JP3267000B2 - 非球面ミラー製造方法 - Google Patents
非球面ミラー製造方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、X線縮小投影露光装置
等に用いられる非球面ミラーを製造する方法に関するも
のである。
等に用いられる非球面ミラーを製造する方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】非球面光学素子は、天体望遠鏡のシュミ
ットプレート等の一部の特殊な分野では古くから利用さ
れている。最近では、収差の抑制等を目的として、カメ
ラレンズや半導体製造用露光装置等に広く用いられるよ
うになり、非球面形状に加工するための超精密加工技術
の研究開発が精力的に行なわれている。ミラーやレンズ
を非球面形状に加工する方法として、切削加工、研削加
工、研磨加工等の従来からの加工技術を改良した方法
と、イオンビームや反応性蒸気等を用いて表面を除去す
る新規な加工方法が研究されている。また、高精度に加
工した球面形状の基板上に非球面量分だけの薄膜を形成
する付加加工法や、モールドやプレスによる加工方法も
知られている。このような加工方法によって作製された
非球面光学素子の形状は、ルビー球などからなるプロー
ブを光学素子表面に接触させることで、あるいは光プロ
ーブや原子間力プローブなどを用いて非接触のままで、
3次元的に測定される。また、2次非球面(放物面、双
曲面、楕円面)形状の場合、反射光が球面波になるよう
な適当な光学系を用いることにより、球面形状と同様に
干渉計による形状測定も行なえる。
ットプレート等の一部の特殊な分野では古くから利用さ
れている。最近では、収差の抑制等を目的として、カメ
ラレンズや半導体製造用露光装置等に広く用いられるよ
うになり、非球面形状に加工するための超精密加工技術
の研究開発が精力的に行なわれている。ミラーやレンズ
を非球面形状に加工する方法として、切削加工、研削加
工、研磨加工等の従来からの加工技術を改良した方法
と、イオンビームや反応性蒸気等を用いて表面を除去す
る新規な加工方法が研究されている。また、高精度に加
工した球面形状の基板上に非球面量分だけの薄膜を形成
する付加加工法や、モールドやプレスによる加工方法も
知られている。このような加工方法によって作製された
非球面光学素子の形状は、ルビー球などからなるプロー
ブを光学素子表面に接触させることで、あるいは光プロ
ーブや原子間力プローブなどを用いて非接触のままで、
3次元的に測定される。また、2次非球面(放物面、双
曲面、楕円面)形状の場合、反射光が球面波になるよう
な適当な光学系を用いることにより、球面形状と同様に
干渉計による形状測定も行なえる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】半導体集積回路の微細
化に伴い、光の回折限界によって制限される光学系の解
像力を向上させるために、従来の紫外線に代わってこれ
より波長の短いX線を用いた縮小投影リソグラフィー技
術の開発が進められている(例えば、solid state tech
nology 日本語版 1991年9月号 P19参照)。しかし、
X線の波長域の光線は、すべての物質に対して屈折率が
ほぼ1であるため、レンズによって屈折させることはで
きない。このため、X線の波長域における光学系はすべ
て反射系で構成する必要がある。また、球面光学素子だ
けで光学系を構成すると、収差を十分に補正することが
できないため、露光領域を大きくすることができない。
したがって、実用的な露光領域(約20〜30mm四
方)を得るためには、非球面光学素子を用いて反射系を
構成しなければならない。非球面光学素子を用いて反射
系を構成する場合、屈折率の異なる物質を複数層重ねた
多層膜構造にするのが望ましい。多層膜中の各膜で反射
される反射波の位相が合うように多層膜を形成すること
により、各膜での反射率の加算分の反射率が得られるた
め、例えば、モリブデンとシリコンによる多層膜の場
合、波長130オングストローム付近のX線に対して、
60〜70%の反射率が得られる。
化に伴い、光の回折限界によって制限される光学系の解
像力を向上させるために、従来の紫外線に代わってこれ
より波長の短いX線を用いた縮小投影リソグラフィー技
術の開発が進められている(例えば、solid state tech
nology 日本語版 1991年9月号 P19参照)。しかし、
X線の波長域の光線は、すべての物質に対して屈折率が
ほぼ1であるため、レンズによって屈折させることはで
きない。このため、X線の波長域における光学系はすべ
