JP3264208B2 - シリンダヘッドの冷却構造 - Google Patents

シリンダヘッドの冷却構造

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JP3264208B2 JP08837397A JP8837397A JP3264208B2 JP 3264208 B2 JP3264208 B2 JP 3264208B2 JP 08837397 A JP08837397 A JP 08837397A JP 8837397 A JP8837397 A JP 8837397A JP 3264208 B2 JP3264208 B2 JP 3264208B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はガソリンエンジン、
ディーゼルエンジン等に代表される内燃機関のシリンダ
ブロックの上部に固定されるシリンダヘッドの冷却構造
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の技術として、例えば特開
昭62−32264号公報に記載されたものが知られて
いる。このシリンダヘッド冷却構造では、図5に示すよ
うに、シリンダヘッド31の略中央部に配列される燃焼
室32に沿って吸排気ポート間ジャケット33が設けら
れ、またその両側には、同ジャケット33と平行に延び
る一対の排気ポート下部ジャケット34及び吸気ポート
下部ジャケット35が設けられている。排気ポート下部
ジャケット34は、排気ポート6の下部に設けられてお
り、一方、吸気ポート下部ジャケット35は、吸気ポー
ト4の下部に設けられている。シリンダヘッド31の下
部には、これらジャケット33,34,35にそれぞれ
に開口して、シリンダブロックのウォータジャケットか
らの冷却水を同ジャケット33,34,35へ導入する
ための供給通路36,37,38及び補助供給通路3
9,40がそれぞれ形成されている。そして、これら供
給通路36,37,38及び補助供給通路39,40を
経て上記ジャケット33,34,35に供給された冷却
水は、同ジャケット33,34,35内を循環すること
により、シリンダヘッド31の吸気ポート4、排気ポー
ト6及びその周辺を冷却する。そしてその後、ラジエー
タに導かれ、再度循環に供されるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
シリンダヘッドの冷却構造にあっては、図5にAで示さ
れる排気ポート6の両開口端6aの間及びBで示される
各対向する吸気ポート4の開口端4aと排気ポート6の
開口端6aとの間は内燃機関の作動に伴い、温度が上昇
しがちな部分となっている。また、この従来の冷却構造
においては、冷却水は供給通路36,37及び補助供給
通路39を経てジャケット33,34に供給されるた
め、同ジャケット33,34の下流側ほど多量の冷却水
が流入することになり、シリンダヘッド31は下流側に
比べて上流側の温度が高くなるという傾向があった。そ
してこのようなシリンダヘッド31内に生じる温度むら
は、同シリンダヘッド31の変形による燃焼室32のシ
ール性の悪化や、シリンダヘッド31自身の亀裂の発生
の原因ともなっていた。
【0004】本発明はこうした実情に鑑みてなされたも
のであり、その目的は、内燃機関のシリンダヘッドを効
果的に冷却し、且つ、該シリンダヘッド内の温度むらを
好適に抑制することのできるシリンダヘッドの冷却構造
を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の発明は、複数の気筒が直列に配設さ
れる内燃機関のシリンダヘッド内に設けられて前記各気
筒の配列方向に冷却液を流通せしめる冷却液の流通方向
が同一方向に設定された複数の液体通路と、前記各液体
通路に対してそれぞれその上流側から冷却液の流通方向
に沿って設けられ冷却液を供給する複数の液体供給通路
と、前記各液体通路によるシリンダヘッド冷却特性を補
うべくそれら液体通路間を連通する複数の連通路とを備
え、前記複数の連通路は更に、前記シリンダヘッドの温
度分布に応じてその通路断面積が前記液体通路の上流側
に位置するものほど大きくなるように形成されることを
その要旨とするものである。
【0006】上記請求項1記載の発明によれば、各液体
通路のみでは補いきれない上流、下流等における冷却特
性の違いも、上記連通路の配設によってある程度補われ
るようになる。しかも、それら連通路がシリンダヘッド
の温度分布に応じてその通路断面積が前記液体通路の上
流側に位置するものほど大きくなるように形成されるこ
