JP3253456B2 - 密閉型回転圧縮機 - Google Patents

密閉型回転圧縮機

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JP3253456B2 JP17142194A JP17142194A JP3253456B2 JP 3253456 B2 JP3253456 B2 JP 3253456B2 JP 17142194 A JP17142194 A JP 17142194A JP 17142194 A JP17142194 A JP 17142194A JP 3253456 B2 JP3253456 B2 JP 3253456B2
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学 竹中
章博 須田
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努 昆
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷蔵庫や空気調和
機に使用される密閉型回転圧縮機に関し、特に永久磁石
型の電動要素に油分離効果の高い構造に改良した油分離
板を装着可能とした密閉型回転圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の密閉型回転圧縮機においては、ガ
ス冷媒の吸入口と吐出口とが設けられ、内底部に潤滑オ
イルを溜めたケーシングの下部に回転圧縮機要素を配設
する一方、ケーシング内の上部には固定子と積層鉄心及
び該積層鉄心に設けた突部に永久磁石を埋め込んだ回転
子とからなる電動機要素を配設したものがある。
【0003】ここで、このような密閉型回転圧縮機で
は、電動機要素の回転子を回転させることにより回転子
の駆動軸の下端部に設けた偏心部にて回転圧縮機要素の
偏心ローラを偏心運動させるようにしている。そしてこ
のように偏心ローラを偏心運動させることによりガス冷
媒をシリンダ室内で吸込圧縮した後、回転圧縮機要素か
ら吐出させる一方、このガス冷媒を電動機要素を通過さ
せた後、ケーシングの上部に設けた吐出口から外部の冷
凍回路に吐出するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところがこのような従
来の密閉型回転圧縮機においては、電動機要素を通過し
てきたガス冷媒にはミスト状のオイルが含まれている。
そしてこのようにオイルが含まれたガス冷媒が冷凍回路
に流入すると、冷却効率が低下すると共にケーシング内
のオイルが不足するようになり、回転圧縮機要素及び電
動機要素の円滑な作動が失われるようになるという問題
点があった。
【0005】そこで、本発明はこのような問題点を解決
するためになされたものであり、電動機要素を通過して
きたガス冷媒からオイルを取り除くことのできる密閉型
回転圧縮機を提供することを目的とするものである。ま
たこのガス冷媒からオイルを取り除くための手段として
は、回転子に磁気的な影響を及ぼすことがないと共に、
製造が簡単な材料にて形成することのできる密閉型回転
圧縮機を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、ガス冷媒の吸
入管と吐出管とが設けられ、内底部に潤滑オイルを溜め
たケーシングと、前記ケーシング内の下部に配設された
回転圧縮機要素と、前記ケーシング内の上部に配設さ
れ、固定子と積層鉄心に永久磁石を埋め込んだ回転子と
からなる電動機要素と、前記回転子の積層鉄心に上方に
配され、前記積層鉄心に貫通形成された冷媒通過孔から
吐出したガス冷媒を前記オイルと分離させる油分離空間
を前記回転子の上面との間に形成するよう固定した油分
離板とを備え、この油分離板は、非磁性体の焼結品若し
くは鍛造品にて形成したものである。
【0007】従って、本発明では、回転圧縮機要素から
ケーシング内に吐出したガス冷媒のその殆どが、回転子
の積層鉄心を貫通する冷媒通過孔を経由してその上方に
配した油分離板により形成される油分離空間へと導入さ
れる。そしてその油分離空間で回転する油分離板の遠心
分離作用より、効果的にオイルが分離されてガス冷媒の
み圧縮機外へ吐出する。そして、永久磁石の埋め込まれ
た積層鉄心の上面に取り付ける油分離板は、非磁性の金
属をその材質とする焼結品又は同非磁性質の鍛造品とす
ることにより磁気的影響を回転子に及ぼさないように設
けることができると共に、安価に製造できるものとな
る。
