JP3262268B2 - ろう材及びその製造方法 - Google Patents
ろう材及びその製造方法Info
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Description
の金属部材同士をろう付けするのに用いるろう材及びそ
の製造方法に関する。
ニウム管等の金属部材を気密に接合する方法として、ア
ルミニウムろう材合金を接合すべきアルミニウム部材の
接合面間に又はそれに近接して載置し、ろう材合金の融
点以上でアルミニウムの溶融未満の温度(ろう付け温
度)に加熱することにより、ろう材合金を毛管現象によ
り接合面間に進入させる方法が知られている。ろう材合
金の融点は通常接合する金属部材の融点より少なくとも
30℃〜40℃低いことが望ましい。ろう材合金を溶融させ
る方法として、不活性ガス雰囲気でのヒーターによる加
熱や高周波加熱、大気中でのガストーチ等が挙げられ
る。
てトーチろう付けを行うのが普通であるが、アルミニウ
ム管等の管状金属部材の場合にはリング状ろう材を使用
する。いずれの場合にも、金属部材表面の酸化物を除去
するとともにろう材との親和性を向上させるために、接
合面にフラックスを塗布する。フラックスはろう付け温
度において溶融分解し、金属部材表面の酸化物と反応し
て除去する作用を有する物質で、アルミニウムろう材用
には一般にフッ化アルミン酸カリウム、塩化物系フラッ
クス等が使用されている。
し、トーチ等により加熱してろう付けを行う方法は手間
がかかるので、ろう付け工程を簡略化するために、ろう
材合金を張り合わせたいわゆるクラッド材を用いること
も提案されている。しかし複雑形状の部材の接合等、特
殊な場合には有効であるものの、クラッド材は高価であ
るという問題がある。さらにろう材が全面に張り合わさ
れているため、ろう付け加工時にろうが母材を侵食し、
母材の変形を引き起こすおそれもある。
イソプロピルアルコール等の有機溶媒中で均一に混合し
てなるペーストを金属部材の接合面に塗布し、乾燥後に
加熱溶融させることにより両金属部材を接合する方法も
知られている。このようなペーストとして、アルミニウ
ム合金粉末と、フラックス粉末と、アクリル系樹脂等の
バインダーと、溶媒との混合物からなる組成物が提案さ
れている。
う材合金と粉末状フラックスの混合物をアルミニウム表
面に塗布し、乾燥した後でアルミニウム表面をろう付け
温度に加熱し、ろう付けを行う方法を開示している。さ
らに米国特許第5,100,048 号は、金属シリコン粉末とフ
ラックス粉末とからなる組成物をアルミニウム部材の接
合面に塗布し、ろう付け時の加熱により金属シリコン粉
末がアルミニウムと共晶合金を形成することによりろう
付けを行う方法を開示している。しかしながら、これら
の方法は接合面が広い場合には有効であるものの、パイ
プ同士の接合等、接合面が狭い場合には、接合面に十分
なろう材を塗布できないという欠点を有する。
同士の接合の場合には、組み立てたパイプの接合面近辺
にアルミニウム合金製のリング状ろう材を取り付けた
後、フラックス組成物を塗布し、ろう付けを行う方法が
用いられている。しかしフラックスを塗布する工程が必
要になり、ろう付け工程が長くなるとともに、塗布工程
は自動化しにくく、手作業に頼らざるを得ない。
簡単で自動化も可能であり、かつ低コストのろう材及び
その製造方法を提供することである。
の結果、本発明者らは、ろう材金属粉末をプレス成形
した後で仮焼するとろう材金属粉末の結合が強固な仮焼
体になり、その仮焼体にフラックス粉末の懸濁液を含
浸させるか表面コートすれば、ろう材金属とフラックス
とが複合したろう材が得られることを発見し、本発明を
完成した。
発明のろう材は、5〜30重量%のフラックス粉末と、残
部実質的に0.7 〜0.95の相対密度を有するろう材金属粉
末の多孔質仮焼体とからなり、前記ろう材金属粉末同士
は仮焼により結合しており、前記フラックス粉末は前記
仮焼体の空孔及び/又は表面に分布していることを特徴
とする。
う材を製造する本発明の方法は、ろう材金属粉末をプレ
ス成形及び仮焼することにより0.7 〜0.95の相対密度を
有する多孔質仮焼体を製造し、前記仮焼体を前記フラッ
クス粉末の懸濁液に浸漬し、もって前記仮焼体の空孔及