て反射系で構成する必要がある。また、球面光学素子だ
けで光学系を構成すると、収差を十分に補正することが
できないため、露光領域を大きくすることができない。
したがって、実用的な露光領域(約20〜30mm四
方)を得るためには、非球面光学素子を用いて反射系を
構成しなければならない。非球面光学素子を用いて反射
系を構成する場合、屈折率の異なる物質を複数層重ねた
多層膜構造にするのが望ましい。多層膜中の各膜で反射
される反射波の位相が合うように多層膜を形成すること
により、各膜での反射率の加算分の反射率が得られるた
め、例えば、モリブデンとシリコンによる多層膜の場
合、波長130オングストローム付近のX線に対して、
60〜70%の反射率が得られる。
【0004】一般に、光学系の回折限界の解像力を得る
ためには、使用する光の波長の数分の1程度の形状精度
を有する光学素子が要求される。従って、非球面ミラー
を軟X線のような波長の短い光(波長200オングスト
ローム以下)を反射させる目的に使用する場合、非常に
高い形状精度(数10オングストローム以下)でミラー
を作製する必要がある。また、ミラーの表面にはX線を
反射するための多層膜が形成されるが、その反射率を損
なわないために、表面粗さも十分小さく(数オングスト
ローム以下)しなければならない。球面形状のミラーの
場合、従来の研磨加工技術によって上記の要求精度に近
い形状を作製することは可能である。しかしながら非球
面ミラーの場合、従来の加工技術では、作製した非球面
ミラー形状を精度よく測定してその測定結果に基づいて
非球面ミラー形状を修正する有効な手段がなかったた
め、λ/10(λ=6328オングストローム)程度の形状精
度しか得られなかった。したがって、作製した非球面ミ
ラーをX線縮小投影露光装置に用いても、所望の性能が
得られなかった。
ためには、使用する光の波長の数分の1程度の形状精度
を有する光学素子が要求される。従って、非球面ミラー
を軟X線のような波長の短い光(波長200オングスト
ローム以下)を反射させる目的に使用する場合、非常に
高い形状精度(数10オングストローム以下)でミラー
を作製する必要がある。また、ミラーの表面にはX線を
反射するための多層膜が形成されるが、その反射率を損
なわないために、表面粗さも十分小さく(数オングスト
ローム以下)しなければならない。球面形状のミラーの
場合、従来の研磨加工技術によって上記の要求精度に近
い形状を作製することは可能である。しかしながら非球
面ミラーの場合、従来の加工技術では、作製した非球面
ミラー形状を精度よく測定してその測定結果に基づいて
非球面ミラー形状を修正する有効な手段がなかったた
め、λ/10(λ=6328オングストローム)程度の形状精
度しか得られなかった。したがって、作製した非球面ミ
ラーをX線縮小投影露光装置に用いても、所望の性能が
得られなかった。
【0005】本発明の目的は、X線回折法によって測定
した周期長に応じて、所定箇所での周期長が一定になる
ように多層膜を形成することにより、非球面ミラーを精
度よく作製することのできる非球面ミラー製造方法を提
供することにある。
した周期長に応じて、所定箇所での周期長が一定になる
ように多層膜を形成することにより、非球面ミラーを精
度よく作製することのできる非球面ミラー製造方法を提
供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、球面形状に加
工された基板上に2種類以上の物質を交互に積層して非
球面ミラーを製造する方法において、基板上に2種類以
上の物質を交互に積層して、表面形状が非球面である多
層膜を形成する第1の工程と、多層膜の周期長をミラー
中心から周辺にわたる所定箇所でX線回折法により測定
する第2の工程と、測定された周期長に応じて、所定箇
所での周期長が一定になるように多層膜を形成する第3
の工程と、第3の工程で形成された多層膜上に2種類以
上の物質を交互に積層して多層反射膜を形成する第4の
工程とを備え、これによって上記目的は達成される。
工された基板上に2種類以上の物質を交互に積層して非
球面ミラーを製造する方法において、基板上に2種類以
上の物質を交互に積層して、表面形状が非球面である多
層膜を形成する第1の工程と、多層膜の周期長をミラー
中心から周辺にわたる所定箇所でX線回折法により測定
する第2の工程と、測定された周期長に応じて、所定箇
所での周期長が一定になるように多層膜を形成する第3
の工程と、第3の工程で形成された多層膜上に2種類以
上の物質を交互に積層して多層反射膜を形成する第4の
工程とを備え、これによって上記目的は達成される。
【0007】