【0008】また、非磁性の複数枚の金属板材を結合し
て油分離板を製造するようにしても良く、この場合には
焼結品のような型取装置や鍛造品とするための鍛造装置
等が不要となる。
【0009】そして、非磁性の金属板材で形成する場合
に、黄銅若しくはステンレスのプレス品で上方の板材
を、そして非磁性体の鍛造品若しくはダイカスト品で下
方の板材を形成する油分離板であっても良い。このよう
なプレス品と鍛造品との組み合わせ品も可能であるた
め、その使用材料の選択幅が拡がり、コスト安価にして
強度等所望とする条件を満足し得る油分離板の提供が期
待できる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図面を
参照して説明する。
【0011】図1は本発明の一実施例に係る密閉型回転
圧縮機の側面断面図である。同図において、1は密閉型
回転圧縮機(以下、圧縮機という)2のケーシングであ
り、このケーシング1は側面の下部に2本のガス冷媒吸
込管3を設けた有底ケース1aと、ガス冷媒吐出管4を
設けた上蓋ケース1bとよりなっている。
【0012】ここでこの有底ケース1aは、内底部1A
をオイル溜めとする一方、円形状のシリンダ室、本実施
例においては上下2室のシリンダ室5a,5bと、この
シリンダ室5a,5b内に設けられシリンダ室5a,5
bの内壁に沿って偏心回転する位相を異ならせて設けた
2つの偏心ローラ6a,6bとを有する回転圧縮機要素
7を下部に配置するようにしている。また、上部には固
定子8と積層鉄心9及び積層鉄心9に設けた突部に永久
磁石10を埋め込んだ回転子11からなる電動機要素1
2を配置するようにしている。
【0013】ところで、電動機要素12の回転子11
は、積層鉄心9に駆動軸13を焼嵌めにより取り付けて
形成されるが、この回転子11の駆動軸13の下端部に
は2つの偏心ローラ6a,6bをそれぞれ偏心運動させ
る2つの偏心部14a,14bが上下に設けられてい
る。そしてこれらの偏心部14a,14bが駆動軸13
の回転に伴って回転しこの偏心部14a,14bの回転
により偏心ローラ6a,6bがシリンダ室5a,5bの
内壁に沿って偏心運動するようになっている。
【0014】ここで、このように偏心ローラ6a,6b
が偏心運動すると、アキュムレータ15からのガス冷媒
はガス冷媒吸込管3及び冷媒吸込路16を通過してシリ
ンダ室5a,5b内で吸入圧縮された後、回転圧縮機要
素7から吐出されるようになっている。更にこの回転圧
縮機要素7から吐出されたガス冷媒は、矢印に示すよう
に電動機要素12を通過してガス冷媒吐出管4から外部
の図示しない冷凍回路に吐出されるようになっている。
【0015】尚、上部シリンダ室5aと下部シリンダ室
5bとは駆動軸13の軸支部を設けた上部枠体17aと
下部枠体17bとにより挾持され、上カバー18a、下
カバー18bと共に複数箇所でボルト19により締め付
け固定されている。また上カバー18aには、ガス冷媒
とミスト状のオイルとを回転圧縮機要素7から吐出させ
る吐出孔20が形成されている。
【0016】一方、電動機要素12の固定子8は、珪素
鋼板を略環状に打ち抜きその内周にスロットを設けた薄
い鋼板を積層してなる固定子鉄心8aに固定子巻線21
を巻装したものである。そしてケーシング1内に圧入固
定される際、固定子8とケーシング1内面との間でミス
ト状のオイルとガス冷媒とが、矢印に示すように通過す
る隙間22が形成されるよう固定子鉄心8aの外周面を
所定間隔で平板状に切除している。
【0017】一方、電動機要素12の回転子11の積層
鉄心9には上下に貫通する冷媒通過孔23が形成される
と共に、この冷媒通過孔23の上方には回転子11との
間に油分離空間Sを形成する油分離板24がリベット2
5により積層鉄心9に取り付け固定されている。ここで
このように冷媒通過孔23の上方に油分離板24を設け
ることにより、ガス冷媒と共に冷媒通過孔23を通過し
てきたミスト状のオイルを、回転子11と共に回転する
油分離板24の遠心力にてガス冷媒から分離させてケー
シング1内面に付着させ、内底部1Aに戻すことができ
るようにしている。
【0018】そして、このように油分離板24によりオ
イルをガス冷媒から分離させることにより、冷凍回路に
オイルが含まれたガス冷媒が流入するのを防ぎ、これに
より冷却効率が低下するのを防ぐことができるようにし
ている。更に、オイルを内底部1Aに戻すことによりケ
ーシング1内のオイルが不足するのを防ぎ、これにより
回転圧縮機要素7及び電動機要素12の円滑な作動が失