とで、同シリンダヘッドの温度分布を均一とし得るより
緻密な冷却特性の調整が可能となり、ひいては同シリン
ダヘッド内の温度むらを好適に抑制することができるよ
うになる。そしてこのため、シリンダヘッドの変形によ
る燃焼室のシール性の悪化や、シリンダヘッドの亀裂の
発生等も好適に防止されるようになる。
【0007】請求項2記載の発明は、請求項1記載のシ
リンダヘッドの冷却構造において、前記連通路の少なく
とも一つは、冷却液の流入対象となる液体通路に対して
その下流側に傾斜する所定の角度を有して形成されるこ
とをその要旨とするものである。
【0008】請求項2記載の発明によれば、上記連通路
を通じての冷却液の流入(連通)がより円滑に行われる
ようになる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を内燃機関としての
ディーゼルエンジンのシリンダヘッドの冷却構造に具体
化した一実施の形態を図1〜図3に基づいて詳細に説明
する。
【0010】図1は、本実施の形態にかかるシリンダヘ
ッド1を上面から見た断面図、図2は図1の2−2線に
沿った断面図、図3は図1の3−3線に沿った断面図で
ある。なお、図1は図3の1−1線に沿った断面図に相
当する。
【0011】これらの図に示されるシリンダヘッド1
は、複数(本実施の形態においては4つ)の燃焼室2
a,2b,2c,2dが設けられているシリンダブロッ
ク(図1においては図示略)の上側に接合固定されてい
る。またこのシリンダヘッド1において、上記各燃焼室
2a,2b,2c,2dのほぼ中心軸線上に対応する位
置には、燃料噴射ノズル取付孔3が穿設され、同取付孔
3には燃料噴射ノズル5がそれぞれ取付けられている。
【0012】一方、同シリンダヘッド1において、その
各燃焼室2a,2b,2c,2dの各図中右側には吸気
ポート4が設けられている。吸気ポート4は、それら各
燃焼室2a,2b,2c,2dごとに2つの開口端4a
をもって開口している。これら開口端4aは、吸気バル
ブ7(図3参照)によって選択的に開閉されるようにな
っている。
【0013】さらに、同シリンダヘッド1において、そ
の各燃焼室2a,2b,2c,2dの各図中左側には排
気ポート6が設けられている。排気ポート6も、それら
各燃焼室2a,2b,2c,2dごとに2つの開口端6
aをもって開口している。これら開口端6aは、排気バ
ルブ8(図3参照)によって選択的に開閉されるように
なっている。
【0014】次に、こうしたシリンダヘッド1の冷却構
造について説明する。図1に示すように、シリンダヘッ
ド1には、主に上記各排気ポート6に対応して燃焼室2
a,2b,2c,2dの配列方向(図1の上下方向)に
延在する液体通路の1つとしてメインジャケット11が
設けられている。なお、図1においては便宜上、このメ
インジャケット11を1本の通路として図示している
が、実際には図2及び図3に示すように、排気ポート6
の上下部及び噴射ノズル取付孔3の周辺において、排気
ポート上部ジャケット11a、排気ポート下部ジャケッ
ト11b及び吸排気ポート間ジャケット11cに分岐さ
れている。そして、これらジャケット11a,11b,
11cは、排気ポート6、噴射ノズル取付孔3等の存在
により、複雑で入り組んだ形状をなしながら、相互に連
絡するように設けられている。
【0015】また、このメインジャケット11には、シ
リンダブロックのウォータジャケットからの冷却水を導
入するための複数(本実施の形態においては10個)の
メイン供給通路13が図1に示される態様で形成されて
いる。そして、それらメイン供給通路13を経てメイン
ジャケット11に供給された冷却水は、同メインジャケ
ット11内を流通して排出口20に導かれ、同排出口2
0から図示しないラジエータに戻される。
【0016】一方、シリンダヘッド1には、上記各吸気
ポート4の下部側において燃焼室2a,2b,2c,2
dの配列方向(図1の上下方向)に延在するもう1つの
液体通路としてサブジャケット12が設けられている。
そして、シリンダヘッド1の下部には、このサブジャケ
ット12に開口して、シリンダブロックのウォータジャ
ケットからの冷却水を同サブジャケット12へ導入する
ための複数(本実施の形態においては4個)のサブ供給
通路14が形成されている。これらサブ供給通路14を
経てサブジャケット12に供給された冷却水も、同サブ
ジャケット12内を流通して排出口20に導かれ、同排
出口20から図示しないラジエータに戻される。
【0017】なお、サブジャケット12により形成され
る空間は全体的にメインジャケット11のそれよりも狭
