JP3256269B2 - 繊維チョップの製造方法 - Google Patents

繊維チョップの製造方法

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fiber chop
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祥一 久米
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、繊維強化複合材料に供
するロービングカッターを用いる炭素繊維チョップの製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、炭素繊維と各種マトリックスを混
合して得られる繊維強化複合材料は、その優れた性質、
即ち高強度、高弾性率、高電気伝導性、高耐摩耗性、低
比重等により、工業的に重要な材料として注目されてい
る。
【0003】例えば、マトリックスに熱可塑性樹脂を用
いた繊維強化複合材料を得ようとする場合には、予め炭
素繊維を1〜数10mmに切断して炭素繊維チョップと
し、これと熱可塑性樹脂ペレット又はパウダーを押出機
に投入し、溶融混練して繊維強化複合材料である混合ペ
レットとし、この混合ペレットを成形機にかけ、目的と
する成形体を得ている。
【0004】この技術に於て重要なことは、炭素繊維チ
ョップが定量的に押出機内に供給されることであり、も
しそうでない場合には吐出むらとなり、一定の押し出し
速度が得られずストランド切れが起こり、生産性が大幅
に低下することとなる。この、定量的供給に大きな影響
を及ぼす要因として、押出機のホッパー部での炭素繊維
チョップの喰い込み性があり、これは炭素繊維チョップ
の集束性と密接な関係にある。即ち、炭素繊維チョップ
の集束性が低い場合には、ホッパー下部のスクリューと
接するところで開繊して毛羽塊となり、定量的な供給が
阻害される。この他、ホッパー投入前に樹脂ペレット又
はパウダーと炭素繊維チョップとを予め混合する場合に
おいて、集束性が低いとやはり毛羽が発生して押出機へ
の定量供給性を損なう。
【0005】これらのことから、集束性は炭素繊維チョ
ップを評価する時の重要な指標となる。ところで、こう
した用途に供される炭素繊維チョップを得るには、次の
ような方法が一般的である。先ず炭素繊維をサイズ剤に
浸漬してサイズ剤を含浸させ、続く乾燥工程で水などの
溶媒を除去して集束した炭素繊維を、連続的或いは非連
続的にロービングカッターやギロチンカッターなどを用
いて所定の長さに切断して炭素繊維チョップとしてい
る。
【0006】炭素繊維をサイジング処理し、次に乾燥機
に通して乾燥した後、カッターで所定の長さに切断す
る。これら工程の中で最も時間がかかるのは乾燥工程で
あり、この処理速度は数m/minから10数m/mi
nである。このため処理量を増やそうとすると、乾燥機
に通す炭素繊維を多くするか、或いは乾燥距離を長くし
たり乾燥温度を上げるなどして乾燥能力を高め処理速度
を増やすことが考えられる。しかしながら、何れの場合
に於てもこの方法では大掛かりな設備、あるいは改造が
必要となり経済的に不利である。
【0007】また、乾燥後の炭素繊維はサイズ剤のバイ
ンダー成分のみで集束されているため、切断するとき衝
撃性の剪断力がかかるとチョップ割れが生じ、この欠点
は修復されないまま毛羽の原因となって、次の工程であ
る押出機への定量的供給が難かしくなる。このことから
明らかなように、従来の炭素繊維チョップの製造では集
束性を良好なレベルに保とうとするため、サイズ剤付着
率を上げようとする傾向にある。しかしながら、サイズ
剤付着率の上昇は、最終的なコンポジット特性の低下を
招く懸念があり、好ましいものではない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記問
題を解決するために種々の検討を行った結果、炭素繊維
をサイジング処理し、乾燥する前にロービングカッター
で切断する方法を案出した。しかし、乾燥していない状
態で切断するために、ロービングカッターの種々のロー
ラー部に繊維チョップが付着してしまうという問題点が
生じた。本発明はこのような問題点を解決するためにな
されたものであり、その目的は炭素繊維チョップを効率
的に製造するための製造方法を提供するにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、未乾燥状態の
繊維束をニップロールとゴム製ロールで引き出し、前記
ゴム製ロールに押し当てられたカッターロールよりなる
ロービングカッターを用いて繊維チョップを製造するに
際して、空気を吹き付けることにより各ロールから繊維
チョップを除去することを特徴とする繊維チョップの製
造方法にある。更に本発明は、繊維束を水噴霧処理しな
がら巻き出しサイジング処理した未乾燥状態の繊維束を
ニップロールとゴム製ロールで引き出し、前記ゴム製ロ
ールに押し当てられたカッターロールよりなるロービン
グカッターを用いて繊維チョップを製造するに際して、
空気を吹き付けることにより各ロールから繊維チョップ
を除去することを特徴とする繊維チョップの製造方法に
ある。
【0010】ロービングカッターは、通常、ロール上に
複数の刃が取り付けられたカッターロールと、切断する
ためカッターロールに押し当てられるゴム製のロール
と、切断部に繊維束を供給する、ゴムロールに押し当て
られたニップロールからなっている。
【0011】本発明のロービングカッターの具体例を図
1に基づいて説明する。図1において1はゴムロール、
2はニップロール、3はカッターロールで多数の刃をそ
