JP3254461B2 - 音響伝達特性予測方法およびその装置、音響装置 - Google Patents

音響伝達特性予測方法およびその装置、音響装置

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JP3254461B2
JP3254461B2 JP05158896A JP5158896A JP3254461B2 JP 3254461 B2 JP3254461 B2 JP 3254461B2 JP 05158896 A JP05158896 A JP 05158896A JP 5158896 A JP5158896 A JP 5158896A JP 3254461 B2 JP3254461 B2 JP 3254461B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、音場再生装置、
音像シミュレータ、騒音制御装置などの音響装置、及び
その音響信号処理方法に適用される音響伝達特性を予測
する方法及びその装置、前記伝達特性の予測を利用した
音響装置に関する。
【0002】
【従来の技術】音響伝達特性予測方法とは、対象とする
音響系(たとえば室内音場)内に置かれた音源から任意
の受音点に至る音響伝達特性を、受音点位置に受音器
(例えばマイクロホン)を設置せずに予測する方法を意
味する。信号は離散信号であると仮定して以降の説明を
行なうが、信号が連続信号である場合にも全く同様の議
論が成立する。離散信号において、信号の時間表現は、
時間を表す整数パラメータkで例えばx(k) と表現さ
れ、またその周波数表現はz変換を用いてX(z) と表さ
れる。
【0003】室内に於ける音響伝達特性について図7A
を参照して説明する。室内空間11内音源(例えばスピ
ーカ)13と受音器(例えばマイクロホン)14とが配
されている。入力端12に信号X(z) を入力し音源13
から前記信号X(z) を出力すれば、前記信号X(z) は音
響伝達特性H(z) の影響を受けて受音器14に達する。
受音器14において受音された信号Y(z) は出力端15
から出力される。音響伝達特性H(z) は入力端12に入
力される入力信号X(z) に対する出力端15における出
力信号Y(z) の入出力関係を記述するものであり、 H(z) =Y(z) /X(z) (1) と表現される。このH(z) は、同一室内空間11内にお
いても音源13と受音器14の空間的配置が異なればそ
の特性が異なる。以上の説明から分かるように通常、任
意の受音点における音響伝達特性を知るためには、受音
点に受音器(例えばマイクロホン)を設置し、その間の
入出力特性を測定する必要がある。
【0004】(1)従来の簡易な室内伝達特性予測方法 受音器の置かれていない位置での音響伝達特性H(z) を
予測する従来の簡易な方法としては、受音点を挟む2つ
の点に受音器を設置し、音源から両受音器までの2つの
音響伝達特性を測定し、両測定特性を平均する方法が考
えられる。図7Bに、この方法を説明する図を示す。図
7Aと共通な要素には同一の番号を付けた。伝達特性を
予測したい位置24の両側に受音器14−1,14−2
が設けられてある。この方法では、まず、音源13と受
音器14−1と14−2との各間の各入出力特性から2
つの音響伝達特性H1(z)とH2(z)を測定する。音響伝達
特性の測定方法としては、音源13に入力した信号をX
(z) 、受音器で受音した信号をY(z) とした時、例え
ば、 H(z) =(Y(z) X(z) )/(X(z) X(z) ) などとして求めることができる。次に、測定した2つの
音響伝達特性H1(z)とH 2(z)に基づいて、音響伝達特性
予測値H′(z) を H′(z) =(H1(z)+H2(z))/2 (2) として求める。
【0005】しかし、この方法では、伝達特性を予測し
たい受音点24から2つの受音器14−1,14−2の
距離が離れると、周波数が高くなるにつれ、H′(z) は
真の音響伝達特性H(z) と一致しなくなるという問題点
が生じる。 (2)従来の音場再生装置の例 音場再生装置とは、ある室内空間において、別な室内空
間の音場を再現するための装置である。図8を用いてそ
の原理を説明する。前述の要素には同一の符号を付け
た。音場再生装置11は逆フィルタ計算回路33、室内
伝達特性逆フィルタ畳み込み回路34、模擬音場畳み込
み回路35、原音再生回路(例えば、CDプレーヤー)
よりなる。まず、室内空間11内の受聴者37の耳元に
マイクロホン14を設置し、スピーカ13からマイクロ
ホン14までに至る室内伝達特性H(z) を室内伝達特性
測定回路32を用いて測定する。ここで、通常、右耳と
左耳の両方に対応する室内伝達特性を測定するが、ここ
では、説明を簡単化するため、右耳についてのみ説明す
るが、左耳についても同様である。室内伝達特性測定回
路32で測定された室内伝達特性H(z) は、逆フィルタ
計算回路33に入力され、その逆フィルタが計算され
る。逆フィルタとは、室内伝達特性H(z) の逆特性を持
つフィルタでこの場合は1/H(z) の特性を持つ。逆フ
ィルタ計算回路33で計算された逆フィルタ特性1/H
(z) は、逆フィルタ畳み込み回路34に送られる。
【0006】次に、原音再生回路36から出力される原
音X(z) は、模擬音場畳み込み回路35に送られる。模
擬音場畳み込み回路35には、あらかじめ再生したい音
場の伝達特性G(z) を入力しておき、模擬音場畳み込み
回路35において、このG(z) とX(z) の畳み込みが実
