JP3268453B1 - 多方向伸縮性編地およびその製造方法 - Google Patents

多方向伸縮性編地およびその製造方法

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JP3268453B1 JP2001130308A JP2001130308A JP3268453B1 JP 3268453 B1 JP3268453 B1 JP 3268453B1 JP 2001130308 A JP2001130308 A JP 2001130308A JP 2001130308 A JP2001130308 A JP 2001130308A JP 3268453 B1 JP3268453 B1 JP 3268453B1
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Abstract

【要約】 【課題】縦、横方向はもとより、斜め及び前後方向にも
伸びるいわゆる立体伸縮性の編物であって、特に縦方向
の伸びが横方向の伸びより倍以上伸びる編物にすること
によって、従来のように横方向に伸びて縦方向へ伸びが
少ないために生ずる身体の凸部のある特定部分を圧迫す
るということはなく、身体の各部全体に平均した圧力で
点接し、しかも、屈伸運動のような身体の変化に十分対
応できて、吸水性のある着心地の良い多方向伸縮性編地
(立体伸縮性編地)を得る。 【解決手段】天然繊維による40〜60番手の編糸と
し、撚数が1,600〜2,700回/Mによる右強撚
糸Sと、左強撚糸Zとを交互に用いて、針密度28〜3
8ゲージで編成した編地を、40°〜95°Cの平ロー
ル又は凹凸ロールで仮固定し、次いで水浴処理しするこ
とにより、水分を吸収した天然繊維は、その特性により
編目を自然に強力に収縮し、強撚状態に形状記憶して撚
り止めし固定されて多方向伸縮性編地とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、綿糸、麻、などの
植物繊維、又は、獣毛、絹などの動物繊維等の天然繊維
を用いた編糸で編成した、よこ編地又はたて編地等によ
る編地において、下着や上着、又はスポーツ用衣料とし
て、縦、横、斜め又は前後方向へ伸びるいわゆる多方向
伸縮性(立体伸縮性)に富んで着心地が良く、かつ、吸
水性など天然繊維の持つ機能を十分に発揮し得る編地及
びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種従来の下着や上着、又はスポーツ
用衣料などのよこメリヤス編物やたてメリヤス編物等で
多用される平編(天竺編)、ゴム編(フライス編)、両
面編(スムース編)、パール編、トリコット編等の編物
は、天然繊維、又は化学繊維、合成繊維を単独又はこれ
らの混紡糸を、普通600〜800回/M程度の甘い撚
りを掛けた30〜40番手程度の編糸を用い、前記糸の
種類及び糸番手によって異なるがせいぜい18〜26ゲ
ージ程度で編成することが普通に知られている(図
7)。
【0003】また、例えば実公昭62−29501号公
報に示されているように、S撚双糸とZ撚双糸とを少な
くとも1コース毎に交互に配して編成したよこ編地にお
いて、前記各双糸は撚係数2.5〜5.0の2本の紡績
糸を前記紡績糸の下撚方向とは反対方向に撚係数5.0
〜11.0にて上撚りし合糸されているよこ編地が知ら
れている。但し、この場合撚係数Kは、K=T∠√N
(T:撚数/吋、N:英式番手)で表されている。
【0004】また、特公平1−60573号公報に示さ
れているように、S方向の旋回性を有するトルクヤーン
とZ方向の旋回性を有するトルクヤーンとを各コース交
互に供給し編成してはいるが、編成する際にトルク撚数
がSとZとで100〜600T/M異なる撚数の差のS
