JP3265587B2 - 血清非要求性ジヒドロ葉酸還元酵素欠損チャイニーズ・ハムスターオバリー細胞の形質転換体、その製造方法及び異種蛋白質の製造方法 - Google Patents
血清非要求性ジヒドロ葉酸還元酵素欠損チャイニーズ・ハムスターオバリー細胞の形質転換体、その製造方法及び異種蛋白質の製造方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、無血清培地で増殖継代
可能なジヒドロ葉酸還元酵素欠損チャイニーズ・ハムス
ターオバリー細胞の形質転換体及びその製造方法、当該
形質転換体による異種蛋白質の製造方法に関する。
可能なジヒドロ葉酸還元酵素欠損チャイニーズ・ハムス
ターオバリー細胞の形質転換体及びその製造方法、当該
形質転換体による異種蛋白質の製造方法に関する。
【0002】
【従来技術・発明が解決しようとする課題】従来、ジヒ
ドロ葉酸還元酵素欠損チャイニーズ・ハムスターオバリ
ー細胞(以下、「CHO dhfr- 細胞」という。)は、
種々の遺伝子発現の宿主として汎用されている。この細
胞株は、dhfr遺伝子とともに種々の遺伝子を形質導入し
た後、メソトレキセート(MTX)を含む培地中で培養
することにより導入した遺伝子を増幅させることが可能
であり〔Kaufman,R.J.et.al,J.Mol.Biol.159,601(198
2)〕、そのため目的の遺伝子産物の産生分泌量は数10
μg/mlのオーダーに達する〔Kaufman,R.J.et.al,Mol.
Cell.Biol.5(7),1750(1985) 、Kaufman,R.J.et.al,J.Bi
ol.Chem.261(21),9622(1986)〕。しかし、この細胞株は
培養において血清依存性が高く、一般には、ウシ胎児、
ウマまたはヒト等の血清を1〜15%の濃度で使用しな
ければならなかった。
ドロ葉酸還元酵素欠損チャイニーズ・ハムスターオバリ
ー細胞(以下、「CHO dhfr- 細胞」という。)は、
種々の遺伝子発現の宿主として汎用されている。この細
胞株は、dhfr遺伝子とともに種々の遺伝子を形質導入し
た後、メソトレキセート(MTX)を含む培地中で培養
することにより導入した遺伝子を増幅させることが可能
であり〔Kaufman,R.J.et.al,J.Mol.Biol.159,601(198
2)〕、そのため目的の遺伝子産物の産生分泌量は数10
μg/mlのオーダーに達する〔Kaufman,R.J.et.al,Mol.
Cell.Biol.5(7),1750(1985) 、Kaufman,R.J.et.al,J.Bi
ol.Chem.261(21),9622(1986)〕。しかし、この細胞株は
培養において血清依存性が高く、一般には、ウシ胎児、
ウマまたはヒト等の血清を1〜15%の濃度で使用しな
ければならなかった。
【0003】しかし、血清含有培地を使用する際には以
下の様な問題があった。 血清自体が高価なためコスト高となる。 血清にはロット差があり、再現性のある培養には不
利である。 産生物の培養上清からの精製が困難となる。 ウイルスやマイコプラズマの汚染源となる恐れがあ
る。
下の様な問題があった。 血清自体が高価なためコスト高となる。 血清にはロット差があり、再現性のある培養には不
利である。 産生物の培養上清からの精製が困難となる。 ウイルスやマイコプラズマの汚染源となる恐れがあ
る。
【0004】このような現状に鑑みて、無血清培地で増
殖継代可能なCHO dhfr- 細胞の形質転換体の検索及
び異種蛋白質の製造方法の検討がなされているが、いず
れも満足した結果は得られていない。
殖継代可能なCHO dhfr- 細胞の形質転換体の検索及
び異種蛋白質の製造方法の検討がなされているが、いず
れも満足した結果は得られていない。
【0005】本発明の第1の目的は、無血清培地で増殖
継代可能なCHO dhfr- 細胞の形質転換体を提供する
ことである。
継代可能なCHO dhfr- 細胞の形質転換体を提供する
ことである。
【0006】本発明の第2の目的は、効率的な上記形質
転換体の製造方法を提供することである。
転換体の製造方法を提供することである。
【0007】本発明の第3の目的は、上記形質転換体よ
り異種蛋白質を大量に製造する方法を提供することであ
る。
り異種蛋白質を大量に製造する方法を提供することであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成するため鋭意研究を重ねた結果、無血清培地で増殖
継代可能なCHO dhfr- 細胞の形質転換体を創製する
ことに成功し、さらに研究を重ねて本発明を完成した。
達成するため鋭意研究を重ねた結果、無血清培地で増殖
継代可能なCHO dhfr- 細胞の形質転換体を創製する
ことに成功し、さらに研究を重ねて本発明を完成した。
【0009】即ち、第1番目の本発明は、無血清培地で
増殖継代可能なCHO dhfr- 細胞の形質転換体であ
る。
増殖継代可能なCHO dhfr- 細胞の形質転換体であ
る。
【0010】第2番目の発明は、CHO dhfr- 細胞を
形質転換させた後、無血清培地にて培養することを特徴
とする上記第1番目の本発明形質転換体の製造方法であ
る。
形質転換させた後、無血清培地にて培養することを特徴
とする上記第1番目の本発明形質転換体の製造方法であ
る。
【0011】第3番目の発明は、CHO dhfr- 細胞を
無血清培地にて順化させた後、形質転換することを特徴
とする上記第1番目の本発明形質転換体の製造方法であ
る。
無血清培地にて順化させた後、形質転換することを特徴
とする上記第1番目の本発明形質転換体の製造方法であ
る。
【0012】第4番目の発明は、上記第1番目の本発明
形質転換体を無血清培地で培養して異種蛋白質を発現さ
せることを特徴とする異種蛋白質の製造方法である。
形質転換体を無血清培地で培養して異種蛋白質を発現さ
せることを特徴とする異種蛋白質の製造方法である。
【0013】本発明の血清非要求性CHO dhfr- 細胞
の形質転換体は、CHO dhfr- 細胞を、形質転換させ
た後、無血清培地にて培養することによって製造するこ
とができるほか、無血清培地にて順化させた後、形質転
換することによっても製造できる。
の形質転換体は、CHO dhfr- 細胞を、形質転換させ
た後、無血清培地にて培養することによって製造するこ
とができるほか、無血清培地にて順化させた後、形質転
換することによっても製造できる。
【0014】本発明の形質転換する方法は特に制限され
るものではなく、リン酸カルシウム法(M.Wiglerら、Ce
ll、11巻、223頁、1977年)、マイクロインジ
ェクション法(W.F.Andersonら、Proc.Natl.Acad.Sci.U
SA、77巻、5399頁、1980年)、細胞融合法
(W.Scheffaer ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、77巻、
2163頁、1980年)、エレクトロポレーション
法、DEAEデキストラン法等により、目的の構造遺伝
子を含むDNAと、ジヒドロ葉酸還元酵素をコードする
遺伝子を宿主細胞に導入することができる。該構造遺伝
子は、プロウロキナーゼ、アンチトロンビン−III (A
T−III)に限られるものではなく、その他ヒト血漿蛋白
質、各種蛋白質性ホルモン、成長因子、ウィルス抗原、
レセプター等の公知の種々の遺伝子発現にも使用するこ
とができる。ジヒドロ葉酸還元酵素をコードする遺伝子
は、マウスのジヒドロ葉酸還元酵素のcDNA以外に、
他の動物由来の遺伝子でも、染色体由来の遺伝子であっ
ても何らさしつかえない。遺伝子が導入された形質転換
細胞は、ヒポキサンチン、チミジン等の塩基(核酸類)
を含まない培地、例えば透析した10%ウシ胎児血清を
含むMEM−αで選択可能であり、更に順次高濃度のメ
トトレキセートで処理することにより、細胞あたりの遺
伝子のコピー数を増幅させ、目的蛋白質の産生量を増加
させることもできる。
るものではなく、リン酸カルシウム法(M.Wiglerら、Ce
ll、11巻、223頁、1977年)、マイクロインジ
