JP3259433B2 - 固体撮像素子の光学的特性測定・検査装置とそれを用いた測定・検査方法 - Google Patents

固体撮像素子の光学的特性測定・検査装置とそれを用いた測定・検査方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、固体撮像素子の光学的
特性の測定・検査装置に関し、さらに詳述すると、固体
撮像素子のシェーディング特性の測定・検査に好適に使
用することができる測定・検査装置とそれを用いた測定
・検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、固体撮像素子の各光電変換領域
(センサー)上にマイクロレンズを配置し、等価的な開
口率を上げることによる集光効果を利用した固体撮像素
子の感度向上技術が一般的に用いられている。しかし、
上記感度向上技術では、マイクロレンズを通って光電変
換領域に入る光の入射角が光軸から離れるほど垂直から
ずれ、光の入射角が大きい固体撮像素子の周辺部では入
射角の大きさによっては光の一部が光電変換領域に入射
しなくなる現象(光の部分的なけられ)が起こる。その
結果、固体撮像素子の光軸中心部と周辺部とでは光に対
する出力信号レベルに差が生じ、いわゆるシェーディン
グ現象が発生する。
【0003】ここで、シェーディング現象を図4により
説明する。図4において10は射出瞳、12は光軸、1
4はマイクロレンズ、16は固体撮像素子の撮像面、1
8は固体撮像素子の各光電変換領域を示す。図4(A)
のように射出瞳距離(L1)が長い場合、射出瞳10か
ら射出された光は固体撮像素子の周辺部でもその全部
(斜線部)が光電変換領域18に入り、全光線に対応す
る信号が出力される。しかし、図4(B)のように射出
瞳距離(L2)が短い場合には、固体撮像素子の周辺部
では光の入射角が大きくなるため、射出瞳10から射出
された光の一部(斜線部)のみが光電変換領域18に入
り、残りの部分(白抜き部)はけられとなるため、光の
一部に対応する信号しか出力されない。したがって、図
5に示すように固体撮像素子の周辺部に行くにしたがい
固体撮像素子の出力が低下し、シェーディング現象が起
こる。このような現象は、射出瞳距離が短くなればなる
ほど顕著になる。図6は、射出瞳距離が短くなるにした
がい周辺出力/中心出力の比が小さくなり、シェーディ
ング特性が変化する原理的な固体撮像素子の特性を示し
ている。
【0004】また、マイクロレンズを用いない場合で
も、固体撮像素子の光電変換領域は構造的に谷間のよう
な深い部分に位置しているため、光の入射角の大きさに
よっては光電変換領域に入る光が部分的にけられ、同様
の問題が生じる。したがって、シェーディング特性等の
固体撮像素子の光学的特性を測定・検査することは、固
体撮像素子の品質管理等のために重要である。
【0005】従来、均一光を与える面光源を有する固体
撮像素子の光学的特性測定・検査装置として、図7に示
した構成のものが知られている。図7において、30は
光源、32は拡散部材、34は平行光化部材、36はミ
ラー、38は固体撮像素子、40は固体撮像素子に接続
されたCDS(相関二重サンプリング回路)、42はア
ンプ、44は信号処理部である。ここで、測定・検査の
対象である固体撮像素子28としては、CCDチップや
CCDウェハーの固体撮像素子が挙げられる。この固体
撮像素子の光学的特性測定・検査装置においては、光源
30から出た光を拡散部材32で均一化し、平行光化部
材34で平行光化した後、この平行光化された均一光を
ミラー36で反射させて固体撮像素子38の撮像面46
に照射し、固体撮像素子38の出力を信号処理部44で
処理することにより、固体撮像素子38の光学的特性を
測定・検査するものである。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】図7の測定・検査装置を用いて固体撮像素
子のシェーディング特性を適正に測定するためには、固
体撮像素子周辺部の光電変換領域への光の入射角を大き
くする必要がある。一方、固体撮像素子周辺部の光電変
換領域への光の入射角が大きくなる原因としては、対物
レンズの絞りを開放した場合と、射出瞳距離を短くした
場合とがある。したがって、図7に示した従来の測定・
検査装置で固体撮像素子のシェーディング特性を測定す
