JP3254259B2 - 樹脂被覆写真用支持体の製造方法 - Google Patents

樹脂被覆写真用支持体の製造方法

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JP3254259B2 JP26219692A JP26219692A JP3254259B2 JP 3254259 B2 JP3254259 B2 JP 3254259B2 JP 26219692 A JP26219692 A JP 26219692A JP 26219692 A JP26219692 A JP 26219692A JP 3254259 B2 JP3254259 B2 JP 3254259B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、樹脂被覆された写真用
支持体が、ライン走行する際の走行性に優れた樹脂被覆
写真用支持体の製造方法に関するものであり、更に詳し
く述べるならば、本発明は、製造ラインの高速走行適性
を改良した製造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】近年、写真の現像処理の高速化に伴い、従
来使用されていたバライタ紙に代わって、原紙からなる
基体の両面をポリオレフィン樹脂で被覆した耐水性写真
用支持体が使用されるようになった。一般に、写真用支
持体に要求される性質としては、寸法安定性、耐湿性、
接着性、および隠蔽力などが優れていること、および写
真乳剤層に悪影響を与えないことなどであり、その他
に、写真の乳剤を塗布する面(表面)の平滑性が優れてい
ることが必要である。特に、鏡面タイプと称される高い
光沢性を有する写真印画紙用支持体においては、この高
い表面平滑性が必要である。
【0003】近年、生産性向上並びに品質向上をはかる
ため、マシンの増速、または、ポリオレフィン樹脂の両
面被覆に加えて、表面被覆層上には、乳剤層との接着性
を良化するためサブコート(下引き)層を設け、また、裏
面被覆層上には、帯電性防止、鉛筆加筆性やスベリ性を
付与するため、バックコート層が設けられ、オンライン
で塗工されるようになってきた。また、クーリングロー
ルの表面形状も表面樹脂被覆層の鏡面あるいはマット面
と品質要求に応じて、粗面度を変更しなければならな
い。
【0004】しかし、前記の動向に伴い、写真用支持体
が高速ライン走行する際に、種々のトラブルが発生する
ようになってきた。このトラブルとは、製造時における
ライン走行中の写真用支持体の抱き角度(ロールの円周
上で紙の接している部分の角度、即ち、ロールの円周上
で紙の接している部分の端と端とがロールの中心で形成
する角度)、ロールの起動トルク、写真用支持体の粗面
度と表面形状、ロールの粗面度と表面形状などの諸条件
により発生する。例えば、走行中の写真支持体にななめ
状、または、流れ方向に連続的なシワが発生し、生産性
を低下させてきた。公開実用新案昭63-26655号公報に見
られるように、ロールの形状を改良し、これらのトラブ
ルの解消に努力してきたが、必ずしも十分な対策が取ら
れておらず、この問題解決に大変苦労してきたのが現実
である。
【0005】さらに、加えてオンラインによるサブコー
ト層およびバックコート層を樹脂被覆層に付設するた
め、コロナ処理による樹脂表面の付着性の強い低分子ポ
リオレフィンがロールに付着したり、サブコート液やバ
ックコート液の粕等がロールに付着することにより、ロ
ール表面が汚染されることが多くなってきた。このこと
に加えて、生産量増産によるライン走行速度の増速のた
め、写真用支持体が高速走行になり、短スレ、微小型お
よびブロッキングなどの従来とはやや性質の異なる品質
事故も発生するようになってきた。
【0006】ここで、短スレ、微小型およびブロッキン
グについて簡単に説明する。短スレとは、ロール表面に
何らかの微小な異物が付着して、ロールの回転速度と写
真用支持体のライン走行速度が同調できなくなった場合
に、微小な異物が写真用支持体の表面上に短いスレ筋状
の溝を発生することであり、通常、短スレが発生すると
乳剤塗布後にもスレ筋状の溝が残る品質故障である。微
小型とは、ロールの回転と写真用支持体のライン走行速
度が同調しているため、短スレとはならないが、ロール
表面に付着している微小な異物が、写真用支持体の表面
上に押し当てられる結果、微小な凹みを形成させること
である。微小型の大きさが、200μm程度以上となる
