JP3271583B2 - 炭素質挿入化合物及びその製造方法、並びに電気化学装置 - Google Patents
炭素質挿入化合物及びその製造方法、並びに電気化学装置Info
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Description
に関し、特に前黒鉛化多元炭素質物質に関する。さらに
本発明は、再充電可能な電気化学装置に関し、特に炭素
質負極物質からなる再充電可能な電気化学装置に関する
ものである。
ン電池において負極物質として使用するため、大いに関
心を寄せられている。
ついて説明する。電池の正極および負極として、正極活
物質および負極活物質の異なる2種類の挿入化合物を使
用する。挿入化合物とは、可逆的な挿入ゲスト原子(こ
の場合はリチウム原子)のホスト固体物質として作用す
る化合物である。ここで、挿入ホスト化合物の構造は挿
入によって実質的に変化しない。
リチウムが抽出されると同時に、放電によりリチウムが
電池の正極に挿入される。電池の再充電過程は可逆的で
ある。非水性電解質にイオンが溶解すると、リチウム原
子は一方の電極から他方の電極に移動し、これにともな
って電子が電池に対して外部の回路に流れる。ここで、
重要なのが電極物質の選択である。特に、広い化学量論
的範囲にわたってリチウムを可逆的に挿入して、高容量
電池を実現する挿入物質が望まれる。典型的な負極材料
は炭素質物質の代表である黒鉛である。黒鉛は6個の炭
素原子に対して1個のリチウム原子を可逆的に組み込む
ことができ、これは電気化学的には372mAh/gに
相当する。物質の単位重量に対するこの電気化学的容量
は、当該物質の比容量と呼ばれている。
加などにより、現在様々な比容量増大の試みが成されて
いる。例えば、特開平8−40716号公報では、黒鉛
前駆体(すなわち、無秩序黒鉛組織をもつ)であり、か
つアルカリ金属原子と合金化できる元素からなる炭素質
挿入化合物が開示されている。特にケイ素を炭素質挿入
化合物に添加しており、リチウムに対して大きな可逆的
容量を示す黒鉛前駆体炭素質化合物が例示されている。
黒鉛は1個の炭素原子に対して0.17個のリチウム原
子しか可逆的に組み込むことができないのに対し、ケイ
素は1原子で4.4個ものリチウム原子と合金化する。
通常、このケイ素との合金化は可逆的ではないが、ケイ
素を炭素質挿入化合物の中に「ナノ分散」させることに
より、可逆性を発生し得ると発明者は考えている。この
分散状態は、結果として生ずる化合物が、合金元素のバ
ルク化合物よりも合金元素の単一原子のより特徴的な性
質を示すように、合金元素の単原子および/または小さ
な集合体(クラスター)になっていることを指す。
来の構成では、添加されるケイ素はリチウム原子のみで
なく炭素とも反応する。炭素質挿入化合物を製造する際
に加えられる熱処理(700℃から1000℃)でケイ
素は炭素と容易に反応する。反応の結果形成される炭化
ケイ素は電気化学的に不活性である。確かに、J.Electr
ochem.Soc.,Vol.142,No.2,February 1995 p326-332.の
中でA.M.Wilson等は、ケイ素1原子当りリチウム原子
1.5個も可逆的に結合できたと報告し、その値が、純
粋な黒鉛の結合できる数を上回ることを示した。しか
し、ケイ素は1原子で4.4個ものリチウム原子と合金
化し得ることを考慮すると、現状のこの値は甚だ小さい
と言わざるを得ない。すなわち、ケイ素添加に見合う充
分な容量増大を達成できていないという課題を有してい
た。
ので、リチウムイオン電池の負極として好適な、リチウ
ムを大量に挿入することができる可逆容量が大きな炭素
質挿入化合物を提供することを目的とする。
に本発明は、アルカリ金属原子Aとは反応し合金を形成
できるが、炭素原子とは反応しない物質Bをケイ素の代
替元素とする構成を有している。