ェクション法(W.F.Andersonら、Proc.Natl.Acad.Sci.U
SA、77巻、5399頁、1980年)、細胞融合法
(W.Scheffaer ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、77巻、
2163頁、1980年)、エレクトロポレーション
法、DEAEデキストラン法等により、目的の構造遺伝
子を含むDNAと、ジヒドロ葉酸還元酵素をコードする
遺伝子を宿主細胞に導入することができる。該構造遺伝
子は、プロウロキナーゼ、アンチトロンビン−III (A
T−III)に限られるものではなく、その他ヒト血漿蛋白
質、各種蛋白質性ホルモン、成長因子、ウィルス抗原、
レセプター等の公知の種々の遺伝子発現にも使用するこ
とができる。ジヒドロ葉酸還元酵素をコードする遺伝子
は、マウスのジヒドロ葉酸還元酵素のcDNA以外に、
他の動物由来の遺伝子でも、染色体由来の遺伝子であっ
ても何らさしつかえない。遺伝子が導入された形質転換
細胞は、ヒポキサンチン、チミジン等の塩基(核酸類)
を含まない培地、例えば透析した10%ウシ胎児血清を
含むMEM−αで選択可能であり、更に順次高濃度のメ
トトレキセートで処理することにより、細胞あたりの遺
伝子のコピー数を増幅させ、目的蛋白質の産生量を増加
させることもできる。
【0015】CHO dhfr- 細胞は、Urlaub及びChasi
n、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、77巻、4216頁、1
980年に記載の方法で調製され、増殖される。無血清
培地として特に好ましいものは、本発明者らが初めて提
案する新規培地である。即ち、基礎培地にインスリン、
ペプトン、トランスフェリンおよびアルブミンから選ば
れる少なくとも1つを含有させた培地であり、その最も
好ましいものは基礎培地にインスリン、ペプトン、トラ
ンスフェリンおよびアルブミンを全て添加した培地であ
る。
n、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、77巻、4216頁、1
980年に記載の方法で調製され、増殖される。無血清
培地として特に好ましいものは、本発明者らが初めて提
案する新規培地である。即ち、基礎培地にインスリン、
ペプトン、トランスフェリンおよびアルブミンから選ば
れる少なくとも1つを含有させた培地であり、その最も
好ましいものは基礎培地にインスリン、ペプトン、トラ
ンスフェリンおよびアルブミンを全て添加した培地であ
る。
【0016】基礎培地としては、細胞培養のためのすべ
ての公知培地を使用することができ、例えばダルベッコ
MEM(DMEM)培地、ハムF12培地およびRPM
I1640培地が例示され、就中RPMI1640培地
が好適である。
ての公知培地を使用することができ、例えばダルベッコ
MEM(DMEM)培地、ハムF12培地およびRPM
I1640培地が例示され、就中RPMI1640培地
が好適である。
【0017】上記新規無血清培地における各種添加物の
量は、インスリン0.01〜50mg/l、就中0.1〜2mg/
l、ペプトン0.1〜100g/l、就中4〜6g/l、トラ
ンスフェリン0.1〜50mg/l、就中9〜11mg/l、アル
ブミン0.01〜10g/l、就中0.1〜2g/lである。
量は、インスリン0.01〜50mg/l、就中0.1〜2mg/
l、ペプトン0.1〜100g/l、就中4〜6g/l、トラ
ンスフェリン0.1〜50mg/l、就中9〜11mg/l、アル
ブミン0.01〜10g/l、就中0.1〜2g/lである。
【0018】本発明において使用されるインスリンは、
その由来には特に制限はなく、好適にはウシ由来のもの
が使用される。本発明において使用されるペプトンは、
その由来には特に制限はなく、好適には牛肉由来ペプト
ン(BP)が使用される。本発明において使用されるト
ランスフェリンは、その由来には特に制限はなく、好適
にはヒト又はウシ由来のものが使用される。本発明にお
いて使用されるアルブミンは、その由来には特に制限は
なく、好適にはヒト血清アルブミン(HSA)、ウシ血
清アルブミン(BSA)が使用される。
その由来には特に制限はなく、好適にはウシ由来のもの
が使用される。本発明において使用されるペプトンは、
その由来には特に制限はなく、好適には牛肉由来ペプト
ン(BP)が使用される。本発明において使用されるト
ランスフェリンは、その由来には特に制限はなく、好適
にはヒト又はウシ由来のものが使用される。本発明にお
いて使用されるアルブミンは、その由来には特に制限は
なく、好適にはヒト血清アルブミン(HSA)、ウシ血
清アルブミン(BSA)が使用される。
【0019】上記の新規無血清培地には、必要により、
更にヒポキサンチン0.1〜100mg/l、就中10〜15
mg/l、チミジン0.01〜100mg/l、就中2〜5mg/l、
セレン0.01〜100μg/l、就中2〜5μg/l、α−
トコフェロール(ビタミンE)0.001〜10mg/l、就
中0.1〜0.5mg/lを加えることができる。
更にヒポキサンチン0.1〜100mg/l、就中10〜15
mg/l、チミジン0.01〜100mg/l、就中2〜5mg/l、
セレン0.01〜100μg/l、就中2〜5μg/l、α−
トコフェロール(ビタミンE)0.001〜10mg/l、就
中0.1〜0.5mg/lを加えることができる。
【0020】耐性遺伝子を有するベクターがトランスフ
ェクションされた動物細胞を培養しようとする場合に
は、トランスフェクションされたプラスミドの安定性を
保つために該培地に更にベクター中に含有された耐性遺
伝子に相応する選択剤を加えることもある。選択剤とし
ては、当業者には周知のもの、例えばネオマイシン、ヒ
グロマイシン、マイコフェノール酸、ヒポキサンチン、
キサンチン、アミノブチリンまたはメトトレキセイト
(MTX)及びその誘導体等が例示される。
ェクションされた動物細胞を培養しようとする場合に
は、トランスフェクションされたプラスミドの安定性を
保つために該培地に更にベクター中に含有された耐性遺
伝子に相応する選択剤を加えることもある。選択剤とし
ては、当業者には周知のもの、例えばネオマイシン、ヒ
グロマイシン、マイコフェノール酸、ヒポキサンチン、
キサンチン、アミノブチリンまたはメトトレキセイト
(MTX)及びその誘導体等が例示される。
【0021】本発明の血清非要求性CHO dhfr- 細胞
の形質転換体は、公知の無血清培地においても増殖継代
可能であるが、特に、上記の新規無血清培地における増
殖継代性にすぐれている。
の形質転換体は、公知の無血清培地においても増殖継代
可能であるが、特に、上記の新規無血清培地における増
殖継代性にすぐれている。
【0022】本発明の血清非要求性CHO dhfr- 細胞
の形質転換体は、宿主となるCHOdhfr- 細胞を形質転
換させた後、無血清培地にて培養することによって、好
ましくは当該細胞を低密度処理することよって製造する
ことができる。具体的には、CHO dhfr- 細胞を自体
既知の手段にて形質転換させた後、無血清培地に懸濁
し、対数増殖期の細胞を10〜10,000細胞/ml程度、好ま
しくは10〜1000細胞/ml程度の濃度で適当な培養
容器(例えばウェルプレート、ディッシュ等)に植え込
み、1ヶ月程度培養する。この間、数日間隔、好ましく
は3から6日ごとに培地交換を行うことにより製造する
ことができる。
の形質転換体は、宿主となるCHOdhfr- 細胞を形質転
換させた後、無血清培地にて培養することによって、好
ましくは当該細胞を低密度処理することよって製造する
ことができる。具体的には、CHO dhfr- 細胞を自体
既知の手段にて形質転換させた後、無血清培地に懸濁
し、対数増殖期の細胞を10〜10,000細胞/ml程度、好ま
しくは10〜1000細胞/ml程度の濃度で適当な培養
容器(例えばウェルプレート、ディッシュ等)に植え込
み、1ヶ月程度培養する。この間、数日間隔、好ましく
は3から6日ごとに培地交換を行うことにより製造する
ことができる。
【0023】上記低密度処理による取得法は単に例示に
すぎず、この他血清非要求性を目的とした変異原処理や
