JP3273420B2 - ゴムクロ−ラ用スチ−ルコ−ドバンドの製造法 - Google Patents

ゴムクロ−ラ用スチ−ルコ−ドバンドの製造法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はゴムクロ−ラ用スチ−ル
コ−ドバンドの製造法に係るものである。
【0002】
【従来の技術】ゴムクロ−ラはその長手方向に向けて抗
張体としてスチ−ルコ−ド列が埋設されている。これは
ゴムクロ−ラに駆動力が付与される際の張力に抗するも
のであり極めて重要な役割を担っている。しかるに従来
のゴムクロ−ラの抗張体(スチ−ルコ−ド)は有端状の
ゴム長尺体中に埋設され、その後、その両端より突出さ
せたスチ−ルコ−ドをオ−バ−ラップさせつつこの部位
にゴム加硫接合して無端体としたものである。かかるゴ
ムクロ−ラにあっては、スチ−ルコ−ドがオ−バ−ラッ
プされた部位の剛性が著しく高くなり、振動や騒音の発
生原因となり、又この部位からのゴム亀裂も生じ易く耐
久上も大きな問題となっていた。
【0003】無端状のゴムクロ−ラに対して、埋設され
るスチ−ルコ−ドも無端状とされるのが好ましく、無端
状のスチ−ルコ−ドを埋設したゴムクロ−ラは、オ−バ
−ラップ部がないため、クロ−ラの屈曲剛性が一様とな
り、駆動力スプロケットとの噛み合いや、クロ−ラの耐
久性等においてすぐれた性能を発揮することとなる。し
かしながら、従来より工業的に利用できる提案は極めて
数が少なかった。
【0004】このスチ−ルコ−ドを無端状とした技術
が、実開昭57−174287号にて提案されている。
かかる提案の技術は、円形の成型ドラム上に第1のクッ
ションゴムシ−ト即ちスチ−ルコ−ドを囲むゴムシ−ト
を巻き付け、その後スチ−ルコ−ドをこの第1のトリ−
トゴムシ−ト上に螺線状に巻き付け、次いでこのスチ−
ルコ−ド上に新たな第2のトリ−トゴムシ−トを巻き付
け、そして最後に圧着ロ−ラにてスチ−ルコ−ドがトリ
−トゴム間で充分被覆されるように圧着する方法であ
る。
【0005】しかしながら、充分やわらかい第1のトリ
−トゴム上にスチ−ルコ−ドを巻き付けるため、スチ−
ルコ−ドの張力が常に一定に掛けられることは無理であ
り、その周長が全て一定となることはなく、更には、ス
チ−ルコ−ドの間隔(ピッチ)が一定とはならないとい
う欠点を生ずる。そして、圧着ロ−ラにて第2のトリ−
トゴムを被覆する際にもスチ−ルコ−ドがずれることは
さけられず、スチ−ルコ−ドの周長やピッチが定まらな
くなるという欠点が付加される。更に、スチ−ルコ−ド
を内包するように第1及び第2のトリ−トゴムを圧着ロ
−ラにて圧着させる際にも、両層間にエア−が入ったま
まで圧着されることがあり、これはゴムクロ−ラに使用
された際に、スチ−ルコ−ドとゴムとの間の界面剥離を
発生させる原因ともなってしまう。尚、スチ−ルコ−ド
のピッチと同一のピッチを有するツバ付き圧着ロ−ラに
て圧着することも考えられるが、スチ−ルコ−ドのピッ
チが変化するたびに圧着ロ−ラを代えなくてはならない
し、又、スチ−ルコ−ド間のピッチがせまい場合には、
圧着ロ−ラのツバが極めて薄くなりうまく圧力がかから
なくなるという欠点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このように無端状化さ
れたスチ−ルコ−ドであっても、周長及びピッチが定ま
らない場合にはゴムクロ−ラの耐久性に大きな問題とな
り、特に周長の最も短いスチ−ルコ−ドに張力が集中し
てしまい、これが裂断に繋がることともなる。本発明に
あっては、周長もピッチも一定な無端状化された、しか
もスチ−ルコ−ド列の内外のトリ−トゴムが完全に一体
化されたゴムクロ−ラ用スチ−ルコ−ドバンドを提供す
ることを目的としている。
【0007】
【課題を解決しようとする手段】本発明は以上の目的を
達成するために次のような発明をなしたものである。即
ち、スプ−ルより巻き出されたスチ−ルコ−ドを、ゴム
押出機を通過させてスチ−ルコ−ドの全表面にトリ−ト
ゴムを同芯円状に被覆し、これを周長を所定の長さに設
定した成型ドラム上に順次一定ピッチをもって巻き付
け、スチ−ルコ−ドを一直線の列をなして巻装してなる
ゴムクロ−ラ用スチ−ルコ−ドバンドの製造法であっ
て、好ましくは、前周回のスチ−ルコ−ドに対しスチ−
ルコ−ドピッチの0.5ピッチ以下のオ−バ−ラップ分
をもって成型ドラム上に巻き付け、これを成型ドラム面