とZとのトルクヤーン2種を使用して編成した編物も普
通に知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記普通に
知られたよこメリヤス編物やたてメリヤス編物などの編
地においては、編糸が600〜800回/M程度の甘撚
りで、糸の種類及び番手数によって異なるが、30〜4
0番手の編糸で、針密度がせいぜい18〜26ゲージ程
度であるため、縦横特に縦方向への十分な伸縮性はな
い。
【0006】また、前記実公昭62−29501号公報
に示された公知の編地においても、S撚双糸とZ撚双糸
とを少なくとも1コース毎に交互に配して編成したよこ
編地であって、そのS撚りZ撚り各編糸は何れも双糸で
ある。そして、この各双糸は撚係数2.5〜5.0の
2本の紡績糸を前記紡績糸の下撚方向とは反対方向に撚
係数5.0〜11.0の上撚りで合糸されたことを特徴
とする双糸からなる編糸であって、ウエール方向に引っ
張った時、“くの字”形状の編目が直線状になった分が
縦方向にのみ伸びる程度のもので、縦方向の伸びが横方
向の伸びに対してそれ以上伸びることについては何もな
い。
【0007】また、別の前記特公平1−60573号公
報に示された公知の編物においても、トルク撚数に10
0〜600T/M異なる差があるS方向の撚り糸とZ方
向の撚り糸とを交互に供給して編物の文様をなくして均
一化を図るものであって、縦及び横方向へ十分な伸縮性
はないなどの問題があった。
【0008】そのため、このような編地は、特に着用者
のサイズが太身の場合、横方向へ伸びて縦方向へ伸びな
く寸法が短く変形し、身体の屈伸などの繰り返しにより
下着(シャツ)の裾部が上がって開いてしまい、ズボン
やパンツとの間に腰肌や脇腹等が露出するという不体裁
を起こしたり、また、縦方向への伸びが少ないため身体
を圧迫するという問題があった。
【0009】また従来の下着や上着、又は、スポーツ用
衣料などには、天然繊維とゴム、又は、化学繊維及び合
成繊維を、単独又はこれらの混紡糸やフィラメントを用
いた編地であったので、吸水性に劣り、また静電気が帯
電し放電によるショックなどが、着用者に不快感を与え
るという問題があった。
【0010】本発明は、従来の技術のこのような問題点
に鑑みてなされたものであり、その目的とするところ
は、天然繊維のみで構成され、従来の強撚糸よりはるか
に撚数の高い撚り止めしていない右強撚糸と、左強撚糸
とを交互に用いて従来よりもさらに高いハイゲージで編
成され、かつ、編成された編地を平ロール等で仮固定し
た後、初めて水浴処理することによって、水分を吸収し
た天然繊維はその特性により自然に強力に収縮し、強撚
状態で形状記憶させ撚り止めして固定させるようにした
編地及びその製造方法を提供するものである。
【0011】これらの条件による相乗効果で、縦、横方
向はもとより、斜め及び前後方向にも伸びるいわゆる多
方向伸縮性(立体伸縮性)の編地であって、特に縦方向
の伸びが横方向の伸びと同等以上伸びる編地にすること
によって、従来のように横方向に伸びて縦方向へ伸びが
少ないため、身体の屈伸などの繰り返しにより下着(シ
ャツ)の裾部が上がって開いてしまい、ズボンやパンツ
との間に腰肌や脇腹等が露出するという不体裁や、ま
た、身体の凸出する特定部分を圧迫するということはな
く、身体の各部全体に平均した圧力で点接し、しかも、
屈伸運動のような身体の変化に十分対応できて、吸水性
のある着心地の良い多方向伸縮性編地(立体伸縮性編
地)を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明における多方向伸縮性(立体伸縮性)の編地
は、天然繊維からなる単糸を、共に1,600〜2,7
