JP3270739B2 - 巻取機のボビン保持装置 - Google Patents

巻取機のボビン保持装置

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JP3270739B2 JP28605798A JP28605798A JP3270739B2 JP 3270739 B2 JP3270739 B2 JP 3270739B2 JP 28605798 A JP28605798 A JP 28605798A JP 28605798 A JP28605798 A JP 28605798A JP 3270739 B2 JP3270739 B2 JP 3270739B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は複数本のボビンを同
時に保持する巻取機のボビン保持装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、合成繊維糸条は、生産性を向上
させるために複数本の糸条を紡糸し、1本のボビン保持
装置に複数本のボビンを保持した巻取機を使用して巻取
っている。
【0003】上述のボビン保持装置としては、例えば実
公平7−8519号公報に記載されているような機枠に
回転自在に支持されたホルダ本体の外周部に保持リング
とスペーサを嵌着せしめ、前記円筒部材または軸部材の
先端部に装着された作動手段によって前記保持リングと
スペーサを押圧せしめて保持リングを直径方向に張り出
させてボビンを保持する構成、特公平6−79958号
公報に記載されているような機枠に回転自在に支持され
た軸体に取り付けられたホルダ本体の外周部に保持リン
グとスペーサを嵌着せしめ、前記円筒部材または軸部材
の先端部に装着された作動手段によって前記保持リング
とスペーサを押圧せしめて保持リングを直径方向に張り
出させてボビンを保持する構成、特公昭48−2610
2号公報に記載されているような機枠に支持された軸体
に回転自在に取り付けられたホルダ本体の外周部に保持
リングとスペーサを嵌着せしめ、前記円筒部材または軸
部材の先端部に装着された作動手段によって前記保持リ
ングとスペーサを押圧せしめて保持リングを直径方向に
張り出させてボビンを保持する構成になっている。
【0004】そして、ボビン保持装置に使用される保持
リングとしては、実公平7−8519号公報等に記載さ
れているような弾性体の両側に金属板を接合した構成の
もの、特開昭64−17779号公報に記載されている
ような円筒状の弾性部材によって形成されたもの、特許
第2598320号公報に記載されているようなホルダ
本体に係合する内面および傾斜外面を有する第1傾斜部
材並びに該第1傾斜部材に係合可能な傾斜面およびボビ
ン内面に係合する外面を有する第2傾斜部材とにより把
持部材が構成され、第1傾斜部材が周方向に実質的に複
数小片に分離されていると共に、第2傾斜部材が周方向
に実質的に分離された複数のピースからなり、該部材の
両傾斜面が当接した状態で第1傾斜部材の各小片に第2
傾斜部材のピースがそれぞれ係合されており、ホルダ本
体に挿着された円筒部材により第1傾斜部材をホルダ本
体の軸方向に押圧して該把持部材を拡開させてボビンを
把持する構成のもの、特公昭48−26102号公報に
記載されているような金属によってコ字形の連続したリ
ング状に形成されたもの等が使用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述の保持リングがゴ
ム等の弾性体によって形成したものでは、保持リングに
よって直径方向に対する張り出しが均一でなかったり、
必要とする張り出し量が得られなかったりして複数本の
ボビンを確実に緊締することができないという問題があ
る。
【0006】また、空ボビンの挿入、満巻ボビンの取り
出し操作が円滑にできるようにグリース等の潤滑材を塗
布しなければならず、糸汚れの原因になるという問題、
定期的に潤滑材の補給作業をしなければ成らないという
問題、ゴムが永久歪を起こして満巻ボビンが抜けなくな
るという問題がある。
【0007】該保持リングが第1傾斜部材が周方向に実
質的に複数小片に分離されていると共に、第2傾斜部材
が周方向に実質的に分離された複数のピースからなり、