に対して角度をもったステッチャ−にて成型ドラム面に
押し付けてなり、ステッチャ−は成型ドラム面に対して
角度をもった回転軸をもつロ−ラであるスチ−ルコ−ド
バンドの製造法である。
【0008】
【作用】本発明は以上の通りスチ−ルコ−ドに予め同芯
円状にトリ−トゴムを被覆し、これを成型ドラム上に順
次巻き付けて同一周長のスチ−ルコ−ド列を形成したス
チ−ルコ−ドバンドとするものであって、特にトリ−ト
ゴムにて被覆されたスチ−ルコ−ドを巻き付ける際、前
周回のスチ−ルコ−ドに対し、0.5ピッチ以下のオ−
バ−ラップをもって巻き付け、これをステッチャ−にて
圧着するものであり、これによってスチ−ルコ−ドに捩
れを生ぜずにスチ−ルコ−ド列を構成することとなった
ものである。この方法はスチ−ルコ−ドの打ち込みピッ
チをせまくすることも可能であり、従来の技術で説明し
たようにトリ−トゴム上にスチ−ルコ−ドを巻き付けた
場合に生ずる欠点を解決でき、更にスチ−ルコ−ドをオ
−バ−ラップさせて成形されたゴムクロ−ラの欠点をも
合わせて解決できることとなったものである。
【0009】尚、トリ−トゴムにて被覆されたスチ−ル
コ−ドは、トラバ−サ−によって順次移動して成型ドラ
ム上に巻き付けることとなるが、ステッチャ−も又この
トラバ−サ−と連動させて順次移動させるのがよい。ス
テッチャ−の傾き、即ち成型ドラムに対する回転軸は0
〜90度の傾きをもたせることが好ましい。場合によっ
ては、成型ドラム上に巻装されたスチ−ルコ−ドバンド
を改めて圧着ロ−ラにて若干圧着して形状を整えること
も行われ得る。
【0010】
【実施例】以下、好ましい実施例をもって本発明を更に
詳細に説明する。図1は本発明の製造法の概略を示す工
程図である。図中、符号1はスプ−ルであり、このスプ
−ル1にスチ−ルコ−ドWが巻き掛けされている。そし
て、このスチ−ルコ−ドWをゴム押出機2に導き、この
押出機2の口金よりトリ−トゴムRと同時に押し出すも
のであり、このスチ−ルコ−ドWの周囲に同芯円状にト
リ−トゴムRが被覆される。そしてトラバ−サ−3によ
り成型ドラム4上に巻き付けられることとなる。
【0011】図2は成型ドラム4上に巻き付けられたス
チ−ルコ−ドW及びトリ−トゴムRの状態図であり、ス
チ−ルコ−ドWはトリ−トゴムRがその周囲に被覆さ
れ、しかも同芯円状に成形されている。そして、トラバ
−サ−3により供給されるスチ−ルコ−ドW0 及びトリ
−トゴムRは、既に成型ドラム4上に巻き付けられた前
周回のスチ−ルコ−ドW1 及びトリ−トゴムRに対し
て、スチ−ルコ−ドW、W間のピッチPの半分以下P0
だけオ−バラップさせ、この部位において、成型ドラム
4の面に対してこの例では約30度の角度をつけた回転
軸をもつステッチャ−ロ−ラ5にて成型ドラム4面に押
し付ける。このことによって、前周回のスチ−ルコ−ド
1 を被覆したトリ−トゴムRと、新たなスチ−ルコ−
ドW0 のトリ−トゴムRとを密着させることとなる。
【0012】尚、スチ−ルコ−ドW0 を0.5ピッチ以
上オ−バ−ラップさせてスチ−ルコ−ドバンドを成形す
る場合、スチ−ルコ−ドWが同一平面上に揃わなくなる
傾向があり、得られたスチ−ルコ−ドバンドは周長が揃
わないもとなってしまう。又、スチ−ルコ−ドW0 を成
型ドラム4上に巻き付け、これを前周回のスチ−ルコ−
ドW1 側に即ち横方向に押し付ける方法では、スチ−ル
コ−ドW1 が捩れる傾向があり、好ましいスチ−ルコ−
ドバンドとはならない。
【0013】そして、必要であれば図3に示すように、
成型ドラム4上に巻き付けられたスチ−ルコ−ドWを被
覆したトリ−トゴムR面上を圧着ロ−ラ6にて圧着し、
スチ−ルコ−ドコ−ドバンドBの形状を整えるものであ
る。
【0014】成型ドラム4にあっては、スチ−ルコ−ド
Wの先端を固定する機能を持っているのがよく、更に、
ドラムの外周の少なくとも一部が拡縮できる構造とする
のがよい。図3は上記した成型ドラム4の一例を示す概
念図であり、ドラム4の一部をエア−や油圧ジャッキ
6、或いは屈曲ア−ム等によって拡縮ドラム40 とし、
矢印の方向に拡縮するものである。そして、この機能を
有する成型ドラム4は、スチ−ルコ−ドWの先端を拡縮
ドラム40 に噛せて固定することができ、更に巻き終っ
た後に拡縮ドラム40 を縮めてスチ−ルコ−ドバンドB
にたるみをもたせ、これを取りはずすのに供されるもの
となる。尚、図3にあっては、成型ドラム4の一部を拡
