JP3250966B2 - 被覆切削工具およびその製造方法 - Google Patents
被覆切削工具およびその製造方法Info
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Description
よびその製造方法に関し、特に、フライス加工に用いら
れる切削工具のうち、工具の表面に耐摩耗性被膜を形成
した被覆切削工具およびその製造方法に関するものであ
る。
満たすために、新しい切削工具の材料が次々と開発され
ている。このような材料開発の流れの中で、セラミック
スコーティング技術は、欠かせない工具の製造技術の1
つとなっている。また、最近の動向として、加工能率を
より一層向上させるために 切削速度がより高速になり
つつあり、刃先の温度はますます高温になる傾向があ
る。
ラミックスコーティング膜の成分として、炭化チタン
(TiC)、窒化チタン(TiN)、炭窒化チタン(T
i(C,N))といったチタン系セラミックスが現在最
も広く用いられている。さらに、耐摩耗性や靱性に優れ
ているが、耐酸化性に劣るチタン系セラミックス材料に
おいて、アルミニウムを添加することにより、セラミッ
クスコーティング膜の耐摩耗性と耐酸化性とを両立させ
る方法が開発されている。現在では、そのようなセラミ
ックスコーティング膜の成分として、窒化チタンアルミ
ニウム((Ti,Al)N)が用いられつつある。
れる材料(以下、被削材という)が溶着しやすい場合に
は、工具の切れ刃近傍に被削材が溶着し、上記のような
セラミックスコーティング膜は、切れ刃の欠けを誘発す
るという欠点があった。
を考慮し、チタン系セラミックスの優れた点を活かしつ
つ、被覆切削工具の表面への被削材の溶着を防ぐため
に、耐溶着性を向上させることが可能な被覆切削工具お
よびその製造方法を提供することを目的とする。
従った被覆切削工具は、超硬合金からなる基材と、その
基材の表面上に形成された耐摩耗性被膜とを備える。耐
摩耗性被膜は、窒化チタン膜と、複合窒化膜とを含む。
窒化チタン膜は基材の表面に接して形成されている。複
合窒化膜は、窒化チタン膜の上に形成され、チタンとバ
ナジウムと窒素と不可避的不純物とを含有する。耐摩耗
性被膜の最表面が、酸化バナジウムを含む、融点が10
00℃以下の低融点酸化物で被覆されている。低融点酸
化物としては五酸化二バナジウム(V2 O5 )などの酸
化バナジウムが挙げられる。
ジウムと炭素と窒素と不可避的不純物とを含有する複合
炭窒化膜でもよい。
位、すなわち被削材と擦れる逃げ面、切屑と擦れるすく
い面、それら2つの面の境界部に当たる稜線部のいずれ
か1つ以上の部位に、上記の低融点酸化物で被覆された
耐摩耗性被膜が形成されている。
ム)/{(チタン)+(バナジウム)}の値が0.02
以上0.6以下であるのが好ましい。
削工具の製造方法においては、蒸発源として、チタンお
よびバナジウムのそれぞれの金属、またはチタンとバナ
ジウムの合金を用いて、反応ガスとして少なくとも窒素
を含むガスを用いてPVD法によって窒化チタン膜の上
に複合窒化膜を形成する工程と、酸素または水蒸気を含
有する雰囲気中で複合窒化膜の表面を加熱処理すること
によって酸化して複合窒化膜の最表面に低融点酸化物を
形成する工程が採用される。
と炭素と窒素と不可避的不純物とを含有する複合炭窒化
膜である場合には、上述のような被覆切削工具の製造方
法においては、蒸発源として、チタンおよびバナジウム
のそれぞれの金属、またはチタンとバナジウムの合金を
用いて、反応ガスとして少なくとも窒素と炭化水素を含
むガスを用いてPVD法によって窒化チタン膜の上に複
合炭窒化膜を形成する工程と、酸素または水蒸気を含有
する雰囲気中で複合炭窒化膜の表面を加熱処理すること
によって酸化して複合炭窒化膜の最表面に低融点酸化物
を形成する工程が採用される。
