JP3254155B2 - 熱可塑性エラストマー組成物、その製造法および成形品 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物、その製造法および成形品

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JP3254155B2 JP35602896A JP35602896A JP3254155B2 JP 3254155 B2 JP3254155 B2 JP 3254155B2 JP 35602896 A JP35602896 A JP 35602896A JP 35602896 A JP35602896 A JP 35602896A JP 3254155 B2 JP3254155 B2 JP 3254155B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フッ素系の熱可塑
性エラストマー組成物とその製造法並びに当該熱可塑性
エラストマー組成物を成形して成る成形品に関する。特
に、そのフッ素系熱可塑性エラストマー組成物はテトラ
フロロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル
共重合体(PFA)を成分とし、その利点は引張特性が
良好で製造が容易なことにある。
【0002】
【従来の技術】ゴム部分と熱可塑性樹脂部分とから成る
組成物は、溶融成形ができ、しかもゴム弾性、柔軟性を
有する材料として有用であり、熱可塑性エラストマー
(TPE)と呼ばれている。これらの内、架橋されたゴ
ムと熱可塑性樹脂とから成る組成物は、特に動的架橋型
TPEと呼ばれ、近年種々の組成のものが、Coran
らの米国特許第 4,348,502号、同第 4,130,535号、同第
4,173,556号、同第 4,207,404号、同第 4,409,365号等
の各明細書で知られている。ここで、ゴム成分としてフ
ッ素ゴム(特に、架橋されたフッ素ゴム)を、また樹脂
成分としてフッ素樹脂を材料とする組成物は、耐熱性、
耐薬品性等の優れたTPEになると期待され、いくつか
の研究例が報告されている。
【0003】例えば特開昭61-57641号公報には、連続相
と分散相とを有する二相組成物であって、該連続相が最
小 38 重量%のフッ素を含有する溶融加工可能な結晶性
熱可塑性フルオロカーボン樹脂であり、該分散相が二相
組成物の約50〜90%を構成して無定形の架橋されたフル
オロエラストマーであるものが開示されている。当該公
報において、結晶性熱可塑性フルオロカーボン樹脂とし
ては、テトラフロロエチレン/パーフロロアルキルビニ
ルエーテル共重合体(PFA)、ポリフッ化ビニリデン
(PVdF)、クロロトリフロロエチレン、テトラフロ
ロエチレン/ヘキサフロロプロピレン共重合体(FE
P)等が用いられている。
【0004】また特開平 5-14041号公報には、溶融成形
可能な熱可塑性フルオロカーボン樹脂の連続相と、特定
の誘導体基から選ばれた加硫部位を有する含フッ素エラ
ストマーの加硫された分散相から成り、分散相が連続相
と分散相の合計に対して50〜90重量%である含フッ素T
PE組成物が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
5-14041号公報記載の発明においては、フッ素ゴムとし
てグリシジルビニルエーテル等を共重合させた特殊品を
使用する必要がある。特開昭61-57641号公報記載の発明
においては、汎用のフッ素樹脂、フッ素ゴムも用いられ
ているが、得られるTPEは、満足な引張強さを示さな
いことがある。
【0006】TPEは概して、引張強さを大きくすると
著しく硬くなる傾向がある。また、後述する実施例でも
示すように、フッ素系動的架橋型TPEにおいては、引
張の際の最大強さ(本願では、極限強さと言う)が低伸
長時に現れ、以後、伸長に伴い応力がかなり低下すると
言うゴムらしくない引張特性を示すことがある。
【0007】本発明の目的は、汎用のフッ素樹脂、フッ
素ゴムを使用したTPEであって、柔軟性を保持したま
ま引張特性を改善したものを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的につき鋭意研究をすすめた結果、フッ素ゴムとPFA
及び/またはFEPとから主として成るTPEに、比重
1.90 以上のテトラフロロエチレン/ヘキサフロロプロ
ピレン/フッ化ビニリデン三元共重合体を配合すると、
柔軟性をほぼ維持したまま、引張特性が改善されること
を見いだして本発明を完成した。
【0009】すなわち、本発明の熱可塑性エラストマー
組成物は、(A)架橋または未架橋のフッ素ゴム、
(B)テトラフロロエチレン/パーフルオロアルキルビ
ニルエーテル共重合体、および(C)比重 1.90 以上
の、テトラフロロエチレン/ヘキサフロロプロピレン/
フッ化ビニリデン三元共重合体からなり、成分(A)と
成分(B)との重量比が90〜10:10〜90であり、成分
(C)が成分(A)と成分(B)の合計100 重量部に対
して0.05〜50.0重量部の割合に配合されていることを特
徴とする。
【0010】また、本発明の熱可塑性エラストマー組成
物の製造法は、(A′)未架橋フッ素ゴム90〜10重量部
と、(B)テトラフロロエチレン/パーフルオロアルキ
ルビニルエーテル共重合10〜90重量部と、(C)比重
1.90 以上の、テトラフロロエチレン/ヘキサフロロプ
ロピレン/フッ化ビニリデン三元共重合体 0.05 〜50.0
重量部とが配合され、[第1の製造法]成分(A′)と
(B)と(C)を、成分(B)テトラフロロエチレン/
パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合の溶融温
度以上の温度で混練するとともにフッ素ゴム成分の少な
くとも一部の架橋を行う工程を含むことを特徴とし、
[第2の製造法]成分(B)と(C)を、予め両者の溶
融温度以上の温度で混練して混合物を得る工程と、当該
