    いては、前記変形拡散符号にそれぞれの拡散符号で逆拡
    を施し、それらの逆拡散出力の差をとることにより、
    多値のデジタル信号を復調するようにしたことを特徴と
    するスペクトル拡散変復調方法
  2. 【請求項2】前記変形拡散符号は予め記憶手段に記憶さ
    れており、前記多値の大きさに応じて前記記憶手段から
    取り出されることを特徴とする請求項1に記載のスペク
    トル拡散変復調方法
  3. 【請求項3】送信系における変調は4相位相変調とし、
    多値のデジタル値をI相成分とQ相成分に2分割してそ
    れぞれに対して上記変形拡散符号を形成し、受信系にお
    いては、逆拡散をI相、Q相、各々において行うととも
    にI相、Q相各々において求めた相関値の差を併せて
    値のデジタル信号を復調するようにしたことを特徴とす
    る請求項1に記載のスペクトル拡散変復調方法
  4. 【請求項4】受信系に、逆拡散した信号を絶対値にする
    絶対値形成手段を有し、この絶対値の差より、前記変形
    拡散符号に対応した多値のデジタル信号を復調するよう
    にしたことを特徴とする請求項1又は2に記載のスペク
    トル拡散変復調方法
  5. 【請求項5】送信系の変調は2相位相変調とし、受信系
    においては、送信系のキャリア周波数とほぼ同一の周波
    数を乗じて、ほぼベースバンドあるいはアナログ相関器
    に応じた周波数に変換し、信号をI成分、Q成分に
    変換して、その逆拡散、あるいは相関器出力信号の各々
    の2乗和をとり絶対値出力とし、この絶対値の差によ
    り、前記多値のデジタル信号を復調するようにしたこと
    を特徴とする請求項1に記載のスペクトル拡散変復調
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