該部材の両傾斜面が当接した状態で第1傾斜部材の各小
片に第2傾斜部材のピースがそれぞれ係合されているも
のでは保持用爪数を多くすることができず、必要とする
緊締力を得ることができないことがあり、また、その構
成が複雑であるため取り扱い時に破損を生じることがあ
り、さらに、該爪部に糸屑が引っ掛って巻き付くという
問題がある。
【0008】保持リングが金属製のものではボビン内周
面に保持リングの外周部が食い込んで緊締解除が円滑で
きないという問題がある。
【0009】本発明は簡単な構成の保持リングによって
複数本のボビンを確実に緊締解除することができる巻取
機のボビン保持装置を提供することを目的とするもので
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
めに本発明の巻取機のボビン保持装置は請求項1に記載
にように保持リングを、一方の側面における外周側部に
軸心長手方向に突出する断面が円弧状の環状突部が設け
られ、他方の側面における内周側部に軸心長手方向に突
出する断面が略矩形状の環状突部が設けられていると共
に、両側面部に所定の幅と深さを有するスリット溝が複
数箇所両側のスリット溝同士が重なり合わないように所
定の間隔を有するように設けられ、略矩形状の環状突部
が設けられた側面側における内周面が外側に向かって大
径化する円錐部が形成された形状にせしめ、前記スペー
サには、前記保持リングの円弧状の環状突部が当接でき
ように円錐面を形成せしめた形状の構成にしてある。
【0011】また、本発明の糸条巻取機は請求項2に記
載のような保持リングを、矩形状環状突部における外
周側端部を円弧状に形成せしめると共に、スペーサにお
ける保持リングの円弧状の環状突部が当接できるための
円錐面が形成された側とは反対側の端面にも同様の円錐
面を形成せしめた構成、請求項3に記載のような保持リ
ングの外周部にU字状の溝を形成し、前記溝にOリング
を装着せしまた構成にすることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】図1は本発明の巻取機のボビン保
持装置の構成の1実施例を示す概略断面図であって、ボ
ビン保持装置は機枠1にベアリング3によって回転自在
に取り付けられたホルダ本体2と、ホルダ本体2の外周
部に嵌着された保持リング4(4-1〜4-4)およびスペ
ーサ5(5-1〜5-3)と、ホルダ本体2の先端部に装着
され、軸長手方向に移動して保持リング4およびスペー
サ5を押圧せしめて保持リング4を半径方向に張り出さ
せる作動手段6とにより構成されている。
【0013】ホルダ本体2には軸心長手方向に圧空供給
用孔2aが穿設され、圧力調節弁、電磁弁等を有するが
圧空供給用管(図示せず)が接続されており、該圧空供
給用孔2aに端部に形成されたシリンダ部2bに対して
圧空の供給、排出を行うようになっている。また、ホル
ダ本体2の支持側外周端部にはボビン当接用の鍔部2c
と保持リング当接用の鍔部2dが形成されている。
【0014】作動手段6はホルダ本体2の先端外周部に
軸長手方向に移動自在に取り付けられたキヤップ7と、
軸体8によって該キヤップ7と一体的に連結されたピス
トン9と、ホルダ本体2のシリンダ部2bの先端側にね
じ11によって取り付けられた固定リング10と、該固
定リング10とピストン9の間に装着され、ピストン9
と共にキヤップ7を図1において右方向に押圧させるス
プリング12とにより構成されている。
【0015】上述の保持リング4は図2、図3、図5に
示されるように一方の側面における外周側部に軸心長手
方向に突出する断面が円弧状の環状突部4bを設け、他
方の側面における内周側部に軸心長手方向に突出する断
面が略矩形状の環状突部4cを設けると共に、該環状突
部4b側に保持リング4の幅方向の厚さ寸法(L1 )に
対して環状突部4cにおける肉部寸法(L2 )が残る深
さのスリット溝4d(4d-1〜4d-6)を略等間隔に設
け、環状突部4c側に環状突部4cにおける肉部寸法
(L2 )に溝重なり部寸法(L3 )を加算した深さを有
するスリット溝4e(4e-1〜4e-12 )を、円周方向
においてスリット溝4dとスリット溝4eとの間隔寸法
(T4 )を有するように、環状突部4cが設けられた側
面側における孔4aの内周面を外側に向かって寸法(T
2 )だけ大径化する円錐部4fが形成された形状になっ