行される。畳み込まれた信号G(z) X(z) は、逆フィル
タ畳み込み回路34に送られ、逆フィルタ畳み込み回路
34では、G(z) X(z) にさらに、1/H(z) を畳み込
む。結局、逆フィルタ畳み込み回路34から出力される
信号は、G(z) X(z) /H(z) となる。この信号は、ス
ピーカ13に入力される。スピーカから出力された信号
G(z) X(z) /H(z) は、さらに、室内空間11でその
真の伝達特性H(z) と空間で畳み込まれ、マイクロホン
位置14に到達する。従って、マイクロホン位置14に
到達する信号は、H(z) G(z) X(z) /H(z) となる。
即ち、マイクロホン14の位置では、信号はG(z) X
(z)となり、室内伝達特性H(z) を持つ空間において、
あたかもG(z) の室内伝達特性を持つ部屋にいるかのよ
うな印象を受聴者37は得ることができる。
【0007】しかしながら、受聴者37が室内伝達特性
1(z)を持つ別の受聴位置に移動した場合には、受聴位
置での信号は、H1(z)G(z) X(z) /H(z) となり、G
(z)X(z) の信号を聞くことはできない。このような場
合には、通常、マイクロホン14も移動し、再測定を行
う必要が生じる。 (3)従来の音像シミュレータの例 音像シミュレータとは、ヘッドフォン受聴時において、
任意の位置に音像定位を実現する装置である。図9を用
いてその原理を説明する。図9において前述と同じ要素
には同一の符号を付けた。今、スピーカ13は受聴者3
7の正面方向からθの角度に設置されている。
【0008】図9Aにおいて、原音再生装置41からス
ピーカ13に信号X(z) を供給すると、受聴者37のそ
れぞれの耳には、スピーカから耳までの音響伝達特性、
HR(z,θ)、HL(z,θ)を経て信号は到達す
る。即ち、受聴者37は右耳で信号HR(z,θ)X
(z)、左耳で信号HL(z,θ)X(z)を聞くこと
になる。この音響伝達特性、HR(z,θ)、HL
(z,θ)は頭部伝達特性と呼ばれているもので、左右
の聞こえの差、即ち、HRとHLとの違いは、人間が音
源方向を知覚するための重要な要因となっている。
【0009】以上のことより、従来の音像シミュレータ
は図9Bに示すように構成される。音像シミュレータ5
1は右耳用頭部伝達特性模擬フィルタ畳み込み回路
2、左耳用頭部伝達特性模擬フィルタ畳み込み回路
3、方向別頭部伝達特性保存回路54よりなる。方向別
頭部伝達特性保存回路54はあらかじめ測定された方向
θ別の頭部伝達特性を保存しておく。音像シミュレータ
51において、希望方向入力回路56から、模擬したい
頭部伝達特性の角度θを入力する。この入力に従い、方
向別頭部伝達特性保存回路54は、保存された左右の頭
部伝達特性H′R(z,θ)およびH′L(z,θ)の
特性を、それぞれの頭部伝達特性模擬フィルタ畳み込み
回路52,53に与える。このフィルタ畳み込み回路5
2,53は原音再生装置41から再生信号X(z)にそ
れぞれH′R(z,θ)、H′L(z,θ)を畳み込
み、これら畳み込み出力を受聴者37のヘッドフォン5
5の右・左入力端へ供給する。この時、受聴者37は右
耳で信号H′R(z,θ)X(z)、左耳で信号H′L
(z,θ)X(z)を聞くことになる。伝達特性の模擬
が十分な精度で行われているとすると、H′R≒HR、
H′L≒HL、となり、この結果は図9Aで説明した受
聴条件と同一となって、ヘッドフォン55で受聴してい
る受聴者37は、θ方向に音源があるものと知覚する。
以上が音像シミュレータの原理である。
【0010】以上説明した頭部伝達特性は当然のことな
がら音源の方向θによって大きく変化する。そこで、い
ろいろな方向に音像を定位させるためには、数多くの方
向に対して頭部伝達特性を測定し、蓄積しておく必要が
あり、蓄積すべきデータの量が多いことがこの種装置を
使用していくうえでの問題点となっている。さらに、蓄
積しておいた方向以外の方向に音像を定位させることは
できないという問題も合わせ持つ。
【0011】(4)騒音制御装置の例 騒音制御装置とは、室内空間において騒音源から出た騒
音を、その騒音の逆位相を持った音で消すという装置で
ある。この原理を、図10を用いて説明する。前述の要
素には同一の符号を付けた。この説明では、スピーカ1
3を用いてマイクロホン14の位置での騒音制御につい
てのみ説明するが、制御点が増える場合や、制御用のス
ピーカが増える場合においても同一の議論が成り立つ。
【0012】まず、室内伝達特性測定回路32は、スピ
ーカ14とマイクロホン13の間の室内伝達特性H(z)
を測定する。測定されたH(z) は、逆フィルタ計算回路
33に渡され、逆フィルタ計算回路33では、室内伝達
特性H(z) の逆特性1/H(z) を計算し、この結果を逆
フィルタ畳み込み回路34に渡す。騒音伝達特性測定回
路61は、騒音源収音マイクロホン62で収音された騒
音源64の騒音N(z)と、その騒音N(z) が室内伝達特
性F(z) を通ってマイクロホン14にて収音された信号
F(z) N(z) とを用いて騒音が通ってきた室内伝達特性
(騒音伝達特性)F(z) を測定する。測定されたF(z)
と収音されたN(z) は、騒音伝達特性畳み込み装置63
に渡される。ここで、騒音伝達特性畳み込み装置63
は、騒音源64から受音器14に到達する音の到達時刻
と、逆フィルタ畳み込み回路34の出力が室内伝達特性
H(z) を通って受音器14に至る逆位相の制御用信号が
到達する時刻とを同じにするため、騒音伝達特性F(z)
から時間差を補償するだけの時刻を取り除き、これを
F′(z) とする。一般に、この時間を保証する為には、