【作用】請求項1の発明では、基板上に積層された膜の
周期長をX線回折法により測定し、その測定位置での周
期長が一定になるように多層膜を形成する。
周期長をX線回折法により測定し、その測定位置での周
期長が一定になるように多層膜を形成する。
【0008】
【実施例】図1は本発明による非球面ミラー製造装置の
一実施例の全体概略構成図である。この実施例では、楕
円面ミラーを作製する例を説明する。この実施例によっ
て作製される楕円面ミラーの楕円は、(1)式で示され
る。
一実施例の全体概略構成図である。この実施例では、楕
円面ミラーを作製する例を説明する。この実施例によっ
て作製される楕円面ミラーの楕円は、(1)式で示され
る。
【数1】 (1)式において、Rは近軸曲率半径であり、κは非球
面の形状を表す非球面係数である。楕円面ミラーは、
(1)式で示される楕円をその短軸の回りに回転させた
形状を有する。
面の形状を表す非球面係数である。楕円面ミラーは、
(1)式で示される楕円をその短軸の回りに回転させた
形状を有する。
【0009】図1において、1は合成石英で形成された
基板である。本実施例では、基板1は、従来の研磨加工
技術により、曲率半径600mm、直径90mm、中心
厚さ15mmの凹面の球面ミラーとして予め作製され
る。加工された基板1は、干渉計を用いた測定によると
16λ/10000(λ=6328オングストローム)
程度の形状精度を有し、その表面粗さを触針式による測
定で3オングストローム以内に収まるようにした。この
基板1は、不図示のステージによって固定され、基板1
の中心軸の回りを所定速度で回転する。2は蒸着物質を
基板に付着させるイオンビームスパッタ装置であり、ア
ルゴンイオンビーム11を発射するイオン源12と、タ
ーゲット13から構成される。ターゲット13にアルゴ
ンイオンビーム11が照射されると、その衝突のエネル
ギーによってターゲット13から蒸着物質14がたたき
出される。本実施例では、2種類のターゲット13(モ
リブデンとシリコン)を用いて基板1上に多層膜を形成
する。各ターゲットは移動可能であり、蒸着させる物質
用のターゲットを図中の位置に設置して蒸着を行なう。
そして、一層分の薄膜が形成されると、ターゲットを交
換して材料の異なる薄膜を一層分形成する。この工程を
繰り返すことにより、図2に示すような多層膜21を形
成する。この多層膜の周期長は数十オングストローム、
積層数は数十〜数百層対である(図2では簡略化のため
多層膜の一部のみを示す)。
基板である。本実施例では、基板1は、従来の研磨加工
技術により、曲率半径600mm、直径90mm、中心
厚さ15mmの凹面の球面ミラーとして予め作製され
る。加工された基板1は、干渉計を用いた測定によると
16λ/10000(λ=6328オングストローム)
程度の形状精度を有し、その表面粗さを触針式による測
定で3オングストローム以内に収まるようにした。この
基板1は、不図示のステージによって固定され、基板1
の中心軸の回りを所定速度で回転する。2は蒸着物質を
基板に付着させるイオンビームスパッタ装置であり、ア
ルゴンイオンビーム11を発射するイオン源12と、タ
ーゲット13から構成される。ターゲット13にアルゴ
ンイオンビーム11が照射されると、その衝突のエネル
ギーによってターゲット13から蒸着物質14がたたき
出される。本実施例では、2種類のターゲット13(モ
リブデンとシリコン)を用いて基板1上に多層膜を形成
する。各ターゲットは移動可能であり、蒸着させる物質
用のターゲットを図中の位置に設置して蒸着を行なう。
そして、一層分の薄膜が形成されると、ターゲットを交
換して材料の異なる薄膜を一層分形成する。この工程を
繰り返すことにより、図2に示すような多層膜21を形
成する。この多層膜の周期長は数十オングストローム、
積層数は数十〜数百層対である(図2では簡略化のため
多層膜の一部のみを示す)。
【0010】3はターゲット13と基板1の間に設けら
れたマスクであり、その透過部31の形状に応じて蒸着
物質14の基板1への付着具合を変更することができ
る。したがって、非球面の形状に応じて透過部31の形
状を変更して膜厚を制御することができる。また、イオ
ンビームスパッタ装置2には固有の膜厚特性があるた
め、これも考慮に入れて予めシミュレーションを行な
い、最適な形状の透過部31を有するマスク3を作製し
ておく。図1に示されるマスク3は固定されているが、
前述したように、基板1がその中心軸の回りを回転する
ため、透過部31の形状に応じて蒸着物質14を基板1
上に非球面状態で積層することができる。
れたマスクであり、その透過部31の形状に応じて蒸着
