JP3263229B2 - 表面接触抵抗特性に優れた電子機器、電気部品等の端子・コネクター用錫または錫合金めっき材 - Google Patents
表面接触抵抗特性に優れた電子機器、電気部品等の端子・コネクター用錫または錫合金めっき材Info
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Description
の端子・コネクター用錫または錫合金めっき材とその製
造方法に関し、特に表面接触抵抗特性に優れた端子・コ
ネクター用錫または錫合金めっき材とその製造方法に関
する。
金めっきを施した、錫または錫合金めっき銅材または銅
合金材は、電子機器、電気部品等の端子およびコネクタ
ーの材料として広く利用されている。近年、電子部品の
はんだ付け方式は、従来の装入実装タイプから自動化が
容易で生産性が高い表面実装タイプ(SMT;Surface
Mount Technology)へと変化している。
をプリント基板の穴に挿入してからはんだ付けする方式
である。これに対し、表面実装タイプとは、電子部品を
プリント基板表面にはんだ付けする方式である。表面実
装タイプのはんだ付けは、部品と基板の接合部にあらか
じめ適量のはんだを供給しておき、部品を載せた後はん
だを溶融させ、はんだ付けを行なうリフロー方式であ
る。リフローはんだ付けに用いられる加熱方法には、赤
外線、気化潜熱、熱風循環方式、ホットプレート等の全
体加熱方式と、加熱ツール、光ビーム、レーザ、エアヒ
ータ等の局部加熱方式がある。
上に搭載されている電子部品を一括してはんだ付け出来
るため生産性に優れるが、不要な部分までも熱影響を受
けることになる。このため、端子・コネクタ等の接触子
部分の錫または錫合金めっき表面が酸化されて接触抵抗
値が高くなることがある。対策として、加熱炉内の雰囲
気をN2 雰囲気やH2 ,CO等の還元雰囲気とすること
が考えられるが、コストアップにつながる。
みを選択的に加熱することが出来るという利点がある反
面、生産性が低いという問題点がある。今後、生産性の
高い全体加熱方式が増加すると考えられるが、従来の錫
めっき材では表面酸化の問題を抱えている。
て、鋼に錫をめっきするブリキでは、めっき後に重クロ
ム酸ソーダ溶液中で電解処理する方法が広く用いられて
いる。この処理を行なうと、錫めっき表面にCr3+の水
和酸化物が形成され、錫の酸化が抑制される。しかし、
錫めっき上のCr3+の水和酸化物が接触抵抗に悪影響を
及ぼすため、この技術を電子部品用の錫めっき材に適用
できない。また、この時に発生する有害な6価のクロム
を含んだ排水処理の問題がある。以上のように電子部品
のSMT化が進むにつれて、錫や錫合金めっき表面の酸
化による接触抵抗の劣化の少ない、錫または錫合金めっ
き材の開発が望まれていた。本発明は、前記従来技術の
問題点を解消し、特に表面接触抵抗特性に優れた電子機
器、電気部品等の端子・コネクター用錫または錫合金め
っき材とその製造方法を提供することを目的としてい
る。
め、本発明者等は、鋭意研究を重ねた結果、X線光電子
分光法により得られた錫または錫合金めっき材表面にお
けるP(2p)/Sn(3d)のピーク面積比と密接な
関連のあることを知見し、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記知見に基づいた本発明は、銅または銅合
金上に錫または錫合金めっきを施した錫または錫合金め
っき材のめっき表面において、X線光電子分光法により
得られた錫または錫合金めっき表面のP(2p)/Sn
(3d)のピーク面積比が0.003〜0.05である
ことを特徴とする表面接触抵抗特性に優れた電子機器、
電気部品等の端子・コネクター用錫または錫合金めっき
材を要旨としている。
ては、錫または錫合金めっき材を芳香族置換基を有する
リン酸エステルまたは芳香族置換基を有する亜リン酸エ
ステルを少なくとも1種以上と、水溶性有機溶媒を含む
処理液に浸漬し、陽極電解することにより、錫または錫
合金めっき表面に錫と前記リン酸エステルまたは亜リン
酸エステルあるいはこの混合物からなる有機物との化合
物被膜が形成される。この処理を施した錫または錫合金
めっき材は、めっき表面が空気中のO2 やH2 Oから遮