ている。
【0016】上述の保持リング4の幅方向の厚さ寸法
(L1 )は8mm〜20mm、環状突部4cの肉部寸法
(L2 )は2.0mm〜8.0mm、溝重なり部寸法
(L3 )は0.5mm〜1.5mm、保持リング4の略
矩形状環状突部における肉部寸法(L4 )は0mm〜
1.0mm、ボビン30内径寸法(D1 )と保持リング
4の外径寸法(D3 )との間隔寸法(T1 )は0.5m
m〜1.5mm、環状突部4cにおける直径方向の肉部
寸法(T3 )は1.0mm〜3.0mm、円錐部4fの
大径化寸法(T2 )は0.15mm〜0.30mm、ス
リット溝4dとスリット溝4eとの間隔寸法(T4 )は
2.0mm〜4.0mm、保持リング4の外径寸法(D
3 )とキャップ7およびスペーサ5の外径寸法(D2 )
との間隔寸法(T5 )は0mm〜0.3mmの範囲で下
記式のような関係になるように各寸法を設定するのが好
ましい。
【0017】L2 /L1 ▲略等しい▼ T2 /T1 また、環状突部4bにおける外周側の円弧部4gの半径
寸法(R1 )は0.3mm〜1.0mm、好ましくは
0.5mmに、内周側の円弧部4hの半径寸法(R2 )
は0.5mm〜3.0mm、好ましくは2.0mmに設
定する。
【0018】該保持リング4はポリアミド樹脂(ナイロ
ン6)、ポリエステル樹脂等の合成樹脂あるいは複合材
によって所定の形状に加工する。
【0019】複合材としては高弾性炭素繊維、芳香属ポ
リアミド等を主成分とする高弾性有機繊維、ガラス繊維
等の強化繊維とマトリクス樹脂としてエポキシ樹脂、不
飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹
脂、ポリスルホン樹脂等の熱可塑性樹脂を用いたものが
好ましい。
【0020】スペーサ5は図4、図5に示されるように
保持リング4の円弧状の環状突部4bが当接する側面部
を内周側に向かって角度(α)で傾斜する円錐面5aが
形成され、該円錐面5aが形成された側面の内周側部に
保持リング4の円弧状の環状突部4bが形成された側面
部に当接する押圧規制用突部5bが形成され、他方側の
内周側部に保持リング4の略矩形状の環状突部4cが位
置する環状凹部5cが形成された形状になっている。該
傾斜角度(α)は15°から25°の範囲内で設定する
が、20°に設定するのが好ましい。
【0021】上述の押圧規制用突部5bを設けず、円錐
面5aを孔部まで延長して環状突部4bの内周側面4j
が当接する押圧規制部にするこは可能である。
【0022】該環状凹部5cは保持リング4の略矩形状
の環状突部4cを覆うカバーの役割をするものである
が、環状凹部5cを省略することは可能である。
【0023】該スペーサ5は弾性変形する必要がないた
めステンレス鋼、アルミ合金、あるいは上述と保持リン
グ4において記述した複合材と同じ複合材等によって形
成する。
【0024】上述のホルダ本体2の外径寸法(D4 )が
80mm、ボビン30の内径寸法(D1 )が94mmの
場合、保持リング4は厚さ寸法(L1 )が12.5m
m、環状突部4cの肉部寸法(L2 )が3.0mm、溝
重なり部寸法(L3 )が1.0mm、環状突部4cの肉
部寸法(L4 )が0.5mm、ボビン30内径寸法(D
1 )と保持リング4の外径寸法(D3 )との間隔寸法
(T1 )が0.9mm、ボビン30内径寸法(D1 )と
スペーサ5およびキャップ7の外径寸法(D2 )との間
隔寸法(T5 )が0.15mm、環状突部4cの肉部寸
法(T3 )が2.0mm、円錐部4fの大径化寸法(T
2 )が0.23mm、円周方向におけるスリット溝4d
とスリット溝4eとの間隔寸法(T4 )が3.0mm、
環状突部4bにおける外周側の円弧部4gの半径寸法
(R1 )が0.5mm、内周側の円弧部4hの半径寸法
(R2 )が2.0mmになるようにポリアミド樹脂(ナ
イロン6)によって形成すると共に、スペーサ5は円錐
面5aの傾斜角度(α)が20°、押圧規制用突部5b
が保持リング4との間隔寸法(L5 )1.3mmになる
ようにガラス繊維とエポキシ樹脂からなる複合材によっ
て形成してある。
【0025】上述のキャップ7の保持リング4の押圧部
はスペーサ5と同一の円錐面7aと押圧規制用突部7b
が形成されている。キャップ7の移動ストロークが1.
