JP3255543B2 - 反射型走査光学系 - Google Patents

反射型走査光学系

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、走査光学系に関し、特にfθレ
ンズ等の走査レンズに代えて、曲面ミラーを用いた反射
型走査光学系に関する。
【0002】
【従来技術及びその問題点】レーザビームプリンタ、レ
ーザスキャナ、バーコードリーダ等においては、走査光
学系が不可欠であり、光偏向器として偏向器やホログラ
ムディスクが用いられている。半導体レーザから出射し
たレーザ光は、光偏向器に入射して走査され、走査され
た光束は、被走査面、例えば感光体に走査される。
【0003】このような走査光学系においては従来、光
偏向器からの光束をfθレンズ系等の走査レンズ系を透
過させているが、多色光源を用いた書込系または読取系
として利用する場合は、色収差が発生するという問題が
ある。このため、近時、走査レンズ系に代えて、曲面ミ
ラーを用いた光学系が提案されている。
【0004】本出願人は、このような曲面ミラーを用い
た走査光学系として、走査係数Kに対して、最適な入射
光の焦点位置、曲面ミラーの位置、及び曲面ミラーの曲
率半径を見出して、特許出願した(特願平5−4957
号)。この反射型走査光学系は、走査線の曲がり(ボウ
(BOW))や像面湾曲が少なく、しかも走査角度範囲が広い
という特徴がある。しかしながら、この反射型走査光学
系では、装置の小型化に視点が向けられておらず、この
ため、曲面ミラーを小さくするべく、走査係数を小さく
設定すると、曲面ミラーと感光体ドラム(被走査面、像
面)の間隔(fB )が小さくなり、熱を発する定着ユニ
ットが走査光学ユニットに近接して種々の問題が生じる
ことが明らかになった。
【0005】
【発明の目的】本発明は従って、曲面ミラーを用いた反
射型走査光学系において、曲面ミラーを小型化するとと
もに、曲面ミラーから被走査面(像面、ドラム)までの
距離を大きく確保することができる走査光学系を得るこ
とを目的とする。また、本発明は、複雑な形状のレンズ
を用いることなく、回転軸をもつ非円弧面を利用した量
産化が容易な反射型走査光学系を得ることを目的とす
る。
【0006】
【発明の概要】本発明の反射型走査光学系は、光束を偏
向させる偏向器と;この偏向器に対し副走査方向に入射
角を持たせてレーザ光を入射させるレーザ光源と;偏向
器で偏向されたレーザ光を、入射方向に対して分離角を
持たせてさらに反射する、少なくとも主走査方向に曲率
を有する曲面ミラーと;この曲面ミラーと被走査面との
間に配設されたアナモフィックレンズ系と;を基本構成
として備えるものであって、さらに、アナモフィックレ
ンズ系は、少なくとも、主走査断面形状が非円弧化され
た、主走査方向とほぼ平行な回転軸を持つ面を有するこ
とを特徴としている。
【0007】以上の構成によると、曲面ミラーを小さく
するべく走査係数を小さく設定した場合においても、ア
ナモフィックレンズ系の主走査断面方向の非円弧面(非
球面)により、特に主走査方向の像面湾曲を補正するこ
とができる。そして、この非円弧面は、回転軸を持つ非
円弧面であるから、加工が容易である。さらに、主走査
断面における像面湾曲は、曲面ミラーを、その主走査断
面において、非円弧面(非球面)とすると、さらに効果
的に補正できることが分かった。
【0008】別言すると、本発明は、アナモフィックレ
ンズ系を主走査断面方向に非円弧面化することにより、
曲面ミラーを小型化し、かつ曲面ミラーから非走査面迄
の距離を確保したものである。曲面ミラーを非球面化す
ると、より効果が高い。
【0009】本発明のアナモフィックレンズまたは曲面
ミラーの主走査断面における非円弧形状は、主走査断面
の曲率中心とは逆の方向に非円弧化することが好まし
い。偏向器への入射光が副走査方向に角度を持つことに
よって発生する波面のねじれは、アナモフィックレンズ
系を副走査方向に偏心させて配置することにより、補正
している。
【0010】
【発明の実施例】以下図示実施例について本発明を説明
する。図1は、本発明の反射型走査光学系の主走査断面
内における配置、図2は同副走査断面における配置を示
している。偏向器として例示するポリゴンミラー11
