JP3178182B2 - 非球面ミラー製造方法 - Google Patents

非球面ミラー製造方法

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JP3178182B2 JP22755393A JP22755393A JP3178182B2 JP 3178182 B2 JP3178182 B2 JP 3178182B2 JP 22755393 A JP22755393 A JP 22755393A JP 22755393 A JP22755393 A JP 22755393A JP 3178182 B2 JP3178182 B2 JP 3178182B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、X線縮小投影露光装置
等に用いられる非球面ミラーを製造する方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】非球面光学素子は、天体望遠鏡のシュミ
ットプレート等の一部の特殊な分野では古くから利用さ
れている。最近では、収差の抑制等を目的として、カメ
ラレンズや半導体製造用露光装置等に広く用いられるよ
うになり、非球面形状に加工するための超精密加工技術
の研究開発が精力的に行なわれている。ミラーやレンズ
を非球面形状に加工する方法として、切削加工、研削加
工、研磨加工等の従来からの加工技術を改良した方法
と、イオンビームや反応性蒸気等を用いて表面を除去す
る新規な加工方法が研究されている。また、高精度に加
工した球面形状の基板上に非球面量分だけの薄膜を形成
する付加加工法や、モールドやプレスによる加工方法も
知られている。このような加工方法によって作製された
非球面光学素子の形状は、ルビー球などからなるプロー
ブを光学素子表面に接触させることで、あるいは光プロ
ーブや原子間力プローブなどを用いて非接触のままで、
3次元的に測定される。また、2次非球面(放物面、双
曲面、楕円面)形状の場合、反射光が球面波になるよう
な適当な光学系を用いることにより、球面形状と同様に
干渉計による形状測定も行なえる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】半導体集積回路の微細
化に伴い、光の回折限界によって制限される光学系の解
像力を向上させるために、従来の紫外線に代わってこれ
より波長の短いX線を用いた縮小投影リソグラフィー技
術の開発が進められている(例えば、solid state tech
nology 日本語版 1991年9月号 P19参照)。しかし、
X線の波長域の光線は、すべての物質に対して屈折率が
ほぼ1であるため、レンズによって屈折させることはで
きない。このため、X線の波長域における光学系はすべ
て反射系で構成する必要がある。また、球面光学素子だ
けで光学系を構成すると、収差を十分に補正することが
できないため、露光領域を大きくすることができない。
したがって、実用的な露光領域(約20〜30mm四
方)を得るためには、非球面光学素子を用いて反射系を
構成しなければならない。非球面光学素子を用いて反射
系を構成する場合、屈折率の異なる物質を複数層重ねた
多層膜構造にするのが望ましい。多層膜中の各膜で反射
される反射波の位相が合うように多層膜を形成すること
により、各膜での反射率の加算分の反射率が得られるた
め、例えば、モリブデンとシリコンによる多層膜の場
合、波長130オングストローム付近のX線に対して、
60〜70%の反射率が得られる。
【0004】一般に、光学系の回折限界の解像力を得る
ためには、使用する光の波長の数分の1程度の形状精度
を有する光学素子が要求される。従って、非球面ミラー
を軟X線のような波長の短い光(波長200オングスト
ローム以下)を反射させる目的に使用する場合、非常に
高い形状精度(数10オングストローム以下)でミラー
を作製する必要がある。また、ミラーの表面にはX線を
反射するための多層膜が形成されるが、その反射率を損
なわないために、表面粗さも十分小さく(数オングスト
ローム以下)しなければならない。球面形状のミラーの
場合、従来の研磨加工技術によって上記の要求精度に近
い形状を作製することは可能である。しかしながら非球
面ミラーの場合、従来の加工技術では、作製した非球面
ミラー形状を精度よく測定してその測定結果に基づいて
非球面ミラー形状を修正する有効な手段がなかったた
め、λ/10(λ=6328オングストローム)程度の形状精
度しか得られなかった。したがって、作製した非球面ミ
ラーをX線縮小投影露光装置に用いても、所望の性能が
得られなかった。
【0005】本発明の目的は、測定された非球面量に基