00回/Mによる右強撚糸と左強撚糸とし、この両強燃
糸を1コース毎又は2〜3コース毎交互に用いて、28
〜38ゲージのハイゲージで編成した編地を、加熱した
平ロール又は凹凸ロールでロール掛けし、次いで 水浴
処理によって編目のループを形状記憶させ固定する多方
向伸縮性よこ編地の製造方法を特徴とすることである。
【0013】また、本発明における多方向伸縮性(立体
伸縮性)の編地は、天然繊維からなる単糸を、共に1,
600〜2,700回/Mによる右強撚糸と左強撚糸と
し、この両強燃糸を1コース毎又は2〜3コース毎交互
に用いて、28〜38ゲージのハイゲージで編成された
編地が、加熱した平ロール又は凹凸ロールでロール掛け
され、かつ、水浴処理によって編目のループが形状記憶
され固定され、これらの条件による相乗効果で、縦、横
方向はもとより、斜め及び前後方向に伸縮するよこ編地
としたことを特徴とするものである。
【0014】また、本発明における多方向伸縮性(立体
伸縮性)の編地は、天然繊維からなる単糸を、共に1,
600〜2,700回/Mによる右強撚糸と左強撚糸と
し、この両強撚糸を1ウエール毎又は2〜3ウエール毎
交互に用いて、28〜38ゲージのハイゲージで編成し
た編地を、加熱した平ロール又は凹凸ロールでロール掛
けし、次いで、水浴処理によって編目のループを形状記
憶させ固定する多方向伸縮性たて編地の製造方法を特徴
とすることである。
【0015】また、本発明における多方向伸縮性(立体
伸縮性)の編地は、天然繊維からなる単糸を、共に1,
600〜2,700回/Mによる右強撚糸と左強撚糸と
し、この両強撚糸を1ウエール毎は2〜3ウエール毎
交互に用いて、28〜38ゲージのハイゲージで編成さ
れた編地が、加熱した平ロール又は凹凸ロールでロール
掛けされ、かつ、水浴処理によって編目のループが形状
記憶さ固定され、これらの条件による相乗効果で、
縦、横方向はもとより、斜め及び前後方向に伸縮する
方向伸縮性たて編地としたことを特徴とするものであ
る。
【0016】
【0017】
【発明の実施の形態】図1ないし図6は本発明の一実施
例に係わるものであり、図1はよこ平編地の表側平面
図、図2はその裏側平面図、図3は図1の第2コースに
おける左強撚糸の拡大図、図4は図2の編地を縦方向へ
引っ張り張力を与えた裏側平面図、図5はその横方向へ
引っ張り張力を与えた裏側平面図、図6はたて平編地の
裏側平面図である。
【0018】本発明における多方向伸縮性編地は、天然
繊維100%からなる編糸を40〜60番手とし、撚数
を共に1,600〜2,700回/Mによる左右各強撚
糸を撚り止めせずそのまま交互に用いて、テンションを
掛けつつ針密度28〜38ゲージで編成した編地を、4
0°〜95°Cの平ロール又は凹凸ロールで仮固定し、
次いで初めて水浴による処理によって水分を吸収した天
然繊維はその特性により編目を自然に強力に収縮し、強
撚状態で形状記憶させ撚り止めして固定することであ
る。
【0019】以下図1および2において、第1コースC
1の右強撚糸Sの編目1は左向きに、第2コースC2の
左強撚糸Zの編目2は右向きに、第3コースC3の右強
撚糸Sの編目3は左向きで、編糸が強撚のため各編目は
ウエールW1方向にジクザク状態に形成されていて、左
右の各強撚糸を1コース毎交互にテンションを掛けつつ
給糸して編成し、平ロール又は凹凸ロールにより編目を
仮固定し、次いで、初めて水浴処理して収縮させ形状記
憶させて撚り止めし固定した本発明の編地である。
【0020】前記本発明の図1及び図2における第2コ
ースC2の左強撚糸Zについて詳しく説明すると、先ず
前記左強撚糸Zの編目2は、ニードルループA2と、シ
ンカーループB1と、この両ループの中間にあって直線
状の中間部分Dとの3区部分とから構成されていること
