JP3264917B2 - 成形同時転写用シート及び成形品 - Google Patents

成形同時転写用シート及び成形品

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラスチックの成
形と同時にプラスチック成形品の表面に転写用シートを
転写する、いわゆる成形同時転写(インモールド転写)
に使用する転写用シート、及び成形同時転写により得る
ことができるプラスチック成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】成形同時転写用シートとしては従来、プ
ラスチックフイルムの片面に、必要により設けた易剥離
層を介して、熱可塑性樹脂からなる離型層を設け、該離
型層上に、必要により適宜の印刷層を介して、蒸着アン
カー層を設け、該蒸着アンカー層上に金属蒸着層を設
け、該金属蒸着層上に接着層を設けた成形同時転写用シ
ートが知られている。また、上記した従来の成形同時転
写用シートにおける熱可塑性樹脂からなる離型層にかえ
て、熱硬化性樹脂からなる離型層を設けたものも知られ
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の熱可塑
性樹脂からなる離型層を設けたものは、離型層と蒸着ア
ンカー層との間であるいは離型層と印刷層との間での密
着力が比較的強く、成形同時転写時の剥離性も比較的良
いが、次の欠点があった。 転写時に金属蒸着層にクラックが発生する。 クラックの発生により金属蒸着層の金属光沢が低下
して美麗な金属光沢が損なわれる。また、従来の熱硬化
性樹脂からなる離型層を設けたものは、成形同時転写時
に金属蒸着層にクラックが発生しにくいので、金属蒸着
層の金属光沢の低下により美麗な金属光沢が損なわれる
ということは少なかったが、次の欠点があった。 離型層と蒸着アンカー層との間で、及び離型層と蒸
着アンカー層との間に適宜の印刷層を部分的に設けた場
合には離型層と印刷層との間で、いずれも密着力が弱
い。 プラスチックフイルムの片面に易剥離層を設けて該
易剥離層上に離型層を設けた場合でも、成形同時転写時
の剥離性が悪い。 剥離性が悪いので、成形同時転写時の作業性が悪
い。本発明は、上記従来の欠点を除去した成形同時転写
用シートを提供するものである。 また、本発明は、上記従来の欠点を除去した成形同時転
写用シートを使用して得ることができるプラスチック成
形品を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、次の(1)〜
(6)に記載の発明である。 (1)プラスチックフイルムの片面に、熱硬化性樹脂と
熱可塑性樹脂とからなる離型層を設け、該離型層上に樹
脂アンカー層を設け、該樹脂アンカー層上に金属薄膜層
を設け、該金属薄膜層上に接着層を設けたことを特徴と
する、成形同時転写用シート。 (2)プラスチックフイルムと離型層との間に剥離層を
設けたものである、上記(1)記載の成形同時転写用シ
ート。 (3)離型層の熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との割合
が、熱硬化性樹脂75〜60重量%で熱可塑性樹脂25
〜40重量%である、上記(1)又は(2)記載の成形
同時転写用シート。 (4)樹脂アンカー層の樹脂が、離型層の熱可塑性樹脂
と同種類の熱可塑性樹脂が20〜35重量%で残部が熱
硬化性樹脂である、上記(1)〜(3)のいずれかに記
載の成形同時転写用シート。 (5)離型層と樹脂アンカー層との間に、印刷層を部分
的に設けたものである、上記(1)〜(4)のいずれか
に記載の成形同時転写用シート。 (6)プラスチックフイルムの片面に、熱硬化性樹脂と
熱可塑性樹脂とからなる離型層を設け、該離型層上に樹
脂アンカー層を設け、該樹脂アンカー層上に金属薄膜層
を設け、該金属薄膜層上に接着層を設けたことを特徴と
する成形同時転写用シートを使用し、プラスチックの成
形と同時にプラスチック成形品の表面に成形同時転写用
シートを転写して得たプラスチック成形品。
【0005】
【発明の実施の形態】プラスチックフイルムとしては、
ポリエステルフイルム、ポリエーテルイミドフイルム、
ポリエチレンナフタレートフイルム等の、従来成形同時
転写用シートに使用されているプラスチックフイルムが
使用できる。作業性や価格の点からは特にポリエステル