血清含有培地から無血清培地への徐々の適用によっても
取得できる。
すぎず、この他血清非要求性を目的とした変異原処理や
血清含有培地から無血清培地への徐々の適用によっても
取得できる。
【0024】本発明の血清非要求性CHO dhfr- 細胞
の形質転換体は、宿主となるCHOdhfr- 細胞を無血清
培地にて順化させた後、好ましくは当該細胞を低密度処
理した後、形質転換させることによっても製造すること
ができる。当該形質転換体による異種蛋白質の発現は前
述の如く、自体既知の手段にて行えばよい。
の形質転換体は、宿主となるCHOdhfr- 細胞を無血清
培地にて順化させた後、好ましくは当該細胞を低密度処
理した後、形質転換させることによっても製造すること
ができる。当該形質転換体による異種蛋白質の発現は前
述の如く、自体既知の手段にて行えばよい。
【0025】本発明の異種蛋白質の製造方法によれば、
例えばアンチトロンビン−III 、プロウロキナーゼ、組
織プラスミノーゲンアクチベータ、B型肝炎表面抗原、
プレS−B型肝炎表面抗原、インターフェロン−γ、コ
ロニー形成刺激因子等の異種蛋白質を製造することがで
きる。
例えばアンチトロンビン−III 、プロウロキナーゼ、組
織プラスミノーゲンアクチベータ、B型肝炎表面抗原、
プレS−B型肝炎表面抗原、インターフェロン−γ、コ
ロニー形成刺激因子等の異種蛋白質を製造することがで
きる。
【0026】
【実施例】以下に、本発明を詳細に説明するため実施例
を挙げるが、本発明はこれらによって何ら限定されるも
のではない。
を挙げるが、本発明はこれらによって何ら限定されるも
のではない。
【0027】実施例1 形質転換した後、無血清培地で
培養する方法で得られた形質転換体によるAsn24−P
PAの産生 無血清培地(GCM001培地)の作製 基礎培地としてRPMI1640培地(日水製薬社製)
〔Goding,J.W(1980)J.Immunol.Methods 39,285,JAMA199
(1957) 〕10.2gを用い、添加物としてインスリン1m
g、BP(牛肉由来ペプトン)5g、トランスフェリン
10mg、HSA(ヒト血清アルブミン)1g、ヒポキサ
ンチン13mg、チミジン4mg、α−トコフェロール0.1
3mg及びセレン4μgを用いて無血清培地(以下、「G
CM001培地」という。)1リットルを作製した。
培養する方法で得られた形質転換体によるAsn24−P
PAの産生 無血清培地(GCM001培地)の作製 基礎培地としてRPMI1640培地(日水製薬社製)
〔Goding,J.W(1980)J.Immunol.Methods 39,285,JAMA199
(1957) 〕10.2gを用い、添加物としてインスリン1m
g、BP(牛肉由来ペプトン)5g、トランスフェリン
10mg、HSA(ヒト血清アルブミン)1g、ヒポキサ
ンチン13mg、チミジン4mg、α−トコフェロール0.1
3mg及びセレン4μgを用いて無血清培地(以下、「G
CM001培地」という。)1リットルを作製した。
【0028】 培養容器 低密度処理には、96ウェルプレート(costarR ,Data
Packing Corp) 、その後のスケールアップには、6ウェ
ルプレート(Falcon R,Becton Dickinson)を用いた。
Packing Corp) 、その後のスケールアップには、6ウェ
ルプレート(Falcon R,Becton Dickinson)を用いた。
【0029】 形質転換体の製造 ヒトプロウロキナーゼ産生dhfr活性欠損CHO細胞
(Asn24−PPA産生4μM MTX耐性細胞)を特
願平3−93105号明細書に記載の方法に準じて製造
した。以下、Asn24−PPAと称する。
(Asn24−PPA産生4μM MTX耐性細胞)を特
願平3−93105号明細書に記載の方法に準じて製造
した。以下、Asn24−PPAと称する。
【0030】 Asn24−PPA産生細胞からの血清
非要求性株の分離 10%FCSを添加したMEM−α培地で継代培養中の
細胞で、対数増殖期のものを用いた。0.125%トリプ
シンを含むPBS(−)で消化、分散させた細胞を、無
血清培地で洗浄した後、GCM001培地に浮遊させ細
胞数を調整した。96ウェルプレートの各ウェルに10
0個のAsn24−PPA産生細胞を播種しGCM001
培地で培養を行った。PA活性の測定はフィブリン平板
法で行い、Urokinase reference standard(株式会社ミ
ドリ十字社製, Lot.S-004)を標準品として用いた。
非要求性株の分離 10%FCSを添加したMEM−α培地で継代培養中の
細胞で、対数増殖期のものを用いた。0.125%トリプ
シンを含むPBS(−)で消化、分散させた細胞を、無
血清培地で洗浄した後、GCM001培地に浮遊させ細
胞数を調整した。96ウェルプレートの各ウェルに10
0個のAsn24−PPA産生細胞を播種しGCM001
培地で培養を行った。PA活性の測定はフィブリン平板
法で行い、Urokinase reference standard(株式会社ミ
ドリ十字社製, Lot.S-004)を標準品として用いた。
【0031】 結果 96ウェルプレートの各ウェルにAsn24−PPA産生
細胞を100細胞/ウェルの濃度で播種し、5〜6日毎
に培地半量交換を行い培養した結果、約3週間後より6
79ウェル中6ウェルで細胞の増殖が浮遊状態で認めら
れた。これらの培養上精中のPA活性を調べた結果、表
1に示したようにすべての血清非要求性株でAsn24−
PPAの産生が認められた。特にAsn24−PPA産生
細胞−B株は518.7IU/mlの産生量を示した。この
細胞をスケールアップしさらに産生能を調べた結果、8
0×104 細胞/mlの植え込みでは培養3日目で296
2.1IU/mlのAsn24−PPA産生を示し、160×
104 細胞/mlの植え込みでは、培養1日目ですでに1
000IU/mlを越える産生量を示した。その結果を表
2に示した。
細胞を100細胞/ウェルの濃度で播種し、5〜6日毎
に培地半量交換を行い培養した結果、約3週間後より6
79ウェル中6ウェルで細胞の増殖が浮遊状態で認めら
れた。これらの培養上精中のPA活性を調べた結果、表
1に示したようにすべての血清非要求性株でAsn24−
PPAの産生が認められた。特にAsn24−PPA産生
細胞−B株は518.7IU/mlの産生量を示した。この
細胞をスケールアップしさらに産生能を調べた結果、8
0×104 細胞/mlの植え込みでは培養3日目で296
2.1IU/mlのAsn24−PPA産生を示し、160×
104 細胞/mlの植え込みでは、培養1日目ですでに1
000IU/mlを越える産生量を示した。その結果を表
2に示した。
【0032】
【表1】血清非要求性Asn24−PPA産生細胞の96ウ
ェルプレート中でのPA活性
ェルプレート中でのPA活性
【0033】
【表2】
【0034】a)植え込み細胞数 b)IU/ml c)×104 cells/ml
【0035】Asn24−PPA産生細胞−B株を表2に
示した播種濃度で6ウェルプレートの各ウェルに植え込
み、3日間培養した。生細胞数と上清中のPA活性をそ
れぞれ血球計算盤とフィブリン平板法で毎日測定した。
数値は2ウェルの平均値である。
示した播種濃度で6ウェルプレートの各ウェルに植え込
み、3日間培養した。生細胞数と上清中のPA活性をそ
れぞれ血球計算盤とフィブリン平板法で毎日測定した。
数値は2ウェルの平均値である。
【0036】以上の結果より、CHO dhfr- 細胞由来
異種タンパク産生細胞からの血清非要求性株の分離が確
認された。なお、本Asn24−PPA産生細胞−B株は
寄託番号IFO 50331,菌株名T8M−Bとして
寄託されている。
異種タンパク産生細胞からの血清非要求性株の分離が確
認された。なお、本Asn24−PPA産生細胞−B株は
寄託番号IFO 50331,菌株名T8M−Bとして
寄託されている。
【0037】実施例2 形質転換した後、無血清培地に
て培養する方法で得られた形質転換体によるAT−III
の産生無血清培地の作製及び培養容器については実施例
1、に記載の方法に準じて行った。