と、乳剤ハジキを発生させ、品質を大いに低下させる原
因となる。
【0007】また、ブロッキングとは、ロール表面と写
真用支持体との間で、瞬間的に接着してしまい、これを
強制的に剥離させる結果、写真用支持体の表面樹脂層が
変形する。この変形の結果、写真用支持体の表面上に斑
点状の光沢ムラが発生して、ブロッキングが強い場合に
は、乳剤塗布後にも斑点状の光沢ムラが発生して、大き
な品質故障となる。これらのトラブルに対しては、前述
の公開実用新案昭63-26655号公報に見られるようなロー
ルの形状だけを改良しても、対応できなくなってきてい
るのが現状である。これらのトラブルを解消するため、
種々の手段が検討されてきているが、未だに解決されて
いない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の写真
用支持体のライン走行時において、ポリオレフィン被覆
層の樹脂表面、または、サブコート層の表面、またはバ
ックコート層の表面とロールとの接触時における、短ス
レ、微小型およびブロッキングを解消するために有用な
ライン走行適性を有するロールを用いて、樹脂被覆写真
支持体の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、紙基体の両面
にポリオレフィン樹脂被覆層を設けた写真用支持体をラ
イン走行させるのに当たって、該樹脂被覆写真支持体と
接触するロール自体の一部、あるいは全部が炭素繊維か
らなり、該ロール表面の一部、あるいは全部がフッ素系
樹脂で被覆されているロールを用いて走行することを特
徴とする樹脂被覆写真用支持体の製造方法である。該樹
脂被覆写真用支持体が、前記ロールを抱く角度が、60
〜200#で、且つ、静摩擦係数が、0.2〜0.6に制
御される樹脂被覆写真用支持体の製造方法である。ま
た、該ロール 表面材質のフッ素系樹脂中に、帯電防止
剤を5%重量以下含有するロールを用いて走行する樹脂
被覆写真用支持体の製造方法である。
【0010】すなわち、上記の課題を解決するために、
本発明者らは鋭意研究した結果、写真用支持体とロール
との静摩擦係数が0.2〜0.6の範囲に調整されるよ
う、表面の一部、あるいは全部がフッ素系樹脂で被覆さ
れるロールを用いると、写真用支持体の走行性が改善さ
れ、係る品質故障を激減させることを見い出した。さら
に、好ましくはロールを被覆するフッ素系樹脂中に帯電
防止剤を含有させることにより、異物がロール表面に付
着することを防止でき、品質故障を防げる。また、ロー
ル自体も高速化に対応させるため、軽量化する必要があ
り、従来のアルミニウム鋼管より、より軽量な炭素繊維
を主体としたロールを用いることにより、ロールの高速
回転による慣性モーメントを低下させることが可能であ
り、ロールの回転と写真用支持体のライン走行速度との
追随性を良化させることにより、品質故障を大幅に減ら
すことができた。
【0011】これを実現するための手段としては、写真
用支持体の粗面度がRaで0.1〜10μm、ロールの
粗面度がRaで1〜20μmの範囲であれば、写真用支
持体とロールの接触する部分の静摩擦係数が0.6以下
に調整され、写真用支持体の走行性が改善され、支持体
にシワが発生しないようになる。さらに好ましくは、静
摩擦係数が0.2〜0.6の範囲で、制御することにより
達成できる。すなわち、写真用支持体の品質故障は、一
般的に製造装置のライン走行速度により依存される。ロ
ールの回転が写真用支持体と同調している条件下におい
て、写真用支持体とロールの静摩擦係数が0.6より大
きくなると密着性が高くなり、支持体にシワが発生した
り、ブロッキングが発生したりする。また、写真用支持
体とロール表面との静摩擦係数が0.2より小さいと、
ロールの回転速度と写真用支持体のライン走行速度に追
随性がなくなり、同調しない場合には、ロール表面に微
小な異物が付着すると、短スレが発生する。
【0012】ロールの粗面度をRaで20μmより大き
くすると走行性は改善されるが、ロール上に付着した微
小の異物により、写真用支持体表面上に微傷な形状を転
写する微小型を発生することになる。この他に、ロール
と写真用支持体の抱き角度、テンション、ロールの起動
トルクが要因となってくる。ロールと写真用支持体との
抱き角度は、60〜200゜、テンションは20〜13
0kg/m、ロールの起動トルクは、40g以下が好ま
しい。ロールの径は直径60〜150mmの範囲のもの