混合物と(A′)を当該混合物の溶融温度以上の温度で
混練しながらフッ素ゴム成分の少なくとも一部の架橋を
行う工程とを含むことを特徴とし、[第3の製造法]成
分(A′)と(C)テトラフロロエチレン/テトラフ
ロロプロピレン50重量部以下を加え、予めこれら成分の
溶融温度以上の温度で混練するとともにフッ素ゴム成分
の少なくとも一部を架橋して混合物を得る工程と、当該
混合物と(B)10〜90重量部のテトラフロロエチレン
/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体を成分
(B)テトラフロロエチレン/パーフルオロアルキルビ
ニルエーテル共重合体の溶融温度以上の温度で混練する
工程を含むことを特徴とする。
【0011】ここで、成分(C)の比重 1.90 以上の、
テトラフロロエチレン/ヘキサフロロプロピレン/フッ
化ビニリデン三元共重合体を使用することが、本発明の
重要な要件である。このことによって、TPEの柔軟性
を殆ど損なうことなく、引張特性が改善される。これら
は全く予期されなかったことである。
【0012】テトラフロロエチレン/ヘキサフロロプロ
ピレン/フッ化ビニリデン三元共重合体は、−C2 4
−、−C3 6 −、−CF2 CH2 −の各単位が種々の
モル比で結合したものであり、これらのうち、−C2
4 −:−C3 6 −:−CF2 CH2 −のモル比が0 〜
30:15〜60:40〜80、特にで、0 〜25:25〜50:50〜75
の範囲内にあるものは、三元系フッ素ゴムである。三元
系フッ素ゴムにおいては、このようにフッ化ビニリデン
単位のモル比が高いため、通常は比重が1.85〜1.88程度
の範囲内にある。これら比重1.90未満のテトラフロロエ
チレン/ヘキサフロロプロピレン/フッ化ビニリデン三
元共重合体を用いた場合には、本発明が目的とする引張
特性の改善はなされない。
【0013】テトラフロロエチレン/ヘキサフロロプロ
ピレン/フッ化ビニリデン三元共重合体のうち、本発明
で成分(C)として使用する比重 1.90 以上のものは、
例えば、住友3M(株)より、THVフルオロプラスチ
ックの商標名で市販されている。当該ポリマーは、その
構成単位の種類が上記三元共重合フッ素ゴムと同一であ
るが、−C2 4 −:−C3 6 −:−CF2 CH2
のモル比が30〜70:15〜40:10〜50で、フッ化ビニリデ
ン単位のモル比がフッ素ゴムよりも低くなっている。そ
のため、比重が約 1.90 以上と高く、耐熱性、耐薬品性
が良好となる。また、通常の三元系フッ素ゴムが常温で
無定形で、架橋されない限りさしたる強度を示さないの
に対し、比重 1.90 以上のテトラフロロエチレン/ヘキ
サフロロプロピレン/フッ化ビニリデン三元共重合体
(以下単に三元共重合体ともいう)は、常温で塑性変形
し難く、引張強さも 200kgf/cm2 程度であり、熱
可塑性樹脂である。特に比重約 1.95 以上の三元共重合
体は耐薬品性が高く、通常の三元系フッ素ゴムがケトン
系、エステル系の溶剤に易溶であるのに対し、それら溶
剤に不溶である。さらに、本発明における三元共重合体
は、結晶化し難い点でPFA、ETFE等のフッ素樹脂
と異なり、結晶化度が30%前後と非晶質性である。本発
明においては、成分(C)テトラフロロエチレン/ヘキ
サフロロプロピレン/フッ化ビニリデン三元共重合体と
して、比重1.90以上のものであればどのようなものでも
用いることができる。また、比重1.90以上の当該三元共
重合体を複数併用することも可能である。しかしなが
ら、テトラフロロエチレン/ヘキサフロロプロピレン/
フッ化ビニリデン三元共重合体として、−C2 4 −:
−C3 6 −:−CF2 CH2 −のモル比が概略40〜7
0:15〜35:10〜40の範囲内にあるもの、又は比重が約
1.93以上、特に比重約1.95以上のものを使用することが
好ましい。このことによって、TPE組成物の引張特性
改善が顕著になる。また、耐熱性および耐薬品性のより
高いTPE組成物を得ることができる。特に、ケトン
系、エステル系溶剤に対する耐性が顕著となる。
【0014】本発明で使用する(A′)未架橋フッ素ゴ
ムとしては、分子内にフッ素原子を有するゴムであれば
特に制限なく使用することができる。例として、ヘキサ
フロロプロピレン/フッ化ビニリデン二元共重合体(昭
和電工デュポン社製のバイトンA、住友3M社製のフロ
ーレル等)、テトラフロロエチレン/ヘキサフロロプロ
ピレン/フッ化ビニリデン三元共重合体(昭和電工デュ
ポン社製のバイトンB、住友3M社製のフローレル
等)、テトラフロロエチレン/プロピレンから主として
成る共重合体(旭硝子社・日本合成ゴム社製のアフラス
等)、ペンタフロロプロピレン/フッ化ビニリデン二元
共重合体、クロロトリフロロエチレン/フッ化ビニリデ
ン二元共重合体、パーフロロアルコキシ基を有するポリ
マー(ダイキン社製のダイキンパーフロ等)、フロロシ
リコーンゴム(ダウコーニング社のシラスチックLS)
等を挙げることができ、これらを併用することも可能で
ある。成分(A′)未架橋フッ素ゴムとして好ましく
は、主鎖が炭素原子から成り、また塩素原子を含まない
もの、より好ましくは、フッ化ビニリデンを構成単位と
する二元系もしくは三元系フッ素ゴム、またはテトラフ
ロロエチレン/プロピレンから主として成る共重合体を
使用することができる。フッ化ビニリデンを構成単位と
する三元系フッ素ゴムを使用することによって、より引
張特性、耐薬品性の優れたTPE組成物とすることがで
きる。フッ化ビニリデンを構成単位とする二元系フッ素
ゴムを使用することによって、TPE組成物の圧縮永久
歪を低減させることができる。また、テトラフロロエチ
レン/プロピレンから主として成る共重合体を使用する
ことによって、TPE組成物はより柔軟なものとなる。
【0015】本発明で使用する(B)テトラフロロエチ
レン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体
(PFA)としても、特に制限なく、分子量、溶融粘