るためには、固体撮像素子への入射光学系としてFナン
バーを小さくできる対物レンズを用いたり、射出距離の
非常に短い対物レンズを用いたりすることが必要となる
が、このような入射光学系を従来の測定・検査装置に組
み込み、通常の光学系と切り換えてシェーディング特性
の測定に使用することは非常に困難であった。
【0007】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、固体撮像素子のシェーディング特性を簡便に測定・
検査することが可能な固体撮像素子の光学的特性測定・
検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】本発明は、上記目的を達成するため、光学
系からの均一光を固体撮像素子に照射して、該固体撮像
素子からの出力信号を信号処理部にて処理することで固
体撮像素子の光学的特性を測定・検査する方法におい
て、光学系と固体撮像素子との間に配置されたピンホー
ル機構にて固体撮像素子からの射出瞳距離を任意に設定
し、該ピンホール機構を介して光学系から均一光を固体
撮像素子の撮像面に照射することととした。また、この
本発明に係る測定・検査方法に好適な装置は、固体撮像
素子に向けて均一光を照射する光学系と、一端開口部が
前記光学系を向き、他端開口部が固体撮像素子の撮像面
を向くピンホールを有し、ピンホールの径(ピンホール
径)およびピンホールと固体撮像素子の撮像面との間の
距離(撮像面間距離)の調節が可能でかつ光学系と固体
撮像素子との間に駆動可能なピンホール機構と、光学系
から照射されピンホールを通過した均一光を撮像面にて
受光することで固体撮像素子から出力される出力信号を
処理する信号処理部とを備えた。
【0009】本発明に係る固体撮像素子の光学的特性測
定・検査装置において、前記光学系の構成に特に限定は
なく、固体撮像素子に向けて均一光を照射できるもので
あればどのような構成のものでも使用することができ
る。このような光学系として、具体的には、光源と、光
源から照射された光を拡散して均一化する光拡散部材
(例えばすりガラス、乳白板等)と、光拡散部材を通過
した光を平行光化する平行光化部材(例えばレンズ、フ
ァイバーアレイ等)と、平行光化部材を通過した光を反
射して固体撮像素子に向けて照射するミラーとからなる
ものなどを好適に使用できる。光学系として平行光を固
体撮像素子に向けて照射するものを用いた場合には、ピ
ンホール機構を駆動して光学系と固体撮像素子との間か
ら外すことにより、平行光を用いた通常の光学的特性の
測定・検査を容易に行うことができる。
【0010】本発明に係る固体撮像素子の光学的特性測
定・検査装置においては、前記光学系と固体撮像素子と
の間にピンホール機構を配置してある。このピンホール
機構は、一端開口部が光学系を向き、他端開口部が固体
撮像素子の撮像面を向いたピンホールを有し、光学系か
ら照射された均一光をピンホールに通して固体撮像素子
の撮像面に入射させるもので、これにより固体撮像素子
の撮像面への光の入射角を大きくするものである。本発
明においては、ピンホール機構を駆動可能とし、これに
より光学系と固体撮像素子との間にピンホール機構を配
置して固体撮像素子のシェーディング特性を測定・検査
したり、ピンホール機構を光学系と固体撮像素子との間
から外して固体撮像素子の通常の光学的特性を測定・検
査したりすることができるようになっている。
【0011】ピンホール径および撮像面間距離を調節可
能なピンホール機構としたので、ピンホールの径固体
撮像素子とピンホールとの距離は、測定・検査の目的等
に応じて適宜選択することができる。この場合たとえ
、ピンホール機構に異なる径のピンホールを有する複
数のピンホール板を設けてこれらを切り替えて使用でき
るようにしたり、固体撮像素子とピンホールとの距離が
異なる複数のピンホール板を設けてこれらを切り替えて
使用できるようにしたり、ピンホールの径や固体撮像素
子とピンホールとの距離を調節可能なピンホール板を使
用したりすることで、ピンホール径および撮像面間距離
を調節可能にする構成を実現できる。
【0012】本発明の測定・検査装置により固体撮像素
子の光学的特性を測定・検査する場合、CCDチップの
固体撮像素子及びCCDウェハーの固体撮像素子のいず
れでも測定・検査を行うことができる。いずれの場合