断されるため酸化されにくく、接触抵抗が劣化しない。
前記リン酸エステルまたは亜リン酸エステルあるいはこ
の混合物と錫との化合物からなる被膜は薄いため、接触
抵抗に悪影響を及ぼさない。
有するリン酸エステルまたは芳香族置換基を有する亜リ
ン酸エステルを少なくとも1種以上と、水溶性有機溶媒
を含まなければならない。またこの酸化防止処理液に含
まれる前記リン酸エステルまたは亜リン酸エステルの濃
度は0.1〜10wt%が望ましい。0.1wt%未満
では酸化防止効果が少なく、10wt%を超えても酸化
防止効果の向上はなく経済的に無駄である。
リン酸エステルまたは亜リン酸エステルを、容易に水に
溶かす効果と、酸化防止処理液と錫または錫合金めっき
表面との濡れ性向上の効果がある。水溶性有機溶媒の濃
度は5〜50wt%が望ましい。5wt%未満では上記
の効果が小さく、50wt%を超えても濃度増加による
効果の向上はなく、経済的に無駄である。水溶性有機溶
媒としてはエタノールやプロパノール等が良い。
線光電子分光法により得られためっき材表面におけるP
(2p)/Sn(3d)のピーク面積比は0.003〜
0.05でなければならない。X線光電子分光法とは、
固体表面にX線を照射して、光電効果により放出された
光電子の運動エネルギーを測定することによって、元素
分析を行なう方法である。得られたピーク面積比より、
PとSnの組成比を求めることが出来る。
3d電子によるピーク面積比は0.003〜0.05に
しなければならない。ピーク面積比が0.003未満で
は皮膜が不完全でSnの酸化が進行する恐れがある。一
方0.05を超えると皮膜が厚くなり、めっき表面の接
触抵抗値が増加する恐れがある。前記のP(2p)/S
n(3d)のピーク面積比のコントロールは電解時間に
よって行なうことが出来る。電解時間が長いとP(2
p)/Sn(3d)のピーク面積比は大きくなり、電解
時間が短くなると前記面積比は小さくなる。
時間1〜60秒が望ましい。電圧2V未満、電解時間1
秒未満では、錫とリン酸エステルまたは亜リン酸エステ
ルの化合物が均一な皮膜を形成せず、酸化防止効果が小
さい。一方、電圧が10Vを超え、電解時間が60秒を
超えると皮膜が厚くなりすぎ、接触抵抗等に悪影響を及
ぼす恐れがある。また、陽極電解をせず、単に酸化防止
処理液に浸漬したのみでは、錫とリン酸エステルまたは
亜リン酸エステルの反応が遅く、酸化防止に十分な皮膜
を形成するのに長時間を必要とする。
ては、一般式PO(OR)2 OH、PO(OR)(O
H)2 、PO(OR)3 (ただし、Rのうち1つ以上は
芳香族置換基である)で示されるリン酸ジフェニル等が
用いられる。芳香族置換基を有する亜リン酸エステルと
しては、一般式PO(OR)2 H、P(OH)(OR)
2 、PO(OR)(OH)H(ただし、Rのうち1つ以
上は芳香族置換基である)で示される亜リン酸ジフェニ
ル等が用いられる。疎水基としてフェニル基を有してい
ないと酸化防止効果が得られない。このため、疎水基と
して1つ以上芳香族置換基を有していなければならな
い。
た電気光沢錫または錫合金めっき材、錫または錫合金め
っき後、溶融処理をするリフロー錫または錫合金めっき
材、溶融した錫または錫合金の中に素材を通板してめっ
きする、溶融錫または錫合金めっき材、乾式めっき法の
蒸着めっきでめっきした、蒸着錫または錫合金めっき材
のうち、いずれのめっき材にも有効である。錫合金めっ
き材とは、Pb、In、Zn、Sb、Cd、Ag等を少
なくとも1種以上含む錫の合金めっきを施した銅合金材
である。叙上のようにして本発明により、錫または錫合
金めっき表面が表面が酸化され難く、接触抵抗の経時劣
化が少ない電子機器、電気部品等の端子・コネクター用
錫または錫合金めっき材とその製造方法が確立された。
本発明は何ら限定されるものではない。 実施例に用い
たサンプルを〔表1〕に示す。
防止処理した後、〔表2〕に示す条件で熱経時を与え、
〔表3〕に示す条件で、接触抵抗値の経時変化を測定し
た。
が0.001〜0.065までの錫めっき材を作成し、
熱経時前後の接触抵抗値を測定した。〔表4〕にP(2
p)/Sn(3d)のピーク面積比と接触抵抗値の経時
変化の関係を示す。接触抵抗値の評価は10mΩ以下を