0℃以上の温度で行なわれるのが好ましい。
被覆切削工具は、超硬合金からなる基材と、その基材の
表面上に形成された耐摩耗性被膜とを備える。耐摩耗性
被膜は、窒化チタン膜と複合窒化膜とを含む。窒化チタ
ン膜は基材の表面に接して形成されている。複合窒化膜
は、窒化チタン膜の上に形成され、チタンとアルミニウ
ムとバナジウムと窒素と不可避的不純物とを含有する。
耐摩耗性被膜の最表面が、酸化バナジウムを含む、融点
が1000℃以下の低融点酸化物で被覆されている。
ムとバナジウムと炭素と窒素と不可避的不純物とを含有
する複合炭窒化膜でもよい。
位、すなわち、被削材と擦れる逃げ面、切屑と擦れるす
くい面、それら2つの面の境界部に当たる稜線部のいず
れか1つ以上の部位に、上記の低融点酸化物で被覆され
た耐摩耗性被膜が形成されている。
ウム)/{(チタン)+(アルミニウム)+(バナジウ
ム)}の値が0.02以上0.6以下であるのが好まし
い。
覆切削工具の製造方法においては、蒸発源として、チタ
ン、アルミニウムおよびバナジウムのそれぞれの金属、
またはチタン、アルミニウムおよびバナジウムのいずれ
か2つ以上の組合せからなる合金を用いて、反応ガスと
して少なくとも窒素を含むガスを用いてPVD法によっ
て窒化チタン膜の上に複合窒化膜を形成する工程と、酸
素または水蒸気を含有する雰囲気中で複合窒化膜の表面
を加熱処理することによって酸化して複合窒化膜の最表
面に低融点酸化物を形成する工程を採用する。
とバナジウムと炭素と窒素と不可避的不純物とを含有す
る複合炭窒化膜である場合には、上記の被覆切削工具を
製造する方法においては、蒸発源として、チタン、アル
ミニウムおよびバナジウムのそれぞれの金属、またはチ
タン、アルミニウムおよびバナジウムのいずれか2つ以
上の組合せからなる合金を用いて、反応ガスとして少な
くとも窒素と炭化水素を含むガスを用いてPVD法によ
って窒化チタン膜の上に複合炭窒化膜を形成する工程
と、酸素または水蒸気を含有する雰囲気中で複合炭窒化
膜の表面を加熱処理することによって酸化して複合炭窒
化膜の最表面に低融点酸化物を形成する工程を採用す
る。
℃以上の温度で行なわれるのが好ましい。
おいて採用されるPVD法は、カソードアークイオンプ
レーティング法、反応性スパッタリング法などである。
方法に関する本発明は、以下のような発明者の知見に基
づいてなされたものである。
触する部位の温度が非常に高くなり、単純な擦り摩耗に
加えて、大気中の酸素または切削中に用いられる切削油
材中の水分と耐摩耗性被膜の成分との間で酸化反応が生
じており、いわゆる酸化摩耗(酸化により耐摩耗性被膜
が劣化し、この部分がはぎ取られていく現象と考えられ
ている)が生じているとされている。
し、いわゆる構成刃先を形成する現象も多く見られる。
この現象は、切削加工中の温度で軟化した被削材が工具
の切れ刃近傍に接触し、付着し、再び固化することによ
って生ずる。また、この現象は、特に断続切削、あるい
は1つの切れ刃で多数の被削材としての部品を加工する
際に、切れ刃の欠損を招くという問題を引き起こす。
服するために、窒化チタン(TiN)や炭化チタン(T
iC)等のチタン系セラミックスコーティング、または
これらとアルミナセラミックスとの積層コーティング
や、窒化チタンアルミニウム((Ti,Al)N)コー
ティングが広く用いられている。しかし、いずれのコー
ティングも被膜の耐酸化性と耐摩耗性の向上を目的とし
たものであり、溶着防止の観点から問題を解決できる技
術ではなかった。
の持つ多種多様な特徴を活かすことのできる被膜を検討
する中から、切削工具の切削に関与する部位、すなわち
被削材と擦れる逃げ面、切屑と擦れるすくい面、それら
2つの面の境界部に当たる稜線部のいずれか1つ以上の
部位が、1000℃以下の融点を持った酸化物で覆われ
