JP3258137B2 - 電動機駆動装置 - Google Patents

電動機駆動装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電動機駆動装置に係り、
特に、交流電源を一度直流電源に変換し、この直流電源
を用いてインバータにより広範囲な回転速度制御を行う
電動機駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えばルームエアコンの室外
機などには、広範囲な回転速度制御を実現するため、交
流電源を一度直流電源に変換し、この直流電源を用いて
インバータにより電動機の回転速度制御を行う電動機駆
動装置が搭載されている。図6に、従来より知られてい
るこの種の電動機駆動装置を示す。
【0003】この図から明らかなように、本例の電動機
駆動装置は、交流電源1に接続された整流回路2と、整
流回路2を介して交流電源1に直列接続されたインダク
タ3と、該インダクタ3に前記交流電源1の周波数より
高い周波数の短絡電流を流すスイッチング素子4と、ダ
イオード5a及びコンデンサ5bからなり、直流電圧V
d を得る交流−直流変換回路5と、交流電圧検出回路
7、スイッチング電流検出回路8、直流電圧検出回路
9、回転速度検出回路10を備えた検出部と、直流を交
流に変換するインバータ11と、電動機12と、前記交
流−直流変換回路5を制御するコンバータ制御回路13
と、前記インバータ11を制御するインバータ制御回路
14とから構成されている。
【0004】本例の電動機駆動装置は、交流電圧検出回
路7から得た正弦波波形Vs を基準にしてスイッチング
電流Ic を制御し、入力電流Is を正弦波状の波形にす
ることで交流電源1の力率改善を行う。また、スイッチ
ング素子4のオンオフ比は、インバータ制御回路14で
作成した直流電圧指令Vdkと直流電圧Vd の差から決定
され、電動機の負荷に応じて直流電圧Vd を直流電圧指
令Vdkに一致するように制御する。しかるに、かかる構
成の電動機駆動装置は、交流−直流変換制御手段が昇圧
回路を基本とした回路であるため、電動機12の負荷が
ある程度大きい場合には良好な速度制御を行い得るが、
電動機12の負荷が軽くなると所定の直流電圧以下に制
御できなくなって、電動機12の速度制御が難しくな
る。
【0005】かかる不都合を解消する手段としては、例
えば特開昭59ー181973号公報に記載されている
ように、予め設定された基底直流電圧基準値に対して直
流電圧指令Vdkが大きい場合には、直流電圧Vd をイン
バータ直流電圧指令Vdkにて制御し、かつインバータの
PWM変調率を最大値(100%)に制御する所謂PA
M制御を行うと共に、基底直流電圧基準値に対して直流
電圧指令が小さい場合には、直流電圧を当該基底直流電
圧基準値として一定に制御し、かつインバータ出力電圧
をインバータ出力電圧指令に一致させるようにインバー
タのPWM変調率を制御する所謂PWM制御を行う制御
方式が提案されている。この制御方式によると、電動機
12の出力が小さいときには、直流電圧を低い電圧で一
定に保ち、インバータ11のスイッチング損失を低減し
たうえでインバータ出力電圧をインバータのPWM変調
率で制御し、また、電動機12の出力が大きいときに
は、インバータでは周波数制御のみ行い直流電圧を制御
するので、電動機12の負荷の如何に拘らず良好な電動
機の回転数制御を実現できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記の制御
方式をとる電動機駆動装置では、PAM制御領域におい
て、直流電圧の制御手段としてスイッチング素子4のオ
ン時にインダクタ3にスイッチング電流Ic を流し、ス
イッチング素子4のオフ時にインダクタ3に蓄積したエ
ネルギーを出力側に放出して直流電圧Vd を昇圧し、ま
た、直流電圧Vdの制御は、前記スイッチング素子4の
オン、オフ比により決定するので、スイッチング素子4
のスイッチング周波数は、インダクタ3を大型化するこ
となくインダクタ3の電磁音を抑制するためには、20
KHz〜50KHzの範囲内にする必要がある。
【0007】従って、スイッチング素子4の損失がオン
損失及びスイッチング損失を合わせて大きなものとな
り、電動機駆動装置全体の効率低下をきたしている。ま
た、スイッチング損失によって生じる発熱が大きくなる
ために、大型の冷却構造が必要となり、システム全体の
小型化に対して障害となっている。