である(ウエールW3参照)。この際、前記中間部分D
の長さは、図3に示すように両ループA2,B1よりも
長く構成されるようになっている。
【0021】そして、ウエールW1において第2コース
C2における左強撚糸Zは、一方のシンカーループB1
において第1コースC1の右強撚糸Sのニードルループ
A1と掛合し、また、他方のニードルループA2におい
て第3コースC3の右強撚糸SのシンカーループB2と
掛合しており、これをウエールW2及びW3へと繰り返
している。
【0022】この編地において、第2コースC2におけ
る左強撚糸Zの編目2におけるこれらの前記掛合部は、
ニードルループA2において第3コースの右強撚糸Sの
両シンカーループB2と接結点a−b部分で掛合し,シ
ンカーループB1において第1コースの右強撚糸Sの両
ニードルループA1と接結点c−d部分で掛合してい
る。
【0023】前記第2コースC2における左強撚糸Zの
編目2について図3によりさらに説明すると、シンカー
ループB1は第1コースのニードルループA1と掛合さ
れたシンカーループB1を形成しているため、40〜9
5°C程度の平ロール又は凹凸ロールにより仮固定され
たループは、水浴処理により初めて水を含んだ時に、緊
張していたループが収縮して自然体に戻るため、湾曲し
たループの外側10は、矢印方向へ引っ張られテンショ
ンが大きくかかり、強撚糸Zの撚りが拡開して撚り密度
が低くなる。また、反対にループの内側20は、矢印方
向へ圧縮されてテンションは負になるので、強撚糸Zの
撚りが寄集まって密度が高くなる。したがって、ループ
における撚りの密度は外側10より内側20に偏り湾曲
した状態に完全に形状記憶され撚り止めし固定化され
る。
【0024】また、ニードルループA2の場合も前記と
同じように、水浴処理等により第3コースC3のシンカ
ーループB2と掛合されたループの外側10はループが
拡開し、内側20はループが圧縮して湾曲し、形状記憶
され固定されたループになる。
【0025】そして前記シンカーループB1と、ニード
ルループA2との中間にあって前記両ループの各長さよ
り長い直線状の中間部分Dは、強撚された状態で撚りが
平均化され前記と同じように水浴処理等によって形状記
憶され撚り止めし固定される。
【0026】また、たてメリヤスの場合の平編みである
トリコット編地においても、図6に示すように、右強撚
糸Sと左強撚糸Zとをウエール方向に交互に供給し、ウ
エールW1における第2コースC2の編目2のニードル
ループA2及びシンカーループB1と、この両ループの
中間部Dからなる編目である。
【0027】そして、このたてメリヤス編地の場合も、
前記よこメリヤス編地と同じように、40°〜95°C
程度の平ロール又は凹凸ロールにより仮固定さた両ルー
プA2、B1及び中間部分Dは、水浴処理により形状記
憶され撚り止めし固定される。
【0028】以上の実施例においては、よこメリヤス編
地において、左右各強撚糸を1コース毎交互に編成した
編地について説明したが、2コース〜3コースの場合で
編成しても良い。
【0029】また、たてメリヤス編地の場合も、左右各
強撚糸を1ウエール毎交互に通し孔(ガイド)に糸通し
してテンションを掛けつつ編成する他に、2ウエール〜
3ウエール毎交互に糸通しし編成してもよい。
【0030】また、前記よこメリヤス編地の平編地(天
竺編地)及びたてメリヤス編地のトリコット編地につい
て記載したが、本発明はこの他各種編み機、即ちよこメ
リヤス編機における円形編機のシングル編機及びダブル
編機により、給糸口を1個毎又は2〜3個毎交互に配置
し、これらの給糸口に左右強撚糸を交互にテンションを
掛けつつ給糸し28〜38ゲージの針密度で編成し、平
編地(天竺編地)やゴム編地(フライス編地)及び両面
編地(スムース編地)やタック編地、更にパール編地等