が、高速回転におけるロールたわみを2mm以下にする
ように考慮して選択できる。また、ラインスピードは5
00m/minまでにおいて有効である。
【0013】ロールの粗面度は、Raで1〜20μmの
範囲であるが、ロールの材質は粗面度および加工方法
は、摩擦係数に応じて任意に選択できるが、ここでいう
特に好ましい材質は、ニッケルメッキ、クロームメッ
キ、アルミニウム、セラミック、あるいはカーボン等の
中で、1種類または2種類以上をテフロン加工と組み合
わせたロールをいう。本発明で言うフッ素系樹脂とは、
例えばテフロンを示す。テフロン加工については、ロー
ルにシュリンクチューブをかぶせ、熱収縮により被覆し
ても構わないし、バインダーとテフロン粒子をコーティ
ングして焼成しても構わない。バインダーは、低温焼成
する場合にはテフロン樹脂層中に存在するが、特に高温
焼成する場合においては存在しない。さらに、テフロン
加工においては、ロールおよび写真用支持体が樹脂性で
あるので、静電気による埃、塵等の微小な異物が付着し
ないように、樹脂層中に帯電防止剤を含有しても構わな
い。
【0014】本発明に用いられるロールは、短スレ、微
小型、ブロッキングなどの所定の要求機能を満たすた
め、種々の表面改質方法が適用できる。例えば、低表面
エネルギー(濡れにくい、付着しにくい)の表面を得たい
場合には、従来は低表面エネルギー材(テフロンなど)を
ロール表面に一様にコーティングして使用する。また、
低表面エネルギーと高表面エネルギーの中間の表面物性
を得るには、例えば、分散メッキのようにNi(高表面
エネルギー材)表面にテフロン粒子(低表面エネルギー
材)を析出させ、Niとテフロンの中間の表面物性を付
与させる手法がある。
【0015】本発明におけるロール表面を被覆するフッ
素系樹脂層が形成される様態としては、フッ素系樹脂が
形成されていれば、何れでも構わないが、一般にフッ素
系樹脂フィルムの熱融着、接着層を介しての貼付、フッ
素系樹脂などの塗装などが挙げられる。本発明に於いて
はフッ素系樹脂フィルムの熱融着が特に好ましい態様で
ある。
【0016】本発明のロールに使用されるフッ素系樹脂
について以下に詳細に述べる。本発明において、「フッ
素系樹脂」とは、樹脂の分子構造式中にフッ素を含む熱
可塑性樹脂であれば特に限定されるものではないが、具
体的には、例えば、樹脂の分子構造中に4個フッ素原子
を有する四フッ化エチレン系樹脂、さらに三フッ化エチ
レン系樹脂、二フッ化エチレン系樹脂、一フッ化エチレ
ン系樹脂およびこれらの樹脂の複合物等であり、中でも
四フッ化エチレン系樹脂および二フッ化エチレン系樹脂
が好ましく、さらに特に好ましくは四フッ化エチレン系
樹脂である。
【0017】ここで、四フッ化エチレン系樹脂とは具体
的には、例えば四フッ化エチレン系樹脂(PTFE)、四
フッ化・パーフロロアルコキシエチレン共重合体(PF
A)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレンパーフロ
ロアルコキシエチレン共重合体(EPE)および四フッ化
エチレン・エチレン共重合体(ETFE)等があり、中で
もPFA、ETFEおよびEPEが好ましく、特に好ま
しくはETFEが好ましい。
【0018】ETFEを具体的に説明すると、エチレン
および四フッ化エチレンを主体とした(エチレン/四フ
ッ化エチレンのモル比は、一般に40/60〜60/4
0にある)、そして必要により、これに少量(通常10モ
ル%以下)の第3のコポリマーを共重合させたものであ
り、本発明では、特にエチレン/四フッ化エチレンの含
有モル比が40/60〜60/40、好ましくは45/
55〜55/45の範囲内にあり、かつ式CH2=CH
−CnF2n+1(ここでは、nは2〜10の整数である)で
示されるパーフルオロアルキルビニルモノマー単位(例
えば、CH2=CH−C4H9またはCH2=CH−C5H1
3から誘導される単位)の含有量が0.3〜10モル%、
好ましくは0.3〜5モル%の範囲内にあるETFEが
好適に使用される。このETFEはそれ自体既知のもの
であり、例えば特公昭59-50163号公報の記載の方法で製
造することができ、また、市販品として旭硝子(株)より
「アフロン(R)COP」なる商品名で市販されているも
のを使用することもできる。
【0019】上記三フッ化エチレン系樹脂とは、具体的
には、例えば、三フッ化塩素エチレン樹脂(CTFE)お
よび三フッ化エチレン・エチレン共重合体(ECTFE)