【0008】本発明は、かかる従来技術の不備を解消す
るためになされたものであって、その目的は、直流電圧
及び電源力率を期間通流率で制御することで高力率、高
効率なシステムを得ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決するため、第1に、交流電源から整流回路を介して
得た直流電圧に直列接続されたインダクタと、このイン
ダクタに前記交流電源の電源周波数よりも高い周波数の
短絡電流を流すスイッチング素子と、このスイッチング
素子のオンオフ比に応じた力率と直流出力電圧を得る交
流−直流変換回路と、この直流出力電圧を交流電圧に変
換するインバータと、このインバータにより駆動される
電動機と、前記電動機の速度指令値に応じた直流電圧指
令値に直流出力電圧が一致するように前記交流−直流変
換回路を制御するコンバータ制御回路とを備えた電動機
駆動装置において、前記コンバータ制御回路として、前
記電源周波数の1サイクルを電流値が低い区間に対応す
る通流期間と電流値が高い区間に対応する非通流期間と
に区分し、前記通流期間中は前記スイッチング素子をオ
ン動作し、前記非通流期間中は前記スイッチング素子を
オフ操作するものであって、交流入力電圧の検出手段よ
り取り込まれた検出値に基づいて前記スイッチング素子
の電流ピーク値を制御し、かつ、前記電動機の速度指令
値と実回転速度の差に応じて前記通流期間及び非通流期
間を制御するものを備えるという構成した。
【0010】本発明は、上記の課題を解決するため、第
2に、交流電源から整流回路を介して得た直流電圧に直
列接続されたインダクタと、このインダクタに前記交流
電源の電源周波数よりも高い周波数の短絡電流を流すス
イッチング素子と、このスイッチング素子のオンオフ比
に応じた力率と直流出力電圧を得る交流−直流変換回路
と、この直流出力電圧を交流電圧に変換するインバータ
と、このインバータにより駆動される電動機と、前記電
動機の速度指令値に応じた直流電圧指令値に直流出力電
圧が一致するように前記交流−直流変換回路を制御する
コンバータ制御回路とを備えた電動機駆動装置におい
て、前記コンバータ制御回路として、前記電源周波数の
1サイクルを電流値が低い区間に対応する通流期間と電
流値が高い区間に対応する非通流期間とに区分し、前記
通流期間中は前記スイッチング素子をオン動作し、前記
非通流期間中は前記スイッチング素子をオフ操作するも
のであって、前記電動機の速度指令値と実回転速度の
差、並びに電源入力電流値に応じて前記通流期間及び非
通流期間を制御するものを備えるという構成にした。
【0011】
【作用】電源周波数の1サイクルを電流値が低い区間に
対応する通流期間と電流値が高い区間に対応する非通流
期間とに区分し、通流期間中のみスイッチング素子をオ
ン動作し、非通流期間中はスイッチング素子をオフ動作
するようにすると、スイッチング素子の損失及び発熱が
著しく軽減される。また、直流電圧及び入力力率の制御
は、スイッチング期間中のスイッチング電流のオン、オ
フ比で制御できる。すなわち、このオン、オフ比を交流
電圧から得た正弦波パターンを参照して制御することで
力率は改善され、また、直流電圧指令と直流電圧が等し
くなるように制御することで所定の直流電圧が得られ
る。よって、電動機駆動装置全体の効率が改善されると
共に、冷却構造の小型化、ひいてはシステム全体の小型
化を図ることができる。
【0012】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図1〜図5を用い
て説明する。図1は実施例に係る電動機駆動装置の回路
図、図2はコンバータ制御回路の実施例図、図3はコン
バータ制御回路の動作を示す波形図、図4及び図5は実
施例に係る電動機駆動装置の効果を示すグラフ図であ
る。
【0013】本例の電動機駆動装置は、図1に示すよう
に、図6に示した従来の電動機駆動装置に入力電流Is
の瞬時値Ispを検出する入力電流検出回路15を付設す
ると共に、コンバータ制御回路13として、図2に示す
ものを備えたことを特徴とする。図1において、前出の
図6と同等の部分にはそれと同一の符号が表示されてい
る。
【0014】本例の電動機駆動装置は、交流電圧検出回
路7から得た正弦波波形Vs を基準にしてスイッチング
電流Ic の瞬時値Icpを制御し、入力電流Is を正弦波
状の波形にして交流電源の力率改善を行う。また、この
スイッチング素子4のオンオフ比は、インバータ制御回