物質14の基板1への付着具合を変更することができ
る。したがって、非球面の形状に応じて透過部31の形
状を変更して膜厚を制御することができる。また、イオ
ンビームスパッタ装置2には固有の膜厚特性があるた
め、これも考慮に入れて予めシミュレーションを行な
い、最適な形状の透過部31を有するマスク3を作製し
ておく。図1に示されるマスク3は固定されているが、
前述したように、基板1がその中心軸の回りを回転する
ため、透過部31の形状に応じて蒸着物質14を基板1
上に非球面状態で積層することができる。
【0011】4は基板1上に形成された多層膜の膜厚分
布を、CuKα特性X線(波長1.54オングストロー
ム)を用いて測定するX線回折装置である。X線回折装
置4では、X線を多層膜に照射し、多層膜を形成する各
膜から反射された反射波の回折強度を測定することで、
多層膜の周期長を測定する。また、測定された回折強度
のピーク分布によって、多層膜を形成する各膜の膜厚を
測定することもできる。X線回折装置4の測定精度は
0.1%程度であるため、例えば1μmの非球面量(球
面からのずれ量)の測定誤差は10オングストローム程
度となる。X線回折装置4では、多層膜表面の所定箇所
に異なる角度からX線を照射して、その反射波が最も大
きくなる角度で周期長を測定する。同様のことを多層膜
全体について、つまりミラー中心から周辺にかけて所定
間隔で行なうことにより、作製された非球面ミラーの非
球面量を測定する。このX線回折装置4による非球面量
の測定は、目標の層数だけ多層膜を形成し終わった後に
行なってもよく、あるいは多層膜を形成する途中で随時
行なってもよい。前者の場合、X線回折測定をした結
果、作製された非球面形状が所望の形状と異なる際に
は、新たな基板1と測定結果に基づいて作製された新た
な形状のマスク3とを用いて、再度非球面ミラーを作製
する。一方、後者の場合、測定結果に基づいて作製され
た新たな形状の透過部31を有するマスク3を用いて蒸
着を継続する。これにより、いずれも所望の形状の非球
面ミラーを作製することができる。
布を、CuKα特性X線(波長1.54オングストロー
ム)を用いて測定するX線回折装置である。X線回折装
置4では、X線を多層膜に照射し、多層膜を形成する各
膜から反射された反射波の回折強度を測定することで、
多層膜の周期長を測定する。また、測定された回折強度
のピーク分布によって、多層膜を形成する各膜の膜厚を
測定することもできる。X線回折装置4の測定精度は
0.1%程度であるため、例えば1μmの非球面量(球
面からのずれ量)の測定誤差は10オングストローム程
度となる。X線回折装置4では、多層膜表面の所定箇所
に異なる角度からX線を照射して、その反射波が最も大
きくなる角度で周期長を測定する。同様のことを多層膜
全体について、つまりミラー中心から周辺にかけて所定
間隔で行なうことにより、作製された非球面ミラーの非
球面量を測定する。このX線回折装置4による非球面量
の測定は、目標の層数だけ多層膜を形成し終わった後に
行なってもよく、あるいは多層膜を形成する途中で随時
行なってもよい。前者の場合、X線回折測定をした結
果、作製された非球面形状が所望の形状と異なる際に
は、新たな基板1と測定結果に基づいて作製された新た
な形状のマスク3とを用いて、再度非球面ミラーを作製
する。一方、後者の場合、測定結果に基づいて作製され
た新たな形状の透過部31を有するマスク3を用いて蒸
着を継続する。これにより、いずれも所望の形状の非球
面ミラーを作製することができる。
【0012】図2は図1の装置で作製した楕円面ミラー
の断面図である。図2において、基板1上に形成された
多層膜21のうち、22はモリブデン層、23はシリコ
ン層である。図示の楕円面ミラーは、有効直径90m
m、近軸曲率半径600mm、非球面係数κ=1.44の形
状を有し、多層膜21の周期長は基板1の周辺部で最も
大きく(140オングストローム)、中心部で最も小さ
い(34.9オングストローム)。また、モリブデン層
22とシリコン層23の厚さの比率は1:1であり、積
層数は100層対である。但し、図2では簡略化のため
層数の一部のみを表示している。
の断面図である。図2において、基板1上に形成された
多層膜21のうち、22はモリブデン層、23はシリコ
ン層である。図示の楕円面ミラーは、有効直径90m
m、近軸曲率半径600mm、非球面係数κ=1.44の形
状を有し、多層膜21の周期長は基板1の周辺部で最も
大きく(140オングストローム)、中心部で最も小さ
い(34.9オングストローム)。また、モリブデン層
22とシリコン層23の厚さの比率は1:1であり、積