て培養する方法で得られた形質転換体によるAT−III
の産生無血清培地の作製及び培養容器については実施例
1、に記載の方法に準じて行った。
【0038】 形質転換体の製造 (1) オリゴヌクレオチドの合成 自動DNA合成機を用いて、2種類のプローブ(プロー
ブ−1、プローブ−2)及びプライマー(プライマー−
1)を作製した。各々の塩基配列をそれぞれ以下に示
す。
ブ−1、プローブ−2)及びプライマー(プライマー−
1)を作製した。各々の塩基配列をそれぞれ以下に示
す。
【0039】プローブ−1(翻訳開始コドンからの51
塩基配列の相補鎖DNA) 5’−ATAAACCTTCCTTTTTCCAGAG
GTTACAGTTCCTATCACATTGGAAT
ACAT−3’
塩基配列の相補鎖DNA) 5’−ATAAACCTTCCTTTTTCCAGAG
GTTACAGTTCCTATCACATTGGAAT
ACAT−3’
【0040】プローブ−2(成熟AT−III の244番
目のグリシン残基のコドンからの51塩基配列の相補鎖
DNA) 5’−CAGGCTCTTCTCAGGCTTGGGC
AAGATGAGGACCATGGTGATGTCAT
CACC−3’
目のグリシン残基のコドンからの51塩基配列の相補鎖
DNA) 5’−CAGGCTCTTCTCAGGCTTGGGC
AAGATGAGGACCATGGTGATGTCAT
CACC−3’
【0041】プライマー−1〔翻訳停止コドン(下線)
を含む32塩基DNA。4塩基(*印)が置換されてい
る〕 ** ** 5’−GTGTTAAGTAAAAGCTTCGAAT
TCTTTGCACC−3’
を含む32塩基DNA。4塩基(*印)が置換されてい
る〕 ** ** 5’−GTGTTAAGTAAAAGCTTCGAAT
TCTTTGCACC−3’
【0042】(2) ヒトAT−III をコードするcDNA
のクローニング ヒト肝臓細胞のメッセンジャーRNA(mRNA)をオ
リゴdTカラムを用いて単離し(Chirgwinら、Biochemi
stry 18 :5294-5299, 1979)、ショ糖密度勾配遠心法に
より、サイズ分画した(Schweinfest ら、Proc.Natl.Ac
ad.Sci.USA 79:4979,1982)。適切な大きさのmRNA
(至28S)を材料に、常法(Okayamaら、Mol.Cell.Bi
ol. 2 :161, 1982)に従って、λgt10(Huynthら、D
NA Cloning 1 : 49, 1985) をベクターとしてcDNA
ライブラリーを作製した。報告されているAT−III の
cDNAの塩基配列をもとに作製した2種類のプローブ
(前記)を用いてプラークハイブリダイゼーション(Be
ntonら、Science196 : 181, 1977)を行った。陽性クロ
ーンを単離し、ファージDNAを調製した。制限酵素Ec
oRIで消化し、約1500bpのcDNA挿入部を切り
出し、プラスミドpUC118(Vieiraら、Meth.in En
zymology 153 : 3, 1987) にリクローニングした。この
プラスミドをpEA001と命名し、その挿入配列に関
してジデオキシ法(Sangerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA
74 : 5463,1977)により塩基配列を確認した。
のクローニング ヒト肝臓細胞のメッセンジャーRNA(mRNA)をオ
リゴdTカラムを用いて単離し(Chirgwinら、Biochemi
stry 18 :5294-5299, 1979)、ショ糖密度勾配遠心法に
より、サイズ分画した(Schweinfest ら、Proc.Natl.Ac
ad.Sci.USA 79:4979,1982)。適切な大きさのmRNA
(至28S)を材料に、常法(Okayamaら、Mol.Cell.Bi
ol. 2 :161, 1982)に従って、λgt10(Huynthら、D
NA Cloning 1 : 49, 1985) をベクターとしてcDNA
ライブラリーを作製した。報告されているAT−III の
cDNAの塩基配列をもとに作製した2種類のプローブ
(前記)を用いてプラークハイブリダイゼーション(Be
ntonら、Science196 : 181, 1977)を行った。陽性クロ
ーンを単離し、ファージDNAを調製した。制限酵素Ec
oRIで消化し、約1500bpのcDNA挿入部を切り
出し、プラスミドpUC118(Vieiraら、Meth.in En
zymology 153 : 3, 1987) にリクローニングした。この
プラスミドをpEA001と命名し、その挿入配列に関
してジデオキシ法(Sangerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA
74 : 5463,1977)により塩基配列を確認した。
【0043】(3) AT−III 発現用プラスミド(pTY
007)の作製 該プラスミドは、以下の3種のプラスミド(pEA00
3、pSV11−dhfr、pTT006)を用いて作
製する。
007)の作製 該プラスミドは、以下の3種のプラスミド(pEA00
3、pSV11−dhfr、pTT006)を用いて作
製する。
【0044】pEA003:pUC118にAT−III
cDNAを組み込んだプラスミドで、site-directed mu
tagenesisによりAT−III cDNAのpolyA添加
配列の上流にEcoRIサイトとHindIII サイトが導入され
ている。
cDNAを組み込んだプラスミドで、site-directed mu
tagenesisによりAT−III cDNAのpolyA添加
配列の上流にEcoRIサイトとHindIII サイトが導入され
ている。
【0045】pSV11−dhfr:pSV11−dh
frはpSV2−dhfrのEcoRIサイト近傍にXbaIサ
イトを導入したプラスミドで、SV40由来の初期プロ
モーターとエンハンサー、マウスdhfr cDNA、
SV40由来のスプライシングジャンクションとpol
yA添加配列を含んでいる。
frはpSV2−dhfrのEcoRIサイト近傍にXbaIサ
イトを導入したプラスミドで、SV40由来の初期プロ
モーターとエンハンサー、マウスdhfr cDNA、
SV40由来のスプライシングジャンクションとpol
yA添加配列を含んでいる。
【0046】pTT006:特願平3−93105号明
細書に記載の方法に準じて作製した。
細書に記載の方法に準じて作製した。
【0047】pEA003の作製:部位特異的塩基置換
法(Sayersら、Nucl.Acids Res. 16 : 791, 1988) によ
り、プライマー(前記)を用いて、pEA001中のA
T−III のコード領域とポリアデニル酸テールの間にHi
ndIII 及び、EcoRIサイト設けた。このプラスミドをp
EA003(図1参照)と命名した。pEA003はEc
oRIで消化することにより、約1400bpのポリアデ
ニル酸テールを含まないAT−III のcDNAを取り出
すことが可能である。
法(Sayersら、Nucl.Acids Res. 16 : 791, 1988) によ
り、プライマー(前記)を用いて、pEA001中のA
T−III のコード領域とポリアデニル酸テールの間にHi
ndIII 及び、EcoRIサイト設けた。このプラスミドをp
EA003(図1参照)と命名した。pEA003はEc
oRIで消化することにより、約1400bpのポリアデ
ニル酸テールを含まないAT−III のcDNAを取り出
すことが可能である。
【0048】pSV11−dhfrの作製:pSV2−
dfhr(前記)をEcoRIで消化し、DNAポリメラー
ゼI(Klenow断片)を用いて平滑末端とした後、
Xba IリンカーをT4DNAリガーゼを用いて挿入し
た。このプラスミドをpSV11−dhfrと命名し
た。
dfhr(前記)をEcoRIで消化し、DNAポリメラー
ゼI(Klenow断片)を用いて平滑末端とした後、
Xba IリンカーをT4DNAリガーゼを用いて挿入し
た。このプラスミドをpSV11−dhfrと命名し
