JP3267352B2 - 超伝導量子干渉型デバイス及びその製造方法 - Google Patents

超伝導量子干渉型デバイス及びその製造方法

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JP3267352B2 JP30487692A JP30487692A JP3267352B2 JP 3267352 B2 JP3267352 B2 JP 3267352B2 JP 30487692 A JP30487692 A JP 30487692A JP 30487692 A JP30487692 A JP 30487692A JP 3267352 B2 JP3267352 B2 JP 3267352B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は超伝導量子干渉型デバイ
ス(SQUID:Superconducting QuantumInterferenc
e Device)及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】超伝導量子干渉型デバイスはきわめて高
感度の磁気検出が可能で、その特徴を利用して磁化率測
定、核磁気共鳴信号の検出、脳磁波などの微弱な生体磁
気計測などに使用される。この超伝導量子干渉型デバイ
スはその製作にあたり数ナノメートルでバルク超伝導体
と同程度の臨界温度を示すきわめて良質の超伝導薄膜を
つくる必要がある。また、デバイス加工は、たとえば構
造的には金属ブリッジをもつ弱接合型ジョセフソン素子
の場合には弱い接合部(超伝導性が左右で弱くつながる
部分)の寸法(長さ、幅、膜厚)を超伝導コヒーレンス
長(Nbでは4.2Kで10ナノメートル、NbN では4 〜5 ナノ
メートル) の3〜5倍以下に微細化する加工技術(ナノ
メートルパターニング技術)が必要である。また、たと
えばトンネル型ジョセフソン素子の場合には、トンネル
バリア厚さを0.1 ナノメートル程度で制御する必要があ
り、きわめて難しい技術となっている。このように、超
伝導量子干渉型デバイスでは高度の加工技術が要求され
るため、これまで普及が遅れ、近年漸くトンネル型ジョ
セフソン素子を用いたDC-SQUIDを利用した脳磁場計測用
の磁束計が実用化されてきた段階である。
【0003】図6はDC-SQUIDの概略構成を示す。DC-SQU
IDは1つの超伝導ループ内に2つのジョセフソン素子を
有し、ループ5を貫く外部磁場によってジョセフソン素
子6、7を横切る超伝導電子の干渉が影響を受けること
を利用して磁気検出する。このDC-SQUIDの電流−電圧特
性は外部磁束に対して周期的に変動しその周期はΦ0
2.07×10-15 Wbという極めて微小な磁束量である。し
たがって、これを利用してきわめて高感度の磁束計測を
行うことができる。
【0004】図5はDC-SQUIDの製作例を示す。同図で8
は超伝導ループを形成する対向電極であり、9はループ
の開放端に配置するベース電極である。ベース電極9と
対向電極8との間でそれぞれジョセフソン素子10、1
0を形成する。13は信号磁束カップリングのためのイ
ンプットコイルである。この構成で対向電極8のループ
内をインプットコイルからの信号磁束が通過すると電流
値が変化することから磁束を検知することができる。
【0005】ジョセフソン素子は2つの超伝導体あるい
は超伝導薄膜を弱く結合することによってジョセフソン
効果を起こすが、形態としてはトンネル型、弱接合型
(ブリッジ型)、近接効果型、ポイントコンタクト型等
がある。これらジョセフソン素子の作成方法には種々の
方法があるが、図4は超伝導膜のエッジを利用したトン
ネル型のジョセフソン素子の形成方法の例を示す(Appl.