層数は100層対である。但し、図2では簡略化のため
層数の一部のみを表示している。
【0013】図3は図1の装置で形成した多層膜21の
特性図である。図3の横軸は基板の中心からの距離、縦
軸はX線回折装置4により測定した多層膜21の周期長
であり、実線で示した曲線は設計理論値の周期長分布で
ある。これに対して、図示の黒丸は、5mm間隔で測定
した多層膜21の周期長分布の実測値である。この結果
を見ればわかるように、本実施例の製造方法によると、
実測値と設計理論値のずれをミラー全面で0.1オング
ストローム以内に収めることができる。したがって、積
層数を100層対とした場合の設計理論値からのずれ
は、100×0.1=10オングストローム以下であ
る。多層膜形成前の球面の形状精度が16λ/1000
0≒10オングストロームであるため、最終的な非球面
ミラーの形状精度は20オングストローム以下となる。
また、測定の結果、多層膜形成後の非球面ミラーの表面
粗さは、多層膜形成前の基板1の表面粗さから変化しな
いことがわかった。
特性図である。図3の横軸は基板の中心からの距離、縦
軸はX線回折装置4により測定した多層膜21の周期長
であり、実線で示した曲線は設計理論値の周期長分布で
ある。これに対して、図示の黒丸は、5mm間隔で測定
した多層膜21の周期長分布の実測値である。この結果
を見ればわかるように、本実施例の製造方法によると、
実測値と設計理論値のずれをミラー全面で0.1オング
ストローム以内に収めることができる。したがって、積
層数を100層対とした場合の設計理論値からのずれ
は、100×0.1=10オングストローム以下であ
る。多層膜形成前の球面の形状精度が16λ/1000
0≒10オングストロームであるため、最終的な非球面
ミラーの形状精度は20オングストローム以下となる。
また、測定の結果、多層膜形成後の非球面ミラーの表面
粗さは、多層膜形成前の基板1の表面粗さから変化しな
いことがわかった。
【0014】このようにして作製した非球面ミラーは、
X線光学素子として用いることができる。例えば、X線
縮小投影露光装置に用いられる波長130オングストロ
ームの軟X線を反射させる非球面ミラーを作製する場
合、非球面ミラー上に周期長67オングストローム、積
層数が各50層のモリブデン/シリコン多層膜を形成す
る。これにより、非球面ミラーの近軸曲率半径と同様の
曲率半径を持つ球面鏡を使用した場合に比べて、光学系
の収差を大幅に減少させることができ、装置の結像性能
を飛躍的に向上させることができる。
X線光学素子として用いることができる。例えば、X線
縮小投影露光装置に用いられる波長130オングストロ
ームの軟X線を反射させる非球面ミラーを作製する場
合、非球面ミラー上に周期長67オングストローム、積
層数が各50層のモリブデン/シリコン多層膜を形成す
る。これにより、非球面ミラーの近軸曲率半径と同様の
曲率半径を持つ球面鏡を使用した場合に比べて、光学系
の収差を大幅に減少させることができ、装置の結像性能
を飛躍的に向上させることができる。
【0015】上記実施例では、放物面や楕円面等の2次
非球面ミラーの作製について説明したが、本発明は2次
非球面以外の高次非球面ミラーの作製にも適用できる。
したがって、本発明を用いることによって、非球面ミラ
ーの設計の自由度が向上する。上記実施例では、最も形
状精度の要求が厳しい軟X線用の非球面ミラーについて
説明したが、本発明はこのような用途に限定されること
はなく、紫外線、可視光、赤外線などあらゆる波長の光
学系に広く適用できる。上記実施例では、X線回析の結
果に応じて、マスクを用いて膜厚を制御しているが、マ
スクを用いずに、例えば光CVDによる選択成長等によ
って膜厚を制御してもよい。上記実施例では、イオンビ
ームスパッタ装置によって多層膜を形成しているが、真
空蒸着やCVD等のその他の薄膜形成法によって形成し
てもよい。上記実施例では、モリブデンとシリコンによ
って多層膜を形成したが、これ以外の物質で形成しても
よく、また3種類以上の物質で形成してもよい。なお、
上記実施例では球面形状の基板を用いたが、楕円面形状
等の曲率半径を種々に変えた基板を使用したり、あるい
は曲率半径を無限大とした平面形状の基板を使用しても
よい。
非球面ミラーの作製について説明したが、本発明は2次
非球面以外の高次非球面ミラーの作製にも適用できる。
したがって、本発明を用いることによって、非球面ミラ
ーの設計の自由度が向上する。上記実施例では、最も形
状精度の要求が厳しい軟X線用の非球面ミラーについて
説明したが、本発明はこのような用途に限定されること
はなく、紫外線、可視光、赤外線などあらゆる波長の光