く形成されている。このため、サブジャケット12内の
冷却水は、メインジャケット11内の冷却水に比べて幾
分高圧となっているとともに、その流速は速くなってい
る。
【0018】また、メインジャケット11及びサブジャ
ケット12内を流通してラジエータに導かれた冷却水
は、同ラジエータにおいて冷却された後、再度、シリン
ダブロックのウォータジャケットに供給されるようにな
っている。
【0019】またさらに、本実施の形態にかかるシリン
ダヘッド1にあって、上記冷却水の上流側にある2つの
燃焼室2a,2bに対応する部分には、上記メインジャ
ケット11及びサブジャケット12間を連通する連通路
である第1連通路15及び第2連通路16が設けられて
いる。これら両連通路15,16は図1に示されるよう
に、燃焼室2a,2b上に各々設けられる噴射ノズル取
付孔3に対し、冷却水の各上流側においてそれら両ジャ
ケット11,12間を連通するように配設されている。
なお、第1連通路15の内径(通路断面積)は、第2連
通路の内径(通路断面積)よりも大きく形成されてい
る。
【0020】次に、上記のように構成されたシリンダヘ
ッド1の冷却構造の作用について説明する。まず、冷却
水の一部は、シリンダブロックに形成されたウォータジ
ャケットからメイン供給通路13経てメインジャケット
11内に供給される。そして、メインジャケット11内
を図1に矢印で示す方向に流通する冷却水により、シリ
ンダヘッド1の主として排気ポート6の上下部及び吸気
ポート4と排気ポート6との間が冷却される。
【0021】また、冷却水の一部は、シリンダブロック
に形成されたウォータジャケットからサブ供給通路14
を経てサブジャケット12内に供給される。そして、サ
ブジャケット12を同図1に矢印で示す方向に流通する
冷却水により、主として吸気ポート4の下部が冷却され
る。
【0022】前述のように、サブジャケット12内の冷
却水は、メインジャケット11内の冷却水に比べて幾分
高圧となっているとともに、その流速は速くなってい
る。したがって、冷却水がメインジャケット11内及び
サブジャケット12内をそれぞれ流れる際、高圧・高流
速であるサブジャケット12内の冷却水は、第1連通路
15及び第2連通路16を介して噴流となってメインジ
ャケット11内に流入することとなる。また、この第1
連通路15及び第2連通路16を介した冷却水のメイン
ジャケット11への流入は噴射ノズル取付孔3の各々冷
却水上流側付近においてなされるため、シリンダヘッド
1において温度が高くなりがちであるそれら噴射ノズル
3周辺を効果的に冷却することとなる。
【0023】また一般に、メインジャケット11内を流
れる冷却水はその流通方向に配列された上記複数のメイ
ン供給通路13を経てメインジャケット11に供給され
るため、同ジャケット11の下流側ほど多量の冷却水が
流入されることになり、シリンダヘッド1は下流側に比
べて上流側の温度が高くなる傾向にある。しかし本実施
の形態にあっては、第1連通路15が第2連通路16に
比べ大径に形成されているため、シリンダヘッド1の上
流側がより効果的に冷却されることとなり、ひいては同
シリンダヘッド1内の温度むらが抑制されるようにもな
る。
【0024】以上詳述したように、本実施の形態によれ
ば、以下に示す効果が得られるようになる。 ・シリンダヘッド1において温度が高くなりがちである
噴射ノズル取付孔3の周辺を効果的に冷却することがで
きる。
【0025】・シリンダヘッド1内の温度むらを抑制す
ることができる。 ・シリンダヘッド1内の温度むらを抑制することによ
り、シリンダヘッド1の変形による燃焼室2a,2b,
2c,2dのシール性の悪化や、シリンダヘッド1の亀
裂の発生も好適に防止することができる。
【0026】なお、本実施の形態は上記に限定されるも
のではなく、次のように変更してもよい。 ・上記実施の形態においては、第1及び第2連通路1
5,16はメインジャケット11に対しほぼ直角に設け
られた。これに対し、図4に示す態様で角度θだけ傾け
てそれら連通路15,16を設けてもよい。この場合、
同連通路15,16を直角に設ける場合に比べ、より円
滑且つ効果的にサブジャケット12内の冷却水をメイン
ジャケット11内に流入させることができる。
【0027】・上記実施の形態においては、上流側の2
つの燃焼室2a,2b上に第1及び第2連通路15、1
6を設けた。これに対し、上流側の3つ以上の燃焼室上
に対し、同様の連通路を設けてもよい。この場合におい
ても、連通路の内径を冷却水の上流側ほど大径とするこ
とにより、シリンダヘッド1内の温度むらを抑制するこ
とができる。
