JP2536718Y2 - スペクトラム拡散通信装置 - Google Patents

スペクトラム拡散通信装置

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直道 高橋
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Description

【考案の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本考案は、通信効率が高く、しかも送信装置と受信装
置の回路構成が簡単化できるスペクトラム拡散通信装置
に関する。
[従来の技術] スペクトラム拡散通信方式の1つとして、数ビットの
データに対して1つのPN系列を割り当てるものがある。
第5図は、2ビットからなるデータ(以下、ワードと呼
ぶ)を伝送する方式の構成図である。nビットのデータ
の場合、ワード数は2のn条になる。この例では、n=
2であるから、ワード数は4になる。そこで、送信装置
に4個の異なるPN系列発生器1〜4を用意しておく。図
のPN系列発生器1〜4は、シフトレジスタにおける帰還
路をそれぞれ異にして、異なるPN系列を発生する。
送信データは直並列変換器5により2ビットの制御信
号となし、マルチプレクサ6を制御する。マルチプレク
サ6は、ワードごとに割り当てたPN系列(1)〜(4)
を発生するPN系列発生器1〜4の1つを選択し、電装路
7に当該PN系列を出力する。第6図は、第5図の構成の
方式の各点の波形を示すものであるが、この図にみるよ
うにワード[0,0],ワード[0,1],ワード[1,0],
ワード[1,1]に対してPN系列(1),(2),
(3),(4)をそれぞれ割り当てている。
一方、受信装置は、並列に設けた4個の相関器8〜11
により、相関計算を行なう。4個の相関器8〜11は、例
えば相関器8はPN系列発生器1と同一のPN系列(1)に
よって入力信号と相関計算を行ない、相関出力を求め
る。従って、各相関出力r1,r2,r3,r4は、第6図に示す
ようになり、復調器12は相関ピークを検知し、復調PN系
列を定め、復調データcを出力する。
[考案が解決しようとする課題] 従来のスペクトラム拡散通信装置は、受信側で各送信
PN系列に対応して各々別個にPN系列相関器を備える必要
があった。相関器は回路構成が大きく複雑である。ワー
ドのビット数nが大きくなると、2のn乗個必要になる
相関器の数も格段に増加し、通信効率の向上とは裏腹に
回路規模が肥大化するという課題があった。
また、特開昭62−45237号「スペクトラム拡散電力線
伝送方式」には、複数の送信データと位相シフトM系列
符号とをそれぞれ組にしてスペクトラム拡散変調する変
調器群と、各変調器群の出力を合成して送信する合成回
路とを備えた送信装置を用いるスペクトラム拡散通信装
置が開示されている。このものは、位相シフトM系列符
号を発生するのに、位相の異なる同一M系列を複数系列
発生して使用するようにしているが、互いに独立した複
数のチャンネル情報をスペクトラム拡散変調して伝送路
上に同時送出する構成であり、このため送信信号は基本
的には2値信号ではなく多値信号であり、相関器をディ
ジタル回路で構成する場合に相関器の入力段に必要なAD
変換器のビット数が多くなってしまい、また当然のこと
ながら受信側には復調手段としてチャンネル数と同数の
相関器が必要になるため、通信効率を高めるほど回路構
成が複雑化するといった問題を抱えるものであった。ま
た、受信側には伝送路上に同時に存在するすべての系列
のそれぞれに対応させて配設した相関器は、いずれも相
関ピークの位置に応じた位相を検出して復調するもので
はなく、位相シフトM系列符号に備わった位相情報を十
分に活用し切れていない等の課題を抱えるものであっ
た。
さらに、特開昭59−163933号「スペクトラム拡散通信
用変調方法」には、位相の異なる同一系列のPN系列を送
信データに対応して割り当てて使用するようにしたスペ
クトラム拡散通信装置が開示されている。しかしなが
ら、このものは、半周期異なる一対のPN系列を発生し、
一方を搬送波検出用に用い、他方を送信データのスペク
トラム拡散変調用に用いるようにしたものであり、受信
側で検出される相関ピークの位相情報を復調に用いる目
的で位相シフトPN系列を用いるものではなかった。ま
た、このものは、送信データにより、伝送路に送出され
るPN符号の数が一定ではなく。時として複数系列が送出
されるため、受信側では多値レベル信号を受信すること
となる。このため、ディジタル相関器を構成する場合、
前記装置と同様、相関器の入力段に必要なAD変換器のビ
