JPH0577288A - 射出成形機の可塑化装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 可塑化計量時の有効スクリュ長の減少による
可塑化能力低下，射出樹脂温度の不均一を防止する。 【構成】 スクリュ後部域の計量部にあるフライトを除
去する。ここに短尺円筒状をしたプランジャリング１２
をスクリュ軸と同軸的，かつ，前後摺動可能に設けて，
可塑化計量時にプランジャリング１２を１〜数回前後進
させ，バレル１内で山積となった樹脂を前方へ強制的に
押圧する。こうして，可塑化能力の低下やスクリュヘッ
ド１６部前部に貯留される樹脂温度を均一化できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は射出成形機に係り，特に
可塑化状態の均一性，安定性を向上させる射出成形機の
可塑化装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図４および図５は従来例を示し，図４は
射出装置の断面図，図５は計量工程を示す断面図であ
る。図４において，先端部にノズル３を有し，外周部に
温度調節装置を有する円筒状のバレル１は，金型の材料
注入口にノズル３を臨ませうるようにして配設されてい
る。フィードホッパ１０からバレル１内に送り込まれた
樹脂はモータ５により回転駆動されるスクリュ２により
材料供給部より圧縮部へ移送され，圧縮部においてねじ
溝の溝深さが漸減するために徐々に圧縮作用を受ける。
この過程で前記スクリュフライト２０間の樹脂はヒータ
１１によるバレル１の内壁面からの熱伝達と，前記スク
リュ２の回転作用による樹脂自身，および，該樹脂とバ
レル１もしくは前記スクリュ２との間で生ずる摩擦熱
（剪断エネルギ）により，バレル１の内壁面に溶融した
メルトフィルムが形成され，さらに前記スクリュフライ
ト２０により掻集され，スクリュフライト２０にメルト
プールが形成される。

【０００３】このように可塑化が促進される過程におけ
るバレル１内の樹脂はメルトフィルム，メルトプールお
よび未だ溶融点に達していないソリッドベッドの３つの
部分から構成されている。これらがスクリュ２の回転に
伴い，さらに前方に移送される間に連続的なヒータ１１
からの加熱とスクリュ２による回転作用とで未溶融部分
（ソリッドベッド）を溶融部分（メルト）に変換し，前
記スクリュ２の計量部では未溶融部分がなく，かつ，均
質な溶融可塑化樹脂を得ようとするものである（図
５）。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが，射出成形機
は可塑化計量動作中にスクリュ２の回転により溶融樹脂
をスクリュヘッド１６部前部に排出，貯留しながらスク
リュ２は後退する。即ち，有効スクリュ長さ（ホッパ口
１０ａ中心からスクリュフライト先端部までの長さ）が
スクリュ２の後退とともに短くなる。したがって，同一
計量工程の樹脂であるにもかかわらず溶融過程に差が生
じ，前記スクリュヘッド１６部前部に貯留された樹脂の
温度は均一にならない。

【０００５】また，スクリュ２は一般的にホッパ１０下
より，供給部，圧縮部，計量部と３つの機能を果たす
様，スクリュ溝形状および寸法の異なる部分から構成さ
れている。前記スクリュ２の後退は供給部の有効長の減
少となるため，スクリュ圧縮部への搬送および送り込み
力の低下となり，この結果，可塑化能力の低下，不安定
可塑化（これはスクリュ後退速度が不安定となる）を引
き起こすという問題があった。

【０００６】

【課題を解決するための手段】このような問題点を解決
するために，本発明に係る射出成形機の可塑化装置は，
バレル内周面とスクリュの後部域にあってフライトを取
除いたスクリュ軸間で，短尺円筒形状を有したプランジ
ャリングを前記スクリュ軸と同軸的，かつ，前後摺動可
能に設けた構成にした。

【０００７】

【作用】可塑化計量時にスクリュヘッド部前部に樹脂を
貯留していくとスクリュは後退する。このときフィード
ホッパ口からバレル内へ樹脂が落下し，山積となった樹
脂をプランジャリングを適宜必要回数強制的に押圧して
前後進させてスクリュの材料供給部に樹脂を充填させ
る。このため，可塑化能力の低下やスクリュヘッド部前
部に貯留される樹脂温度を均一化できる。

【０００８】

【実施例】図１ないし図３は本発明に係る射出成形機の
可塑化装置の１実施例を示し，図１は可塑化装置の断面
図，図２は可塑化計量状態を示す説明図，図３は樹脂の
供給状態を示す説明図である。符号１はバレルであっ
て，先頭にノズル３を突出し，後部上面には材料投入ホ
ッパ１０を付設するものである。このバレル１は材料樹
脂を溶融したのち，ノズル３より射出して金型４のキャ
ビティに注入するもので，バレル１の外周にはこれを加
熱するバンドヒータ１１を巻回し，さらにこれにスクリ
ュ２を回転自在に内挿してある。スクリュ２は材料樹脂
を捏和しながら溶融する捏和機構と，溶融した樹脂を押
出す射出機構とを兼ねるもので，それ自身前進，回転，
後退するものである。