度、結晶化度、末端基、溶融温度、ガラス転移温度、テ
トラフロロエチレン:パーフルオロアルキルビニルエー
テルの重合比等が異なる、種々のPFAを使用すること
ができる。例として、ダイキン工業社製のAP201,
AP210,AP211,AP230,AP210AS、
三井デュポンフロロケミカル社製の340J,345
J,451HP−J,MP10、旭硝子製のアフロンP
66P等が挙げられる。
【0016】また、エチレン/テトラフロロエチレン共
重合体(ETFE)は、それを(B)PFAと混入する
ことは差し支えない。混用するETFEとしては特に制
限はなく、分子量、溶融粘度、結晶化度、末端基、溶融
温度、ガラス転移温度、エチレン:テトラフロロエチレ
ンの重合比等が異なる、種々のETFEを使用すること
ができる。例として、ダイキン工業社製のEP521,
EP541,EP610,EP620、三井デュポンフ
ロロケミカル社製のTefzel280、旭硝子株製の
アフロンCOP C55A,アフロンCOP C55AX,アフ
ロンCOP C88A,アフロンCOP C88APM,アフロ
ンCOP Z8820,アフロンCOP C885A等が挙げら
れる。
【0017】本発明のTPE組成物においては、成分
(A)架橋または未架橋のフッ素ゴム:成分と(B)P
A(以下、フッ素樹脂と略すことがある)の組成比
は、重量比で90:10〜10:90である。成分(B)フッ素
樹脂の比率がこれより小さいと、本発明が目的とする溶
融成形が困難または不可能となり、かつ得られるTPE
組成物の引張強さが低くなる。成分(A)フッ素ゴムの
比率がこれより小さいと、得られるTPE組成物は柔軟
性及びゴム弾性の乏しいものとなる。引張特性、ゴム弾
性及び溶融成形容易性等を総合して考えると、成分
(A)フッ素ゴム:成分(B)フッ素樹脂の重量比は、
80:20〜20:80の範囲、特に75:25〜25:75の範囲とす
るのが好ましい。
【0018】成分(B)フッ素樹脂PFAには、ETF
Eを混入しても差し支えない。混入するETFEの比率
に特に制限はない。PFAの比率を増すと、耐熱性、耐
薬品性、柔軟性に優れるTPEを、ETFEの比率を増
すと、引張強さが大きく溶融加工が容易なTPEを、そ
れぞれ得ることができる。成分(B)フッ素樹脂におけ
るPFAの比率が高い程、成分(C)比重 1.90 以上
の、テトラフロロエチレン/ヘキサフロロプロピレン/
フッ化ビニリデン三元共重合体の配合効果が高まる。特
に成分(B)フッ素樹脂がPFAのみから成る場合に
は、その効果が顕著である。
【0019】本発明の熱可塑性エラストマー組成物に
は、(B)フッ素樹脂PFAには、上記ETFEの他
に、テトラフロロエチレン/ヘキサフロロプロピレン共
重合体(FEP)を配合することもできる。このことに
よって、TPEの柔軟性を損なうことなく、溶融加工性
を改善することができる。FEPの配合量は、成分
(B)100 重量部に対して1 〜100 重量部、または成分
(A)及び(B)の合計 100重量部に対し、1 〜50重量
部、特に10〜30重量部とすることが好ましい。本発明は
また、(A)及び(B)の合計 100重量部に対し、1 〜
50重量部のテトラフロロエチレン/ヘキサフロロプロピ
レン共重合体がさらに配合されていることを特徴とす
る、上記熱可塑性エラストマー組成物をも包含する。
【0020】成分(C)比重 1.90 以上の、テトラフロ
ロエチレン/ヘキサフロロプロピレン/フッ化ビニリデ
ン三元共重合体の組成比は、成分(A)及び(B)の合
計 100重量部に対し、 0.05 〜50.0重量部である。成分
(C)三元共重合体の量が 0.05 重量部より少ないと、
本発明が目的とする引張特性の改善が成され難く、50重
量部より多いと、硬度の上昇、溶融温度の低下、加熱に
よる成形品の収縮と言った問題を生じる。概して、使用
する成分(B)フッ素樹脂の分子量が高いほど、また、
PFAの比率が高いほど、成分(C)三元共重合体の配
合量がより少量でも本発明の目的を達成し得る傾向が見
られるが、硬度、溶融温度、成形性、寸法安定性等の特
性を併せ見ると、成分(C)の配合量は成分(A)及び
(B)の合計 100重量部に対し、 1〜30重量部、特に 2
〜20重量部;あるいは、成分(B)フッ素樹脂 100重量
部当たり 1〜80重量部、さらには 2〜50重量部、特に 3
〜30重量部とするのが好ましい。
【0021】本発明のTPE組成物においては、成分
(A)少なくとも部分的に架橋されたフッ素ゴム及び成
分(C)三元共重合体の一部が分散相となり、成分
(C)三元共重合体の一部及び成分(B)フッ素樹脂が
連続相となるものが好ましい。また、当該フッ素ゴム分
散相の平均粒径が30μm以下、特に10μm以下であるこ
とが好ましい。フッ素ゴム分散相の平均粒径をこの程
度、より好ましくは5 μm、特に3 μm程度以下にする
ことによって、本発明のTPE組成物の成形性、耐薬品
性、引張特性等を、より優れたものとすることができ
る。
【0022】本発明のTPE組成物の製造法としては、
成分(A′)、(B)および(C)を成分(B)フッ素
樹脂の溶融温度以上の温度で溶融・混練することによっ
て得ることができる。また、成分(C)三元共重合体と
して比重が 1.90 〜 1.95 程度の範囲内のものを用いる
場合には、成分(A′)未架橋フッ素ゴムと成分(C)
三元共重合体とを、ケトン(例えばアセトン、メチルエ
チルケトン、メチルブチルケトン)、エステル(例えば
酢酸プロピル、酢酸ブチル)等の溶剤に溶解・混合して
得られる混合溶液と、成分(B)フッ素樹脂のディスパ
ージョン(ダイキン工業社製AD2CR)とを混合し溶
剤を除去することによっても製造することができる。成
分(C)三元共重合体のディスパージョン(住友3M社
製THV350C等)を用いても良い。
【0023】本発明のTPE組成物においては、成分
(A)のフッ素ゴム成分は架橋されていても未架橋であ
っても良いが、少なくとも部分的に架橋されていること
が好ましい。成分(A′)未架橋フッ素ゴムを架橋させ
る場合には、上記溶融混練物または混合溶液に架橋剤等