た。
【0049】pTT006の作製:特願平2−1235
73号公報に記載の方法に準じて作製した。
73号公報に記載の方法に準じて作製した。
【0050】pTY007の作製:AT−III 発現用プ
ラスミド(pTY007)の作製方法を図1に示した。
まず、pEA003よりEcoRIでAT−III cDNAを
切り出し、fill-in の後、BglII リンカーと結合した。
一方、pSV11−dhfrはHindIII 消化、fill-in
の後、BglII リンカーと結合し、さらにBglII で消化し
てマウスdhfrcDNAを取り除いた。これらをライ
ゲーションし、SV40プロモーターの支配下にAT−
III cDNAを発現するプラスミド(pTY006)を
作製した。
ラスミド(pTY007)の作製方法を図1に示した。
まず、pEA003よりEcoRIでAT−III cDNAを
切り出し、fill-in の後、BglII リンカーと結合した。
一方、pSV11−dhfrはHindIII 消化、fill-in
の後、BglII リンカーと結合し、さらにBglII で消化し
てマウスdhfrcDNAを取り除いた。これらをライ
ゲーションし、SV40プロモーターの支配下にAT−
III cDNAを発現するプラスミド(pTY006)を
作製した。
【0051】一方、pTT006を制限酵素で消化後、
fill-in し、UKプロモーターの支配下にマウスdhf
r cDNAを発現するユニット(EcoRI/HindIIIフラグ
メント)を単離した。制限酵素処理の際には、ApaLIを
用いて発現ユニット以外の部分を切断することにより、
目的のフラグメントの分離を容易にした。得られたdfhr
発現ユニットは、あらかじめXbaI消化とfill-in 処理を
行ったpTY006とライゲーションし、E.coli HB101
に導入した。出現したコロニーをスクリーニングした結
果、目的のプラスミド(pTY007)を持つ株を得
た。pTY007の制限酵素地図と遺伝子の配置を図2
に示した。
fill-in し、UKプロモーターの支配下にマウスdhf
r cDNAを発現するユニット(EcoRI/HindIIIフラグ
メント)を単離した。制限酵素処理の際には、ApaLIを
用いて発現ユニット以外の部分を切断することにより、
目的のフラグメントの分離を容易にした。得られたdfhr
発現ユニットは、あらかじめXbaI消化とfill-in 処理を
行ったpTY006とライゲーションし、E.coli HB101
に導入した。出現したコロニーをスクリーニングした結
果、目的のプラスミド(pTY007)を持つ株を得
た。pTY007の制限酵素地図と遺伝子の配置を図2
に示した。
【0052】(4) 動物細胞への導入 (a) プラスミド:pTY007 プラスミドは調製後、塩化セシウム平衝密度勾配遠心法
で精製した。
で精製した。
【0053】(b) 細胞:CHO−K1細胞由来dhf
r欠損株 Proc.Natl.Acad.Sci(USA) 77, 4216 (1980) に記載の方
法で調製、増殖させた。
r欠損株 Proc.Natl.Acad.Sci(USA) 77, 4216 (1980) に記載の方
法で調製、増殖させた。
【0054】(c) メトトレキセート(MTX) シグマ社製(+)Amethopterinを0.82%(w/v)塩化ナ
トリウム、0.02%(w/v)リン酸水素二ナトリウム、0.
56%(w/v)HEPES(ナカライテスク)に溶解し、
2mMストック液を調製した。これを培地に、目的の濃
度になるように添加し使用した。
トリウム、0.02%(w/v)リン酸水素二ナトリウム、0.
56%(w/v)HEPES(ナカライテスク)に溶解し、
2mMストック液を調製した。これを培地に、目的の濃
度になるように添加し使用した。
【0055】(d) 培地と血清 MEM-α(リボヌクレオシドとデオキシリボヌクレオシド
入り)(Gibco社製) MEM-α(リボヌクレオシドとデオキシリボヌクレオシド
無し)(Gibco社製) それぞれ、MEM-α(w)、MEM-α(w/o)と略す。血清は牛
胎児血清(FCS)(三菱化成HM01)を非働化し使
用した。
入り)(Gibco社製) MEM-α(リボヌクレオシドとデオキシリボヌクレオシド
無し)(Gibco社製) それぞれ、MEM-α(w)、MEM-α(w/o)と略す。血清は牛
胎児血清(FCS)(三菱化成HM01)を非働化し使
用した。
【0056】(e) DNA導入とトランスフェクタント
の選択 MEM-α(W), 10%FCSで継代しているCHO dhfr
- 細胞を0.25%トリプシン処理により、ディッシュよ
りはがし、5×105 個の細胞を10cmディッシュに
植え込み、リン酸カルシウム法によりトランスフェクシ
ョンを行った。リン酸カルシウム沈澱は、Cell Phect T
ransfection Kit (ファルマシア社製)を用いて調製し
た。まず、10μg 発現プラスミドを240μl の滅菌
水に溶解した。ここにキットのA液を240μl 添加
し、混合した後室温で10分間放置した。ここに480
μl のB液を添加し、室温で15分間放置した(全容9
60μl )。得られたリン酸カルシウム沈澱は、時間を
置かずに細胞に添加した。5.5時間培養した後、培地を
除去、洗浄後、3mlのグリセロール液(組成は以下の通
り)を添加した。
の選択 MEM-α(W), 10%FCSで継代しているCHO dhfr
- 細胞を0.25%トリプシン処理により、ディッシュよ
りはがし、5×105 個の細胞を10cmディッシュに
植え込み、リン酸カルシウム法によりトランスフェクシ
ョンを行った。リン酸カルシウム沈澱は、Cell Phect T
ransfection Kit (ファルマシア社製)を用いて調製し
た。まず、10μg 発現プラスミドを240μl の滅菌
水に溶解した。ここにキットのA液を240μl 添加
し、混合した後室温で10分間放置した。ここに480
μl のB液を添加し、室温で15分間放置した(全容9
60μl )。得られたリン酸カルシウム沈澱は、時間を
置かずに細胞に添加した。5.5時間培養した後、培地を
除去、洗浄後、3mlのグリセロール液(組成は以下の通
り)を添加した。
【0057】50% グリセロール 30ml 2×HBS*) 50ml 水 20ml*) 2×HBS(pH7.1):1.636%(w/v)塩化ナト
リウム, 1.118%(w/v) HEPES,0.04%(w/v)
リン酸水素二ナトリウム
リウム, 1.118%(w/v) HEPES,0.04%(w/v)
リン酸水素二ナトリウム
【0058】37℃で正確に2分間インキュベートした
後、グリセロール液を除去し、洗浄後、MEM−α
(w),10%FCSで3日間培養後、選択培地である
MEM−α(w/o),10%FCSに交換した。2〜
3日毎に培地交換を行い、約2週間した後、トランスフ
ェクタントのコロニー形成が見られた。トランスフェク
タントを96穴プレートに0.7細胞/ウェルの割合で植
え込んだ。各ウェルを検鏡し、1個のクローンのみが成
育しているウェルを選択した。そして上清のAT−III
量を測定し高い活性を与えた細胞をスケールアップし、
さらに再クローニングを行った後、MTXによるDNA
増幅に供した。
後、グリセロール液を除去し、洗浄後、MEM−α
(w),10%FCSで3日間培養後、選択培地である
MEM−α(w/o),10%FCSに交換した。2〜
3日毎に培地交換を行い、約2週間した後、トランスフ
ェクタントのコロニー形成が見られた。トランスフェク
タントを96穴プレートに0.7細胞/ウェルの割合で植
え込んだ。各ウェルを検鏡し、1個のクローンのみが成
育しているウェルを選択した。そして上清のAT−III
量を測定し高い活性を与えた細胞をスケールアップし、
さらに再クローニングを行った後、MTXによるDNA
増幅に供した。
【0059】(f) MTXによる導入遺伝子の増幅 上記(e) で得られたAT−III 産生細胞をMEM−α
(w/o),10%FCS,5nM MTXを培地とし
て2×105 細胞/ウェルの濃度で6穴プレートに植え
込んだ。3日毎に培地交換を続けていると耐性株の出現