フイルムが好ましい。プラスチックフイルムは厚さ12
〜100μmのものが使用できる。厚さが12μmより
薄いと、成形同時転写時に、プラスチック成形に使用す
る樹脂の圧力によりプラスチックフイルムが破れ易い。
また、厚さが100μmより厚いと、成形同時転写時に
プラスチックフイルムが金型に沿い難い。プラスチック
フイルムの厚さは12〜100μm、好ましくは25〜
75μmであり、最も好ましくは38〜75μmであ
る。
【0006】プラスチックフイルムの片面に離型層を設
けるが、離型層はプラスチックフイルムの片面に直接設
けてもよい。しかし、プラスチックフイルムの片面にメ
ラミン系樹脂等の適宜の樹脂により剥離層を設け、該剥
離層上に離型層を設けてもよい。メラミン系樹脂等の適
宜の樹脂により剥離層を設けた場合には、次のような効
果がある。 成形同時転写時の剥離性がより良好になる。 成形同時転写時の熱により離型層がプラスチックフ
イルムに焼き付くのを防止する。 プラスチックフイルムの伸縮を最小限に抑えて、離
型層と樹脂アンカー層との間に部分的に設けた印刷層の
位置精度を良好に保つ。剥離層の厚さは0.4〜1.5
μmが好ましく、0.4μmより薄いと剥離性がそれ程
良くはならず、1.5μmより厚いと成形同時転写時
に、剥離層の凝集破壊が生じ易い。剥離層は、グラビア
コーティング法等により設けることができる。
【0007】離型層は、プラスチックフイルムの片面に
直接に、又はプラスチックフイルムの片面に剥離層を設
け該剥離層上に設ける。離型層は、熱硬化性樹脂と熱可
塑性樹脂とからなっている。離型層の熱硬化性樹脂と熱
可塑性樹脂との割合は、熱硬化性樹脂75〜60重量%
で熱可塑性樹脂25〜40重量%である。熱硬化性樹脂
が75重量%より多く熱可塑性樹脂が25重量%より少
ないと、離型層と樹脂アンカー層との間で、及び離型層
と樹脂アンカー層との間に印刷層を部分的に設けた場合
には離型層と印刷層との間で、いずれも密着力が弱い。
熱硬化性樹脂が60重量%より少なく熱可塑性樹脂が4
0重量%より多いと、離型層と樹脂アンカー層との間
で、及び離型層と印刷層との間で、いずれも密着力は強
いが、成形同時転写時に、金属薄膜層にクラックが発生
する。離型層と樹脂アンカー層及び印刷層との間の強い
密着力、並びに、金属薄膜層のクラック発生防止、の観
点から、好ましくは、熱硬化性樹脂75〜60重量%で
熱可塑性樹脂25〜40重量%である。熱硬化性樹脂と
しては、尿素メラミン樹脂、ダッブイソシアネート樹脂
等が使用できる。熱可塑性樹脂としては、アクリル系樹
脂等が使用できる。離型層の厚さは0.5〜1.5μm
が好ましく、0.5μmより薄いと剥離性が悪くなり易
く、1.5μmより厚いと剥離した時にいわゆるバリが
発生し易くなる。離型層は、グラビアコーティング法等
により設けることができる。
【0008】離型層上には、樹脂アンカー層を設ける。
樹脂アンカー層はその上に設ける金属薄膜層と離型層と
の密着力を高めるためのものであり、アクリル系樹脂、
エポキシ系樹脂、アクリルメラミン系樹脂、等の適宜の
樹脂により設けることができる。樹脂アンカー層の樹脂
を、離型層の熱可塑性樹脂と同種類の熱可塑性樹脂が2
0〜35重量%で残部が熱硬化性樹脂とした場合には、
離型層と樹脂アンカー層との間で、及び樹脂アンカー層
と金属薄膜層との間で、密着力が非常に強固になるので
好ましい。また、このように樹脂アンカー層の樹脂を、
離型層の熱可塑性樹脂と同種類の熱可塑性樹脂が20〜
35%重量で残部が熱硬化性樹脂とした場合には、上記
のような層間密着力が強固になるばかりではなく、離型
層と樹脂アンカー層との間に印刷層を部分的に設けた場
合にあっては、印刷層と樹脂アンカー層との間での密着
力も非常に強固になるので極めて好ましい。樹脂アンカ
ー層の樹脂に、離型層の熱可塑性樹脂と同種類の熱可塑
性樹脂を使用した場合に、樹脂アンカー層中の熱可塑性
樹脂が20重量%より少ないと、離型層と樹脂アンカー
層との間で、樹脂アンカー層と金属薄膜層との間で、及
び印刷層と樹脂アンカー層との間で、密着力が非常に強
固にはならない。樹脂アンカー層中の熱可塑性樹脂が3
5重量%より多いと、樹脂アンカー層と、離型層、金属
薄膜層、及び印刷層との間で、密着力は非常に強固にな
るが、金属薄膜層にクラックが発生し易くなる。樹脂ア
ンカー層の厚さは0.5〜1.5μmが好ましく、0.