を添加して加熱すれば良い。
【0024】本発明の好ましい態様において、成分
(A′)のフッ素ゴム成分は、成分(B)フッ素樹脂ま
たは成分(C)三元共重合体との混練下で架橋を行う、
いわゆる動的架橋の手法によって架橋されたものである
ことが好ましい。このことによって、成分(B)フッ素
樹脂を連続相とし、(A)少なくとも部分的に架橋され
たフッ素ゴムを分散相とするTPE組成物を、容易に得
ることができる。この技術によれば、混練速度・架橋速
度等の条件を調整し、当該フッ素ゴム分散相の平均粒径
を上記範囲内とすることができる。当業者であれば、フ
ッ素ゴム分散相の平均粒径が所望の値となるような条件
を見いだすことは容易であろう。
【0025】本発明で使用するフッ素ゴム用架橋剤には
特に制限はないが、ポリアミン架橋剤、ポリオール架橋
剤、過酸化物等が挙げられる。ポリアミン架橋剤として
は、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミ
ン、ヘキサメチレンジアミン・カルバメート、テトラエ
チレンペンタミン、1,3-ジアミノシクロヘキサン、1,3-
ジアミノシクロヘキサン・カルバメート、ビス(p−ア
ミノシクロヘキシル)、ヘキサメチレンジアミン・カル
バメート(デュポン社製、DiakNo.1)、エチレ
ンジアミン・カルバメート(デュポン社製、DiakN
o.2)、N,N′−ジシナミリデン−1,6-ヘキサンジ
アミン(デュポン社製、DiakNo.3)、N,N′
−ビス(o−メトキシベンジリデン)−1,6-ヘキサンジ
アミン、N,N′−ビス(p−メトキシベンジリデン)
−1,6-ヘキシレンジアミン、N,N′−ビス(o−ヒド
ロキシベンジリデン)−1,6-ヘキシレンジアミン、N,
N′−ビス(N,N′−ジメチル−p−アミノベンジリ
デン)−1,6-ヘキシレンジアミン、 4,4′−ビス(アミ
ノシクロヘキシル)メタンカルバメート、 4,4′−メチ
レン−ビス(2-クロロアニリン)(デュポン社製、Mo
ca)等が例示される。ポリオール架橋剤としては、例
えばビスフェノールAF、ビスフェノールA、p,p′−
ビフェノール、 4,4′−ジヒドロキシジフェニルメタ
ン、ヒドロキノン、ジヒドロキシベンゾフェノン及びそ
れらのアルカリ金属塩等が挙げられる。フッ素ゴムの種
類によって使用される過酸化物は、例えばジt−ブチル
ペルオキシド、ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミ
ルペルオキサイド、 1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)
−3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジメチル−2,
5-ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル
−2,5-ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ジ
(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5-
ジメチル−2,5-ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、
t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、n−
ブチル-4,4−ジ(t−ブチルペルオキシ)バレレート、
α,α′−ビス(t−ブチルペルオキシ−m−イソプロ
ピル)ベンゼン、ベンゾイルペルオキシドである。これ
らの架橋剤は、予めフッ素ゴム、カーボンブラック、炭
酸カルシウム等に混合されたものを用いることができ
る。
【0026】フッ素ゴム成分がポリアミンによって少な
くとも部分的に架橋されていると、TPE組成物の弾
性、特に引張に対する弾性が顕著となる。これらのポリ
アミンは、成分(A′)フッ素ゴム 100重量部に対し、
好ましくは 0.05 〜10重量部、より好ましくは 0.1〜8
重量部、特に好ましくは 0.5〜7 重量部使用する。 0.0
5 重量部未満では架橋による物性改善がさほど現れず、
また、10重量部以上用いると、得られるTPE組成物が
硬くなるおそれがある。なお、ポリアミン架橋の際、第
4アンモニウム塩等の架橋促進剤を併用しても良い。フ
ッ素ゴム成分を過酸化物によって架橋すると、圧縮永久
歪みが小さく、耐熱性、耐薬品性に優れたTPE組成物
を得ることができる。過酸化物使用量は、成分(A′)
フッ素ゴム100重量部に対して 0.05 〜10重量部、特に
1〜8 重量部とするのが好ましい。
【0027】0.05 重量部未満では架橋による物性改善
がさほど現れず、10重量部以上だとゴム組成物が硬くな
るおそれがある。過酸化物架橋の際、トリアリルイソシ
アヌレート、トリメチロールプロパントリメタクリレー
ト等の架橋促進剤を併用しても良い。
【0028】本発明においてポリアミンまたは過酸化物
による架橋を行う場合には、成分(A′)、成分(B)
及び成分(C)の混練がある程度成されてから、ポリア
ミンまたは過酸化物架橋剤を添加し、動的架橋を行うの
が好ましい。架橋剤が混練開始時から存在すると、各成
分の分散が不均一となることがある。また、架橋促進助
剤として、酸化マグネシウム(MgO)、水酸化カルシ
ウム(Ca(OH)2)、酸化カルシウム(CaO)、
酸化鉛(PbO)等の受酸剤を使用することが望まし
い。好ましくは、成分(B′)フッ素ゴム 100重量部に
対し、 1〜10重量部、特に 2〜8 重量部の酸化マグネシ
ウム、または 1〜10重量部、特に 2〜8 重量部の水酸化
カルシウムを使用する。これら受酸剤を複数併用するこ
ともできる。架橋促進剤、架橋促進助剤は、架橋剤と同
時に添加しても良いが、分散を良好なものとするために
は、混練開始時からまたはその前工程において添加して
おくのが好ましい。
【0029】フッ素ゴム成分がポリオールによって少な
