JP3266589B2 - 複合型磁気ヘッド - Google Patents

複合型磁気ヘッド

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は複合型磁気ヘッドに
係り、特に、磁気記録媒体に磁気情報を記録する記録用
ヘッドと磁気記録媒体の磁気情報を再生する再生用ヘッ
ドとを有する複合型磁気ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、コンピュータ等の磁気記録装置の
磁気記録媒体であるハードディスクに情報の記録、再生
等の磁気情報処理を行なうための磁気ヘッドにおいて
は、静止状態では、磁気記録媒体に接触し、動作状態で
磁気記録媒体から浮上して所定の磁気記録または再生を
行なう浮上式の磁気ヘッドが多く用いられている。
【0003】このような磁気ヘッドにおいて、1つのヘ
ッドで磁気情報の記録、再生を行なうようにすると、再
生出力が小さくなってしまうことから、従来から、記録
用ヘッドと再生用ヘッドとを組合わせた複合型の磁気ヘ
ッドが用いられるようになっている。
【0004】そして、近年、磁気情報処理の分解能が極
めて高く、しかも、磁気記録媒体に対する相対速度の依
存性がないことから、近年の高密度記録に対して極めて
有効な磁気抵抗効果素子(MR素子)を用いた磁気抵抗
効果型ヘッド(MRヘッド)が開発されており、前記複
合型磁気ヘッドとして、再生側に磁気抵抗効果型ヘッド
を用いるとともに、記録側に一対のコアを有する通常の
磁気ヘッドを用いた複合型の磁気ヘッドが開発されてい
る。
【0005】図3はこのような従来の複合型磁気ヘッド
を示したもので、この複合型磁気ヘッド1は、磁気情報
を読み取る再生用の磁気抵抗効果型ヘッド2と、磁気情
報を書込む記録用の通常の磁気ヘッド3とを有してい
る。
【0006】前記磁気抵抗効果型ヘッド2は、例えば、
磁気抵抗効果膜の一側にスペーサ層を介してバイアス層
を形成してなりハードディスク等の図示しない磁気記録
媒体のトラック幅とほぼ同様の幅寸法を有する磁気抵抗
効果素子4を有しており、この磁気抵抗効果素子4は、
磁気記録媒体に対して垂直に、かつ、磁気記録媒体のト
ラック幅方向に位置するように配設されている。また、
前記磁気抵抗効果素子4の両側には、この磁気抵抗効果
素子4により検出する磁界の空間分解能を高めるために
磁気記録媒体の隣接するトラックに至るように前記磁気
抵抗効果素子4の幅寸法に対して大きな幅寸法を有する
一対のシールド5,5が所定間隔を有するように配設さ
れており、前記磁気抵抗効果素子4の両側部分には、前
記磁気抵抗効果素子4に一定の電圧を印加するための図
示しないリード線が接続されている。
【0007】また、前記磁気抵抗効果型ヘッド2の一側
には、磁気ヘッド3が配設されており、この磁気ヘッド
3は、図示しないコイルが巻回された一対のコア6,6
を有している。そして、前記コア6の間には、前記磁気
抵抗効果型ヘッド2の磁気抵抗効果素子4に対応する位
置にギャップ7が形成されている。
【0008】このような従来の複合型磁気ヘッドにおい
ては、この複合型磁気ヘッド1を前記磁気記録媒体の磁
気記録面に摺動させながら、前記磁気抵抗効果型ヘッド
2の磁気抵抗効果素子4に前記リード線を介して所定の
電圧を印加して、磁気抵抗効果素子4にバイアス磁界を
かけることにより、磁気記録媒体の各トラックから生じ
る磁界により前記磁気抵抗効果素子4の抵抗値が変化
し、この抵抗値の変化に応じて磁界の強さを検出するこ
とにより、所定の磁気情報を再生するようになってい
る。
【0009】また、前記磁気ヘッド3により、所定の磁
気情報を磁気記録媒体に記録するようになされている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記従来の複
合型磁気ヘッドにおいては、磁気抵抗効果型ヘッド2に
よる再生トラックと、磁気ヘッド3による記録トラック
とが磁気記録媒体の同一トラック上に位置するように配
置させているので、磁気情報の記録時に発生する記録磁
界の洩れ磁界が磁気抵抗効果素子4に悪影響を及ぼして