も、1つの固体撮像素子に対する入射光学系を設定すれ
ばよい。
【0013】
【作用】本発明に係る固体撮像素子の光学的特性測定・
検査装置においては、固体撮像素子に向けて均一光を照
射する光学系があり、この光学系と固体撮像素子との間
に、任意の径のピンホールを有するなどピンホール径お
よび撮像面間距離を調整可能でかつ駆動可能なピンホー
ル機構がある。そして、一端開口部を上記光学系、他端
開口部を固体撮像素子の撮像面に向けた状態で上記ピン
ホールを固体撮像素子から任意の距離の位置に配置し、
ピンホールを原理的な射出瞳とすることで、ピンホール
を通って入射する光に対する固体撮像素子の出力特性を
測定し、固体撮像素子の持つ斜め入射光に対する出力特
性を調べることにより、シェーディング特性の測定・検
査を行う。また、ピンホール機構を駆動して光学系と固
体撮像素子との間から外すことにより、通常の光学的特
性の測定・検査を行う。
【0014】
【実施例】次に、実施例により本発明を具体的に示す
が、本発明は下記実施例に限定されるものではない。実施例 図1に本発明の一実施例に係る固体撮像素子の光学的特
性測定・検査装置を示す。なお、図1において、図7の
装置と同一構成の部分には同一参照符号を付してその説
明を簡略化する。本装置においては、光源30、拡散部
材32、平行光化部材34及びミラー36によって固体
撮像素子38に向けて均一光を照射する光学系が構成さ
れている。また、ミラー36と固体撮像素子38との間
に駆動可能なピンホール機構50が設置されている。上
記ピンホール機構50は、一端開口部がミラー36を向
き、他端開口部が固体撮像素子38の撮像面46を向い
たピンホール52を有し、上記光学系から照射された均
一光をピンホール52に通して固体撮像素子38の撮像
面46に入射させるもので、これにより撮像面46への
光の入射角を大きくするものである。
【0015】ピンホール機構50として、具体的には、
図2及び図3に示すものが挙げられる。図2に示すピン
ホール機構50は、ピンホール52を形成した羽根板状
の複数のピンホール板54を高さを違えて階段状に連結
することにより連結体56を形成するとともに、この連
結体56をギヤ変換又はベルトドライブにより回転する
モータ又はステッピングモータ58の回転軸60に固定
したものである。各ピンホール板54のピンホール52
は互いに異なる径に形成してあり、モータ又はステッピ
ングモータ58を回転させて光軸62上のピンホール板
54を切り替えることにより、測定・検査に用いるピン
ホール52の径及びピンホール52と撮像面46との距
離を変えられるようになっている。
【0016】図3に示すピンホール機構50は、ピンホ
ール52を形成した四角板状の複数のピンホール板64
を高さを違えて階段状に連結することにより連結体66
を形成するとともに、この連結体66をレール68上に
スライド可能に設置し、連結体66をリニアモータ(図
示せず)でスライドさせるようにしたものである。各ピ
ンホール板64のピンホール52は互いに異なる径に形
成してあり、リニアモータを作動して光軸62上のピン
ホール板64を切り替えることにより、測定・検査に用
いるピンホール52の径及びピンホール52と撮像面4
6との距離を変えられるようになっている。
【0017】図1の装置を用いて固体撮像素子のシェー
ディング特性の測定・検査を行う方法としては、光源3
0から出た光を拡散部材32及び平行光化部材34に順
次通し、ミラー36で反射させ、平行光化された均一光
をピンホール機構50のピンホール52に通した後、固
体撮像素子38の撮像面46に照射し、固体撮像素子3
8の出力を信号処理部44で処理することにより、固体
撮像素子38のシェーディング特性が測定・検査され
る。また、平行光を用いた固体撮像素子の通常の光学的
特性の測定・検査を行う場合には、ピンホール機構50
を駆動してミラー36と固体撮像素子38との間から外
して平行光がミラー36から直接固体撮像素子38の撮
像面46に照射されるようにし、図7の装置と同様に測
定を行う。
【0018】ピンホールレンズでは、原理的にピンホー
ルそのものが絞り及び射出瞳と等しくなるため、ピンホ
ールの径及びピンホールと撮像面との間の距離を調節す
ることによって、射出瞳距離を任意に設定することがで
きる。ピンホールの径をd、射出瞳距離をlとすると、