ていれば、切削加工中の溶着現象をなくすことができる
ことを見出した。
は、(Ti,V)(C,N)または(Ti,Al,V)
(C,N)を用いるのが好ましいことを見出した。
る化合物の組成を制御するためには、コーティング方法
として、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)および
バナジウム(V)のすべてを含む合金からなる蒸発源、
あるいはそれぞれの単独金属成分からなる蒸発源を用い
てカソードアークイオンプレーティング法、または反応
性スパッタリング法などのPVD法を採用するのが好ま
しいことを見出した。
面に融点が1000℃以下の低融点酸化物を析出させる
方法として、上記のコーティング膜を形成した被覆切削
工具を、酸素または水蒸気を含有する雰囲気中で加熱処
理する方法が好ましいことを見出した。
われていることが、本発明の第1の特徴である。このよ
うに低融点の酸化物で耐摩耗性被膜を覆うのは、切削中
の摩擦熱で酸化物が軟化または溶融状態になり、溶着し
た被削材が容易に脱落し、溶着そのものが生じなくなる
からである。
用いられてきたチタンの炭窒化物、チタン−アルミニウ
ムの複合炭窒化物は、切削加工中にその表面が酸化さ
れ、チタンの酸化物やアルミニウムの酸化物を形成す
る。特に、アルミニウムの酸化物であるアルミナ(化学
式:Al2 O3 )は、高い高温硬度と優れた安定性を有
しているために、最近の切削速度の高速化や高硬度の被
削材の加工において優れた性能を示している。
度が高いために、切削加工中に被削材が溶着する現象に
対しては何ら抑制効果を持たないことがわかった。すな
わち、溶着物と耐摩耗性被膜との間の密着力が高く、構
成刃先の成長を招き、結果として切れ刃先端部の大規模
な欠損等の現象を引き起こしていた。
膜と溶着現象との関係について詳細にわたる検討を行な
ったところ、この酸化膜の最表面部が低い融点を持った
酸化物で覆われていれば、溶着した被削材が容易に、す
なわち構成刃先が成長する前に脱落し、切れ刃先端部の
微小な欠損をなくすことができるという結論に達した。
切削中の刃先の表面温度が局所的には1000℃以上に
達することが本発明者らの測定によって確認されたこと
から、1000℃以下の融点を有するものが適切であ
る。さらに、酸化する前の物質が高い硬度を持つこと
が、耐摩耗性の観点から好ましい。これらの条件を満た
す物質としては、バナジウムが最も好ましいことを、種
々の金属、金属窒化物、金属炭化物を試作、検討する中
から見出した。
ビッカース硬度で2900kg/mm2 、1500kg
/mm2 を有する高硬度物質である。また、バナジウム
の酸化物である五酸化二バナジウム(化学式:V
2 O5 )は、680℃という低い融点を持つという、特
異な物質である。さらに、バナジウムと鉄等の複合酸化
物(バナジウム酸塩)も、1000℃以下という低い融
点を持っている。たとえば、Fe2 O3 ・V2 O5 の融
点は860℃、Cr2 O3 ・V2 O5 の融点は850
℃、3NiO・V2 O5 の融点は900℃程度である。
これに対して、チタン、アルミニウムの酸化物であるチ
タニア(TiO2 )、アルミナ(Al2 O3 )は、それ
ぞれ1850℃、2050℃という非常に高い融点を有
している。
物をそのまま被覆切削工具の表面被覆膜として用いる
と、原料コストの面ではもちろん、切削性能そのもの
も、従来のチタン系のセラミックス膜に比べて耐摩耗
性、密着性等で劣る。
i(C,N)セラミックス膜または(Ti,Al)N複
合窒化セラミックス膜に、バナジウムの窒化物を添加
し、両者の持つ優れた特徴を活かすことができる。
たは(Ti,Al,V)(C,N)膜においては、Ti
(C,N)が膜の耐摩耗性を、AlNが膜の耐酸化性
を、Vが自己修復性のある酸化バナジウムの原料として