縮ドラム40 としたものであるが、図4に示すようにそ
の全体を分割してこれら全てを拡縮ドラム401、402
‥‥とすることもできる。これらの拡縮ドラム401、4
02、‥‥は前記したようにエア−、油圧ジャッキ、屈曲
ア−ム等によって拡縮されることとなる。
【0015】又、成型ドラム4にあって、スチ−ルコ−
ドWが巻き終った後にスチ−ルコ−ドバンドBを取りは
ずす際に便利なように、ドラム4、40 の表面に例えば
テフロン加工を施し滑り易くしておくのがよい。又、成
型ドラム4からスチ−ルコ−ドバンドBを取りはずした
後、これがばらけないように、成型ドラム4に例えば合
成繊維製のキャンバスを巻き付けておき、このキャンバ
スと共に取りはずす方法をとることも可能である。
【0016】尚、成型ドラム4は必ずしも1つである必
要はなく、図5に示すように成型ドラム4を複数41
2 直列し、これらにスチ−ルコ−ドWを巻くことも可
能である。この場合は、スチ−ルコ−ド先端は次に巻か
れたスチ−ルコ−ドに溶接等によって固定することが必
要であり、ドラム41 、42 は得られるスチ−ルコ−ド
バンドBの周長を自由に変更できるように、その間隔を
調整する機能を付加しておくのがよい。又、一個の成型
ドラム4を使用する場合にあっても、スチ−ルコ−ドバ
ンドBの周長を変更できるようにドラムの外周面が拡縮
できるようにしてもよく、例えばドラムを複数に分割
し、これらの一部又は全部を例えば油圧ジャッキ或いは
屈曲ア−ムにて拡縮可能としておくのもよい。
【0017】
【発明の効果】本発明にあっては、スチ−ルコ−ドバン
ド中のスチ−ルコ−ドの周長、ピッチが一定となり、し
かもスチ−ルコ−ドを被覆するトリ−トゴムの乱れもな
く、勿論、スチ−ルコ−ドの捩れの発生もないすぐれた
スチ−ルコ−ドバンドが得られたものであり、これを利
用して寿命の向上したゴムクロ−ラが得られることとな
ったものである。更に、スチ−ルコ−ドバンドの製造工
程が簡略化できる等の工業上極めて有意義な方法であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の製造法の概略を示す工程図であ
る。
【図2】図2は成型ドラム上に巻き付けられたスチ−ル
コ−ド及びトリ−トゴムの状態図である。
【図3】図3は成型ドラムの一例を示す概念図である。
【図4】図4は成型ドラムの全体を分割した概念図であ
る。
【図5】図5は成型ドラムを複数直列した例である。
【符号の説明】
1‥‥スプ−ル、 2‥‥ゴム押出機、 3‥‥トラバ−サ−、 4‥‥成型ドラム、 40 、401、402‥‥拡縮ドラム、 5‥‥ステッチャ−ロ−ラ、 6‥‥ジャッキ、 B‥‥スチ−ルコ−ドバンド、 P‥‥ピッチ、 R‥‥トリ−トゴム、 W、W0 、W1 ‥‥スチ−ルコ−ド。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B29K 105:22 B29K 105:22 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29D 31/00 B29C 47/02 B29C 53/56 B62D 55/32

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スプ−ルより巻き出されたスチ−ルコ−
    ドを、ゴム押出機を通過させてスチ−ルコ−ドの全表面
    にトリ−トゴムを同芯円状に被覆し、これを周長を所定
    の長さに設定した成型ドラム上に順次一定ピッチをもっ
    て巻き付け、スチ−ルコ−ドを一直線の列をなして巻装
    してなるゴムクロ−ラ用スチ−ルコ−ドバンドの製造
    法。
  2. 【請求項2】 前周回のスチ−ルコ−ドに対しスチ−ル
    コ−ドピッチの0.5ピッチ以下のオ−バ−ラップ分を
    もって成型ドラム上に巻き付け、これを成型ドラム面に
    対して角度をもったステッチャ−にて成型ドラム面に押
    し付けてなる請求項第1項記載のゴムクロ−ラ用スチ−
    ルコ−ドバンドの製造法。
  3. 【請求項3】 ステッチャ−が成型ドラム面に対して角
    度をもった回転軸をもつロ−ラである請求項第2項記載
    のゴムクロ−ラ用スチ−ルコ−ドバンドの製造法。
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