JP3271454B2 - Al合金製オイルポンプロータの製造法 - Google Patents
Al合金製オイルポンプロータの製造法Info
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- JP3271454B2 JP3271454B2 JP33295894A JP33295894A JP3271454B2 JP 3271454 B2 JP3271454 B2 JP 3271454B2 JP 33295894 A JP33295894 A JP 33295894A JP 33295894 A JP33295894 A JP 33295894A JP 3271454 B2 JP3271454 B2 JP 3271454B2
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、表面欠陥や表面荒れ
がなく、かつ表面強度の高い歯型面を有し、この結果す
ぐれた耐キャビテーション損傷性と耐摩耗性を発揮する
ようになるAl合金製オイルポンプロータを製造する方
法に関するものである。
がなく、かつ表面強度の高い歯型面を有し、この結果す
ぐれた耐キャビテーション損傷性と耐摩耗性を発揮する
ようになるAl合金製オイルポンプロータを製造する方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、例えば自動車の軽量化の面から、
これの自動変速機に用いられているオイルポンプのロー
タ(インナーロータおよびアウターロータ)にAl合金
製のものの使用が検討されている。また、Al合金製オ
イルポンプロータ(以下、Al合金ロータという)の製
造法としては、例えば特開平5−39507号公報に記
載される通り、(a) 急冷凝固Al合金粉末、または
急冷凝固Al合金粉末と硬質粒子粉末の混合粉末より冷
間または温間圧縮にて75〜93%の理論密度比をも
ち、かつ外周面または外周面が歯型面(トロコイド曲線
やインボリュート曲線、さらにこれらの曲線に類似した
曲線に相当する曲面を総称して歯型面という)の1次ロ
ータ素材を成形し、(b) 上記1次ロータ素材に熱間
型押鍛造を施して95〜98%の理論密度比をもった2
次ロータ素材を成形し、(c) 上記2次ロータ素材に
冷間または温間サイジングを施す、以上(a)〜(c)
の工程からなる方法が提案されている。
これの自動変速機に用いられているオイルポンプのロー
タ(インナーロータおよびアウターロータ)にAl合金
製のものの使用が検討されている。また、Al合金製オ
イルポンプロータ(以下、Al合金ロータという)の製
造法としては、例えば特開平5−39507号公報に記
載される通り、(a) 急冷凝固Al合金粉末、または
急冷凝固Al合金粉末と硬質粒子粉末の混合粉末より冷
間または温間圧縮にて75〜93%の理論密度比をも
ち、かつ外周面または外周面が歯型面(トロコイド曲線
やインボリュート曲線、さらにこれらの曲線に類似した
曲線に相当する曲面を総称して歯型面という)の1次ロ
ータ素材を成形し、(b) 上記1次ロータ素材に熱間
型押鍛造を施して95〜98%の理論密度比をもった2
次ロータ素材を成形し、(c) 上記2次ロータ素材に
冷間または温間サイジングを施す、以上(a)〜(c)
の工程からなる方法が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の従来製
造法で製造されたAl合金ロータにおいては、1次ロー
タ素材の成形時に形成された歯型面の寸法形状がほとん
どそのままの状態で最終製品であるロータにもちきたら
されるので、ロータの歯型面には、(1) 熱間型押鍛
造時に金型に塗布された潤滑剤の巻き込み、(2) 熱
間型押鍛造時の金型のガジリ、(3) サイジング時に
おける金型に塗布した潤滑剤の残存空孔への混入、以上
(1)〜(3)などが原因の表面欠陥や表面荒れが発生