は、周面に複数の反射面11aを有し、回転軸12を中
心に回転駆動される。反射面11aに直交する平面13
を考えると、半導体レーザ光源14からのレーザ光は、
この直交平面13に対して一定の入射角αをなして、反
射面11aに入射する。半導体レーザ光源14からのレ
ーザ光は、レーザ光を平行光束とするコリメートレンズ
15と、副走査方向Zにのみパワーを持つシリンドリカ
ルレンズ16とを介して出射する。
【0011】反射面11aからの反射レーザ光の光路上
には、曲面ミラー20が配設されている。この曲面ミラ
ー20は、少なくとも主走査方向Yに曲率を有するもの
で、入射方向に対し分離角βをもってレーザ光を反射さ
せるように、設置されている。
【0012】この曲面ミラー20からの反射レーザ光路
上には、アナモフィックレンズ21が配設されている。
レーザ光は、このアナモフィックレンズ21によって主
に副走査方向に集光され、被走査面(例えば感光ドラ
ム)23に走査される。このアナモフィックレンズ21
は、第1面21aと第2面21bの少なくとも1面が、
主走査断面形状が非円弧化された、主走査方向とほぼ平
行な回転軸を持つ面を有している。主走査断面形状が非
円弧化された、主走査方向とほぼ平行な回転軸を持つ面
を非円弧トーリック面ATと呼ぶと、図16はこの非円
弧トーリック面ATの概念図で、主走査方向の軸Yから
の距離を適宜設定した、回転軸を持たない線分Sを、軸
Yを中心に回転させて形成した面が非円弧トーリック面
ATである。このアナモフィックレンズ21は、主に副
走査方向にパワーを有し、かつその光軸が光学系の光軸
(レーザ光走査面)Oに対して距離eだけ偏心させて配
置されている。この偏心は、上述のように、偏向器への
入射光が副走査方向に角度を持つことによって発生する
波面のねじれを補正するために有効である。
【0013】なお、図1、図2では、図示の便宜上、ポ
リゴンミラー11とアナモフィックレンズ21とが干渉
しているが、実際には、ミラー等を用いて光路を屈曲さ
せることにより、両者の干渉が生じないようにする。
【0014】以上の反射型走査光学系は、半導体レーザ
光源14からのレーザ光が、コリメートレンズ15、及
びシリンドリカルレンズ16により、ポリゴンミラー1
1の回転軸に向けて照射され、反射面11aの近傍で主
に副走査方向に収束された主走査方向に延びる線像とな
る。反射面11aで反射されたレーザ光は、曲面ミラー
20で反射した後、アナモフィックレンズ21で副走査
方向に収束され、被走査面23上を走査される。レーザ
光は、主走査方向に関しては主として曲面ミラー20に
より被走査面23上に収束され、副走査方向に関しては
シリンドリカルレンズ16、及びアナモフィックレンズ
21によって収束される。
【0015】ポリゴンミラー11の回転軸に向けてレー
ザ光を入射させると、ポリゴンミラー11の大きさに対
して走査可能な角度範囲を大きく設定できるため、ポリ
ゴンミラー11の大きさを一定とすれば広範囲の走査が
可能となり、走査範囲を一定とすればポリゴンミラー1
1の径を小さくすることができるという利点がある。
【0016】本発明は、例えば以上のように構成される
反射型走査光学系において、上述のように、アナモフィ
ックレンズ21を、主走査断面において非円弧化された
主走査方向と平行な回転軸を持つトーリック面から構成
した点に第一の特徴がある。また第二の特徴は、曲面ミ
ラー20を少なくともその主走査断面において非円弧化
した点にある。
【0017】アナモフィックレンズ21の少なくとも1
面、例えば第2面21bを、非円弧トーリック面とする
ことにより、主走査方向及び副走査方向の像面湾曲をよ
く補正することができる。曲面ミラー20も、少なくと
も主走査断面において非円弧化することにより、より良
好に主走査方向の像面湾曲及びfθ特性を補正できる。
また、アナモフィックレンズ21の他の面21aを、回
転対称非球面とすると、主走査方向に関する特性と、副
走査方向に関する特性のバランスを良好に補正できる。
【0018】次に具体的な数値実施例について本発明を
説明する。 [実施例1]図3は、図1、図2に基本構成を示した反
射型走査光学系について、表1に示す具体的な数値デー