の役割をそれぞれ果たし、耐摩耗性と耐欠損性の両立が
発揮される。
Al,V)(C,N)膜へのバナジウムの添加量は、金
属成分(Ti,V)または(Ti,Al,V)の組成の
合計に占めるバナジウムの原子比率で最適化できる。そ
の最適値は{V/(Ti+V)}または{V/(Ti+
Al+V)}が0.02以上0.6以下(2%以上60
%以下)である。上記の原子比率が2%以下では、後で
述べる方法で表面に酸化物を形成した場合には、ごくわ
ずかな酸化バナジウムしか生成されず、本発明の目的と
する溶着防止に全く効果がない。また、上記の原子比率
が60%以上では、ベースになるTiN膜、Ti(C,
N)膜または(Ti,Al)N膜の特性が劣化するた
め、逆効果になる。
現するためには、耐摩耗性被膜の形成方法として、T
i、Al、Vのすべてを含んだ合金からなる蒸発源、ま
たはそれぞれの単独金属成分からなる蒸発源を用いたP
VD法を採用することが必要である。特に、PVD法と
してカソードアークイオンプレーティング法、または反
応性スパッタリング法を採用するのが好ましい。CVD
(化学蒸着)法では、(Ti,Al,V)(C,N)の
ような化学反応論的に比平衡な物質の形成が不可能であ
るため、好ましくない。
反応性スパッタリング法のいずれの場合においても、コ
ーティング装置の真空容器の側面、頂面あるいは底面に
蒸発源を取付け、その真空容器内の基材支持治具に基材
をセットし、治具に回転等の運動を起こさせることによ
り、本発明に従った材質からなる膜を工具の表面に均一
な厚みで形成することができる。
V合金は、製造上の困難さ等から極めて高価である場合
があるが、市販されているTi−6Al−4V合金を用
いた蒸発源も使用可能であるので、比較的低いコストで
購入することができる。また、それぞれの単独金属成分
の蒸発源を用いるのであれば、合金を形成する困難さを
回避できる。
00℃以下の低融点酸化物を析出させる方法としては、
バナジウムを含有する耐摩耗性被膜を形成した被覆切削
工具に、酸素あるいは水蒸気を含有する雰囲気中で40
0℃以上の加熱処理を施せばよい。400℃以下の温度
でも酸化反応は起きるが、所定の効果を発揮できるだけ
の低融点酸化物膜の厚みを得るためには非常に長い時間
を要するため、好ましくない。
TiN膜が好ましい。基材に直接、(Ti,Al,V)
N膜または((Ti,Al,V)C,N)膜を形成する
よりも、TiN膜を介在させて基材の上に形成する方
が、高い密着強度が得られる。
ソードアークイオンプレーティング法を一例にして説明
する。
洗浄した所定の基材2を、矢印Rで示す方向に回転可能
な基材支持具3にセットする。2ヶ所の金属蒸発源8に
はTi、Al、Vの所定の比率の組成からなる合金また
はそれぞれの単独金属成分からなる蒸発源を、それぞれ
セットする。
により反応槽1の内部を1×10-3Pa以下まで排気し
た後、原料ガス供給ノズル4よりアルゴンガスを流しな
がら、基材加熱ヒータ7により基材2を加熱する。超硬
合金からなる基材2の加熱温度は550〜600℃であ
るのが好ましい。基材2の温度が所定の温度まで上昇し
たら、反応槽1の内部の圧力が2.7Pa(20mTo
rr)になるようにアルゴンガス流量を調整し、直流電
源5より−1000Vを基材支持具3と基材2に印加
し、反応槽1の内部にアルゴンプラズマを発生させ、基
材2の表面をプラズマクリーニングする。この操作によ
って基材2の表面の汚れや酸化膜が取り除かれる。
排気し、原料ガス供給ノズル4から反応槽1の内部の圧
力が4.0Pa(30mTorr)になるように窒素ガ
スを導入し、直流電源5の電圧を−200Vまで下げ
る。そして、カソードアーク電源6から金属蒸発源8へ
−30V、100Aの電力を供給し、蒸発源8の表面よ
り金属チタン、金属アルミニウム、金属バナジウムのそ