び/又は表面にフラックス粉末を分布させることを特徴
とする。
じて決まる。例えばアルミニウム部材のろう材用として
は、Al-Si 合金、Al-Si-Cu合金、Al-Cu 合金、Al-Zn
合金、Al-Zn-Si合金等のアルミニウム合金、アルミニ
ウム+Si、Cu及びZnからなる群から選ばれた1種以上の
合金元素、Znを主体とし、Al又はAl及びSiを含有する
亜鉛合金のいずれかを使用することができる。
ム合金において、Si及び/又はCuの合金元素の合計含有
量は5〜15重量%であるのが好ましく、6〜13重量%で
あるのがより好ましい。これらの合金元素はろう付け温
度(600 ℃前後)において、アルミニウムと流動性共融
物を形成し、接合部を被覆する。しかし合金元素含有量
が多すぎると、共融物の流動性が変化するだけでなく、
ろう材が脆化するので好ましくない。
粉末の混合物を使用する場合には、合金元素粉末/アル
ミニウム粉末の重量比は、5/100 〜15/100であるの
が好ましく、6/100 〜13/100 であるのがより好まし
い。アルミニウム粉末と混合する合金元素粉末は、Si及
び/又はCuの粉末であり、好ましくは純Si金属粉末であ
る。
金粉末、又は(ロ) Zn+Al+Siの合金粉末が好ましい。
(イ) Zn+Alの合金粉末の場合、Znは5〜95重量%で、Al
は95〜5重量%である。また(ロ) Zn+Al+Siの合金粉末
の場合、Znは5〜85重量%で、Alは10〜94重量%であ
り、Siは1〜5重量%である。特にZnが50重量%以上の
アルミニウム−亜鉛合金粉末は、アルミニウムのダイキ
ャスト品等のろう付けに使用するのに好適である。
分布は広くするのが好ましい。また平均粒径は200 μm
以下であるのが好ましく、10〜150 μmであるのがより
好ましい。ろう材金属粉末の平均粒径を10μm未満とす
るのはコスト高になるだけでなく、表面酸化物が多くな
る。また平均粒径を150 μm超とするとろう材金属粉末
が大きすぎてフラックス粉末との均一な分布が困難にな
る。
合い効果が大きく、大きな曲げ応力によっても破壊しな
いようになる。そのため、ろう材金属粉末の粒径分布は
広いほど良い。
アトマイズ法、回転円盤法、粉砕法等公知の方法で製造
することができる。一般にガスアトマイズ法の場合には
不定型の粉末が得られ、回転円盤法の場合には球状の粉
末が得られ、粉砕法の場合には不定型の粉末が得られ
る。
微細な粉末である。フラックス粉末は、ろう付け時に接
合部分表面の酸化物を除去するとともに、溶融したろう
材の流動性を向上させる作用を有する。フラックス粉末
の組成としては、KF-AlF3 、 CsF-AlF3 等のフッ化物
系、KCl-LiCl-NaF、CaCl2 -KCl-ZnCl2、 NaCl-KCl-LiCl
-LiF-ZnCl2 、ZnCl2 -NaF -NH4 Cl等の塩化物系が挙げ
られる。好ましいフラックス粉末はKF-AlF3 粉末であ
る。市販品としてNOCOLOK (ALCAN International Limi
ted 製)が好ましい。
末+フラックス粉末の合計を100 重量%として、5〜30
重量%である。フラックス粉末の添加量が5重量%未満
では、フラックス粉末の上記効果が得られない。一方30
重量%を超えても更なる効果が得られない。フラックス
粉末の好ましい添加量は5〜20重量%である。
にステアリン酸亜鉛等の潤滑材を添加することができ
る。
属管同士のろう付けの場合には、図1(a) に示すように
ろう材1をリング状とするのが好ましい。リング状ろう
材1の外径、内径及び厚さは、ろう付けする金属管のサ
イズに応じて適宜決める。また管端からろう付け部まで
の距離が長い場合には、載置を容易にするために、図1
(b) に示すようなU字状のろう材1とするのが好まし
い。リングの内径を金属管の外形よりわずかに大きくす
ることにより、接合部に装着したリング状ろう材が摩擦
力で固定される。
良好で十分な機械的強度を有する場合には、リング形状
にした上で、一部にスリット11を形成することができる
(図1(c) 参照)。スリット付きリングにすると多少拡
開できるので、リングの内径を金属管の外径とほぼ等し
くしても装着に不自由がない。このようなスリット付き
リングを使用すれば、金属管への装着を自動化すること
ができる。