し、さらに上記の巻き込みや混入の潤滑剤は、原料であ
るAl合金粉末相互の結合を阻害するため表面強度の低
下が避けられず、この結果苛酷な条件下での実用に際し
ては、キャビテーション損傷や摩耗の進行が著しく促進
し、比較的短時間で使用寿命に至るのが現状である。
造法で製造されたAl合金ロータにおいては、1次ロー
タ素材の成形時に形成された歯型面の寸法形状がほとん
どそのままの状態で最終製品であるロータにもちきたら
されるので、ロータの歯型面には、(1) 熱間型押鍛
造時に金型に塗布された潤滑剤の巻き込み、(2) 熱
間型押鍛造時の金型のガジリ、(3) サイジング時に
おける金型に塗布した潤滑剤の残存空孔への混入、以上
(1)〜(3)などが原因の表面欠陥や表面荒れが発生
し、さらに上記の巻き込みや混入の潤滑剤は、原料であ
るAl合金粉末相互の結合を阻害するため表面強度の低
下が避けられず、この結果苛酷な条件下での実用に際し
ては、キャビテーション損傷や摩耗の進行が著しく促進
し、比較的短時間で使用寿命に至るのが現状である。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は、
上述のような観点から、Al合金ロータの製造に際し
て、表面欠陥や表面荒れの発生がなく、かつ表面強度の
高い歯型面を形成すべく研究を行なった結果、まず、急
冷凝固Al合金粉末、または急冷凝固Al合金粉末と硬
質粒子粉末の混合粉末より熱間圧縮にて98%以上の高
い理論密度比を有するリング素材を成形し、このリング
素材に、その外周面部または内周面部をそぎ取って歯型
面を形成し、このそぎ取った部分を上端部または下端部
に集めて押残り部とする条件で押出し加工を施してロー
タ素材を形成すると、この結果得られたロータ素材にお
いては、上記リング素材の成形時に表面部に巻き込んだ
潤滑剤や押出し加工時に用いられた潤滑剤が前記そぎ取
られた部分と一緒になって上記押残り部に集められるの
で、潤滑剤の巻き込みや混入がなく、さらに押出し加工
のため金型のガジリの発生もなく、かつ寸法精度の高い
緻密な歯型面が形成されるようになり、したがって、前
記歯型面はすぐれた耐キャビテーション損傷性と耐摩耗
性を発揮するようになるという研究結果を得たのであ
る。
上述のような観点から、Al合金ロータの製造に際し
て、表面欠陥や表面荒れの発生がなく、かつ表面強度の
高い歯型面を形成すべく研究を行なった結果、まず、急
冷凝固Al合金粉末、または急冷凝固Al合金粉末と硬
質粒子粉末の混合粉末より熱間圧縮にて98%以上の高
い理論密度比を有するリング素材を成形し、このリング
素材に、その外周面部または内周面部をそぎ取って歯型
面を形成し、このそぎ取った部分を上端部または下端部
に集めて押残り部とする条件で押出し加工を施してロー
タ素材を形成すると、この結果得られたロータ素材にお
いては、上記リング素材の成形時に表面部に巻き込んだ
潤滑剤や押出し加工時に用いられた潤滑剤が前記そぎ取
られた部分と一緒になって上記押残り部に集められるの
で、潤滑剤の巻き込みや混入がなく、さらに押出し加工
のため金型のガジリの発生もなく、かつ寸法精度の高い
緻密な歯型面が形成されるようになり、したがって、前
記歯型面はすぐれた耐キャビテーション損傷性と耐摩耗
性を発揮するようになるという研究結果を得たのであ
る。
【0005】この発明は、上記の研究結果にもとづいて
なされたものであって、(a) 急冷凝固Al合金粉
末、または急冷凝固Al合金粉末と硬質粒子粉末の混合
粉末より熱間圧縮にて98%以上の理論密度比をもった
リング素材を成形し、(b) 上記リング素材に、歯型
面が形成される外周面部または内周面部をそぎ取る条件
で押出し加工を施して、上端部または下端部に押残り部
を有し、残りの主体部の外周面または内周面が歯型面に
加工されたロータ素材を成形し、(c) 上記ロータ素
材から押残り部を除去する、以上(a)〜(c)の基本
工程により耐キャビテーション損傷性および耐摩耗性に
