JP3255045B2 - ダブルリデュース圧延法 - Google Patents
ダブルリデュース圧延法Info
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Description
や硬質クロムめっき鋼板などの製造に用いられるダブル
リデュース圧延(以後、DR圧延と呼ぶ)法に関する。
き鋼板などの製造法の一つにDR圧延法がある。この方
法は、熱間圧延ー冷間圧延ー焼鈍の通常の工程を経て製
造された冷延鋼板にさらに10〜50%の圧下率の冷間
圧延を施し、硬質で板厚の薄い鋼板を製造するための方
法である。
モトリングと呼ばれる白い斑点状のしみが発生すること
がある。このモトリングはDR圧延後行われる電気めっ
きによってより鮮明になり、鋼板表面の外観を著しく損
なうので、モトリングのある鋼板は食料缶用素材として
不適である。
実際」、日本鉄鋼協会発行、p216(1984)〕に
記載されているように、DR圧延時に用いる圧延油エマ
ルジョン中の基油の油滴が凝集粗大化しロールバイト中
に巻き込まれ、巨大なオイルピットになったものであ
る。その発生頻度はDR圧延時の圧延油塗布法に依存
し、圧延油エマルジョンを必要量だけ塗布する直接方式
の方が、比較的低油分濃度の圧延油エマルジョンを循環
再利用しながら塗布する循環方式に比べ、モトリングは
発生し易い。
は、圧延油エマルジョンを配合した基油の融点より高い
温度に加熱して塗布し、基油の固化凝集を防止する方法
が用いられている。例えば、融点が約40℃の牛脂系の
基油の配合された圧延油エマルジョンを60℃に保持さ
れた給油タンクから塗布する方法である。
48号公報や特開平4ー294801号公報には塗布温
度を高める必要のない融点の低い基油を用いる方法や、
また、特公昭56ー15962号報にはインラインミキ
サーを用いて圧延油エマルジョンの粒径を小さくする方
法なども提案されている。
者等が上記方法を追試したところ、圧延油エマルジョン
の特性や塗布温度をコントロールしても、高い発生率で
モトリングが生じる場合があった。
なされたもので、安定してモトリングの発生率を低下可
能なDR圧延法を提供することを目的とする。
冷延鋼板に再度冷間圧延を施すダブルリデュース圧延
(以後、DR圧延と呼ぶ)法において、DR圧延に用い
る圧延油エマルジョンの塗布前の鋼板の表面温度をTs
℃、前記圧延油エマルジョン中の基油の融点をTm℃と
したとき、下記の式(1)を満足することを特徴とする
DR圧延法により解決される。 Ts≧Tm+10 ・・・・(1)
細に検討した結果、圧延油エマルジョンの特性や塗布温
度によらず、冬季にはモトリングの発生率が高まり、ま
た、焼鈍炉から比較的高温で脱炉された鋼板を用いると
モトリングの発生率が低下するという現象を見出した。
このことは、モトリングの発生がDR圧延前の鋼板の温
度、特にその表面温度に大きく依存していることを示唆
している。
の表面温度Tsを意識的に変えてDR圧延を行い、Ts
とモトリングの発生率との関係を調査した。また、この
とき圧延油エマルジョン中の基油の種類を変えて、基油
の融点Tmの影響も合わせて検討した。
mが0℃と30℃のものである。表1に、それぞれの基
油に対する潤滑条件を示すが、Tmが30℃の基油に対
しては条件Aで、Tmが0℃の基油に対しては条件Cで
塗布した。
程度を視覚的に不良から最良の1〜5の5段階に分け、
不良1と判定されたコイルの本数を調査した全コイルの
本数で除して求めた。
の発生率の関係を示す。いずれの基油の場合も、Tsが
ある温度より高くなるとモトリングの発生率が急激に低
下し始める。そして、Tmが0℃の基油を用いたときは
Tsが10℃以上で、また、Tmが30℃の基油を用い
たときはTsが40℃以上で、モトリングの発生率が2
%以下まで低下する。この結果より、TsをTmより1
0℃以上高くする、すなわち上記の式(1)を満足する
ようにDR圧延を行えば、安定してモトリングの発生率
を低下できることがわかる。
ジョンの鋼板表面へのプレートアウト性(展着性)が消
失したり、ロールのサーマルクラウンが大きくなった
り、鋼板表面が酸化されてテンパーカラーが発生し易く
なるので、Tsは100℃以下にすることが好ましい。
れば、確実に式(1)を満足させることができる。
DR圧延向け冷延鋼板であればどんな製法で製造された
冷延鋼板でも適用できる。すなわち、その溶製法は高炉
ー転炉法でも電炉法でもよく、スラブ製造法は連続鋳造
法でも造塊ー分解圧延法でもよく、また、スラブは再加
熱されずに直接熱間圧延されてもよいし、再加熱後熱間
圧延されてもよい。さらに、冷延後の焼鈍は箱型焼鈍で
も連続焼鈍でもよい。
ように圧延油エマルジョン塗布前に鋼板を加熱すれば確
実だが、焼鈍後完全に室温まで冷却されてない比較的高
温の鋼板を用いることもできる。この場合、焼鈍炉から
の脱炉温度、焼鈍炉からDR圧延装置までの運搬方法や
時間などを厳密に制御する必要がある。
るには、遠赤外線ヒーター、インダクションヒーター、
温水タンクなどの加熱装置を圧延油エマルジョン塗布ス
プレー前に設ければ可能である。また、これら加熱装置
は、DR圧延装置のペイオフリールあるいはペイオフリ
ールと圧延油エマルジョン塗布スプレーの間に設けるの
が温度制御や省エネルギー化のために好ましい。
の低い基油を用いたり、上述したように焼鈍後比較的高
温で脱炉した鋼板を用いる方が望ましい。
厚0.20〜0.26mm、板幅800〜900mmの
冷延コイルを、DR圧延装置のペイオフリールに設けた
コイル全体を加熱できる遠赤外線ヒーターにより、最も
低い鋼板の表面温度が用いた基油の融点30℃より10
℃以上高くなるような条件で加熱し、表1に示した潤滑
条件Aで、圧下率20〜30%のDR圧延を行った試料
を作製した。
温度で脱炉された冷延コイルを加熱せずに同様な条件で
DR圧延した試料も作製した。