われるのを防ぐことができるようにしている。
【0019】尚、この油分離板24には、図2に示すよ
うにリベット25が挿通される挿通孔25aが形成され
ると共に、積層鉄心9に取り付け固定される際に油分離
空間Sを形成するためのスペーサ部26が下面に突設さ
れている。そしてこれらのスペーサ部26の隙間と積層
鉄心9との間に油分離空間Sが形成されるようになって
いる。尚、同図において、27は駆動軸13を挿通させ
るため油分離板24の中央部に形成されている挿通孔で
ある。
【0020】ところでこの油分離板24には、駆動軸1
3の偏心部14a,14bとのバランスを保つバランス
ウエイト28が形成されている。尚、本実施例において
このバランスウエイト28は、図4に示すように油分離
板24の円板部所定部分において肉厚にすることにより
形成されている。
【0021】またこのバランスウエイト28の中心部に
は、図4に示すように位置合わせ用の溝29が形成され
ている。一方、この積層鉄心9が組み付けられる駆動軸
13の上端には、駆動軸13の下方の偏心部14bの位
置を示す表示溝30が形成されている。そして積層鉄心
9を駆動軸13に組み付ける場合には、これらの2つの
溝29,30を一致させるように取り付けることにより
偏心部14a,14bとバランスウエイト28との方向
を一致させることができるようになっている。
【0022】また、積層鉄心9の上下面には円形状の端
板31a,31bが配設されて、積層鉄心9中の永久磁
石10の脱落を防止すると共に、油分離板24の積層鉄
心9上面への安定した取り付け、及びリベット25によ
る油分離板24と積層鉄心9との確実な固定が行なえる
ようにしている。更にこの装着された端板31a,31
bにより、積層鉄心9の突部間に介在する上下方向の溝
部32の出入口が塞がれることとなり、これによりガス
冷媒及びミスト状オイルをこの溝部32を通させないで
冷媒通過孔23の方へより多く流れるようにしている。
【0023】ところで、このように回転子11の上部に
装着固定される油分離板24は、積層鉄心9中に形成さ
れる永久磁石10による磁界を乱すなどの磁気的な悪影
響を生じないように非磁性体で形成する。そして本発明
ではその構成材は焼結用の金属とし、それらから形成し
た焼結品とする。ここでその焼結金属としては、非磁性
のステンレス、黄銅、青銅を使用することができる。ス
テンレスとしてはSUS304が適する。
【0024】このように、油分離板24を非磁性体の焼
結品とすると、溶融金属を鋳型に流し込んで形成する方
法等と比べて焼結品は簡単に型取りで製造できるので、
コストダウンが実現できる一方、焼結品は面が平滑な製
品として出来上がる利点があり、そのため油分離板24
の上端面及び下端面は仕上加工等を施さずとも最初から
良好な面精度が確保されている。
【0025】よって、組み立ての際、油分離板24と積
層鉄心9上面との密着性が非常に良いものとなり、また
どのリベット25も、その上端は油分離板24の上端面
と均一にカシまってリベット25によるカシメ固定が不
具合無く行なうことができる。こうして油分離板24を
積層鉄心9に組み立て精度良く取り付けることができ、
油分離性能並びに電動機性能が良好に確保されて、信頼
性の向上したものとなる。
【0026】ここで、油分離板24とリベット25とは
同一の金属材料で形成することが好ましい。こうする
と、油分離板24を装着した積層鉄心9を焼嵌めで駆動
軸13に取り付けて回転子11を形成する際、その焼嵌
めで加熱を受け油分離板24とリベット25とが共に熱
膨張するが、その時線膨張率が同一なので両部品は同等
に延びることとなって、リベット25による油分離板2
4の固定度合に狂いを生じさせないようにすることがで
きるからである。
【0027】さて、上述のように焼結品で油分離板24
を形成する他に、油分離板24を同様に非磁性のステン
レス(SUS304)、黄銅、青銅を使用材料とし、こ
れら金属を鍛造して形成する鍛造品として製作すること
もできる。
【0028】更に、油分離板24を黄銅或いは青銅のダ
イカストで形成するものであっても良い。そしてダイカ
スト品の場合は焼結品に比べて表面が少々粗面になるの
で、研削加工等を加えて平滑な面に仕上げる。ただ黄銅
も青銅も軟材なので、加工には然したる困難性は伴わな
い。
【0029】また更に図5に示すように所定厚みの、本
実施例においては2〜3mm厚の、黄銅材からなるプレ
ス板材24a,24bを2枚重ね合わせて油分離板24
の円板部を形成し、同様にスペーサ部26も2枚の黄銅