【0028】・上記実施の形態においては、第1及び第
2連通路15,16は噴射ノズル取付孔3の上流側で連
通するように設けられていたが、この位置は任意に変更
することができる。
【0029】
【0030】・上記実施の形態においては、メインジャ
ケット11及びサブジャケット12による2本の液体通
路による構成としたが、これに対し、3本以上の液体通
路による構成としてもよい。
【0031】
【0032】・上記実施の形態においては、第1及び第
2連通路15,16によりシリンダヘッド1内の温度む
らを抑制したが、上記構成に加え、メインジャケット1
1内に冷却水を供給する複数のメイン供給通路13の内
径を適宜に変更することにより、上記温度むらの更なる
抑制を図る構成としてもよい。
【0033】・上記実施の形態においては、1気筒当た
りそれぞれ2個の吸気バルブ7(吸気ポート4の開口端
4a)及び排気バルブ8(排気ポート6の開口端6a)
を備えたシリンダヘッド1に具体化したが、各バルブ
(各ポートの開口端)は1個ずつ以上であれば何本備え
られている構成であってもよい。
【0034】・上記実施の形態においては、直列4気筒
のディーゼルエンジンのシリンダヘッド1に本発明にか
かる冷却構造を具体化したが、これを例えばV型エンジ
ンの少なくとも一方の側のシリンダヘッドの冷却構造に
具体化してもよい。
【0035】・上記実施の形態においては、ディーゼル
エンジンのシリンダヘッド1に本発明にかかる冷却構造
を具体化したが、ガソリンエンジンのシリンダヘッドに
同冷却構造を具体化してもよい。
【0036】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、各液体通
路のみでは補いきれない上流、下流等における冷却特性
の違いも、連通路の配設によってある程度補われるよう
になる。しかも、それら連通路がシリンダヘッドの温度
分布に応じてその通路断面積が前記液体通路の上流側に
位置するものほど大きくなるように形成されることで、
同シリンダヘッドの温度分布を均一とし得るより緻密な
冷却特性の調整が可能となり、ひいては同シリンダヘッ
ド内の温度むらを好適に抑制することができるようにな
る。そしてこのため、シリンダヘッドの変形による燃焼
室のシール性の悪化や、シリンダヘッドの亀裂の発生等
も好適に防止されるようになる。
【0037】請求項2記載の発明によれば、上記連通路
を通じての冷却液の流入(連通)がより円滑に行われる
ようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のシリンダヘッドの冷却構造の一実施
の形態を示す断面図。
【図2】図1の2−2線に沿った断面図。
【図3】図1の3−3線に沿った断面図。
【図4】この発明のシリンダヘッドの冷却構造の他の構
造例を示す断面図。
【図5】従来のシリンダヘッドの冷却構造例を示す断面
図。
【符号の説明】
1…シリンダヘッド、4…吸気ポート、6…排気ポー
ト、11…メインジャケット、11a…排気ポート上部
ジャケット、11b…排気ポート下部ジャケット、11
c…吸排気ポート間ジャケット、12…サブジャケッ
ト、13…メイン供給通路、14…サブ供給通路、15
…第1連通路、16…第2連通路。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の気筒が直列に配設される内燃機関
    のシリンダヘッド内に設けられて前記各気筒の配列方向
    に冷却液を流通せしめる冷却液の流通方向が同一方向に
    設定された複数の液体通路と、 前記各液体通路に対してそれぞれその上流側から冷却液
    の流通方向に沿って設けられ冷却液を供給する複数の
    体供給通路と、 前記各液体通路によるシリンダヘッド冷却特性を補うべ
    くそれら液体通路間を連通する複数の連通路とを備え、 前記複数の連通路は更に、前記シリンダヘッドの温度分
    布に応じてその通路断面積が前記液体通路の上流側に位
    置するものほど大きくなるように形成されることを特徴
    とするシリンダヘッドの冷却構造。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のシリンダヘッドの冷却構
    造において、 前記連通路の少なくとも一つは、冷却液の流入対象とな
    る液体通路に対してその下流側に傾斜する所定の角度を
    有して形成されることを特徴とするシリンダヘッドの冷
    却構造。
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