5μmより薄いと耐摩擦性及び耐溶剤性が弱く、1.5
μmより厚いと金属薄膜層が成形同時転写時に白化し易
くなるとともに樹脂アンカー層のいわゆる塗れ外観が悪
くなり易い。樹脂アンカー層は、グラビアコーティング
法等により設けることができる。
【0009】離型層上に樹脂アンカー層を設ける前に、
離型層上に適宜の印刷層を設けておき、印刷層の上から
樹脂アンカー層を設けてもよい。印刷層を設ける場合に
は、全面的ではなく部分的に設ける。全面的に設ける
と、成形同時転写して得られる成形品において、樹脂ア
ンカー層の上に設けた金属薄膜層が全面にわたり隠蔽さ
れてしまうからである。印刷層を部分的に設けた場合に
は、印刷層と金属薄膜層とがあいまって、すなわち印刷
図柄と金属光沢図柄とがあいまって、美麗な雅趣のある
成形品を得ることができる。印刷層は、アクリル系印刷
インキ、ウレタン系印刷インキ等の適宜の印刷インキを
使用して設けることができる。印刷層は、グラビア印刷
法により設けることができる。
【0010】離型層、印刷層及び樹脂アンカー層を設け
る場合、離型層を設けて乾燥させた後に印刷層及び樹脂
アンカー層を設けてもよいが、離型層を設けて該離型層
が次に設ける印刷層及び樹脂アンカー層と密着する程度
の未硬化の状態で、離型層上に印刷層及び樹脂アンカー
層を設け、最後に設けた樹脂アンカー層を硬化させる乾
燥時に、離型層を硬化させてもよい。このように、離型
層の硬化を樹脂アンカー層の硬化と同時に行った場合に
は、次のような効果がある。 離型層と印刷層との間で、離型層と樹脂アンカー層
との間で、及び印刷層と樹脂アンカー層との間で、それ
ぞれ密着力が一層強固になる。 成形同時転写時に、金属薄膜層にクラックが一層発
生しなくなる。 成形同時転写時の剥離性が一層良好となる。
【0011】樹脂アンカー層上には、金属薄膜層を設け
る。金属薄膜層は、Al、Sn等の、従来成形同時転写
シートの金属薄膜層に使用されている金属、合金などを
使用して設ける。金属薄膜層は、真空蒸着、スパッタリ
ング、イオンプレーティング等の従来知られている薄膜
生成法により設けることができる。金属薄膜層の厚さは
20〜100nmが好ましく、20nmより薄いと金属
光沢が不十分で美麗な金属光沢が得にくく、100nm
より厚いと金属薄膜層と樹脂アンカー層との密着力が弱
くなり易い。金属薄膜層の厚さは20〜100nmが好
ましく、より好ましい厚さは25〜60nmである。
【0012】金属薄膜層は、樹脂アンカー層上に全面的
に設けてもよいが、部分的に設けてもよい。金属薄膜層
を部分的に設けるには、例えば、所望の形状のマスク
を使用して蒸着するマスク蒸着法、樹脂アンカー層上
に一旦金属薄膜層を全面的に形成した後に耐アルカリ
性、耐酸性等の塗料により所望図柄等を部分的に形成
し、その後アルカリ液等で所望図柄等を形成していない
部分の金属薄膜層を除去し水洗する、いわばエッチング
法、樹脂アンカー層上に予め水溶性塗料により所望図
柄等を部分的に形成しておき、その上から金属薄膜層を
全面に形成し、その後水洗して所望図柄等の水溶性塗料
及びその上に存在している金属薄膜層のみを除去する、
いわば水洗法、などを採用することができる。
【0013】金属薄膜層を全面的又は部分的に設けた場
合、印刷層を設けたときは前記したように、印刷層と金
属薄膜層とがあいまって、すなわち印刷図柄と金属光沢
図柄とがあいまって、美麗な雅趣のある成形品を得るこ
とができるものである。
【0014】金属薄膜層上には、接着層を設ける。接着
層は、アクリル系樹脂、塩酢ビ系樹脂、ウレタン系樹
脂、塩素化PP等の、従来成形同時転写シートの接着層
に使用されている樹脂により設けることができる。樹脂
アンカー層は、リバースコーティング法により設けるこ
とができる。
【0015】本発明に係る成形同時転写用シートを使用
し、プラスチックの成形と同時にプラスチック成形品の
表面に成形同時転写用シートを転写すると、金属薄膜層
による美麗な金属光沢図柄が表面に全面的に又は部分的
に形成されたプラスチック成形品を、及び印刷層を設け
た場合には印刷層と金属薄膜層とがあいまって、すなわ
ち印刷図柄と金属光沢図柄とがあいまって美麗な雅趣の
ある図柄が表面に形成されたプラスチック成形品を、得
ることができる。プラスチックの成形には、従来成形同
時転写の際に使用されている各種の樹脂が使用できる。