騒音源64から受音器14までの距離を、制御用スピー
カ13から受音器14までの距離より長くしておく必要
がある。次に、騒音伝達特性畳み込み装置63は時間補
償された疑似騒音伝達特性F′(z) と騒音N(z) を畳み
込み、逆フィルタ畳み込み回路34に渡す。逆フィルタ
畳み込み回路34では、受け取った疑似騒音信号F′
(z) N(z) を逆フィルタ1/H(z) に畳み込んで、信号
−F′(z) N(z) /H(z) を生成し、スピーカ13に渡
す。スピーカ13から出力された信号−F′(z) N(z)
/H(z) は、室内伝達特性H(z) を通って、受音器14
に至る。結局、受音器14で観測される信号は、F(z)
N(z) −F′(z) N(z) H(z)/H(z) となり、F′(z)
H(z) /H(z) は時間補償された結果F(z) となって
おり、受音器14での信号は、0となり、その位置では
騒音が消去されることになる。
【0013】しかしながら、この騒音制御装置において
は、騒音の制御点を移動させたい場合には、その騒音制
御点に受音器14を移動しなければならず、受音器の設
置できないような箇所では、基本的に騒音制御ができな
いという問題点を持つ。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】以上述べたように従来
の音響伝達特性予測方法は、伝達特性を予測したい位置
が受音器から遠くなると、予測精度が特に高周波側で劣
化する問題があり、また音場再生においては、受聴者の
位置が移動すれば、スピーカと受聴者間の音響伝達特性
を測定しなおす必要があり、このような測定のしなおし
をする必要がなくその音響伝達特性を予測できれば頗る
便利である。音像シミュレータにおいても各種方向の頭
部伝達特性を予測できれば、多数の頭部伝達特性を測定
記憶しておく必要がない。また騒音制御装置において
も、騒音制御点に受音器を設置できない場合には騒音制
御ができないが音響伝達特性を予測できれば制御が可能
となる。
【0015】この発明の目的は音響伝達特性を精度よく
予測することができる方法及びその装置を提供すること
にある。
【0016】
【課題を解決するための手段】この発明は、対象とする
音響系の持つ物理的極を、その音響系内における複数の
音響伝達特性から推定し、その推定された極に対する複
数の音響伝達特性のそれぞれの留数を求め、その留数が
音源・受音点配置を変数とする関数であることを利用し
て、留数の変化関数に予測したい場所の音源・受音点位
置を入力してその留数を求め、求めた留数と推定された
極とを用いて音響伝達特性を予測することを特徴とする
音響伝達特性予測方法である。
【0017】この発明は、受音点や音源を配置できない
位置での音響伝達特性を予測することが可能であり、音
場再生装置、音像シミュレータ、騒音制御装置などに利
用することができる。以下この発明の原理を詳細に説明
する。この発明の音響伝達特性予測方法は、同一音響系
内における音響伝達特性は、その音響系固有の共振周波
数、及び音源・受音点配置の関数である留数によって表
現できるという音響学的知見に基づいている。即ち、音
響学的には音響伝達特性は、以下に示す式で表される。
【0018】 H(ω,R)=Σn (An (R)ω)/(ω2 −ω2 n ) (3) ここで、ωは角周波数、ωn はn番目の角共振周波数
(複素数)、 n (R)はn番目の角共振周波数に対す
る留数(複素数)、H(ω,R)は、角周波数ωを入力
した時の応答を表す音響伝達特性関数である。また、R
は音源rsと受音点roの配置を表し、r=(x,y,
z)である。一般に留数 n (R)は、室内の大きさ
(縦,横,高さ)と壁の反射率で決まる固有関数P(r)
によって、 An (R)=Pn (rs )Pn (ro ) (4) と表される。また、それぞれの固有関数は、近似的に、
x,y,z方向の固有関数に分離することが可能で、 Pn (r)=Pnx(x) Pny(y) Pnz(z) (5) と表現できる。さらに、分離された固有関数は、例え
ば、x軸方向では、 Pnx(x) =C cos(kx x +φ) (6) kx =(nx π/Lx )+iγx (7) となることが知られている。y,z方向も同様であり、
音源、受音点両者において同じである。ここで、Lx
部屋のx軸方向の長さ、nx は正の整数、γは壁の反射
率によって決まる量、Cは定数、φは位相である。
【0019】以上をまとめると、任意の音源・受音点の
位置間の伝達特性H(ω,R)は、共振周波数ωn と、
音源、受音点(位置)の関数である留数によってのみ決
定され、また、留数 n (R)は、音源あるいは受音点
の位置に対する減衰正弦関数であり、軸方向の長さL、
壁の反射係数に対応する量γ、位相φ、ゲイン定数Cを
定数として持っている。つまり、任意の音源・受音点配
置での音響伝達特性を予測するためには、共振周波数ω
n 、軸方向の長さ、壁の反射係数に対応する量γ、位相
φ、ゲイン定数Cをパラメータとして持つ留数A
n (R)を何らかの方法で決定してやればよいことが分
かる。
【0020】さて、上記のパラメータを決定するため
に、前述の音響伝達特性を離散系モデルとして書き直す
と、以下のようになる。 H(z,R)=ΣAn (R)/(1−pn -1) (8) Σはn=0からpまで ここで、H(z,R)は離散系での音響伝達特性であ
り、zはz変換であり、周波数ωとz=exp(−j
ω)の関係で結ばれている。ここで、pn は共振周波数
に対応する極であり、留数An (R)は(3)式と同一