づいて多層膜を部分的に除去することで、非球面ミラー
を低コストかつ精度よく作製することのできる非球面ミ
ラー製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、球面形状に加
工された基板上に2種類以上の物質を交互に積層する工
程と、積層された多層膜表面の一部を除去して非球面形
状を創生する工程と、除去された多層膜表面の模様から
非球面形状を測定する工程とを備え、これによって上記
目的が達成される。請求項2に記載された発明は、目標
とする非球面形状に応じて予め決定された多層膜の膜厚
となるように多層膜を積層するものである。請求項3に
記載された発明は、3種類以上の物質を交互に積層して
多層膜を形成するものである。
【0007】
【作用】除去された多層膜表面の模様から非球面形状を
測定し、その測定結果に応じて多層膜表面の一部を除去
して、所望の非球面形状を創生する。請求項2に記載の
発明では、非球面形状の変化量が大きい場合には、各膜
厚を厚くし、小さい場合には薄くする。その結果、形状
測定に適した模様を得ることができる。請求項3に記載
の発明では、除去された面に露出された3種類の物質の
層の並びが傾斜方向に応じて異なるため、その並び順に
基づいて多層膜表面の傾斜方向の識別が可能となる。
【0008】なお、本発明の構成を説明する上記課題を
解決するための手段と作用の項では、本発明を分かり易
くするために実施例の図を用いたが、これにより本発明
が実施例に限定されるものではない。
【0009】
【実施例】
−第1の実施例− 図1は本発明による非球面ミラー製造装置の一実施例の
全体概略構成図である。第1の実施例では、放物面ミラ
ーを作製する例を説明する。放物面ミラーの断面をXY
座標で表すと、図2のようになり、放物面ミラーの非球
面量(球面からのずれ量)は、(1)式で示される。
【数1】 (1)式において、Rは近軸曲率半径であり、rはX方
向距離である。
【0010】図1において、1は合成石英で形成された
基板である。本実施例では、基板1は、従来の研磨加工
技術により、曲率半径600mm、直径90mm、中心
厚さ15mmの凹面の球面ミラーとして予め作製され
る。加工された基板1は、干渉計を用いた測定によると
16λ/10000(λ=6328オングストローム)
程度の形状精度を有し、その表面粗さを触針式による測
定で3オングストローム以内に収まるようにした。この
基板1は、不図示のステージによって固定され、基板1
の中心軸の回りを所定速度で回転する。
【0011】2は蒸着物質を基板1に付着させるイオン
ビームスパッタ装置であり、アルゴンイオンビーム11
を発射するイオン源12と、ターゲット13とから構成
される。ターゲット13にアルゴンイオンビーム11が
照射されると、その衝突のエネルギーによってターゲッ
ト13から蒸着物質14がたたき出される。本実施例で
は、2種類のターゲット13(モリブデンとシリコン)
を用いて基板1上に多層膜を形成する。各ターゲットは
移動可能であり、蒸着させる物質用のターゲットを図中
の位置に設置して蒸着を行なう。そして、一層分の薄膜
が形成されると、ターゲットを交換して材料の異なる薄
膜を一層分形成する。この工程を繰り返すことにより、
図3(a)に示すような多層膜21を形成する。この多
層膜の周期長は数十オングストローム、積層数は数十〜
数百層対である(図3(a)では簡略化のため多層膜の
一部のみを示す)。
【0012】3はターゲット13と基板1の間に設けら
れたマスクであり、その透過部31の形状に応じて蒸着
物質14の基板1への付着具合を変更することができ
る。したがって、非球面の形状に応じて透過部31の形
状を変更して膜厚を制御することができる。また、イオ
ンビームスパッタ装置2には固有の膜厚特性があるた
め、これも考慮に入れて予めシミュレーションを行な
い、最適な形状の透過部31を有するマスク3を作製し
ておく。4は、基板1上に形成された多層膜の周期長分
布を、CuKα特性X線(波長1.54オングストロー
ム)を用いて測定するX線回折装置である。X線回折装
置4では、X線を多層膜に照射し、多層膜を形成する各
膜から反射された反射波の回折強度を測定することで、
多層膜の周期長を測定する。また、測定された回折強度
のピーク分布によって、多層膜を形成する各膜の膜厚を
測定することもできる。X線回折装置4の測定精度は
0.1%程度であるため、例えば1μmの非球面量(球
面からのずれ量)の測定誤差は10オングストローム程
度となる。このようにして、基板1上に均一な厚さの球
面形状の多層膜21を形成する。なお、多層膜21の表
面は後述するように非球面形状に加工されるため、その