Phys.Lett.55 81(1989))。超伝導膜のエッジを使ったト
ンネル型のジョセフソン素子はその面積を非常に小さく
形成できるという特徴があり、前記磁束センサの高感度
化の点で有用である。この例はNbN/MgO/NbN によってジ
ャンクション部を形成した例で、まず、下地の窒化ニオ
ブ層14および接続用電極としてアルミニウム15を蒸
着した後(a) 、窒化ニオブ層14を保護するためのアル
ミナ膜16を形成し(b) 、窒化ニオブ層14をエッチン
グしてエッジを形成し(c) 、最後にMgO の絶縁薄膜と窒
化ニオブの対向電極17を形成する(d) 。窒化ニオブ層
14はベース電極であり対向電極17との間でMgO の絶
縁薄膜を挟むことによってこの部分で窒化ニオブ膜のエ
ッジを利用したトンネル型ジョセフソン素子18を構成
する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、ループ
内に2つのジョセフソン素子を形成することによってDC
-SQUIDを形成するが、このDC-SQUIDで検出可能な最小磁
束はループインダクタンスLs および素子容量Cが小さ
いほど小さくでき感度がよくなることが知られている。
しかし、ループインダクタンスLs は検出コイル系との
磁束伝達効率を保つため任意には小さくできないから、
検出可能な最小磁束を小さくするには素子容量Cを小さ
くする必要がある。
【0007】上記の素子容量Cはトンネル型のジョセフ
ソン素子の場合は、ジャンクション部で対向する電極面
積A、面間隔dとするとA/dに依存するから、素子容
量を小さくするには電極面積Aを小さくし面間隔d(ト
ンネルバリア層の厚さ)を大きくすればよい。しかしな
がら、トンネル型ジョセフソン素子の場合はトンネル効
果による特性を得るため面間隔を1 〜2 ナノメートル程
度より大きくすることはできない。そこで、従来のDC-S
QUIDでは厚さ1 ナノメートル程度の薄い絶縁薄膜を使用
してジョセフソ素子を形成するようにしているが、この
薄膜形成技術は容易ではなく、工業上はよりシンプルな
素子作製法が望ましい。また、ジョセフソン素子を微小
面積に形成することは、接合部での磁束トラップを防止
するうえで重要であり、サブミクロンの面積は膜のエッ
ジを利用することで容易に達成できる。
【0008】このように膜のエッジを利用したトンネル
型のジョセフソン素子では絶縁薄膜(トンネルバリア
層)として1ナノメートル程度のきわめて薄い膜を使用
しているが、膜厚が0.5 ナノメートル程度変動するだけ
で臨界電流密度が1桁もばらついてしまうためトンネル
バリア層の厚さを0.1 ナノメートル程度で制御しなけれ
ばならず、この厚さ制御がトンネル型ジョセフソン素子
によるDC-SQUIDの製作における技術上の一つの問題点と
なっており、きわめて高精度の金属および絶縁薄膜形成
技術が必要になるという問題点がある。また、DC-SQUID
の場合は超伝導ループ内に一対のジョセフソン素子をつ
くるが、この2つのジョセフソン素子は特性的にバラン
スがそろっていないと検出感度が低下するという問題が
あり、各々のジョセフソン素子の特性をそろえる技術も
重要である。しかしながら、ジョセフソン素子の特性を
制御することは上記のように困難であり、たとえばこれ
までの弱接合型ジョセフソン素子を用いたDC-SQUIDで
は、特性の再現性はまったくなく、ましては2つのジョ
セフソン接合素子の特性をバランスさせて製作すること
はほとんど不可能であった。また、トンネル型の場合も
0.1 ナノメートル程度のトンネルバリア層の制御には一
部の先進メーカーのみが成功しているにすぎない。
【0009】また、従来のトンネル型ジョセフソン素子
を用いたDC-SQUIDでは大きな素子容量をキャンセルする
ために外部に薄膜シャント抵抗を設けたりしているが、
このため製作プロセスが複雑になるという問題点もあっ
た。そこで、本発明は上記問題点を解消すべくなされた
ものであり、その目的とするところは、物性が良好でか
つ再現性の良い弱接合型ジョセフソンを得ること、ま
た、磁束検出の特性を損なうことなく絶縁薄膜の厚さを
従来のトンネル型のものよりも厚くでき、かつ超伝導ル
ープ内に形成する一対の弱接合型ジョセフソン素子の特
性を容易にそろえることができることによってデバイス
(DC-SQUID)の特性を向上させることができ、シャント
抵抗も不要な超伝導量子干渉型デバイス(DC-SQUID)及
びその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するため次の構成を備える。すなわち、超伝導ループ内