質物質に添加すると、アルカリ金属原子であるリチウム
とは合金化し得る。その様子を示すゲルマニウムとリチ
ウムの状態図が図1である。
リチウム原子を捕らえることができ、添加ゲルマニウム
原子1個当りリチウム原子4.4個である。この添加原
子当りの最大リチウム原子数はケイ素と同じである。ケ
イ素とリチウムの状態図は図2に示す。
子は質量が大きいため、単位原子当りのリチウム蓄積量
が同じでも、単位質量当りの蓄積量すなわち比容量では
不利になることが考えられる。しかし、必ずしも、ケイ
素の添加は比容量を増加させない。なぜならば、ケイ素
の場合は図3に示すようにリチウムのみでなく炭素とも
反応してしまうからである。
温度は、反応を起こさせるに充分なものである。その反
応生成物は炭化ケイ素SiCである。この物質は電気化
学的に不活性であることが知られている。つまり、添加
したケイ素がすべて母材と反応してしまうと、炭素挿入
化合物単位質量中のリチウム蓄積量をむしろ減少させて
しまう。他方、ゲルマニウムはケイ素と異なり炭素と反
応しない。そのため、ゲルマニウムの添加量に応じリチ
ウム蓄積量は増えていく。たとえ、ケイ素原子よりゲル
マニウム原子が重くとも、ケイ素原子に比べゲルマニウ
ム原子の方が比容量を増大させることができる。その様
子を概念的に図4に示す。
ウムに比べ質量が小さいケイ素の方が比容量が大きくな
ることを点線が示している。しかし、現実にはケイ素は
炭素と反応してリチウムに対して不活性な物質に変化し
ていくので、添加量を増やすとむしろゲルマニウムの方
が大きな比容量を生み出している。このゲルマニウムと
の合金化はゲルマニウムがバルクの場合可逆的ではない
が、前述の特願平7−164100号公報で開示された
ように、炭素質挿入化合物の中にゲルマニウムをナノ分
散させているため、ゲルマニウムがバルクの性質を出現
させておらず、可逆性を得ている。また、ゲルマニウム
中のリチウムの拡散速度はケイ素中に比べ、はるかに大
きい。この大きな拡散速度も、比容量増大にとって有利
である。参考のため、(表1)にそれぞれの自己拡散係
数を示す。
に存在するゲルマニウムは、その濃度が高くなるに従
い、複数個の原子よりなる超微粒子を形成する。ただ
し、超微粒子のサイズは固体の性質を発揮できるほどは
大きくない。そのため、ゲルマニウムはナノ分散されて
いる状態で、依然、リチウムの挿入に対して可逆性を有
している。ここで、ゲルマニウム微粒子内部のゲルマニ
ウム原子がリチウム原子を取り込むためには、超微粒子
表面からのリチウムの拡散が容易でなければならない。
もし、拡散が困難であると、そのようなゲルマニウム超
微粒子内部のゲルマニウム原子はリチウムの取り込みに
寄与せず、ゲルマニウムの高濃度化は比容量の低下を招
く。しかし、ゲルマニウムは充分なリチウム拡散速度を
持つので、かなりの高濃度状態までゲルマニウムを添加
しても容量増加を示す。
熱処理を加えても炭素原子と添加物質は反応しない。そ
のため、添加物質が電気化学的に不活性な物質に変化す
ることがなく、添加物量に応じた比容量増大を達成する
ことができる。
は、炭素が形成する微小粒子の平均粒径が20nm以下
であり、その炭素微粒子で囲まれた隙間の平均幅が8n
m以下であり、その隙間にガリウム(Ga)またはゲル
マニウム(Ge)が充填されたことを特徴とする炭素質
挿入化合物であり、ガリウムまたはゲルマニウムは炭素
と反応しないため、炭素微小粒子間の微細な隙間に充填
でき、充填されたガリウムまたはゲルマニウムが微細な
サイズであるため、量子力学的効果により、その状態を
バルクのものから変化させるという作用を有する。
または酸素原子(O)の少なくとも一方を構成物質とし
て含む請求項1記載の炭素質挿入化合物であり、黒鉛構
造の周期を短くするという作用を有する。
うしのつくる隙間がゲルマニウムまたはガリウムで充分
に埋まっており、リチウム(Li)と反応する大気中の