れぞれのイオンを発生させる。すると、蒸発源8を構成
する合金比率に応じた組成のTi、Al、Vが雰囲気中
の窒素と反応し、基材2の表面にTi、Al、Vの所定
の比率の組成からなる合金またはそれぞれの金属の窒化
膜が形成され、目標とする(Ti,Al,V)N膜また
はそれぞれの単独金属窒化物膜(たとえばTiN膜,V
N膜)が得られる。
えて、メタンガス等の炭化水素ガスを原料ガス供給ノズ
ル4から、反応槽1の内部に流せばよい。
金属チタンのみからなる蒸発源に電力を供給し、基材2
の表面に隣接する膜として窒化チタン(TiN)膜を所
定の厚みになるように形成した。その後、所定の合金組
成からなるTi−V合金の蒸発源またはTi−V−Al
合金の蒸発源に電力を供給し、窒素ガス単独、または窒
素ガスと炭化水素ガスの混合ガスとを反応させることに
より、表1の本発明品1〜6に示す組成の(Ti,V)
N膜、(Ti,Al,V)(C,N)膜、(Ti,A
l,V)N膜、(Ti,V)(C,N)膜を作成した。
アーク電源6の供給を停止した。次に、原料ガス供給ノ
ズル4からのガスの導入を停止し、その後、直流電源5
の供給を停止して、基材加熱ヒータ7を切った。その
後、基材2を冷却し、温度が100℃以下になったら基
材2を反応槽1から取り出した。
超硬合金を用い、チップ形状はJIS規格のSDKN4
2のものを用いた。比較のために、窒化チタン膜(比較
例2,4)、窒化チタンアルミニウム膜(比較例1,
3,5)を上記と同様の方法により作製した。
酸化処理を温度600℃にて30分間実施し、また本発
明品4〜6については水蒸気を含む雰囲気中で酸化処理
を温度400℃にて30分間実施することにより、それ
ぞれの被膜の表面を酸化させた。
価については、以下の切削試験条件の下で行なった。
については、欠損に至った切削長) 上記の切削試験の結果を表1に示す。
工具(本発明品)では切れ刃の欠損を抑えることがで
き、従来のコーティング膜を被覆した切削工具(比較
例)よりも寿命が長いことが確認された。
示的に示すものであり制限的なものではないと考慮され
るべきである。本発明の範囲は、以上の実施例ではな
く、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許
請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正
や変形を含むものである。
のすくい面と逃げ面等の切削に関与する部位において被
削材の溶着を防止することができ、切削工具の摩耗を穏
やかに進行させることができ、被膜の有する耐摩耗性を
最大限に活用することができる。また、本発明は、穴開
け加工、エンドミル加工、フライス切削、旋削ともに利
用することができ、有用である。
ソードアークイオンプレーティング装置の一例を概念的
に示す上面図(A)と側面図(B)である。
Claims (14)
- 【請求項1】 超硬合金からなる基材と、 前記基材の表面上に形成された耐摩耗性被膜とを備え、 前記耐摩耗性被膜は、 前記基材の表面に接して形成された窒化チタン膜と、 前記窒化チタン膜の上に形成され、チタンとバナジウム
と窒素と不可避的不純物とを含有する複合窒化膜とを含
み、 前記耐摩耗性被膜の最表面が、融点が1000℃以下の
低融点酸化物で被覆され、この低融点酸化物は少なくと
も酸化バナジウムを含む、被覆切削工具。 - 【請求項2】 前記複合窒化膜は、チタンとバナジウム
と炭素と窒素と不可避的不純物とを含有する複合炭窒化
膜である、請求項1に記載の被覆切削工具。 - 【請求項3】 前記耐摩耗性被膜は、逃げ面、すくい面
および前記逃げ面と前記すくい面の境界部に相当する稜
線部のいずれか1つの部位に形成されている、請求項1
に記載の被覆切削工具。 - 【請求項4】 前記複合窒化膜中の原子比率として(バ
ナジウム)/{(チタン)+(バナジウム)}の値が