タの光学系につき、fθ特性を計算したグラフである。
図4は同じく、メリディオナル(主走査方向)Mとサジ
タル(副走査方向)Sの像面湾曲を計算したグラフであ
る。図5は同じく、走査線湾曲(ボウ、BOW )を計算し
たグラフである。図3ないし図5の縦軸は主走査方向の
位置を示しており、図3及び図5の横軸は理想位置から
の偏差(mm)、図4の横軸は相対的な焦点位置(m
m)を示している。
【0019】表中、K は走査係数、W は走査幅、αは偏
向器への入射角、βは曲面ミラーでの分離角、eはアナ
モフィックレンズの偏心量、R はレンズ各面の主走査平
面における曲率半径、D はレンズ厚もしくはレンズ間
隔、N は波長780nmに対する屈折率を示す。
【0020】
【表1】 K=135.5 W=216 α=3.5゜ β=5.0゜ e=-1.55 No. R RZ D N シリント゛リカル ∞ 55.424 2.00 1.48617 レンス゛ ∞ (平面) 113.00 偏向点(ホ゜リコ゛ンミラ-) 50.00 1(曲面ミラー) * -261.912 回転対称 74.52 2(アナモフィック * 2577.212 回転対称 6.00 1.48617 3 レンス゛) ** 582.047 -20.412 54.23 * は回転対称非球面、 **は主走査断面が非円弧化された主走査方向と平行な回転軸を持つ面、 非球面データ;1面; K=4.44、 A4=1.21 ×10-7、A6=-8.27×10-12 、A8=4.44
×10-16 2面; K=0、 A4=8.53×10-8、A6=3.10 ×10-14 、A8=-7.40×10
-17 3面; K=0、 A4=-1.02 ×10-7、A6=8.37 ×10-12 、A8=-2.33×
10-16 但し、回転対称非球面は次式で定義される。 x=Ch2/{1+[1-(1+K)C2h2]1/2}+A4h4+A6h6+A8h8 (Cは曲率(1/r)、hは光軸からの高さ、Kは円錐係数) 非円弧トーリック面の主走査断面形状も同様である。
【0021】[実施例2]図6ないし図10及び表2
は、本発明の第2の実施例を示すもので、図6は主走査
断面図、図7は副走査断面図、図8はfθ特性、図9は
像面湾曲、図10は走査線湾曲(ボウ、BOW )を示した
図であり、それぞれ図1ないし図5に対応している。
【0022】
【表2】 K=135.5 W=216 α=4.0゜ β=7.0゜ e=-1.74 No. R RZ D N シリント゛リカル ∞ 55.424 2.00 1.48617 レンス゛ ∞ (平面) 113.00 偏向点(ホ゜リコ゛ンミラ-) 50.00 1(曲面ミラー) * -257.770 回転対称 77.80 2(アナモフィック * -3672.150 回転対称 4.00 1.48617 3 レンス゛) ** 568.667 -19.400 50.94 * は回転対称非球面、 **は主走査断面が非円弧化された主走査方向と平行な回転軸を持つ面、 非球面データ;1面; K=5.55、 A4=1.33 ×10-7、A6=-7.35×10-12 、A8=4.90
×10-16 2面; K=0、 A4=8.62×10-8、A6=1.95 ×10-12 、A8=-2.45×10
-16 3面; K=0、 A4=-1.06 ×10-7、A6=8.80 ×10-12 、A8=-2.98×
10-16
【0023】[実施例3]図11ないし図15及び表3
は、本発明の第3の実施例を示すもので、図11は主走
査断面図、図12は副走査断面図、図13はfθ特性、
図14は像面湾曲、図15は走査線湾曲(ボウ、BOW )
を示した図であり、それぞれ図1ないし図5に対応して
いる。
【0024】
【表3】 K=135.5 W=216 α=4.0゜ β=10.0 ゜ e=-2.08 No. R RZ D N シリント゛リカル ∞ 55.424 2.00 1.48617 レンス゛ ∞ (平面) 113.00 偏向点(ホ゜リコ゛ンミラ-) 50.00 1(曲面ミラー) * -259.884 回転対称 77.90 2(アナモフィック * 5000.000 回転対称 4.00 1.48617 3 レンス゛) ** 544.306 -19.686 51.42 * は回転対称非球面、 **は主走査断面が非円弧化された主走査方向と平行な回転軸を持つ面、 非球面データ;1面; K=6.00、 A4=1.30 ×10-7、A6=-5.50×10-12 、A8=1.96