のものである。さて、上式と、既に提案されている共通
極・零モデル特公平7−39968(特開平4−295
728)公報、
【0021】
【数1】
【0022】とを比較すると、pn は同じであることが
分かる。ここで、pn は音源・受音点配置に依存しない
共通極、qn は音源・受音点配置に依存する零点、an
は共通極に対応するAR(auto regressive)係数、bn
は零点に対応するMA(movingaverage)係数、P,Q
はそれぞれ極と零点の次数、C2 は定数である。また、
この明細書中では、(8)式と(9)が同じ共通極pn
を持つことから、この発明の基本となる式(8)を共通
極・留数モデルと呼ぶ。
【0023】さて、共通極・零モデルによれば、共振周
波数ωn に対応する共通極pn は、複数の伝達特性から
求めることができる。即ち、共通極・零モデル化の手法
により共振周波数ωn はただちに決定される。次に、関
数An (R)のパラメータの決定方法について説明す
る。An (R)は、3次元音場では、 An (R)=Px(xs ) Px(xo )Py(ys )Py(yo )Pz(zs )Pz(zo ) (10) であるが、これは、それぞれの軸の留数Ani(Ri )、 Ani(Ri )=Pi(is )Pi(io )(i=x,y,z) (11) の積であるから、それぞれの軸についてAn を計算して
やれば良いことが分かる。さて、それぞれの軸の留数は
1次元音場の留数と同じであるから、ここでは、1次元
音場について説明する。
【0024】さて、今、1次元音場での留数 Anx(Rx)=Px (xs )Px (xo ) (12) のパラメータを推定するわけであるが、簡単のため、音
源位置を固定した場合について述べる。これは、受音点
位置を固定した場合においても同様な議論が成り立つ。
今、音源位置を固定すると、Px (xs )は定数にな
る。今、Anx(Rx)は受音点位置xo にしか依存しない
ので、受音点位置xo をx,kをkn ,Anx(Rx)をA
n (x) と書き直すと、 An (x) =D cos(kn x+φ) (13) となる。ここで、Dはゲイン定数、φは位相である。ま
た、kn は壁の反射率に対応する量γを含む複素数であ
るが、ここでは、γを小さいとして無視することにす
る。即ち、kn を kn =nπ/Lx (14) とする。さて、上記のkn と角共振周波数ωn の実周波
数は、 kn =ωn ×fs /c (15) の関係にある。ここで、fs はサンプリング周波数、c
は音速で約340m/sである。従って、kn の値は、
共通極・零モデルで得られる共通極pn の周波数ωn
実周波数部から得られることになる。
【0025】さて、関数An (x) の残りのパラメータD
とφは、実際に測定可能な受音点位置におけるAn (x)
の値を用いて推定する。受音器のある位置xでのA
n (x) は、受音器位置xにおける音響伝達特性H(z,
x)から、 An (x) =(1−pn -1)H(z,x)|z =pn (16) として求めることができる。関数An (x) の残りのパラ
メータはDとφの2つなので、最低2つの連立方程式が
あれば、即ち2つの測定点でのAn (x) が分かれば、十
分と考えられるが、An (x) の空間的な周期kn と測定
間隔が一致してしまうと、同一の方程式となり解くこと
が不可能となる。そこで、測定に際しては、測定点を3
つ以上とし、また、その配置に関しては等間隔にならな
いように注意する必要がある。
【0026】さて、An (x) が3箇所の受音点位置
1 ,x2 ,x3 に関して測定できたとすると、 An (x1 )=D cos(kn 1 +φ) An (x2 )=D cos(kn 2 +φ) (17) An (x3 )=D cos(kn 3 +φ) なる連立方程式が得られる。今、kn 1 +φをkn
で置き換え、さらに、x 1 ,x2 の間隔をd1 ,x1
3 の間隔をd2 とすると、上記の連立方程式は、 An (x1 )=D cos(kn x) An (x2 )=D cos(kn x) cos(kn 1 ) −D sin(kn x) sin(kn 1 ) (18) An (x3 )=D cos(kn x) cos(kn 2 ) −D sin(kn x) sin(kn 2 ) と書き直すことができる。これを行列表現すると、 となる。さて、kn ,d1 ,d2 ,An (x1 ),An
(x2 ),An (x3 )は既知であるから、この行列方
程式を、 Ax=b (20) と表した時、 x=(AT A)-1T b (21) により最小自乗解を得ることができ、D cos(kn x)
とD sin(kn x)の値が得られる。これらの値を用い
れば、基準点x1 からの距離dを与えることにより、任
意の位置での留数の値を知ることができる。即ち、An
(x1 +d)は、 An (x1 +d)=D cos(kn x) cos(kn d) −D sin(kn x) sin(kn d) (22) として求めることができる。この方法は、絶対的な位置
を知ることなく、ある基準点に対してのみの相対的な距
離が分かれば、その位置での留数を決定できるという利
点も合わせ持っていることが分かる。
【0027】さて、以上の説明で求めたAn (x)と、共
通極を用いれば、任意の位置xでの伝達特性は、 H(z,x)=Σ(An (x) /(1−pn -1)) (23) nは0からpまでとして、予測することができる。ま
た、通常、An とpn は複素数であり、共役を持つの