1(d) )、半円形状としたり(図1(e) )、棒状(図1
(f) )としたりしても良い。
干脆いので、金属管に装着する時に破壊する恐れがあ
る。そのため図2に示すように、リングの内径を若干広
くするとともに、その内面に複数の突起部12を円周方向
に実質的に等間隔に設けるのが好ましい。突起部12の数
は2個以上が好ましい。複数の突起部12の先端13を結ぶ
円の径Dは金属管の外径と同じか、僅かに小さくても良
い。このようなリング状ろう材1を管に装着すると、突
起部12の先端部が壊れるため、リング状ろう材1の本体
が破壊することなく、金属管接合部に固定される。この
ためリング状ろう材1の装着を機械化することができ
る。
形状のアルミニウム製品のろう付けの場合には、板状の
ろう材を使用するのが好ましい。その例を図3に示す。
アルミニウムダイキャスト品30のろう付け面32に浅い凹
み32aを形成し、その凹み32aに収容される形状及び厚
さのろう材34を形成する。ろう材34を凹み32aに入れた
後、ろう付けする別のアルミニウムダイキャスト品(図
示せず)を当接し、加熱することによりろう付けする。
孔質の仮焼体を形成した後、有機溶媒に懸濁したフラッ
クス粉末を含浸及び/又は被覆させる工程からなる。一
例として、アルミニウム管をろう付けするためのリング
状ろう材(ろう材金属粉末の仮焼体+フラックス粉末か
らなる)の製造方法を以下詳述する。異なる組成又は形
状のろう材に対しても、同様な方法を適用できる。
成形の一例を図4に示す。プレス金型は、円筒状キャビ
ティー3aを有するコアプレート3と、キャビティー3
aに挿入される上下動自在な中空円筒状上部パンチプレ
ート4と、キャビティー3aに挿入される上下動自在な
中空円筒状下部パンチプレート5と、中空円筒状上部パ
ンチプレート4及び中空円筒状下部パンチプレート5の
中央の円筒状穴に挿入される上下動自在な円筒状ピン部
材6とを有する。
に中空円筒状下部パンチプレート5を進入させ、かつ中
空円筒状下部パンチプレート5の中央穴内に円筒状ピン
部材6を進入させる。コアプレート3の上面に、キャビ
ティー3aを覆うようにカバー7を載置し、その中にろ
う材金属粉末10を入れる(図4(a) )。
上面から取り除いた後、キャビティー3a内に中空円筒
状上部パンチプレート4を進入させ、ろう材金属粉末10
の圧縮を行う(図4(b) )。上部パンチプレート4を最
下端まで降下させた後、中空円筒状下部パンチプレート
5を上昇させてさらに圧縮を行う(図4(c) )。プレス
圧は0.7 〜0.95の相対密度が得られるように設定し、具
体的には10〜200kgf/mm 2 の範囲とするのが好ましい。
特に大きな粒径のろう材金属粉末を使用する場合には、
十分な変形及び絡み合いが得られるように、プレス圧を
高めに設定するのが好ましい。圧縮が完了すると、上部
パンチプレート4及び下部パンチプレート5を上昇さ
せ、得られたろう材金属粉末の圧粉成形体を取り出す
(図4(d) )。
の含浸及び/又は被覆を効果的に行うために、多孔質仮
焼体は0.7 〜0.95の相対密度を有するのが好ましい。仮
焼は、ろう材金属粉末の酸化を防止するために、真空中
又は窒素等の不活性ガス雰囲気中で行う。仮焼によりろ
う材金属粉末は強固に結合するので、仮焼体の機械的強
度、特に曲げ強度は良好である。
調製する。有機溶媒として、メタノール、エタノール、
プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール、イ
ソプロピルアルコール、ペンタノール等の低級脂肪族ア
ルコール等が挙げられる。懸濁液の含浸及び/又は被覆
は、仮焼体を懸濁液中に浸漬する方法により行うのが好
ましい。十分に含浸及び/又は被覆した後、乾燥により
有機溶媒を除去する。
付けする場合について説明する。まずろう材の形状をリ
ング状にする。リング状ろう材をアルミニウム管の接合
部に装着し、トーチ法、高周波法、又は電気炉等により
加熱する。アルミニウム管及びろう材金属粉末の酸化を
防止するために、加熱雰囲気は真空又は窒素等の不活性
ガスとするのが好ましい。ろう付け時間は、アルミニウ
ム合金が溶融して両アルミニウム管の接合面間に十分に
進入するように設定する。例えば外径8mm程度のアルミ