等であり、中でもECTFEが好ましい。前記二フッ化
エチレン系および一フッ化エチレン系樹脂とは、具体的
には、例えば、フッ化ビニリデン樹脂(PVDF)および
フッ化ビニル樹脂(PV)等である。
【0020】また、本発明では、前述したように、静電
気防止のため、ロール表面を被覆するフッ素系樹脂中に
帯電防止剤を添加する方が良い。添加量としては、5重
量%以下が好ましい。特に好ましい添加量の範囲は、
0.5〜2%である。5重量%以上添加すると、フッ素
樹脂被覆層が非常に硬くなり、加工性が悪くなるのと、
フッ素系樹脂による被粘着性が非常に低下するため、メ
リットがなくなってしまう。一般に、高分子物質は10
12 Ω・cm以上の電気抵抗を有する非導電性物質であ
り、これらの物質に導電性を付与するためには、カチオ
ン系活性剤、四級アンモニウム塩、特殊アミン化合物等
の帯電防止剤を添加配合することが知られている。しか
しながら、このような添加剤による導電性向上には限界
が有り、電気抵抗を10 8 Ω・cm以下にすることは困
難である。
【0021】一方、金属粉末やカーボンブラックを高分
子物質中に分散させる方法は、電気抵抗を下げるために
有効な方法である。特に、アセチレンブラックやECF
(Extra conductive furnance black)等の電導性カーボ
ンブラックは安価で、しかも導電率が高いため、広範に
使用されている。本発明に用いられる導電性カーボンブ
ラックとしては、アセチレンブラックやEC(Extra con
ductive)グレード等の、特に導電性付与効果の大きいカ
ーボンブラックが好ましいが、FEF、ISAFグレー
ド等の一般的なカーボンも使用可能である。
【0022】本発明では、短スレ、ブロッキング、微小
型などの品質故障を防ぐために、ロール自体の性能を向
上させなければならない。ロールの中心のチューブは、
回転モーメントを減少させるため、ロール自体も軽量化
しなければならない。この軽量化は、鉄鋼管よりアルミ
ニウム鋼管の方が軽量ではあるが、より高速性に優れた
炭素繊維を主体として、必要に応じて、アラミド繊維
“ケブラー”やガラス繊維を複合させ、樹脂で硬化され
た強化プラスチックパイプでも構わない。
【0023】炭素繊維ロールを使用するメリットとして
は、(1)低慣性モーメントであり、回転数の制御応答性
が向上して、駆動エネルギーを低減できる。すなわち、
写真用支持体へのロール追随性が良くなると、ロールと
写真用支持体間の摩擦により発生する傷が減少する。
(2)軽いので、交換取り付け、取り外しが容易である。
(3)小径化が可能である。ロール芯間の距離が短くな
り、装置全体をコンパクトに構成することができる。ま
た、ロールと写真用支持体の間の接触角が増し、ロール
による写真用支持体の把持力を大きくすることができ
る。(4)生産のスピードアップができる。危険回転数が
上がり生産効率がアップする。(5)ロール本体に静電
気が帯電しない。
【0024】炭素繊維としては、CFRP(炭素繊維強
化プラスチック)、CFRPI(炭素繊維強化イミド)、
BFRP(ボロン繊維強化プラスチック)、AFRP(ア
ラミド繊維強化プラスチック)、GFRP(ガラス繊維強
化プラスチック)、C/Cコンポジット(炭素繊維強化炭
素)、CFRM(炭素繊維強化金属)等があり、好ましく
は、C/Cコンポジットが使用される。従来から、広く
工業製品として、使用されているものにガラス繊維強化
プラスチック(いわゆるFRP)がある。これに対して、
新しい高性能/高機能の材料、すなわち、補強材として
ボロン繊維、高性能炭素繊維、アラミド繊維や、その他
の無機繊維、ウィスカーなどマトリクスとして各種高機
能樹脂、金属、炭素、セラミックなどが登場し、これら
の組み合わせで得られる複合材をアドバンスド・コンポ
ジット・マテリアル(Advanced Composite Material
s:ACM)と呼んで従来のFRPと区別している。勿
論、これらの材料を選択しても構わない。
【0025】本発明の製造対象物である原紙の両面にポ
リエチレン樹脂被覆層を有する写真印画紙用支持体(ポ
リオレフィン樹脂被覆紙)を製造するに当たっては、ま
ず溶融状態にしたポリオレフィンを原紙の表面上に押出
コーティング法により塗布する。この溶融ポリオレフィ
ンの塗布のための押出コーティング法については、従来
利用されている方法から任意に選択できる。また、ポリ
オレフィンの溶融条件、塗布の条件などについてもポリ