しまうという問題を有しており、これにより、前記磁気
抵抗効果型ヘッド2による再生特性が著しく悪化してし
まうという問題を有している。
【0011】本発明は前記した点に鑑みてなされたもの
で、記録用ヘッドによる再生用ヘッドに対する悪影響を
防止して再生特性を著しく高めることができ、磁気記録
の高密度化に適正に対応することのできる複合型磁気ヘ
ッドを提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
請求項1に記載の発明に係る複合型磁気ヘッドは、磁気
記録媒体に磁気情報を記録する記録用ヘッドと磁気記録
媒体の磁気情報を再生する再生用ヘッドとを有する複合
型磁気ヘッドにおいて、前記再生用ヘッドは、磁気抵抗
効果素子の両側に一対のシールドを所定間隔を有するよ
うに配設してなる磁気抵抗効果型ヘッドであり、前記記
録ヘッドは磁気記録媒体との対向面でギャップを介して
対向した一対のコアと、前記磁気記録媒体との対向面よ
り内部で前記一対のコアの間に巻回されたコイルとを備
え、前記記録用ヘッドと再生用ヘッドとのトラック位置
が前記磁気記録媒体のトラック幅方向にずらして配置さ
れ、前記記録用ヘッドのギャップによる記録トラックと
前記再生用ヘッドの磁気抵抗効果素子の再生用トラック
とが重なり合わないように配置されていることを特徴と
するものである。
【0013】この請求項1に記載の発明によれば、磁気
記録媒体に磁気情報を記録する記録用ヘッドと、磁気記
録媒体の磁気情報を再生する再生用ヘッドとのトラック
位置を磁気記録媒体のトラック幅方向にずらして配置す
るとともに、記録用ヘッドのギャップによる記録トラッ
クと再生用ヘッドの磁気抵抗効果素子の再生用トラック
とが重なり合わないように配置するようにしているの
で、記録用ヘッドによる磁気情報の記録時に生じる磁気
が、再生用ヘッドに悪影響を及ぼすことを確実に防止す
ることができるものである。
【0014】また、請求項2に記載の発明は、請求項1
においては、前記磁気抵抗効果型ヘッドの一方のシール
ドを前記記録用ヘッドの一方のコアとして共用させて前
記記録用ヘッドの他方のコアとがギャップを介して対向
するように配設されていることを特徴とするものであ
る。
【0015】この請求項2に記載の発明によれば、磁気
抵抗効果型ヘッドの一方のシールドを記録用ヘッドの一
方のコアとして共用させて記録用ヘッドの他方のコアと
がギャップを介して対向するように配設しているので、
複合型磁気ヘッドの全体の厚さ寸法を低減することが可
能となり、また、部品点数の低減を図り、製造コストの
低減を図ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図1お
よび図2を参照し、図3と同一部分には同一符号を付し
て説明する。
【0017】図1は本発明に係る複合型磁気ヘッドの実
施の一形態を示したもので、この複合型磁気ヘッド1
は、磁気記録媒体の磁気情報を読み取るリード側の磁気
抵抗効果型ヘッド2と、磁気記録媒体に磁気情報を書込
むライト側の通常の磁気ヘッド3とを有している。
【0018】前記磁気抵抗効果型ヘッド2は、例えば、
磁気抵抗効果膜の一側にスペーサ層を介してバイアス層
を形成してなる磁気抵抗効果素子4を有しており、この
磁気抵抗効果素子4は、磁気記録媒体に対して垂直に、
かつ、磁気記録媒体のトラック幅方向に位置するように
配設されている。また、前記磁気抵抗効果素子4の両側
には、この前記磁気抵抗効果素子4の幅寸法に対して大
きな幅寸法を有する一対のシールド5,5が所定間隔を
有するように配設されており、前記磁気抵抗効果素子4
の両側部分には、前記磁気抵抗効果素子4に一定の電圧
を印加するための図示しないリード線が接続されてい
る。
【0019】また、前記磁気抵抗効果型ヘッド2の一側
には、図示しないコイルが巻回されたコア6を有する磁
気ヘッド3が配設されており、この磁気ヘッド3は、前
記磁気抵抗効果型ヘッド2の一方のシールド5を一方の
コア6として共用するようになされている。このように
磁気抵抗効果型ヘッド2の一方のシールド5を一方のコ
ア6として共用することにより、複合型磁気ヘッドの全