主な成分である酸素分子や水分子を固体内部に入り込ま
せないものであり、炭素質挿入化合物の内部にリチウム
の大気物質反応生成物を形成させないという作用を有す
る。
うしのつくる隙間に存在するゲルマニウムまたはガリウ
ムが、隙間に入り込む大気中の主な成分である酸素分子
や水分子と反応し、リチウムと反応する大気成分を隙間
から取り除くものであり、炭素質挿入化合物の大気への
暴露による比容量低下を防ぐという作用を有する。
微小粒子の平均粒径が20nm以下であり、その炭素微
小粒子で囲まれた隙間の平均幅が8nm以下である炭素
物質を、真空容器内に設置された溶融状態のガリウムま
たはゲルマニウムに漬けるもので、ガリウムまたはゲル
マニウムを炭素質挿入物質内部に拡散させるという作用
を有する。
微小粒子の平均粒径が20nm以下であり、その炭素微
小粒子で囲まれた隙間の平均幅が8nm以下である炭素
物質を、溶融状態のガリウムまたはゲルマニウムに漬
け、大気圧以上の圧力を加えるものであり、ガリウムま
たはゲルマニウムを炭素質挿入物質内部に拡散させると
いう作用を有する。
子物質よりなるフィルム表面に真空蒸着法によりガリウ
ムまたはゲルマニウムを付着させ、そのフィルムを複数
枚積層したものを焼成するもので、ガリウムまたはゲル
マニウムをその内部に含む炭素質挿入化合物を製造する
という作用を有する。
子物質よりなるフィルム表面にスパッタ蒸着法によりガ
リウムまたはゲルマニウムを付着させ、そのフィルムを
複数枚積層したものを焼成するもので、ガリウムまたは
ゲルマニウムをその内部に含む炭素質挿入化合物を製造
するという作用を有する。
子物質よりなるフィルム表面に化学的気相堆積法により
ガリウムまたはゲルマニウムを付着させ、そのフィルム
を複数枚積層したものを焼成するもので、ガリウムまた
はゲルマニウムをその内部に含む炭素質挿入化合物を製
造するという作用を有する。
分子物質よりなるフィルム表面に塗布法によりガリウム
またはゲルマニウムを付着させ、そのフィルムを複数枚
積層したものを焼成するもので、ガリウムまたはゲルマ
ニウムをその内部に含む炭素質挿入化合物を製造すると
いう作用を有する。
分子物質よりなるフィルム表面にレーザーアブレーショ
ン法によりガリウムまたはゲルマニウムを付着させ、そ
のフィルムを複数枚積層したものを焼成するもので、ガ
リウムまたはゲルマニウムをその内部に含む炭素質挿入
化合物を製造するという作用を有する。
が、請求項1または2に記載された炭素質挿入化合物か
らなることを特徴とする電気化学装置であり、比容量が
大きいという作用を有する。
が、請求項1または2に記載された炭素質挿入化合物か
らなることを特徴とする電池であり、比容量が大きいと
いう作用を有する。
において、リチウム挿入化合物からなる正極と、非水溶
媒の混合物中に溶解したリチウム塩からなる非水電解液
と、請求項1または2に記載された炭素質挿入化合物か
らなる負極からなることを特徴とする非水溶媒電池であ
り、比容量が大きいという作用を有する。
ん本発明はこれらの限定されるものではない。
2種類の方法が存在する。第1の方法は多孔質な炭素物
質を用意し、その固体表面からアルカリ金属原子と反応
し得る物質Bを固体内部の隙間に拡散させる方法であ
る。骨格である炭素物質の製造工程と物質Bの拡散工程
が独立しているので、炭素質挿入化合物の構造の制御性
が高い。本方法は実施例1に述べる。
材料段階で、物質Bを添加しておき、熱処理によって所
望の炭素質挿入化合物を形成する。炭素質に焼成する1
つの工程で同時に物質Bを分散させるので、全工程数が
少なく簡便である。本方法は実施例2に述べる。
いる本発明の炭素質挿入化合物を正極として用い、負極
として金属リチウムを用いる。これはリチウムイオンの
供給源として金属リチウムを用いることにより炭素材料
へのリチウムの挿入と脱離を単純化し、より明白に本発
