JP3267924B2 - 軽合金射出成形機用のスクリュ - Google Patents

軽合金射出成形機用のスクリュ

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JP3267924B2 JP08819498A JP8819498A JP3267924B2 JP 3267924 B2 JP3267924 B2 JP 3267924B2 JP 08819498 A JP08819498 A JP 08819498A JP 8819498 A JP8819498 A JP 8819498A JP 3267924 B2 JP3267924 B2 JP 3267924B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軽合金材料の射出
成形に用いられる軽合金射出成形機における軽合金射出
成形機用のスクリュに関するものである。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、
錫、ビスマス等のうち少なくとも一つを含む軽合金材料
の成形に用いられる従来の軽合金射出成形機の一例につ
いて説明する。
【0003】図5に示すように、この軽合金射出成形機
は、加熱手段107によって加熱されるシリンダ101
と、シリンダ101内に回転自在および軸方向へ進退自
在に配設されたスクリュ102と、スクリュ102を回
転および軸方向へ進退させるための図示しないスクリュ
駆動手段を備え、スクリュ102の先端部に一体的に設
けられた押金106とスクリュヘッド104との間に逆
流防止リング105を配設することにより、スクリュ1
02を前進させて溶融軽合金材料を金型109のキャビ
ティ109aに射出・保圧する際に、逆流防止リング1
05が後退して押金106に当接することによって溶融
軽合金材料が逆流することを阻止できるように構成され
ている。
【0004】なお、スクリュ102は、形状的には後方
側から前方側にかけて順次供給部F0 、圧縮部C0 、計
量部M0 の3種類のゾーンを備えている。
【0005】供給部F0 は供給口108より供給された
軽合金材料を前方へ移送させながら予熱し、圧縮部C0
へ送り込む役割を担うゾーンであって、スクリュ溝は他
のゾーンよりも深くなっている。
【0006】圧縮部C0 は、軽合金材料に剪断作用を与
えつつ加熱手段107による加熱によって軽合金材料を
半溶融状態にさせ、計量部M0 へ移送する役割を担うゾ
ーンであって、そのスクリュ溝は、前方側に向かって深
さが減少している。
【0007】計量部M0 は、半溶融状態の軽合金材料を
混練して均質にし、シリンダ101の計量室110へ移
送する役割を担うゾーンであって、そのスクリュ溝の深
さは他のゾーンよりも浅くなっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の技術では、
軽合金の溶融粘度が低いため、射出・保圧する際に逆流
防止リングの外周面とシリンダ内径面との間の間隙を通
して半溶融状態の軽合金材料が逆流することが避けられ
ず、この逆流がはなはだしい場合は供給部の後半にまで
逆戻りする。ところで、供給部や圧縮部におけるシリン
ダおよびスクリュの温度は逆流した半溶融状態の軽合金
材料の温度よりも低温であるため、逆戻りした半溶融状
態の軽合金材料は冷却・固化されてスクリュ溝に付着
し、時間の経過とともに少しずつ堆積して行き、スクリ
ュ溝の実質的な深さが堆積物のために浅くなってしま
う。その結果、未溶融のチップ状の軽合金材料の通過が
妨げられて移送量が不安定になり、ひいては計量不安定
・計量不能等のトラブルが発生するという問題点があっ
た。
【0009】本発明は、上記従来の技術の有する問題点
に鑑みてなされたものであって、射出・保圧する際に発
生する半溶融状態の軽合金材料の供給部への逆流を防止
することができる軽合金射出成形機用のスクリュを実現
することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の軽合金射出成形機用のスクリュは、後方側
から前方側にかけて、順次供給部、圧縮部、計量部を備
え、前記圧縮部の前方側には、前記計量部および前記圧
縮部におけるスクリュ溝よりもスクリュ溝の深さが深く
なった深溝部が設けられており、しかも、前記供給部の
スクリュ溝の深さは前記圧縮部、前記計量部および前記
深溝部のいずれのスクリュ溝の深さよりも深く、前記圧
縮部のスクリュ溝の深さは先端側に行くにしたがって減
少し、前記計量部のスクリュ溝の深さは前記圧縮部およ
び前記深溝部のいずれのスクリュ溝の深さよりも浅くな
っていることを特徴とするものである。
【0011】また、深溝部を、計量部と圧縮部との間に