の基本組織編地及び応用編地を編成する。同じく平型編
機のシングル編機及びダブル編機も給糸口を交換して前
記同様に編成する。
【0031】また、よこメリヤス編機のダブル編機で
は、左右強撚糸を交互に用いなく、同方向の強撚糸だけ
でも多方向伸縮性編地を提供出きることが分かった。
【0032】また、たてメリヤス編機における平型編機
のトリコット編機、ラッシェル編機により、フロント
筬、バック筬、ミードル筬、また、円型編機のミラニー
ズ編機により、上層用と下層用の筬等、これらの筬にお
ける28〜38ゲージの通し孔(ガイド)の1本置き又
は2〜3本置き毎に左右強撚糸を交互に通してテンショ
ンを掛けつつ編成し、1ウエール毎又は2〜3ウエール
毎のトリコット編地、2重トリコット編地、アトラス編
地等の基本組織及び応用編地を編成する。
【0033】これらの各種編機による編み方及び編地
は、それぞれの機種において従来の編成方法及び編地と
同じであるので、具体的な説明は省略する。
【0034】以上の記載から分かるように、本発明の多
方向伸縮性編地は、左右強撚糸とその糸使いにより、こ
れらの各種編機により編成された各種編地における編目
が、ニードルループと中間部分とシンカーループとから
成り、この両ループが相対する隣のニードルループとシ
ンカーループとに掛合し、かつ、前記中間部分の長さ
が、この両ループの各長さより少なくとも長いことを条
件としている編目を有する編地であれば、前記各種全て
の編地は本発明の編地に該当するもである。
【0035】このようにして編まれた各編地は、前記の
ように40°〜95°Cの平ロール又は凹凸ロールによ
り仮固定し、次いで、初めての水浴による処理をするこ
とによって水分を吸収して強力に収縮し、編目は自然状
態に形状記憶され撚り止めし固定される。
【0036】以上のような構成からなる編地であるの
で、前記本発明による編地の一例としてのよこメリヤス
編の平編地を図1ないしを参考にしてさらに説明す
と、ウエール方向の縦方向へ引っ張り張力Pを掛けた場
合、編目を形成している強撚糸の撚りが戻ろうとしてト
ルクが働くが、28〜38ゲージというハイゲージから
なる編糸の密度であるため、この密度のある範囲内で隣
の強撚糸同士が圧接し、かつ、互いに逆方向の強撚糸に
よる撚り溝同士が、互いに歯車の歯のように噛み合うた
め摩擦抵抗が高くなり、その上、毛羽などの摩擦によっ
てトルクが打ち消し合い固定され、編地が捩れて斜向及
び耳まくれするようなことはない。したがって平坦な編
地に仕上げることができる。この点が本発明の最も重要
な点である。
【0037】また、前記のように右強撚糸Sと左強撚糸
Zとを共に交互に用いてハイゲージで編成したので、そ
の一つの編目2におけるニードルループA2とシンカー
ループB1のそれぞれのループが、両隣りのコースC3
とC1における編目3と1のループとそれぞれ掛合する
接結部分a−b及びc−dで湾曲し、その湾曲した内側
20に強撚の撚数が偏って密接し合い、密接し合った撚
りの溝が前記と同様互いに歯車の歯のように噛み合うた
め、編地を縦方向に張力Pを掛けると、湾曲したループ
の形状は変形しにくいが、両ループの中間部分Dは他の
隣の編み目と掛合又は接触しないので、図4に示すよう
に平均化された強い撚りが螺旋状バネのように物理的に
十分伸縮ができる。
【0038】この点が従来ではなかった本発明の最も特
徴とするところである。また、これに加え、前記左右強
撚糸を交互に編成したことによるジクザク状の編目1,
2,3がウエール方向へほぼ直線状になった分がさらに
少し伸びるので、縦方向の伸びは横方向への伸縮より同
等以上ないし2倍近くも伸縮できた。
【0039】また、編地を横方向へ張力Pを掛けた場
合、図5に示すように第2コースC2の編目2のループ