明の炭素質挿入化合物の特性を証明することを意図した
ものである。そして、本発明の実施例における構成が本
来の目的であるリチウムイオン電池における負極として
の有用性が証明されることは当業者には明白である。
を説明する。
ゾール(POD)と呼ばれる高分子よりなるフィルムを
用いた。このフィルムを何枚も重ねて熱処理を加えるこ
とにより、高い結晶配向性を持った黒鉛を得ることがで
きることを村上睦明ら(機能材料1987年1月号69
−75頁)は示している。そもそもフィルム材料には構
成元素に窒素や酸素が含まれているが、これらの元素は
彼らの行う2000℃以上の熱処理では、内部からガス
として抜けていき、消失する。本実施例ではこのような
高温ではなく、熱処理温度を1000℃に選んだ。その
ため、結晶性の良い黒鉛は得られず、窒素や酸素を2〜
3パーセント程度含んでいた。かつ、これら元素は固体
内に一様に残留していた。言い換えれば、これらの残留
物質は黒鉛構造の周期を短くしている。表面は直径20
nm程度の粒子からなっており、多孔質であった。炭素
質物質の代表である高配向黒鉛のc面では、その表面は
原子レベルで平滑で、数原子層の段差が1μm平方の領
域に何本かある程度であることからすれば、本発明で利
用する表面の特殊性がわかる。また、粒径20nmの炭
素粒子が作る隙間のサイズは、球状粒子を単純立方格子
に詰めると仮定すると、8nm程度と見積れる。この隙
間に以下のように物質Bとしてゲルマニウムを詰め込ん
だ。
て加熱処理を加えた。これは、隙間の吸蔵ガスを放出さ
せるためである。通常、大気中に放置されたこの試料
は、隙間に大気中のガス分子が吸蔵している。その大気
中の水分子や酸素分子はアルカリ金属原子と反応し、電
池の性能を劣化させてしまうことをWeibing Xing等がJ.
Electrochem.Soc.,Vol.144,No.4、April 1997 pp.1195-1
201.の中で報告している。そのため、このような加熱処
理が必要である。
蒸気に脱ガスした炭素質物質表面を曝した。炭素質物質
の温度を995℃に保つことにより、ゲルマニウムは炭
素質物質内を拡散した。炭素質物質の温度がその生成温
度より低く、かつゲルマニウムは炭素と反応しないこと
から、この拡散中に炭素質物質の骨格が変化することは
なかった。拡散により、ついにはゲルマニウムが隙間を
充填し、もはや、大気に曝しても水分子などの電池性能
を劣化させる物質は入り込めなくなった。この効果も物
質Bを埋め込むことのメリットである。また、充填が不
完全な場合でも、埋め込まれたゲルマニウムは侵入して
くる水分子、酸素分子のゲッター剤として働き、実質こ
の様な分子をガスとして固体中に取り込まない役目を果
たした。
8nm程度となった。先に述べたように粒径20nmの
炭素粒子が作る隙間のサイズは、8nm程度であった。
この大きさは、ゲルマニウム拡散のための熱処理によっ
ても変化しない。そのため、隙間に充填されたゲルマニ
ウムのサイズもこの程度となった。このサイズが10n
m以下まで小さくなることが重要である。隙間に入り込
むゲルマニウムのサイズがこの程度になることにより、
いわゆるナノ分散した状態になる。もし、隙間が大き
く、ゲルマニウムのサイズが100nm程度(すなわち
炭素粒径200nm程度)では固体としての性質を示す
に充分である。すなわち、アルカリ金属Aを可逆的に挿
入できない合金を形成してしまい、再充電可能な電池を
形成できない。以下、ゲルマニウムのサイズが5nm、
10nm、100nmではどれほどその特性が変化する
か予想した結果を示す。単純化して、ゲルマニウムのサ
イズに閉じ込められた電子が感じるエネルギーで議論す
る。化学反応は電子の振舞いで決定付けられるから、電
子のエネルギー変化で化学反応性の変化を予想できるは
ずである。ゲルマニウムなら、そのサイズが充分大きい
場合、電子はバンドを形成しそのギャップはEg=0.