体の厚さ寸法を低減することが可能となる。
【0020】さらに、本実施形態においては、前記磁気
ヘッド3のコア6の間に形成されるギャップ7は、前記
磁気抵抗効果型ヘッド2の磁気抵抗効果素子4に対して
磁気記録媒体のトラック幅方向に位置をずらして配置さ
れるとともに、磁気ヘッド3のギャップ7による記録ト
ラックと、前記磁気抵抗効果型ヘッド2の磁気抵抗効果
素子4の再生用トラックとが重なり合わないように配置
されている。
【0021】次に、本実施形態の作用について説明す
る。
【0022】本実施形態においては、前記複合型磁気ヘ
ッド1を、例えば、ハードディスク等の前記磁気記録媒
体の磁気記録面に摺動させながら、前記磁気抵抗効果型
ヘッド2の磁気抵抗効果素子4に前記リード線を介して
所定の電圧を印加して、磁気抵抗効果素子4にバイアス
磁界をかけることにより、磁気記録媒体の各トラックか
ら生じる磁界により前記磁気抵抗効果素子4の抵抗値が
変化し、この抵抗値の変化に応じて磁界の強さを検出す
ることにより、所定の磁気情報を再生するようになって
いる。
【0023】また、前記磁気ヘッド3により、所定の磁
気情報を磁気記録媒体に記録するようになされている。
【0024】この場合に、本実施形態においては、磁気
抵抗効果型ヘッド2の磁気抵抗効果素子4による再生ト
ラックと、磁気ヘッド3のギャップ7による記録トラッ
クとを磁気記録媒体のトラック幅方向にずらして形成す
るとともに、磁気ヘッド3のギャップ7による記録トラ
ックと、磁気抵抗効果型ヘッド2の磁気抵抗効果素子4
の再生用トラックとが重なり合わないように配置するよ
うにしているので、前記磁気ヘッド3による磁気情報の
記録時に生じる磁気が、磁気抵抗効果型ヘッド2の磁気
抵抗効果素子4に悪影響を及ぼすことを確実に防止する
ことができるようになっている。このように、磁気ヘッ
ド3のギャップ7による記録トラックと、前記磁気抵抗
効果型ヘッド2の磁気抵抗効果素子4の再生用トラック
とが重なり合わないように配置することにより、一対の
コア6とコイルとからなる磁気回路のインダクタンスを
低下させて、記録効率の向上を図ることができ、高周波
記録に有利となり、高密度記録に最適なものとなる。
【0025】そして、前記複合型磁気ヘッド1は、所定
の制御駆動回路による所定のサーボ信号に基づいて駆動
制御するようになされているが、本実施形態において
は、再生トラック位置と記録トラック位置とがトラック
幅方向にずれているため、再生時には磁気抵抗効果型ヘ
ッド2の磁気抵抗効果素子4がトラック部分に位置する
とともに、記録時には磁気ヘッド3のギャップ7がトラ
ック部分に位置するように、駆動制御する必要があり、
再生時と記録時とで異なるサーボ信号により駆動制御し
なければならない。そのため、ヘッドの駆動制御が多少
複雑にはなるが、近年の磁気に対する磁気情報の高密度
化に伴い、磁気記録媒体のトラック幅は、約6μm程度
と極めて狭くなっているため、磁気による悪影響を除去
することが、高密度の記録、再生に有効な手段となるも
のである。
【0026】したがって、本実施形態においては、再生
用の磁気抵抗効果型ヘッド2による再生トラックと、記
録用の磁気ヘッド3のギャップ7による記録トラックと
を磁気記録媒体のトラック幅方向にずらして形成するよ
うにしているので、前記磁気ヘッド3による磁気情報の
記録時に生じる磁気が、磁気抵抗効果型ヘッド2の磁気
抵抗効果素子4に悪影響を及ぼすことを確実に防止する
ことができ、磁気抵抗効果型ヘッド2の磁気特性を著し
く高めることができる。
【0027】また、図2は本発明の他の実施形態を示し
たもので、本実施形態においては、前記磁気抵抗効果型
ヘッド2の一方のシールド5にスリット8を形成し、前
記磁気ヘッド3のコア6を形成する部分と、磁気抵抗効
果素子4のシールド5として機能する部分とを分離させ
るようにしたものである。
【0028】その他の部分は、前記実施形態のものと同
様である。
【0029】本実施形態においては、前記シールド5に
形成されたスリット8により、磁気ヘッド3のコア6と
して機能するシールド5が磁気抵抗効果型ヘッド2のシ