×10-16 2面; K=0、 A4=5.62×10-8、A6=4.02 ×10-12 、A8=-1.59×10
-16 3面; K=0、 A4=-1.17 ×10-7、A6=8.63 ×10-12 、A8=-9.10×
10-17
【0025】以上の各実施例から明らかなように、本発
明の走査光学系によれば、主走査方向及び副走査方向の
像面湾曲をよく補正することができる。またfθ特性に
優れ、ボウの発生も少ない。
【0026】
【発明の効果】本発明によれば、曲面ミラーを小型化し
ても、曲面ミラーから被走査面までの距離を大きく確保
することができ、反射型走査光学系を小型化することが
できる。よって例えば被走査面が感光体ドラムであるレ
ーザビームプリンタにおいては、走査光学ユニットと発
熱する現像系と離して設置することができ、光学ユニッ
トが熱の影響を受けることが少ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による反射型走査光学系の第1の実施例
を示す主走査断面図である。
【図2】図1の副走査断面図である。
【図3】第1の実施例のfθ特性を示すグラフ図であ
る。
【図4】同像面湾曲を示すグラフ図である。
【図5】同副走査方向の走査線湾曲を示すグラフ図であ
る。
【図6】本発明による反射型走査光学系の第2の実施例
を示す主走査断面図である。
【図7】図6の副走査断面図である。
【図8】第2の実施例のfθ特性を示すグラフ図であ
る。
【図9】同像面湾曲を示すグラフ図である。
【図10】同副走査方向の走査線湾曲を示すグラフ図で
ある。
【図11】本発明による反射型走査光学系の第3の実施
例を示す主走査断面図である。
【図12】図11の副走査断面図である。
【図13】第3の実施例のfθ特性を示すグラフ図であ
る。
【図14】同像面湾曲を示すグラフ図である。
【図15】同副走査方向の走査線湾曲を示すグラフ図で
ある。
【図16】主走査断面において非円弧化された、主走査
方向と平行な回転軸を持つ面の概念図である。
【符号の説明】
11 ポリゴンミラー 14 半導体レーザ光源 15 コリメートレンズ 16 シリンドリカルレンズ 20 曲面ミラー 21 アナモフィックレンズ 23 被走査面

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光束を偏向させる偏向器と; この偏向器に対し副走査方向に入射角を持たせてレーザ
    光を入射させるレーザ光源と; 上記偏向器で偏向されたレーザ光を、入射方向に対して
    分離角を持たせてさらに反射する、少なくとも主走査方
    向に曲率を有する曲面ミラーと; この曲面ミラーと被走査面との間に配設されたアナモフ
    ィックレンズ系と; を備え、 上記アナモフィックレンズ系は、少なくとも、主走査断
    面形状が非円弧化された、主走査方向とほぼ平行な回転
    軸を持つ面を有することを特徴とする反射型走査光学
    系。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の反射型走査光学系におい
    て、上記曲面ミラーは、その主走査断面形状が非円弧形
    状をなしている反射型走査光学系。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の反射型走査光学
    系において、上記アナモフィックレンズまたは曲面ミラ
    ーの主走査断面における非円弧形状は、主走査断面の曲
    率中心とは逆の方向に非円弧化されている反射型走査光
    学系。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか1項記載の
    反射型走査光学系において、上記アナモフィックレンズ
    系は、その光軸がレーザ光偏向面に対して副走査方向に
    偏心して配置されている反射型走査光学系。
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