67eVである。ところが、そのサイズがLという小さ
い値になるとそのギャップEは
hys.,Vol.31,Part2,No.4B、1992 pp.L494-L497.の中でIk
uo Suemune等が示している。ここで、hはプランク定
数、Dは電子の閉じ込められる空間形状を示し、球内の
閉じ込めとすると4、mr*は電子の有効質量である。こ
こで、電子の有効質量を静止質量で近似すると(数1)
により、L=5nm、10nm、100nmで、それぞ
れE=0.72eV、0.68eV、0.67eVとな
る。すなわち、Lが100nmまで大きくなるとバルク
のギャップと変わりなく、化学反応性もバルクと変わら
ないことが予想できる。化学反応性をバルクと異なるも
のにするには、バンドギャップがバルクと異なる、少な
くともLが10nm以下であることが必要である。
質挿入化合物を電極とし、以下のようにコイン電池を作
製した。まず、エチレンカーボネートと炭酸ジエチルを
1:1の比で混合した有機溶媒にLiPF6 を1mol
/l溶解して電解液を作製した。炭素電極と対極として
金属リチウムを用い、両者の間に電解液を多孔質ポリプ
ロピレンに含浸させたものを挟み込み、これらをコイン
ケース内にいれ、プレス封口を行って評価用のコイン電
池を作製した。得られた電池について0.2mAの定電
流で、電位が0Vになるまで充電を行い、さらに0Vの
電位を20時間保って充電を終了した。つぎに0.2m
Aの定電流で、電位が1.5Vになるまで放電を行っ
た。その結果、比容量は600mAh/gであり、初回
の充電容量と初回の放電容量の差である不可逆容量は8
0mAh/gであり、予想どうり2次電池の負極として
実用上十分な特性を示した。
入化合物にゲルマニウムを添加することにより、再充電
可能であり、かつその比容量を増大させることができ
た。
を説明する。
用いてゲルマニウムを付着させた。他にも付着させる方
法があり、スパッタ蒸着法、化学的気相堆積法(CV
D)、塗布法、レーザーアブレーション法なども適当で
ある。もちろん化学的気相堆積法では、ゲルマニウムは
水素化物として反応容器内に導入し、熱や光などにより
分解し、フィルム表面に付着させる。
数重ね合わせ、900℃の熱処理を加えた。すると、P
ODのみから焼成した炭素質物質と同様な炭素質であり
かつ、物質Bがその固体中にナノ分散した炭素質挿入化
合物が形成された。このようにして得られた炭素質物質
を電極とし、実施例1と同様の手法にてコイン電池を作
製して充放電を行った。その結果、比容量550mAh
/g、不可逆容量70mAh/gで、2次電池の負極と
して実用上十分な特性を示した。
入化合物にゲルマニウムを添加することにより、再充電
可能であり、かつその比容量を増大させることができ
た。
について説明する。
Bは第1および第2実施例とは異なり、ガリウムであ
る。ガリウムもゲルマニウムと同様、リチウムと合金反
応し、炭素とは反応しない。
nm、粒径間の隙間8nmの炭素質物質を作製した。こ
の試料をガリウムが溶融している容器内に浸した。とこ
ろが、ガリウムとの界面張力の効果のため、炭素質物質
の隙間にはガリウムは少量しか入り込まなかった。図5
に示されるようにリチウムとガリウムの反応生成物はL
i2Gaであり、ガリウム原子1個当り2個のリチウム
原子としか反応しない。
では、ケイ素やゲルマニウムに及ばない。そこで、炭素
質物質の入ったガリウムの溶液に外部から圧力を加え
て、炭素質物質内部に多量にガリウムが入り込むように
した。その結果、界面張力の大きい物質でも炭素質物質
の持つ隙間内に多量に充填することができた。なお、本