くとも部分的に架橋されている場合、TPE組成物の引
張強さ、伸びが大きくなり、また、圧縮永久歪みが小さ
くなる。本発明では種々の公知のポリオールを使用する
ことができるが、芳香族系のポリオール、特にビスフェ
ノールAFを使用するのが好ましい。ポリオール架橋に
おいては、ベンジルトリフェニルホスホニウム=クロリ
ド等の有機ホスホニウム塩、テトラブチルアンモニウム
=クロリド等の第4アンモニウム塩、DBU(1,8-ジア
ザビシクロ[ 5,4,0]-7−ウンデセン)、ヘキサメチレ
ンテトラミン等の架橋促進剤、及び/または受酸剤等の
架橋促進助剤を併用するのが好ましい。また、受酸剤の
使用が必須となる。使用する受酸剤としては、酸化マグ
ネシウム(MgO)、水酸化カルシウム(Ca(OH)
2 )、酸化カルシウム(CaO)、酸化鉛(PbO)等
が挙げられるが、これらに限定されない。これら受酸剤
を複数併用することもできる。ポリオール及び架橋促進
(助)剤の量に特に制限はなく、当業者であれば意図す
る架橋の度合い及び架橋促進(助)剤の種類等に応じて
任意に決定することができる。しかしながら、通常は、
成分(A′)フッ素ゴム100 重量部に対し、好ましくは
約 0.1〜10重量部のポリオールと約 0.01 〜10重量部の
架橋促進剤、より好ましくは約 0.5〜7 重量部ポリオー
ルと約 0.05〜7 重量部の架橋促進剤、特に好ましくは
約 1〜5 重量部のポリオールと約 0.1〜5 重量部の架橋
促進剤を、約 1〜10重量部、特に約 2〜8 重量部の酸化
マグネシウム、または約 1〜10重量部、特に約 2〜8 重
量部の水酸化カルシウムと共に使用する。ポリオール及
び架橋促進(助)剤の量が少ないと架橋による物性改善
がさほど現れず、多すぎると得られるTPE組成物の溶
融成形が困難となることがある。
【0030】本発明においてポリオール架橋を行う場
合、架橋剤、架橋促進剤及び架橋促進助剤の 3成分全て
を、各成分の混練開始後に添加しても良い。しかしなが
ら、ポリオール架橋においては、ポリオールが混練開始
前から存在していても、架橋促進剤及び/または架橋促
進助剤を混練開始後に添加することによって、各成分が
均一に分散したTPE組成物を得ることができる。但
し、分散を良好なものとするためには、架橋促進剤と架
橋促進助剤を、あるいは架橋促進助剤のみを、混練開始
時からまたはその前工程において添加しておき、その
後、各成分の混練がある程度成されてから、架橋剤のみ
または架橋剤及び架橋促進剤を添加する方法を採るのが
好ましい。
【0031】ポリオール架橋剤、ポリアミン架橋剤はま
た、上記した架橋促進剤及び架橋促進助剤の存在下、成
分(C)比重 1.90 以上のテトラフロロエチレン/ヘキ
サフロロプロピレン/フッ化ビニリデン三元共重合体を
も架橋させることができる。本発明のTPE組成物にお
いては、成分(C)比重 1.90 以上のテトラフロロエチ
レン/ヘキサフロロプロピレン/フッ化ビニリデン三元
共重合体が、少なくとも部分的に架橋されていても良
い。このことによって、本発明のTPE組成物の引張強
さ、耐薬品性が、さらに良好なものとなる。
【0032】本発明のTPE組成物は、上述した製造法
によって得ることができるが、各成分の混練、及び成分
(A′)フッ素ゴム成分の架橋を、好ましくは成分
(B)または成分(C)の溶融温度よりも約 1〜100
℃、より好ましくは約5 〜80℃、特に好ましくは約10〜
60℃高い温度で行う。混練温度が樹脂成分の溶融温度ぎ
りぎりだと、各成分との混練がうまく進行しないことが
ある。一方、混練温度が高すぎると、製造時に成分
(A)フッ素ゴムが劣化し、得られるTPE組成物の物
性低下を招くおそれがある。
【0033】本発明のTPE組成物は、種々の公知の混
練装置を用いて製造することができる。例として、バン
バリーミキサー、加圧ニーダー、二軸押出機等が挙げら
れる。当業者であれば、所望のTPE組成物を得るため
に混練条件を種々に調整することは容易であろう。例え
ば、成分(B)に溶融温度約300 ℃のフッ素樹脂を用
い、バンバリーミキサーで製造する場合を例にとると、
約 300〜350 ℃、特に約310〜330 ℃の温度で、成分
(A′)フッ素ゴム、成分(B)PFA、成分(C)三
元共重合体、受酸剤、並びに、任意的な量の、架橋促進
剤、老化防止剤、補強材等を混練する。約10秒〜3 分間
後、あるいは溶融物がほぼ均一となった後、フッ素ゴム
用の架橋剤を、混練下、例えば 3回に分けて 1分間置き
に添加する。架橋剤を全量添加後、上記温度でさらに約
3〜20分間、特に約 5〜10分間混練・架橋すれば、目的
のTPE組成物を得ることができる。
【0034】成分(A′)未架橋フッ素ゴム、成分
(B)フッ素樹脂、成分(C)三元共重合体の混練順序
に特に制限はない。例えば、成分(B)と成分(C)三
元共重合体とを先に溶融混練し、次いで当該混合物と成
分(A′)未架橋フッ素ゴムとを混練してもよい。本発
明はまた、当該製造方法における中間生成物である、テ
トラフロロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエー
テル共重合体及び/またはエチレン/テトラフロロエチ
レン共重合体100 重量部、並びに比重 1.90 以上の、テ
トラフロロエチレン/ヘキサフロロプロピレン/フッ化
ビニリデン三元共重合体1 〜80重量部から主として成る
樹脂組成物をも包含する成分(A′)未架橋フッ素ゴム
と成分(C)三元共重合体とを先に混練し、次いで成分
(B)フッ素ゴム樹脂との混練を行っても良い。特に成
分(B)PFAにETFEが併用される場合、成分
(A′)未架橋フッ素ゴムと成分(C)三元共重合体及
びETFEとを先に混練し、次いで(B)PFAとの混
練を行うこともできる。その場合、フッ素ゴムの架橋
は、成分(C)三元共重合体との混練時に行うのが好ま
しい。成分(C)三元共重合体は通常、成分(B)フッ
素樹脂よりも軟化温度が低い。ETFEは、フッ素樹脂
の中でも、(B)PFAよりも軟化温度が低い。それ
故、この方法によれば、フッ素ゴムの劣化を殆ど伴わず