の表面に備えている。ゴムロール1とニップロール2に
よって供給された繊維4はカッターロール3で切断され
るが、このとき繊維が乾燥していない場合は、切断され
た繊維チョップ6は各ロールに付着してしまう。これを
防止するため空気を各ロールに吹付け付着した繊維チョ
ップを除去する装置として空気吹付け装置5を設ける。
【0012】空気吹付け装置5は高圧の空気吹き出し口
をゴムロール1、ニップロール2及びカッタロール3に
設けたものである。本発明は、この空気吹出し装置をロ
ービングカッターに設けたことによって、切断された繊
維がロールに付着し、これが原因でミスカットや刃詰り
のトラブルが生ずるのを防止するものである。
【0013】更にゴムロール、ニップロールにブラシロ
ール7を設けると付着した繊維チョップの除去が確実と
なり高速で繊維チョップを生産することができる。
【0014】
【実施例】次に、本発明ロービングカッターの使用例を
説明する。本例中の各種評価は次のようにして行なっ
た。 (1)炭素繊維チョップの嵩密度 500mlメスシリンダーに70gの炭素繊維チョップ
を投入し、メスシリンダーに1分間60回の上下振動を
与えた後の炭素繊維チョップの体積でその重さを除して
求める。 (2)炭素繊維チョップの集束性 炭素繊維チョップをミキサーで400rpm、3分間撹
拌した後の該炭素繊維チョップの嵩密度を、撹拌処理前
の嵩密度で除して求める。1が最良値であり、数値が大
きくなるに従がい、集束性は悪くなる。
【0015】使用例 ポリアクリロニトリルを原料とする炭素繊維12,00
0本から成る炭素繊維束を、3〜5重量%で水噴霧処理
しながら、60m/minの速度で捲き出し、テンショ
ンロール、ゴテットロールを経て張力を0.5〜0.7
kg/糸条に調整し、タッチロール方式でサイジング処
理を行なった。サイズ剤のピックアップ量は43〜47
重量%となるように調整した。こうして得られた未乾燥
の状態にある炭素繊維束を、連続的に各ロールに空気を
吹きつける装置とブラシロールとを備えたロービングカ
ッターで6mm長さに切断して炭素繊維チョップを製造
した。
【0016】尚、ここで使用したサイズ剤は分子量47
0と2,900のビスフェノールA型エポキシ樹脂/水
系エマルジョンの混合物で、固形分濃度8重量%に調整
したものである。このようにして得られた炭素繊維チョ
ップのサイズ剤付着率は3.6重量%、集束性は1.0
0で、良好であった。
【0017】比較例 各ロールに空気を吹きつける装置とブラシロールとを取
り外したこと以外は使用例と同じ条件、方法で炭素繊維
を切断すると、ロービングカッターの各ロールに炭素繊
維チョップが付着して刃の目詰まりやミスカットが多発
し、順調な運転ができなかった。
【0018】
【発明の効果】本発明のロービングカッターにより、炭
素繊維を高い処理速度で切断して繊維チョップを得るこ
とが可能となり、特に未乾燥状態の炭素繊維のカッター
として、カット上のトラブルがなくチョップの生産性が
大幅に向上する。更に、繊維が未乾燥の状態で切断され
るため繊維チョップは割れが少なく、しかも低いサイズ
剤付着率で集束性に優れた高品質の繊維チョップが得ら
れる。このように、本発明のロービングカッターは、工
業的価値の極めて高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明ロービングカッターの一例を示す模式図
である
【符号の説明】
1 ゴムロール 2 ニップロール 3 カッターロール 4 繊維 5 空気吹付装置 6 繊維チョップ 7 ブラシロール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B26D 1/00 - 11/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 未乾燥状態の繊維束をニップロールとゴ
    ム製ロールで引き出し、前記ゴム製ロールに押し当てら
    れたカッターロールよりなるロービングカッターを用い
    て繊維チョップを製造するに際して、空気を吹き付ける
    ことにより各ロールから繊維チョップを除去することを
    特徴とする繊維チョップの製造方法。
  2. 【請求項2】 繊維束を水噴霧処理しながら巻き出しサ
    イジング処理した未乾燥状態の繊維束をニップロールと
    ゴム製ロールで引き出し、前記ゴム製ロールに押し当て
    られたカッターロールよりなるロービングカッターを用
    いて繊維チョップを製造するに際して、空気を吹き付け
    ることにより各ロールから繊維チョップを除去すること
    を特徴とする繊維チョップの製造方法。
  3. 【請求項3】 更にブラシロールにより各ロールから繊
    維チョップを除去する請求項1または2記載の繊維チョ
    ップの製造方法。
JP09204992A 1992-03-18 1992-03-18 繊維チョップの製造方法 Expired - Lifetime JP3256269B2 (ja)

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JP6415084B2 (ja) * 2014-04-16 2018-10-31 三菱重工機械システム株式会社 アンビル清掃装置及びロータリダイカッタ
JP6774651B2 (ja) * 2016-10-05 2020-10-28 東レ株式会社 チョップド繊維束の製造装置

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