実施例で行った、溶融物質Bに圧力をかける行為を第1
実施例のゲルマニウムに対して行っても良いことは言う
までもない。
極とし、実施例1と同様の手法にてコイン電池を作製し
て充放電を行った。その結果、比容量500mAh/
g、不可逆容量70mAh/gで、2次電池の負極とし
て実用上十分な特性を示した。そもそも、ガリウムはケ
イ素やゲルマニウムよりその質量が大きいため、比容量
の点から不利である。にもかかわらず良い比容量が得ら
れるのは、リチウム拡散速度がケイ素やゲルマニウムを
はるかにしのぐからと考えられる。文献ではその拡散速
度が与えられていないが、ガリウムの融点がケイ素やゲ
ルマニウムのそれよりはるかに低く、30℃である。す
なわち、電池動作温度ではガリウムは液体であることか
ら、拡散は速やかに起こるはずである。一般に、添加物
質Bの量を増大して比容量の増大を図ると、添加物質内
でのリチウム原子の移動度が問題となる。そのような高
濃度の添加物質Bを有する炭素質挿入化合物では、ガリ
ウムを添加した方が有利である。
ムを添加することにより、比容量を増大できた。
子はリチウムとしたが、周期表の1a元素群のどの元素
でもよい。また、第3の実施例では物質Bは原子または
分子としてフィルム表面に供給されるとしたが、物質B
は原子集団であるクラスターや超微粒子、さらに原子数
が多い粉体として供給されてもよいことは言うまでもな
い。原子数が多い粉体でも、熱処理を適当に加えること
により、炭素質挿入化合物内で、ナノ分散させること
が、可能である。
子とは反応するが炭素原子とは反応しない物質を炭素質
挿入化合物に添加することにより、比容量が大きな優れ
た炭素質挿入化合物および再充電可能電池用電極を実現
できるものである。
の反応性を示す状態図
リチウムの反応性を示す状態図
炭素の反応性を示す状態図
よびケイ素原子数を関数とした炭素質挿入化合物の比容
量の変化を示す概念図
応性を示す状態図
Claims (14)
- 【請求項1】 炭素が形成する微小粒子の平均粒径が2
0nm以下であり、その炭素微小粒子で囲まれた隙間の
平均幅が8nm以下であり、その隙間にガリウム(G
a)またはゲルマニウム(Ge)が充填されたことを特
徴とする炭素質挿入化合物。 - 【請求項2】 窒素原子(N)または酸素原子(O)の
少なくとも一方を構成物質として含む請求項1記載の炭
素質挿入化合物。 - 【請求項3】 炭素微小粒子どうしのつくる隙間がゲル
マニウムまたはガリウムで充分に埋まっており、リチウ
ム(Li)と反応する大気中の主な成分である酸素分子
や水分子を固体内部に入り込ませないことを特徴とする
請求項1または2に記載の炭素質挿入化合物。 - 【請求項4】 炭素微小粒子どうしのつくる隙間に存在
するゲルマニウムまたはガリウムが、隙間に入り込む大
気中の主な成分である酸素分子や水分子と反応し、リチ
ウムと反応する大気成分を隙間から取り除くことを特徴
とする請求項1または2に記載の炭素質挿入化合物。 - 【請求項5】 炭素が形成する微小粒子の平均粒径が2
0nm以下であり、その炭素微小粒子で囲まれた隙間の
平均幅が8nm以下である炭素物質を、真空容器内に設
置された溶融状態のガリウムまたはゲルマニウムに漬け
ることを特徴とする請求項1または2に記載された炭素
質挿入化合物の製造方法。 - 【請求項6】 炭素が形成する微小粒子の平均粒径が2
0nm以下であり、その炭素微小粒子で囲まれた隙間の
平均幅が8nm以下である炭素物質を、溶融状態のガリ
ウムまたはゲルマニウムに漬け、大気圧以上の圧力を加
えることを特徴とする請求項1または2に記載された炭
素質挿入化合物の製造方法。 - 【請求項7】 炭素を含む高分子物質よりなるフィルム