が見られた。2〜4週間で充分な細胞数になるので、次
の段階のMTX濃度の培地に継代した。このように5n
MのMTX濃度からスタートして5〜20μMのMTX
濃度まで順次2〜4倍づつMTX濃度を上げていった。
各濃度のMTX耐性細胞はそれぞれ6穴プレートにて培
養した。
(w/o),10%FCS,5nM MTXを培地とし
て2×105 細胞/ウェルの濃度で6穴プレートに植え
込んだ。3日毎に培地交換を続けていると耐性株の出現
が見られた。2〜4週間で充分な細胞数になるので、次
の段階のMTX濃度の培地に継代した。このように5n
MのMTX濃度からスタートして5〜20μMのMTX
濃度まで順次2〜4倍づつMTX濃度を上げていった。
各濃度のMTX耐性細胞はそれぞれ6穴プレートにて培
養した。
【0060】(g) AT−III 産生量の検出 AT−III の遺伝子を導入したCHO細胞を10%FC
Sを加えたMEM−α(ギブコ社製)に懸濁し、6ウェ
ルプレートまたは直径10cmのペトリ皿で培養した。3
日毎に培地を交換し、細胞が飽和密度(約1×106 個
/ml)に達した後、培地を交換し、更に3日間培養を行
った。培養上清を回収し、上清中のAT−III をELI
SA法(stephensら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 84 : 3
886, 1987)により測定した。また、細胞を0.25%トリ
プシン(シグマ社製)処理で回収し、細胞数を計測し
た。
Sを加えたMEM−α(ギブコ社製)に懸濁し、6ウェ
ルプレートまたは直径10cmのペトリ皿で培養した。3
日毎に培地を交換し、細胞が飽和密度(約1×106 個
/ml)に達した後、培地を交換し、更に3日間培養を行
った。培養上清を回収し、上清中のAT−III をELI
SA法(stephensら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 84 : 3
886, 1987)により測定した。また、細胞を0.25%トリ
プシン(シグマ社製)処理で回収し、細胞数を計測し
た。
【0061】 AT−III 産生細胞からの血清非要求
性株の分離 実施例1に記載の方法に準じて行った。
性株の分離 実施例1に記載の方法に準じて行った。
【0062】 結果 AT−IIIの遺伝子を導入し、AT−IIIを産生し
ている血清要求性細胞株(親株)5株について無血清培
地(GCM001)への順化を試みた。96ウェルプレ
ートに100細胞/ウェルの密度でまきこんだところ、
細胞株によって異なった頻度(9〜84%)で増殖陽性
ウェルが観察された。順化した細胞株は細胞魂を形成し
浮遊して増殖するものであった。
ている血清要求性細胞株(親株)5株について無血清培
地(GCM001)への順化を試みた。96ウェルプレ
ートに100細胞/ウェルの密度でまきこんだところ、
細胞株によって異なった頻度(9〜84%)で増殖陽性
ウェルが観察された。順化した細胞株は細胞魂を形成し
浮遊して増殖するものであった。
【0063】取得した無血清培地で増殖可能な形質転換
細胞株はサブコンフルエント(約0.5×106 細胞/m
l)な状態で3日間培養することにより、AT−III の
産生量を調べた。5株のうち3株においては、高濃度
(4〜5μg/ml)のAT−IIIを産生していた。これ
らの高産生細胞株については、より高濃度(初濃度2×
106 細胞/ml)で培養した時の産生量を調べた。その
結果、細胞密度に依存してAT−III 産生量も増加し、
親株と同等な量のAT−III を産生しうることが確認さ
れた。
細胞株はサブコンフルエント(約0.5×106 細胞/m
l)な状態で3日間培養することにより、AT−III の
産生量を調べた。5株のうち3株においては、高濃度
(4〜5μg/ml)のAT−IIIを産生していた。これ
らの高産生細胞株については、より高濃度(初濃度2×
106 細胞/ml)で培養した時の産生量を調べた。その
結果、細胞密度に依存してAT−III 産生量も増加し、
親株と同等な量のAT−III を産生しうることが確認さ
れた。
【0064】
【表3】
【0065】AT−III 産生CHO細胞株5株をGCM
001培地にて懸濁し、100細胞/ウェルでそれぞれ
2枚のプレートにまきこんだ。1ヶ月後、増殖陽性ウェ
ルをカウントした。数値は2枚での平均値である。
001培地にて懸濁し、100細胞/ウェルでそれぞれ
2枚のプレートにまきこんだ。1ヶ月後、増殖陽性ウェ
ルをカウントした。数値は2枚での平均値である。
【0066】
【表4】
【0067】無血清培地中で増殖してきたAT−III 産
生細胞に関して、サブコンフルエントな状態(細胞密度
約0.5×106 cells/ml)で3日間培養を行った。培養
上清中のAT−III 濃度を測定した。
生細胞に関して、サブコンフルエントな状態(細胞密度
約0.5×106 cells/ml)で3日間培養を行った。培養
上清中のAT−III 濃度を測定した。
【0068】
【表5】
【0069】無血清培地中で増殖してきたAT−III 産
生細胞に関して、2×106 cells/mlで12ウェルプレ
ートに植え込み3日間培養を行った。親株の数値はコン
フルエント(2〜3×106 cells/ml)に達してから3
日間の血清培地での培養時のものである。なお、細胞株
A−aは寄託番号IFO 50330,菌株名18−1
3として寄託されている。
生細胞に関して、2×106 cells/mlで12ウェルプレ
ートに植え込み3日間培養を行った。親株の数値はコン
フルエント(2〜3×106 cells/ml)に達してから3
日間の血清培地での培養時のものである。なお、細胞株
A−aは寄託番号IFO 50330,菌株名18−1
3として寄託されている。
【0070】実施例3 宿主細胞を無血清培地にて順化
させた後、形質転換して得られた形質転換体によるAs
n24−PPAの産生無血清培地の作製については、実施
例1に準じて作製した。 宿主細胞の無血清培地へ
の順化 (1) 培養容器 培養容器については実施例1に準じた。
させた後、形質転換して得られた形質転換体によるAs
n24−PPAの産生無血清培地の作製については、実施
例1に準じて作製した。 宿主細胞の無血清培地へ
の順化 (1) 培養容器 培養容器については実施例1に準じた。
【0071】(2) GCM001培地におけるCHO dh
fr-細胞の低密度処理 血清含有培地で増殖させたCHO dhfr- 細胞をGCM
001培地に懸濁し、対数増殖期の細胞を100、1
0、1細胞/ウェルの各濃度でそれぞれ4枚の96ウェ
ルプレートに植え込んだ。3日〜4日ごとに培地交換を
行い、1ヶ月培養し、コロニー陽性ウェルを計測し、コ
ロニー出現率(%)を平均値±標準偏差で表6に表し
た。対照として0.1%非働化ウシ胎児血清(FCS)(B
oehringer Mannhaim Gmbh,Lot.698071 02)を加えたGC
M001培地を用い、上記と同様の操作を行った。
fr-細胞の低密度処理 血清含有培地で増殖させたCHO dhfr- 細胞をGCM
001培地に懸濁し、対数増殖期の細胞を100、1
0、1細胞/ウェルの各濃度でそれぞれ4枚の96ウェ
ルプレートに植え込んだ。3日〜4日ごとに培地交換を
行い、1ヶ月培養し、コロニー陽性ウェルを計測し、コ
ロニー出現率(%)を平均値±標準偏差で表6に表し
た。対照として0.1%非働化ウシ胎児血清(FCS)(B
oehringer Mannhaim Gmbh,Lot.698071 02)を加えたGC
M001培地を用い、上記と同様の操作を行った。
【0072】
【表6】
【0073】100細胞/ウェルで植え込んだプレート
においてはほとんど全ウェル(90%)において、10
細胞/ウェルでは約10%のウェルにおいて、1細胞/
ウェルでは約1%のウェルにおいて細胞の増殖が観察さ
れた。このことから、約100細胞に1細胞の割合でG
CM001培地中で増殖しうる細胞が取得できることが
確認できた。
においてはほとんど全ウェル(90%)において、10
細胞/ウェルでは約10%のウェルにおいて、1細胞/