オレフィン樹脂被覆紙の公知の製造方法について採用さ
れている条件から選択することができる。
【0026】そして、溶融ポリオレフィン樹脂体の冷却
固化は、通常は、溶融ポリオレフィン樹脂体を原紙に塗
布すると同時に、その溶融ポリオレフィン樹脂被覆体に
クーリングロールを当てることにより行う。溶融ポリオ
レフィン樹脂被覆体にクーリングロールを当てて、溶融
ポリオレフィン樹脂体の冷却固化を行う方法は、従来よ
り実際に行われており、本発明においても同様に行われ
る。
【0027】一般に、この鏡面タイプの写真印画紙用支
持体を溶融押出塗工で製造する際、樹脂溶融体層を冷却
固化するために使用されるクーリングロールとしては、
超鏡面ロールと呼ばれ、硬質クロムメッキ仕上げの極め
て平滑な(0.2S以下)鏡面を有するクーリングロール
が使用されることが多い。樹脂被覆層表面が鏡面あるい
は微粗面である場合、
【0028】溶融ポリオレフィン樹脂体を冷却固化する
際には、クーリングロールとプレスロールによって製造
されるが、この時使用される前記プレスロールは、硬度
70〜90(JIS K 6301)、かつゴム厚10〜2
5mmのものが好ましい。また、前記プレスロールと前
記クーリングロールとのニップ圧は、線圧で20〜80
kg/cmが好ましく、前記プレスロールに使用される
表面ゴムの材質は、エチレンプロピレンゴム、あるいは
クロロスチレン化ポリエチレンゴムが好ましい。
【0029】ポリオレフィン樹脂被覆層の厚さについて
は、特に制限はなく、従来の写真印画紙用支持体のポリ
オレフィン樹脂被覆紙の被覆層の厚さに準じて、選択す
ることができる。その厚さは、通常10〜100ミクロ
ン、そして特に15〜50ミクロンの範囲から選ばれ
る。
【0030】本発明の製造法により得られる写真印画紙
用支持体は、原紙、そしてその両面に設けられているポ
リオレフィン樹脂被覆層からなる基本構造を持つもので
ある。原紙は、写真印画紙用に一般に用いられている材
料から選ばれる。そのような材料の例としては、天然パ
ルプ紙、合成パルプ紙、天然パルプと合成パルプとの混
抄紙、そして各種抄き合わせ紙を挙げることができる。
原紙は、通常50〜500ミクロンの厚さにて用いられ
る。
【0031】本発明においてポリオレフィン樹脂被覆層
を形成するポリオレフィンは、従来用いられる各種のポ
リオレフィンは、従来用いられている各種のポリオレフ
ィンから任意に選んで用いることができる。そのような
ポリオレフィンの例としては、ポリエチレン、ポリプロ
ピレンなどのα−オレフィン単独重合体、それらのα−
オレフィン共重合体、そしてそれらの各種の重合体の混
合物が挙げらることができる。特に、好ましいポリオレ
フィンはポリエチレンである。これらのポリオレフィン
は押出コーティングが可能である限り、その分子量2
0,000〜200,000の範囲のポリオレフィンが用
いられる。
【0032】写真印画紙用のポリオレフィン樹脂被覆原
紙の樹脂被覆層の形成に用いるポリオレフィン樹脂に、
白色顔料、着色顔料、あるいは蛍光増白剤、酸化防止剤
などの各種の添加剤を添加することはすでに知られてお
り、本発明に使用するポリオレフィン樹脂の調製にあっ
たても当然そのような各種の添加剤は可能であり、目的
によっては好ましいことである。そのような各種の添加
剤の種類、添加量、添加方法については、例えば、米国
特許第3,833,380号、第4,169,188号、第3,501,298号、
第3,449,257号、第3,499,762号などの刊行物に詳しく記
載されている。あるいは、米国特許第3,884,692号に記
載されているように、それらの添加剤を、被覆層の形成
後に被覆層上に塗布することもできる。あるいは、米国
特許第2,715,075号、第2,846,727号、第3,549,406号、
第3,590,107号などの刊行物に記載されているように、
樹脂被覆層の表面活性化処理を必要に応じて行うことも
できる。
【0033】本発明においては、写真印画紙用支持体に
写真乳剤を塗布して写真印画紙とするためには、写真印
画紙製造用に従来利用されている方法を利用できる。ま
た、そのように製造された写真用印画紙の現像、定着な
どの処理についても、従来利用されている技術を利用す
ることができる。これらの従来技術については、例え
ば、「写真化学」(菊池真一著;共立出版;1973)、
そして「THE THEORY OFPHOTOGRAPHIC PROCESS」(C.E.