ールド5に対して確実に分離されることになり、これに
より、前記磁気抵抗効果型ヘッド2と磁気ヘッド3とを
確実に分離させることができ、磁気ヘッド3による磁気
抵抗効果型ヘッド2に対する悪影響を防止することがで
きる。
【0030】したがって、本実施形態においても前記実
施形態と同様に、磁気抵抗効果型ヘッド2による再生ト
ラックと、磁気ヘッド3による記録トラックとを磁気記
録媒体のトラック幅方向にずらして形成するとともに、
スリット8によりシールド5を分離させるようにしてい
るので、前記磁気ヘッド3による磁気情報の記録時に生
じる磁気が、磁気抵抗効果型ヘッド2の磁気抵抗効果素
子4に悪影響を及ぼすことを確実に防止することがで
き、磁気抵抗効果型ヘッド2の磁気特性を著しく高める
ことができる。
【0031】なお、本発明は前記した各実施形態のもの
に限定されるものではなく、例えば、磁気ヘッドを薄膜
ヘッドにより構成する等、必要に応じて種々変更するこ
とが可能である。
【0032】
【発明の効果】以上述べたように請求項1に記載の発明
に係る複合型磁気ヘッドは、記録用ヘッドと再生用ヘッ
ドとのトラック位置を磁気記録媒体のトラック幅方向に
ずらして配置するとともに、記録用ヘッドのギャップに
よる記録トラックと再生用ヘッドの磁気抵抗効果素子の
再生用トラックとが重なり合わないように配置するよう
にしたので、記録用ヘッドによる磁気情報の記録時に生
じる磁気が、再生用ヘッドに悪影響を及ぼすことを確実
に防止することができ、磁気抵抗効果型ヘッドの磁気特
性を著しく高めることができる。
【0033】また、請求項2に記載の発明は、磁気抵抗
効果型ヘッドの一方のシールドを記録用ヘッドの一方の
コアとして共用させて記録用ヘッドの他方のコアとがギ
ャップを介して対向するように配設したので、複合型磁
気ヘッドの全体の厚さ寸法を低減することが可能とな
り、また、部品点数の低減を図り、製造コストの低減を
図ることができる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る複合型磁気ヘッドの実施形態を
示す平面図
【図2】 本発明に係る複合型磁気ヘッドの他の実施形
態を示す平面図
【図3】 従来の複合型磁気ヘッドを示す平面図
【符号の説明】
1 複合型磁気ヘッド 2 磁気抵抗効果型ヘッド 3 磁気ヘッド 4 磁気抵抗効果素子 5 シールド 6 コア 7 ギャップ 8 スリット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 5/39 G11B 5/265 G11B 5/31

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気記録媒体に磁気情報を記録する記録
    用ヘッドと磁気記録媒体の磁気情報を再生する再生用ヘ
    ッドとを有する複合型磁気ヘッドにおいて、前記再生用
    ヘッドは、磁気抵抗効果素子の両側に一対のシールドを
    所定間隔を有するように配設してなる磁気抵抗効果型ヘ
    ッドであり、前記記録ヘッドは磁気記録媒体との対向面
    でギャップを介して対向した一対のコアと、前記磁気記
    録媒体との対向面より内部で前記一対のコアの間に巻回
    されたコイルとを備え、前記記録用ヘッドと再生用ヘッ
    ドとのトラック位置が前記磁気記録媒体のトラック幅方
    向にずらして配置され、前記記録用ヘッドのギャップに
    よる記録トラックと前記再生用ヘッドの磁気抵抗効果素
    子の再生用トラックとが重なり合わないように配置され
    ていることを特徴とする複合型磁気ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記磁気抵抗効果型ヘッドの一方のシー
    ルドを前記記録用ヘッドの一方のコアとして共用させて
    前記記録用ヘッドの他方のコアとがギャップを介して対
    向するように配設されていることを特徴とする請求項1
    に記載の複合型磁気ヘッド。
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