ウェルでは約1%のウェルにおいて細胞の増殖が観察さ
れた。このことから、約100細胞に1細胞の割合でG
CM001培地中で増殖しうる細胞が取得できることが
確認できた。
【0074】(3) 血清非要求性CHO dhfr- 細胞の増
殖 上記(2) の方法で取得した血清非要求性CHO dhfr-
細胞を10cmディッシュまでスケールアップし、初濃度
2×105 細胞/ml(2ml)で6ウェルプレートに植え
込み、2、4、6日目の細胞数をマイクロセルカウンタ
ー(Sysmex F300,(株)日本医化器械製作所)で計測し
た。細胞のクローンにより多少の差が認められたが、概
ね倍加時間は1〜2日で、最も良好な増殖性を示した。
クローンの培養開始後、2〜4日の間の平均倍加時間は
1.1日となった。また、増殖飽和時間の細胞密度は2×
106 細胞/ml以上であった。こうして取得した血清非
要求性CHO dhfr- 細胞(寄託番号IFO 5032
9、菌株名GAU−32)を用いて形質転換を行った。
殖 上記(2) の方法で取得した血清非要求性CHO dhfr-
細胞を10cmディッシュまでスケールアップし、初濃度
2×105 細胞/ml(2ml)で6ウェルプレートに植え
込み、2、4、6日目の細胞数をマイクロセルカウンタ
ー(Sysmex F300,(株)日本医化器械製作所)で計測し
た。細胞のクローンにより多少の差が認められたが、概
ね倍加時間は1〜2日で、最も良好な増殖性を示した。
クローンの培養開始後、2〜4日の間の平均倍加時間は
1.1日となった。また、増殖飽和時間の細胞密度は2×
106 細胞/ml以上であった。こうして取得した血清非
要求性CHO dhfr- 細胞(寄託番号IFO 5032
9、菌株名GAU−32)を用いて形質転換を行った。
【0075】 DNA導入とトランスフェクタントの
選択 使用プラスミド pTT09:Asn24−PPA発現ユニットとDHFR
発現ユニットを有する(特願平3−93105号明細書
参照)。pSV−Gl−neo:選択マーカーとしてG
418耐性を与える(特開昭60−180591号公報
参照)。GCM001培地で継代中で、対数増殖期にあ
る上記細胞を遠心洗浄後、107 細胞/mlとなるようHa
nks 液に懸濁した。この懸濁液0.5ml,5×106 個の
細胞に5μgのpTT09及び0.05μgのpSV−G
l−neoをエレクトロポレーション法によりCo-trans
fectした。この細胞を5枚の48ウェルプレートに播
き、2日間、GCM001培地で培養した。その後、選
択培地である400μg/mlのG418(シグマ社製,
ジェネティシン)を含むGCM001培地で3日毎に培
地交換を行った。細胞増殖の見られた各ウェルの培養上
清中のPA活性を測定し、高い活性を与えたいくつかの
細胞を、MTXによるDNA増幅に供した。
選択 使用プラスミド pTT09:Asn24−PPA発現ユニットとDHFR
発現ユニットを有する(特願平3−93105号明細書
参照)。pSV−Gl−neo:選択マーカーとしてG
418耐性を与える(特開昭60−180591号公報
参照)。GCM001培地で継代中で、対数増殖期にあ
る上記細胞を遠心洗浄後、107 細胞/mlとなるようHa
nks 液に懸濁した。この懸濁液0.5ml,5×106 個の
細胞に5μgのpTT09及び0.05μgのpSV−G
l−neoをエレクトロポレーション法によりCo-trans
fectした。この細胞を5枚の48ウェルプレートに播
き、2日間、GCM001培地で培養した。その後、選
択培地である400μg/mlのG418(シグマ社製,
ジェネティシン)を含むGCM001培地で3日毎に培
地交換を行った。細胞増殖の見られた各ウェルの培養上
清中のPA活性を測定し、高い活性を与えたいくつかの
細胞を、MTXによるDNA増幅に供した。
【0076】 MTXによる導入遺伝子の増幅 メトトレキセート(MTX) シグマ社製(+)Amethopterinを0.14M塩化ナトリウ
ム、0.02M HEPES(ナカライテスク)に溶解
し、2mMストック液を調製した。これを培地に、目的
の濃度になるように添加し使用した。上記で得られた
Asn24−PPA産生細胞のMTXによるDNA増幅に
は、チミジンとヒポキサンチンを除いたGCM001培
地(増幅培地)にMTXを加えて行った。増幅培地を用
いて細胞を104 細胞/mlの濃度で10cm径の培養用デ
ィッシュ(Falcon, 3003)に10ml植え込み終濃度10n
MのMTXを添加し、遺伝子増幅を開始した。培養3−
4日でかなりの細胞が死滅するが、3日毎に培地交換を
続けていると細胞の成長が見られた。2−4週間で充分
な細胞数になるので、次に二倍の濃度のMTXを含む増
幅培地に継代した。このように10nMのMTX濃度か
らスタートして順次、MTX濃度を上げていった。
ム、0.02M HEPES(ナカライテスク)に溶解
し、2mMストック液を調製した。これを培地に、目的
の濃度になるように添加し使用した。上記で得られた
Asn24−PPA産生細胞のMTXによるDNA増幅に
は、チミジンとヒポキサンチンを除いたGCM001培
地(増幅培地)にMTXを加えて行った。増幅培地を用
いて細胞を104 細胞/mlの濃度で10cm径の培養用デ
ィッシュ(Falcon, 3003)に10ml植え込み終濃度10n
MのMTXを添加し、遺伝子増幅を開始した。培養3−
4日でかなりの細胞が死滅するが、3日毎に培地交換を
続けていると細胞の成長が見られた。2−4週間で充分
な細胞数になるので、次に二倍の濃度のMTXを含む増
幅培地に継代した。このように10nMのMTX濃度か
らスタートして順次、MTX濃度を上げていった。
【0077】 培養上清中のPA活性測定 各濃度のMTX耐性細胞の培養上清中のAsn24−PP
Aの活性測定は、フィブリン平板法により行った。MT
Xを含まないGCM001培地に106 細胞/mlの濃度
で細胞を培養用ディッシュ(10cm径)に10ml播き、
48時間培養した。培養後、遠心分離により細胞を除い
た上清をPA活性の測定に供した。測定の標準品として
Urokinase reference standard(株式会社ミドリ十字社
製, Lot.S-004)を用いた。
Aの活性測定は、フィブリン平板法により行った。MT
Xを含まないGCM001培地に106 細胞/mlの濃度
で細胞を培養用ディッシュ(10cm径)に10ml播き、
48時間培養した。培養後、遠心分離により細胞を除い
た上清をPA活性の測定に供した。測定の標準品として
Urokinase reference standard(株式会社ミドリ十字社
製, Lot.S-004)を用いた。
【0078】 結果 pTT09とpSV−Gl−neoをトランスフェクト
した上記細胞より11ウェルで細胞の増殖が見られた。
これら11ウェルの培養上清中のPA活性をフィブリン
平板法で測定したところ、8ウェルでPA活性が認めら
れた。これらのAsn24−PPA産生細胞をスケールア
ップし、MTXにより遺伝子増幅をかけ、Asn24−P
PA産生量の増加をはかった。その結果を表7に示す。
10nMのMTX処理後、E2−B細胞は92 IU/mlと
PA活性の上昇を示した。その後も、MTX濃度の増加
と共にAsn24−PPA産生量も増大し、1μM MT
X耐性で268 IU/mlのPA活性を示すようになった。
これらの結果は、上記細胞を用いることにより遺伝子導
入と遺伝子増幅までのすべてを無血清培地で行える事を
示すものであり、いままでに報告を見ない動物細胞への
画期的な遺伝子導入系と考えられる。
した上記細胞より11ウェルで細胞の増殖が見られた。
これら11ウェルの培養上清中のPA活性をフィブリン
平板法で測定したところ、8ウェルでPA活性が認めら
れた。これらのAsn24−PPA産生細胞をスケールア
ップし、MTXにより遺伝子増幅をかけ、Asn24−P
PA産生量の増加をはかった。その結果を表7に示す。
10nMのMTX処理後、E2−B細胞は92 IU/mlと
PA活性の上昇を示した。その後も、MTX濃度の増加
と共にAsn24−PPA産生量も増大し、1μM MT
X耐性で268 IU/mlのPA活性を示すようになった。