K.Mess;3rd.ed.)などの刊行物に記載されている。
【0034】
【実施例】以下に本発明を具体的な実施例を事例に挙げ
て詳細に説明する。 実施例1〜および比較例1〜 広葉樹材晒クラフトパルプ(LBKP)と針葉樹材晒サル
ファイトパルプ(NBKP)の1:1混合物をカディア
ンスタンダードフリーネスで300mlになるまで叩解
し、パルプスラリーを調整した。これにサイズ剤として
アルキルケテンダイマーを対パルプ0.5%重量%、強
度剤としてポリアクリルアミドを対パルプ1.0重量%
カチオン化デンプンを対パルプ2.0重量%、ポリアミ
ドエピクロロヒドリンを対パルプ0.5重量%添加し、
水で希釈後1%スラリーとした。このスラリーを長網抄
紙機で170g/m2になるように抄造し、写真印画紙
用支持体の原紙とした。
【0035】抄造した原紙をクーリングロール冷却水温
度10℃で、微粗面加工されたクーリングロールを用い
て、密度0.918g/cm 3 の低密度ポリエチレン100
重量%の樹脂に対して、10重量%のアナターゼ型酸化
チタンを均一に分散したポリエチレン樹脂組成物を32
0℃で溶融して、厚さが30μmになるように押出コー
ティングした。なお、この時のプレスロールとクーリン
グロールとのプレス圧は線圧で40kg/cmで行った。も
う一方の面に関しては、粗面加工されたクーリングロー
ルを用いて、クーリングロール冷却水温度を20℃で行
い、密度0.962g/cm 3 の高密度ポリエチレン樹脂と
上記低密度ポリエチレンを1:1で同様に320℃で溶
融し、厚さ30μmになるように押出コーティングし
た。
【0036】乳剤が塗布される側の樹脂被覆層には、同
一ラインの途中で、ゼラチンを主成分としたサブコート
層を塗布して、ドライヤーゾーンでオンラインで乾燥さ
れる。また、裏面には、同様に同一ラインの途中で、顔
料とバインダーとしてアクリル酸共重合体を主成分とし
たバックコート層を塗布して、ドライヤーゾーンでオン
ラインで乾燥される。以上のラインで写真用支持体はオ
ンラインで製造される。
【0037】また、バックコート層の塗布量は、絶乾重
量で約0.3g/m2とし、サブコート層の塗布量は、
0.4mg/m2になるように調整した。ラインスピード
は、200m/min、テンションは100gf/cm
で実施し、ロールの諸条件は、ロール被覆材料、ロール
の抱き角度、ロール表面と写真用支持体と接触する静摩
擦係数、ロール被覆フッ素系樹脂のカーボン含有量、お
よびロール材質を表1に記載される条件で変更して実施
した。なお、ロールの粗面度および写真用支持体粗面度
は、接着面の静摩擦係数が0.2〜0.6になるように諸
条件を調整した。ついで、写真用支持体は、写真感光乳
剤が塗布され写真印画紙とした。写真印画紙は、SRP
2014(FC製)により現像処理、及び乾燥され各評
価に供された。
【0038】評価方法は、写真印画紙としての品質故障
を、短スレ、微小型およびブロッキングの3項目、写真
用支持体製造時のライン走行性については、耐摩耗性お
よびう塵付着防止性の2項目、併せて5項目について、
目視観察、目視観察で見られないときは、顕微鏡観察に
より、詳細な観察を行った。 [短スレ、微小型およびブロッキングのグレード]各種
品質評価項目は、下記のように4段階評価を行った。 ◎…故障がまったくない。 ○…弱い故障が見られる。 △…故障が見られる。 ×…強い故障が見られる。 ◎レベルは、樹脂被覆層上にも故障がまったく見られ
ず、品質上問題のないレベルである。○レベルは、樹脂
被覆層上に故障が見られるが、乳剤を塗布すれば、品質
として、問題のないレベルである。△レベルになると、
品質故障に至るまでのレベルではないが、決して好まし
いレベルではない。また、×になると乳剤に塗布する
と、品質故障が容易に観察できるレベルで、製品になら
ない不良品レベルである。このレベルになると、樹脂被
覆層表面の形状が乳剤層の表面に現れるだけでなく、乳
剤ハジキ、乳剤ムラ、乳剤層表面の光沢ムラ等の写真印
画紙として、致命的な品質故障が発生して、決して製品
にならない不良品である。 [耐摩耗性、塵付着防止性のグレード]各種品質評価項