で、以下の形で表すことができる。 H(z) =Σ((b0n−b1n-1)/(1−a1n-1+a2n-2)) (24) Σはn=0からp/2まで この式により、直接、並列型のディジタルフィルタとし
て実現することができる。
【0028】さらに、求められた共通極・留数モデルの
伝達特性は、展開することにより、以下に示す、一般的
によく用いられるARMA(Auto regressive-moving a
verage)モデルに変換することができる。 H(z) =Σbn -1/(1+Σan -1) (25) 分母のΣはn=1からpまで、分子のΣはn=0からp
まで これは、IIR(Infinite Impulse response)フィルタ
として実現可能である。ARMAモデルの形に展開する
と、さらに伝達特性のインパルス応答h(n) を以下の式
に従って求めることができる。
【0029】 h(k) =Σp n=1 n h(k−n)+Σbn δ(k−n) (26) ここで、δ(k) は、δ関数で、k=0の時のみ1で、そ
の他のkでは0となる関数である。以上、この発明によ
る伝達特性の予測方法をまとめ、これを図1を用いて説
明する。前述の要素には同一の番号を付けた。室内伝達
特性予測装置78は共通極推定回路71、留数計算回路
72、留数関数決定回路73、予測位置での留数値計算
回路74、室内伝達特性計算回路75よりなる。
【0030】まず、室内伝達特性測定回路32にて、n
個の受音器14−nに対するそれぞれの室内伝達特性を
測定する。次に、測定された複数の伝達特性からその部
屋固有の共通極を共通極推定回路71にて推定する。留
数値計算回路72では、測定された室内伝達特性と推定
された共通極を用いて、式(16)に従って、受音器位
置の知られている点に対する留数値を計算する。次に、
留数関数決定回路73では、留数の関数を式(17)か
ら式(22)までの手順に従い決定する。次に、予測し
たい受音点24の位置を予測位置入力回路77より入力
する。入力された予測位置は、位置入力端子76を経
て、予測位置留数値計算回路74に渡される。予測位置
留数値計算回路74では、留数関数決定回路73で決定
された留数関数に予測位置を入力して、予測したい受音
点位置24での留数値を計算する。室内伝達特性計算回
路75では、予測位置留数値計算回路74で計算した留
数値と共通極推定回路71で推定した共通極とから、式
(23)に従って室内伝達特性の計算を行う。共通極及
び留数の関数はその室内音響系に固有であるから、これ
らを予め求めておき、これらをメモリなどに保持してお
き、入力したい予測位置に応じてこれと音源内の音響伝
達特性を求めるようにしてもよい。その場合は図1中か
ら受音器14−n、室内伝達特性測定回路32、共通極
推定回路71、留数値計算回路72、留数関数決定回路
73は省略されていてもよい。
【0031】以下、更に3つの実施例をもとにこの発明
の適用例を説明する。
【0032】
【発明の実施の形態】
音響伝達特性の予測例 図2に示す3次元音場内で、y,z軸方向の壁が完全吸
音の場合に音響伝達特性を予測する例について示す。図
2において、前述と同じ要素には同一の番号を付けた。
壁81の反射率は0.8であり、x軸方向の壁81の間
隔は6.8m、サンプリング周波数は1kHzである。
【0033】まず、測定可能な位置5箇所、3.4m、
3.5m、3.65m、3.7m、4.2mの位置に受
音器14−1〜14−5を配置して、室内伝達特性測定
回路32で複数の室内伝達特性を測定する。次に、室内
伝達特性予測装置78にて、前述した方法により、共通
極及び、3.65m、3.7m、4.2m位置の留数を
求め、留数関数のパラメータを決定した。次に、位置入
力装置77に、3.95mなる位置を入力し、室内伝達
特性予測装置78に渡し、3.95m位置の留数値を求
め、共通極と合わせて、共通極・留数モデルの形で伝達
特性を求めた。次に、求められた室内伝達特性の形を
(25)式のARMA(再帰移動平均型)モデルに変換
し、その後、(26)式よりインパルス応答を求めた。
その結果を、実際に測定した3.95m位置でのインパ
ルス応答とともに図3Aに示す。波形的にはほとんど区
別がつかないことが分かる。次に、この伝達特性の周波
数振幅特性を図3Bに示す。図3Bでは、参考のため
に、3.7mと、4.2m位置での伝達特性を単純に平
均した結果(従来法)も示している。図から、単純に平
均した従来法の場合は、高域成分が大きく異なることが
分かる。しかし、この発明を用いれば、実際に測定した
インパルス応答とほぼ一致した室内伝達特性が予測され
ていることが分かる。 音場再生装置 この発明を音場再生装置に適用する場合の例を図4を用
いて説明する。前述の要素には同一の番号を付けた。受
聴位置入力回路111は位置入力回路77と同一の機能
を持つが、ここでは、受聴者37を対象としているた
め、受聴位置入力回路とした。受聴位置入力回路111
は、例えば、TVモニターなどを用いて、受聴位置を検
出する機能を持っている。
【0034】まず、室内伝達特性測定回路32は、受聴
者37の邪魔にならない位置に設置された複数の受音器
位置14−nに対応する複数の室内伝達特性を測定す
る。次に、この発明の音響伝達特性予測回路78は、室
内伝達特性測定回路32で測定された複数の伝達特性を
用いて留数関数と共通極を推定する。次に、音響伝達特
性予測回路78は、受聴位置入力回路111から入力さ
れた受聴位置に基づき、受聴位置での室内伝達特性H
(z) を予測する。逆フィルタ計算回路33では、予測さ
れた伝達特性の逆フィルタ1/H(z) が計算され、逆フ