に一対のジョセフソン素子を有する超伝導量子干渉型デ
バイスにおいて、前記各々のジョセフソン素子のエッジ
接合部が、ベース電極である窒化ニオブ層と絶縁層であ
る窒化シリコン層とが基板上にこの順に積層され、酸素
ガスとCF 4 ガスとの混合ガスを使用した反応性イオン
エッチング法により前記窒化ニオブ層および窒化シリコ
ン層の端面が基板上面に対して傾斜面となるようにエッ
チングされて、ベース電極および絶縁層の端面が面一に
露出したエッジ部が形成され、該エッジ部に絶縁薄膜
介して対向電極が形成され、前記絶縁薄膜中に、金属原
子の電界蒸発により前記ベース電極のエッジ部と対向電
極との間を電気的に連絡するナノメートルサイズの金属
ブリッジが形成されたことを特徴とする。また、超伝導
ループ内に一対のジョセフソン素子を有する超伝導量子
干渉型デバイスの製造方法において、基板上で前記各々
のジョセフソン素子を形成する部位に、ベース電極とし
て窒化ニオブ層を形成し、次いで、該窒化ニオブ層に絶
縁層として窒化シリコン層を積層した後、酸素ガスとC
4 ガスとの混合ガスを使用した反応性イオンエッチン
グ法により前記窒化ニオブ層および窒化シリコン層の端
面を前記基板上面に対して傾斜面となるようにエッチン
グして、ベース電極および絶縁層の端面が面一に露出す
るエッジ部を形成し、該エッジ部に絶縁薄膜対向電極
とをこの順に積層してエッジ接合部を形成した後、前記
ベース電極と対向電極とが超伝導となる温度で前記ベー
ス電極と前記対向電極との間に電圧を印加して、前記絶
縁薄膜中に存在するボイド内に前記ベース電極あるいは
対向電極の金属原子を電界蒸発させ、前記ベース電極
形成されたエッジ部と対向電極との間を電気的に連絡す
るナノメートルサイズの金属ブリッジを形成することを
特徴とする。
【0011】
【作用】本発明に係る超伝導量子干渉型デバイスは、絶
縁薄膜中にナノメートルサイズの金属ブリッジ形成
れているため、絶縁薄膜の膜厚をトンネル型素子のトン
ネルバリアの厚さよりも厚くすることができ、これによ
り素子容量Cを小さくすることができて、より高感度の
デバイスとして得られる。また、絶縁薄膜の膜制御が容
易になることからデバイスを容易に製造することが可能
になる。また、本発明に係る超伝導量子干渉型デバイス
の製造方法では、超伝導ループ内の2つの接合部に対し
て共通の電圧を同時に印加し、電界蒸発によって絶縁薄
膜中にナノメートルサイズの金属ブリッジを形成する
ら、双方の接合部の絶縁薄膜中において多数本のナノメ
ートルブリッジの生成とジュールヒーティングによる破
壊とが自動的にバランス調整され、双方のジョセフソン
素子の特性がそろった超伝導量子干渉型デバイスが得ら
れる
【0012】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基
づいて詳細に説明する。図1および図2は本発明に係る
超伝導量子干渉型デバイス(DC-SQUID)とその製造方法
の一実施例を示す説明図である。DC-SQUIDでは超伝導ル
ープ内に2つのジョセフソン素子を形成するが、図は一
方のジョセフソン素子について示す。はじめに、図2に
したがってジョセフソン素子を作成する方法を説明す
る。まず、図2(1) に示すように、シリコン基板20上
に酸化マグネシウム層22を成膜形成し、次に、反応性
スパッタリング法により窒化ニオブ層24と窒化シリコ
ン層26を酸化マグネシウム層22の上に成膜する。酸
化マグネシウム層22の膜厚は約20nm、窒化ニオブ層2
4の膜厚は約100nm 、窒化シリコンの膜厚は約100nm で
ある。窒化ニオブ層24はベース電極となるものであ
る。
【0013】次に、図2(2) に示すように窒化シリコン
層26と窒化ニオブ層24のエッジ端面を基板に対して
斜めにエッチングする。このため窒化シリコン層26の
上面にレジストパターンを設け、レジストをマスクとし
CF4 +10%O2 をエッチングガスとして反応性イオン
エッチングを行う。窒化シリコンおよび窒化ニオブはC
4 +10%O2 のエッチングガスに対しともにほぼ同じ
エッチング速度を有し、これによって図示するような斜
めエッチングが可能になる。また、このエッチング方法
はエッチングガス中の酸素分圧を変えることによってエ
ッジ端面の角度を調節できるという利点もある。
【0014】次いで、図2(3) に示すように、さらに窒
化シリコン28と酸化マグネシウム30を成膜して、エ
ッジジャンクションを形成する部分に窓を形成する。窓