加工量を見込んで多層膜21は厚めに形成しておく。
【0013】また、多層膜21の周期長d、後述する表
面分析装置6の空間分解能s、非球面量の変化量dAs
/drの間には、一般に(2)式の関係が成り立つ必要
がある。
【数2】 この(2)式からわかるように、空間分解能sが大きい
(分解能が悪い)ほど、また非球面量の変化が大きいほ
ど、多層膜21の周期長を大きくしなければならない。
したがって、作製する非球面ミラーの非球面量と、測定
に使用する表面分析装置6の空間分解能とに応じて、多
層膜21の周期長を予め定めておく必要がある。5は多
層膜表面を加工する表面加工装置である。この表面加工
装置5として、多層膜表面を局所的に研磨するスモール
ツール研磨装置と、多層膜表面にイオンビームを照射し
て局所的に表面を除去するイオンビーム装置等があり、
これらの装置によって多層膜表面を加工すると、図3
(b)に示すような非球面形状が得られる。
【0014】図4はスモールツール研磨装置の概略図で
ある。この装置は、回転するポリッシャ31とこのポリ
ッシャ31を所定圧力で押圧するコイルばね32とを備
えた研磨ヘッド33を有し、図示の多層膜21が形成さ
れた基板を回転させて、多層膜表面に垂直な方向から一
定荷重をかけて研磨する。研磨量はポリッシャ31の滞
留時間(ポリッシャ31が所定位置に留って研磨する時
間)に比例する。6は加工された多層膜表面の状態を計
測する表面分析装置である。この表面分析装置6とし
て、CCDカメラ等を用いて撮影した多層膜表面の撮影
画像によって分析する装置や、オージェ分光装置等を用
いて化学的に表面状態を分析する装置がある。この表面
分析装置6によって表面状態を分析した結果、多層膜表
面が所望の放物面ミラーと異なる場合は、再度表面加工
装置5で多層膜表面を修正し、表面分析装置6で表面状
態を分析する。この修正加工工程を繰り返すことによっ
て、所望の放物面ミラーが得られる。
【0015】図3(c)はスモールツール研磨装置を用
いて多層膜表面を研磨して作製した放物面ミラーの表面
を、CCDカメラで撮影した画像である。図示のよう
に、多層膜表面には、非球面形状によってそれぞれ異な
る縞模様が現れる。したがって、この縞模様の形を比較
することで、所望の非球面ミラーが作製できたか否かが
判断できる。なお、図3(c)では簡略化のため、縞を
数本しか描いていないが、実際には数十本から数百本の
縞が現れる。表面分析装置6は、CCDカメラで撮影さ
れた縞模様から非球面量を求め、設計理論値との差分を
演算する。
【0016】図5は修正加工工程を5回繰り返して作製
した放物面ミラーの非球面形状(有効半径90mm、近
軸曲率半径600mm)である。作製した放物面ミラー
の設計理論値からのずれは、ミラー全面で10オングス
トロームと測定された。多層膜形成前の球面の形状精度
が16λ/10000≒10オングストロームであるた
め、作製した放物面ミラーの形状精度は20オングスト
ローム以下となる。また、表面粗さを測定した結果、放
物面ミラーの表面粗さは多層膜形成前の基板1の表面粗
さと同様であることがわかった。
【0017】このようにして作製した放物面ミラーは、
X線光学素子として用いることができる。例えば、X線
縮小投影露光装置に用いられる波長130オングストロ
ームの軟X線を反射させる非球面ミラーを作製する場
合、非球面ミラー上に周期長67オングストローム、積
層数が各50層のモリブデン/シリコン多層膜を形成す
る。これにより、非球面ミラーの近軸曲率半径と同様の
曲率半径を持つ球面鏡を使用した場合に比べて、光学系
の収差を大幅に減少させることができ、装置の結像性能
を飛躍的に向上させることができる。
【0018】このように、第1の実施例によれば、CC
Dカメラで撮影した画像に基づいて、従来のスモールツ
ール研磨装置で多層膜表面を加工して非球面ミラーを作
製するため、低コストで高精度の非球面ミラーを作製で
きる。
【0019】−第2の実施例− 第2の実施例では、楕円面ミラーを作製する例を説明す
る。この実施例によって作製される楕円面ミラーの楕円
は、(3)式で示される。
【数3】 (3)式において、Rは近軸曲率半径であり、κは非球
面の形状を表す非球面係数である。楕円面ミラーは、
(3)式で示される楕円をその短軸の回りに回転させた
形状を有する。この第2の実施例は、図1に示す第1の
実施例と同様の構成を有するため、以下では相違点を中
心に説明する。
【0020】第2の実施例では、第1の実施例と同様に
合成石英を用いた基板1に対して予め加工を加え、曲率
半径600mm、直径90mm、中心厚さ15mmに加
工された球面ミラーを作製する。作製された基板1は、
干渉計を用いた測定によると12λ/10000(λ=