ィルタ畳み込み装置34に渡される。逆フィルタ畳み込
み回路34では、原音再生回路36で再生された原音X
(z) が模擬音場畳み込み回路35で模擬音場G(z) と畳
み込まれた信号G(z) X(z) と、逆フィルタ計算回路3
3で計算された逆フィルタ1/H(z)とを畳み込んで、
信号G(z) X(z) /H(z) を生成し、スピーカ13に入
力する。スピーカ13に入力された信号G(z) X(z) /
H(z) は、室内伝達特性H(z)を経て、受聴者に到達す
るので、結局受聴者は、H(z) G(z) X(z) /H(z) =
G(z) X(z) を聞くことになる。即ち、受聴者37は受
聴者37のいる部屋11の室内伝達特性H(z) の影響を
受けない信号G(z) X(z) を聞くことが可能となる。受
聴者が移動した場合には、受聴位置入力回路111にて
受聴位置を再度設定し、音響伝達特性予測回路78で、
移動した先の伝達特性を予測して、逆フィルタ計算回路
33で再度逆フィルタを計算してやることにより、やは
りG(z) X(z) なる信号を受聴者に聞かせることが可能
となる。以上説明したように、この発明を用いた音場再
生装置によれば、初期に室内伝達特性測定回路31で測
定した室内伝達特性を用いるだけで音場再生を行うこと
が可能で、受聴者の位置が移動した場合でも、再度室内
伝達特性を測定する必要がなくなる。 音像シミュレータ 図5にこの発明を適用した音像シミュレータ装置を示
す、前述の要素には同一の番号を付けた。この音像シミ
ュレータを動作させるためには、まず、いくつかの方向
の頭部伝達特性を測定し、共通極・留数モデル化装置1
27にて共通極・留数モデル化を行う必要がある。共通
極・留数モデル化装置127では、いくつかの測定値が
保存された方向別頭部伝達特性測定値保存回路54の方
向別頭部伝達特性を用いて共通極計算回路71にて共通
極を計算する。次に、留数値計算回路72にて保存され
ている方向別頭部伝達特性の留数値を計算する。留数関
数決定回路73では、留数値計算回路の結果を元に留数
関数の決定を行う。
【0035】次に、音像シミュレータ装置51では、共
通極・留数モデル化装置127により決定された共通極
を共通極保存回路126で、留数関数を留数関数保存回
路125にてそれぞれ保存する。音像シミュレータ装置
51では、まず、受聴者37が音を定位させたい方向を
希望入力回路56にて入力する。予測位置留数値計算回
路74では、希望方向入力回路56にて入力された方向
の留数値を左耳、右耳について計算する。つまり保持回
路54内の各方向別頭部伝達特性と対応する音源と左
耳、右耳との位置関係と同様な位置関係を入力された方
向に対して求め、その基準点よりのずれを用いて右耳、
左耳について前記留数値を計算する。あるいは入力され
た方向の基準方向に対するずれを、基準点よりのずれと
して留数値を求めてもよい。計算された留数値は、留数
値MA変換回路124にてそれぞれ(25)式の最後の
式の分子にあたるMA(ムービングアバレジ)係数に変
換され、それぞれ、右耳用MA係数畳み込み回路12
2、左耳用MA係数畳み込み回路123に渡される。共
通極保存回路126は、共通極と対応するAR(オート
レグレシブ)係数を共通極畳み込み回路121に渡す。
原音再生装置41にて再生された信号は、共通極畳み込
み回路121を経てから右耳用MA係数畳み込み回路1
22、左耳用MA係数畳み込み回路123に渡される。
右耳用MA係数畳み込み回路122、左耳用MA係数畳
み込み回路123では、共通極畳み込み回路121を通
った信号をそれぞれのMA係数と畳み込んで、右耳用信
号、左耳用信号を生成し、ヘッドフォン55に入力す
る。受聴者37が方向を変化させたい場合には、希望方
向入力回路56にて再度方向を入力し直すことで、留数
値計算回路74が留数値を再計算し、希望の方向での定
位を実現する。
【0036】この時、任意の方向の頭部伝達特性を模擬
しようとすると、図9Bに示した従来の音像シミュレー
タでは、膨大な方向の頭部伝達特性を蓄積しておく必要
がある。しかし、図5に示したこの発明を適用した場合
には、方向に依存する留数は、いくつかの少ない頭部伝
達特性から求めた関数で記述しているため、蓄積すべき
頭部伝達特性のデータ量が大幅に削減されていることに
なる。また、共通極は方向に依存しない量であるため、
このデータ量も大変少ないものになっている。
【0037】このようにこの発明を音像シミュレータに
適用すれば、従来のこの種装置の問題点であった、音響
伝達特性の蓄積データ量の問題を改善できるのみなら
ず、方向を連続的に表現できる、物理的な量をシミュレ
ータ内部において取り扱うことで、より自然な音像定位
感を与えることができる。 騒音制御装置 この発明を騒音制御装置に適用した例を図6を用いて説
明する。前述の要素には同一の符号を付けた。騒音伝達
特性予測回路131は、室内伝達特性予測回路78と同
じ働きをするが、ここでは、区別するために別な名称を
使用している。この説明では図7に示した従来技術と騒
音伝達特性畳み込み回路の機能は同じであるため、到達
時間差の補償については、詳しくは述べない。
【0038】まず、騒音を制御したい位置133を制御
点位置入力回路132で入力する。入力された制御点の
希望の位置は、室内伝達特性予測回路78と騒音伝達特
性予測回路131に渡される。騒音伝達特性測定回路6
1は、複数の受音器位置14−nに対応する複数の騒音
伝達特性を測定する。次に、測定された複数の騒音伝達
特性は騒音伝達特性予測回路131に渡される。騒音伝
達特性予測回路131では、室内伝達特性予測回路78