幅は約2μm とし、これにより実際に弱接合型ジョセフ
ソン素子をつくるためのエッジ接合面積(幅×膜厚)は
およそ0.2 μm2となる。次に、窒化ニオブ層24と窒化
シリコン層26のエッジ部をスパッタリングによってク
リーニングした後、図2(4) に示すように窓部分に酸化
マグネシウム層32とニオブ層34をスパッタリングに
よって成膜する。酸化マグネシウム層32の膜厚は約10
nm、ニオブ層34の膜厚は約400nm である。こうして、
窒化ニオブ層24/酸化マグネシウム層32/ニオブ層
34からなるエッジ接合部が形成される。窒化ニオブ層
24がベース電極、酸化マグネシウム層32が絶縁薄
膜、ニオブ層34が対向電極である。対向電極はレジス
トパターンを形成して反応性イオンエッチングを行うこ
とによって所要のパターンに形成する。
【0015】上記のようにエッジ接合部を形成した後、
試料を液体ヘリウム中に浸漬し、図1に示すようにベー
ス電極Aと対向電極Bとの間にパルス電圧を印加して絶
縁薄膜の酸化マグネシウム層32中にナノメートルサイ
ズの金属(Nb) ブリッジ36を形成する。この電圧印加
によってナノメートルサイズの金属(Nb)ブリッジを形成
する方法は金属原子の電界蒸発を利用するもので、電極
間に107 〜109 V/cm程度の電界をかけることにより、
ベース電極の窒化ニオブあるいは対向電極のニオブを電
界蒸発させ絶縁薄膜中にナノメートルサイズの金属ブリ
ッジを生成させる。蒸発したニオブあるいは窒化ニオブ
は酸化マグネシウム層32中にあるボイド内に堆積・成
長し他方の電極まで通じて電極間を電気的に連絡する。
酸化マグネシウムをスパッタリング法によって成膜する
と、膜中に自然に微細なボイドが形成される。上記の電
界蒸発法はこのボイドを利用してナノメートルサイズの
金属ブリッジを生成するものである。したがって、電気
的絶縁性を有するものであれば酸化アルミニウム等も使
用でき、とくに材料が限定されるものではない。
【0016】なお、上記実施例では基板側に形成するベ
ース電極となるものとして、窒化ニオブ層24を設けた
が、窒化ニオブのかわりに炭化ニオブ等の他のニオブ化
合物も使用できる。また、ニオブ化合物のかわりにベー
ス電極と同じようにニオブ金属を使用することもでき
る。また、実施例では接合部のエッジ端面を斜めにエッ
チングするためエッチング速度が同じ窒化ニオブ層と窒
化シリコン層を設けたが、窒化シリコン層は電気的絶縁
性を有するものであれば他の材料、たとえばSiO2、SiO
等が使用できる。ベース電極にニオブ金属を使用した場
合もCF4 +O2 のエッチングガスの酸素濃度を調節す
ることによってテーパエッチングが可能である。なお、
ナノメートルサイズの金属ブリッジを形成するためベー
ス電極と対向電極間にパルス電圧をかける際は対向電極
のニオブ層34をプラス側にする方が電子の平均自由行
程の関係でより良いSQUID が作製できるが、実用上はど
ちらの極性でも使うことが可能である。ベース電極とし
てニオブ金属を使用した場合は極性はどちらでも良好な
デバイスが得られる。また、上記実施例ではシリコン基
板20上に酸化マグネシウム層22を設けたが、この酸
化マグネシウム層22はなくてもかまわない。
【0017】DC-SQUIDのループ内に形成するもう一方の
ジョセフソン素子についても上記方法で同時に作製す
る。実際には、同一の真空槽内で一対のジョセフソン素
子を形成するようにする。そして、ナノメートルサイズ
の金属ブリッジを形成するために電圧パルスを印加する
際は、各々のジョセフソン素子のエッジ部に共通に電圧
パルスを印加する。これによって、2つのエッジ部の絶
縁薄膜中に同じように、かつ同時にナノメートルサイズ
の金属ブリッジを形成することができる。
【0018】このようにループ内の各々のジョセフソン
素子のエッジ部に共通に電圧パルスを印加し、電界蒸発
によってナノメートルサイズの金属ブリッジを形成する
方法は、各々の接合部で多数本のナノメートルサイズの
金属ブリッジがバランスして生成され、デバイス特性
(臨界電流など)の自動調整機構が作用するという大き
な特徴を有する。すなわち、電圧を徐々に印加していく
ことによるナノメートルサイズの金属ブリッジの生成
と、ジュールヒーティングによる破壊がバランスして各
々のエッジ接合部に形成されるナノメートルサイズの金
属ブリッジが自然にバランスしながら形成されていく。
本実施例の製造方法はこの自動調節機構によって、ルー
プ内で特性のそろったジョセフソン素子が形成でき、優