ット数が多くなり、また受信側にも複数の相関器が必要
である等の課題を抱えるものであった。
本考案は、上記の課題を解決したものであり、同一の
PN系列で位相をシフトした位相シフトPN系列にnビット
の送信データを割り当てて送信し、通信効率を高めると
同時に回路構成を簡単化したスペクトラム拡散通信装置
を提供することを目的とするものである。
[課題を解決するための手段] 上記目的を達成するため、本考案のスペクトラム拡散
通信装置は、nビットの送信データに対し、周期Tの基
準PN系列をほぼT/2nずつ位相シフトさせた互いに位相が
異なる2n個のPN系列群を発生するPN系列群発生手段及び
前記nビットの送信データに対し、2n種類のデータ列の
それぞれに対応して前記PN系列群に属する特定の一のPN
系列を割り当て、位相シフトPN系列を出力するマルチプ
レックス手段を備えた送信装置と、前記マルチプレック
ス手段が出力する位相シフトPN系列を受信し、前記基準
PN系列との相関をとる単一の相関器及び該相関器による
相関処理により得られた相関ピークの前記周期Tに占め
る位置から、送信に用いられたPN系列の位相を特定し、
前記送信データを復調する復調手段を備えた受信装置と
を具備することを特徴とするものである。
また、本考案は、前記PN系列群発生手段は、発生させ
るPN系列の位相に応じて初期値が可変設定されるシフト
レジスタ及び該シフトレジスタの特定段の保持値の排他
的論理和を該シフトレジスタの初段に帰還入力させるエ
クスクルーシブオアゲートを含む単一のPN系列発生器か
らなり、前記マルチプレックス手段は、前記送信データ
の2n種類のデータ列が供給され、該データ列に対応する
初期値を発生して前記PN系列発生器に設定する初期値発
生器からなることを特徴とするものである。
[作用] 本考案によれば、nビットの送信データに対し、周期
Tの基準PN系列をほぼT/2nずつ位相シフトさせた互いに
位相が異なる2n個のPN系列群を発生するとともに、nビ
ットの送信データで生成される2n種類のデータ列のそれ
ぞれに対応して前記PN系列群に属する特定の一のPN系列
を割り当て、位相シフトPN系列を出力することにより送
信データを送信する。
[実施例] 以下、図面を参照して、本考案の実施例について説明
する。第1図は、本考案のスペクトラム拡散通信装置の
一実施例を示す回路構成図、第2図は、第1図に示した
回路各部の信号波形図、第3,4図は、それぞれPN系列群
発生手段の異なる実施例を示す回路構成図である。
第1図に示すスペクトラム拡散通信装置は、周期Tの
PN系列(1)〜PN系列(4)を発生するPN系列発生器21
〜24を有する。ここで、PN系列発生器21〜24は、それぞ
れ5個のフリップフロップを縦列接続してなる5段のシ
フトレジスタについて、帰還回路を全て統一して同一の
PN系列を発生する構成とするとともに、初期値の設定を
異ならしめることでPN系列の位相を互いに異ならしめ、
そのうちの1つを基準PN系列とするものである。送信デ
ータは、n(ここでは、n=2)ビットを単位にワード
とし、第2図に示すように各ワードごとにPN系列発生器
21〜24が発生するPN系列を割り当てて送信する。送信デ
ータは、直並列変換器25で、2ビットのワードのデータ
列に応じてマルチプレクサ26を制御し、マルチプレクサ
26は各ワードに対応するPN系列を送出する。
受信装置としては、伝送路27を介して入力した信号を
単一の相関器28で相関計算を行なう。この相関器28で相
関をとる内蔵PN系列は、送信装置の基準PN系列と位相が
合った同一のものとする。一方、入力する信号は位相が
ワードにより異なる位相シフトPN系列であるから、その
ときに入力されるPN系列により周期中で相関ピークが表
われる位置が異なる。第2図に示すように、相関器出力
rはP1〜P4の領域にわけて、P1に相関ピークが生じたと
きに入力信号のPN系列はPN系列(1)と判定される。同
様に相関ピークがP2,P3,P4にあれば、それぞれPN系列
(2),PN系列(3),PN系列(4)が入力されたものと
判定される。なお、P1,P2,P3,P4の各領域の区間長は、P
N系列周期Tに対しほぼT/2n(n=2の場合、T/4)に定
めてあり、相関ピークがこの領域にそれぞれ別個に入る
ように、PN系列発生器21〜24の初期値を設定して位相管
理する。復調器29は、相関ピークの位相情報から復調PN
系列を判断し、復調データc′を得ることができる。
また、送信装置は、各PN系列発生器の位相を厳密にき
めるので、例えば第3図に示すような回路で実現するこ
とができる。
PN系列発生器31〜34は、同一系列のPN系列を発生する
が、初期値を図示のようにそれぞれ設定しておき、PN系