と同じ手順で、制御点位置入力回路132から入力され
た位置での騒音伝達特性F(z) を予測する。予測された
騒音伝達特性F(z) は、騒音伝達特性畳み込み回路63
に渡され、騒音収音器62にて収音された騒音N(z) と
畳み込まれて信号F(z) N(z) を生成し、逆フィルタ畳
み込み回路34に渡される。
【0039】次に、室内伝達特性測定回路32は、複数
の受音器位置14−nに対応する複数の室内伝達特性を
測定し、これを室内伝達特性予測回路78に渡す。室内
伝達特性予測回路78では、制御点位置入力回路132
から入力された位置での室内伝達特性H(z) を予測す
る。予測された室内伝達特性H(z) は、逆フィルタ計算
回路33に渡され、逆フィルタ1/H(z) が計算され、
逆フィルタ畳み込み回路34に渡される。
【0040】逆フィルタ畳み込み回路34では、逆フィ
ルタ計算回路33で計算された逆フィルタ1/H(z) と
騒音伝達特性畳み込み回路63で生成された信号F(z)
N(z) と畳み込み、信号−F(z) N(z) /H(z) を生成
して、スピーカ13に入力する。スピーカ13で再生さ
れた信号F(z) N(z) /H(z) は、室内伝達特性H(z)
を通って制御点133に到達する、制御点133では、
騒音源からの信号F(z) N(z) と−H(z) F(z) N(z)
/H(z) の和が観測されるのであるから、制御点位置で
の観測信号は0となり、制御点133での騒音制御が実
現されることになる。制御点を移動させたい場合には、
制御点位置入力回路にて制御したい位置を入力し、騒音
伝達特性と室内伝達特性の両者を再計算する。
【0041】以上説明したように、この発明を用いた騒
音制御装置では、制御点位置での伝達特性を測定する必
要がないため、制御点に受音器を設置できないような場
所の騒音制御も可能となる。また、制御点を移動したい
場合においても、伝達特性の再測定を必要としない。図
4、図5、図6にそれぞれ示した実施例において、それ
ぞれ予め極、留数関数を求めてメモリなどの保持手段に
保持しておき、入力位置又は入力方向情報に応じて対応
する音響伝達関数を計算するようにしてもよい。この場
合は受音器14−n、音響特性測定回路32,61、共
通極推定回路71、留数値計算回路72、留数関数決定
回路73を省略できる。
【0042】
【発明の効果】この発明は、対象とする音響系の室内伝
達特性に共通な共通極と音源・受音点位置の関数である
留数関数を、その音響系内における複数の音響伝達特性
から推定し、この共通極と留数関数で室内伝達特性を表
現し、音源と受音点の位置を入力するだけで、任意の位
置の室内伝達特性を予測することができることを特徴と
する音響伝達特性予測方法である。
【0043】この発明を、受音器の設置できない場所の
伝達特性の予測に用いれば、受音器のない位置での音響
伝達特性を知ることができる。また、この発明を音場再
生装置に適用すれば、受聴者位置での室内伝達特性を測
定することなく逆フィルタを計算することができ、受聴
者の移動に対して追従することが可能である。
【0044】また、この発明を、複数の既知の音響伝達
特性を蓄積し模擬する音像シミュレータのような装置に
適用すれば、蓄積に必要なパラメータ数の削減を行うこ
とができ、その結果、蓄積すべきデータ量の削減をはか
ることできる。さらに、この発明では、留数関数が音の
到来方向に対して連続な関数なので、音の到来方向を連
続に変化させることができるという、従来に類を見ない
特徴を持つ。
【0045】この、この発明を騒音制御に適用すれば、
受音器の設置できない位置での騒音制御が可能となる。
さらに、この発明の元となる共通極・留数モデルで模擬
(表現)された音響伝達特性は、これを演算の過程にお
いて使用するさまざまな音響信号処理装置に適用でき、
その演算量やデータ蓄積量に関する改善を行うことがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の室内伝達特性予測装置を説明する
図。
【図2】この発明の室内伝達特性予測装置を用いた具体
的な室内伝達特性予測を表す図。
【図3】Aは元のインパルス応答とこの発明の室内伝達
特性予測装置を用いて予測したインパルス応答の波形を
比較した図、Bは元の室内伝達特性とこの発明の室内伝
達特性予測装置を用いて予測した室内伝達特性と従来の
予測方法を用いて予測した室内伝達特性の3者の周波数
振幅特性の波形を比較した図である。
【図4】この発明を音場再生装置に適用した構成例を示
す図。
【図5】この発明を音像シミュレータに適用した構成例
を示す図。
【図6】この発明を騒音制御装置に適用した構成例を示
す図。
【図7】Aは音響伝達特性H(z) を説明する図、Bは従
来の室内伝達特性の予測装置を説明する図である。
【図8】従来の音場再生装置を説明する図。
【図9】Aは頭部伝達特性を説明する図、Bは従来の音
像シミュレータ装置を説明する図である。
【図10】従来の騒音制御装置を説明する図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小島 順治 東京都新宿区西新宿三丁目19番2号 日 本電信電話株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−295728(JP,A) 特開 平8−50152(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01H 17/00 G10K 15/00 H04S 1/00 H04S 7/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 音響系内に置かれた音源と受音点の間の