0mm×保持リング4の個数になるように作動手段6の
各部材を組み付けてある。該キャップ7の移動ストロー
クは1.0mm〜1.6mm×保持リング4の個数の範
囲で設定するのが好ましい。
【0026】上述のボビン保持装置においてボビンの緊
締を解除する場合には、ホルダ本体2の圧空供給用孔2
aからシリンダ部2bに圧空が供給されるとピストン9
が左方向に移動する。それによってスプリング12が圧
縮されてキャップ7が左方向に移動し、保持リング4と
スペーサ5に対する押圧力が無くなると、保持リング4
が図5に示されるような元の状態に戻って該保持リング
4の外周部がボビンの内周面から離反して所定の間隔を
有する状態になる。
【0027】上述のボビン保持装置によってボビン30
を緊締する場合には、ホルダ本体2の圧空供給用孔2a
に対する圧空の供給を断ち、該圧空供給用孔2aを通し
てシリンダ部2bに供給されていた圧空を抜くと、スプ
リング12が伸長することによってピストン9が右方向
に移動する。それによってキャップ7が右方向に移動
し、該キャップ7によって保持リング4-1が押圧される
と、スペーサ5-1、保持リング4-2、スペーサ5-2、保
持リング4-3、スペーサ5-3、保持リング4-4の順に押
圧力が作用する。
【0028】キャップ7に形成された円錐面7aによっ
て保持リング4-1の外周側の環状突部4bが押圧される
と、図6に示されるように環状突部4b側のスリット溝
4d-1と環状突部4c側のスリット溝4e-1、4e-2と
の間に位置する肉部〜環状突部4b側のスリット溝4d
-6と環状突部4c側のスリット溝4e-11 、4e-12と
の間に位置する肉部において弾性変形して時計方向に回
動し、内周側の環状突部4cの円錐部4fがホルダ本体
2の外周面に接触すると共に保持リング4-1の環状突部
4bの外周側円弧部4gがボビン30の内周面に接触す
る。そして、予め設定された位置まで保持リング4-1が
押圧される間に先ず環状突部4cの円錐部4fがホルダ
本体2の外周面を、次いで環状突部4bの外周側円弧部
4gがボビン30の内周面を押圧した状態になる。
【0029】上述のキャップ7による押圧力がスペーサ
5-1〜5-3、保持リング4-2〜4-4に対して順次作用す
ると、該保持リング4-2〜4-4はスペーサ5-1〜5-3に
形成された傾斜面5aによって保持リング4-2〜4-4の
外周側の環状突部4bが押圧されて該保持リング4-2〜
4-4が時計方向に回動して内周側の環状突部4cの円錐
部4fがホルダ本体2の外周面を、環状突部4bの外周
側円弧部4gがボビン30の内周面を押圧した状態にな
る。
【0030】この様に保持リング4-1〜4-4によってホ
ルダ本体2の外周面とボビン30の内周面を押圧した状
態になるが、該保持リング4-1〜4-4がポリアミド樹脂
等によって形成されているため、キャップ7の押圧力に
よってホルダ本体2の支持側に移動すると共に、ボビン
30の側面がホルダ本体2のボビン当接用の鍔部2cに
当接する。そして、保持リング4-4の環状突部4cがホ
ルダ本体2の鍔部2dに当接して停止すると、この状態
でさらに押圧力が作用すると、保持リング4-4の環状突
部4cの円錐部4fがホルダ本体2の外周面を、環状突
部4bの外周側円弧部4gがボビン30の内周面を予め
設定された押圧力で緊締した状態になる。該保持リング
4-4が緊締状態になると、保持リング4-3、保持リング
4-2、保持リング4-1の順に緊締状態になる。
【0031】該ボビン保持装置にボビンが挿入されない
状態で上述の保持リング4-1〜4-4が緊締の状態になっ
た時にはキャップ7に形成された押圧規制用突部7b、
スペーサ5に形成された押圧規制用突部5bが保持リン
グ4-1〜4-4の環状突部4bが形成された側の内周側部
4jに当接し、キャップ7の円錐面7a、スペーサ5の
円錐面5aによってそれ以上環状突部4bが押圧され
ず、保持リング4-1〜4-4が破損しないようになってい
る。
【0032】また、図9に示されるようにキャップ7お
よびスペーサ5のキャップ7に形成された押圧規制用突
部7bとスペーサ5に形成された押圧規制用突部5bが
保持リング4-1〜4-4の内周側部4jに当接すると同時
に保持リング4-1〜4-4の外周端部4mがスペーサ5の
環状凹部5cの端面5eに当接するような構成にすると
保持リング4-1〜4-4の環状突部4bが押圧されず、保
持リング4-1〜4-4が破損するのを確実に防止すること
ができる。
【0033】上述の保持リング4は外周側環状突部4b
におけるボビン内周面の押圧部が6箇所、内周側環状突
部4cにおけるホルダ本体外周面の押圧部が12箇所に