A2及びB1は、多少開いて変形し前記接結部分の一部
の強撚部分が伸びるため、従来の編地よりは横方向に伸
縮できた。しかし、ハイゲージによる編目の密度によっ
て横方向へ物理的に伸びる余裕が少ないので、縦方向へ
の伸縮程ではなかった。
【0040】また、たてメリヤス編地(図6)の場合
も、前記よこメリヤス編地と同じようにニードルループ
A2とシンカーループB1の各ループの長さより、この
両ループの中間部Dの長さの方が長いので、従来ではあ
り得なかった縦方向への伸縮が横方向の伸縮に対し同等
以上伸縮した。また、横方向への伸縮は、従来の編地よ
りは横方向に伸縮できたが、縦方向への伸縮程ではなか
った。
【0041】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているので、以下に記載されるような効果を奏する。
求項1に記載の発明によれば、天然繊維からなる単糸
を、共に1,600〜2,700回/Mによる右強撚糸
と左強撚糸とし、この両強燃糸を1コース毎又は2〜3
コース毎交互に用いて、28〜38ゲージのハイゲージ
で編成した編地を、加熱した平ロール又は凹凸ロールで
ロール掛けし、次いで、水浴処理によって編目のループ
を形状記憶させ固定することを特徴とする多方向伸縮性
よこ編地の製造方法にしたので、前記従来の強撚糸よ
りはるかに撚数の高い右強撚糸と、左強撚糸とを交互に
用いて、しかも従来よりも更に高いハイゲージによる編
成時において、編み糸自 体の異常や給糸中及び編成にお
ける張力斑などの異常などによる編地及びその 各編目の
歪を、ある程度加熱した平ロール又は凹凸ロールを掛け
ることにより 歪をなくして仮固定することができる。
その上で、さらに編地を初めて水浴処理することによ
り、強撚された天然繊維 の特性による編糸が水分を吸収
して強力に収縮し、撚りが物理的に自然に湾曲 したルー
プの内側中央部へ偏って形状記憶し、また、両ループの
中間部分が螺 旋バネのように形状記憶しして撚り止めし
固定することができる。 したがって、従来ではあり得
なかった縦方向の伸びが、横方向の伸びに対し同等以上
2倍近く伸縮することが可能になり、かつ、横方向への
伸縮は勿論、斜め及び前後方向にも伸びる多方向伸縮性
よこ編地を製造することができた。
【0042】また、請求項2に記載の発明によれば、天
然繊維からなる単糸を、共に1,600〜2,700回
/Mによる右強撚糸と左強撚糸とし、この両強撚糸を1
コース毎又は2〜3コース毎交互に用いて、28〜38
ゲージのハイゲージで編成された編地が、加熱した平ロ
ール又は凹凸ロールでロール掛けされ、かつ、水浴処理
によって編目のループが形状記憶され固定された多方向
伸縮性よこ編地としたので、縦方向の伸びが横方向の
伸びに対し同等以上2倍近く伸縮することが可能であ
る。 そのため、下着や上着、又はスポーツ用衣料及び
その他の衣料の着用にあたって、従来のように横方向に
伸びて縦方向へ伸びが少ないために生ずる身体の凸出す
る特定部分を圧迫するということはない。また縦方向
は勿論横方向にも従来よりも伸縮するので、凹凸のある
身体の各部全体に平均した自然な圧力で点接し、着用者
の皮膚の立体伸縮に対応でき、身体に大変良くフィット
する。
【0043】また、編み糸を天然繊維、即ち天然繊維を
100%にしたので、前記衣類特に肌着や下着及びスポ
ーツ用衣類として着用する際、吸水性が高いので着心地
がよい。
【0044】また、前記のように編み糸の太さを40〜
60番手のように細番手とし、左右の強撚糸の撚り数を
共に1,600〜2,700回/Mのように強撚糸に
し、かつ、針密度を28〜38ゲージのようにハイゲー
ジにしたこれらの条件により、編成された編地におい
て、糸が細い上に強撚により更に細くしかも密度の高い