路14で作成した直流電圧指令Vdkと直流電圧Vd の差
から決定され、電動機の負荷に応じて直流電圧指令Vdk
に一致するように直流電圧Vd を制御する。さらに、本
例の電動機駆動装置においては、低負荷時の電動機12
の速度制御を可能にするため、所謂PAM制御とPWM
制御を併用する制御方式を採用する。
【0015】次に、コンバータ制御回路13の構成とそ
の制御アルゴリズムを、図2及び図3により説明する。
図2及び図3に示すように、本例のコンバータ制御回路
13は、入力電流検出回路15から瞬時値Ispを検出す
ると共に、直流電圧検出回路9から得た直流電圧Vd
インバータ制御回路14から得た直流電圧指令Vdkを差
動増幅器103にかけ、第1のゲイン107を介して電
圧エラー値VFB1 を求め、前記の瞬時値Ispと比較器1
01で比較して、期間信号Vk を得る。入力電流1サイ
クルに対する期間信号Vk の信号長すなわち期間通流率
は、第1のゲイン107により電圧エラー値VFB1 の比
率を調整することで任意に選択できる。この期間信号V
kと発振信号OSCをアンド回路102に入力し、期間
通流率信号Vksを得る。なお、前記発振信号OSCの周
波数は、スイッチング周波数となるため20kHz〜5
0kHzに設定し、さらにオンの比率(デューティ)を
95%程度にする。5%のオフ期間は、スイッチング時
のデッドタイム期間となる。
【0016】一方、直流電圧検出回路9からの直流電圧
d とインバータ制御回路14から得た直流電圧指令V
dkを差動増幅器103にかけ、第2のゲイン108を介
して電圧エラー値VFB2 を求め、このVFB2 と入力電圧
検出値Vs から乗算器104により直流電圧のエラー値
に応じた正弦波パターンの電流制限値Vspを得る。ここ
で、直流電圧のエラー値の電流制限値Vspへの影響度
は、第2のゲイン108を調整することで任意に設定で
きる。この電流制限値Vspを基準にして、スイッチング
素子4のオン時に流れるスイッチング電流の瞬時値Icp
を電流比較器105によって制御する電流制御信号IFB
を得る。さらに、この電流制御信号IFBと前記期間通流
率信号Vksからアンド回路106によって、スイッチン
グ素子4のドライブ信号Vdrを作成する。
【0017】すなわち図2のコンバータ制御回路は、通
流期間t1 間においては電流制御信号IFBによりスイッ
チング電流の瞬時値Icpを制御することで入力電流Is
を正弦波状に制御し、通流しない期間t2 間において
は、スイッチングを停止して交流電源1から出力側へ直
接電流を流す。また、インバータ出力が小さくなると直
流電圧指令Vdkが低くくなり、交流電源電圧がVs ×√
2以下になると直流電圧の制御ができなくなる。そこで
基底直流電圧値をVs ×√2と定め、直流電圧指令Vdk
が基底直流電圧値以下の場合には、従来技術と同様に、
直流電圧指令Vdkを基底直流電圧値に固定して、インバ
ータ出力をPWM制御する。
【0018】以上の回路構成において発明者等の実験に
よれば、第1のゲイン107と第2のゲイン108の比
率をおよそ2:1にすることによって、図に示す通
り、全負荷領域で95%以上の力率を確保できる。ま
た、図に示す通り、スイッチング素子の損失を5W〜
20W低減でき、従来の全期間スイッチングする方式に
比べてスイッチング素子4の損失を約30%低減できる
ことを確認した。従って、電動機駆動装置の効率向上の
他、放熱器の縮小が可能となり、システム全体の小型化
を行うことができる。また、最も大きな電流の流れる領
域、すなわち正弦波状入力電流のピーク部でスイッチン
グ電流Icを停止する期間を作るためスイッチング素子
4の最大定格電流を従来の約2/3にすることができ
る。従って、電流容量の小さなスイッチング素子の使用
が可能となり、システムのコスト低減が図れる。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
スイッチング素子の電流を正弦波パターンを参照して作
成するので、負荷全領域にわたり高力率に制御できる。
また、スイッチング素子の損失を5W〜20W低減で
き、従来の全期間スイッチングする方式に比べて約30
%の損失低減を達成できる。従って、電動機駆動装置の
効率向上の他、放熱器の縮小が可能となりシステム全体
の小型化を行うことができる。また、最も大きな電流の
流れる領域、すなわち正弦波状入力電流のピーク部でス
イッチング電流Ic を停止する期間を作るためにスイッ
チング素子の最大定格電流を従来の役2/3に低下でき