設けたり、深溝部を、計量部内に設ける。
【0012】さらに、深溝部を、計量部における2箇所
以上の部位に設けたり、各深溝部が、スクリュ溝の深さ
が異なるものにする。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面に基づ
いて説明する。
【0014】図1は、第1の実施の形態による軽合金射
出成形機用スクリュを用いた軽合金射出成形機の一例を
示す説明図である。
【0015】この軽合金射出成形機は、バンドヒータ等
の加熱手段7によって加熱されるシリンダ1と、シリン
ダ1内に回転自在かつ軸方向へ進退自在に配設された後
述するスクリュ2と、スクリュ2を回転かつ進退させる
ためのスクリュ駆動手段8と、シリンダ1の先端に取り
付けられたノズル3を有するシリンダヘッド1aと、シ
リンダ1の後端側に配設された容積式フィーダ等からな
る供給手段10を有するホッパ9と、スクリュ2の先端
に一体的に設けられた押金6とスクリュヘッド4との間
に進退自在に配設された逆流防止リング5を備えてい
る。
【0016】スクリュ2は、図2に示すように、後方側
から前方側にかけて、順次供給部F、圧縮部C、深溝部
A、計量部Mが設けられている。
【0017】供給部Fは、ホッパ9より供給手段10を
介して供給された軽合金材料を前方へ移送させながら予
熱し、圧縮部Cへ送り込む役割を担うゾーンであり、そ
のスクリュ溝の深さは、圧縮部C、計量部Mおよび深溝
部Aのいずれのスクリュ溝よりも深くなっている。
【0018】圧縮部Cは、軽合金材料に剪断作用を与え
つつ加熱手段7による加熱によって軽合金材料を半溶融
状態にさせ、深溝部Aを経て計量部Mへ送り込む役割を
担うゾーンであり、そのスクリュ溝は先端側に行くにし
たがってその深さが減少している。
【0019】深溝部Aは、後述する射出・保圧時に発生
する半溶融状態の軽合金材料の逆流を防止しつつ、計量
部Mへ半溶融状態の軽合金材料を移送する役割を担うゾ
ーンであり、そのスクリュ溝の深さは、計量部Mおよび
圧縮部Cにおけるスクリュ溝の深さよりも深くなってい
る。
【0020】計量部Mは、半溶融状態の軽合金材料を混
練して均質にし、シリンダヘッド1a側の計量室12へ
移送する役割を担うゾーンであって、そのスクリュ溝の
深さは、圧縮部Cおよび深溝部Aのいずれのスクリュ溝
の深さよりも浅くなっている。
【0021】なお、深溝部Aと計量部Mとの間は、スク
リュ溝に段差が生じないように、スクリュ溝の深さが深
溝部Aから計量部Mに向かって徐々に浅くなっている。
【0022】次に、本発明に係る軽合金射出成形機用の
スクリュの機能について、図1に示した軽合金射出成形
機に用いた場合を例に挙げて説明する。
【0023】 ホッパ9やシリンダ1等における軽合
金材料の酸化防止が必要な箇所を不活性ガスの雰囲気に
し、加熱手段7によりシリンダ1を所定の温度に加熱す
る。そして、ホッパ9より供給手段10を介して軽合金
材料をシリンダ1の供給口1bへ供給する。
【0024】 上記によりシリンダ1内に供給され
た軽合金材料は、供給部Fによって圧縮部Cへ移送され
る間に予熱されたのち、圧縮部Cによってスクリュ2の
回転による剪断発熱と加熱手段7から与えられる熱量と
によって半溶融状態となる。
【0025】ここで半溶融状態とは、固体状態の固相と
液体状態の液相とが共存している状態である。
【0026】 上記により半溶融状態になった軽合
金材料は、深溝部Aを経て計量部Mへ移送され、計量部
Mにおいて混練されて均質化されたのち、その圧力によ
って逆流防止リング5を前進させて押金6から離間させ
て流路を開き、計量室12へ移送される。
【0027】 計量室12内に蓄積される半溶融状態
の軽合金材料が増加するにしたがい、その圧力によって
スクリュ2が後退し、予め設定された後退位置で停止
し、計量室12に所定量の半溶融状態の軽合金材料を蓄
積させるいわゆる計量工程が完了する。
【0028】なお、スクリュ2の後退はスクリュ駆動手
段8によって強制的に後退させてもよい。
【0029】上述した計量工程完了後、スクリュ2を前
進させることにより、計量室12に蓄積された半溶融状
態の軽合金材料をノズル3を介して金型11のキャビテ
ィ11aへ充填する、射出・保圧工程を実行する。
【0030】この際に、逆流防止リング5が後退して押
金6に当接することによって半溶融状態の軽合金材料の
逆流防止がなされるが、逆流防止リング5の外周面とシ
リンダ1の内壁面との間の間隙を通して一部の半溶融状
態の軽合金材料が計量部M側へ逆流し、計量部Mを経て
深溝部Aに押し戻される。
【0031】ところで、図4に示すように、深溝部Aの
スクリュ溝2aの深さは深くなっており、計量部Mのス
クリュ溝や圧縮部Cのスクリュ溝2bの深さに比較して