れた特性を有するDC-SQUIDを容易に得ることが可能にな
る。
【0019】上記実施例におけるナノメートルサイズの
金属ブリッジを形成する方法で電極間に印加するパルス
電圧は20V以下である。この印加するパルス電圧は実際
にDC-SQUIDを作動させる際に外部から突発的に侵入して
くることが考えられるサージ電圧を考えると、デバイス
形成電圧以下のサージ電圧ではもはや特性は変わらない
わけであるから、サージ電圧耐性のよいDC-SQUIDを得る
ことができるという優れた効果もある。これは、たとえ
ばサブミクロン面積のトンネル型素子の場合、トンネル
バリア層が極めて薄いため小さな電圧でも大きな電界が
加わり、破壊に至りやすいという事実を考慮すると大き
な利点である。図3は電極A、B間に電圧を印加して電
界蒸発を行わせた際の、DC-SQUIDの2つのジョセフソン
素子の臨界電流の変化を示すパラメータである。各電圧
で臨界電流2Imax ( 磁束がないときの臨界電流) 、2
min ( (1/2) 磁束量子((1/2)Φ0)加えたときの臨界電
流) の値を比較して示す。電界強度を徐々に上げていく
と、特性のバランスの良いDC-SQUIDが形成されているこ
とがわかる。
【0020】図1に示すように絶縁薄膜にナノメートル
サイズの金属ブリッジ(弱接合型ジョセフソン素子)を
形成した後、反応性イオンエッチング法によってSQUID
ホールを形成する。実際にDC-SQUIDを製造する際には、
図5の対向電極8のようにDC-SQUIDのループ部を形成す
る導電体部を基板上に形成し、上記の弱接合型ジョセフ
ソン素子を形成していく。実施例(図3)ではジョセフ
ソン素子を形成した後にSQUID ホールを形成してループ
形成しDC-SQUIDとする方法をとっているが、SQUID ホー
ル、インプットコイルをすべて形成した後に電界を加え
ることももちろん可能であり、応用上はその方が好適で
ある。
【0021】本発明に係るDC-SQUIDの製造方法によって
形成するジョセフソン素子は絶縁薄膜中にナノメートル
サイズの金属ブリッジを形成して弱接合型ジョセフソン
素子を形成したものであり、従来の膜のエッジを使った
トンネル型のジョセフソン素子(図4)とは構造的にも
電気輸送機構的にも全く異なったものである。そして、
金属原子の電界蒸発原理を用いて絶縁薄膜中にナノメー
トルサイズの金属ブリッジを形成する方法をとることに
よって、従来の弱接合型ジョセフソン素子では達成し得
なかった良好な特性と再現性が得られる。図7は上記製
造方法と同様な方法によって形成したDC-SQUIDのサンプ
ルについてその臨界電流密度の外部磁場依存性を測定し
た結果を示す。同図で横軸はSQUID パラメータβL 、縦
軸はImax /Imin である。図中の実線は2つのジョセ
フソン素子のアンバランス性を考慮した理論曲線を示
す。I1 =I2 は2つのジョセフソン素子の臨界電流値
がまったく等しい場合の理論値である。同図からわかる
ように作製した数十個のSQUID のバランス性のばらつき
は30% 以内に入っており、きわめて再現性が良いことが
わかる。
【0022】また、本発明のDC-SQUIDは通常のトンネル
型のジョセフソン素子で使用する絶縁薄膜(トンネルバ
リア層)の10倍程度の厚さで絶縁薄膜を形成すること
が可能になった結果、トンネル型素子の場合にデバイス
を作成する際の膜厚制御の厳しさが大きく緩和されると
ともに、外付けの薄膜シャント抵抗も不要になることか
らデバイスプロセス上の困難を解消することが可能にな
る。また、電界はデバイスを動作させる温度(実施例で
は4.2K) で加えるため、その場作製法となり特性をモニ
ターしながらデバイスを作製できるという利点もある。
【0023】また、絶縁薄膜の膜厚が厚くできることか
ら素子容量Cでの面間隔dが大きくとれ、素子容量Cを
効果的に小さくすることができデバイスの感度を有効に
向上させることが可能になる。また、本製造方法によれ
ば絶縁薄膜に形成する多数本のナノメートルサイズの金
属ブリッジがDC-SQUIDのループ内に形成する一対のエッ
ジ接合で自動的にバランスされて生成され、特性のそろ
った弱接合型ジョセフソン素子を有するDC-SQUIDを容易
に得ることができ、製造時の不良発生を防止できるとと
もに優れた特性のデバイスを得ることができる。
【0024】
【発明の効果】本発明に係る超伝導量子干渉型デバイス
は、上述したように、特性がそろったジョセフソン素子
を有し、絶縁薄膜の膜厚を厚くできることから素子容量