なるようにスリット溝を形成したが、ボビン内径寸法、
ボビン保持装置の回転速度、材質等によってボビン内周
面の押圧部を12箇所、内周側環状突部4cにおけるホ
ルダ本体外周面の押圧部を24箇所等適宜設定する。
【0034】本発明のボビン保持装置はホルダ本体が機
枠またはターレット部材に回転自在に支持された軸体に
取り付けられた構成のもの、ホルダ本体が機枠またはタ
ーレット部材に支持された軸体に回転自在に取り付けら
れた構成のものにも適用できることはいうまでもない。
【0035】また、図7に示されるような保持リング4
とスペーサ5を一つのユニットにし、該ユニットの幅寸
法を従来のボビン保持装置における保持リングの幅寸法
と同一にすると、ボビン保持装置全体を交換あるいは改
造することなく、該保持リング4とスペーサ5のユニッ
トを従来の保持リングと交換するだけで図1に示される
ボビン保持装置と同一の効果を得ることができる。
【0036】保持リング4を図8に示されるような略矩
形状の環状突部4cの外周端部を円弧部4hと略同一の
円弧部4kが形成された形状にすると共に、スペーサ5
を保持リング4の円弧状の環状突部4bが当接するため
の円錐面5aが形成された側とは反対側の端面内径側
に、円錐面5aの傾斜角度(α)と略同一の角度(β)
でもって内周側に向かって引っ込む円錐面5dが形成さ
れた形状にすると、円錐面5a、7a側との両方から、
スペーサ5全体およびキャップ7をホルダ本体2と同軸
心位置に保持する作用が働いてアンバランス量が軽減さ
れ振動の減少、高速度化に対処することができる。
【0037】本発明のボビン保持装置は図10、図1
1、図12に示されるような保持リング4の外周部に幅
寸法が(L7 )、谷径寸法が(D5 )の断面がU字状の
溝4nを環状突部4cの肉部寸法(L2 )位置から間隔
寸法(L6 )を経た位置に形成せしめ、該溝4nに断面
形状が円形で直径寸法が(d1 )、環状の内径寸法が
(D6 )、硬度が60度〜90度(好ましくが70度)
のニトリルブチルゴム(NBR)製のOリング13を装
着せしめた構成にすることができる。該ニトリルブチル
ゴムに代えてシリコンゴム、フッ素ゴム等を使用するこ
ができる。
【0038】保持リング4の谷径寸法(D5 )とOリン
グ13の内径寸法(D6 )との関係は(D5 )/(D6
)が1.2〜1.3の関係になるように設定する。ま
た、間隔寸法(L6 )は保持リング4の剛性が保てる範
囲で可能な限り大きくするのが好ましい。最適寸法は3
〜4mmである。
【0039】保持リング4の外周部に環状突部4cの肉
部寸法(L2 )位置から間隔寸法(L6 )が3mmの位
置に内径寸法(D5 )が88mm、幅寸法(L7 )が
2.0mm、底部に半径1mmの円弧を有する溝4nを
形成し、該溝4nに直径寸法が(d1 )が1.8mm、
内径寸法(D6 )が70mm、のOリング13を装着し
てボビン30の保持動作(図13)、解除動作(保持リ
ング4に対する押圧力の作用、押圧力の除去動作)を繰
り返し行ったが、ボビン30の保持動作時にはOリング
13によって絶えず保持リング4に対して収縮力が作用
し、ボビン保持の解除と同時に保持リング4が元の形状
に戻るため、該保持リング4に永久歪みを生じることな
くボビンの保持、解除を確実に行うことができた。
【0040】
【発明の効果】本発明の巻取機のボビン保持装置は請求
項1に記載のように保持リングを、一方の側面における
外周側部に軸心長手方向に突出する断面が円弧状の環状
突部が設けられ、他方の側面における内周側部に軸心長
手方向に突出する断面が略矩形状の環状突部が設けられ
ていると共に、両側面部に所定の幅と深さを有するスリ
ット溝が複数箇所両側のスリット溝同士が重なり合わな
いように所定の間隔を有するように設けられ、略矩形状
の環状突部が設けられた側面側における内周面が外側に
向かって大経化する円錐部が形成された形状にせしめ
前記スペーサには、前記保持リングの円弧状の環状突部
が当接できるように円錐面を形成せした形状の構成
しているため、保持リングに押圧力が作用すると保持リ
ングが複数本のボビンの内周面とホルダ本体の外周面を
均一に押圧するように変形し、押圧力が除去されると保
持リングが直ちに元の形状に戻ることができ、ボビンの
緊締、解除を確実に行うことができると共に保持リング
を簡単な形状にすることができ、分解組立作業中に破損
するのを防止することができる。
【0041】また、請求項2に記載のような保持リング
を、矩形状環状突部における外周側端部を円弧状に形
成せしめると共に、スペーサにおける保持リングの円弧