に混練及び架橋を行うことができる。しかも、混練及び
フッ素ゴムの架橋を行う温度・時間等の条件を、より自
由に設定することができる。成分(A)と成分(C)ま
たはETFEとから成る混合物を、次いで成分(B)P
FAと、PFAの溶融温度以上の温度で短時間、例えば
1〜5 分間混合すれば、本発明のTPE組成物を得るこ
とができる。これらの他、比重 1.90 以上のテトラフロ
ロエチレン/ヘキサフロロプロピレン/フッ化ビニリデ
ン三元共重合体を後から添加、混練する方法を採ること
もきる。
【0035】本発明は特定の理論により限定されるもの
ではないが、本発明が効果を奏する理由として、成分
(C)として使用する比重 1.90 以上のテトラフロロエ
チレン/ヘキサフロロプロピレン/フッ化ビニリデン三
元共重合体が、成分(A)フッ素ゴムと成分(B)フッ
素樹脂との、相溶化剤として作用していることが考えら
れる。当該三元共重合体は、モノマー単位としてテトラ
フロロエチレンを含有する点でPFA及びETFEと共
通している(特に、PFAとは、フッ素含有量が高い点
で類似である)。同時に、分子中にフッ化ビニリデン単
位が存在することにより、極性がフッ素ゴムに近くなっ
ているので、当該三元共重合体はフッ素ゴム、PFA、
ETFEのそれぞれに対して相溶性の高いものとなって
いるのであろう。また、当該三元共重合体は本質的に非
晶質であるので、結晶相の析出やそれに伴う巨視的な相
分離が生じず、しかも通常のフッ素樹脂のように非粘着
ではないので、フッ素ゴム相またはフッ素樹脂相から剥
離し難く、それ故当該三元共重合体を含有する本発明の
TPE組成物が良好な引張特性を示すのであろう。
【0036】本発明の組成物にはさらに、カーボンブラ
ック、シリカ等の補強剤、着色剤、軟化剤、強化繊維、
その他目的に応じた種々の添加剤を加えることもでき
る。また、PVdF等の他の樹脂を配合することも可能
である。当業者であれば、目的とする組成物の特性に応
じ、種々の添加剤の種類、量、並びに添加方法を決定す
ることができるであろう。
【0037】本発明の組成物は、種々の公知の成形方
法、例えば射出成形、押出成形、キャスト成形、ブロー
成形等、様々な方法によって、Oリング、チューブ、ホ
ース、フィルム、その他の任意の形状に成形することが
できる。本発明はまた、これら本発明の組成物から成る
成形品をも包含する。
【0038】本発明に従う上記成形品を、成形後、溶融
温度未満の温度で、例えば 150〜250 ℃前後の温度で 1
〜50時間加熱処理し、二次加硫することもできる。二次
加硫によって、本発明のTPE組成物及びそれから成る
成形品の特徴である良好な力学的特性を、さらに改善す
ることが可能である。
【0039】上記のように、本発明のTPE組成物は、
良好な引張特性に代表される優れた機械的特性、柔軟
性、良好な耐薬品性を備え、しかも溶融成形が容易であ
るという利点を有する。それ故、本発明に従うTPE組
成物からなる成形品は、通常のフッ素ゴム加硫物が適用
し難い用途、例えばケトン、エステル耐用の部品、例え
ばOリング、チューブ、ホース等として有用である。本
発明のTPE組成物はまた、フッ素ゴム加硫物の代替品
として使用することもできるが、溶融成形が可能という
長所を持つため、複雑でモールド成形し難い形状の物
品、熱の通り難い厚物等の材料として特に有用である。
【0040】以下、本発明を実施例によりさらに詳しく
説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるもので
はない。
【0041】
【実施例】
実施例1〜15、比較例1〜12 (サンプルの調製)表1〜5に示した配合材料の内、加
硫剤または加硫促進剤以外の成分を、東洋精機(株)の
ラボプラストミル(混合量 60 ml)を用い、 260〜34
0 ℃前後の温度に加熱しながら80rpmで混練した(各
成分は、合計体積が 50 ml程度となるような量にて使
用した)。約 2〜 3分後、混合物が均一な溶融物となっ
たのを見て、加硫剤または加硫促進剤を 3回に分けて約
1分間隔で投入し、さらに特定の温度で 5〜6 分間(全
10分間)混練して、サンプルを得た。
【0042】次に、得られた混合物を、射出成形機を用
い、 280〜350 ℃のシリンダー温度でJIS6号ダンベ
ルの形状に射出成形した。成形の際の溶融サンプルの流
れ方向は、ダンベルの縦方向に一致させた。 (物性試験)上記のようにして成形したサンプルを用
い、硬さの測定および引張試験並びに熱分析を、以下の
方法により行った。 硬さの測定:ショアーA硬度を、JIS K6253
(加硫ゴムの硬さ試験方法)に従い測定した。 引張試験:JIS K6251(加硫ゴムの引張強さ
試験方法)に従い、約25℃、 500mm/minにて行っ
た。極限強さとは引張応力が最高に達した点での強さ
を、破断強さとはサンプルが破断した際の強さを示す。
【0043】各サンプルの配合、物性試験結果を表1〜
5に示す。なお、これらの表において、Eは実施例を、
とC′は比較例をそれぞれ示す。また、略号、商標で
示したフッ素ゴム、FEP、架橋剤の性状は、以下の通
りである。 (配合材料の説明) フッ素ゴム−1:二元系フッ素ゴム、過酸化物架橋グレ
ード(ポリアミン、ポリオール架橋も可) フッ素ゴム−2:三元系フッ素ゴム、比重 1.81 、ポリ
アミン、ポリオール架橋グレード フッ素ゴム−3:テトラフロロエチレン/プロピレン/
フッ化ビニリデン共重合体、比重 1.60 、過酸化物架橋
グレード(ポリアミン、ポリオール架橋も可) PFA−1:MFR(372 ℃、5000g/10min):
1.0〜 3.0 PFA−2:MFR(372 ℃、5000g/10min):10
〜15 PFA−3:MFR(372 ℃、5000g/10min):20
〜30 ETFE−1:MFR(372 ℃、5000g/10min):
25〜35 ETFE−2:MFR(372 ℃、5000g/10min):
4〜 8 FEP−1:MFR(372 ℃、5000g/10min):4.