列周期Tごとに、この初期値をPN系列発生器31〜34にロ
ードする。従って、仮に何らかの原因で所定の位相がず
れたとしても、PN周期ごとに正しい位相に復調されるた
め、位相の乱れが持続することはない。また、PN系列は
5段のシフトレジスタであるから、その系列長は31ビッ
トであり、動作クロックを入力したデバイダ30は31ビッ
トごとに信号30aを出力して、各PN系列発生器31〜34の
ロード信号として出力する。信号30aはまた、送信デー
タを直並列変換器35にて変換して、信号35aを出力させ
るタイミング信号としても用いられる。こうして信号35
aにより制御されるマルチプレクサ36は、PN周期ごとに
ワードのデータ列に従って位相の異なるPN系列を伝送路
に送出する。
このように、上記スペクトラム拡散通信装置は、周期
Tの基準PN系列をほぼT/22ずつ位相シフトさせた互いに
位相が異なる22個のPN系列群を発生するとともに、2ビ
ットの送信データに対し、22種類のデータ列のそれぞれ
に対応して前記PN系列群に属する特定の一のPN系列を割
り当て、位相シフトPN系列を出力することにより送信デ
ータを送信する構成としたから、PN系列群発生手段は、
同一の基準PN系列に属する22個のPN系列を互いにほぼT/
22ずつ位相シフトさせて発生させることで、位相シフト
PN系列を発生させるための前提条件が確立でき、一方ま
た22種類のデータ列のそれぞれに対応してPN系列群から
特定された一のPN系列は、受信側で基準PN系列との相関
ピークの位置を特定することで、送信に用いられたPN系
列の位相を特定して送信データを復調することができる
ため、受信装置としては受信した位相シフトPN系列と基
準PN系列との相関をとる単一の相関器28と、相関器28に
よる相関処理により得られた相関ピークのPN系列周期T
に占める位置を特定する復調器29が備わっていさえすれ
ばよく、受信装置の相関器を1個として全体の回路構成
を簡単化することができる。
さらに、送信側と受信側における基準PN系列を相互に
位相同期する限り復調誤りは発生せず、しかも複数のPN
系列を位相同期させる必要はなく、位相基準を与える基
準PN系列についてだけ送信側と受信側とで位相同期させ
るだけでよいため、位相同期のための回路が複雑化した
り誤動作したり或いは同期に時間を要するといったこと
はなく、簡単な回路構成ながら非常に効率の高いスペク
トラム拡散通信装置を提供することができる。
また、送信装置としては、上記とは異なる別の構成と
して、例えば第4図に示すように、PN系列発生器43をた
だ1個だけ備え、周期ごとの初期設定を行なうときに、
その初期値をワードのデータ列に応じて変化させること
により、時分割的に位相の異なるPN系列を送出する構成
とすることもできる。この場合、デバイダ40は、動作ク
ロックがPN周期に相当するクロック数に達した時点でロ
ード信号40aを発生する。信号40aは、PN系列発生器43の
ロード信号であり、同時にまた直並列変換器41のタイミ
ング信号ともなる。従って、初期値発生器42は、PN系列
の周期ごとに直並列変換器41の出力を受け、各ワードに
対応する初期値を発生するとともに、その値をPN系列発
生器43にロードする。これにより、PN系列発生器43は、
各ワードのデータ列に対応して異なる位相のPN系列を時
分割的に伝送路に送出する。
[考案の効果] 以上説明したように、本考案は、nビットの送信デー
タに対し、周期Tの基準PN系列をほぼT/nnずつ位相シフ
トさせた互いに位相が異なる2n個のPN系列群を発生する
とともに、nビットの送信データで生成される2n種類の
データ列のそれぞれに対応して前記PN系列群に属する特
定の一のPN系列を割り当て、位相シフトPN系列を出力す
ることにより送信データを送信する構成としたから、PN
系列群発生手段は、2ビットの送信データであれば互い
に位相が異なる4個のPN系列を期間Tをほぼ4等分に時
分割する形で発生し、また3ビットの送信データであれ
ば互いに位相が異なる8個のPN系列を期間Tをほぼ8等
分に時分割する形で発生するというように、周期Tの基
準PN系列に属する2n個のPN系列を互いにほぼT/2nずつ位
相シフトさせて発生させることで、位相シフトPN系列を
発生させるための前提条件を築くことができ、一方また
2n種類のデータ列のそれぞれに対応して前記PN系列群か
ら特定された一のPN系列は、受信側で基準PN系列との相
関ピークの位置を特定することで、送信に用いられたPN
系列の位相を特定して送信データを復調することができ
るため、受信装置としては受信した位相シフトPN系列と
基準PN系列との相関をとる単一の相関器と、相関器によ