これらの結果は、上記細胞を用いることにより遺伝子導
入と遺伝子増幅までのすべてを無血清培地で行える事を
示すものであり、いままでに報告を見ない動物細胞への
画期的な遺伝子導入系と考えられる。
【0079】
【表7】
【0080】a)MTX(μM)
【0081】
【発明の効果】本発明の血清非要求性CHO dhfr- 細
胞の形質転換体は、無血清培養が可能な異種蛋白質産生
に有用な細胞であり、その蛋白質産生効率は、血清を必
要とするCHO dhfr- 細胞の形質転換体のそれとほぼ
同等である。また、本来CHOdhfr- 細胞は、その成育
(増殖)に支持体を必要とする付着細胞であるが、本発
明の血清非要求性CHO dhfr- 細胞の形質転換体は支
持体を用いない単独浮遊状態でも培養が可能である。従
って、本発明は遺伝子工学分野におけるCHOdhfr- 細
胞の形質転換体を用いての異種蛋白質の大量生産に極め
て有用である。
胞の形質転換体は、無血清培養が可能な異種蛋白質産生
に有用な細胞であり、その蛋白質産生効率は、血清を必
要とするCHO dhfr- 細胞の形質転換体のそれとほぼ
同等である。また、本来CHOdhfr- 細胞は、その成育
(増殖)に支持体を必要とする付着細胞であるが、本発
明の血清非要求性CHO dhfr- 細胞の形質転換体は支
持体を用いない単独浮遊状態でも培養が可能である。従
って、本発明は遺伝子工学分野におけるCHOdhfr- 細
胞の形質転換体を用いての異種蛋白質の大量生産に極め
て有用である。
【図1】pTY007を導入したCHO細胞におけるA
T−III 産生クローンの分布を示した図である。
T−III 産生クローンの分布を示した図である。
【図2】pTY007の制限酵素地図及び遺伝子の配置
を示した図である。
を示した図である。
1 SV40起源エンハンサー/プロモーター 2 ヒトATIII cDNA 3 SV40スプライシングジャンクション及びポリア
デニレーションシグナル 4 ヒトウロキナーゼプロモーター 5 マウスdhfr cDNA 6 SV40スプライシングジャンクション及びポリア
デニレーションシグナル7 Ampr
デニレーションシグナル 4 ヒトウロキナーゼプロモーター 5 マウスdhfr cDNA 6 SV40スプライシングジャンクション及びポリア
デニレーションシグナル7 Ampr
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田辺 利住 大阪府枚方市招提大谷2丁目1180番地の 1 株式会社ミドリ十字中央研究所内 (72)発明者 宇野 修正 大阪府枚方市招提大谷2丁目1180番地の 1 株式会社ミドリ十字中央研究所内 (72)発明者 川辺 晴英 大阪府枚方市招提大谷2丁目1180番地の 1 株式会社ミドリ十字中央研究所内 (56)参考文献 特開 昭60−6190(JP,A) 特開 昭63−273481(JP,A) Nucreic Acids Res earch,Vol.13,No.8, (1985)p.275 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 5/00 - 5/28 C12N 15/00 - 15/90 C12P 21/00 - 21/08 MEDLINE(STN) BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG) MEDLINE
Claims (6)
- 【請求項1】 ジヒドロ葉酸還元酵素欠損チャイニーズ
・ハムスターオバリー細胞を目的の構造遺伝子を含むD
NAとジヒドロ葉酸還元酵素をコードする遺伝子を含む
DNAとを導入することにより形質転換させた後、10
〜10000個/mlの細胞密度で、インスリン、ペプ
トン、トランスフェリンおよびアルブミンを含む無血清
培地にて培養することを特徴とする、無血清培地で増殖
継代可能なジヒドロ葉酸還元酵素欠損チャイニーズ・ハ
ムスターオバリー細胞の形質転換体の製造方法。 - 【請求項2】 ジヒドロ葉酸還元酵素欠損チャイニーズ
・ハムスターオバリー細胞を10〜10000個/ml
の細胞密度で、インスリン、ペプトン、トランスフェリ
ンおよびアルブミンを含む無血清培地にて順化させた
後、目的の構造遺伝子を含むDNAとジヒドロ葉酸還元
酵素をコードする遺伝子を含むDNAとを導入すること
により形質転換することを特徴とする、無血清培地で増
殖継代可能なジヒドロ葉酸還元酵素欠損チャイニーズ・
ハムスターオバリー細胞の形質転換体の製造方法。 - 【請求項3】 請求項1または請求項2記載の製造方法
により得られた無血清培地で増殖継代可能なジヒドロ葉
酸還元酵素欠損チャイニーズ・ハムスターオバリー細胞
の形質転換体。 - 【請求項4】 請求項3記載の形質転換体を無血清培地
で培養して異種蛋白質を発現させることを特徴とする異
種蛋白質の製造方法。 - 【請求項5】 形質転換が、SV40プロモーター、目
的構造遺伝子およびSV40polyA添加配列を含む
DNAと、ウロキナーゼプロモーター、ジヒドロ葉酸還
元酵素をコードする遺伝子およびSV40polyA添
加配列を含むDNAとを導入することにより行われ、か
つ目的の構造遺伝子がプロウロキナーゼ遺伝子またはア
ンチトロンビン−III遺伝子である、請求項1記載の
製造方法。 - 【請求項6】 形質転換が、SV40プロモーター、目
的構造遺伝子およびSV40polyA添加配列を含む
DNAと、ウロキナーゼプロモーター、ジヒドロ葉酸還
元酵素をコードする遺伝子およびSV40polyA添
加配列を含むD NAとを導入することにより行われ、か
つ目的の構造遺伝子がプロウロキナーゼ遺伝子またはア
ンチトロンビン−III遺伝子である、請求項2記載の
製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15244991A JP3265587B2 (ja) | 1991-05-27 | 1991-05-27 | 血清非要求性ジヒドロ葉酸還元酵素欠損チャイニーズ・ハムスターオバリー細胞の形質転換体、その製造方法及び異種蛋白質の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15244991A JP3265587B2 (ja) | 1991-05-27 | 1991-05-27 | 血清非要求性ジヒドロ葉酸還元酵素欠損チャイニーズ・ハムスターオバリー細胞の形質転換体、その製造方法及び異種蛋白質の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04349880A JPH04349880A (ja) | 1992-12-04 |
JP3265587B2 true JP3265587B2 (ja) | 2002-03-11 |
Family
ID=15540770
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP15244991A Expired - Fee Related JP3265587B2 (ja) | 1991-05-27 | 1991-05-27 | 血清非要求性ジヒドロ葉酸還元酵素欠損チャイニーズ・ハムスターオバリー細胞の形質転換体、その製造方法及び異種蛋白質の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3265587B2 (ja) |
-
1991
- 1991-05-27 JP JP15244991A patent/JP3265587B2/ja not_active Expired - Fee Related
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
Nucreic Acids Research,Vol.13,No.8,(1985)p.275 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04349880A (ja) | 1992-12-04 |
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