    音響伝達特性を予測する音響伝達特性予測方法におい
    て、 前記音響系内における複数の音源と受音器間の音響伝達
    特性を測定し、 前記測定した複数の音響伝達特性から前記音響系の共通
    極を推定し、 前記推定された共通極に対する留数を前記測定された複
    数の音響伝達特性に対して求め、 前記求められた複数の留数から少なくとも基準位置から
    の距離を変数とする留数関数を決定し、 前記留数関数に、前記基準位置からの距離を入力してこ
    れら音源・受音点位置での留数を決定し、 前記決定した留数と前記推定された共通極とから前記音
    源・受音点位置間における音響伝達特性を予測すること
    を特徴とする音響伝達特性予測方法。
  2. 【請求項2】 前記留数関数は、前記音響伝達特性を測
    定した音源と受音器の位置を変数とする減衰正弦関数で
    あるとし、そのパラメータとして周期、振幅、位相、減
    衰定数を持ち、 前記減衰正弦関数の周期は、対応する前記推定された
    極の周波数から決定し、 前記減衰正弦関数の振幅と位相と減衰定数は、前記複数
    の音響伝達特性のそれぞれに対して求められた前記留数
    の値と最も一致する量として決定することを特徴とする
    請求項1記載の音響伝達特性予測方法。
  3. 【請求項3】 音響系内に置かれた音源と受音点の間の
    音響伝達特性を予測する音響伝達特性予測装置におい
    て、 前記音響系の共通極を保持する極保持手段と、 前記音響系における留数関数が保持された留数関数保持
    手段と、 入力された予測されるべき前記音響伝達特性の音源と受
    音点位置に応じた留数を前記留数関数により求める留数
    計算手段と、 前記求めた留数と前記共通極とから前記音響伝達特性を
    計算する伝達特性計算手段とを具備する音響伝達特性予
    測装置。
  4. 【請求項4】 音響系内の受聴位置と音源との間の音響
    伝達特性の逆フィルタ特性を逆フィルタ計算手段で計算
    し、前記逆フィルタ特性を音響信号に畳み込み手段によ
    り畳み込み、その畳み込まれた音響信号を前記音源から
    放出することにより、前記音響伝達特性の影響が取り除
    かれた前記音響信号の音を前記受聴位置に再生する音響
    装置において、 前記音響系の共通極を保持する極保持手段と、 前記音響系における受聴位置からの距離を変数とする留
    数関数を保持する留数関数保持手段と、 入力された受聴位置に応じた留数を前記留数関数により
    求める手段と、 前記留数と前記共通極とから前記音源と前記入力された
    受聴位置間の音響伝達特性を計算して、前記逆フィルタ
    手段へ供給する手段とを具備することを特徴とする音響
    装置。
  5. 【請求項5】 音源方向から左、右の耳までの各音響伝
    達特性を原音にそれぞれ畳み込み手段により畳み込み、
    これら畳み込まれた原音をヘッドフォンなどにより受聴
    者の左、右の耳へ呈示して音像定位を実現する音響装置
    において、共通 極を保持する極保持手段と、 基準位置に対する距離又は方向を変数とする留数関数を
    保持する留数関数保持手段と、 入力された希望方向に応じた左、右耳用留数を前記留数
    関数により求める留数計算手段とを備え、 前記畳み込み手段は前記原音に前記共通極に対応したオ
    ートレクレシブ係数を畳み込む極特性フィルタと、この
    極特性フィルタの出力をそれぞれ前記左、右耳用留数と
    それぞれ対応したムービングアベレージ係数をそれぞれ
    畳み込む左、右耳用留数フィルタとよりなることを特徴
    とする音響装置。
  6. 【請求項6】 音響系内の騒音源と制御点間の騒音伝達
    特性を前記騒音源の騒音に騒音伝達特性畳み込み手段で
    畳み込み、前記音響系内の制御用音源と前記制御点間の
    制御音伝達特性の逆フィルタ特性を逆フィルタ計算手段
    により求め、前記畳み込まれた騒音に前記逆フィルタ特
    性を逆フィルタ畳み込み手段で畳み込み、その畳み込ま
    れた騒音を前記制御用音源より放音することにより、前
    記制御点で騒音と逆位相の音を与える音響装置におい
    て、 前記音響系内の共通極を保持する極保持手段と、 前記音響系内の基準位置に対する距離を変数とする騒音
    用留数関数を保持する騒音用留数関数保持手段と、 前記音響系内の基準位置に対する距離を変数とする制御
    音用留数関数を保持する制御音用留数関数保持手段と、 入力された制御点位置の前記騒音源に対する位置に応じ
    て前記騒音留数関数により騒音留数を求める手段と、 前記騒音留数と前記共通極とから前記騒音源及び前記入
    力された制御点間の騒音伝達特性を計算して前記騒音伝
    達特性畳み込み手段へ供給する騒音伝達特性計算手段
    と、 前記入力された制御点位置の前記制御用音源に対する位
    置に応じて前記制御音用留数関数により制御音留数を求
    める手段と、 前記制御音留数と前記共通極とから前記制御用音源と前
    記入力された制御点間の制御音伝達特性を計算して前記
    逆フィルタ計算手段へ供給する手段と、 を具備することを特徴とする音響装置。
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