調査した。図2に、モトリングの発生率を示す。
を示す。図で、(a)は遠赤外線ヒーターで加熱した本
発明例の場合であり、(b)は加熱を行わない比較例の
場合である。
ーターにより最も低い鋼板の表面温度が用いた基油の融
点30℃より10℃以上高くなるよう加熱した本発明法
によるモトリングの発生率は1%で、加熱を行わない比
較例のモトリングの発生率11%に比べ著しく低下して
いる。
が15〜65℃の範囲に分布しており、基油の融点30
℃より10℃以上高くない鋼板の表面温度のコイルで、
モトリングの発生率が増加したことによる。加熱を行う
と、鋼板の表面温度は40〜75℃の範囲に分布する。
脱炉された板厚0.20〜0.30mm、板幅850〜
1100mmの冷延コイルを、DR圧延装置のペイオフ
リールと圧延油エマルジョン塗布スプレーの間に設けた
インダクションヒーターにより、最も低い温度のコイル
の表面温度が用いた基油の融点20℃より10℃以上高
くなるような条件で加熱後、表1に示した潤滑条件B
で、圧下率10〜50%のDR圧延を行った試料を作製
した。
温度で脱炉された冷延コイルを加熱せずに同様な潤滑条
件でDR圧延した試料も作製した。
調査した。図4に、モトリングの発生率を示す。
を示す。図で、(a)はインダクションヒーターで加熱
した本発明例の場合であり、(b)は加熱を行わない比
較例の場合である。
ョンヒーターにより最も低い鋼板の表面温度が用いた基
油の融点20℃より10℃以上高くなるよう加熱した本
発明法によるモトリングの発生率は1.5%で、加熱を
行わない比較例のモトリングの発生率12%に比べ著し
く低下している。
が5〜45℃の範囲に分布しており、基油の融点20℃
より10℃以上高くない鋼板の表面温度のコイルで、モ
トリングの発生率が増加したことによる。加熱を行う
と、鋼板の表面温度は30〜55℃の範囲に分布する。
脱炉された板厚0.18〜0.24mm、板幅850〜
1000mmの冷延コイルを、DR圧延装置のペイオフ
リールと圧延油エマルジョン塗布スプレーの間に設けた
温水タンクに浸漬して、最も低い温度のコイルの表面温
度が用いた基油の融点0℃より10℃以上高くなるよう
にした後、表1に示した潤滑条件Cで、圧下率10〜3
0%のDR圧延を行った試料を作製した。
温度で脱炉された冷延コイルを温水タンクに浸漬してせ
ずに同様な潤滑条件でDR圧延した試料も作製した。
調査した。図6に、モトリングの発生率を示す。
を示す。図で、(a)は温水タンクに浸漬した本発明例
の場合であり、(b)は温水タンクに浸漬しない比較例
の場合である。
に浸漬して最も低い鋼板の表面温度が用いた基油の融点
0℃より10℃以上高くなるようにした本発明法による
モトリングの発生率は1%で、温水タンクに浸漬しない
比較例のモトリングの発生率7%に比べ著しく低下して
いる。
表面温度が−5〜30℃の範囲に分布しており、基油の
融点0℃より10℃以上高くない鋼板の表面温度のコイ
ルで、モトリングの発生率が増加したことによる。温水
タンクに浸漬すると、鋼板の表面温度は10〜35℃の
範囲に分布する。
いるので、安定してモトリングの発生率を低下可能なD
R圧延法を提供できる。
係を示す図である。
である。
状態を示す図である。
である。
状態を示す図である。
である。
状態を示す図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 焼鈍された冷延鋼板に再度冷間圧延を施
すダブルリデュース圧延(以後、DR圧延と呼ぶ)法に
おいて、DR圧延に用いる圧延油エマルジョンの塗布前
の鋼板の表面温度をTs℃、前記圧延油エマルジョン中
の基油の融点をTm℃としたとき、下記の式(1)を満
足することを特徴とするDR圧延法。 Ts≧Tm+10 ・・・・(1) - 【請求項2】 前記Tsが100℃以下であることを特
徴とする請求項1に記載のDR圧延法。 - 【請求項3】 前記DR圧延に用いる圧延油エマルジョ
ンの塗布前に鋼板を加熱することを特徴とする請求項1
または請求項2に記載のDR圧延法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28080896A JP3255045B2 (ja) | 1996-10-23 | 1996-10-23 | ダブルリデュース圧延法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28080896A JP3255045B2 (ja) | 1996-10-23 | 1996-10-23 | ダブルリデュース圧延法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10128404A JPH10128404A (ja) | 1998-05-19 |
JP3255045B2 true JP3255045B2 (ja) | 2002-02-12 |
Family
ID=17630273
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP28080896A Expired - Lifetime JP3255045B2 (ja) | 1996-10-23 | 1996-10-23 | ダブルリデュース圧延法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3255045B2 (ja) |
-
1996
- 1996-10-23 JP JP28080896A patent/JP3255045B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH10128404A (ja) | 1998-05-19 |
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