すぐれたAl合金ロータを製造する方法に特徴を有する
ものである。
なされたものであって、(a) 急冷凝固Al合金粉
末、または急冷凝固Al合金粉末と硬質粒子粉末の混合
粉末より熱間圧縮にて98%以上の理論密度比をもった
リング素材を成形し、(b) 上記リング素材に、歯型
面が形成される外周面部または内周面部をそぎ取る条件
で押出し加工を施して、上端部または下端部に押残り部
を有し、残りの主体部の外周面または内周面が歯型面に
加工されたロータ素材を成形し、(c) 上記ロータ素
材から押残り部を除去する、以上(a)〜(c)の基本
工程により耐キャビテーション損傷性および耐摩耗性に
すぐれたAl合金ロータを製造する方法に特徴を有する
ものである。
【0006】なお、この発明の方法を実施するに際し
て、急冷凝固Al合金粉末としては、重量%で、Fe:
3〜12%、Si:6〜22%、Cr,V,Mo,M
n、およびNbのうちの1種または2種以上:0.5〜
3%を含有し、さらに必要に応じてNi:0.1〜3%
を含有し、残りがAlと不可避不純物からなる組成を有
するガスアトマイズAl合金粉末の使用が望ましく、さ
らに必要に応じて硬質粒子粉末として2〜10μmの平
均粒径を有する炭化けい素(SiC)粉末、炭化チタン
(TiC)粉末、窒化チタン(TiN)粉末、酸化アル
ミニウム(Al2 O3 )粉末、および窒化アルミニウム
(AlN)粉末のうちの1種または2種以上を2〜9体
積%の割合で上記ガスアトマイズAl合金粉末に混合し
たものを用いてもよい。
て、急冷凝固Al合金粉末としては、重量%で、Fe:
3〜12%、Si:6〜22%、Cr,V,Mo,M
n、およびNbのうちの1種または2種以上:0.5〜
3%を含有し、さらに必要に応じてNi:0.1〜3%
を含有し、残りがAlと不可避不純物からなる組成を有
するガスアトマイズAl合金粉末の使用が望ましく、さ
らに必要に応じて硬質粒子粉末として2〜10μmの平
均粒径を有する炭化けい素(SiC)粉末、炭化チタン
(TiC)粉末、窒化チタン(TiN)粉末、酸化アル
ミニウム(Al2 O3 )粉末、および窒化アルミニウム
(AlN)粉末のうちの1種または2種以上を2〜9体
積%の割合で上記ガスアトマイズAl合金粉末に混合し
たものを用いてもよい。
【0007】また、同じく急冷凝固Al合金粉末、また
はこれと硬質粒子粉末との混合粉末の熱間圧縮は、非酸
化性雰囲気中で、5℃/sec 以上の昇温速度で400〜
500℃の温度に急速加熱し、その15分以内で熱間鍛
造を終了する条件で行なうのが望ましく、これは加熱温
度が400℃未満では粉末間の結合が弱く、かつ緻密化
も十分に行なわれず、一方加熱温度が500℃を越えた
り、前記加熱温度への昇温速度が5℃/sec 未満の遅い
場合や、さらに前記加熱温度に15分を越えて長時間保
持されると上記粉末のもつ急冷凝固組織が破壊され、ロ
ータ特性の劣化をまねくようになるという理由によるも
のである。さらに、この発明の方法において、リング素
材の理論密度比を98%以上としたのは、98%未満の
理論密度比では、最終製品であるロータに所望の高強度
を確保することができないばかりでなく、次工程の押出
し加工で割れが発生し易くなるという理由にもとづくも
のである。
はこれと硬質粒子粉末との混合粉末の熱間圧縮は、非酸
化性雰囲気中で、5℃/sec 以上の昇温速度で400〜
500℃の温度に急速加熱し、その15分以内で熱間鍛
造を終了する条件で行なうのが望ましく、これは加熱温
度が400℃未満では粉末間の結合が弱く、かつ緻密化
も十分に行なわれず、一方加熱温度が500℃を越えた
り、前記加熱温度への昇温速度が5℃/sec 未満の遅い
場合や、さらに前記加熱温度に15分を越えて長時間保
持されると上記粉末のもつ急冷凝固組織が破壊され、ロ
ータ特性の劣化をまねくようになるという理由によるも
のである。さらに、この発明の方法において、リング素
材の理論密度比を98%以上としたのは、98%未満の