5 〜8.5 キュラティブ20:ポリオール架橋用架橋促進剤(純分
33%) キュラティブ30:ポリオール系架橋剤(純分50%) ペロキシモンF40:過酸化物架橋剤(純分40%) TAIK−M60:過酸化物架橋用架橋助剤(純分60
%) 三元共重合体−1:テトラフロロエチレン/ヘキサフロ
ロプロピレン/フッ化ビニリデン三元共重合体、比重
1.99 (カタログ値: 1.98 ) 三元共重合体−2:テトラフロロエチレン/ヘキサフロ
ロプロピレン/フッ化ビニリデン三元共重合体、比重
1.96 (カタログ値と同じ) 三元共重合体−3:テトラフロロエチレン/ヘキサフロ
ロプロピレン/フッ化ビニリデン三元共重合体、比重
1.93 (カタログ値: 1.95 ) 三元共重合体−4:テトラフロロエチレン/ヘキサフロ
ロプロピレン/フッ化ビニリデン三元共重合体、比重
1.92 (カタログ値: 1.91 )
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
【表4】
【0048】
【表5】 E16の#a,b,c:配合が同じであるが、混練を行
なった順序が異なる。
【0049】本発明に従う三元系共重合体を含有するT
PE組成物の引張強さが、当該三元共重合体を含有しな
いTPE組成物よりも大きいこと;三元共重合体の配合
によって、破断時の強度が極限強さにより近い値となる
ことが明らかである。また、これらの効果は、フッ素ゴ
ム、フッ素樹脂、架橋剤としてどのような種類のものを
用いても発現することが示された。実施例9と比較例8
とを比べると、少量の成分(C)三元共重合体の添加に
よって極限強さ及び引張強さが大きく改善されている。
ここで比較した実施例及び比較例においては、全成分に
占める成分(B)フッ素樹脂と成分(C)三元共重合体
との合計量が殆ど変らないこと;並びに、実施例8及び
比較例7に示したように、(B)フッ素樹脂と成分
(C)三元共重合体との合計量が同じでも引張特性が改
善されていることから考えて、破断強さ等引張特性が改
善される理由は、成分(C)三元共重合体の添加による
単なる樹脂成分の比率の増加にあるのではないことが明
らかである。また、実施例9及び比較例8,9より、当
該三元共重合体の代わりに、比重が 1.90 未満の三元共
重合体(フッ素ゴム−2、比重 1.81 )を用いると、引
張強さは事実上改善されないことが分かる。実施例7,
8及び比較例7より、第四成分としてFEPを含有する
組成物においても、本発明の効果は発揮されることがわ
かる。
【0050】参考実施例1 本参考実施例は、本発明の組成物において、成分(C)
三元共重合体の一部が架橋されている場合のあることを
示すものである。
【0051】100.0重量部の三元共重合体−3、 5.00
重量部のCa(OH)2 及び 4.00重量部のキュラティ
ブ20を、ラボプラストミル中、 170〜190 ℃で混練し
た。混練開始から3 分後、4 分後、5 分後に、ビスフェ
ノールAF全 2.00 重量部を約 1/3 づつ添加し、さら
に5 分間(全10分間)混練した。得られた混練物につい
て、MEKへの溶解度を測定したところ、混練物の48%
が溶解した。尚、未処理の三元共重合体−3は、MEK
に完全に溶解する。本実施例で得られたサンプルは、全
分子鎖の約半分が架橋されていると推定される。
【0052】参考実施例2 100.0重量部の三元共重合体−1、 5.00 重量部のMg
O及び 4.00 重量部のキュラティブ20を、ラボプラス
トミル中、 180〜210 ℃で混練した。混練開始から3 分
後、4 分後、5 分後に、ビスフェノールAF全 2.00 重
量部を約 1/3づつ添加し、さらに 5分間(全10分間)
混練した。得られた混合物をJIS6号ダンベルの形状
に射出成形し、引張試験及び熱分析を行った。その結果
を、未処理の三元共重合体−1についての試験結果と共
に、表6に示す。
【0053】
【表6】
【0054】本参考実施例2により得られた樹脂は、未
処理品よりも減量開始温度、10%損失温度が高く、耐熱
性に優れるものとなっている。DTAのピークも、未処
理品では 1本であったものが 2本(強度はほぼ 1:1 で
あった)となっており、部分的に架橋されたことが明ら
かである。
【0055】実施例16 フッ素ゴムとPFA、ETFE及び三元共重合体の混練
順序を変更した以外は、実施例1〜15と同じ操作で、
表5に示した各成分の溶融混練を試みた。実施例16a
〜16cにおける混練順序は、以下のとおりである。 16a:実施例1〜15と同じ 16b:フッ素ゴム、ETFE及び三元共重合体を約26
0 〜290 ℃で溶融混練し、実施例1〜15と同様にして
動的架橋を行い、次に、PFAと共に約300 〜330 ℃の
温度3 分間、溶融混練してサンプルを得た。 16c:PFA、ETFE及び三元共重合体を、約310
〜350 ℃で溶融混練し、得られた樹脂組成物とフッ素ゴ
ムを用い、約290 〜310 ℃の温度で、実施例1〜15と
同様にして動的架橋を行い、サンプルを得た。
【0056】物性試験結果は、表5に示したとおりであ
る。原料の混練順序を変えても、本発明の効果は発現す
るということが明らかである。
【0057】
【発明の効果】上記のように、本発明によって、引張強
さが改善され、引張特性もゴムらしく、かつ製造が容易
なフッ素系熱可塑性エラストマー組成物、当該フッ素系
熱可塑性エラストマー組成物の製造法、並びに当該フッ