る。従って、電流容量の小さなスイッチング素子の使用
が可能となり、システムのコスト低減が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に係る電動機駆動装置の回路図である。
【図2】実施例に係るコンバータ制御回路の回路図であ
る。
【図3】図2のコンバータ制御回路の動作を説明する波
形図である。
【図4】本発明の効果を示すグラフ図である。
【図5】本発明の効果を示すグラフ図である。
【図6】従来例に係る電動機駆動装置の回路図である。
【符号の説明】
1 交流電源 2 整流回路 3 インダクタ 4 スイッチング素子 5 ダイオード 6 平滑コンデンサ 7 入力電圧検出回路 8 スイッチング電流検出回路 9 直流電圧検出回路 10 入力電圧検出回路 11 インバータ 12 電動機 13 コンバータ制御部 14 インバータ制御部 15 入力電流検出回路 101 比較器 102 アンド回路 103 差動増幅器 104 乗算器 105 比較器 106 アンド回路 107 第1のゲイン 108 ゲイン2
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H02P 7/63 302 H02P 7/63 302Q (56)参考文献 特開 昭59−198897(JP,A) 特開 平5−91731(JP,A) 特開 平5−94892(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02M 7/217 H02M 3/155 H02M 7/06 H02M 7/48 H02P 7/63

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 交流電源から整流回路を介して得た直流
    電圧に直列接続されたインダクタと、このインダクタに
    前記交流電源の電源周波数よりも高い周波数の短絡電流
    を流すスイッチング素子と、このスイッチング素子のオ
    ンオフ比に応じた力率と直流出力電圧を得る交流−直流
    変換回路と、この直流出力電圧を交流電圧に変換するイ
    ンバータと、このインバータにより駆動される電動機
    と、前記電動機の速度指令値に応じた直流電圧指令値に
    直流出力電圧が一致するように前記交流−直流変換回路
    を制御するコンバータ制御回路とを備えた電動機駆動装
    置において、前記コンバータ制御回路として、前記電源
    周波数の1サイクルを電流値が低い区間に対応する通流
    期間と電流値が高い区間に対応する非通流期間とに区分
    し、前記通流期間中は前記スイッチング素子をオン動作
    し、前記非通流期間中は前記スイッチング素子をオフ操
    作するものであって、交流入力電圧の検出手段より取り
    込まれた検出値に基づいて前記スイッチング素子の電流
    ピーク値を制御し、かつ、前記電動機の速度指令値と実
    回転速度の差に応じて前記通流期間及び非通流期間を制
    御するものを備えたことを特徴とする電動機駆動装置。
  2. 【請求項2】 交流電源から整流回路を介して得た直流
    電圧に直列接続されたインダクタと、このインダクタに
    前記交流電源の電源周波数よりも高い周波数の短絡電流
    を流すスイッチング素子と、このスイッチング素子のオ
    ンオフ比に応じた力率と直流出力電圧を得る交流−直流
    変換回路と、この直流出力電圧を交流電圧に変換するイ
    ンバータと、このインバータにより駆動される電動機
    と、前記電動機の速度指令値に応じた直流電圧指令値に
    直流出力電圧が一致するように前記交流−直流変換回路
    を制御するコンバータ制御回路とを備えた電動機駆動装
    置において、前記コンバータ制御回路として、前記電源
    周波数の1サイクルを電流値が低い区間に対応する通流
    期間と電流値が高い区間に対応する非通流期間とに区分
    し、前記通流期間中は前記スイッチング素子をオン動作
    し、前記非通流期間中は前記スイッチング素子をオフ操
    作するものであって、前記電動機の速度指令値と実回転
    速度の差、並びに電源入力電流値に応じて前記通流期間
    及び非通流期間を制御するものを備えたことを特徴とす
    る電動機駆動装置。
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