理論密度比では、最終製品であるロータに所望の高強度
を確保することができないばかりでなく、次工程の押出
し加工で割れが発生し易くなるという理由にもとづくも
のである。
【0008】
【実施例】つぎに、この発明の方法を実施例により具体
的に説明する。通常の溶解法にて、それぞれ表1に示さ
れる組成をもったAl合金溶湯を調製し、これらのAl
合金溶湯を窒素ガスアトマイズ法にて粉化し、ふるい分
けして−200メッシュの粒度をもった急冷凝固Al合
金粉末a〜jを形成し、これに別途硬質粒子粉末として
用意した、いずれも2〜10μmの範囲内の所定の平均
粒径を有するSiC粉末、TiC粉末、TiN粉末、A
l2 O3 粉末、およびAlN粉末のうちの1種または2
種以上を表2に示される割合で配合し、あるいは配合し
ないまま、V型ミキサーで30分間混合して原料粉末を
調製し、ついでこれらの原料粉末を、いずれも窒素雰囲
気中、450℃に10℃/sec の平均昇温速度で加熱
し、前記温度に5分間保持した後、直ちにこれを図1に
左半分縦断面図で示される熱間圧縮−押出し加工装置の
キャビティ、すなわち外周面にしごき段部2aを有し、
このしごき段部を境に上方外面を円形面とし、下方周面
を歯型面2bとした内側ダイス2と内周面を円形面とし
た外側ダイス3の間に下パンチ5を介して形成されたリ
ング状キャビティに装入し、この原料粉末を同図(a)
に示されるように下パンチ5を固定した状態で、上パン
チ4にて5ton /cm2 の圧力で圧縮(鍛造)して、いず
れも98.3〜99.8%の範囲内の所定の理論密度比
を有し、かつ外径:95mm×内径:68mm×高さ:10
mmの寸法をもったリング素材1を成形し、引続いて同図
(b)に示されるように、上パンチ4に8ton /cm2 の
圧力を加えてさらに降下させ、この間下パンチ5には背
圧を加えておき、前記リング素材1の内周面部を前記内
側ダイス2のしごき段部2aでそぎ取りながら内周面に
歯型面2bを形成する押出し加工を行なって、同図
(b)に示される状態で押出し加工を終了し、そぎ取ら
れた部分を上端部に集めて押残り部6aとしたアウター
ロータ素材6を成形し、また上記内側ダイスの外周面に
形成したしごき段部および歯型面をこれに代って外側ダ
イズ3の内周面に設ける以外は同一の条件でインナーロ
ータ素材を形成し、これを取り出して、上記押残り部6
aをそれぞれ除去する本発明方法1〜10を実施し、外
径:95mm×高さ:10mmの寸法をもった内歯数:11
個にしてインボリュート曲線歯型面を有するアウターロ
ータと、これと対をなす外歯数:10個のインナーロー
タをそれぞれ製造した。
的に説明する。通常の溶解法にて、それぞれ表1に示さ
れる組成をもったAl合金溶湯を調製し、これらのAl
合金溶湯を窒素ガスアトマイズ法にて粉化し、ふるい分
けして−200メッシュの粒度をもった急冷凝固Al合
金粉末a〜jを形成し、これに別途硬質粒子粉末として
用意した、いずれも2〜10μmの範囲内の所定の平均
粒径を有するSiC粉末、TiC粉末、TiN粉末、A
l2 O3 粉末、およびAlN粉末のうちの1種または2
種以上を表2に示される割合で配合し、あるいは配合し
ないまま、V型ミキサーで30分間混合して原料粉末を
調製し、ついでこれらの原料粉末を、いずれも窒素雰囲
気中、450℃に10℃/sec の平均昇温速度で加熱
し、前記温度に5分間保持した後、直ちにこれを図1に
左半分縦断面図で示される熱間圧縮−押出し加工装置の
キャビティ、すなわち外周面にしごき段部2aを有し、
このしごき段部を境に上方外面を円形面とし、下方周面
を歯型面2bとした内側ダイス2と内周面を円形面とし
た外側ダイス3の間に下パンチ5を介して形成されたリ
ング状キャビティに装入し、この原料粉末を同図(a)
に示されるように下パンチ5を固定した状態で、上パン
チ4にて5ton /cm2 の圧力で圧縮(鍛造)して、いず
れも98.3〜99.8%の範囲内の所定の理論密度比