素系熱可塑性エラストマー組成から成る成形品が提供さ
れた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 27:16) C08L 27:16) (56)参考文献 特開 平7−97457(JP,A) 特開 平8−302137(JP,A) 特開 平8−120145(JP,A) 特開 平9−176425(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 27/12 - 27/20

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)架橋または未架橋のフッ素ゴム、
    (B)テトラフロロエチレン/パーフルオロアルキルビ
    ニルエーテル共重合体、及び(C)比重 1.90 以上の、
    テトラフロロエチレン/ヘキサフロロプロピレン/フッ
    化ビニリデン三元共重合体からなり、成分(A)と成分
    (B)との重量比が90〜10:10〜90であり、成分(C)
    が成分(A)と成分(B)の合計100 重量部に対して0.
    05〜50.0重量部の割合に配合されていることを特徴とす
    る熱可塑性エラストマー組成物。
  2. 【請求項2】 成分(C)のテトラフロロエチレン/ヘ
    キサフロロプロピレン/フッ化ビニリデン三元共重合体
    が、部分的に架橋されている、請求項1記載の熱可塑性
    エラストマー組成物。
  3. 【請求項3】 成分(C)のテトラフロロエチレン/ヘ
    キサフロロプロピレン/フッ化ビニリデン三元共重合体
    が、比重 1.95 以上のものである、請求項1または2記
    載の熱可塑性エラストマー組成物。
  4. 【請求項4】 成分(A)と成分(B)の合計100 重量
    部に対して50重量部以下のテトラフロロエチレン/ヘキ
    サフロロプロピレン共重合体がさらに配合されている、
    請求項1〜3いずれか記載の熱可塑性エラストマー組成
    物。
  5. 【請求項5】 テトラフロロエチレン/パーフルオロア
    ルキルビニルエーテル共重合体 100重量部、及び比重
    1.90 以上の、テトラフロロエチレン/ヘキサフロロプ
    ロピレン/フッ化ビニリデン三元共重合体 1〜80重量部
    からなり、請求項1〜4の熱可塑性エラストマーに配合
    される樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 (A′)未架橋フッ素ゴム90〜10重量部
    と、(B)テトラフロロエチレン/パーフルオロアルキ
    ルビニルエーテル共重合10〜90重量部と、(C)比重
    1.90 以上の、テトラフロロエチレン/ヘキサフロロプ
    ロピレン/フッ化ビニリデン三元共重合体 0.05 〜50.0
    重量部とを、成分(B)テトラフロロエチレン/パーフ
    ルオロアルキルビニルエーテル共重合体の溶融温度以上
    の温度で混練するとともに、当該温度で混練しながらフ
    ッ素ゴム成分の少なくとも一部の架橋を行う工程を含む
    ことを特徴とする、請求項1〜4いずれか記載の熱可塑
    性エラストマー組成物の製造法。
  7. 【請求項7】 (B)テトラフロロエチレン/パーフル
    オロアルキルビニルエーテル共重合10〜90重量部と、
    (C)比重 1.90 以上の、テトラフロロエチレン/ヘキ
    サフロロプロピレン/フッ化ビニリデン三元共重合体
    0.05 〜50.0重量部とを、予め両者の溶融温度以上の温
    度で混練して混合物を得る工程と、当該混合物と
    (A′)未架橋フッ素ゴム90〜10重量部とを当該混合物
    の溶融温度以上の温度で混練するとともに、当該混合物
    の溶融温度以上の温度で混練しながらフッ素ゴム成分の
    少なくとも一部の架橋を行う工程とを含むことを特徴と
    する、請求項1〜4いずれか記載の熱可塑性エラストマ
    ー組成物の製造法。
  8. 【請求項8】 (A′)未架橋フッ素ゴム90〜10重量部
    と、(C)比重 1.90 以上の、テトラフロロエチレン/
    ヘキサフロロプロピレン/フッ化ビニリデン三元共重合
    体 0.05 〜50.0重量部と、テトラフロロエチレン/ヘキ
    サフロロプロピレン共重合体50重量部以下を加え、予め
    これら成分の溶融温度以上の温度で混練し、当該溶融温
    度以上の温度で混練しながらフッ素ゴム成分の少なくと
    も一部を架橋して混合物を得る工程と、当該混合物と
    (B)の10〜90重量部のテトラフロロエチレン/パーフ
    ルオロアルキルビニルエーテル共重合体とを成分(B)
    テトラフロロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエ
    ーテル共重合体の溶融温度以上の温度で混練する工程を
    含むことを特徴とする、請求項1〜4いずれか記載の熱
    可塑性エラストマー組成物の製造法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜4いずれか記載の熱可塑性エ
    ラストマー組成物を成形して成ることを特徴とする成形
    品。
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