0.02以上0.6以下である、請求項1または2に記
載の被覆切削工具。 - 【請求項5】 蒸発源として、チタンおよびバナジウム
のそれぞれの金属、またはチタンとバナジウムの合金を
用いて、反応ガスとして少なくとも窒素を含むガスを用
いてPVD法によって前記窒化チタン膜の上に前記複合
窒化膜を形成する工程と、 酸素または水蒸気を含有する雰囲気中で前記複合窒化膜
の表面を加熱処理することによって酸化して前記複合窒
化膜の最表面に前記低融点酸化物を形成する工程とを備
えた、請求項1に記載の被覆切削工具の製造方法。 - 【請求項6】 蒸発源として、チタンおよびバナジウム
のそれぞれの金属、またはチタンとバナジウムの合金を
用いて、反応ガスとして少なくとも窒素と炭化水素を含
むガスを用いてPVD法によって前記窒化チタン膜の上
に前記複合炭窒化膜を形成する工程と、 酸素または水蒸気を含有する雰囲気中で前記複合炭窒化
膜の表面を加熱処理することによって酸化して前記複合
炭窒化膜の最表面に前記低融点酸化物を形成する工程と
を備えた、請求項2に記載の被覆切削工具の製造方法。 - 【請求項7】 前記加熱処理は、400℃以上の温度で
行なわれる、請求項5または6に記載の被覆切削工具の
製造方法。 - 【請求項8】 超硬合金からなる基材と、 前記基材の表面上に形成された耐摩耗性被膜とを備え、 前記耐摩耗性被膜は、 前記基材の表面に接して形成された窒化チタン膜と、 前記窒化チタン膜の上に形成され、チタンとアルミニウ
ムとバナジウムと窒素と不可避的不純物とを含有する複
合窒化膜とを含み、 前記耐摩耗性被膜の最表面が、融点が1000℃以下の
低融点酸化物で被覆され、この低融点酸化物は少なくと
も酸化バナジウムを含む、被覆切削工具。 - 【請求項9】 前記複合窒化膜は、チタンとアルミニウ
ムとバナジウムと炭素と窒素と不可避的不純物とを含有
する複合炭窒化膜である、請求項8に記載の被覆切削工
具。 - 【請求項10】 前記耐摩耗性被膜は、逃げ面、すくい
面および前記逃げ面と前記すくい面の境界部に相当する
稜線部のいずれか1つの部位に形成されている、請求項
8に記載の被覆切削工具。 - 【請求項11】 前記複合窒化膜中の原子比率として
(バナジウム)/{(チタン)+(アルミニウム)+
(バナジウム)}の値が0.02以上0.6以下であ
る、請求項8または9に記載の被覆切削工具。 - 【請求項12】 蒸発源として、チタン、アルミニウム
およびバナジウムのそれぞれの金属、またはチタン、ア
ルミニウムおよびバナジウムのいずれか2つ以上の組合
せからなる合金を用いて、反応ガスとして少なくとも窒
素を含むガスを用いてPVD法によって前記窒化チタン
膜の上に前記複合窒化膜を形成する工程と、 酸素または水蒸気を含有する雰囲気中で前記複合窒化膜
の表面を加熱処理することによって酸化して前記複合窒
化膜の最表面に前記低融点酸化物を形成する工程とを備
えた、請求項8に記載の被覆切削工具の製造方法。 - 【請求項13】 蒸発源として、チタン、アルミニウム
およびバナジウムのそれぞれの金属、またはチタン、ア
ルミニウムおよびバナジウムのいずれか2つ以上の組合
せからなる合金を用いて、反応ガスとして少なくとも窒
素と炭化水素を含むガスを用いてPVD法によって前記
窒化チタン膜の上に前記複合炭窒化膜を形成する工程
と、 酸素または水蒸気を含有する雰囲気中で前記複合炭窒化
膜の表面を加熱処理することによって酸化して前記複合
炭窒化膜の最表面に前記低融点酸化物を形成する工程と
を備えた、請求項9に記載の被覆切削工具の製造方法。 - 【請求項14】 前記加熱処理は、400℃以上の温度
で行なわれる、請求項12または13に記載の被覆切削
工具の製造方法。
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