を有し、かつ外径:95mm×内径:68mm×高さ:10
mmの寸法をもったリング素材1を成形し、引続いて同図
(b)に示されるように、上パンチ4に8ton /cm2 の
圧力を加えてさらに降下させ、この間下パンチ5には背
圧を加えておき、前記リング素材1の内周面部を前記内
側ダイス2のしごき段部2aでそぎ取りながら内周面に
歯型面2bを形成する押出し加工を行なって、同図
(b)に示される状態で押出し加工を終了し、そぎ取ら
れた部分を上端部に集めて押残り部6aとしたアウター
ロータ素材6を成形し、また上記内側ダイスの外周面に
形成したしごき段部および歯型面をこれに代って外側ダ
イズ3の内周面に設ける以外は同一の条件でインナーロ
ータ素材を形成し、これを取り出して、上記押残り部6
aをそれぞれ除去する本発明方法1〜10を実施し、外
径:95mm×高さ:10mmの寸法をもった内歯数:11
個にしてインボリュート曲線歯型面を有するアウターロ
ータと、これと対をなす外歯数:10個のインナーロー
タをそれぞれ製造した。
【0009】また、比較の目的で、上記の原料粉末を用
い、図2に左半分縦断面図で示される圧縮装置、すなわ
ち外周面が歯型面2bに形成された内側ダイス2と内周
面が円形面に形成された外側ダイス1の間に下パンチ5
を介して形成されたリング状キャビティ内に上記原料粉
末を装入し、これを上パンチ4で冷間で圧縮して、いず
れもほぼ85%の理論密度比を有する1次ロータ素材7
を成形し、ついで前記1次ロータ素材を、図2に示され
る構造と同じ構造の熱間圧縮(鍛造)装置に装入し、こ
れに450℃の温度で熱間鍛造を施して、いずれもほぼ
97%の理論密度比を有する2次ロータ素材を成形し、
最終的に前記2次ロータ素材に冷間でサイジング加工を
行なってアウターロータを製造し、さらに上記内側ダイ
ス2の外周面に形成した歯型面を、これに代って外側ダ
イス3の内周面に形成する以外は同一の条件で前記アウ
ターロータと対をなすインナーロータを製造する従来方
法1〜10をそれぞれ行なった。なお、従来方法1〜1
0で製造されたアウターロータとインナーロータの形状
および寸法は本発明方法1〜10で製造されたものと全
く同じものである。
い、図2に左半分縦断面図で示される圧縮装置、すなわ
ち外周面が歯型面2bに形成された内側ダイス2と内周
面が円形面に形成された外側ダイス1の間に下パンチ5
を介して形成されたリング状キャビティ内に上記原料粉
末を装入し、これを上パンチ4で冷間で圧縮して、いず
れもほぼ85%の理論密度比を有する1次ロータ素材7
を成形し、ついで前記1次ロータ素材を、図2に示され
る構造と同じ構造の熱間圧縮(鍛造)装置に装入し、こ
れに450℃の温度で熱間鍛造を施して、いずれもほぼ
97%の理論密度比を有する2次ロータ素材を成形し、
最終的に前記2次ロータ素材に冷間でサイジング加工を
行なってアウターロータを製造し、さらに上記内側ダイ
ス2の外周面に形成した歯型面を、これに代って外側ダ
イス3の内周面に形成する以外は同一の条件で前記アウ
ターロータと対をなすインナーロータを製造する従来方
法1〜10をそれぞれ行なった。なお、従来方法1〜1
0で製造されたアウターロータとインナーロータの形状
および寸法は本発明方法1〜10で製造されたものと全
く同じものである。
【0010】この結果得られた各種のアウターロータお
よびインナーロータのうち、アウターロータについて、
これを50℃の蒸留水を入れた水槽の底部中心に固定
し、これの直上に振動子を位置させ、振動数:20KH
z 、振動子振幅:35μm、ローター振動子間距離:
0.8mm、試験時間:6時間の条件でキャビテーション
損傷試験を行ない、試験後のロータの体積減量を測定す
ることにより耐キャビテーション損傷性を評価した。ま
た、これらのアウターロータおよびインナーロータを、
ケージングがJIS・ADC12のAl合金からなるオ
イルポンプに組み込み、ロータ回転数:6000r.p.