【０００９】符号６は射出シリンダであり，内部に前後
摺動自在に設けられたピストン６ａとピストンロッド６
ｂの後端側はブロック７に固着されている。一方，前記
したスクリュ２は後端部にスクリュフライトの刻設され
ていないスクリュ軸部８を介してモータ５に直結され回
動可能となっている。また，可塑化計量時にスクリュヘ
ッド１６部前部に貯留した樹脂圧によってスクリュ軸部
８ａが軸心方向に移動し，モータ５に対してスクリュ軸
部８ａの後退時の押圧力がかからないように２分割にて
使用されたキーパープレート２１が連結杆８の後端部に
係合してあり，押圧力を規制している。さらに，射出シ
リンダ６はスクリュ２の前後進方向の動きを生じさせる
ものである。なお，射出シリンダ６はピストン６ａを中
心に左側の加圧室６Ｌと右側の加圧室６Ｒに分けられ
る。

【００１０】本実施例では，図１に示すように全長にわ
たって連続したねじ山を設けたいわゆるフルフライト型
スクリュ（図４）（これは，ねじ溝の溝深さが樹脂供給
側から可塑化樹脂吐出側の方向に進むにつれて一定の材
料供給部，樹脂吐出側方向に進むにつれて漸減する圧縮
部，および一定の計量部からなる）のうち，材料供給部
のスクリュフライト２０を取除いた構成にしてある。こ
うしてスクリュ２はフライト２０を有したスクリュ軸部
８ａとフライト２０を取除いたスクリュ軸部８（以下連
結杆８という）から構成されている。

【００１１】また，スクリュ２の後部域でバレル１と連
結杆８間に短尺円筒形状を有したプランジャリング１２
が同軸的，かつ，前後摺動可能に設けられており，プラ
ンジャリング１２の前進限でフィードホッパ口１０ａを
塞ぎ，さらに，フライトを有したスクリュ部８ａの後退
限でフィードホッパ口１０ａを開口するように構成され
ている。一方，前記ブロック７の後端にはプランジャリ
ング用シリンダ１３が設置されており，内部に前後摺動
自在に設けられたピストン１３ａと，前記プランジャリ
ング１２の後端とにそれぞれプランジャリング用連結環
１３ｂが固着してある。前記プランジャリング用連結環
１３ｂは連結杆８と同軸的，かつ，連結杆８の外周面と
摺動自在に配設されている。ここで，射出シリンダ６と
同様にプランジャリング用シリンダ１３もピストン１３
ａを中心に左側の加圧室１３Ｌと右側の加圧室１３Ｒに
分けられる。ここで符号４は金型を示す。

【００１２】このように構成された射出成形機の可塑化
装置での動作は次のようになる。図２は可塑化計量状態
を示す。計量工程の前段階でスクリュ２は前進限近傍に
あり，まず，モータ５を駆動させるとスクリュ２は回動
を開始する。同時に，プランジャリング用シリンダ１３
の加圧室１３Ｒ側に圧油を導入してプランジャリング１
２を前進させてフィードホッパ口１０ａを閉止し加圧す
る。可塑化が進みスクリュヘッド１６部前部に樹脂を貯
留していくとスクリュ２は後退する。

【００１３】図３によって樹脂の供給状態を説明する。
フィードホッパ１０からバレル１内へ樹脂が落下する。
落下した樹脂は，フィードホッパ口１０ａの下部に堆積
するものの，従来からあったスクリュフライトがないた
め，山積となったままとなる（図３（１））。そこで，
プランジャリング用シリンダ１３の加圧室１３Ｒに圧油
を導入してプランジャリング１２を前進させ，フィード
ホッパ口１０ａ下部の山積樹脂を前方に押圧してバレル
１内周面と連結杆８間の空間部に充填するように行なう
（図３（２））。押圧後は，加圧室１３Ｌに圧油を導入
してプランジャリング１２を後退させる（図３
（３））。こうした動作を１〜数回行なってフィードホ
ッパ口１０ａの下部の樹脂の山積現象を防止しつつ，材
料供給部に樹脂を充填させる。

【００１４】

【発明の効果】以上説明したことからも明らかなよう
に，本発明においては，バレル内周面とスクリュの後部
域にあってフライトを取除いたスクリュ軸間で，短尺円
筒形状を有したプランジャリングを前記スクリュ軸と同
軸的，かつ，前後摺動可能に設けたことにより，可塑化
計量，スクリュ後退にともなう樹脂の送り込み力の低下
をプランジャリングの押圧力を作用させることで可塑化
能力を低下することなく安定化できる。さらに，スクリ
ュヘッド部前部に貯留される樹脂の温度も均一化するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る射出装置の断面図である。

【図２】本発明に係る可塑化状態を示す説明図である。

【図３】本発明に係る樹脂の供給状態を示す説明図であ
る。

【図４】従来の射出装置の断面図である。

【図５】従来の計量工程を示す断面図である。

【符号の説明】

１ バレル ２ スクリュ ３ ノズル ５ モータ ６ 射出シリンダ ８ 連結杆 １０ フィードホッパ １１ ヒータ １２ プランジャリング １３ プランジャリング用シリング １６ スクリュヘッド

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 バレル内周面とスクリュの後部域にあっ
   てフライトを取除いたスクリュ軸間で，短尺円筒形状を
   有したプランジャリングを前記スクリュ軸と同軸的，か
   つ，前後摺動可能に設けたことを特徴とする射出成形機
   の可塑化装置。