プレス板材24c,24dを重ね合わせて形成し、これ
らをリベット25で一体化結合するようカシメて形成す
るものとすることもできる。
【0030】このような板材を数枚結合して油分離板2
4を形成するものの場合は、電動機の出力に合わせて適
当なる重量、大きさの油分離板24を、その構成枚数を
変更することで容易に作製可能となる。また、組立式で
油分離板24を形成するのでその製作も容易である。
【0031】そして更に、上述のように重ね合わせる板
材を全てプレス品とせず、例えば油分離板24の円板部
を黄銅かSUS304のステンレスからなるプレス品で
形成する一方、下のスペーサ部26は非磁性体の鍛造品
若しくはダイカスト品の板材で形成するようにしても良
く、それにより更なるコストダウンが図れる。
【0032】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、回転子の
積層鉄心上面に油分離板を止着し、該油分離板によって
積層鉄心上面との間に形成される油分離空間に、積層鉄
心に貫通形成した冷媒通過孔よりガス冷媒が多量に導入
される構成としたので、ガス冷媒からのオイル分離を効
率的に行なうことができる。
【0033】また油分離板は非磁性体で製造が簡単な焼
結品又は鍛造品で形成することで、永久磁石を具備する
回転子に磁気的影響を及ぼさず、正常な電動機出力を確
保できると共に、面精度の良い油分離板が製作可能とな
り、組立精度の高い回転子と油分離板との組立構造体と
することができ、信頼性の向上した密閉型回転圧縮機が
提供可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る密閉型回転圧縮機の側
面断面図。
【図2】上記密閉型回転圧縮機の電動機要素の回転子の
上方に配される油分離板の平面図。
【図3】上記油分離板の側面断面図。
【図4】油分離板を備えた積層鉄心を駆動軸に組み付け
て上記回転子を形成する様子を示す図。
【図5】本発明の他の実施例に係る油分離板の側面断面
図。
【符号の説明】
1 ケーシング 2 密閉型回転圧縮機 3 吸込管 4 吐出管 5a,5b シリンダ室 6a,6b 偏心ローラ 7 回転圧縮機要素 9 積層鉄心 11 回転子 12 電動機要素 13 駆動軸 23 冷媒通過孔 24 油分離板 25 リベット S 油分離空間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 昆 努 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三洋電機株式会社内 (72)発明者 佐藤 有朝 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三洋電機株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−260699(JP,A) 特開 昭52−76605(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F04C 23/00 - 29/10 331

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガス冷媒の吸入管と吐出管とが設けら
    れ、内底部に潤滑オイルを溜めたケーシングと、 前記ケーシング内の下部に配設された回転圧縮機要素
    と、 前記ケーシング内の上部に配設され、固定子と積層鉄心
    に永久磁石を埋め込んだ回転子とからなる電動機要素
    と、 前記回転子の積層鉄心に上方に配され、前記積層鉄心に
    貫通形成された冷媒通過孔から吐出したガス冷媒を前記
    オイルと分離させる油分離空間を前記回転子の上面との
    間に形成するよう固定した油分離板とを備え、 この油分離板は、非磁性体の焼結品若しくは鍛造品にて
    形成した密閉型回転圧縮機において、 前記油分離板は、種類の異なる複数枚の非磁性の金属板
    材を結合して形成されていることを特徴とする密閉型回
    転圧縮機。
  2. 【請求項2】前記油分離板を形成する非磁性の金属板材
    のうち、上方の金属板材は黄銅若しくはステンレスのプ
    レス品で形成し、下方の金属板材は非磁性体の鍛造品若
    しくはダイカスト品にて形成されていることを特徴とす
    る請求項1記載の密閉型回転圧縮機。
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