ニウム管のろう付けの場合には、10秒〜1分程度で良
い。またろう付け温度はろう材金属粉末及びフラックス
粉末の融点以上でアルミニウム管の融点未満であれば良
いが、一般に450 〜620 ℃程度であれば良く、特にAl-S
i 合金系ろう材の場合には570 〜620 ℃程度で良い。
るが、本発明はそれらに限定されるものではない。
(平均粒径70μm)を、図4に示すプレス金型により、
100kgf/mm 2 のプレス圧で、外径21mm、内径16mm及び厚
さ2mmのリング状圧粉成形体を成形した。これを550 ℃
で1分間加熱し、多孔質仮焼体を得た。またフラックス
粉末としてKF-AlF3 粉末をイソプロピルアルコールに懸
濁させて濃度20重量%の懸濁液を調製し、この懸濁液に
仮焼体を浸漬した。仮焼体に懸濁液を十分に含浸及び被
覆させた後、室温で十分乾燥させた。このようにして得
られたリング状ろう材は、5重量%のフラックス粉末を
含有していた。
ニウム管の端部を僅かに拡開し、それに同径の第二のア
ルミニウム管の端部を挿入し、ろう付け用接合部を形成
した。その接合部に上記リング状ろう材を装着し、大気
中で600 ℃に15秒間加熱した。これによりろう材は完全
に溶融し、ろう材は両アルミニウム管の接合面間に進入
・固化した。ろう付けしたアルミニウム管に10kgf/cm2
の圧力の空気を圧入し、アルミニウム管全体を水中に浸
漬したところ、漏洩は全く認められなかった。
フラックス粉末を含有するので、現場でフラックスを塗
布する手間が不要であり、ろう付け作業を効率化するこ
とができる。また仮焼体中のろう材金属粉末の結合が強
固であるので、スリット入りリング形状としたときに曲
げ強度等の機械的強度に優れ、ろう付けの自動化に好適
である。
は、アルミニウム部材、特にアルミニウム管同士のろう
付けに使用するのに好適である。
(a) はリング状ろう材を示し、(b) はU字状ろう材を示
し、(c) はスリット入りのリング状ろう材を示し、(d)
は四角形のリング状ろう材を示し、(e) は半円形状ろう
材を示し、(f)は棒状ろう材を示す。
斜視図である。
図であり、(a) はろう材金属粉末をプレス金型に充填す
る様子を示し、(b) は上部パンチプレートを降下させて
ろう材金属粉末を圧縮する様子を示し、(c) は下部パン
チプレートを上昇させてろう材金属粉末をさらに圧縮す
る様子を示し、(d) は上部パンチプレート及び下部パン
チプレートを上昇させて圧粉成形体を取り出す様子を示
す。
Claims (5)
- 【請求項1】 金属部材同士をろう付けするのに用いる
ろう材において、5〜30重量%のフラックス粉末と、残
部実質的に0.7 〜0.95の相対密度を有するろう材金属粉
末の多孔質仮焼体とからなり、前記ろう材金属粉末同士
は仮焼により結合しており、前記フラックス粉末は前記
仮焼体の空孔及び/又は表面に分布していることを特徴
とするろう材。 - 【請求項2】 請求項1に記載のろう材において、前記
仮焼体が棒状、リング状、スリットの入ったリング状、
半円状又はU字状であることを特徴とするろう材。 - 【請求項3】 請求項2に記載のろう材において、リン
グの内面に複数の突起部が円周方向に実質的に等間隔に
設けられていることを特徴とするろう材。 - 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載のろう材
において、前記ろう材金属粉末が200 μm以下の平均粒
径を有することを特徴とするろう材。 - 【請求項5】 金属部材同士をろう付けするのに用いる
ろう材を製造する方法において、ろう材金属粉末をプレ
ス成形及び仮焼することにより0.7 〜0.95の相対密度を
有する多孔質仮焼体を製造し、前記仮焼体を前記フラッ
クス粉末の懸濁液に浸漬し、もって前記仮焼体の空孔及
び/又は表面にフラックス粉末を分布させることを特徴
とする方法。
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- 1997-11-12 JP JP32712697A patent/JP3262268B2/ja not_active Expired - Fee Related
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