プラスチックの成形に使用する樹脂としては、例えば、
アクリル、ABS、ポリカーボネート、ナイロン、ポリ
プロピレン、ノリル、等の各種の樹脂が挙げられる。
【0016】
【実施例】実施例1 厚さ38μmのポリエステルフイルムの片面に、メラミ
ン樹脂を使用してグラビアコーティング法により厚さ
1.0μmの剥離層を設け、該剥離層上に、熱硬化性樹
脂として尿素メラミン樹脂を使用し、熱可塑性樹脂とし
てアクリル樹脂を使用してグラビアコーティング法によ
り、熱硬化性樹脂75重量%と熱可塑性樹脂25重量%
とからなる厚さ1.2μmの離型層を設けた。次に、該
離型層上に、離型層に使用した熱可塑性アクリル樹脂2
0重量%と熱硬化性アクリルメラミン樹脂80重量%と
からなる、厚さ1.0μmの樹脂アンカー層を設け、該
樹脂アンカー層上に、真空蒸着法により厚さ50nmの
Al蒸着層を全面的に設けた。さらに、該Al蒸着層上
に、アクリル樹脂と塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂と
ウレタン樹脂とを使用してリバースコーティング法によ
り、厚さ2.0μmの接着層を設けて、本発明に係る成
形同時転写用シートを得た。実施例2 厚さ50μmのポリエステルフイルムの片面に、メラミ
ン樹脂を使用してグラビアコーティング法により厚さ
0.6μmの剥離層を設け、該剥離層上に、熱硬化性樹
脂として尿素メラミン樹脂を使用し、熱可塑性樹脂とし
てアクリル樹脂を使用してグラビアコーティング法によ
り、熱硬化性樹脂60重量%と熱可塑性樹脂40重量%
とからなる厚さ1.2μmの離型層を設けた。次に、該
離型層上に、離型層に使用した熱可塑性アクリル樹脂3
5重量%と熱硬化性アクリルメラミン樹脂65重量%と
からなる、厚さ1.0μmの樹脂アンカー層を設け、該
樹脂アンカー層上に、真空蒸着法により厚さ30nmの
Sn蒸着層を全面的に設けた。さらに、該Sn蒸着層上
に、アクリル樹脂と塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂と
を使用してリバースコーティング法により、厚さ2.0
μmの接着層を設けて、本発明に係る成形同時転写用シ
ートを得た。実施例3 実施例1における離型層の熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂
との割合を熱硬化性樹脂70重量%で熱可塑性樹脂30
重量%とし、離型層上に樹脂アンカー層を設ける前に予
め離型層上に、アクリル系印刷インキにより所望図柄の
印刷層を部分的に設けておき該印刷層の上から全面的に
樹脂アンカー層を設け、樹脂アンカー層の熱可塑性アク
リル樹脂と熱硬化性アクリルメラミン樹脂との割合を熱
可塑性アクリル樹脂25重量%で熱硬化性アクリルメラ
ミン樹脂75重量%とした他は実施例1と同様にして、
本発明に係る成形同時転写用シートを得た。実施例4 実施例3におけるポリエステルフイルムの厚さを75μ
mとし、離型層の熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との割合
を熱硬化性樹脂65重量%で熱可塑性樹脂35重量%と
し、樹脂アンカー層の熱可塑性アクリル樹脂と熱硬化性
アクリルメラミン樹脂との割合を熱可塑性アクリル樹脂
30重量%で熱硬化性アクリルメラミン樹脂70重量%
とした他は実施例3と同様にして、本発明に係る成形同
時転写用シートを得た。実施例5 実施例3における樹脂アンカー層の上に全面的にAl蒸
着層を設けるかわりに、樹脂アンカー層の上に水溶性塗
料により所望図柄を部分的に形成してその上からAl蒸
着層を全面的に形成し、その後水洗して所望図柄の水溶
性塗料及びその上に存在しているAl蒸着層のみを除去
してAl蒸着層を部分的に設けた他は実施例3と同様に
して、本発明に係る成形同時転写用シートを得た。
【0017】比較例1 実施例3における離型層の熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂
との割合を熱硬化性樹脂55重量%で熱可塑性樹脂45
重量%とした他は実施例3と同様にして、成形同時転写
用シートを得た。比較例2 実施例3における離型層の熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂
との割合を熱硬化性樹脂80重量%で熱可塑性樹脂20
重量%とした他は実施例3と同様にして、成形同時転写
用シートを得た。比較例3 実施例3における樹脂アンカー層の熱可塑性アクリル樹
脂と熱硬化性アクリルメラミン樹脂との割合を熱可塑性
アクリル樹脂15重量%で熱硬化性アクリルメラミン樹
脂85重量%とした他は実施例3と同様にして、成形同
時転写用シートを得た。比較例4 実施例3における離型層に熱可塑性アクリル樹脂を10
0重量%使用し熱硬化性尿素メラミン樹脂をしなかった
他は実施例3と同様にして、成形同時転写用シートを得
た。比較例5 実施例3における離型層に熱硬化性尿素メラミン樹脂を
100重量%使用し熱可塑性アクリル樹脂をしなかった
他は実施例3と同様にして、成形同時転写用シートを得
た。
【0018】実施例1〜5及び比較例1〜5で得られた
成形同時転写用シートを使用し、ポリカABS樹脂を使
用したプラスチックの成形時に成形品に成形同時転写し
て、各成形同時転写用シートについて、「剥離性」「ク
ラック」及び「密着力」を次の方法で評価した。 「剥離性」評価方法 目視により、成形品の形状に応じて必要な部分が剥離
し、しかもバリが発生していないものを○とし、必要な
部分が剥離せず又は不必要な部分が剥離し、しかもバリ
が発生しているものを×とした。 「クラック」評価方法 目視により、成形同時転写の前と後とで、金属光沢が低
下していないものを○とし、金属光沢が低下して美麗な
金属光沢が損なわれる程度に明らかに白化しているもの
を×とした。 「密着力」評価方法 得られたプラスチック成形品を40℃の温水に240時
間浸し、その後市販のセロテープ(登録商標)により転
写した部分が剥離するか否かを試験して、全く剥離しな
いものを○とし、一部又は全部が剥離したものを×とし
た。
【0019】評価結果は次表の通りであった。
【0020】
【発明の効果】本発明は上記のように構成したから、次
のような効果がある 成形同時転写時に金属薄膜層にクラックが発生しな
い。 成形同時転写時にクラックが発生しないので金属薄
膜層の金属光沢が低下しなく、従って美麗な金属光沢が
損なわれない。 離型層と樹脂アンカー層との間で、及び離型層と樹
脂アンカー層との間に適宜の印刷層を部分的に設けた場
合には離型層と印刷層との間で、いずれも密着力が強
い。 成形同時転写時の剥離性が良好である。 剥離性がよいので成形同時転写時の作業性が良い。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】プラスチックフイルムの片面に、熱硬化性
    樹脂と熱可塑性樹脂とからなる離型層を設け、該離型層
    上に樹脂アンカー層を設け、該樹脂アンカー層上に金属
    薄膜層を設け、該金属薄膜層上に接着層を設けたことを
    特徴とする、成形同時転写用シート。
  2. 【請求項2】プラスチックフイルムと離型層との間に剥
    離層を設けたものである、請求項1記載の成形同時転写
    用シート。
  3. 【請求項3】離型層の熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との
    割合が、熱硬化性樹脂75〜60重量%で熱可塑性樹脂
    25〜40重量%である、請求項1又は2記載の成形同
    時転写用シート。
  4. 【請求項4】樹脂アンカー層の樹脂が、離型層の熱可塑
    性樹脂と同種類の熱可塑性樹脂が20〜35重量%で残
    部が熱硬化性樹脂である、請求項1〜3のいずれかに記
    載の成形同時転写用シート。
  5. 【請求項5】離型層と樹脂アンカー層との間に、印刷層
    を部分的に設けたものである、請求項1〜4のいずれか
    に記載の成形同時転写用シート。
  6. 【請求項6】プラスチックフイルムの片面に、熱硬化性
    樹脂と熱可塑性樹脂とからなる離型層を設け、該離型層
    上に樹脂アンカー層を設け、該樹脂アンカー層上に金属
    薄膜層を設け、該金属薄膜層上に接着層を設けたことを
    特徴とする成形同時転写用シートを使用し、プラスチッ
    クの成形と同時にプラスチック成形品の表面に成形同時
    転写用シートを転写して得たプラスチック成形品。
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