表面に真空蒸着法によりガリウムまたはゲルマニウムを
付着させ、そのフィルムを複数枚積層したものを焼成す
ることを特徴とする請求項1または2に記載された炭素
質挿入化合物の製造方法。 - 【請求項8】 炭素を含む高分子物質よりなるフィルム
表面にスパッタ蒸着法によりガリウムまたはゲルマニウ
ムを付着させ、そのフィルムを複数枚積層したものを焼
成することを特徴とする請求項1または2に記載された
炭素質挿入化合物の製造方法。 - 【請求項9】 炭素を含む高分子物質よりなるフィルム
表面に化学的気相堆積法によりガリウムまたはゲルマニ
ウムを付着させ、そのフィルムを複数枚積層したものを
焼成することを特徴とする請求項1または2に記載され
た炭素質挿入化合物の製造方法。 - 【請求項10】 炭素を含む高分子物質よりなるフィル
ム表面に塗布法によりガリウムまたはゲルマニウムを付
着させ、そのフィルムを複数枚積層したものを焼成する
ことを特徴とする請求項1または2に記載された炭素質
挿入化合物の製造方法。 - 【請求項11】 炭素を含む高分子物質よりなるフィル
ム表面にレーザーアブレーション法によりガリウムまた
はゲルマニウムを付着させ、そのフィルムを複数枚積層
したものを焼成することを特徴とする請求項1または2
に記載された炭素質挿入化合物の製造方法。 - 【請求項12】 電極の一部が、請求項1または2に記
載された炭素質挿入化合物からなることを特徴とする電
気化学装置。 - 【請求項13】 電極の一部が、請求項1または2に記
載された炭素質挿入化合物からなることを特徴とする電
池。 - 【請求項14】 非水溶媒電池において、リチウム挿入
化合物からなる正極と、非水溶媒の混合物中に溶解した
リチウム塩からなる非水電解液と、請求項1または2に
記載された炭素質挿入化合物からなる負極からなること
を特徴とする非水溶媒電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12855598A JP3271583B2 (ja) | 1998-05-12 | 1998-05-12 | 炭素質挿入化合物及びその製造方法、並びに電気化学装置 |
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---|---|---|---|
JP12855598A JP3271583B2 (ja) | 1998-05-12 | 1998-05-12 | 炭素質挿入化合物及びその製造方法、並びに電気化学装置 |
Publications (2)
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JPH11329428A JPH11329428A (ja) | 1999-11-30 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
1998
- 1998-05-12 JP JP12855598A patent/JP3271583B2/ja not_active Expired - Lifetime
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US6478557B2 (en) | 2000-09-20 | 2002-11-12 | Hitachi, Ltd. | Scroll compressor suitable for a low operating pressure ratio |
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