学系に広く適用できる。上記実施例では、X線回析の結
果に応じて、マスクを用いて膜厚を制御しているが、マ
スクを用いずに、例えば光CVDによる選択成長等によ
って膜厚を制御してもよい。上記実施例では、イオンビ
ームスパッタ装置によって多層膜を形成しているが、真
空蒸着やCVD等のその他の薄膜形成法によって形成し
てもよい。上記実施例では、モリブデンとシリコンによ
って多層膜を形成したが、これ以外の物質で形成しても
よく、また3種類以上の物質で形成してもよい。なお、
上記実施例では球面形状の基板を用いたが、楕円面形状
等の曲率半径を種々に変えた基板を使用したり、あるい
は曲率半径を無限大とした平面形状の基板を使用しても
よい。
【0016】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、X線回折法により非球面の多層膜の周期長を所定
箇所で測定し、その測定した周期長に応じて、測定個所
での周期長が一定になるように多層膜を形成するように
したので、非球面ミラーを精度よく作製することができ
る。
れば、X線回折法により非球面の多層膜の周期長を所定
箇所で測定し、その測定した周期長に応じて、測定個所
での周期長が一定になるように多層膜を形成するように
したので、非球面ミラーを精度よく作製することができ
る。
【図1】本発明による非球面ミラー製造方法による製造
装置の一実施例のブロック図である。
装置の一実施例のブロック図である。
【図2】図1の装置によって形成された多層膜の断面図
である。
である。
【図3】図1の装置によって形成された多層膜の特性図
である。
である。
1 基板 2 イオンビームスパッタ装置 3 マスク 4 X線回折装置 12 イオン源 13 ターゲット
Claims (1)
- 【請求項1】 球面形状に加工された基板上に2種類以
上の物質を交互に積層して非球面ミラーを製造する方法
において、前記基板上に2種類以上の物質を交互に積層して、表面
形状が非球面である多層膜を形成する第1の工程と、 前記多層膜の周期長を ミラー中心から周辺にわたる所定
箇所でX線回折法により測定する第2の工程と、 測定された前記周期長に応じて、前記所定箇所での周期
長が一定になるように多層膜を形成する第3の工程と、 前記第3の工程で形成された多層膜上に2種類以上の物
質を交互に積層して多層反射膜を形成する第4の工程と
を備えたことを特徴とする非球面ミラー製造方法。
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JP22755293A JP3267000B2 (ja) | 1993-09-13 | 1993-09-13 | 非球面ミラー製造方法 |
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---|---|---|---|
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---|---|
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Family Applications (1)
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
1993
- 1993-09-13 JP JP22755293A patent/JP3267000B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7858397B2 (en) | 1999-06-23 | 2010-12-28 | Cornell Research Foundation, Inc. | Dehydration/rehydration of derivatized, marker-loaded liposomes on a test device and method of use thereof |
US6576460B1 (en) | 1999-10-28 | 2003-06-10 | Cornell Research Foundation, Inc. | Filtration-detection device and method of use |
US7718388B2 (en) | 2002-05-31 | 2010-05-18 | Cornell Research Foundation, Inc. | Universal biosensor and methods of use |
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