m.、循環オイル温度:140℃、油圧:18kgf /m
m2 、運転時間:200時間の高出力運転条件で実機試
験を行ない、インナーロータの外周面における最大摩耗
深さを測定することにより耐摩耗性を評価した。これら
の測定結果を表2に示した。
よびインナーロータのうち、アウターロータについて、
これを50℃の蒸留水を入れた水槽の底部中心に固定
し、これの直上に振動子を位置させ、振動数:20KH
z 、振動子振幅:35μm、ローター振動子間距離:
0.8mm、試験時間:6時間の条件でキャビテーション
損傷試験を行ない、試験後のロータの体積減量を測定す
ることにより耐キャビテーション損傷性を評価した。ま
た、これらのアウターロータおよびインナーロータを、
ケージングがJIS・ADC12のAl合金からなるオ
イルポンプに組み込み、ロータ回転数:6000r.p.
m.、循環オイル温度:140℃、油圧:18kgf /m
m2 、運転時間:200時間の高出力運転条件で実機試
験を行ない、インナーロータの外周面における最大摩耗
深さを測定することにより耐摩耗性を評価した。これら
の測定結果を表2に示した。
【0011】
【表1】
【0012】
【表2】
【0013】
【発明の効果】表2に示される結果から、本発明方法1
〜10で製造されたロータは、いずれも従来方法1〜1
0で製造されたロータに比して苛酷な条件下ですぐれた
耐キャビテーション損傷性と耐摩耗性を示すことが明ら
かである。上述のように、この発明の方法によれば、苛
酷な条件下ですぐれた耐キャビテーション損傷性と耐摩
耗性を示し、したがって実用に際しては著しく長期に亘
ってすぐれた性能を発揮するAl合金製オイルポンプロ
ータを製造することができるのである。
〜10で製造されたロータは、いずれも従来方法1〜1
0で製造されたロータに比して苛酷な条件下ですぐれた
耐キャビテーション損傷性と耐摩耗性を示すことが明ら
かである。上述のように、この発明の方法によれば、苛
酷な条件下ですぐれた耐キャビテーション損傷性と耐摩
耗性を示し、したがって実用に際しては著しく長期に亘
ってすぐれた性能を発揮するAl合金製オイルポンプロ
ータを製造することができるのである。
【図1】本発明方法の実施装置を示す左半分縦断面図で
ある。
ある。
【図2】従来方法の実施装置を示す左半分縦断面図であ
る。
る。
1 リング素材 2 内側ダイス 2a しごき段部 2b 歯型面 3 外側ダイス 4 上パンチ 5 下パンチ 6 リング素材 6a 押残り部 7 1次ロータ素材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22F 5/08 B22F 3/24 F04C 2/10
Claims (1)
- 【請求項1】 (a) 急冷凝固Al合金粉末、または
急冷凝固Al合金粉末と硬質粒子粉末の混合粉末より熱
間圧縮にて98%以上の理論密度比をもったリング素材
を成形し、 (b) 上記リング素材に、歯型面が形成される外周面
部または内周面部をそぎ取る条件で押出し加工を施し
て、上端部または下端部に押残り部を有し、残りの主体
部の外周面または内周面が歯型面に加工されたロータ素
材を成形し、 (c) 上記ロータ素材から押残り部を除去する、以上
(a)〜(c)の基本工程からなることを特徴とする、
耐キャビテーション損傷性および耐摩耗性のすぐれたA
l合金製オイルポンプロータの製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33295894A JP3271454B2 (ja) | 1994-12-14 | 1994-12-14 | Al合金製オイルポンプロータの製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33295894A JP3271454B2 (ja) | 1994-12-14 | 1994-12-14 | Al合金製オイルポンプロータの製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08170108A JPH08170108A (ja) | 1996-07-02 |
JP3271454B2 true JP3271454B2 (ja) | 2002-04-02 |
Family
ID=18260720
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP33295894A Expired - Fee Related JP3271454B2 (ja) | 1994-12-14 | 1994-12-14 | Al合金製オイルポンプロータの製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3271454B2 (ja) |
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JP2015000999A (ja) * | 2013-06-14 | 2015-01-05 | 住友電工焼結合金株式会社 | オイルポンプアウターロータのサイジング方法とサイジング金型 |
-
1994
- 1994-12-14 JP JP33295894A patent/JP3271454B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
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JPH08170108A (ja) | 1996-07-02 |
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