編地であるため、前記衣類に高級感を与えることができ
る。また、編地にシャリ味ができ、肌に点接触するので
極めて爽やかな着心地を得ることができる。
【0045】また、天然繊維を使用したため、衣類の使
用後も再利用が可能であるし、また、焼却しても有害物
質がでないよう、環境問題にも十分考慮した編物であ
る。
【0046】
【0047】また、縦方向の伸びが横方向の伸びに対し
同等以上2倍近く伸縮するので、屈伸運動用として着用
することが多い上着や下着又はスポーツ用衣料のような
衣類において、身体の変化、特に大きく前屈したり横曲
げなどした場合に、下着(シャツ)の裾部にかけて縦方
向に十分に伸びるので対応でき、従来のように縦方向に
伸びが少ないために、身体の屈伸などの繰り返しにより
下着(シャツ)の裾部が上がってズボンやパンツとの間
に、腰肌や脇腹等が露出するという不体裁は全くなくな
って、着心地の良い立体伸縮性編物を得ることができ
た。
【0048】そして、右強撚糸と左強撚糸とを1コース
毎或いは2コース〜3コース毎に編成したので、左右強
撚糸のトルクの打ち消しにより、斜向や耳まくれのない
安定したよこメリヤス編地ができる。
【0049】また、請求項に記載の発明によれば、
然繊維からなる単糸を、共に1,600〜2,700回
/Mによる右強撚糸と左強撚糸とし、この両強撚糸を
ウエール毎は2〜3ウエール毎交互に用いて、28〜
38ゲージのハイゲージで編成した編地を、加熱した平
ロール又は凹凸ロールでロール掛けし、次いで、水浴処
理によって編目のループを形状記憶させ固定することを
特徴とする多方向伸縮性たて編地の製造方法にしたの
で、前記従来の強撚糸よりはるかに撚数の高い右強撚
糸と、左強撚糸とを交互に用 いて、しかも従来よりも更
に高いハイゲージによる編成時において、編み糸自 体の
異常や給糸中及び編成における張力斑などの異常などに
よる編地及びその 各編目の歪を、ある程度加熱した平ロ
ール又は凹凸ロールを掛けることにより 歪をなくして仮
固定することができる。 その上で、さらに編地を初め
て水浴処理することにより、強撚された天然繊維 の特性
による編糸が水分を吸収して強力に収縮し、撚りが物理
的に自然に湾曲 したループの内側中央部へ偏って形状記
憶し、また 両ループの中間部分が螺 旋バネのように形
状記憶して撚り止めし固定することができる。 したが
って、従来ではあり得なかった縦方向の伸びが、横方向
の伸びに対し同 等以上2倍近く伸縮することが可能にな
り、かつ、横方向への伸縮は勿論、斜 め及び前後方向に
も伸びる多方向伸縮性たて編地を造することができる。
そして、右強撚糸と左強撚糸とを1ウエール毎或いは
2ウエール〜3ウエール毎に編成したので、左右強撚糸
のトルクの打ち消しにより、斜向や耳まくれのない安定
したたてメリヤス編地ができる。
【0050】また、請求項に記載の発明によれば、
然繊維からなる単糸を、共に1,600〜2,700回
/Mによる右強撚糸と左強撚糸とし、この両強撚糸を1
ウエール毎又は2〜3ウエール毎交互に用いて、28〜
38ゲージのハイゲージで編成された編地が、加熱した
平ロール又は凹凸ロールでロール掛けされ、かつ、水浴
処理によって編目のループが形状記憶され固定されたこ
とを特徴とする多方向伸縮性たて編地にしたので、縦
方向の伸びが横方向の伸びに対し同等以上2倍近く伸縮
することが可能であ る。 そのため、下着や上着、又は
スポーツ用衣料及びその他の衣料の着用にあたっ て、従
来のように横方向に伸びて縦方向へ伸びが少ないために
生ずる身体の凸 出する特定部分を圧迫するということは
ない。 また縦方向は勿論横方向にも従来よりも伸縮す
るので、凹凸のある身体の各部 全体に平均した自然な圧
力で点接し、着用者の皮膚の立体伸縮に対応でき、身