目は、下記のように4段階評価を行った。 ◎…まったく問題がないレベル。 ○…ロール表面が僅かに摩耗し、塵が僅かに付着するの
が確認できるレベル。 △…ロール表面に摩耗が見られ、塵の付着が容易に観察
できるレベル。 ×…製品製造に支障のある。 評価結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】実施例1〜3、比較例1〜3のロールを用
いると、それぞれ5つの評価項目について、ロール表面
にテフロン加工が実施され、ロール表面に異物や汚れが
付着し難い。また、ロール表面と写真用支持体との接触
面での静摩擦係数と抱き角度を所定の範囲に制御されて
いるので、品質故障がなく、問題のないレベルである。
実施例1,3,比較例2では、フッ素樹脂中にカーボンが
含まれているため、帯電防止効果が見られ、微小な異物
のロール表面への付着が減少して、品質故障を軽減でき
た。また、実施例1,,3では、ロール自体に炭素繊維
を使用しているため、写真用支持体のライン走行速度と
ロールの回転速度との追随性が非常に良好であるため、
短スレ、ブロッキング等の品質故障が発生しなかった。
【0041】しかし、比較例では、ロール表面に微小
な異物や汚れが付着し易く、微小型やブロッキングが発
生した。比較例では抱き角度が浅いため、擦れて摩擦
するようになるため、短スレが発生した。比較例
は、静摩擦係数が大きく、ロール表面と写真用支持体が
瞬間的に接着して、強制的に剥離されるような現象を引
き起こし、強いブロッキングを発生した。また、比較例
では、短スレ、微小型、ブロッキング品質故障につ
いては好ましいレベルではないが、許容範囲であるが、
塵付着防止性が著しく悪く、長時間の運転時間では品質
故障が発生する可能性が非常に強い。さらに、比較
では、ロールの慣性モーメントが大きく、ロールの回転
速度と写真用支持体のライン走行速度との追随性が悪
く、短スレ、微小型、ブロッキングの品質故障を発生さ
せた。
【0042】
【発明の効果】以上に述べてきたように、ライン走行す
るロール表面の一部あるいは全部を、微小な異物や汚れ
が付着しないように、テフロンで被覆し、さらにロール
自体をより軽量な炭素繊維ロールを用いることにより、
短スレ、微小型、およびブロッキング等の品質故障を著
しく減少できる。また、テフロン樹脂中にカーボンを添
加することにより塵付着防止効果を与えることができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−73944(JP,A) 特開 昭58−156929(JP,A) 特開 昭61−174055(JP,A) 特開 平3−135640(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03C 1/79

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 紙基体の両面にポリオレフィン樹脂被覆
    層を設けた樹脂被覆写真用支持体をライン走行させるに
    あたって、該樹脂被覆写真用支持体と接触するロール
    体の一部、あるいは全部が炭素繊維からなり、該ロール
    表面の一部あるいは全部が、フッ素系樹脂で被覆されて
    いるロールを用いて、ライン走行することを特徴とする
    樹脂被覆写真用支持体の製造方法。
  2. 【請求項2】 該樹脂被覆写真用支持体が、前記ロール
    を抱く角度が、60〜200#で、且つ、前記樹脂被覆
    写真用支持体と接触するロールとの静摩擦係数が、0.
    2〜0.6である請求項1記載の樹脂被覆写真用支持体
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 ライン走行する該ロール表面材質のフッ
    素系樹脂中に、帯電防止剤を5%以下含有する請求項1
    または2記載の樹脂被覆写真用支持体の製造方法。
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