OK、それ以上をNGとした(酸化劣化を受けていない
錫めっき材の接触抵抗値は5〜10mΩである)。
増加もなく、優れた接触抵抗特性を示した。比較例1、
従来例1は熱経時により接触抵抗値が増加した。また、
比較例2は、熱経時を受ける前から高い接触抵抗値を示
した。各種酸化防止処理条件で酸化防止処理を行なった
錫めっき材の熱処理前後の接触抵抗の評価を表5に示
す。接触抵抗値の評価は10mΩ以下をOK、それ以上
をNGとした。
よる接触抵抗値の増加もなく、優れた接触抵抗特性を示
した。しかし、比較例4や比較例6は亜リン酸ジフェニ
ル濃度の増加やプロパノール濃度の増加にともなう特性
のアップが無く、これ以上の濃度アップは経済的に無駄
である。比較例3、5、7〜9、従来例2は熱経時によ
り接触抵抗値が増加した。比較例10、11は熱経時を
受ける前から高い接触抵抗値を示した。
いるから、めっき表面が酸化し難く、接触抵抗の経時劣
化が少ない電子機器、電気部品等の端子・コネクター用
錫または錫合金めっき材とその製造方法が得られ、産業
上極めて有用である。
Claims (1)
- 【請求項1】 銅または銅合金上に錫または錫合金めっ
きを施した錫または錫合金めっき材のめっき表面におい
て、X線光電子分光法により得られた錫または錫合金め
っき表面のP(2p)/Sn(3d)のピーク面積比が
0.003〜0.05であることを特徴とする表面接触
抵抗特性に優れた電子機器、電気部品等の端子・コネク
ター用錫または錫合金めっき材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03996794A JP3263229B2 (ja) | 1994-03-10 | 1994-03-10 | 表面接触抵抗特性に優れた電子機器、電気部品等の端子・コネクター用錫または錫合金めっき材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03996794A JP3263229B2 (ja) | 1994-03-10 | 1994-03-10 | 表面接触抵抗特性に優れた電子機器、電気部品等の端子・コネクター用錫または錫合金めっき材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07249445A JPH07249445A (ja) | 1995-09-26 |
JP3263229B2 true JP3263229B2 (ja) | 2002-03-04 |
Family
ID=12567732
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP03996794A Expired - Lifetime JP3263229B2 (ja) | 1994-03-10 | 1994-03-10 | 表面接触抵抗特性に優れた電子機器、電気部品等の端子・コネクター用錫または錫合金めっき材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3263229B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3286560B2 (ja) | 1997-04-28 | 2002-05-27 | 株式会社オートネットワーク技術研究所 | 嵌合型接続端子 |
JP5840373B2 (ja) * | 2011-03-25 | 2016-01-06 | Jx日鉱日石金属株式会社 | Sn又はSn合金めっき材の製造方法 |
JP5894133B2 (ja) * | 2013-10-17 | 2016-03-23 | 株式会社オートネットワーク技術研究所 | 電気接続構造、及び電気接続構造の製造方法 |
-
1994
- 1994-03-10 JP JP03996794A patent/JP3263229B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07249445A (ja) | 1995-09-26 |
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