に大変良くフィットする。
【0051】そのため、屈伸運動用として着用すること
が多い上着や下着又はスポーツ用衣料のような衣類にお
いて、身体の変化、特に大きく前屈したり横曲げなどし
た場合に、下着(シャツ)の裾部にかけて縦方向に十分
に伸びるので対応でき、従来のように縦方向に伸びが少
ないために、身体の屈伸などの繰り返しにより下着(シ
ャツ)の裾部が上がってズボンやパンツとの間に、腰肌
や脇腹等が露出するという不体裁は全くなくなって、着
心地の良い立体伸縮性編物を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施例に係わるよこ平編地
の表側平面図である。
【図2】図2は、その裏側平面図である
【図3】図3は、図1における第2コースの左強撚糸の
拡大図である。
【図4】図4は、図2において縦方向へ引っ張り張力を
与えた平面図である。
【図5】図5は、その横方向へ引っ張り張力を与えた裏
側平面図である。
【図6】図6は、たて平編地の裏側平面図である。
【図7】図7は、従来のよこ平編地の裏側平面図であ
る。
【符号の説明】
1,2,3 編目 A1,A2,A3 ニードルループ B1,B2 シンカーループ C1,C2,C3 コース D 中間部分 S 右強撚糸 W1,W2,W3 ウエール Z 左強撚糸 10 ループの内側 20 ループの外側 a,b,c,d 接結点
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D04B 1/14 D04B 1/24 D04B 21/00 D06C 7/02

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】天然繊維からなる単糸を、共に1,600
    〜2,700回/Mによる右強撚糸左強撚糸とし、こ
    の両強撚糸を1コース毎又は2〜3コース毎交互に用い
    、28〜38ゲージのハイゲージで編成した編地を、
    加熱した平ロール又は凹凸ロールでロール掛けし、次い
    で、水浴処理によって編目のループを形状記憶させ固定
    することを特徴とする多方向伸縮性よこ編地の製造方
    法。
  2. 【請求項2】天然繊維からなる単糸を、共に1,600
    〜2,700回/Mによる右強撚糸と左強撚糸とし、こ
    の両強撚糸を1コース毎又は2〜3コース毎交互に用い
    て、28〜38ゲージのハイゲージで編成された編地
    が、加熱した平ロール又は凹凸ロールでロール掛けさ
    れ、かつ、水浴処理によって編目のループが形状記憶さ
    せ固定されたことを特徴とする多方向伸縮性よこ編地。
  3. 【請求項3】天然繊維からなる単糸を、共に1,600
    〜2,700回/Mによる右強撚糸と左強撚糸とし、こ
    の両強撚糸を1ウエール毎又は2〜3ウエール毎交互に
    用いて、28〜38ゲージのハイゲージで編成した編地
    を、加熱した平ロール又は凹凸ロールでロール掛けし、
    次いで、水浴処理によって編目のループを形状記憶させ
    固定することを特徴とする多方向伸縮性たて編地の製造
    方法。
  4. 【請求項4】天然繊維からなる単糸を、共に1,600
    〜2,700回/Mによる右強撚糸と左強撚糸とし、こ
    の両強撚糸を1ウエール毎は2〜3ウエール毎交互に
    用いて、28〜38ゲージのハイゲージで編成された編
    地が、加熱した平ロール又は凹凸ロールでロール掛けさ
    れ、かつ、水浴処理によって編目のループが形状記憶さ
    固定されたことを特徴とする多方向伸縮性たて編地。
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