Fナンバーとの関係は下記式のようになる。 F=l/d 原理的に、射出瞳距離に依存する固体撮像素子のシェー
ディング特性の変化はFナンバーが大きいほど現れやす
い。Fナンバーが小さい場合には、対物レンズそのもの
の周辺減光が支配的となるため、マイクロレンズに起因
するシェーディングは見えにくくなる。
【0019】この結果より、例えばFナンバーを16に
設定したとき、ピンホールの径と撮像面からの距離との
関係は表1のようになる。
【0020】
【表1】
【0021】したがって、例えば固体撮像素子から光軸
に沿って32.0mm離れた位置に径が2.0mmのピ
ンホールを配置することで、Fナンバー16、射出瞳距
離32.0mmの面光源となる。このときに固体撮像素
子出力のシェーディング測定をすることで、シェーディ
ング特性の変化を検査することができる。また、本実施
例のピンホール機構は非常に簡単な構造であるため、通
常の平行光光源との切り替えも容易に行うことができ
る。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る固体
撮像素子の光学的特性測定・検査装置並びに方法によれ
ば、ピンホールの径及びピンホールと固体撮像素子との
距離を任意に設定することにより、固体撮像素子からの
射出瞳距離を自在に設定することができ、光電変換領域
への光入射角が大きいときの固体撮像素子の特性変化を
捉えてシェーディング特性の測定・検査を適正に行うこ
とができる。したがって、本発明装置によれば、固体撮
像素子の光電変換領域上に形成された集光光学系、例え
ばマイクロレンズに係わる撮像特性の変化を測定するこ
とができる。また、本発明装置は、ピンホール機構を駆
動して光学系と固体撮像素子との間から外すことにより
通常の光学系との切り替えを簡単に実現できるため、例
えば平行光を用いた通常の光学的特性の測定・検査を容
易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る固体撮像素子の光学的
特性測定・検査装置を示す概略構成図である。
【図2】ピンホール機構の一例を示す概略構成図であ
る。
【図3】ピンホール機構の他の例を示す概略構成図であ
る。
【図4】シェーディング現象と射出瞳距離との関係を示
す説明図である。
【図5】固体撮像素子の光入射位置と出力との関係を示
す説明図である。
【図6】固体撮像素子の周辺出力/中心出力比の射出瞳
距離依存性を示すグラフである。
【図7】従来の固体撮像素子の光学的特性測定・検査装
置を示す概略構成図である。
【符号の説明】
30 光源 32 拡散部材 34 平行光化部材 36 ミラー 38 固体撮像素子 46 撮像面 50 ピンホール機構 52 ピンホール
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 27/14 G01R 31/26

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固体撮像素子に向けて均一光を照射する
    光学系と、 一端開口部が前記光学系を向き、他端開口部が前記固体
    撮像素子の撮像面を向くピンホールを有し、前記ピンホ
    ールの径および当該ピンホールと前記固体撮像素子の撮
    像面との間の距離の調節が可能でかつ前記光学系と前記
    固体撮像素子との間に駆動可能なピンホール機構と、前記光学系から照射され前記ピンホールを通過した均一
    光を前記撮像面にて受光することで 前記固体撮像素子
    ら出力される出力信号を処理する信号処理部とを備えた
    ことを特徴とする固体撮像素子の光学的特性測定・検査
    装置。
  2. 【請求項2】 光学系からの均一光を固体撮像素子に照
    射して、該固体撮像素子からの出力信号を信号処理部に
    て処理することで前記固体撮像素子の光学的特性を測定
    ・検査する方法において、 前記光学系と前記固体撮像素子との間に配置されたピン
    ホール機構にて前記固体撮像素子からの射出瞳距離を任
    意に設定し、該ピンホール機構を介して前記光学系から
    均一光を前記固体撮像素子の撮像面に照射することを特
    徴とする固体撮像素子の光学的特性測定・検査方法。
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