6328オングストローム)程度の形状精度を有し、そ
の表面粗さを触針式による測定で3オングストローム以
内に収めるようにした。この基板1上に、イオンビーム
スパッタ装置2とマスク3を用いてタングステンカーバ
イト(WC)とシリコンカーバイト(SiC)とからな
る多層膜21を形成する。この多層膜21の周期長を5
0オングストローム(WCの厚さを20オングストロー
ム、SiCの厚さを30オングストローム)とし、積層
数を各150層としたため、多層膜全体の厚さは0.7
5μmとなる。作製された多層膜21の周期長のずれ
は、X線回折装置4を用いた測定によると、ミラー全面
で0.1オングストローム以内に収まった。
【0021】第2の実施例では、表面加工装置5として
イオンビーム加工装置を用い、その概略構成図は図6に
示される。図6において、イオン源41から発射された
アルゴンイオンビーム42は多層膜21に照射され、そ
の表面の物質を除去する。第2の実施例で用いたアルゴ
ンイオンビーム42は、半値幅(ビーム最大強度の半分
以上の強度を有するビーム幅)が約0.5mm直径のガ
ウス分布形状のビームである。イオン源41は多層膜表
面に平行に移動可能であるため、表面の任意の場所にビ
ームを照射させることができる。イオン源41の運転条
件(イオンビーム加速電圧、イオンビーム電流)を一定
にすると加工速度を一定にできるため、所望の楕円面を
形成するのに必要とされるビーム照射時間を各場所ごと
に予め計算しておき、それに基づいて多層膜21の加工
を行なう。
【0022】多層膜21の全面について一通りの加工が
終了すると、表面分析装置6としてオージェ分光装置を
用いて、多層膜表面の縞模様、すなわち表面に現れたW
CとSiCの面内分布を計測する。オージェ分光装置は
多層膜表面に高エネルギーの電子を射出し、多層膜表面
から放出されたオージェ電子のエネルギーを分析するこ
とで多層膜表面の組成分布を計測する。この場合の空間
分解能は1μmであり、この計測結果から非球面形状を
求め、設計理論値との差分を演算する。そして、その演
算結果に基づいて、再度イオンビーム加工装置を作動さ
せて多層膜表面を除去した後、オージェ分光装置によっ
て差分を演算する。以上の修正加工工程を所定回数繰り
返すことにより、所望の楕円面ミラーが得られる。
【0023】図7は修正加工工程を3回繰り返して作製
した楕円面ミラーの非球面形状(有効半径12mm、近
軸曲率半径50mm、非球面係数κ=0.5、長軸20
0mm、短軸141.421mm、非球面量の最大値
0.655μm)である。作製した楕円ミラーの設計理
論値からのずれは、ミラー全面で7オングストロームと
測定された。多層膜形成前の球面の形状精度が12λ/
10000≒8オングストロームであるため、最終的な
非球面ミラーの形状精度は15オングストローム以下と
なる。また、測定の結果、多層膜形成後の非球面ミラー
の表面粗さは、多層膜形成前の基板1の表面粗さから変
化しないことがわかった。
【0024】このように、第2の実施例では、表面加工
装置5にイオンビーム加工装置を用いたため、第1の実
施例よりも木目細かく多層膜21を修正することができ
る。また、表面分析装置6にオージェ分光装置を用いた
ため、表面状態をより詳細に計測できる。特に、多層膜
21を構成する物質の組合わせによっては、可視光で観
察できない場合があるが、そのような場合でも、オージ
ェ分光装置によれば、表面の組成分布を正確に計測でき
る。
【0025】上記第2の実施例では、表面加工装置5に
イオンビーム加工装置を、表面分析装置6にオージェ分
光装置を用いたが、オージェ分光装置には被測定物をス
パッタするためのイオン銃が備わっているため、これを
表面加工装置5として使用してもよい。
【0026】上記各実施例において、2種類の物質から
成る多層膜21を用いる場合、図8(a)のように多層
膜表面が右上がりになっているのか、図8(b)のよう
に右下がりになっているのか区別することができない。
したがって、傾斜方向を正確に識別する必要がある場
合、3種類以上の物質から成る多層膜を用いればよい。
このようにすると、図9のように、右上がりの傾斜と右
下がりの傾斜では異なる縞模様が現れるため、傾斜方向
の識別が可能となる。また、非球面量の変化が大きいほ
ど、縞模様の間隔は狭くなるが、その間隔が極端に狭く
なると、隣り合う縞同士を区別できなくなり、非球面形
状を正確に計測できなくなる。したがって、非球面量の
変化が大きい場合には、多層膜を形成する各膜の厚さを
厚くすればよい。逆に、非球面量の変化が少ない場合に
は縞模様の間隔は広くなるが、その間隔が広くなりすぎ
ると多層膜表面方向の分解能が悪くなる。したがって、