を小さくでき、外付けのシャント抵抗が不要であり、ま
た、サブミクロン面積であるため接合への磁束トラップ
によるノイズが極めて小さいことが期待され、従来の弱
接合型やトンネル型のジョセフソン素子DC-SQUIDにくら
べても優れた特性を有する製品として提供することがで
きる。また、本発明に係る製造方法によれば、ループ内
の2つのジョセフソン素子の特性が自動的にバランスさ
れ、良好な特性を有するDC-SQUIDを確実にかつ容易に得
ることができる等の著効を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る弱接合型ジョセフソン素子部の構
成を示す説明図である。
【図2】弱接合型ジョセフソン素子部の製造方法を示す
説明図である。
【図3】弱接合型ジョセフソン素子によるDC-SQUIDの特
性(臨界電流)のバランスの良さを示すグラフである。
【図4】膜のエッジを利用したトンネル型ジョセフソン
素子の作製方法を示す説明図である。
【図5】DC-SQUIDの構成例を示す説明図である。
【図6】DC-SQUIDの動作を説明する図である。
【図7】DC-SQUIDサンプルの臨界電流密度の外部磁場依
存性の測定結果および理論値を示すグラフである。
【符号の説明】
5 ループ 6、7 ジョセフソン素子 14 窒化ニオブ層 15 アルミニウム 16 アルミナ膜 17 対向電極 18 トンネル型ジョセフソン素子 20 シリコン基板 22、30 酸化マグネシウム層 24 窒化ニオブ層 26、28 窒化シリコン層 32 酸化マグネシウム層 34 ニオブ層 36 ナノメートルサイズの金属ブリッジ( 弱接合型ジ
ョセフソン素子)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−252272(JP,A) 特開 平2−39476(JP,A) 特開 平2−39475(JP,A) 特開 昭62−79682(JP,A) 特開 昭61−56476(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 39/22 - 39/24 H01L 39/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超伝導ループ内に一対のジョセフソン素
    子を有する超伝導量子干渉型デバイスにおいて、 前記各々のジョセフソン素子のエッジ接合部が、ベース
    電極である窒化ニオブ層と絶縁層である窒化シリコン層
    とが基板上にこの順に積層され、酸素ガスとCF 4 ガス
    との混合ガスを使用した反応性イオンエッチング法によ
    り前記窒化ニオブ層および窒化シリコン層の端面が基板
    上面に対して傾斜面となるようにエッチングされて、ベ
    ース電極および絶縁層の端面が面一に露出したエッジ部
    が形成され、該エッジ部に絶縁薄膜を介して対向電極が
    形成され、 前記絶縁薄膜中に、金属原子の電界蒸発により前記ベー
    ス電極のエッジ部と対向電極との間を電気的に連絡する
    ナノメートルサイズの金属ブリッジが形成されたことを
    特徴とする超伝導量子干渉型デバイス。
  2. 【請求項2】 超伝導ループ内に一対のジョセフソン素
    子を有する超伝導量子干渉型デバイスの製造方法におい
    て、基板上で 前記各々のジョセフソン素子を形成する部位
    に、ベース電極として窒化ニオブ層を形成し、次いで、
    該窒化ニオブ層に絶縁層として窒化シリコン層を積層し
    た後、酸素ガスとCF 4 ガスとの混合ガスを使用した反
    応性イオンエッチング法により前記窒化ニオブ層および
    窒化シリコン層の端面を前記基板上面に対して傾斜面と
    なるようにエッチングして、ベース電極および絶縁層の
    端面が面一に露出するエッジ部を形成し、該エッジ部に
    絶縁薄膜対向電極とをこの順に積層してエッジ接合部
    を形成した後、 前記ベース電極と対向電極とが超伝導となる温度で前記
    ベース電極と前記対向電極との間に電圧を印加して、前
    記絶縁薄膜中に存在するボイド内に前記ベース電極ある
    いは対向電極の金属原子を電界蒸発させ、前記ベース電
    に形成されたエッジ部と対向電極との間を電気的に連
    絡するナノメートルサイズの金属ブリッジを形成するこ
    とを特徴とする超伝導量子干渉型デバイスの製造方法。
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