状の環状突部が当接できるための円錐面が形成された側
とは反対側の端面にも同様の円錐面を形成せしめた構成
にすると、スペーサおよびキャップをホルダ本体と同軸
心状に位置させようとする作用が働いてアンバランス量
が軽減され振動の減少、高速度化に対処することがで
き、請求項3に記載のような保持リングの外周部にU字
状の溝を形成し、前記溝にOリングを装着せしまた構成
にすると、保持リングに対する押圧力が除去された時に
Oリングによって該保持りングの外周部に収縮力が作用
して元の形状戻すことができ、保持リングに永久歪み
が生じるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の巻取機ボビン保持装置の構成の1実施
例を示す概略図である。
【図2】図1における保持リングの構成の1実施例を示
す概略断面図である。
【図3】図2におけるI−I矢視図である。
【図4】図1におけるスペーサの構成の1実施例を示す
概略断面図である。
【図5】図1における保持リング装着部の詳細を示す概
略拡大図である。
【図6】ボビン保持状態を示す概略拡大図である。
【図7】本発明の保持リングとスペーサを一つのユニッ
トとして従来の保持リングに代えて使用する場合の実施
例を示す概略断面図である。
【図8】本発明の保持リングとスペーサの他の実施例を
示す概略断面図である。
【図9】ボビンが挿入されずにボビン保持状態になった
場合の実施例を示す概略拡大図である。
【図10】本発明の保持リングの他の実施例を示す概略
断面図である。
【図11】図10における保持リングの詳細を示す概略
断面図である。
【図12】図10におけるOリングの詳細を示す概略斜
視図である。
【図13】図10の保持リングによるボビン保持状態を
示す概略拡大図である。
【符号の説明】
1 機枠 2 ホルダ本体 3 ベアリング 4、4-1、4-2、4-3、4-4 保持リング 5、5-1、5-2、5-3 スペーサ 6 作動手段 7 キャップ 8 軸体 9 ピストン 10 固定リング 11 ねじ 12 スプリング 13 Oリング 2a 圧空供給用孔 2b シリンダ部 2c、2d 鍔部 4a 孔 4b、4c 環状突部 4d、4e、4d-1、4d-2、4d-3、4d-4、4d-
5、4d-6、4e-1、4e-2、4e-3、4e-4、4e-
5、4e-6、4e-7、4e-8、4e-9、4e-10 、4e-
11 、4e-12 スリット溝 4f 円錐部 4g、4h、4k 円弧部 4n 溝 5a、5d、7a 円錐面 5b、7b 押圧規制用突部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B65H 54/547

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】機枠またはターレット部材に回転自在に支
    持されたホルダ本体の外周部に保持リングとスペーサを
    嵌挿せしめ、ホルダ本体の先端部に装着された作動手段
    によって前記保持リングとスペーサを押圧せしめて保持
    リングを直径方向に張り出させてボビンを保持する装置
    において、前記保持リングを、一方の側面における外周
    側部に軸心長手方向に突出する断面が円弧状の環状突部
    が設けられ、他方の側面における内周側部に軸心長手方
    向に突出する断面が略矩形状の環状突部が設けられてい
    ると共に、両側面部に所定の幅と深さを有するスリット
    溝が複数箇所両側のスリット溝同士が重なり合わないよ
    うに所定の間隔を有するように設けられ、略矩形状の環
    状突部が設けられた側面側における内周面が外側に向か
    って大径化する円錐部が形成された形状にせしめ、前記
    スペーサには、前記保持リングの円弧状の環状突部が当
    できるように円錐面を形成せしめたことを特徴とする
    巻取機のボビン保持装置。
  2. 【請求項2】保持リングを、略矩形状の環状突部におけ
    る外周側端部を円弧状に形成せしめると共に、スペーサ
    における保持リングの円弧状の環状突部が当接できる
    めの円錐面が形成された側とは反対側の端面にも同様
    円錐面を形成せしめたことを特徴とする請求項1に記載
    の巻取機のボビン保持装置。
  3. 【請求項3】保持リングの外周部にU字状の溝を形成
    し、前記溝にOリングを装着せしめたことを特徴とする
    請求項1または請求項2に記載の巻取機のボビン保持装
    置。
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