このような場合には、多層膜を形成する物質の種類を増
やすとともに、多層膜を形成する各膜の膜厚を薄くすれ
ばよい。
【0027】上記各実施例では、放物面や楕円面等の2
次非球面ミラーの作製について説明したが、本発明は2
次非球面以外の高次非球面の作製にも適用できる。した
がって、非球面ミラーの設計の自由度が向上する。上記
第1の実施例ではモリブデンとシリコンによって、第2
の実施例ではタングステンカーバイトとシリコンカーバ
イトによって、それぞれ多層膜を形成したが、作製する
非球面形状、非球面ミラーの作製に用いる表面加工装置
や表面分析装置の種類等によって、最適な物質を組合わ
せて多層膜を形成するのが望ましい。上記各実施例で
は、最も形状精度の要求が厳しい軟X線用の非球面ミラ
ーについて説明したが、本発明はこのような用途に限定
されることはなく、紫外線、可視光、赤外線などあらゆ
る波長の光学系に広く適用できる。上記各実施例で多層
膜を形成する際には、X線回析の結果に応じて、マスク
を用いて膜厚を制御しているが、マスクを用いずに、例
えば光CVDによる選択成長等によって膜厚を制御して
もよい。上記各実施例では、イオンビームスパッタ装置
によって多層膜を形成しているが、真空蒸着やCVD等
のその他の薄膜形成法によって形成してもよい。上記各
実施例では、球面ミラー上に同じ球面形状の多層膜を形
成した後に、非球面ミラーを作製しているが、球面ミラ
ー上に大雑把な精度で非球面形状の多層膜を形成した
後、上記のように研磨して精度の高い非球面ミラーに仕
上げてもよい。なお、上記実施例では球面形状の基板を
用いたが、楕円面形状等の曲率半径を種々に変えた球面
形状の基板を使用でき、例えば曲率半径を無限大とした
平面形状の基板を使用してもよい。
【0028】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、積層された多層膜表面の一部を除去して得られる
多層膜表面の模様から非球面形状を測定するため、非球
面ミラーを精度よく作製できる。また多層膜を形成する
工程と非球面形状を創生する工程には従来の方法がその
まま適用できるため、低コストに本発明を実現すること
ができる。また、請求項2に記載された発明では、非球
面形状の変化量が大きい場合には各膜厚を厚くし、小さ
い場合には薄くするため、非球面形状の測定に適した多
層膜表面の模様が得られる。さらに、請求項3に記載さ
れた発明では、3種類以上の物質を交互に積層して多層
膜を形成するため、多層膜表面の傾斜方向を識別するこ
とが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による非球面ミラー製造装置の一実施例
のブロック図である。
【図2】放物面ミラーの断面図である。
【図3】(a)は多層膜の断面図、(b)は加工された
多層膜の断面図、(c)は加工された多層膜を上方から
見た図である。
【図4】スモールツール研磨装置の概略図である。
【図5】作製された放物面ミラーの特性図である。
【図6】イオンビーム加工装置の概略図である。
【図7】作製された楕円面ミラーの特性図である。
【図8】2種類の物質で多層膜を形成した場合の断面図
と、その多層膜を上方から見た図である。
【図9】3種類の物質で多層膜を形成した場合の断面図
と、その多層膜を上方から見た図である。
【符号の説明】
1 基板 2 イオンビームスパッタ装置 3 マスク 4 X線回折装置 5 表面加工装置 6 表面分析装置 11 アルゴンイオンビーム 12 イオン源 13 ターゲット 14 蒸着物質

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 球面形状に加工された基板上に2種類以
    上の物質を交互に積層する工程と、積層された多層膜表
    面の一部を除去して非球面形状を創生する工程と、除去
    された多層膜表面の模様から非球面形状を測定する工程
    とを備えたことを特徴とする非球面ミラー製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載された非球面ミラー製造
    方法において、 目標とする非球面形状に応じて予め決定された多層膜の
    膜厚となるように多層膜を積層する非球面ミラー製造方
    法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2のいずれかに記載され
    た非球面ミラー製造方法において、 3種類以上の物質を交互に積層して多層膜を形成したこ
    とを特徴とする非球面ミラー製造方法。
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