容積が急激に増大しているため、計量部Mから深溝部A
に押し戻された半溶融状態の軽合金材料は、その圧力が
低下するとともに、深溝部Aのスクリュ溝2a内の半溶
融状態の軽合金材料とシリンダ1の内壁面との間に隙間
Sが発生する。このため、深溝部Aから圧縮部Cへフラ
イトの外周面とシリンダ1の内壁面との間の間隙を通し
て半溶融状態の軽合金材料が逆流する量が著しく低減さ
れる。
【0032】図3は、第2の実施の形態による軽合金射
出成形機用のスクリュを示し、本実施の形態によるスク
リュ20は、後方側から前方側にかけて、順次供給部
F、圧縮部C、計量部M、深溝部A,計量部Mを備えて
いる。
【0033】つまり、本実施の形態によるスクリュ20
は、深溝部Aを計量部M内に配設したものであって、圧
縮部(C)への逆流を少なくして安定した剪断を行ない
半溶融状態をより均質化する必要性のあるような種類の
軽合金材料の射出成形に適している。
【0034】本発明において、上述した各実施の形態に
よるスクリュに限らず、安定した剪断とより均質化を必
要とする軽合金材料に適したものにするため、深溝部A
を計量部M内の複数の部位に設けたものにすることがで
きる。
【0035】また、計量部M内の複数の部位に設けられ
た深溝部Aのそれぞれのスクリュ溝の深さを異なるもの
にすることもでき、この場合、より秀れた効果を得るこ
とができる。
【0036】
【発明の効果】本発明は、上述のとおり構成されている
ので、次に記載するような効果を奏する。
【0037】スクリュ2に、計量部および圧縮部のスク
リュ溝よりもスクリュ溝の深さが深くなった深溝部が圧
縮部の前方側に設けられているため、射出・保圧する際
に発生する計量室から逆流する半溶融状態の軽合金材料
が、前記深溝部においてせき止められ、圧縮部を経て供
給部側へ逆流する半溶融状態の軽合金材料の逆流量が著
しく低減される。その結果、上記従来例の如く、逆流し
た半溶融状態の軽合金材料が冷却固化してスクリュ溝に
付着堆積して実質的なスクリュ溝の深さが浅くなり、計
量不安定や計量不能が生じるというトラブルが発生する
おそれがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態による軽合金射出成形機用の
スクリュを用いた軽合金射出成形機の一例を示す説明図
である。
【図2】第1の実施の形態による軽合金射出成形機用の
スクリュの模式断面図である。
【図3】第2の実施の形態による軽合金射出成形機用の
スクリュの模式断面図である。
【図4】図2に示す軽合金射出成形機用のスクリュの機
能を示す説明図である。
【図5】従来の軽合金射出成形機の一例を示す説明図で
ある。
【符号の説明】
1 シリンダ 1a シリンダヘッド 1b 供給口 2,20 スクリュ 2a,2b スクリュ溝 3 ノズル 4 スクリュヘッド 5 逆流防止リング 6 押金 7 加熱手段 8 スクリュ駆動手段 9 ホッパ 10 供給手段 11 金型 11a キャビティ 12 計量室
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 17/20 B29C 45/52 B29C 45/60

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 後方側から前方側にかけて、順次供給
    部、圧縮部、計量部を備え、前記圧縮部の前方側には、
    前記計量部および前記圧縮部におけるスクリュ溝よりも
    スクリュ溝の深さが深くなった深溝部が設けられて
    り、しかも、前記供給部のスクリュ溝の深さは前記圧縮
    部、前記計量部および前記深溝部のいずれのスクリュ溝
    の深さよりも深く、前記圧縮部のスクリュ溝の深さは先
    端側に行くにしたがって減少し、前記計量部のスクリュ
    溝の深さは前記圧縮部および前記深溝部のいずれのスク
    リュ溝の深さよりも浅くなっていることを特徴とする軽
    合金射出成形機用のスクリュ。
  2. 【請求項2】 深溝部を、計量部と圧縮部との間に設け
    たことを特徴とする請求項1記載の軽合金射出成形機用
    のスクリュ。
  3. 【請求項3】 深溝部を、計量部内に設けたことを特徴
    とする請求項1記載の軽合金射出成形機用のスクリュ。
  4. 【請求項4】 深溝部を、計量部における2箇所以上の
    部位に設けたことを特徴とする請求項1記載の軽合金射
    出成形機用のスクリュ。
  5. 【請求項5】 各深溝部が、スクリュ溝の深さが異なる
    ことを特徴とする請求項4記載の軽合金射出成形機用の
    スクリュ。
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