る相関処理により得られた相関ピークのPN系列周期Tに
占める位置を特定する復調手段が備わっていさえすれば
よく、受信装置の相関器を1個として全体の回路構成を
簡単化することができ、さらに送信側と受信側における
基準PN系列を相互に位相同期する限り復調誤りは発生せ
ず、しかも複数のPN系列を位相同期させる必要はなく、
位相基準を与える基準PN系列についてだけ送信側と受信
側とで位相同期させるだけでよいため、位相同期のため
の回路が複雑化したり誤動作したり或いは同期に時間を
要するといったことはなく、簡単な回路構成ながら非常
に効率の高いスペクトラム拡散通信装置を提供すること
ができる等の優れた効果を奏する。
また、PN系列群発生手段が、発生させるPN系列の位相
に応じて初期値が可変設定されるシフトレジスタ及び該
シフトレジスタの特定段の保持値の排他的論理和を該シ
フトレジスタの初段に帰還入力させるエクスクルーシブ
オアゲートを含む単一のPN系列発生器からなり、前記マ
ルチプレックス手段が、前記送信データの2n種類のデー
タ列が供給され、該データ列に対応する初期値を発生し
て前記PN系列発生器に設定する初期値発生器からなるた
め、周期Tの基準PN系列をほぼT/2nずつ位相シフトさせ
た互いに位相が異なる2n個のPN系列群を発生するPN系列
発生手段を、初期値可変設定型の単一のPN系列発生器を
用いて簡単に構成することができ、回路規模を肥大化さ
せることなく効率の高いスペクトラム拡散通信装置を提
供することができる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本考案のスペクトラム拡散通信装置の一実施
例を示す回路構成図、第2図は、第1図に示した回路各
部の信号波形図、第3,4図は、それぞれPN系列群発生手
段の異なる実施例を示す回路構成図、第5図は、従来の
スペクトラム拡散通信装置の一例を示す回路構成図、第
6図は、第5図の回路各部の信号波形図である。 21〜24,31〜34,43……PN系列発生器 25,35,41……直並列変換器 26,36……マルチプレクサ 30,40……デバイダ 42……初期値発生器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 津村 聡一 大阪府大阪市中央区城見1丁目4番24号 日本電気ホームエレクトロニクス株式 会社内

Claims (2)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】nビットの送信データに対し、周期Tの基
    準PN系列をほぼT/2nずつ位相シフトさせた互いに位相が
    異なる2n個のPN系列群を発生するPN系列群発生手段及び
    前記nビットの送信データに対し、2n種類のデータ列の
    それぞれに対応して前記PN系列群に属する特定の一のPN
    系列を割り当て、位相シフトPN系列を出力するマルチプ
    レックス手段を備えた送信装置と、前記マルチプレック
    ス手段が出力する位相シフトPN系列を受信し、前記基準
    PN系列との相関をとる単一の相関器及び該相関器による
    相関処理により得られた相関ピークの前記周期Tに占め
    る位置から、送信に用いられたPN系列の位相を特定し、
    前記送信データを復調する復調手段を備えた受信装置と
    を具備することを特徴とするスペクトラム拡散通信装
    置。
  2. 【請求項2】前記PN系列群発生手段は、発生させるPN系
    列の位相に応じて初期値が可変設定されるシフトレジス
    タ及び該シフトレジスタの特定段の保持値の排他的論理
    和を該シフトレジスタの初段に帰還入力させるエクスク
    ルーシブオアゲートを含む単一のPN系列発生器からな
    り、前記マルチプレックス手段は、前記送信データの2n
    種類のデータ列が供給され、該データ列に対応する初期
    値を発生して前記PN系列発生器に設定する初期値発生器
    からなることを特徴とする請求項1記載のスペクトラム
    拡散通信装置。
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS59163933A (ja) * 1983-03-08 1984-09-17 Hitachi Denshi Ltd スペクトラム拡散通信用変調方法
JPS6245237A (ja) * 1985-08-23 1987-02-27 Nec Home Electronics Ltd スペクトラム拡散電力線伝送方式

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